有価証券報告書-第19期(2022/04/01-2023/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「アジア・パシフィック」・「投資事業」の5つの報告セグメントとしています。なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度は、日本セグメント及びアジア・パシフィックセグメントで委託手数料が減少したものの、米国セグメントで委託手数料が増加したことなどにより、受入手数料が36,953百万円(前連結会計年度比1.1%減)となりました。また、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産取引が減少したことにより、トレーディング損益が10,788百万円(同64.6%減)となりました。一方、日本セグメントのその他金融収益、および米国セグメントの受取利息が増加したことにより、金融収益が29,413百万円(同55.7%増)となりました。その結果、営業収益は79,304百万円(同10.7%減)となり、収益合計は81,221百万円(同15.7%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、日本セグメント及び米国セグメントなどで増加したものの、クリプトアセット事業セグメントで減少した結果、68,487百万円(同0.2%減)となり、費用合計は76,553百万円(同1.4%増)となりました。
以上の結果、税引前利益が4,669百万円(同77.6%減)となりました。当期利益は3,324百万円(同74.5%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,392百万円(同73.9%減)となりました。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
日本セグメントは、主にマネックス証券株式会社とマネックス・アセットマネジメント株式会社で構成されています。日本セグメントにおいては中長期での資産形成を志向する個人投資家を主要な顧客層としており、売買動向の影響を受けます。
当連結会計年度の日本経済は、原油価格の上昇や円安進行による輸入物価の上昇などでコストプッシュ型のインフレが進行しました。日銀が足元のインフレ進行は需要主導型ではないとの判断から金融緩和政策を継続すると、日米の金利差が拡大するとの思惑もあり、大幅な円安ドル高が進行しました。一時は米ドル/円が1ドル150円を上回る時期もありましたが、行き過ぎた円安が是正されると1ドル130円を割り込む水準まで短期間で円高が進行しました。2022年12月の金融政策決定会合で日銀がイールドカーブ・コントロール政策をサプライズで一部修正すると、日銀も諸外国の中央銀行と同様に金融引き締め政策に転じたのではとの不安が高まり、日経平均が26,000円を割り込む水準まで調整しました。その後の政策決定会合で日銀の金融政策維持が確認されると不安は後退し、日経平均株価は年度末にかけて再び上昇基調となりました。当連結会計年度末時点で日経平均株価は28,041円となりました。
当連結会計年度における東京、名古屋二市場の株式等(株式、ETF及びREIT)の1営業日平均個人売買代金は1兆6,311億円となり前連結会計年度比で2.0%増加しましたが、日本セグメントにおいては、当連結会計年度の株式等の1営業日平均委託売買代金は720億円となり前連結会計年度比で0.9%減少しました。
こうした中、2022年3月からの国内現物株式手数料引下げもあり、日本株の手数料収益等が減少したことから、委託手数料が32.1%減少しました。一方、投信代行手数料収益等が増加したことにより、その他の受入手数料は44.5%増加しました。以上のことから、受入手数料は14,322百万円(同15.6%減)となりました。また、マネックス証券でFX取引金額が増加したことによりFX収益が4,471百万円(同34.2%増)となる一方、グループ会社間のスワップ取引に伴う為替変動の影響を受け、トレーディング損益は5,244百万円(同20.6%増)となりました。金融収益は、グループ会社間のスワップ取引に伴う為替変動の影響を受け、12,412百万円(同22.2%増)となりました。その結果、営業収益は32,635百万円(同2.4%増)となりました。
金融費用は1,695百万円(同18.8%増)となり、金融収支は10,717百万円(同22.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、IFAサービスや金融商品仲介による支払手数料の増加などの結果、27,145百万円(同7.5%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が2,028百万円の利益(同70.3%減)となっていますが、円安による為替差益が含まれております。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は5,781百万円(同51.7%減)となりました。
(米国) (単位:百万円)
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)の上昇および稼働口座数増加にともなう取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、FRBが高インフレを抑え込むため金融引き締めを継続したことなどからやや低調に推移しました。消費者物価指数の上昇率が40年ぶりの水準となるなど高いインフレが進んだことから、FRBは非常にハイペースで金利の引き上げを実施しました。年度後半にかけて消費者物価指数の上昇率や住宅関連指標などの経済指標に鈍化の兆しが見られたことを受け、FRBが2022年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げ幅を縮小させると、一時は4%を上回って推移した時期もあった米長期金利も徐々に低下傾向となりました。2023年3月に入るとシリコンバレー銀行など複数の米国の銀行が経営破綻し、米国の金融システムに対する不安が高まって株価が下落しました。全額預金保護などの対策が講じられると徐々に不安心理は後退し、年度末にかけて株価は反発し、当連結会計年度末時点でNYダウ平均は33,274ドルとなりました。
なお、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で19.5%円安となったことから、米国セグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は、株式が減少したものの、先物・オプションが増加した結果、213,992件(前連結会計年度比1.6%減)となり、委託手数料は米ドルベースで2.6%減少しました。また、株式の取引量が減少したことにより、その他の受入手数料は米ドルベースで5.9%減少しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは3.9%減少し、円換算後では21,335百万円(同14.8%増)となりました。また、金融収益は、金利上昇により米ドルベースでは79.8%増加し、円換算後では16,693百万円(同114.8%増)となりました。
金融費用は4,309百万円(同22.4%増)となり、金融収支は米ドルベースで143.7%の増加、円換算後で12,383百万円(同191.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、戦略転換に伴う退職金もあり人件費が増加した一方、広告宣伝費などが減少した結果、米ドルベースで6.2%減少し、円換算後では33,176百万円(同12.1%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が1,554百万円の損失(前連結会計年度は451百万円の利益)となっていますが、戦略転換に伴う一時費用1,546百万円が含まれております。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は227百万円(前連結会計年度は5,557百万円のセグメント損失)となりました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
クリプトアセット事業セグメントは、主にコインチェック株式会社で構成されています。
当連結会計年度の暗号資産市場は、各国の金融引き締めが継続したことで株式市場とともに下落しました。ウクライナ戦争や中国のゼロコロナ政策などの影響で歴史的なインフレが高止まりし、米国では異例の大幅連続利上げに踏み切る中、暗号資産はリスク資産として売られました。5月にはテラUSDの崩壊によって市場から数兆円規模の価値が失われ、その影響で11月には大手暗号資産取引所FTXグループが破綻しました。これらの事件を受けてビットコインの価格は一時期初より約60%マイナスとなる210万円台まで大幅下落しましたが、事件の収束やインフレのピークアウトが意識されて次第に買いが戻りました。年度末に向けては米国において暗号資産関連企業と取引のある銀行破綻が相次ぎましたが、景気後退懸念が強まる中でビットコインは金とともに高騰し、また、ステーブルコインやDeFiへの懸念も強まる中で相対的に安全な暗号資産としても買われました。
このような環境の下、コインチェック株式会社においては、当連結会計年度における取引所暗号資産売買代金は2兆6,387億円となり、前連結会計年度比で50.5%減少しました。販売所暗号資産売買代金は1,571億円となり、前連結会計年度比で72.4%減少しました。こうした中、送金手数料の減少などにより受入手数料は1,055百万円(前連結会計年度比29.4%減)となり、ビットコイン及びアルトコインの販売所取引が減少したことによりトレーディング損益は5,567百万円(同78.7%減)となりました。一方、NFTの販売収益等により売上収益は962百万円(同1.3%増)と増加しました。その結果、営業収益は7,583百万円(同73.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、De-SPAC上場準備に伴う専門家報酬を計上したものの、広告宣伝費及び支払手数料が減少したことにより8,090百万円(同45.7%減)となりました。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は876百万円(前連結会計年度は13,870百万円のセグメント利益)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)、豪州拠点のMonex Securities Australia Pty Ltd(以下「マネックスオーストラリア証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、中国本土で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がった影響等から縮小傾向となりました。一時は15,000ポイントを割り込んだハンセン指数ですが、今後の経済再開期待もあって年度末にかけて回復し、当連結会計年度末時点で20,400ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で18.7%円安となったことから、アジア・パシフィックセグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、マネックスBoom証券で委託手数料が減少したことにより、受入手数料が630百万円(前連結会計年度比18.3%減)となりました。一方、銀行の実効金利が上昇したことから金融収益が212百万円(同62.6%増)となりました。その他の営業収益は261百万円(同19.3%減)となり、営業収益は1,103百万円(同9.9%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、マネックスオーストラリア証券で事業閉鎖費用を計上したことなどにより1,205百万円(同11.3%増)となりました。
持分法による投資利益は38百万円(同37.6%増)となっていますが、これは、中国本土で事業展開するジョイントベンチャーに関するものです。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は158百万円(前連結会計年度は171百万円のセグメント利益)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、主に保有銘柄の評価額上昇による評価益および評価額低下による評価損により、金融収益が705百万円(前連結会計年度比34.6%減)となり、営業収益は705百万円(同34.6%減)となりました。
金融費用は主にMV1号投資事業有限責任組合等の持分損益を計上したことから397百万円(同35.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、91百万円(同1.9%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は216百万円(同42.5%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度の資産合計は、金銭の信託、信用取引資産などが増加したものの、現金及び現金同等物、棚卸資産などが減少した結果、1,504,110百万円(前連結会計年度末比103,651百万円減)となりました。また、負債合計は、受入保証金、有価証券担保借入金などが増加したものの、預り金が減少した結果、1,403,355百万円(同98,387百万円減)となりました。
資本合計は、当期利益などにより増加したものの、配当金の支払などにより減少した結果、100,754百万円(同5,264百万円減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による支出30,977百万円(前連結会計年度は51,701百万円の収入)、投資活動による支出21,873百万円(同6,026百万円の支出)及び財務活動による支出34,156百万円(同13,763百万円の収入)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は175,159百万円(前連結会計年度末比78,299百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、30,977百万円となりました。
有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により21,399百万円、短期差入保証金の増減により14,908百万円の資金を取得する一方、受入保証金及び預り金の増減により66,721百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増減により15,262百万円の資金を使用しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、21,873百万円となりました。
有価証券投資等の売却及び償還による収入により495百万円の資金を取得する一方、定期預金の預入による支出により13,035百万円、無形資産の取得により6,919百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、34,156百万円となりました。
社債発行による収入により5,196百万円、長期借入債務の調達による収入により3,000百万円の資金を取得する一方、短期借入債務の収支により25,665百万円、社債の償還による支出により5,700百万円、自己株式の取得による支出により5,073百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
2023年3月期の連結決算は、金融費用及び売上原価控除後営業収益が733億円となり、前年比12%減となりました。当期の暗号資産市場は「クリプトウィンター」とも呼ばれ、ウクライナ戦争や中国のゼロコロナ政策などの影響によるインフレの高止まりや、大手暗号資産取引所FTXグループの破綻を受け、日本を含む世界の暗号資産取引量が大幅に減少しました。その一方、米国で 異例の大幅連続利上げが行われたことを背景に、当社の米国セグメントにおける顧客預り金の運用益が、収益全体を大きく押し上げました。また、日本セグメントは日本株委託手数料改定後も、FX市場の活況やアセマネモデルの進捗等を理由に安定した収益を生んでいます。
当期、トレードステーションは、ニューヨーク証券取引所(以下、NYSE)への上場計画に伴う大規模な広告宣伝費投下や人員採用を行いましたが、期中に市場動向を含む外部環境の変化を理由に上場計画中止を決断し、その後、大々的な費用抑制や人員削減を通じて利益創出に注力しました。さらに、クリプトアセット事業セグメントにおいても、暗号資産市場低迷を受けた迅速な費用抑制を断行し、収益水準に見合ったコスト管理に努めています。
このように、多様な環境下で各セグメントが補完的に収益計上した一方で、市況に合わせて機動的なコストコントロールも遂行した結果、当期の税引前利益は47億円となっています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、金融商品取引業における信用取引に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
2023年3月末の財政状態計算書
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本合計は1,008億円であり、固定的な資産654億円を上回っています。差額については以下の原資とする予定です。
1.海外含む証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする多数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また、資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、多数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「アジア・パシフィック」・「投資事業」の5つの報告セグメントとしています。なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 37,361 | 36,953 | △408 | 1.1%減 |
| トレーディング損益 | 30,477 | 10,788 | △19,689 | 64.6%減 |
| 金融収益 | 18,886 | 29,413 | 10,526 | 55.7%増 |
| 売上収益 | 950 | 960 | 11 | 1.1%増 |
| その他の営業収益 | 1,109 | 1,190 | 81 | 7.3%増 |
| 営業収益 | 88,783 | 79,304 | △9,479 | 10.7%減 |
| 収益合計 | 96,311 | 81,221 | △15,090 | 15.7%減 |
| 金融費用 | 5,183 | 5,778 | 595 | 11.5%増 |
| 売上原価 | 51 | 210 | 159 | 313.6%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 68,601 | 68,487 | △113 | 0.2%減 |
| 費用合計 | 75,510 | 76,553 | 1,042 | 1.4%増 |
| 税引前利益 | 20,801 | 4,669 | △16,132 | 77.6%減 |
| 法人所得税費用 | 7,770 | 1,345 | △6,425 | 82.7%減 |
| 当期利益 | 13,032 | 3,324 | △9,707 | 74.5%減 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 13,017 | 3,392 | △9,625 | 73.9%減 |
当連結会計年度は、日本セグメント及びアジア・パシフィックセグメントで委託手数料が減少したものの、米国セグメントで委託手数料が増加したことなどにより、受入手数料が36,953百万円(前連結会計年度比1.1%減)となりました。また、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産取引が減少したことにより、トレーディング損益が10,788百万円(同64.6%減)となりました。一方、日本セグメントのその他金融収益、および米国セグメントの受取利息が増加したことにより、金融収益が29,413百万円(同55.7%増)となりました。その結果、営業収益は79,304百万円(同10.7%減)となり、収益合計は81,221百万円(同15.7%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、日本セグメント及び米国セグメントなどで増加したものの、クリプトアセット事業セグメントで減少した結果、68,487百万円(同0.2%減)となり、費用合計は76,553百万円(同1.4%増)となりました。
以上の結果、税引前利益が4,669百万円(同77.6%減)となりました。当期利益は3,324百万円(同74.5%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,392百万円(同73.9%減)となりました。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 16,978 | 14,322 | △2,656 | 15.6%減 |
| トレーディング損益 | 4,350 | 5,244 | 894 | 20.6%増 |
| 金融収益 | 10,156 | 12,412 | 2,256 | 22.2%増 |
| その他の営業収益 | 381 | 657 | 276 | 72.4%増 |
| 営業収益 | 31,865 | 32,635 | 770 | 2.4%増 |
| 金融費用 | 1,427 | 1,695 | 268 | 18.8%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 25,250 | 27,145 | 1,895 | 7.5%増 |
| その他の収益費用(純額) | 6,819 | 2,028 | △4,791 | 70.3%減 |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | △42 | △42 | △0 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 11,965 | 5,781 | △6,184 | 51.7%減 |
日本セグメントは、主にマネックス証券株式会社とマネックス・アセットマネジメント株式会社で構成されています。日本セグメントにおいては中長期での資産形成を志向する個人投資家を主要な顧客層としており、売買動向の影響を受けます。
当連結会計年度の日本経済は、原油価格の上昇や円安進行による輸入物価の上昇などでコストプッシュ型のインフレが進行しました。日銀が足元のインフレ進行は需要主導型ではないとの判断から金融緩和政策を継続すると、日米の金利差が拡大するとの思惑もあり、大幅な円安ドル高が進行しました。一時は米ドル/円が1ドル150円を上回る時期もありましたが、行き過ぎた円安が是正されると1ドル130円を割り込む水準まで短期間で円高が進行しました。2022年12月の金融政策決定会合で日銀がイールドカーブ・コントロール政策をサプライズで一部修正すると、日銀も諸外国の中央銀行と同様に金融引き締め政策に転じたのではとの不安が高まり、日経平均が26,000円を割り込む水準まで調整しました。その後の政策決定会合で日銀の金融政策維持が確認されると不安は後退し、日経平均株価は年度末にかけて再び上昇基調となりました。当連結会計年度末時点で日経平均株価は28,041円となりました。
当連結会計年度における東京、名古屋二市場の株式等(株式、ETF及びREIT)の1営業日平均個人売買代金は1兆6,311億円となり前連結会計年度比で2.0%増加しましたが、日本セグメントにおいては、当連結会計年度の株式等の1営業日平均委託売買代金は720億円となり前連結会計年度比で0.9%減少しました。
こうした中、2022年3月からの国内現物株式手数料引下げもあり、日本株の手数料収益等が減少したことから、委託手数料が32.1%減少しました。一方、投信代行手数料収益等が増加したことにより、その他の受入手数料は44.5%増加しました。以上のことから、受入手数料は14,322百万円(同15.6%減)となりました。また、マネックス証券でFX取引金額が増加したことによりFX収益が4,471百万円(同34.2%増)となる一方、グループ会社間のスワップ取引に伴う為替変動の影響を受け、トレーディング損益は5,244百万円(同20.6%増)となりました。金融収益は、グループ会社間のスワップ取引に伴う為替変動の影響を受け、12,412百万円(同22.2%増)となりました。その結果、営業収益は32,635百万円(同2.4%増)となりました。
金融費用は1,695百万円(同18.8%増)となり、金融収支は10,717百万円(同22.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、IFAサービスや金融商品仲介による支払手数料の増加などの結果、27,145百万円(同7.5%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が2,028百万円の利益(同70.3%減)となっていますが、円安による為替差益が含まれております。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は5,781百万円(同51.7%減)となりました。
(米国) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 18,583 | 21,335 | 2,752 | 14.8%増 |
| 金融収益 | 7,773 | 16,693 | 8,920 | 114.8%増 |
| 売上収益 | 132 | 534 | 401 | 302.9%増 |
| その他の営業収益 | 727 | 715 | △11 | 1.5%減 |
| 営業収益 | 27,214 | 39,276 | 12,062 | 44.3%増 |
| 金融費用 | 3,520 | 4,309 | 789 | 22.4%増 |
| 売上原価 | 115 | 464 | 349 | 302.9%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 29,587 | 33,176 | 3,589 | 12.1%増 |
| その他の収益費用(純額) | 451 | △1,554 | △2,005 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △5,557 | △227 | 5,331 | - |
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)の上昇および稼働口座数増加にともなう取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、FRBが高インフレを抑え込むため金融引き締めを継続したことなどからやや低調に推移しました。消費者物価指数の上昇率が40年ぶりの水準となるなど高いインフレが進んだことから、FRBは非常にハイペースで金利の引き上げを実施しました。年度後半にかけて消費者物価指数の上昇率や住宅関連指標などの経済指標に鈍化の兆しが見られたことを受け、FRBが2022年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げ幅を縮小させると、一時は4%を上回って推移した時期もあった米長期金利も徐々に低下傾向となりました。2023年3月に入るとシリコンバレー銀行など複数の米国の銀行が経営破綻し、米国の金融システムに対する不安が高まって株価が下落しました。全額預金保護などの対策が講じられると徐々に不安心理は後退し、年度末にかけて株価は反発し、当連結会計年度末時点でNYダウ平均は33,274ドルとなりました。
なお、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で19.5%円安となったことから、米国セグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は、株式が減少したものの、先物・オプションが増加した結果、213,992件(前連結会計年度比1.6%減)となり、委託手数料は米ドルベースで2.6%減少しました。また、株式の取引量が減少したことにより、その他の受入手数料は米ドルベースで5.9%減少しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは3.9%減少し、円換算後では21,335百万円(同14.8%増)となりました。また、金融収益は、金利上昇により米ドルベースでは79.8%増加し、円換算後では16,693百万円(同114.8%増)となりました。
金融費用は4,309百万円(同22.4%増)となり、金融収支は米ドルベースで143.7%の増加、円換算後で12,383百万円(同191.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、戦略転換に伴う退職金もあり人件費が増加した一方、広告宣伝費などが減少した結果、米ドルベースで6.2%減少し、円換算後では33,176百万円(同12.1%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が1,554百万円の損失(前連結会計年度は451百万円の利益)となっていますが、戦略転換に伴う一時費用1,546百万円が含まれております。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は227百万円(前連結会計年度は5,557百万円のセグメント損失)となりました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 1,494 | 1,055 | △439 | 29.4%減 |
| トレーディング損益 | 26,144 | 5,567 | △20,578 | 78.7%減 |
| 売上収益 | 950 | 962 | 12 | 1.3%増 |
| その他の営業収益 | 85 | - | △85 | - |
| 営業収益 | 28,673 | 7,583 | △21,090 | 73.6%減 |
| 金融費用 | 1 | 3 | 2 | 199.2%増 |
| 売上原価 | 51 | 210 | 159 | 313.6%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 14,909 | 8,090 | △6,819 | 45.7%減 |
| その他の収益費用(純額) | 157 | △155 | △313 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 13,870 | △876 | △14,746 | - |
クリプトアセット事業セグメントは、主にコインチェック株式会社で構成されています。
当連結会計年度の暗号資産市場は、各国の金融引き締めが継続したことで株式市場とともに下落しました。ウクライナ戦争や中国のゼロコロナ政策などの影響で歴史的なインフレが高止まりし、米国では異例の大幅連続利上げに踏み切る中、暗号資産はリスク資産として売られました。5月にはテラUSDの崩壊によって市場から数兆円規模の価値が失われ、その影響で11月には大手暗号資産取引所FTXグループが破綻しました。これらの事件を受けてビットコインの価格は一時期初より約60%マイナスとなる210万円台まで大幅下落しましたが、事件の収束やインフレのピークアウトが意識されて次第に買いが戻りました。年度末に向けては米国において暗号資産関連企業と取引のある銀行破綻が相次ぎましたが、景気後退懸念が強まる中でビットコインは金とともに高騰し、また、ステーブルコインやDeFiへの懸念も強まる中で相対的に安全な暗号資産としても買われました。
このような環境の下、コインチェック株式会社においては、当連結会計年度における取引所暗号資産売買代金は2兆6,387億円となり、前連結会計年度比で50.5%減少しました。販売所暗号資産売買代金は1,571億円となり、前連結会計年度比で72.4%減少しました。こうした中、送金手数料の減少などにより受入手数料は1,055百万円(前連結会計年度比29.4%減)となり、ビットコイン及びアルトコインの販売所取引が減少したことによりトレーディング損益は5,567百万円(同78.7%減)となりました。一方、NFTの販売収益等により売上収益は962百万円(同1.3%増)と増加しました。その結果、営業収益は7,583百万円(同73.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、De-SPAC上場準備に伴う専門家報酬を計上したものの、広告宣伝費及び支払手数料が減少したことにより8,090百万円(同45.7%減)となりました。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は876百万円(前連結会計年度は13,870百万円のセグメント利益)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 771 | 630 | △141 | 18.3%減 |
| トレーディング損益 | △0 | △0 | △0 | - |
| 金融収益 | 131 | 212 | 82 | 62.6%増 |
| その他の営業収益 | 323 | 261 | △62 | 19.3%減 |
| 営業収益 | 1,225 | 1,103 | △122 | 9.9%減 |
| 金融費用 | 3 | 50 | 47 | 1,721.4%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 1,083 | 1,205 | 122 | 11.3%増 |
| その他の収益費用(純額) | 5 | △45 | △49 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 27 | 38 | 10 | 37.6%増 |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 171 | △158 | △330 | - |
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)、豪州拠点のMonex Securities Australia Pty Ltd(以下「マネックスオーストラリア証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、中国本土で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がった影響等から縮小傾向となりました。一時は15,000ポイントを割り込んだハンセン指数ですが、今後の経済再開期待もあって年度末にかけて回復し、当連結会計年度末時点で20,400ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で18.7%円安となったことから、アジア・パシフィックセグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、マネックスBoom証券で委託手数料が減少したことにより、受入手数料が630百万円(前連結会計年度比18.3%減)となりました。一方、銀行の実効金利が上昇したことから金融収益が212百万円(同62.6%増)となりました。その他の営業収益は261百万円(同19.3%減)となり、営業収益は1,103百万円(同9.9%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、マネックスオーストラリア証券で事業閉鎖費用を計上したことなどにより1,205百万円(同11.3%増)となりました。
持分法による投資利益は38百万円(同37.6%増)となっていますが、これは、中国本土で事業展開するジョイントベンチャーに関するものです。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は158百万円(前連結会計年度は171百万円のセグメント利益)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 金融収益 | 1,079 | 705 | △374 | 34.6%減 |
| 営業収益 | 1,079 | 705 | △374 | 34.6%減 |
| 金融費用 | 614 | 397 | △217 | 35.4%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 89 | 91 | 2 | 1.9%増 |
| その他の収益費用(純額) | △0 | 4 | 4 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | - | △5 | △5 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 376 | 216 | △160 | 42.5%減 |
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、主に保有銘柄の評価額上昇による評価益および評価額低下による評価損により、金融収益が705百万円(前連結会計年度比34.6%減)となり、営業収益は705百万円(同34.6%減)となりました。
金融費用は主にMV1号投資事業有限責任組合等の持分損益を計上したことから397百万円(同35.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、91百万円(同1.9%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は216百万円(同42.5%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月末) | 当連結会計年度 (2023年3月末) | 増減 | |
| 資産合計 | 1,607,761 | 1,504,110 | △103,651 |
| 負債合計 | 1,501,742 | 1,403,355 | △98,387 |
| 資本合計 | 106,018 | 100,754 | △5,264 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 104,286 | 99,641 | △4,645 |
当連結会計年度の資産合計は、金銭の信託、信用取引資産などが増加したものの、現金及び現金同等物、棚卸資産などが減少した結果、1,504,110百万円(前連結会計年度末比103,651百万円減)となりました。また、負債合計は、受入保証金、有価証券担保借入金などが増加したものの、預り金が減少した結果、1,403,355百万円(同98,387百万円減)となりました。
資本合計は、当期利益などにより増加したものの、配当金の支払などにより減少した結果、100,754百万円(同5,264百万円減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2022年3月期) | 当連結会計年度 (2023年3月期) | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 51,701 | △30,977 | △82,679 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △6,026 | △21,873 | △15,847 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 13,763 | △34,156 | △47,919 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 253,458 | 175,159 | △78,299 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による支出30,977百万円(前連結会計年度は51,701百万円の収入)、投資活動による支出21,873百万円(同6,026百万円の支出)及び財務活動による支出34,156百万円(同13,763百万円の収入)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は175,159百万円(前連結会計年度末比78,299百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、30,977百万円となりました。
有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により21,399百万円、短期差入保証金の増減により14,908百万円の資金を取得する一方、受入保証金及び預り金の増減により66,721百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増減により15,262百万円の資金を使用しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、21,873百万円となりました。
有価証券投資等の売却及び償還による収入により495百万円の資金を取得する一方、定期預金の預入による支出により13,035百万円、無形資産の取得により6,919百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、34,156百万円となりました。
社債発行による収入により5,196百万円、長期借入債務の調達による収入により3,000百万円の資金を取得する一方、短期借入債務の収支により25,665百万円、社債の償還による支出により5,700百万円、自己株式の取得による支出により5,073百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
2023年3月期の連結決算は、金融費用及び売上原価控除後営業収益が733億円となり、前年比12%減となりました。当期の暗号資産市場は「クリプトウィンター」とも呼ばれ、ウクライナ戦争や中国のゼロコロナ政策などの影響によるインフレの高止まりや、大手暗号資産取引所FTXグループの破綻を受け、日本を含む世界の暗号資産取引量が大幅に減少しました。その一方、米国で 異例の大幅連続利上げが行われたことを背景に、当社の米国セグメントにおける顧客預り金の運用益が、収益全体を大きく押し上げました。また、日本セグメントは日本株委託手数料改定後も、FX市場の活況やアセマネモデルの進捗等を理由に安定した収益を生んでいます。
当期、トレードステーションは、ニューヨーク証券取引所(以下、NYSE)への上場計画に伴う大規模な広告宣伝費投下や人員採用を行いましたが、期中に市場動向を含む外部環境の変化を理由に上場計画中止を決断し、その後、大々的な費用抑制や人員削減を通じて利益創出に注力しました。さらに、クリプトアセット事業セグメントにおいても、暗号資産市場低迷を受けた迅速な費用抑制を断行し、収益水準に見合ったコスト管理に努めています。
このように、多様な環境下で各セグメントが補完的に収益計上した一方で、市況に合わせて機動的なコストコントロールも遂行した結果、当期の税引前利益は47億円となっています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、金融商品取引業における信用取引に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
2023年3月末の財政状態計算書
| 資産 15,041億円 | 負債 14,034億円 | ||
| 主な資産は金融商品取引業及び暗号資産交換業に関連するもの 12,265億円 | 主な負債は金融商品取引業及び暗号資産交換業に関連するもの 13,675億円 | ||
| その他 370億円 | |||
| 現金及び現金同等物 1,752億円 | その他 359億円 | ||
| 資本 1,008億円 | |||
| 固定的な資産(注) 654億円 |
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本合計は1,008億円であり、固定的な資産654億円を上回っています。差額については以下の原資とする予定です。
1.海外含む証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする多数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また、資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、多数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。