有価証券報告書-第83期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、当初緩やかな回復基調のもと企業収益や雇用・所得環境の改善が見られましたが、令和2年1月以降新型コロナウイルスの感染が国内外で拡大し、産業界全体に深刻な影響を及ぼしました。
旅行業界におきましては、改元に伴うゴールデンウイークの連休長期化の特需に恵まれましたが、期後半において台風19号ならびに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内、海外旅行のキャンセル、出控えが相次ぎ、さらに訪日旅行者が激減する事態となりました。
このような厳しい経営環境でありましたが、当社グループは引き続き近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの一体化を推進し、Web販売の拡大、商品の差別化と会員顧客の増加に努めるとともに、団体旅行事業のさらなる強化を図りました。
Web販売では、近畿日本ツーリストとクラブツーリズム共同の特集ページを拡充し、近畿日本ツーリストのWebサイトでクラブツーリズム商品を直接選択して購入できるようにするなど、両サイトの一体化をさらに推し進めました。商品面におきましては、旅行商品の造成改革を推進し、従来、主に東京、大阪等の旅行の出発地の拠点で行ってきた商品造成を北海道、九州など着地側(旅先)の拠点でも行うようにし、OTA(Online Travel Agent、オンライン専門旅行会社)には真似のできない「地元ならではの情報を駆使した旅行商品」、「隠れた観光素材を使った旅行商品」を造成する、いわゆる着地型の商品造成に大いに注力いたしました。
また、団体旅行では、教育旅行事業において旅行前の準備から旅行中の連絡、旅行後の振り返り学習に至るまで、教育旅行に関わるすべてのサポートをパソコン、スマートフォンで提供する「旅ともプラス」を業界で初めて導入するなど、サービスレベルの向上と業務の合理化、IT化を推進いたしました。
国内旅行は個人旅行では、島根県松江市で10年に一度開催される日本最大級の船神事「ホーランエンヤ」を観覧するツアーや、世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群をセスナ機で眺望するツアーなど、地域の貴重な催しを掘り起こすツアー、旬のツアーを数多く実施いたしました。団体旅行では、引き続き国際会議や企業イベントの運営などMICE(Meeting、Incentive、Convention・Congress、Event・Exhibition)の受注拡大に努めたほか、スポーツ団体の合宿や自治体のイベント関連業務の受注を図りました。しかしながら、国内旅行の売上高は2,121億31百万円(前年同期比8.7%減)となりました。
海外旅行は、テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」ゆかりの地のイタリアを訪ねるツアーを実施し、ファンから高い評価をいただいたほか、主としてシニア女性を対象とする「大人のプチ留学体験ツアー」や、お客さまが合唱団を組み世界最高峰のステージ「ザルツブルク音楽祭」で合唱するツアーを催行するなど、独自性・テーマ性に富んだ旅行をさらに充実いたしました。しかしながら、海外旅行の売上高は1,499億44百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
訪日旅行は、「G20大阪サミット2019」や「ラグビーワールドカップ2019日本大会」関係者の宿泊・輸送関係業務を取り扱いました。また、地域交流事業においては、株式会社近畿日本ツーリスト関西が国宝「彦根城」の運営管理業務を、株式会社近畿日本ツーリスト中部および株式会社近畿日本ツーリスト関西が「麒麟がくる 大河ドラマ館」の運営管理業務をそれぞれ受託するなど、観光の面から地域に貢献する業務を多数受託いたしました。これらにより、その他事業の売上高は232億86百万円(前年同期比35.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度の経営成績において、第3四半期連結累計期間まではゴールデンウイークの連休長期化の特需などにより連結売上高は対前年同期比で増収となっていましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が出だした令和2年1月から対前年同月比での減収傾向が始まり、第4四半期連結会計期間の連結売上高は対前年同期比で295億76百万円の減収となりました。これにより、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症が連結売上高に与えた影響額は概ね300億円程度であったと推定しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、主に預け金、受取手形及び営業未収金、旅行前払金および繰延税金資産などの減少により906億30百万円となり、前連結会計年度末に比較して508億49百万円(35.9%)の減少となりました。また、負債合計は、主に営業未払金、未払金および旅行前受金などの減少により722億4百万円となり、前連結会計年度末に比較して423億24百万円(37.0%)の減少となりました。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により184億25百万円となり、前連結会計年度末に比較して85億24百万円(31.6%)の減少となりました。
この結果、自己資本比率は20.3%で前連結会計年度末から1.3ポイント増加し、1株当たり純資産は672.25円で前連結会計年度末から311.57円の減少となりました。
b.経営成績
令和元年12月まで増益基調で推移いたしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は甚大なものがあり、連結売上高は3,853億62百万円(前年同期比6.4%減)、連結営業損失は16億8百万円(前期 営業利益25億32百万円)、連結経常損失は14億15百万円(前期 経常利益28億34百万円)となり、これに伴うソフトウエア等の減損、繰延税金資産の取崩しにより、親会社株主に帰属する当期純損失は74億43百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益12億79百万円)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、令和2年4月7日に緊急事態宣言が発令されたことにより、令和2年4月以降の募集型企画旅行は海外旅行、国内旅行ともにツアーの催行を中止しているほか、修学旅行等の団体旅行についてもツアーの中止または延期の決定が相次いでいるため、第1四半期の旅行需要については大半が消失するものと仮定しております。また、第2四半期以降については新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策として官民一体で実施される「Go To Travelキャンペーン(仮称)」の取り組みや延期となった修学旅行等の団体旅行の実施等により、旅行需要は徐々に回復することを仮定しております。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不確実であり、予測が困難ですが、このような仮定を踏まえ、連結財務諸表作成日現在において入手可能な情報に基づき、当連結会計年度における会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性および固定資産減損要否等の検討)を実施しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して221億49百万円減少し482億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は189億16百万円の減少(前期は48億45百万円の増加)となりました。これは主に売上債権の減少による影響で148億64百万円、旅行前払金の減少による影響で80億63百万円増加したものの、税金等調整前当期純損失の計上で31億76百万円、旅行前受金の減少による影響で246億44百万円、仕入債務の減少による影響で130億54百万円それぞれ減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は30億69百万円の減少(前期は16億77百万円の減少)となりました。これは主に固定資産の取得による支出で31億円減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は41百万円の減少(前期は18百万円の減少)となりました。これは主にリース債務の返済による支出で40百万円、自己株式の取得による支出で0百万円減少したためであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、有価証券、減価償却資産、貸倒引当金、繰延税金資産、退職給付に係る資産、賞与引当金および旅行券等引換引当金等の計上について見積りを行っております。
なお、見積りについては、過去の実績や現在の状況等に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
主なものとしては次のとおりであります。
a.退職給付債務および退職給付費用
従業員の退職給付債務および退職給付費用は数理計算上で設定されている前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は、割引率、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などの重要な見積りが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または、前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および債務に影響を及ぼします。
b.繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります(第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)をご参照ください。)。
繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」をご覧ください。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、新たに減損損失が発生する可能性があります(第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)をご参照ください。)。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績
(売上高と営業損益)
第3四半期までは台風19号の影響を受けながらも10連休となったゴールデンウィークの特需により増収で推移していましたが、本年1月以降、新型コロナウィルスによる感染症が国内外で拡大し、国内、海外の個人旅行、団体旅行ともキャンセルや出控えが相次いだことにより、前連結会計年度に比べ、売上高は6.4%減の3,853億62百万円となりました。販売費及び一般管理費においては賞与引当金を減額したほか、変動費全般の削減に努めましたが、営業損失は16億8百万円(前期 営業利益25億32百万円)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は1億92百万円の収益超過となり、受取利息、受取配当金や助成金収入が増加しましたが、為替差損の増加により前連結会計年度に比べ1億9百万円の減益となりました。その結果、当連結会計年度の経常損失は、14億15百万円(前期 経常利益28億34百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、特別損失として16億46百万円の減損損失や投資有価証券評価損として71百万円を計上したことにより17億60百万円の損失超過となりました。
また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は2億28百万円、法人税等調整額は40億50百万円であり、非支配株主に帰属する当期純損失を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、74億43百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益12億79百万円)の損失となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社をとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、アジア諸国の経済発展、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大、国内航空旅行を中心に柔軟に商品価格を変化させるテクノロジーを活用したプライシング機能等の新たなサービスの進化等により事業環境は著しく変化しております。
また、旅行市場は、政府の「観光立国」に向けた政策はあるものの、新型コロナウイルスによる感染症の発症など旅行需要を激減させる事態が発生するなど、今後も混乱が残るものと予想されます。
当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、国際テロ、紛争および新興感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、天候や休日の日並びの良否等市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。
2)今後の見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入、および人件費ならびに販売諸経費等の営業費用が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。
2)財務政策
当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておらず、有利子負債の金額は僅少であります。
また、当社グループの各社の資金需要については当社が一元管理するとともに、グループ内における資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムによる国内子会社の余剰資金の集中および配分を行っております。
なお、当社グループ全体の余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。
3)資金の状況
当社グループは、当期末現在において482億円の現金及び現金同等物を有しております。また、設備投資の凍結ならびに費用支出の削減を行い、資本的支出を抑制しているため、資金的な不安要素はありません。但し、新型コロナウイルス感染症により不確実性を伴うため、300億円のコミットメントラインの契約を締結し、不測の事態に対応できる体制を整えています。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、売上高および営業利益を重視しておりますが、同時に安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率および自己資本利益率を定めております。
当連結会計年度における自己資本比率は20.3%(前期比1.3ポイント改善)であり、自己資本利益率(ROE)は△32.9%(前期比37.8ポイント減少)でした。自己資本比率は計画比1.7ポイント未達であり、ROEは計画比41.9ポイント未達となりました。ROEの悪化は、主として新型コロナウイルスによる感染症の発症が原因であります。感染症の拡大が収束した後には、両指標を改善できるよう取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、当初緩やかな回復基調のもと企業収益や雇用・所得環境の改善が見られましたが、令和2年1月以降新型コロナウイルスの感染が国内外で拡大し、産業界全体に深刻な影響を及ぼしました。
旅行業界におきましては、改元に伴うゴールデンウイークの連休長期化の特需に恵まれましたが、期後半において台風19号ならびに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内、海外旅行のキャンセル、出控えが相次ぎ、さらに訪日旅行者が激減する事態となりました。
このような厳しい経営環境でありましたが、当社グループは引き続き近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの一体化を推進し、Web販売の拡大、商品の差別化と会員顧客の増加に努めるとともに、団体旅行事業のさらなる強化を図りました。
Web販売では、近畿日本ツーリストとクラブツーリズム共同の特集ページを拡充し、近畿日本ツーリストのWebサイトでクラブツーリズム商品を直接選択して購入できるようにするなど、両サイトの一体化をさらに推し進めました。商品面におきましては、旅行商品の造成改革を推進し、従来、主に東京、大阪等の旅行の出発地の拠点で行ってきた商品造成を北海道、九州など着地側(旅先)の拠点でも行うようにし、OTA(Online Travel Agent、オンライン専門旅行会社)には真似のできない「地元ならではの情報を駆使した旅行商品」、「隠れた観光素材を使った旅行商品」を造成する、いわゆる着地型の商品造成に大いに注力いたしました。
また、団体旅行では、教育旅行事業において旅行前の準備から旅行中の連絡、旅行後の振り返り学習に至るまで、教育旅行に関わるすべてのサポートをパソコン、スマートフォンで提供する「旅ともプラス」を業界で初めて導入するなど、サービスレベルの向上と業務の合理化、IT化を推進いたしました。
国内旅行は個人旅行では、島根県松江市で10年に一度開催される日本最大級の船神事「ホーランエンヤ」を観覧するツアーや、世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群をセスナ機で眺望するツアーなど、地域の貴重な催しを掘り起こすツアー、旬のツアーを数多く実施いたしました。団体旅行では、引き続き国際会議や企業イベントの運営などMICE(Meeting、Incentive、Convention・Congress、Event・Exhibition)の受注拡大に努めたほか、スポーツ団体の合宿や自治体のイベント関連業務の受注を図りました。しかしながら、国内旅行の売上高は2,121億31百万円(前年同期比8.7%減)となりました。
海外旅行は、テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」ゆかりの地のイタリアを訪ねるツアーを実施し、ファンから高い評価をいただいたほか、主としてシニア女性を対象とする「大人のプチ留学体験ツアー」や、お客さまが合唱団を組み世界最高峰のステージ「ザルツブルク音楽祭」で合唱するツアーを催行するなど、独自性・テーマ性に富んだ旅行をさらに充実いたしました。しかしながら、海外旅行の売上高は1,499億44百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
訪日旅行は、「G20大阪サミット2019」や「ラグビーワールドカップ2019日本大会」関係者の宿泊・輸送関係業務を取り扱いました。また、地域交流事業においては、株式会社近畿日本ツーリスト関西が国宝「彦根城」の運営管理業務を、株式会社近畿日本ツーリスト中部および株式会社近畿日本ツーリスト関西が「麒麟がくる 大河ドラマ館」の運営管理業務をそれぞれ受託するなど、観光の面から地域に貢献する業務を多数受託いたしました。これらにより、その他事業の売上高は232億86百万円(前年同期比35.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度の経営成績において、第3四半期連結累計期間まではゴールデンウイークの連休長期化の特需などにより連結売上高は対前年同期比で増収となっていましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が出だした令和2年1月から対前年同月比での減収傾向が始まり、第4四半期連結会計期間の連結売上高は対前年同期比で295億76百万円の減収となりました。これにより、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症が連結売上高に与えた影響額は概ね300億円程度であったと推定しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、主に預け金、受取手形及び営業未収金、旅行前払金および繰延税金資産などの減少により906億30百万円となり、前連結会計年度末に比較して508億49百万円(35.9%)の減少となりました。また、負債合計は、主に営業未払金、未払金および旅行前受金などの減少により722億4百万円となり、前連結会計年度末に比較して423億24百万円(37.0%)の減少となりました。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により184億25百万円となり、前連結会計年度末に比較して85億24百万円(31.6%)の減少となりました。
この結果、自己資本比率は20.3%で前連結会計年度末から1.3ポイント増加し、1株当たり純資産は672.25円で前連結会計年度末から311.57円の減少となりました。
b.経営成績
令和元年12月まで増益基調で推移いたしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は甚大なものがあり、連結売上高は3,853億62百万円(前年同期比6.4%減)、連結営業損失は16億8百万円(前期 営業利益25億32百万円)、連結経常損失は14億15百万円(前期 経常利益28億34百万円)となり、これに伴うソフトウエア等の減損、繰延税金資産の取崩しにより、親会社株主に帰属する当期純損失は74億43百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益12億79百万円)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、令和2年4月7日に緊急事態宣言が発令されたことにより、令和2年4月以降の募集型企画旅行は海外旅行、国内旅行ともにツアーの催行を中止しているほか、修学旅行等の団体旅行についてもツアーの中止または延期の決定が相次いでいるため、第1四半期の旅行需要については大半が消失するものと仮定しております。また、第2四半期以降については新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策として官民一体で実施される「Go To Travelキャンペーン(仮称)」の取り組みや延期となった修学旅行等の団体旅行の実施等により、旅行需要は徐々に回復することを仮定しております。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不確実であり、予測が困難ですが、このような仮定を踏まえ、連結財務諸表作成日現在において入手可能な情報に基づき、当連結会計年度における会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性および固定資産減損要否等の検討)を実施しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して221億49百万円減少し482億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は189億16百万円の減少(前期は48億45百万円の増加)となりました。これは主に売上債権の減少による影響で148億64百万円、旅行前払金の減少による影響で80億63百万円増加したものの、税金等調整前当期純損失の計上で31億76百万円、旅行前受金の減少による影響で246億44百万円、仕入債務の減少による影響で130億54百万円それぞれ減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は30億69百万円の減少(前期は16億77百万円の減少)となりました。これは主に固定資産の取得による支出で31億円減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は41百万円の減少(前期は18百万円の減少)となりました。これは主にリース債務の返済による支出で40百万円、自己株式の取得による支出で0百万円減少したためであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、有価証券、減価償却資産、貸倒引当金、繰延税金資産、退職給付に係る資産、賞与引当金および旅行券等引換引当金等の計上について見積りを行っております。
なお、見積りについては、過去の実績や現在の状況等に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
主なものとしては次のとおりであります。
a.退職給付債務および退職給付費用
従業員の退職給付債務および退職給付費用は数理計算上で設定されている前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は、割引率、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などの重要な見積りが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または、前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および債務に影響を及ぼします。
b.繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります(第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)をご参照ください。)。
繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」をご覧ください。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、新たに減損損失が発生する可能性があります(第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)をご参照ください。)。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績
(売上高と営業損益)
第3四半期までは台風19号の影響を受けながらも10連休となったゴールデンウィークの特需により増収で推移していましたが、本年1月以降、新型コロナウィルスによる感染症が国内外で拡大し、国内、海外の個人旅行、団体旅行ともキャンセルや出控えが相次いだことにより、前連結会計年度に比べ、売上高は6.4%減の3,853億62百万円となりました。販売費及び一般管理費においては賞与引当金を減額したほか、変動費全般の削減に努めましたが、営業損失は16億8百万円(前期 営業利益25億32百万円)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は1億92百万円の収益超過となり、受取利息、受取配当金や助成金収入が増加しましたが、為替差損の増加により前連結会計年度に比べ1億9百万円の減益となりました。その結果、当連結会計年度の経常損失は、14億15百万円(前期 経常利益28億34百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、特別損失として16億46百万円の減損損失や投資有価証券評価損として71百万円を計上したことにより17億60百万円の損失超過となりました。
また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は2億28百万円、法人税等調整額は40億50百万円であり、非支配株主に帰属する当期純損失を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、74億43百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益12億79百万円)の損失となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社をとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、アジア諸国の経済発展、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大、国内航空旅行を中心に柔軟に商品価格を変化させるテクノロジーを活用したプライシング機能等の新たなサービスの進化等により事業環境は著しく変化しております。
また、旅行市場は、政府の「観光立国」に向けた政策はあるものの、新型コロナウイルスによる感染症の発症など旅行需要を激減させる事態が発生するなど、今後も混乱が残るものと予想されます。
当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、国際テロ、紛争および新興感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、天候や休日の日並びの良否等市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。
2)今後の見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入、および人件費ならびに販売諸経費等の営業費用が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。
2)財務政策
当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておらず、有利子負債の金額は僅少であります。
また、当社グループの各社の資金需要については当社が一元管理するとともに、グループ内における資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムによる国内子会社の余剰資金の集中および配分を行っております。
なお、当社グループ全体の余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。
3)資金の状況
当社グループは、当期末現在において482億円の現金及び現金同等物を有しております。また、設備投資の凍結ならびに費用支出の削減を行い、資本的支出を抑制しているため、資金的な不安要素はありません。但し、新型コロナウイルス感染症により不確実性を伴うため、300億円のコミットメントラインの契約を締結し、不測の事態に対応できる体制を整えています。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、売上高および営業利益を重視しておりますが、同時に安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率および自己資本利益率を定めております。
当連結会計年度における自己資本比率は20.3%(前期比1.3ポイント改善)であり、自己資本利益率(ROE)は△32.9%(前期比37.8ポイント減少)でした。自己資本比率は計画比1.7ポイント未達であり、ROEは計画比41.9ポイント未達となりました。ROEの悪化は、主として新型コロナウイルスによる感染症の発症が原因であります。感染症の拡大が収束した後には、両指標を改善できるよう取り組んでまいります。