有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは以下に記載のとおりである。
(固定資産の減損)
当社グループは、電気事業に使用している固定資産については、全体を1つの資産グループ、電気事業以外の事業に使用している固定資産については、事業毎又は地点毎、これら以外のその他の固定資産については、原則として地点毎又は個別資産毎にグルーピングをしており、それぞれの資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益や、経営環境及び資産または資産グループの状況の変化などに基づき、減損が生じている可能性を示す事象があると認められる場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行っている。
減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識している。
減損損失が認識された場合には、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額)まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失としている。
減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フロー及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画における資産グループごとの営業利益を基にして算定する方法や中期経営計画に基づいた成長率を用いる方法などにより見積っている。また、使用価値の算定において用いられる割引率は、原則として、セグメント別に固定資産固有のリスクを反映した市場の平均収益率に基づいて算定している。
このように、減損損失の計上プロセスにおいては多くの見積りや仮定を使用している。これらの見積りや仮定については、現時点で利用可能な情報に基づいた最善な見積りを行っているが、将来の予想し得ない要因などにより将来キャッシュ・フローの下落を引き起こすような見積りの変化などが発生した場合、減損損失を認識することになる可能性がある。
(2) 経営成績
① 事業全体
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢をみると、海外経済の減速に伴う輸出の弱含みに加え、消費税率引き上げや暖冬の影響による個人消費の落ち込みなどもあり、景気は足踏み状態が続いていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界全体の経済活動が縮小した影響で、年度末にかけて厳しい状況となった。当中国地方においても、ほぼ全国と同様の状況で推移した。
このような中で、当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆3,473億円と前連結会計年度に比べ296億円の減収となった。
営業費用は、販売電力量の減少や燃料価格の低下などによる原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、1兆2,991億円と前連結会計年度に比べ582億円の減少となった。
この結果、営業利益は481億円と、前連結会計年度に比べ286億円の増益となった。
支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は398億円となり、前連結会計年度に比べ271億円の増益となった。
渇水準備引当金を取崩し、原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩した結果、法人税などを控除した親会社株主に帰属する当期純利益では900億円となり、前連結会計年度に比べ786億円の増益となった。
(参考)中国電力個別決算
○前提となる主要諸元(中国電力個別)
② 生産、受注及び販売の実績
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、電気事業が事業の大半を占めることから、電気事業の販売実績、需給実績及び資材の状況についてのみ記載している。
a. 販売実績
当連結会計年度の販売電力量は502.1億kWhと、電力小売全面自由化に伴う競争進展の影響などから、前連結会計年度に比べ5.2%の減少となった。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 融通・他社販売には、b.需給実績における融通・他社送電電力量及び融通・他社送電電力量に
相当する料金収入を記載している。
b. 需給実績
発受電電力量は、前連結会計年度に比べ 5.2%の減少となった。
自社の水力発電は、前連結会計年度に比べ出水減により減少した。
自社の火力発電は、販売電力量の減による稼働減などにより減少した。
(注) 1 融通・他社送受電電力量は、提出日時点で把握している電力量を記載している。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 販売電力量の中には自社事業用電力量(前連結会計年度92百万kWh、当連結会計年度102百万kWh)を含ん
でいる。
4 出水率は、1988年度から2017年度までの30か年の年平均に対する比である。
5 四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
c. 資材の状況
主要燃料の受払状況
③ セグメント情報
○ 電気事業
売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆2,129億円と前連結会計年度に比べ355億円の減収となった。
営業費用は、販売電力量の減少や燃料価格の低下などによる原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、1兆1,734億円と前連結会計年度に比べ648億円の減少となった。
この結果、営業利益は395億円となり、前連結会計年度に比べ292億円の増益となった。
○ 総合エネルギー供給事業
売上高(営業収益)は、連結子会社における電力販売の収入が増加したことなどから、825億円と前連結会計年度に比べ86億円の増収となった。
営業費用は、燃料価格低下などによる燃料販売事業費用の減少があったものの、連結子会社における電力販売の費用が増加したことなどから、802億円と前連結会計年度に比べ80億円の増加となった。
この結果、営業利益は23億円となり、前連結会計年度に比べ5億円の増益となった。
○ 情報通信事業
売上高(営業収益)は、回線数増加などにより、電気通信関係事業収入が増加したことなどから、429億円と前連結会計年度に比べ11億円の増収となった。
営業費用は、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、395億円と前連結会計年度並みとなった。
この結果、営業利益は34億円となり、前連結会計年度に比べ11億円の増益となった。
(3) 財政状態
① 事業全体
資産は、島根原子力発電所の安全対策工事や三隅発電所2号機建設工事進捗により固定資産仮勘定が増加したものの、流動資産が減少したことから、前連結会計年度末に比べ37億円の増加にとどまり、3兆2,653億円となった。
負債は、原子力発電工事償却準備引当金の取崩しなどから、前連結会計年度末に比べ843億円減少し、2兆6,186億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ880億円増加し、6,466億円となった。
この結果、自己資本比率は、19.7%となった。
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金と社債の金額及び利子を支払っている負債を
対象としており、無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含んでいる。
② セグメント情報
セグメント別の資産の内訳は以下のとおり。なお、セグメント別の財政状態の分析については、当社グループの資産は電気事業が大半を占めることから、記載を省略する。
○ 電気事業
セグメント資産は、3兆339億円と前連結会計年度末に比べ35億円の増加となった。
○ 総合エネルギー供給事業
セグメント資産は、549億円と前連結会計年度末に比べ30億円の増加となった。
○ 情報通信事業
セグメント資産は、777億円と前連結会計年度末に比べ3億円の増加となった。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
(当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況)
○ 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ480億円増加の1,296億円の収入となった。
○ 投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ33億円増加の1,721億円の支出となった。
この結果、差引フリー・キャッシュ・フローは、424億円のマイナスとなった。
○ 財務活動によるキャッシュ・フロー
14億円の支出となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ440億円減少し、473億円となった。
(連結キャッシュ・フローの推移)
当面、島根原子力発電所の安全対策工事や三隅発電所2号機の新設工事などによりフリー・キャッシュ・フローはマイナスが続くが、新規電源の稼働後には、反転していくものと試算しており、2030年度までの10年間で、キャッシュ・フローの均衡を図る。

(キャッシュ配分の考え方)
大型電源工事期間中はキャッシュアウトの抑制に努める。
その時々の事業環境等を踏まえ、適宜、見直しながら、既存領域や成長領域への投資、株主還元等のバランスを取ってキャッシュ配分を行う。株主還元については安定配当を基本としつつ、財務体質や新ビジョン「エネルギアチェンジ2030」に基づく当社グループの成長の成果を踏まえ、将来的な株主還元のあり方についても検討していく。
② 資本の財源
エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化や更なる成長に向けた新たな事業への挑戦などに必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、主に社債及び長期借入金により調達している。
また、グループ全体の資金を効率的に活用するため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を通じてグループ内資金融通を行っており、グループ全体で必要な資金を当社が一括して調達している。
さらに、中長期的に安定的かつ低利な資金調達を実現するため、取引先金融機関の拡大や、個人向け社債、外貨建社債、転換社債の発行などによる調達手段・調達先の多様化に取り組んでいる。
なお、当社は、一般担保付社債の経過措置に係る認定に基づき、最長2024年度まで一般担保付社債を発行していく。
③ 資金の流動性
月次資金繰りに基づき十分な現預金を保有するとともに、金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越契約などにより、不測の資金需要に備える体制をとっている。
(5) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により電気料金収入が647億円減少したことなどから、前連結会計年度に比べ296億円の減収となった。
連結経常利益は、販売電力量の減少により146億円減益となったものの、燃料費調整制度の期ずれ影響が256億円改善したことに加え、減価償却方法を定額法に見直したことに伴い減価償却費が213億円減少したことなどから、前連結会計年度に比べ271億円増益の398億円となった。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩した結果、大幅な増益となったが、これはあくまで一過性の要因によるものである。
以上のように、主力の電気事業が、3年連続で販売電力量の減少が続いていることに加え、経営の安定化に不可欠な原子力発電所が2012年1月から稼働しておらず、引き続き厳しい状況にあるものと認識している。
(6) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年1月に公表した新たな中国電力グループ経営ビジョンにおいて、2030年度に実現を目指す利益・財務の目標として「連結経常利益600億円以上」及び「連結自己資本比率25%」を設定している。
当連結会計年度においては、連結経常利益398億円、連結自己資本比率19.7%となっている。
利益・財務の目標の実現に向けては、安全確保を大前提に、島根原子力発電所及び三隅発電所2号機などの稼働・運開により競争力のある大型電源を確保することで、エリア内需要の獲得はもとより、小売、卸売及び様々な市場を活用し、販売電力量の減少の反転・拡大を目指すとともに、海外発電事業をはじめ、更なる成長に向けた新たな事業へも挑戦していく。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは以下に記載のとおりである。
(固定資産の減損)
当社グループは、電気事業に使用している固定資産については、全体を1つの資産グループ、電気事業以外の事業に使用している固定資産については、事業毎又は地点毎、これら以外のその他の固定資産については、原則として地点毎又は個別資産毎にグルーピングをしており、それぞれの資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益や、経営環境及び資産または資産グループの状況の変化などに基づき、減損が生じている可能性を示す事象があると認められる場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行っている。
減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識している。
減損損失が認識された場合には、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額)まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失としている。
減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フロー及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画における資産グループごとの営業利益を基にして算定する方法や中期経営計画に基づいた成長率を用いる方法などにより見積っている。また、使用価値の算定において用いられる割引率は、原則として、セグメント別に固定資産固有のリスクを反映した市場の平均収益率に基づいて算定している。
このように、減損損失の計上プロセスにおいては多くの見積りや仮定を使用している。これらの見積りや仮定については、現時点で利用可能な情報に基づいた最善な見積りを行っているが、将来の予想し得ない要因などにより将来キャッシュ・フローの下落を引き起こすような見積りの変化などが発生した場合、減損損失を認識することになる可能性がある。
(2) 経営成績
① 事業全体
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢をみると、海外経済の減速に伴う輸出の弱含みに加え、消費税率引き上げや暖冬の影響による個人消費の落ち込みなどもあり、景気は足踏み状態が続いていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界全体の経済活動が縮小した影響で、年度末にかけて厳しい状況となった。当中国地方においても、ほぼ全国と同様の状況で推移した。
このような中で、当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆3,473億円と前連結会計年度に比べ296億円の減収となった。
営業費用は、販売電力量の減少や燃料価格の低下などによる原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、1兆2,991億円と前連結会計年度に比べ582億円の減少となった。
この結果、営業利益は481億円と、前連結会計年度に比べ286億円の増益となった。
支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は398億円となり、前連結会計年度に比べ271億円の増益となった。
渇水準備引当金を取崩し、原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩した結果、法人税などを控除した親会社株主に帰属する当期純利益では900億円となり、前連結会計年度に比べ786億円の増益となった。
区分 | 前連結会計年度 (億円) | 当連結会計年度 (億円) | 差引 (億円) | 増減率 (%) |
売上高(営業収益) | 13,769 | 13,473 | △296 | △2.2 |
経常利益 | 126 | 398 | 271 | 214.1 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 114 | 900 | 786 | 686.8 |
(参考)営業利益 | 195 | 481 | 286 | 146.6 |
(参考)中国電力個別決算
区分 | 前事業年度 (億円) | 当事業年度 (億円) | 差引 (億円) | 増減率 (%) |
売上高(営業収益) | 12,805 | 12,437 | △367 | △2.9 |
経常利益 | 69 | 351 | 281 | 408.1 |
当期純利益 | 85 | 877 | 791 | 930.5 |
(参考)営業利益 | 112 | 404 | 291 | 258.6 |
○前提となる主要諸元(中国電力個別)
項目 | 前事業年度 | 当事業年度 |
販売電力量 | 529.4億kWh | 502.1億kWh |
為替レート(インターバンク) | 111円/$ | 109円/$ |
原油CIF価格 | 72.2$/b | 67.8$/b |
海外炭CIF価格 | 120.6$/t | 101.1$/t |
② 生産、受注及び販売の実績
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、電気事業が事業の大半を占めることから、電気事業の販売実績、需給実績及び資材の状況についてのみ記載している。
a. 販売実績
当連結会計年度の販売電力量は502.1億kWhと、電力小売全面自由化に伴う競争進展の影響などから、前連結会計年度に比べ5.2%の減少となった。
種別 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比 (%) | |
販売電力量(百万kWh) | 電灯 | 17,488 | 16,813 | 96.1 |
電力 | 35,456 | 33,395 | 94.2 | |
計 | 52,944 | 50,208 | 94.8 | |
融通・他社販売 | 8,105 | 8,411 | 103.8 | |
料金収入(百万円) | 電灯 | 413,015 | 390,882 | 94.6 |
電力 | 568,320 | 525,659 | 92.5 | |
計 | 981,336 | 916,542 | 93.4 | |
融通・他社販売 | 79,419 | 73,513 | 92.6 |
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 融通・他社販売には、b.需給実績における融通・他社送電電力量及び融通・他社送電電力量に
相当する料金収入を記載している。
b. 需給実績
発受電電力量は、前連結会計年度に比べ 5.2%の減少となった。
自社の水力発電は、前連結会計年度に比べ出水減により減少した。
自社の火力発電は、販売電力量の減による稼働減などにより減少した。
種別 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比 (%) | |||
発受電電力量 | 自社 | 水力発電電力量(百万kWh) | 3,299 | 2,943 | 89.2 | |
火力発電電力量(百万kWh) | 32,039 | 29,975 | 93.6 | |||
原子力発電電力量(百万kWh) | - | - | - | |||
新エネルギー等発電電力量 (百万kWh) | 8 | 7 | 96.7 | |||
融通・他社送受電電力量(百万kWh) | 受電電力量 | 31,160 | 30,927 | 99.3 | ||
送電電力量 | △8,105 | △8,411 | 103.8 | |||
揚水発電所の揚水用電力量 (百万kWh) | △858 | △866 | 100.9 | |||
合計 | 57,543 | 54,575 | 94.8 | |||
損失電力量(百万kWh) | △4,598 | △4,367 | 95.0 | |||
販売電力量(百万kWh) | 52,944 | 50,208 | 94.8 | |||
出水率(%) | 92.4 | 81.3 | - |
(注) 1 融通・他社送受電電力量は、提出日時点で把握している電力量を記載している。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 販売電力量の中には自社事業用電力量(前連結会計年度92百万kWh、当連結会計年度102百万kWh)を含ん
でいる。
4 出水率は、1988年度から2017年度までの30か年の年平均に対する比である。
5 四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
c. 資材の状況
主要燃料の受払状況
品名 | 単位 | 2018年 3月末 在庫量 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 2019年 3月末 在庫量 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 2020年 3月末 在庫量 | ||
受入 | 払出 | 受入 | 払出 | |||||
石炭 | t | 630,986 | 6,317,855 | 6,136,872 | 811,969 | 5,998,257 | 6,056,280 | 753,946 |
重油 | kl | 156,442 | 412,187 | 469,756 | 98,873 | 274,074 | 256,905 | 116,042 |
原油 | kl | 23,995 | 29,464 | 53,360 | 99 | - | 99 | - |
LNG | t | 210,910 | 2,238,764 | 2,330,224 | 119,450 | 2,281,277 | 2,242,409 | 158,318 |
③ セグメント情報
○ 電気事業
売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆2,129億円と前連結会計年度に比べ355億円の減収となった。
営業費用は、販売電力量の減少や燃料価格の低下などによる原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、1兆1,734億円と前連結会計年度に比べ648億円の減少となった。
この結果、営業利益は395億円となり、前連結会計年度に比べ292億円の増益となった。
○ 総合エネルギー供給事業
売上高(営業収益)は、連結子会社における電力販売の収入が増加したことなどから、825億円と前連結会計年度に比べ86億円の増収となった。
営業費用は、燃料価格低下などによる燃料販売事業費用の減少があったものの、連結子会社における電力販売の費用が増加したことなどから、802億円と前連結会計年度に比べ80億円の増加となった。
この結果、営業利益は23億円となり、前連結会計年度に比べ5億円の増益となった。
○ 情報通信事業
売上高(営業収益)は、回線数増加などにより、電気通信関係事業収入が増加したことなどから、429億円と前連結会計年度に比べ11億円の増収となった。
営業費用は、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、395億円と前連結会計年度並みとなった。
この結果、営業利益は34億円となり、前連結会計年度に比べ11億円の増益となった。
区分 | 電気事業 (億円) | 総合エネルギー 供給事業 (億円) | 情報通信事業 (億円) | |
売上高 | 前連結会計年度 | 12,485 | 739 | 418 |
当連結会計年度 | 12,129 | 825 | 429 | |
差 引 | △355 | 86 | 11 | |
営業費用 | 前連結会計年度 | 12,382 | 721 | 395 |
当連結会計年度 | 11,734 | 802 | 395 | |
差 引 | △648 | 80 | 0 | |
営業利益 | 前連結会計年度 | 102 | 18 | 23 |
当連結会計年度 | 395 | 23 | 34 | |
差 引 | 292 | 5 | 11 |
(3) 財政状態
① 事業全体
資産は、島根原子力発電所の安全対策工事や三隅発電所2号機建設工事進捗により固定資産仮勘定が増加したものの、流動資産が減少したことから、前連結会計年度末に比べ37億円の増加にとどまり、3兆2,653億円となった。
負債は、原子力発電工事償却準備引当金の取崩しなどから、前連結会計年度末に比べ843億円減少し、2兆6,186億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ880億円増加し、6,466億円となった。
この結果、自己資本比率は、19.7%となった。
区分 | 前連結会計年度末 (億円) | 当連結会計年度末 (億円) | 差引 (億円) | |
資産 | 32,616 | 32,653 | 37 | |
(うち電気事業固定資産) (うち固定資産仮勘定) (うち流動資産) | (13,005) (9,507) (3,375) | (12,986) (10,322) (2,893) | (△18) (815) (△482) | |
負債 | 27,030 | 26,186 | △843 | |
(うち有利子負債) | (21,969) | (21,939) | (△29) | |
純資産 | 5,586 | 6,466 | 880 | |
(自己資本) | (5,555) | (6,433) | (878) |
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金と社債の金額及び利子を支払っている負債を
対象としており、無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含んでいる。
② セグメント情報
セグメント別の資産の内訳は以下のとおり。なお、セグメント別の財政状態の分析については、当社グループの資産は電気事業が大半を占めることから、記載を省略する。
○ 電気事業
セグメント資産は、3兆339億円と前連結会計年度末に比べ35億円の増加となった。
○ 総合エネルギー供給事業
セグメント資産は、549億円と前連結会計年度末に比べ30億円の増加となった。
○ 情報通信事業
セグメント資産は、777億円と前連結会計年度末に比べ3億円の増加となった。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
(当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況)
○ 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ480億円増加の1,296億円の収入となった。
○ 投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ33億円増加の1,721億円の支出となった。
この結果、差引フリー・キャッシュ・フローは、424億円のマイナスとなった。
○ 財務活動によるキャッシュ・フロー
14億円の支出となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ440億円減少し、473億円となった。
区分 | 前連結会計年度 (億円) | 当連結会計年度 (億円) | 差引 (億円) | |
○営業活動によるキャッシュ・フロー | 816 | 1,296 | 480 | |
○投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,687 | △1,721 | △33 | |
差引フリー・キャッシュ・フロー | △871 | △424 | 446 | |
○財務活動によるキャッシュ・フロー | 975 | △14 | △989 | |
うち社債・借入金による純増減 | 1,165 | 176 | △988 | |
うち配当金の支払額 | △172 | △172 | 0 | |
現金及び現金同等物(増減額) | 103 | △440 | ||
現金及び現金同等物(期末残高) | 913 | 473 | △440 |
(連結キャッシュ・フローの推移)
当面、島根原子力発電所の安全対策工事や三隅発電所2号機の新設工事などによりフリー・キャッシュ・フローはマイナスが続くが、新規電源の稼働後には、反転していくものと試算しており、2030年度までの10年間で、キャッシュ・フローの均衡を図る。

(キャッシュ配分の考え方)
大型電源工事期間中はキャッシュアウトの抑制に努める。
その時々の事業環境等を踏まえ、適宜、見直しながら、既存領域や成長領域への投資、株主還元等のバランスを取ってキャッシュ配分を行う。株主還元については安定配当を基本としつつ、財務体質や新ビジョン「エネルギアチェンジ2030」に基づく当社グループの成長の成果を踏まえ、将来的な株主還元のあり方についても検討していく。
② 資本の財源
エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化や更なる成長に向けた新たな事業への挑戦などに必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、主に社債及び長期借入金により調達している。
また、グループ全体の資金を効率的に活用するため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を通じてグループ内資金融通を行っており、グループ全体で必要な資金を当社が一括して調達している。
さらに、中長期的に安定的かつ低利な資金調達を実現するため、取引先金融機関の拡大や、個人向け社債、外貨建社債、転換社債の発行などによる調達手段・調達先の多様化に取り組んでいる。
なお、当社は、一般担保付社債の経過措置に係る認定に基づき、最長2024年度まで一般担保付社債を発行していく。
③ 資金の流動性
月次資金繰りに基づき十分な現預金を保有するとともに、金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越契約などにより、不測の資金需要に備える体制をとっている。
(5) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の売上高(営業収益)は、電力小売全面自由化に伴う競争進展による販売電力量の減少により電気料金収入が647億円減少したことなどから、前連結会計年度に比べ296億円の減収となった。
連結経常利益は、販売電力量の減少により146億円減益となったものの、燃料費調整制度の期ずれ影響が256億円改善したことに加え、減価償却方法を定額法に見直したことに伴い減価償却費が213億円減少したことなどから、前連結会計年度に比べ271億円増益の398億円となった。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩した結果、大幅な増益となったが、これはあくまで一過性の要因によるものである。
以上のように、主力の電気事業が、3年連続で販売電力量の減少が続いていることに加え、経営の安定化に不可欠な原子力発電所が2012年1月から稼働しておらず、引き続き厳しい状況にあるものと認識している。
(6) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年1月に公表した新たな中国電力グループ経営ビジョンにおいて、2030年度に実現を目指す利益・財務の目標として「連結経常利益600億円以上」及び「連結自己資本比率25%」を設定している。
当連結会計年度においては、連結経常利益398億円、連結自己資本比率19.7%となっている。
利益・財務の目標の実現に向けては、安全確保を大前提に、島根原子力発電所及び三隅発電所2号機などの稼働・運開により競争力のある大型電源を確保することで、エリア内需要の獲得はもとより、小売、卸売及び様々な市場を活用し、販売電力量の減少の反転・拡大を目指すとともに、海外発電事業をはじめ、更なる成長に向けた新たな事業へも挑戦していく。
区分 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
連結経常利益 | 307億円 | 126億円 | 398億円 |
連結自己資本比率 | 18.2% | 17.0% | 19.7% |