有価証券報告書-第196期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
124項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営成績の分析
① 概要
当期におけるわが国経済は、円安・株高を背景に、個人消費や企業の設備投資が上向き始め、また、米国経済の回復を受けて輸出にも持ち直しの動きが見られるなど、確かな回復を遂げることができた。
こうした経営環境において、当社グループは、「価値創造の経営」を経営の基本理念として積極的に事業活動を展開してきた。
当期の売上高は、当社で原料費調整制度に基づきガスの販売単価が高めに推移したことなどにより、前期に比べて1,325億円増(+9.6%)の1兆5,125億円となった。経常利益は当社におけるガス事業及び電力事業での増益等により、前期に比べて159億円増(+17.7%)の1,060億円となった。また、当期純利益は、米国上流事業での減損損失の計上等により、前期に比べて107億円減(△20.5%)の417億円となった。
② 売上高
売上高は前期に比べ、1,325億円増(+9.6%)の1兆5,125億円となった。
当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占めるガス事業セグメントの売上高は、原料費調整制度に基づきガスの販売単価が高めに推移したことなどにより、前期に比べて809億円増(+7.8%)の1兆1,195億円となった。
ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、気温・水温が前年に比べて高く推移し、給湯・暖房需要が減少したことなどにより、前期に比べて3.3%減の22億8百万m3となった。業務用ガス販売量は、お客さま先での省エネルギー推進等があったものの、工業用における需要開発等により、前期に比べて1.7%増の58億7千7百万m3となった。他ガス事業者向けのガス販売量は、ほぼ前期並みの4億6千9百万m3となった。これらの結果、ガス販売量は、前期に比べて0.2%増の85億5千4百万m3となった。
ガス機器販売の状況を見ると、家庭用のガス機器については、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用ガスコージェネレーションシステム「エネファーム」・「エコウィル」や、これらと太陽光発電システムを組み合わせた「ダブル発電」等の商品の開発及び販売拡大に努めた。
平成25年8月、家庭用ガスコージェネレーションシステムの累計販売台数が10万台を突破した。また、価格の低減とお客さまの利便性向上を実現した「エネファーム」(固体高分子形燃料電池)及び「エネファームtype S」(固体酸化物形燃料電池)の新商品を開発した(いずれも平成26年4月発売)。
業務用のガス機器については、高効率で環境に優しいコージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉・バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めた。
平成25年4月、停電時にも運転ができる機能を付加したガスエンジンヒートポンプエアコン「GHPハイパワープラス」を発売した。
これらの機器に加えて、これまで蓄積してきたエンジニアリング力を活用し、お客さまの業種や用途に応じて、技術開発、メンテナンス、エネルギーマネジメント、ファイナンス等を組み合わせた高付加価値のソリューションの提供に努めた。
LPG・電力・その他エネルギー事業セグメントの売上高は、電力事業の増収等により、前期に比べて19.7%増の2,579億円となった。
電力事業については、泉北天然ガス発電所等の発電設備が引き続き順調に稼働した。
平成26年3月、中山名古屋共同発電㈱は、現在操業中の名古屋発電所の隣接地において、バイオマス混焼石炭火力発電所(発電容量11万kW)を建設することを決定した。
海外エネルギー事業セグメントの売上高は、前期に比べて23.9%増の133億円となった。
当社がフリーポート社(米国)の子会社との間で天然ガス液化加工契約を締結し、LNGの調達を予定している米国フリーポートLNGプロジェクトについて、平成25年5月、米国エネルギー省から自由貿易協定(FTA)未締結国向けの輸出許可が発行された。また、平成26年2月、同プロジェクトにおける液化事業会社に出資し、参画することを決定した。
平成25年5月、パプアニューギニアにおけるコンデンセート(ナフサやガソリンに性状が近い軽質原油の一種)及びガス開発プロジェクトに参画するため、ホライゾン社(オーストラリア)の子会社との間で、権益の一部を取得することに合意した。
平成26年1月、タイの産業用ガス市場において、当社が国内ガス事業で培った技術・ノウハウを活用し、エネルギーサービス事業を開始した。
環境・非エネルギー事業セグメントの売上高は、前期に比べて7.6%増の1,996億円となった。
環境事業については、カナダのオンタリオ州における大規模太陽光発電の全設備(合計約10万kW)が商業運転を開始した。
また、国内外の風力発電設備が引き続き順調に稼働した。
非エネルギー事業については、平成25年10月、英国ロンドン南東部地域で水道事業を行う会社等を子会社とする持株会社の株式50%を、住友商事株式会社の子会社から取得した。
また、材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、平成26年1月、空気清浄や浄水等に用いられる活性炭の製造・販売を行うスウェーデンのJacobi Carbons ABの全株式を取得し、同社とその子会社19社が当社子会社になった。
③ 売上原価、供給販売費及び一般管理費
売上原価は前期に比べて1,276億円増(+13.5%)の1兆713億円となった。供給販売費及び一般管理費は前期に比べて97億円減(△2.8%)の3,418億円となった。
④ 営業利益
ガス事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて107億円増(+45.9%)の340億円となった。
LPG・電力・その他エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて53億円増(+14.1%)の431億円となった。
海外エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて28億円減の△7億円となった。
環境・非エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて14億円増(+7.5%)の201億円となった。
以上の結果、営業利益は前期に比べ、146億円増(+17.2%)の993億円となった。
⑤ 営業外損益、経常利益
営業外収益は、前期に比べて1億円減の175億円となった。これは受取配当金が減少したことなどによるものである。
営業外費用は、前期に比べて14億円減の108億円となった。これは雑支出が減少したことなどによるものである。
この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて159億円増(+17.7%)の1,060億円となった。
⑥ 特別損益
特別利益は、前期に比べて59億円増の59億円となった。これは当期に投資有価証券売却益を計上したことによるものである。
特別損失は、前期に比べて246億円増の301億円となった。これは当期に米国シェールガス・オイル開発プロジェクトにおける事業用資産の減損損失(注) を計上したことなどによるものである。
(注)「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 e 連結損益計算書関係」の「※4 減損損失」を参照。
⑦ 当期純利益
以上の結果、当期純利益は、前期に比べて107億円減(△20.5%)の417億円となった。連単倍率は、前期に比べて0.18ポイント上昇し、1.67となった。1株当たり当期純利益は、前期の25.20円に対し、当期は20.04円となった。
(注) 上記のセグメント別売上高、営業利益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。
(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて246億円増の1,542億円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益818億円が前期に比べて27億円減少したものの、たな卸資産の減少額28億円が前期に比べて262億円減少したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて587億円支出増の1,755億円の支出となった。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出398億円が前期に比べて374億円増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて320億円収入増の41億円の収入となった。これは、長期借入れによる収入693億円が前期に比べて488億円増加したことなどによるものである。
以上の活動の結果に、現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた当期のキャッシュ・フローは190億円のマイナスとなり、前期に比べて61億円の支出の増加となった。
なお、当期末の現金及び現金同等物の残高は前期に比べて190億円減の903億円となった。
② 資産・負債及び純資産
当期末の総資産は1兆6,683億円となり、前期に比べて1,014億円増加した。これは、固定資産が供給設備及び無形固定資産の増加等により前期に比べて908億円増加したことなどによるものである。
当期末の負債は8,397億円となり、前期に比べて471億円増加した。これは、長期借入金が増加したことなどによるものである。
当期末の純資産は8,285億円となり、前期に比べて542億円増加した。これはその他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により前期に比べて286億円増加したことなどによるものである。
以上の結果、当期末の自己資本比率は47.9%となり、前期に比べて0.2ポイント上昇した。
③ 財務政策
財務分野の活動については、当社グループの事業戦略を実現するために、グループ全体の財務体質の維持・向上、必要資金の最適な調達、財務上のリスクへの適切な対応に取り組んでいる。平成26年3月に平成26年度から平成28年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「Catalyze Our Dreams」を策定し、新たに経営目標を定めた。財務の健全性を維持する指標としては、グループの[有利子負債/自己資本]の比率を0.7程度、自己資本比率を50%以上に維持することを目安としている。
これまでの取組みとして、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)などのグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率の向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクによる収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメントへの取組みなどに注力し、財務体質の強化を図ってきた。
当期においては、有利子負債は前期に比べて333億円増加する一方、利益剰余金の増加により自己資本は増加し、[有利子負債/自己資本]の比率は0.7、自己資本比率は47.9%となっており、財務体質の健全性を維持している。
今後も当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力と健全な財務状況を有することにより、将来にわたり企業成長に必要な資金調達が可能であると考えている。