有価証券報告書-第39期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 10:14
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【項目】
149項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、報告セグメントをデジタルエンタテインメント事業、アミューズメント事業、出版事業及びライツ・プロパティ等事業と定め、各々のセグメントにおいて、事業基盤の強化と収益力の向上に努めております。
当連結会計年度の業績は、売上高は271,048百万円(前期比8.2%増)、営業利益は24,531百万円(前期比35.7%減)、経常利益は28,312百万円(前期比21.6%減)となりました。
なお、当社完全子会社である株式会社Luminous Productionsについて、事業方針の抜本的見直しを行う決定をしました。これにより、主に同事業に係るコンテンツ制作勘定の処分等3,638百万円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は18,463百万円(前期比28.5%減)となりました。
当連結会計年度の報告セグメント別の状況は次のとおりであります。
a .デジタルエンタテインメント事業
ゲームを中心とするデジタルエンタテインメント・コンテンツの企画、開発、販売及び運営を行っております。デジタルエンタテインメント・コンテンツは、顧客のライフスタイルにあわせて、家庭用ゲーム機 (携帯ゲーム機含む)、PC、スマートデバイス等、多様な利用環境に対応しています。
当事業における当連結会計年度の売上高は204,590百万円(前期比6.9%増)となり、営業利益は29,062百万円(前期比33.1%減)となりました。
家庭用ゲーム機向けタイトルにおいては、「KINGDOM HEARTS III」、「SHADOW OF THE TOMB RAIDER」、「JUST CAUSE 4」等の新作を発売したことから、前期比で増収となりました。一方で、新作タイトル投入に伴う各種費用の増加により、前期比で減益となりました。
スマートデバイス・PCブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツにおいては、前期及び上期にサービスを開始したタイトルの多くが当社の想定を下回り、既存有力タイトルの売上高に上乗せをするに至りませんでした。また、ライセンス収入の減少によって、前期比で減収減益となりました。
多人数参加型オンラインロールプレイングゲームにおいては、前期に「ファイナルファンタジーXIV」と「ドラゴンクエストX」の拡張パッケージの発売があった反動により、前期比で減収減益となりましたが、当連結会計年度の継続課金収入は好調を維持しております。
b .アミューズメント事業
アミューズメント施設の運営、並びにアミューズメント施設向けの業務用ゲーム機器・関連商製品の企画、開発及び販売を行っております。
当事業における当連結会計年度の売上高は46,243百万円(前期比10.8%増)となり、営業利益は1,958百万円(前期比18.5%減)となりました。
店舗運営が堅調に推移したことに加えて、アミューズメント機器の新作を発売したことにより、前期比で増収となりました。一方で、店舗での新機種導入に伴う償却費の増加等により、前期比で減益となりました。
c .出版事業
コミック雑誌、コミック単行本、ゲーム関連書籍等の出版、許諾等を行っております。
当事業における当連結会計年度の売上高は14,031百万円(前期比27.0%増)となり、営業利益は3,970百万円(前期比60.7%増)となりました。
コミック単行本は紙媒体での販売が前期と同じ水準だったものの、電子書籍形式での販売が大幅に増加いたしました。さらに、マンガアプリの「マンガUP!」が好調だったことから、前期比で増収増益となりました。
d .ライツ・プロパティ等事業
主として当社グループのコンテンツに関する二次的著作物の企画・制作・販売及びライセンス許諾を行っております。
当事業における当連結会計年度の売上高は7,397百万円(前期比2.3%減)となり、営業利益は932百万円(前期比50.6%減)となりました。
前期において有力コンテンツの新規キャラクターグッズ等の投入があった反動や、新規事業への展開を目的とした先行投資等によって、前期比で減収減益となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a .資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、6.4%増加し、229,888百万円となりました。これは主として受取手形及び売掛金が10,999百万円及びコンテンツ制作勘定が6,543百万円増加したこと、現金及び預金が7,316百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、10.0%増加し、47,968百万円となりました。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、7.0%増加し、277,856百万円となりました。
b .負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、12.0%増加し、65,906百万円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、16.1%増加し、8,719百万円となりました。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、12.5%増加し、74,626百万円となりました。
c .純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、5.1%増加し、203,230百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益18,463百万円の計上、配当金の支払7,741百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ7,173百万円減少して、127,181百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
a .営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は12,135百万円(前期比60.4%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益23,028百万円、仕入債務7,385百万円の増加、減価償却費6,801百万円、法人税等の支払額12,683百万円及び売上債権10,649百万円の増加等によるものであり、全体としては資金が増加しました。
b .投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は12,875百万円(前期比57.2%増)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出8,450百万円によるものであります。
c .財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は7,656百万円(前期比49.9%減)となりました。
これは主として、配当金の支払額7,735百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a .生産実績
当社グループの生産は同種の商製品であっても一様でないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
b .仕入実績
仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前期比(%)
デジタルエンタテインメント事業(百万円)18,73535.3
アミューズメント事業(百万円)14,23118.3
出版事業(百万円)2,1130.9
ライツ・プロパティ等事業(百万円)3,141△6.1
合計(百万円)38,22222.1

(注)上記金額には消費税等は含まれておりません。
c .受注実績
当社グループは受注による生産は行っておりません。
d .販売実績
販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前期比(%)
デジタルエンタテインメント事業(百万円)204,5726.9
アミューズメント事業(百万円)46,06610.4
出版事業(百万円)14,00027.3
ライツ・プロパティ等事業(百万円)6,4093.0
合計(百万円)271,0488.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a .収益の認識基準
当社グループの売上高は、販売基準に基づき、通常、商製品が出荷された時点又はサービスが提供された時点において、ロイヤリティ収入についてはライセンシーからの計算報告書に基づいて、各々計上されております。ある特定のケースにおける売上計上基準の適用は、取引先との契約書の内容及び取扱商製品の種類に応じて決定しております。
b .貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来、取引先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c .コンテンツ制作勘定
当社グループは、コンテンツ制作勘定の推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額が簿価を下回っていると判断した場合には評価減を行い、たな卸資産評価損を計上しております。また、実際の将来需要又は市場状況が経営者の見積りより悪化した場合は追加のたな卸資産評価損の計上が必要となる可能性があります。
d .投資の減損
当社グループは、販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しております。これらには株式市場の価格変動リスクを負っている公開会社の株式及び株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれております。これら株式の連結会計年度末における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には下落した価額の減損処理を行い、30%から50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また、将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合は追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。
e .投資事業有限責任組合の運用損
当社グループは、保有するコンテンツをベンチャーの有する新技術と結合させ新しい事業を創出することを目的として、投資事業有限責任組合に出資しております。これについては、組合契約に規定される決算報告日に応じて入手可能な決算書を基礎として持分相当額を純額で取り込む方法により運用損益を計上しております。当該出資が対象とする未公開企業の事業が計画通りに進捗しない場合及び市場環境の変化等により期待した成果を上げることができず業績が悪化した場合には、追加の運用損の計上が必要となる可能性があります。
f .繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。将来の課税所得の見通しを含め慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整により費用が減少します。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況」に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
為替変動の影響
当連結会計年度において主に円と米ドル及び英ポンドによる為替レートの変動の影響により3,459百万円の為替差益を計上しております。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものには、デジタルエンタテインメント事業及びアミューズメント事業におけるソフトウェア制作に係る人件費及び外注開発費のほか、家庭用ゲームソフトのディスク製造費、アミューズメント事業のプライズ商材、出版事業の印刷物、ライツ・プロパティ等事業のグッズ等の商材、TVコマーシャル等の広告宣伝費があります。
当社グループでは、運転資金及び設備資金は主として内部資金及び借入により資金調達をしております。このうち、借入による資金調達は短期の運転資金に使用しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債は9,032百万円であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は127,181百万円となっており、当社グループの事業を推進していく上で充分な流動性を確保しております。
・経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標は、売上高3,000~4,000億円、営業利益400~500億円であります。令和3年3月期以降に安定的に達成できる事業構造の確立を当面の目標としております。
当連結会計年度の経営成績は売上高2,710億円、営業利益245億円となっており、令和3年3月期以降における目標の達成に向けた取り組みを強化しております。
目標達成に向けて、安定的な収益基盤の確立と新規IP向けの継続投資に取り組んでまいります。
(億円)
指標第36期第37期第38期第39期第41期以降
平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期平成31年3月期令和3年3月期以降
売上高2,1412,5682,5032,7103,000~4,000
営業利益260312381245400~500