有価証券報告書-第61期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

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2019/09/12 16:43
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(1)経営成績等の状況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当社は、社会とともに目指す未来像・方向性として、ソート(Thought)「Innovating for a Wise Future」を掲げております。このソートには、「工学知」をベースにした有益な技術を社会に普及させることで、より賢慮にみちた未来社会を創出していきたいという思いが込められております。その実現に向けて、Professional Design & Engineering Firmとして、工学知に裏付けられた高付加価値なサービスを提供しております。
事業活動においては、収益の拡大と利益の確保、及び得られた利益を再投資に回すサイクルにより、企業として持続的に成長し続けることを重視しております。収益の拡大に関しては、既存事業において経験曲線効果を重視し、工学知の積み重ねによる着実な付加価値向上を行っております。利益の確保に関しては、不採算プロジェクトを抑制するための組織的な品質確保、高付加価値サービスに見合う見積り価格の提示等に取り組んでおります。また、得られた利益を再投資に回し、社内新規事業開発テーマへの投資や、国内外を問わず最先端の技術を持つパートナーとの協業により、新しい事業の開発に努めております。さらに、人材の育成や働く環境の向上にも積極的に投資をしております。
当社はこれまで、様々な事業投資を行ってまいりました。特に社外パートナーへの投資に際しては、投資により当社の特徴でもある技術コンサルティングの価値向上につながること、及び投資先と当社の間で企業文化に親和性があることを重視しております。前者に関しては、投資先の事業と当社の持つ様々な技術との連携や知財の開発が重要と考えております。また後者に関しては、当社と共通する企業風土を持ち、協業を目指して対等で良好な関係を長期的に維持できることが重要と考えております。これらの方針に基づき、東京大学発ベンチャーとして2004年に設立されたプロメテック・ソフトウェア株式会社を重要なパートナーと位置付け、同社の粒子法シミュレーション技術を幅広い分野に適用し、流体・粉体解析ソフトウェアの販売及びコンサルティング業務を展開しております。また、近年は特に海外のパートナーとの新規事業開発も積極的に行っております。2013年にスタートした米国SendGrid, Inc.のクラウドベースメール配信サービスSendGridは、サブスクリプション型のビジネスモデルを採用し、順調に成長を続けています。また、2016年にスタートした米国LockState,Inc.の入退室管理クラウドサービスRemoteLOCKも、IoT時代における建物や住まいの新たな利用形態として事業基盤が整いつつあります。さらに、大学発の屋内デジタル化技術を事業化した欧州のスタートアップ企業NavVis GmbHへの出資も実施いたしました。その他にも、先端的な技術の社会実装を目指し、東北大学、東京大学、情報通信研究機構等、大学・研究機関との共同研究や連携活動を通じた事業開発を行っております。災害時の通信手段を提供する「スマホdeリレー」、昨今頻発している大雨に伴う河川の氾濫を予測して防災につなげる「RiverCast」、社会シミュレーションをクラウド上で実現し、社会課題に様々な洞察を提供する「CloudMAS」等、社会的な課題の解決に向けたソリューションの開発を推進しております。
また、当社は顧客に提供するサービスの品質向上及び確保を重視しております。過去に起こった構造設計瑕疵問題や大型プロジェクトの不採算化等を踏まえ、システム開発分野と構造設計・解析コンサルティング業務分野のそれぞれで専門的な品質保証センターを設置し、組織的な品質管理体制を構築・運用しております。各事業分野において、見積り段階からのリスク精査による選別受注、プロジェクトマネジメントの向上による大型不採算プロジェクトの抑制やサービス品質の確保に取り組んでおります。これらを通じて、品質に妥協しない組織風土の醸成に継続して取り組んでおります。
そして、当社のビジネスを推進する上で最も重要な人材に関しても、海外を含めた積極的な採用活動等、様々な取り組みを推進しております。特にアジア圏を中心とした採用活動を強化しており、当事業年度末(2019年6月30日時点)において外国籍所員は44名と全所員の約7%を占めております。このことは、異なる文化や制度の経験を持つ人材の参画を通じて、当社における多様な価値観の融合による組織の活性化や新たな事業展開につながっています。今後もインターン制度等を活用しながら、幅広い学問分野、国籍からの採用活動を継続してまいります。また、人材の育成にも引き続き積極的に取り組んでおります。社内人事異動や社外研修制度のみならず、米国スタンフォード大学や中央省庁、公的研究機関への出向など、社内外を含めた様々な活躍の場所を提供することで多様な成長機会の提供を行っております。さらに、働く場に関しても、時代に合わせた制度設計を進めております。当社は創業時から週休2日制を取り入れるなど、多様な働き方に関して先進的な取り組みを行ってまいりました。しかしながら、昨今の社会状況の変化も考慮し、より柔軟な働き方を実現するために、前事業年度より定年制の廃止や限定社員制度(勤務地限定、時間限定)を導入しております。その他にも、オフィス環境や福利厚生面の拡充を通じて、優秀な人材がより魅力的な環境で活躍できるような場の整備を行っております。
以上の取り組みの結果、当事業年度の当社の業績は、前期からの繰越受注残及び期中の受注の積み上げにより売上高は119億66百万円(前事業年度は115億0百万円)となりました。また、提供するサービスの価値に見合った見積り価格の提示や大型不採算案件の抑制及び既存プロダクツの着実な販売と新規プロダクツ販売の伸展等により、営業利益は12億41百万円(前事業年度は11億0百万円)、経常利益は12億46百万円(前事業年度は10億77百万円)となり、いずれも公表済みの業績予想値を超える結果となりました。なお、第2四半期会計期間において特別損失を計上したことにより、当期純利益は6億82百万円(前事業年度は8億60百万円)となりました。
受注残高につきましては、前事業年度末を上回る62億77百万円(前事業年度末は54億20百万円)を確保しております。
当事業年度の報告セグメント別の状況は、次のとおりであります。
[エンジニアリングコンサルティング]
当事業年度においては、構造設計コンサルティング業務、住宅メーカ向けシステム開発業務、及び建設・製造業向けシステム開発業務が堅調に推移しました。これらの高付加価値なサービス提供の結果、エンジニアリングコンサルティング事業における当事業年度の売上高は90億46百万円(前事業年度は89億16百万円)、売上総利益は53億74百万円(前事業年度は48億46百万円)となりました。また、受注残高につきましては、51億95百万円(前事業年度末は43億57百万円)となっております。
[プロダクツサービス]
当事業年度においては、設計者向けCAEソフト及び製造業向け営業支援ソリューションの販売が堅調に推移しました。また、米国SendGrid, Inc.のクラウドベースメール配信サービスが順調に販売を拡大し、IoT/IoE時代に向けた入退室管理クラウドサービスの販売も拡大しました。この結果、プロダクツサービス事業における当事業年度の売上高は29億19百万円(前事業年度は25億83百万円)、売上総利益は10億83百万円(前事業年度は8億20百万円)となりました。また、受注残高につきましては、10億82百万円(前事業年度末は10億63百万円)となっております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて2億91百万円増加し、当事業年度末には13億51百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は16億33百万円(前事業年度比10億34百万円収入増)となりました。
これは、主に税引前当期純利益10億3百万円、減価償却費2億69百万円及び売上債権の減少額2億67百万円を反映したものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は14億53百万円(前事業年度比9億22百万円支出増)となりました。
これは、主に投資有価証券の取得による支出12億66百万円、無形固定資産の取得による支出1億4百万円、有形固定資産の取得による支出60百万円を反映したものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果得られた資金は1億11百万円(前事業年度比4億69百万円収入減)となりました。
これは主に自己株式の処分による収入5億65百万円、社債の発行による収入4億90百万円、長期借入れによる収入7億50百万円、長期借入金の返済による支出11億11百万円及び配当金の支払額5億6百万円を反映したものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
エンジニアリングコンサルティング3,831,44194.3
プロダクツサービス1,836,665104.2
合計5,668,10697.3

(注)1.金額は総製造費用より他勘定振替高を控除した金額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高受注残高
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)前年同期比(%)
エンジニアリングコンサルティング9,884,236109.35,195,091119.2
プロダクツサービス2,939,072110.71,082,690101.8
合計12,823,308109.66,277,781115.8

(注)1.金額は販売価額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
エンジニアリングコンサルティング9,046,269101.5
プロダクツサービス2,919,946113.0
合計11,966,216104.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて判断しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当事業年度の当社の業績は、前期からの繰越受注残及び期中の受注の積み上げにより売上高119億66百万円(前事業年度は115億0百万円)となりました。また、提供するサービスの価値に見合った見積り価格の提示や大型不採算案件の抑制及び既存プロダクツの着実な販売と新規プロダクツ販売の伸展等により、営業利益12億41百万円(前事業年度は11億0百万円)、経常利益は12億46百万円(前事業年度は10億77百万円)となり、いずれも公表済みの業績予想値を超える結果となりました。なお、第2四半期会計期間において特別損失を計上したことにより、当期純利益は6億82百万円(前事業年度は8億60百万円)となりました。当事業年度末における受注残高は、前事業年度末を上回る62億77百万円(前事業年度末は54億20百万円)を確保しております。
当社の業績は、現状においては堅調に推移しているものの、既存事業の成長は安定的ではあるものの大幅な伸びは期待できない状況にあると認識しております。当社が新たな価値を持続的に生み出し、ソート(Thought)「Innovating for a Wise Future」に基づき更なる成長を目指すうえでも今後も積極的な事業投資が必要不可欠であると考えております。
当社はセグメントをエンジニアリングコンサルティング、プロダクツサービスの2つに区分しております。エンジニアリングコンサルティング売上高は90億46百万円(前事業年度は89億16百万円)、プロダクツサービス売上高は29億19百万円(前事業年度は25億83百万円)となりました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて5.3%減少し、41億95百万円となりました。これは、主に売掛金が2億48百万円、その他流動資産が5億29百万円減少した一方、現金及び預金が2億91百万円、仕掛品が1億59百万円増加したことによります。
固定資産は、前事業年度末に比べて12.4%増加し、88億3百万円となりました。これは、主に投資有価証券が13億34百万円増加した一方、関係会社株式が3億43百万円減少したことによります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べて6.0%増加し、129億98百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて1.8%増加し、36億36百万円となりました。これは、主に未払金が3億73百万円減少した一方、1年内返済予定の長期借入金が1億45百万円、1年内償還予定の社債が1億円増加したことによります。
固定負債は、前事業年度末に比べて1.5%減少し、39億35百万円となりました。これは、主に長期借入金が5億6百万円減少する一方、社債が3億50百万円増加したことによります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて0.1%増加し、75億72百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べて15.7%増加し、54億26百万円となりました。これは、自己株式が13億25百万円、資本剰余金が7億37百万円減少した一方、繰越利益剰余金が1億75百万円増加したことによります。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2017年6月期2018年6月期2019年6月期
自己資本比率(%)34.938.341.7
時価ベースの自己資本比率(%)90.185.185.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.64.01.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)41.221.892.8

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社は、設備投資計画・研究開発計画に基づいて、必要な資金を社債発行及び銀行借入により調達しております。
社債及び借入金は、設備投資・研究開発投資のための資金と短期的な運転資金の調達を目的としたものであります。短期借入金は、年次・月次の資金計画により調達しておりますが、1年以内の短期間で返済しております。また、長期借入金は固定金利で調達し、金利変動リスクに備えております。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は13億51百万円であり、将来の資金需要に対し適正な水準であると認識しております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中長期的な成長を実現していく上で、当社が重視する経営指標は、営業利益に人件費と福利厚生費を加えた総付加価値です。当社の付加価値の源泉が人材であることから、今後もより良い人材を確保し育成していくことこそが、当社を持続的に発展させていくために必要だと考えております。その方針の下、役員の業績連動型報酬制度については総付加価値を基準に設計を行っております。
なお、当事業年度における業績連動報酬に係る指標の目標は72億円で、実績は74億26百万円であります。

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