有価証券報告書-第24期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く厳しい状況で推移しました。
2021年3月に緊急事態宣言が解除された後も、新型コロナウイルス感染症の患者数が再び増加し、経済活動の回復に向けた動きは鈍く、依然として先行き不透明な状況が続いております。
一方、各国の中央銀行がリーマン・ショック時期をも上回る金融緩和を実施したことなどで、今年度末(2021年3月31日)の日経平均株価は、前年度末比54.2%上昇の29,178円となりました。
当社グループの事業に関連性の高い投資信託市場においては、ETFを除く公募追加型株式投資信託の純資金流入額が、前連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)の3,882億円から当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)は3兆1,179億円と2兆7,298億円(8倍)の増加となりました。
このような経営環境下で、当社グループのアセットマネジメント事業は、2019年12月に子会社としたSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社及びSBI地方創生アセットマネジメント株式会社の私募の投資信託の信託報酬が通期に渡って加わり(前連結会計年度は3ケ月、当連結会計年度は12ケ月)、さらに2社の運用する投資信託を中心に当社グループの運用する投資信託の純資産残高が前連結会計年度末の1兆7,304億円から2兆8,691億円に、1兆1,387億円(65.8%)の大幅拡大となり、アセットマネジメント事業の売上高は、前連結会計年度の3,880百万円から1,115百万円(28.7%)の増収となる4,995百万円となりました。
ファイナンシャル・サービス事業は、タブレットアプリの提供台数が増加し、ファンドデータの売上が増加したものの、紙媒体の株式新聞の発行部数やファンドレポートの受注が減少して、データ・ソリューションの売上高は、前連結会計年度と同水準となりました。
一方、新型コロナウイルス感染症への対応として、密閉・密集・密接の3密を避けることを求められ、オンラインでのセミナーは好調であったものの、対面でのセミナーの開催規模、回数が大幅に減少したため、セミナーと広告の売上が減少し、メディア・ソリューションの売上高は、前連結会計年度比△38.7%の減収となりました。
その結果、ファイナンシャル・サービス事業の売上高は、前連結会計年度の2,933百万円から444百万円(△15.1%)の減収となる2,489百万円となりました。
上記の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度の6,814百万円から671百万円(9.8%)の増収となる7,485百万円となりました。
また、売上原価は、前連結会計年度の3,299百万円から257百万円(7.8%)増加し3,556百万円となり、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の1,973百万円から190百万円(9.6%)増加し2,163百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の1,541百万円から223百万円(14.5%)の増益となる1,765百万円となりました。
営業外損益は、前連結会計年度と比べ、純額で73百万円増加し、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の1,858百万円から296百万円(16.0%)の増益となる2,155百万円となりました。
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,230百万円から87百万円(7.1%)の増益となる1,318百万円となりました。
(連結業績の概要)
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増率 | ||||
金額(千円) | 利益率(%) | 金額(千円) | 利益率(%) | 金額(千円) | 比率(%) | |
売上高 | 6,814,629 | 7,485,655 | 671,026 | 9.8 | ||
営業利益 | 1,541,821 | 22.6 | 1,765,406 | 23.6 | 223,585 | 14.5 |
経常利益 | 1,858,977 | 27.3 | 2,155,698 | 28.8 | 296,720 | 16.0 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,230,632 | 18.1 | 1,318,528 | 17.6 | 87,895 | 7.1 |
連結売上高は9期連続の増収、2期連続で過去最高売上を更新しました。
営業利益は過去最高益を記録しました。
経常利益は12期連続の増益、10期連続の最高益を記録しました。
親会社株主の帰属する当期純利益は12期連続の増益、8期連続の過去最高益を記録しました。
セグメント別、サービス別の販売実績
セグメント別売上高 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減率 (%) | |||
サービス別売上高 | 金額(千円) | 構成比(%) | 金額(千円) | 構成比(%) | ||
ファイナンシャル・サービス事業 | ||||||
データ・ソリューション | 1,867,421 | 27.4 | 1,835,871 | 24.5 | △1.7 | |
メディア・ソリューション | 1,066,370 | 15.6 | 653,911 | 8.7 | △38.7 | |
計 | 2,933,792 | 43.1 | 2,489,782 | 33.3 | △15.1 | |
アセットマネジメント事業 | ||||||
アセットマネジメント | 3,880,837 | 56.9 | 4,995,873 | 66.7 | 28.7 | |
連結売上高 | 6,814,629 | 100.0 | 7,485,655 | 100.0 | 9.8 |
注)記載金額は千円未満を切捨てて表示しております。
・データ・ソリューション
タブレットアプリの提供台数が前連結会計年度末の91,594台から12.5%増加し103,038台となったことにより、タブレットアプリによるファンドデータの売上が増加いたしました。一方、ファンドレポートの受注が減少し、紙媒体の株式新聞購読料も減少しました。
その結果、データ・ソリューションの売上高は、前連結会計年度の1,867百万円から31百万円 (△1.7%)の減収となる1,835百万円となりました。
・メディア・ソリューション
当連結会計年度に開始したオンラインでのセミナーが好調で、その売上が加わったものの、新型コロナウイルス感染症により対面でのセミナーの開催規模、回数が大幅に減少し、セミナーの売上に加えて広告の売上が減少いたしました。
その結果、メディア・ソリューションの売上高は、前連結会計年度の1,066百万円から412百万円(△38.7%)の減収となる653百万円となりました。
・アセットマネジメント
アセットマネジメント事業の当連結会計年度の売上高は、2019年12月に子会社としたSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社及びSBI地方創生アセットマネジメント株式会社の私募の投資信託の信託報酬が通期に渡って加わりました(前連結会計年度は3ケ月間、当連結会計年度は12ケ月間)。さらに、この2社の私募の投資信託を中心に、当社グループの資産運用残高が、前連結会計年度末の1兆7,304億円から2兆8,691億円に、1兆1,387億円(65.8%)の大幅拡大となり、信託報酬が増加しました。
その結果、アセットマネジメントの売上高は、前連結会計年度の3,880百万円から1,115 百万円(28.7%)の増収となる4,995百万円となりました。
セグメント別には、ファイナンシャル・サービス事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の2,933百万円から444百万円(△15.1%)の減収となる2,489百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度の1,034百万円から364百万円(△35.3%)の減益となる669百万円となりました。
アセットマネジメント事業の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の3,880百万円から1,115百万円(28.7%)の増収となる4,995百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度の507百万円から588百万円(116%)の増益となる1,095百万円となりました。
②個別業績の概要について
当社が営むファイナンシャル・サービス事業のうち、メディアソリューションは、新型コロナウイルス感染症への対応として、密閉・密集・密接の3密を避けることを求められ、オンラインでのセミナーは好調であったものの、対面でのセミナーの開催規模、回数が大幅に減少したため、セミナーと広告の売上が減少し、当事業年度の当社の個別業績は、前事業年度と比べ、売上高が14.6%の減収、営業利益が33.0%の減益となりました。
③財政状態の状況
資産合計は前連結会計年度末と比較して1,800百万円増加し、14,189百万円となりました。
これは、流動資産が572百万円増加し、固定資産が1,204百万円増加し、繰延資産が23百万円増加したことによるものであります。
流動資産の増加は、主として現金及び預金が535百万円増加し、その他流動資産が47百万円増加したことによるものであります。
固定資産の増加は米国子会社Carret Holdings Inc.において「リース」(米国会計基準 ASU 2016-2)の適用によりリース資産が155百万円増加したことによるものであります。
現金及び預金の535百万円の増加は、営業活動によるキャッシュフローが2,104百万円増加し、公募による新株式発行及び自己株式の処分で2,941百万円の資金を調達し、借入金を1,000百万円借入れ、3,000百万円を返済し、配当金を1,284百万円支払い、投資有価証券が1,162百万円増加したことによるものであります。
また、負債合計は前連結会計年度末と比較して1,449百万円減少し、1,830百万円となりました。
負債の減少は、主として、借入金を1,000百万円借入れ、3,000百万円を返済したことによるものであります。
公募による新株式発行及び自己株式の処分により、資本金が1,248百万円、資本剰余金が1,534百万円増加し、資本金が3,363百万円、資本剰余金が4,906百万円となりました。また、自己株式が186百万円減少しました。
当連結会計年度に1,318百万円の親会社株主に帰属する当期純利益が計上され、1,284百万円の配当を行なった結果、利益剰余金が33百万円増加し、4,464百万円となりました。
保有する投資有価証券の時価が回復し、その他有価証券評価差額金が201百万円増加しました。主としてSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社及びSBI地方創生アセットマネジメント株式会社の当期利益の増加により、非支配株主持分が144百万円増加しました。
その結果、純資産合計は、前連結会計年度末と比較して3,250百万円増加し、12,358百万円となりました。
④連結キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ535百万円増加し、4,904百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ、1,126百万円増加し、2,104百万円の収入となりました。
これは、主として、税金等調整前当期純利益2,155百万円の計上、法人税等の支払額428百万円、仕入債務及び未払金の増加95百万等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ、381百万円増加し、1,166百万円の支出となりました。
これは、主として、特定包括信託への資金投下と投資有価証券の取得で613百万円、無形固定資産の取得585百万円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ、1,191百万円減少し、391百万円の支出となりました。これは、主として、公募による新株式発行及び自己株式の処分による資金2,941百万円を調達したこと、短期借入れによる収入1,000百万円及び返済による支出3,000百万円、配当金の支払額が1,284百万円となったことによるものであります。
⑤今後の見通し
ファイナンシャル・サービス事業については、急速に変化する情報環境に迅速かつ適切に対応できる体制を構築し、常に最新の情報機器、コミュニケーションツールを活用した商品・サービスを提供していきたいと考えております。また、販売金融機関が進めるフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)の具体策に適合したサービスを提供していきたいと考えております。特に、金融機関の販売員の皆様が顧客である個人投資家に、適切に金融商品の説明ができるように提供しているタブレットアプリの増加に努め、より多くの投資家が適切な金融商品の説明を受けるようにすることで、フィデューシャリー・デューティーに貢献し、同時に当社グループの安定した収益基盤を拡大していきたいと考えております。
アセットマネジメント事業については、公募追加型株式投資信託を提供するSBIアセットマネジメント株式会社が、投資家へ低コストの投資信託を提供し、投資家の資産形成に貢献することで、当社グループの収益を拡大したいと考えております。
また、私募の投資信託を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社及びSBI地方創生アセットマネジメント株式会社は、地域金融機関から預かった資金を、収益性を高く、地域金融機関の業績に貢献し同時に、当社グループの運用残高を増加させ、収益基盤を安定的に拡大していきたいと考えております。
現在、新型コロナウイルス感染症は、2021年4月に3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、感染状況を現時点で予測しがたい状況です。
新型コロナウイルス感染症への対応として、当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)は、対面でのセミナーの規模・回数を制限せざるを得ない状況が続き、当社グループのファイナンシャル・サービス事業の売上が減少いたしました。
翌連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)においても、ワクチン接種の普及により新型コロナウイルス感染症の終息の見通しがたつまで、対面でのセミナーの規模・回数を制限せざるを得ないものと考えております。
セミナー会場に集客して対面で開催するセミナーの減少による影響をカバーするため、当連結会計年度よりインターネット上で集客するオンラインセミナーを開始いたしました。オンラインセミナーは好調に集客し、対面セミナーの収入減を一定程度カバーすることができました。
2022年3月期もオンラインセミナーでの集客に努め、メディア・ソリューションの収益を増加させたいと考えております。
当連結会計年度に、タブレットアプリの提供台数が前連結会計年度末の91,594台から12.5%増加し103,038台となり、当社グループの資産運用残高が、前連結会計年度末の1兆7,304億円から2兆8,691億円に、1兆1,387億円(65.8%)の大幅拡大となりました。
当社グループは、この2つの柱の事業をベースに収益基盤を拡大しております。
今期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、当社事業と関連性の高い金融市場の動向を通期で想定するのは難しく、当社グループの業績は、現時点では合理的な算定を行なうことが困難であるため、未定とさせていただきます。
⑥生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社グループの提供するサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品・サービスも多いため、セグメント別に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
b 販売実績
セグメント別、サービス別の販売実績は以下のとおりです。
セグメント別売上高 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減率 (%) | |||
サービス別売上高 | 金額(千円) | 構成比(%) | 金額(千円) | 構成比(%) | ||
ファイナンシャル・サービス事業 | ||||||
データ・ソリューション | 1,867,421 | 27.4 | 1,835,871 | 24.5 | △1.7 | |
メディア・ソリューション | 1,066,370 | 15.6 | 653,911 | 8.7 | △38.7 | |
計 | 2,933,792 | 43.1 | 2,489,782 | 33.3 | △15.1 | |
アセットマネジメント事業 | ||||||
アセットマネジメント | 3,880,837 | 56.9 | 4,995,873 | 66.7 | 28.7 | |
連結売上高 | 6,814,629 | 100.0 | 7,485,655 | 100.0 | 9.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.記載金額の千円未満を切捨てて表示しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
株式会社SBI証券 | 321,949 | 4.7 | 334,643 | 4.5 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況、③財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a 資本の財源及び資金の流動性
(借入金の返済について)
当社グループには、2019年2月に子会社としたCarret Holdings Inc.およびCarret Asset Management LLCの買収資金に相当する10億円の借入金と2019年12月に子会社としたSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社の買収資金に相当する10億円の借入金の合計20億円の借入金がありましたが、東証証券取引所JASDAQ市場から市場第一部へ市場変更をする際に、公募による新株の発行と公募による自己株式の処分を行い、それぞれ、2,467百万円、473百万円の合計2,941百万円の資金調達を行い、借入金の全てを返済いたしました。
企業買収資金を除いて、当社グループの資金需要の主なものは、コンピュータシステムへの投資でありますが、当連結会計年度中において実施いたしました当社グループの設備投資の総額は659百万円となりました。その主なものは、ファイナンシャル・サービス事業に係るシステムサーバおよびソフトウエアを中心とした提供サービスの品質向上、情報データベースの拡充のためのシステム投資であり、すべて自己資金によって行っております。
当連結会計年度は、営業に必要とする資金については営業活動によるキャッシュ・フローでまかなえる状況でした。また、当連結会計年度末に現金及び預金が4,904百万円あります。現時点では銀行借入や増資による資金の調達は必要のない状況であります。
キャッシュ・フローの分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要④連結キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日現在における財政状態並びに連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り及び判断を一定の会計基準の範囲内で行う必要があります。しかし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果とこれらの見積りが異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の事項が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
a 繰延税金資産の回収可能性
連結貸借対照表に計上した繰延税金資産については、将来の回収可能性を十分に検討し、その全額が回収可能であると判断しております。
b 投資有価証券の評価
連結会社等が保有する有価証券について、回収可能性に疑義のある事象は認識しておらず、適切に評価しております。
c のれんの評価
2007年4月に子会社とし、2008年4月に株式会社株式新聞社と合併した際、および2012年10月に子会社としたSBIサーチナ株式会社、2019年2月Carret Asset Management LLC、2019年3月FIGS Inc.Japan合同会社、2019年12月にSBIボンド・インベストメント・マネジメント株式会社およびSBI地方創生アセットマネジメント株式会社を子会社とした際に生じたのれんについては、その効果の及ぶ期間を合理的に見積り、償却を行っております(償却期間20年)。
「のれん」の内訳は以下のとおりです。
「のれん」の発生要因 | 「のれん」が帰属する 事業・サービス | 企業結合年月 | 「のれん」の残高 |
㈱株式新聞社の買収、子会社化、合併 | 株式新聞、株式情報(注)1、3 | 2008年4月 | 44百万円 |
SBIサーチナ㈱の買収、子会社化 | 中国・アジア金融情報(注)1、3 | 2012年10月 | 179百万円 |
Carret Holdings Inc.と Carret Asset Management LLC の買収、子会社化 | 米国における私募の債券型ファンドの運用 | 2019年2月 | 831百万円 |
FIGS Inc. Japan 合同会社の買収、子会社化 | 投資助言(注)2 | 2019年3月 | 53百万円 |
SBIボンド・インベストメント・マネジメント㈱の買収、子会社化 | 私募の債券型投資信託の運用 | 2019年12月 | 704百万円 |
SBI地方創生アセットマネジメント㈱の買収、子会社化 | 私募の債券型投資信託の運用 | 2019年12月 | 79百万円 |
1,892百万円 |
(注)1 2021年3月31日現在、モーニングスター株式会社で行っている事業であります。
2 2021年3月31日現在、イー・アドバイザー株式会社で準備中の事業であります。
3 2021年4月1日にモーニングスター株式会社から株式新聞事業、サーチナ事業を会社分割によるイー・アドバイザー株式会社へ承継しております。
のれんについて、「固定資産の減損に係る会計基準」および企業会計基準委員会が公表した企業会計基準適用指針第6 号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づいて、適切に評価しております。
当連結会計年度末において、上記の「のれん」が帰属する事業・サービスの営業活動から生ずる損益はプラスであり、「固定資産の減損に係る会計基準」および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」にいうところの減損の兆候はありません。
d 営業債権の評価
営業債権は、決算日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、また、決算日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適切な引当金を計上しております。