有価証券報告書-第52期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの事業の取組状況、財政状態及び経営成績の状況、キャッシュ・フローの状況、並びに営業取引の状況の概要(以下「経営成績等」)は次のとおりであります。
① 事業の取組状況
(営業基盤の強化)
[国内リース事業分野]
・日通商事株式会社のリース事業分社化に伴い、新設会社「日通リース&ファイナンス株式会社」の株式持分の49%を取得いたしました。新設会社は株式持分を当社49%、日本通運株式会社49%、損害保険ジャパン株式会社2%とする3社の共同出資会社であり、当社の持分法適用関連会社となります。今後、日本通運グループが有する信用力、多様な顧客基盤、リース事業のケイパビリティと、当社がパートナー企業との共同事業により培った金融・サービスノウハウを融合させることにより、社会・顧客の発展に役立つ最適なサービスを提供し、社会課題の解決と循環型経済社会の実現への貢献を目指してまいります。
[国内オート事業分野]
・日本最大規模の車両台数を有するタクシーアプリ「GOタクシー」の運営を手掛ける株式会社Mobility Technologiesと資本業務提携に係る契約を締結いたしました。MaaS、自動運転、スマートシティを見据えた事業パートナーとして更なる協業を展開し、当社グループが持つオートリース・レンタカー機能等も活用し、社会課題の解決に貢献する新たなモビリティサービスの構築を推進してまいります。
・株式会社ゼンリンとの協業の更なる推進のため、業務提携契約を締結いたしました。株式会社ゼンリンが保有する地図ソリューションと、当社のオート・ファイナンスサービス等、両社の持つリソースを組み合わせ、社会課題の解決を目的とした新たなソリューションの創出を目指します。具体的には、株式会社ゼンリンが取り組む観光型MaaSや、地図ナビゲーション、デジタルサイネージといったソリューションと、当社が有する多様な金融・サービス機能、オートリース、レンタカーを中心とするモビリティサービス等を掛け合わせることで、人々の新たな移動を創出・最適化し地域の活性化に貢献するMaaSビジネスや、クラウドナビゲーションと連携した安全・安心なモビリティサービス等の分野で事業化を図ります。更に両社で創出したソリューションは、スマートシティ関連やモビリティ領域のDXでの適用を目指し、両社パートナー企業との共創にも取り組んでまいります。
[スペシャルティ事業分野]
・NTTアノードエナジー株式会社と2020年3月に締結した基本合意書に基づき、太陽光発電分野における共同事業運営を開始することとなりました。NTTアノードエナジー株式会社と当社は、環境・エネルギー分野におけるアセットビジネスの共同展開等の協業検討を更に進め、環境問題等の社会課題の解決への取組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指してまいります。
・株式会社アドバンテッジパートナーズとの共同投資第一号案件として、株式会社アドバンテッジパートナーズ、株式会社ユーグレナ、当社の3社でコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社からキューサイ株式会社の全株式を共同取得いたしました。経営改善や事業構造転換に強みを持つ株式会社アドバンテッジパートナーズ、ESG/SDGs領域やデジタル領域に強みを持つベンチャー企業の株式会社ユーグレナ、PMI経験も豊富な当社の3社が密に連携し、キューサイ株式会社の企業価値を向上させ「通信販売を中心とする健康食品/化粧品販売企業」から「ウェルエイジング支援カンパニー」へと進化していくことを目指してまいります。
・三菱地所株式会社と当社は、東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区において、2027年度竣工予定のTorch Tower(トーチタワー)のスーパーラグジュアリーホテルと2,000席級の大規模ホールを、新設特定目的会社を通じて共同取得する予定であります。両社は既にTorch Towerのオフィス部分についても、常盤橋インベストメント特定目的会社を通じて取得しており、世界に誇る日本の新たなシンボルとして、関係権利者の方々と開発を進めてまいります。
[国際事業分野]
・環境省及びその執行団体である公益財団法人地球環境センターが募集した「2020年度二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」において、代表事業者として当社が応募した「フィリピン/ショッピングモールにおける2MW太陽光発電システムの導入」と「ミャンマー/7.3MW太陽光発電プロジェクト」の2案件が採択されました。今後も、当社グループの広範な海外ネットワークと付加価値の高い金融・サービス機能を活用し、ASEAN各国におけるJCM事業に積極的に参画するとともに、クリーンエネルギーの普及等社会的意義の高い取組みを推進してまいります。
・当社の100%子会社であるCSI Leasing,Inc.(以下「CSI」)は、インド共和国に現地法人を設立いたしました。併せて、CSIの100%子会社でITAD(IT Asset Disposition)サービスを提供するEPC社がペルー共和国に新たな法人を設立いたしました。CSIとEPC社は、両社が提供するリースサービス・ITADサービスのグローバル標準化を推進しており、全世界に展開するグローバル案件が拡大しております。競争優位なグローバルベースでのビジネスモデルの確立に向けて、更なる事業の拡充を目指してまいります。
(経営基盤の強化)
[財務基盤の充実と強化]
・株式の希薄化やROEを考慮しつつ財務基盤の強化を図り、財務戦略の柔軟性を高めることを目的として、公募形式によるハイブリッド社債(劣後特約付)1,300億円の発行について、2020年6月に決定し7月に実行いたしました。
・三井住友信託銀行株式会社との間で、ローン・マーケット・アソシエーション等が定めたサステナビリティ・リンク・ローン原則に即した「サステナビリティ・リンク・ローン」の融資契約を締結いたしました。当社は、高い専門性と独自性を持つ金融・サービス企業として、事業の成長に挑戦するお客様とともに、環境に配慮した循環型経済社会の実現に取り組んでおります。本件を通じて多様なパートナーとの協働により、太陽光発電事業や二国間クレジット制度(JCM)を通じた低炭素社会及び社会インフラ整備への貢献、またDX推進による技術革新に対応した新事業創出に資する取組みをより一層強化してまいります。
[その他経営基盤の強化]
・従業員自らのキャリア形成を積極的にサポートし、モチベーション向上による従業員エンゲージメントの強化を図るべく、『キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)』を導入いたしました。社内各部署が求める人材を公募、従業員は所属する事業分野・部門を超えて、希望部署に応募することが可能となり、引き続き従業員が描くキャリア開発を支援する制度の更なる充実に取り組んでまいります。
・従業員の能動的なチャレンジを積極的にアシストし、クリエーティブな発想で新たなビジネスの創出に取り組む企業風土の醸成を目指して、『TC Biz Challenge(新規事業提案制度)』を導入いたしました。事業性ビジネス推進に向けた自律的な判断能力を有する人材の育成及びポテンシャルを発揮出来る人材の発掘に取り組んでまいります。
・リース事業を基盤に金融・サービスを提供する事業会社として初めて、経済産業省が定める「DX認定制度」に基づく、DX認定事業者の認定を取得いたしました。当社は、「攻めのIT経営銘柄」を改め選定が開始された「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄」に、制度創設以来6年連続で選定される等、これまでDX推進を企業価値向上の成長ドライバーとして捉え、事業を展開してまいりました。2020年度は、「デジタル技術活用によるビジネス変革の推進」を重要テーマとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション戦略の構築を担う「DX戦略部」を新設し、今後もデジタル技術活用による先進的なビジネスモデルの創出を推進してまいります。
・金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、当社は2021年4月に賛同を表明いたしました。当社は、「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて気候変動への対応を重要な課題と認識しており、TCFDへの賛同は当社の気候変動への対応を加速するものとなります。今後ともTCFDの提言に沿って気候変動が当社のビジネスに及ぼす影響の分析を進め、中長期の視点から経営戦略に反映させるとともに、気候関連の適切な情報開示に取り組んでまいります。
② 財政状態及び経営成績の状況
売上高は前期比335億85百万円(2.9%)増加し1兆2,001億84百万円、売上総利益は同69億47百万円(3.3%)減少し2,009億82百万円となりました。2019年12月に連結子会社化したAviation Capital Group LLCの業績が通期で反映されたことにより売上高は前期比でプラスとなったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するレジャー等の需要減退によりレンタカー売上が減少したことにより、売上総利益は前期比でマイナスとなりました。
販売費及び一般管理費は、前期比42億44百万円(3.5%)増加し1,238億27百万円となりました。主な要因は、船舶・航空機関連の債権を中心とした貸倒費用の増加及びAviation Capital Group LLC連結子会社化に伴う増加であります。
営業外損益は、前期比18億29百万円(65.8%)減少し9億50百万円の利益となりました。主な要因は、為替差損の増加であります。
これらにより、経常利益は前期比130億20百万円(14.3%)減少し781億5百万円となりました。
法人税等は前期比67億97百万円(22.4%)減少し234億87百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は同11億13百万円(13.4%)減少し72億14百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比71億57百万円(12.7%)減少し491億45百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前期末比56億58百万円(0.1%)減少し5兆6,028億97百万円となりました。負債合計は、前期末比338億59百万円(0.7%)減少し4兆9,145億52百万円となりました。純資産合計は、前期末比282億円(4.3%)増加し6,883億45百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
各セグメントにおける売上高については「外部顧客に対する売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。
(国内リース事業)
売上高は前期比216億93百万円(4.3%)増加し5,252億86百万円、セグメント利益は同22億50百万円(8.0%)増加し304億34百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比180億32百万円(1.2%)増加し1兆4,891億30百万円となりました。
(国内オート事業)
売上高は前期比118億98百万円(3.4%)減少し3,388億74百万円、セグメント利益は同104億76百万円(47.8%)減少し114億51百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比16億78百万円(0.3%)減少し6,295億35百万円となりました。
(スペシャルティ事業)
売上高は前期比155億88百万円(7.1%)増加し2,341億31百万円、セグメント利益は同61億18百万円(13.8%)減少し383億30百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比368億59百万円(1.7%)増加し2兆1,847億41百万円となりました。
(国際事業)
売上高は前期比70億30百万円(7.5%)増加し1,003億84百万円、セグメント利益は同29億42百万円(38.0%)増加し106億81百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比274億69百万円(5.4%)減少し4,831億8百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、賃貸資産の取得による支出が3,116億77百万円となったこと等に対し、賃貸資産減価償却費が1,719億58百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が791億75百万円、税金等調整前当期純利益が798億47百万円となったこと等により、513億31百万円の収入(前連結会計年度は506億64百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、投資有価証券の売却及び償還による収入が109億72百万円となったこと等に対し、投資有価証券の取得による支出が1,108億35百万円となったこと等により、974億5百万円の支出(前連結会計年度は3,151億77百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、長期借入金の返済による支出が6,989億15百万円、短期借入金の純増減額による支出が2,305億84百万円、コマーシャル・ペーパーの純増減額による支出が1,936億66百万円、社債の償還による支出が1,446億2百万円となったこと等に対し、長期借入れによる収入が1兆46億57百万円、社債の発行による収入が3,118億46百万円となったこと等により、189億46百万円の収入(前連結会計年度は5,230億62百万円の収入)となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比331億94百万円減少し2,169億1百万円となりました。
④ 営業取引の状況
連結会計年度におけるセグメント資産残高、セグメント売上高及びセグメント利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a. セグメント資産残高
(単位:百万円)
b. セグメント売上高
(単位:百万円)
(注) 売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
c. セグメント利益
(単位:百万円)
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年12月のAviation Capital Group LLCの完全子会社化に続き、2020年2月のNTTとの資本業務締結契約等を踏まえ、「第四次中期経営計画」を1年で終了し、2020年度を初年度とする「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)を策定いたしました。
2020年度から2022年度までの「新・第四次中期経営計画」において策定した基本方針及び経営戦略にもとづき、当社グループは、「金融機能を持つ事業会社」として、パートナー企業との事業性ビジネスを含めたグローバルな安定事業基盤の確立などに注力してきました。
なお、当社グループの当連結会計年度における具体的な取組みは、「(1)経営成績等の状況の概要 ①事業の取組状況」に記載のとおりであります。
(経営成績及び財政状態)
当社グループの重要な経営指標である経常利益は、国内リース事業と国際事業それぞれ増益を確保する一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた国内オート事業やスペシャルティ事業の減益により、全体では前期比130億円(14.3%)減少し781億円となりました。
セグメント別の経常利益及びROAについて分析した結果は以下のとおりであります。
(単位 億円)
*ROA:経常利益/((前期末セグメント資産+当期末セグメント資産)/2)
[国内リース事業]
国内リース事業の経常利益は前期比23億円(8.0%)増加し304億円、ROAは0.1pt上昇の2.1%となりました。国内リースマーケットはリース会計基準変更等によるマーケットの縮小及び低金利の長期化等により、収益性の厳しい環境が継続しておりますが、有力パートナーとの共創ビジネス、各種提案型営業の推進に加え、事務の合理化等により収益性の向上を進めてきました。
当連結会計年度の経常利益は、資金調達の安定性向上のため資金原価が増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は軽微であり、第2四半期より持分法適用関連会社としたNTT・TCリース株式会社等の有力パートナーとの共同事業が収益貢献を果たし、増益となりました。
[国内オート事業]
国内オート事業の経常利益は前期比105億円(47.8%)減少し115億円、ROAは1.8pt低下の1.8%となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による2020年4月の緊急事態宣言発令により、国内の移動制限を強いられ、レンタカー需要が大きく減少し、2020年3月以降レンタカー売上は前年同月比100%を下回る状況が続きました。夏以降回復したものの、2020年のレンタカー売上は前期比74%に止まるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた一年でありました。一方で、アフターコロナを見据え、顧客サービスの充実化、店舗ネットワークの見直し等コストコントロールの強化を図りました。
当連結会計年度の経常利益は、ニッポンレンタカーサービス株式会社の業績が大きく減益となった影響で事業分野全体で減益となりました。一方で、法人向けオートリースの日本カーソリューションズ株式会社、個人向けオートリースの株式会社オリコオートリースの業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は軽微で堅調に推移しております。
[スペシャルティ事業]
スペシャルティ事業の経常利益は前期比61億円(13.8%)減少し383億円、ROAは0.9pt低下の1.8%となりました。新型コロナウイルス感染症拡大は航空運輸業に大きな影響を与え、当社グループの航空機事業において、顧客からの支払猶予の要請や信用不安等の事象が発生したことに加え、航空機関連のフィービジネスの減少等、厳しい環境となりました。
この結果、当社グループの航空機関連事業は2019年12月に連結子会社化したAviation Capital Group LLCの業績が通期にわたり寄与した増益要因はあったものの、賃貸資産減損、金銭債権の貸倒などの損失処理が増加し減益となりました。また、船舶事業における貸倒費用の増加、不動産事業におけるキャピタルゲインの減少も減益の要因となっております。
[国際事業]
国際事業の経常利益は前期比29億円(38.0%)増加し107億円、ROAは0.6%上昇の2.1%となりました。アジア・アセアン地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益要因はあったものの、資金原価の減少や保有する営業投資有価証券のキャピタルゲイン等により、増益となりました。また、米州・欧州地域においては、CSI Leasing, Inc.における再リースなど二次収益の増加、eコマース市場拡大を背景に米国トラックファイナンス需要を取り込んだAllegiant Partners Incorporatedのファイナンス収益拡大などにより、増益となりました。
特別損益は、BPI Century Tokyo Lease & Finance Corporationの連結子会社化に伴う段階取得に係る差損を10億円計上するなど特別損失合計で38億円計上したものの、資産効率を高めるために純投資目的以外の目的である投資株式の縮減を進め、投資有価証券売却益を30億円計上したことに加え、子会社が保有する不動産を売却し固定資産売却益25億円計上するなど特別利益合計で56億円計上し、合計で17億円の利益となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比72億円(12.7%)減少し491億円となりました。ROEは前期に比べ、2.8ポイント低下し8.7%となりました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに減益決算となりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動等への影響は、ワクチンの普及により地域差はあるものの徐々に回復し、当社グループのレンタカー事業及び航空機事業もそれにあわせて回復するものと考えており、「新・第四次中期経営計画」最終事業年度(2022年度)目標である、経常利益1,300億円、親会社株主に帰属する当期純利益800億円を目指してまいります。
財政状態について、当連結会計年度末の資産合計は、前期末比57億円(0.1%)減少し5兆6,029億円となりました。利益の源泉となるセグメント資産残高は海外子会社において為替の変動による減少要因、新型コロナウイルスの影響による営業活動の抑制があったなか、関連会社株式、オペレーティング・リース資産、太陽光発電設備などの積み上げを図り、前期末比275億円(0.6%)増加し4兆8,005億円となりました。
負債合計は、前期末比338億円(0.7%)減少し4兆9,146億円、有利子負債は、前期末比27億円(0.1%)増加し4兆2,809億円となりました。
純資産合計は、前期末比282億円(4.3%)増加し6,834億円となりました。為替の変動により為替換算調整勘定が前期末比369億円減少したものの、利益の積み上げにより、利益剰余金が前期末比323億円増加したことに加え、時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が前期末比186億円増加したためであります。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ、0.3ポイント上昇し10.2%となりました。
当社グループは、合併以降、ファイナンス・リース、貸付等の金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、航空機、オート、不動産等モノの価値に着目した事業を拡充してきましたが、次の10年に向けた事業基盤を強固にしていく中で、最適な資本構成を踏まえたバランスシートマネジメントを推進しています。
「新・第四次中期経営計画」最終事業年度(2022年度)目標である、連結自己資本比率12%、連結ROE12%を目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローについて、国内リース事業分野におけるNTTグループ、日本通運グループの各金融中核会社の一部事業をカーブアウトしたNTT・TCリース株式会社(当社出資割合50%)及び日通リース&ファイナンス株式会社(当社出資割合49%)への出資を主因に投資活動によるキャッシュ・フローが974億円の支出となりました。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローについては、オペレーティング・リースや太陽光発電設備など事業性資産を積み増す一方で、ファイナンス・リース、割賦債権、営業貸付債権といった金融債権の回収を進めたこと等により、513億円の収入になるなど、各事業分野の営業基盤強化に向けた成長事業への投資を実行し、ROA向上に向け収益性や成長性を考慮した健全なポートフォリオの維持に注力いたしました。
この成長事業への投資に必要な資金は主として長期借入金及び社債など長期の有利子負債により調達を行いました。2020年7月には、資本と負債の中間的性質を持つハイブリッド・ファイナンスの一形態である公募ハイブリッド社債1,300億円を発行することにより、事業に必要な資金を調達しながらも、株式の希薄化やROEの低下を回避しつつ財務基盤の強化を図ることで、財務戦略の柔軟性を高めました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは189億円の収入となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比332億円(13.3%)減少し2,169億円となりました。当連結会計年度末の現金及び現金同等物が減少した要因の一つは、前連結会計年度に第三者割当増資により調達した資金で前期末には未使用となっていたものについて、2020年7月のNTT・TCリース株式会社の株式取得資金(603億円)に充当したことであります。
(資金調達の基本方針)
当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ調達先の分散や調達手段の多様化を図ることで、調達の安定性を高めること及び資金コストの低減を基本方針としております。また、ALM(資産・負債総合管理)の実施により、市場リスクについて多面的な分析を行い、各種リスクを適切にコントロールしております。
(資金調達の方法)
当社グループの資金調達は、国内外の金融機関からの借入による間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート、リース債権流動化といった資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
当連結会計年度末において、間接調達は、前期末比886億円(3.6%)増加し2兆5,670億円となりました。
直接調達は、前期末比860億円(4.8%)減少し1兆7,139億円となりました。
資金調達の安定化に向け、調達の長期化を推進するため、短期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの一部償還を行う一方で、長期借入金や社債による調達へと切り替えを進めた結果、当連結会計年度末の長期調達比率は78.3%となり、前期末に比べて10.7ポイント上昇しました。
(流動性の確保)
当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関136行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末の契約総額は、前期末に比べて185億円減額の1兆7,154億円、借入未実行残高は1兆4,146億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。
(資本政策と株主還元方針)
「新・第四次中期経営計画」において最適資本構成を踏まえたバランスシートマネジメントを実施していく方針であります。
2020年2月に第三者割当増資を行い今後の事業成長に必要資金を調達しましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度に親会社株主に帰属する当期純利益800億円という目標を設定し、EPSを向上させながら株主資本コストを上回るROE12%水準を回復することで、投資家の皆さまのご期待に応えていきます。
そのためにも、成長事業への投資において、適切なリスク運営及びアセットコントロールを踏まえたROA向上策への取り組みの強化を図ります。NTTとの間で締結した資本業務提携の第一弾としてリース・ファイナンス事業を手掛ける合弁会社であるNTT・TCリース株式会社に出資したことに加え、NTTアノードエナジー株式会社と2020年3月に締結した基本合意書に基づき、太陽光発電分野における共同事業運営を開始するなど、同グループと不動産、環境・エネルギー事業、グローバル事業等において協業ビジネスなどを推進し、成長分野に資金を配分していきます。
また日通商事株式会社のリース事業分社化に伴い、新設会社日通リース&ファイナンス株式会社への出資も行いました。
資金調達について、内部資金の活用に加え、外部格付を維持・向上させるなど安定的な財務基盤を支える資金調達力を強化しながら有利子負債による調達を進めていきます。
株主還元について、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本とし、成長事業への投資と財務基盤の強化とのバランスを確保しつつ、配当性向の向上について引き続き検討してまいります。当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減益決算となるなか、長期的かつ安定的に利益還元を行ったことにより、一時的に配当性向(連結)は34.2%となりましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度における配当性向30%を目指しております。
③ 経営上の目標の達成状況
当社グループは、「新・第四次中期経営計画」における経営指標として、利益項目だけでなく、安定的な財務基盤を支える資金調達力を強化するため、引き続き自己資本比率を経営指標として採用するとともに、株主資本コストを上回る資本効率を重視していることから、引き続きROEを経営指標として採用しております。
当連結会計年度において、連結経常利益781億円、親会社株主に帰属する当期純利益491億円、連結自己資本比率10.2%、連結ROE8.7%となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内オート事業、スペシャルティ事業の業績が悪化し、2021年3月期の経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はともに減益となりましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度における2023年3月期の目標達成に向けて、2022年3月期は増益を目指しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりですが、重要なものは以下のとおりであります。
a. 賃貸資産の減損損失の計上
賃貸資産は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、回収可能価額を使用価値と物件の処分価値の見積り額のいずれか高い金額としています。
経営者は、賃貸資産の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、賃貸資産が回収可能な合理的な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて減損損失の追加計上を実施する可能性があります。
なお、航空機リースにかかる賃貸資産の減損について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)①賃貸資産の減損」に記載のとおりであります。
b. のれんの減損損失の計上
のれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、5年から20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。経営者は、その資産性について、子会社の業績や事業計画等を基に検討を行っており、その検討の内容は合理的であると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、将来において当初想定した収益力もしくは費用削減効果が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c. 貸倒引当金の計上
貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
経営者は、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれております。このため、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合には、将来当社グループが貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
d. 金融商品の時価評価
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額の他、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。有価証券のうち、市場価格のあるものについては、市場価格によっております。
また、時価の把握が極めて困難と認められるものについては、帳簿価額を時価とみなしております。
当社グループで行っているデリバティブ取引は、金利関連取引(金利スワップ取引等)、通貨関連取引(為替予約取引及び通貨スワップ取引等)であり、取引所の価格、割引現在価値やオプション価格計算モデル等により算出した価額によっております。
経営者は、金融商品の時価の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であると判断しております。ただし、当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループにおける時価評価額が変動する可能性があります。
e. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価の見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。
ただし、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて繰延税金資産の取崩し又は追加計上により損益に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動と消費への影響は、ワクチンの普及により地域差はあるものの、徐々に解消すると仮定して、会計上の見積りを行っております。しかしながら、実際の影響については不確定要素が多く、上記仮定に変化が生じた場合には、2021年度以降の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況は次のとおりであります。
① 貸付金の種別残高内訳
② 資金調達内訳
(注)当期の貸付債権の譲渡の合計額は、5,488百万円であります。
③ 業種別貸付金残高内訳
④ 担保別貸付金残高内訳
⑤ 期間別貸付金残高内訳
(注) 期間は、約定期間によっております。
当連結会計年度における当社グループの事業の取組状況、財政状態及び経営成績の状況、キャッシュ・フローの状況、並びに営業取引の状況の概要(以下「経営成績等」)は次のとおりであります。
① 事業の取組状況
(営業基盤の強化)
[国内リース事業分野]
・日通商事株式会社のリース事業分社化に伴い、新設会社「日通リース&ファイナンス株式会社」の株式持分の49%を取得いたしました。新設会社は株式持分を当社49%、日本通運株式会社49%、損害保険ジャパン株式会社2%とする3社の共同出資会社であり、当社の持分法適用関連会社となります。今後、日本通運グループが有する信用力、多様な顧客基盤、リース事業のケイパビリティと、当社がパートナー企業との共同事業により培った金融・サービスノウハウを融合させることにより、社会・顧客の発展に役立つ最適なサービスを提供し、社会課題の解決と循環型経済社会の実現への貢献を目指してまいります。
[国内オート事業分野]
・日本最大規模の車両台数を有するタクシーアプリ「GOタクシー」の運営を手掛ける株式会社Mobility Technologiesと資本業務提携に係る契約を締結いたしました。MaaS、自動運転、スマートシティを見据えた事業パートナーとして更なる協業を展開し、当社グループが持つオートリース・レンタカー機能等も活用し、社会課題の解決に貢献する新たなモビリティサービスの構築を推進してまいります。
・株式会社ゼンリンとの協業の更なる推進のため、業務提携契約を締結いたしました。株式会社ゼンリンが保有する地図ソリューションと、当社のオート・ファイナンスサービス等、両社の持つリソースを組み合わせ、社会課題の解決を目的とした新たなソリューションの創出を目指します。具体的には、株式会社ゼンリンが取り組む観光型MaaSや、地図ナビゲーション、デジタルサイネージといったソリューションと、当社が有する多様な金融・サービス機能、オートリース、レンタカーを中心とするモビリティサービス等を掛け合わせることで、人々の新たな移動を創出・最適化し地域の活性化に貢献するMaaSビジネスや、クラウドナビゲーションと連携した安全・安心なモビリティサービス等の分野で事業化を図ります。更に両社で創出したソリューションは、スマートシティ関連やモビリティ領域のDXでの適用を目指し、両社パートナー企業との共創にも取り組んでまいります。
[スペシャルティ事業分野]
・NTTアノードエナジー株式会社と2020年3月に締結した基本合意書に基づき、太陽光発電分野における共同事業運営を開始することとなりました。NTTアノードエナジー株式会社と当社は、環境・エネルギー分野におけるアセットビジネスの共同展開等の協業検討を更に進め、環境問題等の社会課題の解決への取組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指してまいります。
・株式会社アドバンテッジパートナーズとの共同投資第一号案件として、株式会社アドバンテッジパートナーズ、株式会社ユーグレナ、当社の3社でコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社からキューサイ株式会社の全株式を共同取得いたしました。経営改善や事業構造転換に強みを持つ株式会社アドバンテッジパートナーズ、ESG/SDGs領域やデジタル領域に強みを持つベンチャー企業の株式会社ユーグレナ、PMI経験も豊富な当社の3社が密に連携し、キューサイ株式会社の企業価値を向上させ「通信販売を中心とする健康食品/化粧品販売企業」から「ウェルエイジング支援カンパニー」へと進化していくことを目指してまいります。
・三菱地所株式会社と当社は、東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区において、2027年度竣工予定のTorch Tower(トーチタワー)のスーパーラグジュアリーホテルと2,000席級の大規模ホールを、新設特定目的会社を通じて共同取得する予定であります。両社は既にTorch Towerのオフィス部分についても、常盤橋インベストメント特定目的会社を通じて取得しており、世界に誇る日本の新たなシンボルとして、関係権利者の方々と開発を進めてまいります。
[国際事業分野]
・環境省及びその執行団体である公益財団法人地球環境センターが募集した「2020年度二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」において、代表事業者として当社が応募した「フィリピン/ショッピングモールにおける2MW太陽光発電システムの導入」と「ミャンマー/7.3MW太陽光発電プロジェクト」の2案件が採択されました。今後も、当社グループの広範な海外ネットワークと付加価値の高い金融・サービス機能を活用し、ASEAN各国におけるJCM事業に積極的に参画するとともに、クリーンエネルギーの普及等社会的意義の高い取組みを推進してまいります。
・当社の100%子会社であるCSI Leasing,Inc.(以下「CSI」)は、インド共和国に現地法人を設立いたしました。併せて、CSIの100%子会社でITAD(IT Asset Disposition)サービスを提供するEPC社がペルー共和国に新たな法人を設立いたしました。CSIとEPC社は、両社が提供するリースサービス・ITADサービスのグローバル標準化を推進しており、全世界に展開するグローバル案件が拡大しております。競争優位なグローバルベースでのビジネスモデルの確立に向けて、更なる事業の拡充を目指してまいります。
(経営基盤の強化)
[財務基盤の充実と強化]
・株式の希薄化やROEを考慮しつつ財務基盤の強化を図り、財務戦略の柔軟性を高めることを目的として、公募形式によるハイブリッド社債(劣後特約付)1,300億円の発行について、2020年6月に決定し7月に実行いたしました。
・三井住友信託銀行株式会社との間で、ローン・マーケット・アソシエーション等が定めたサステナビリティ・リンク・ローン原則に即した「サステナビリティ・リンク・ローン」の融資契約を締結いたしました。当社は、高い専門性と独自性を持つ金融・サービス企業として、事業の成長に挑戦するお客様とともに、環境に配慮した循環型経済社会の実現に取り組んでおります。本件を通じて多様なパートナーとの協働により、太陽光発電事業や二国間クレジット制度(JCM)を通じた低炭素社会及び社会インフラ整備への貢献、またDX推進による技術革新に対応した新事業創出に資する取組みをより一層強化してまいります。
[その他経営基盤の強化]
・従業員自らのキャリア形成を積極的にサポートし、モチベーション向上による従業員エンゲージメントの強化を図るべく、『キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)』を導入いたしました。社内各部署が求める人材を公募、従業員は所属する事業分野・部門を超えて、希望部署に応募することが可能となり、引き続き従業員が描くキャリア開発を支援する制度の更なる充実に取り組んでまいります。
・従業員の能動的なチャレンジを積極的にアシストし、クリエーティブな発想で新たなビジネスの創出に取り組む企業風土の醸成を目指して、『TC Biz Challenge(新規事業提案制度)』を導入いたしました。事業性ビジネス推進に向けた自律的な判断能力を有する人材の育成及びポテンシャルを発揮出来る人材の発掘に取り組んでまいります。
・リース事業を基盤に金融・サービスを提供する事業会社として初めて、経済産業省が定める「DX認定制度」に基づく、DX認定事業者の認定を取得いたしました。当社は、「攻めのIT経営銘柄」を改め選定が開始された「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄」に、制度創設以来6年連続で選定される等、これまでDX推進を企業価値向上の成長ドライバーとして捉え、事業を展開してまいりました。2020年度は、「デジタル技術活用によるビジネス変革の推進」を重要テーマとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション戦略の構築を担う「DX戦略部」を新設し、今後もデジタル技術活用による先進的なビジネスモデルの創出を推進してまいります。
・金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、当社は2021年4月に賛同を表明いたしました。当社は、「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて気候変動への対応を重要な課題と認識しており、TCFDへの賛同は当社の気候変動への対応を加速するものとなります。今後ともTCFDの提言に沿って気候変動が当社のビジネスに及ぼす影響の分析を進め、中長期の視点から経営戦略に反映させるとともに、気候関連の適切な情報開示に取り組んでまいります。
② 財政状態及び経営成績の状況
売上高は前期比335億85百万円(2.9%)増加し1兆2,001億84百万円、売上総利益は同69億47百万円(3.3%)減少し2,009億82百万円となりました。2019年12月に連結子会社化したAviation Capital Group LLCの業績が通期で反映されたことにより売上高は前期比でプラスとなったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因するレジャー等の需要減退によりレンタカー売上が減少したことにより、売上総利益は前期比でマイナスとなりました。
販売費及び一般管理費は、前期比42億44百万円(3.5%)増加し1,238億27百万円となりました。主な要因は、船舶・航空機関連の債権を中心とした貸倒費用の増加及びAviation Capital Group LLC連結子会社化に伴う増加であります。
営業外損益は、前期比18億29百万円(65.8%)減少し9億50百万円の利益となりました。主な要因は、為替差損の増加であります。
これらにより、経常利益は前期比130億20百万円(14.3%)減少し781億5百万円となりました。
法人税等は前期比67億97百万円(22.4%)減少し234億87百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は同11億13百万円(13.4%)減少し72億14百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比71億57百万円(12.7%)減少し491億45百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前期末比56億58百万円(0.1%)減少し5兆6,028億97百万円となりました。負債合計は、前期末比338億59百万円(0.7%)減少し4兆9,145億52百万円となりました。純資産合計は、前期末比282億円(4.3%)増加し6,883億45百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
各セグメントにおける売上高については「外部顧客に対する売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。
(国内リース事業)
売上高は前期比216億93百万円(4.3%)増加し5,252億86百万円、セグメント利益は同22億50百万円(8.0%)増加し304億34百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比180億32百万円(1.2%)増加し1兆4,891億30百万円となりました。
(国内オート事業)
売上高は前期比118億98百万円(3.4%)減少し3,388億74百万円、セグメント利益は同104億76百万円(47.8%)減少し114億51百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比16億78百万円(0.3%)減少し6,295億35百万円となりました。
(スペシャルティ事業)
売上高は前期比155億88百万円(7.1%)増加し2,341億31百万円、セグメント利益は同61億18百万円(13.8%)減少し383億30百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比368億59百万円(1.7%)増加し2兆1,847億41百万円となりました。
(国際事業)
売上高は前期比70億30百万円(7.5%)増加し1,003億84百万円、セグメント利益は同29億42百万円(38.0%)増加し106億81百万円となりました。セグメント資産残高は前期末比274億69百万円(5.4%)減少し4,831億8百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 自 2019年4月1日至 2020年3月31日 | 当連結会計年度 自 2020年4月1日至 2021年3月31日 | 増減額 | |
| 営業活動キャッシュ・フロー | △50,664 | 51,331 | 101,996 |
| 投資活動キャッシュ・フロー | △315,177 | △97,405 | 217,771 |
| 財務活動キャッシュ・フロー | 523,062 | 18,946 | △504,116 |
| 現金・現金同等物期末残高 | 250,096 | 216,901 | △33,194 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、賃貸資産の取得による支出が3,116億77百万円となったこと等に対し、賃貸資産減価償却費が1,719億58百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が791億75百万円、税金等調整前当期純利益が798億47百万円となったこと等により、513億31百万円の収入(前連結会計年度は506億64百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、投資有価証券の売却及び償還による収入が109億72百万円となったこと等に対し、投資有価証券の取得による支出が1,108億35百万円となったこと等により、974億5百万円の支出(前連結会計年度は3,151億77百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、長期借入金の返済による支出が6,989億15百万円、短期借入金の純増減額による支出が2,305億84百万円、コマーシャル・ペーパーの純増減額による支出が1,936億66百万円、社債の償還による支出が1,446億2百万円となったこと等に対し、長期借入れによる収入が1兆46億57百万円、社債の発行による収入が3,118億46百万円となったこと等により、189億46百万円の収入(前連結会計年度は5,230億62百万円の収入)となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比331億94百万円減少し2,169億1百万円となりました。
④ 営業取引の状況
連結会計年度におけるセグメント資産残高、セグメント売上高及びセグメント利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a. セグメント資産残高
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率(%) | |
| 報告セグメント | 国内リース事業 | 1,471,097 | 1,489,130 | 18,032 | 1.2 |
| 国内オート事業 | 631,214 | 629,535 | △1,678 | △0.3 | |
| スペシャルティ事業 | 2,147,881 | 2,184,741 | 36,859 | 1.7 | |
| 国際事業 | 510,578 | 483,108 | △27,469 | △5.4 | |
| 報告セグメント計 | 4,760,772 | 4,786,516 | 25,743 | 0.5 | |
| その他 | 12,201 | 13,938 | 1,737 | 14.2 | |
| 合計 | 4,772,973 | 4,800,455 | 27,481 | 0.6 | |
| 連結財務諸表との調整額 | 835,582 | 802,442 | △33,139 | - | |
| 連結財務諸表上の資産合計 | 5,608,556 | 5,602,897 | △5,658 | △0.1 | |
b. セグメント売上高
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率(%) | |
| 報告セグメント | 国内リース事業 | 503,592 | 525,286 | 21,693 | 4.3 |
| 国内オート事業 | 350,773 | 338,874 | △11,898 | △3.4 | |
| スペシャルティ事業 | 218,542 | 234,131 | 15,588 | 7.1 | |
| 国際事業 | 93,353 | 100,384 | 7,030 | 7.5 | |
| 報告セグメント計 | 1,166,261 | 1,198,676 | 32,415 | 2.8 | |
| その他 | 337 | 1,507 | 1,170 | 347.2 | |
| 連結財務諸表上の売上高 | 1,166,599 | 1,200,184 | 33,585 | 2.9 | |
(注) 売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
c. セグメント利益
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率(%) | |
| 報告セグメント | 国内リース事業 | 28,184 | 30,434 | 2,250 | 8.0 |
| 国内オート事業 | 21,928 | 11,451 | △10,476 | △47.8 | |
| スペシャルティ事業 | 44,449 | 38,330 | △6,118 | △13.8 | |
| 国際事業 | 7,738 | 10,681 | 2,942 | 38.0 | |
| 報告セグメント計 | 102,301 | 90,898 | △11,402 | △11.1 | |
| その他 | 320 | 350 | 30 | 9.4 | |
| 合計 | 102,621 | 91,249 | △11,372 | △11.1 | |
| 連結財務諸表との調整額 | △11,495 | △13,143 | △1,648 | - | |
| 連結財務諸表上の経常利益 | 91,126 | 78,105 | △13,020 | △14.3 | |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年12月のAviation Capital Group LLCの完全子会社化に続き、2020年2月のNTTとの資本業務締結契約等を踏まえ、「第四次中期経営計画」を1年で終了し、2020年度を初年度とする「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)を策定いたしました。
2020年度から2022年度までの「新・第四次中期経営計画」において策定した基本方針及び経営戦略にもとづき、当社グループは、「金融機能を持つ事業会社」として、パートナー企業との事業性ビジネスを含めたグローバルな安定事業基盤の確立などに注力してきました。
なお、当社グループの当連結会計年度における具体的な取組みは、「(1)経営成績等の状況の概要 ①事業の取組状況」に記載のとおりであります。
(経営成績及び財政状態)
当社グループの重要な経営指標である経常利益は、国内リース事業と国際事業それぞれ増益を確保する一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた国内オート事業やスペシャルティ事業の減益により、全体では前期比130億円(14.3%)減少し781億円となりました。
セグメント別の経常利益及びROAについて分析した結果は以下のとおりであります。
(単位 億円)
| セグメントの名称 | 経常利益 | ROA | ||||
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | 前期比 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 前期比 | |
| 国内リース事業 | 282 | 304 | 23 | 2.0% | 2.1% | 0.1pt |
| 国内オート事業 | 219 | 115 | △105 | 3.6% | 1.8% | △1.8pt |
| スペシャルティ事業 | 444 | 383 | △61 | 2.7% | 1.8% | △0.9pt |
| 国際事業 | 77 | 107 | 29 | 1.5% | 2.1% | 0.6pt |
| 全社・消去等 | △112 | △128 | △16 | - | - | - |
| 連結 | 911 | 781 | △130 | 2.2% | 1.6% | △0.5pt |
*ROA:経常利益/((前期末セグメント資産+当期末セグメント資産)/2)
[国内リース事業]
国内リース事業の経常利益は前期比23億円(8.0%)増加し304億円、ROAは0.1pt上昇の2.1%となりました。国内リースマーケットはリース会計基準変更等によるマーケットの縮小及び低金利の長期化等により、収益性の厳しい環境が継続しておりますが、有力パートナーとの共創ビジネス、各種提案型営業の推進に加え、事務の合理化等により収益性の向上を進めてきました。
当連結会計年度の経常利益は、資金調達の安定性向上のため資金原価が増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は軽微であり、第2四半期より持分法適用関連会社としたNTT・TCリース株式会社等の有力パートナーとの共同事業が収益貢献を果たし、増益となりました。
[国内オート事業]
国内オート事業の経常利益は前期比105億円(47.8%)減少し115億円、ROAは1.8pt低下の1.8%となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による2020年4月の緊急事態宣言発令により、国内の移動制限を強いられ、レンタカー需要が大きく減少し、2020年3月以降レンタカー売上は前年同月比100%を下回る状況が続きました。夏以降回復したものの、2020年のレンタカー売上は前期比74%に止まるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた一年でありました。一方で、アフターコロナを見据え、顧客サービスの充実化、店舗ネットワークの見直し等コストコントロールの強化を図りました。
当連結会計年度の経常利益は、ニッポンレンタカーサービス株式会社の業績が大きく減益となった影響で事業分野全体で減益となりました。一方で、法人向けオートリースの日本カーソリューションズ株式会社、個人向けオートリースの株式会社オリコオートリースの業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は軽微で堅調に推移しております。
[スペシャルティ事業]
スペシャルティ事業の経常利益は前期比61億円(13.8%)減少し383億円、ROAは0.9pt低下の1.8%となりました。新型コロナウイルス感染症拡大は航空運輸業に大きな影響を与え、当社グループの航空機事業において、顧客からの支払猶予の要請や信用不安等の事象が発生したことに加え、航空機関連のフィービジネスの減少等、厳しい環境となりました。
この結果、当社グループの航空機関連事業は2019年12月に連結子会社化したAviation Capital Group LLCの業績が通期にわたり寄与した増益要因はあったものの、賃貸資産減損、金銭債権の貸倒などの損失処理が増加し減益となりました。また、船舶事業における貸倒費用の増加、不動産事業におけるキャピタルゲインの減少も減益の要因となっております。
[国際事業]
国際事業の経常利益は前期比29億円(38.0%)増加し107億円、ROAは0.6%上昇の2.1%となりました。アジア・アセアン地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減益要因はあったものの、資金原価の減少や保有する営業投資有価証券のキャピタルゲイン等により、増益となりました。また、米州・欧州地域においては、CSI Leasing, Inc.における再リースなど二次収益の増加、eコマース市場拡大を背景に米国トラックファイナンス需要を取り込んだAllegiant Partners Incorporatedのファイナンス収益拡大などにより、増益となりました。
特別損益は、BPI Century Tokyo Lease & Finance Corporationの連結子会社化に伴う段階取得に係る差損を10億円計上するなど特別損失合計で38億円計上したものの、資産効率を高めるために純投資目的以外の目的である投資株式の縮減を進め、投資有価証券売却益を30億円計上したことに加え、子会社が保有する不動産を売却し固定資産売却益25億円計上するなど特別利益合計で56億円計上し、合計で17億円の利益となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比72億円(12.7%)減少し491億円となりました。ROEは前期に比べ、2.8ポイント低下し8.7%となりました。
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに減益決算となりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動等への影響は、ワクチンの普及により地域差はあるものの徐々に回復し、当社グループのレンタカー事業及び航空機事業もそれにあわせて回復するものと考えており、「新・第四次中期経営計画」最終事業年度(2022年度)目標である、経常利益1,300億円、親会社株主に帰属する当期純利益800億円を目指してまいります。
財政状態について、当連結会計年度末の資産合計は、前期末比57億円(0.1%)減少し5兆6,029億円となりました。利益の源泉となるセグメント資産残高は海外子会社において為替の変動による減少要因、新型コロナウイルスの影響による営業活動の抑制があったなか、関連会社株式、オペレーティング・リース資産、太陽光発電設備などの積み上げを図り、前期末比275億円(0.6%)増加し4兆8,005億円となりました。
負債合計は、前期末比338億円(0.7%)減少し4兆9,146億円、有利子負債は、前期末比27億円(0.1%)増加し4兆2,809億円となりました。
純資産合計は、前期末比282億円(4.3%)増加し6,834億円となりました。為替の変動により為替換算調整勘定が前期末比369億円減少したものの、利益の積み上げにより、利益剰余金が前期末比323億円増加したことに加え、時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が前期末比186億円増加したためであります。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ、0.3ポイント上昇し10.2%となりました。
当社グループは、合併以降、ファイナンス・リース、貸付等の金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、航空機、オート、不動産等モノの価値に着目した事業を拡充してきましたが、次の10年に向けた事業基盤を強固にしていく中で、最適な資本構成を踏まえたバランスシートマネジメントを推進しています。
「新・第四次中期経営計画」最終事業年度(2022年度)目標である、連結自己資本比率12%、連結ROE12%を目指してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローについて、国内リース事業分野におけるNTTグループ、日本通運グループの各金融中核会社の一部事業をカーブアウトしたNTT・TCリース株式会社(当社出資割合50%)及び日通リース&ファイナンス株式会社(当社出資割合49%)への出資を主因に投資活動によるキャッシュ・フローが974億円の支出となりました。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローについては、オペレーティング・リースや太陽光発電設備など事業性資産を積み増す一方で、ファイナンス・リース、割賦債権、営業貸付債権といった金融債権の回収を進めたこと等により、513億円の収入になるなど、各事業分野の営業基盤強化に向けた成長事業への投資を実行し、ROA向上に向け収益性や成長性を考慮した健全なポートフォリオの維持に注力いたしました。
この成長事業への投資に必要な資金は主として長期借入金及び社債など長期の有利子負債により調達を行いました。2020年7月には、資本と負債の中間的性質を持つハイブリッド・ファイナンスの一形態である公募ハイブリッド社債1,300億円を発行することにより、事業に必要な資金を調達しながらも、株式の希薄化やROEの低下を回避しつつ財務基盤の強化を図ることで、財務戦略の柔軟性を高めました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは189億円の収入となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比332億円(13.3%)減少し2,169億円となりました。当連結会計年度末の現金及び現金同等物が減少した要因の一つは、前連結会計年度に第三者割当増資により調達した資金で前期末には未使用となっていたものについて、2020年7月のNTT・TCリース株式会社の株式取得資金(603億円)に充当したことであります。
(資金調達の基本方針)
当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ調達先の分散や調達手段の多様化を図ることで、調達の安定性を高めること及び資金コストの低減を基本方針としております。また、ALM(資産・負債総合管理)の実施により、市場リスクについて多面的な分析を行い、各種リスクを適切にコントロールしております。
(資金調達の方法)
当社グループの資金調達は、国内外の金融機関からの借入による間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート、リース債権流動化といった資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
当連結会計年度末において、間接調達は、前期末比886億円(3.6%)増加し2兆5,670億円となりました。
直接調達は、前期末比860億円(4.8%)減少し1兆7,139億円となりました。
資金調達の安定化に向け、調達の長期化を推進するため、短期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの一部償還を行う一方で、長期借入金や社債による調達へと切り替えを進めた結果、当連結会計年度末の長期調達比率は78.3%となり、前期末に比べて10.7ポイント上昇しました。
(流動性の確保)
当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関136行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末の契約総額は、前期末に比べて185億円減額の1兆7,154億円、借入未実行残高は1兆4,146億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。
(資本政策と株主還元方針)
「新・第四次中期経営計画」において最適資本構成を踏まえたバランスシートマネジメントを実施していく方針であります。
2020年2月に第三者割当増資を行い今後の事業成長に必要資金を調達しましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度に親会社株主に帰属する当期純利益800億円という目標を設定し、EPSを向上させながら株主資本コストを上回るROE12%水準を回復することで、投資家の皆さまのご期待に応えていきます。
そのためにも、成長事業への投資において、適切なリスク運営及びアセットコントロールを踏まえたROA向上策への取り組みの強化を図ります。NTTとの間で締結した資本業務提携の第一弾としてリース・ファイナンス事業を手掛ける合弁会社であるNTT・TCリース株式会社に出資したことに加え、NTTアノードエナジー株式会社と2020年3月に締結した基本合意書に基づき、太陽光発電分野における共同事業運営を開始するなど、同グループと不動産、環境・エネルギー事業、グローバル事業等において協業ビジネスなどを推進し、成長分野に資金を配分していきます。
また日通商事株式会社のリース事業分社化に伴い、新設会社日通リース&ファイナンス株式会社への出資も行いました。
資金調達について、内部資金の活用に加え、外部格付を維持・向上させるなど安定的な財務基盤を支える資金調達力を強化しながら有利子負債による調達を進めていきます。
株主還元について、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本とし、成長事業への投資と財務基盤の強化とのバランスを確保しつつ、配当性向の向上について引き続き検討してまいります。当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減益決算となるなか、長期的かつ安定的に利益還元を行ったことにより、一時的に配当性向(連結)は34.2%となりましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度における配当性向30%を目指しております。
③ 経営上の目標の達成状況
当社グループは、「新・第四次中期経営計画」における経営指標として、利益項目だけでなく、安定的な財務基盤を支える資金調達力を強化するため、引き続き自己資本比率を経営指標として採用するとともに、株主資本コストを上回る資本効率を重視していることから、引き続きROEを経営指標として採用しております。
当連結会計年度において、連結経常利益781億円、親会社株主に帰属する当期純利益491億円、連結自己資本比率10.2%、連結ROE8.7%となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内オート事業、スペシャルティ事業の業績が悪化し、2021年3月期の経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はともに減益となりましたが、「新・第四次中期経営計画」最終年度における2023年3月期の目標達成に向けて、2022年3月期は増益を目指しております。
| 2021年3月期 (実績) | 2022年3月期 (予想) | 2023年3月期 (目標) | |
| 連結経常利益 | 781億円 | 1,000億円 | 1,300億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 491億円 | 600億円 | 800億円 |
| 連結自己資本比率 | 10.2% | - | 12% |
| 連結ROE | 8.7% | - | 12% |
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりですが、重要なものは以下のとおりであります。
a. 賃貸資産の減損損失の計上
賃貸資産は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、回収可能価額を使用価値と物件の処分価値の見積り額のいずれか高い金額としています。
経営者は、賃貸資産の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、賃貸資産が回収可能な合理的な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて減損損失の追加計上を実施する可能性があります。
なお、航空機リースにかかる賃貸資産の減損について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)①賃貸資産の減損」に記載のとおりであります。
b. のれんの減損損失の計上
のれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、5年から20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。経営者は、その資産性について、子会社の業績や事業計画等を基に検討を行っており、その検討の内容は合理的であると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、将来において当初想定した収益力もしくは費用削減効果が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c. 貸倒引当金の計上
貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
経営者は、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれております。このため、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合には、将来当社グループが貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
d. 金融商品の時価評価
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額の他、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。有価証券のうち、市場価格のあるものについては、市場価格によっております。
また、時価の把握が極めて困難と認められるものについては、帳簿価額を時価とみなしております。
当社グループで行っているデリバティブ取引は、金利関連取引(金利スワップ取引等)、通貨関連取引(為替予約取引及び通貨スワップ取引等)であり、取引所の価格、割引現在価値やオプション価格計算モデル等により算出した価額によっております。
経営者は、金融商品の時価の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であると判断しております。ただし、当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループにおける時価評価額が変動する可能性があります。
e. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価の見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。
ただし、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて繰延税金資産の取崩し又は追加計上により損益に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動と消費への影響は、ワクチンの普及により地域差はあるものの、徐々に解消すると仮定して、会計上の見積りを行っております。しかしながら、実際の影響については不確定要素が多く、上記仮定に変化が生じた場合には、2021年度以降の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況は次のとおりであります。
① 貸付金の種別残高内訳
| 2021年3月31日現在 | |||||
| 貸付種別 | 件数 (件) | 構成割合 (%) | 残高 (百万円) | 構成割合 (%) | 平均約定金利 (%) |
| 消費者向 | |||||
| 無担保 (住宅向を除く) | - | - | - | - | - |
| 有担保 (住宅向を除く) | - | - | - | - | - |
| 住宅向 | - | - | - | - | - |
| 計 | - | - | - | - | - |
| 事業者向 | |||||
| 計 | 12,994 | 100.00 | 974,234 | 100.00 | 1.66 |
| 合計 | 12,994 | 100.00 | 974,234 | 100.00 | 1.66 |
② 資金調達内訳
| 2021年3月31日現在 | ||
| 借入先等 | 残高(百万円) | 平均調達金利(%) |
| 金融機関等からの借入 | 1,698,502 | 0.43 |
| その他 | 814,655 | 0.37 |
| 社債・CP | 770,855 | 0.38 |
| 合計 | 2,513,157 | 0.41 |
| 自己資本 | 408,865 | - |
| 資本金・出資額 | 81,129 | - |
(注)当期の貸付債権の譲渡の合計額は、5,488百万円であります。
③ 業種別貸付金残高内訳
| 2021年3月31日現在 | ||||
| 業種別 | 先数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
| 製造業 | 379 | 15.58 | 7,275 | 0.75 |
| 建設業 | 72 | 2.96 | 208 | 0.02 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 19 | 0.78 | 31,804 | 3.26 |
| 運輸・通信業 | 105 | 4.32 | 92,643 | 9.51 |
| 卸売・小売業、飲食店 | 547 | 22.48 | 6,034 | 0.62 |
| 金融・保険業 | 80 | 3.29 | 115,956 | 11.90 |
| 不動産業 | 35 | 1.44 | 103,974 | 10.67 |
| サ-ビス業 | 798 | 32.79 | 577,143 | 59.25 |
| 個人 | - | - | - | - |
| その他 | 398 | 16.36 | 39,193 | 4.02 |
| 合計 | 2,433 | 100.00 | 974,234 | 100.00 |
④ 担保別貸付金残高内訳
| 2021年3月31日現在 | ||
| 受入担保の種類 | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
| 有価証券 | 6,471 | 0.66 |
| うち株式 | - | - |
| 債権 | 2,567 | 0.26 |
| うち預金 | - | - |
| 商品 | - | - |
| 不動産 | 14,400 | 1.48 |
| 財団 | - | - |
| その他 | 87,669 | 9.00 |
| 計 | 111,108 | 11.40 |
| 保証 | 5,872 | 0.60 |
| 無担保 | 857,253 | 88.00 |
| 合計 | 974,234 | 100.00 |
⑤ 期間別貸付金残高内訳
| 2021年3月31日現在 | ||||
| 期間別 | 件数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
| 1年以下 | 561 | 4.32 | 279,586 | 28.70 |
| 1年超5年以下 | 11,018 | 84.79 | 291,471 | 29.91 |
| 5年超10年以下 | 1,267 | 9.75 | 290,094 | 29.78 |
| 10年超15年以下 | 51 | 0.39 | 81,039 | 8.32 |
| 15年超20年以下 | 93 | 0.72 | 11,981 | 1.23 |
| 20年超25年以下 | 1 | 0.01 | 27 | 0.00 |
| 25年超 | 3 | 0.02 | 20,033 | 2.06 |
| 合計 | 12,994 | 100.00 | 974,234 | 100.00 |
| 一件当たり平均期間 | 4.97年 | |||
(注) 期間は、約定期間によっております。