訂正有価証券報告書-第30期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2022/12/09 10:09
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【項目】
106項目
業績等の概要
当社は2021年4月1日付で当社の完全子会社である株式会社キャリアデザインITパートナーズを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、当第2四半期累計期間までは連結決算でありましたが、当第3四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。前事業年度において連結財務諸表を作成しておりましたが、上記により当事業年度より連結財務諸表を作成していないため、比較分析は行っておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度(2020年10月1日~2021年9月30日)における我が国経済において、2021年9月に発表された日銀短観では大企業・製造業の景況感は改善しているものの、米中貿易摩擦を背景とした海外経済の不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により依然として先行き不透明な状況が続いております。2021年9月の有効求人倍率は1.16倍と伸び率は前回調査から上昇傾向で推移しており、前述の景気の不透明さを受けて採用活動に対して慎重な姿勢を見せる企業は多いものの、一方でITエンジニアの案件を中心に採用を再開する企業も見られました。
このような状況において、当事業年度における当社の売上高は、計画を大幅に上回る結果となりました。これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言が数回にわたり発令されたことにより、企業の採用意欲は低下傾向となり、当社の業績も影響を受けたものの、各事業においてIT業界を中心に採用需要は回復基調を示し、取引社数が増加したことによるものです。特にメディア情報事業における「エンジニア」マーケットの売上高が改善傾向を示し、前年同期比118.4%となりました。
コスト面につきましては、今期は広告宣伝費を大幅に抑制する計画としておりましたが、売上高が計画を上回って推移したことから、2021年9月期下半期に2.8億円の追加投資を実施し、初のテレビCMや登録者獲得のためのWeb広告を実施するなど、typeブランドのブランディングと登録者の獲得を強化することにより業績の回復を図りました。また、当事業年度における経常利益については、前述の通り広告宣伝に投資を行ったものの想定以上に売上高が増加し、計画を上回る結果となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は、9,436,878千円、利益については、営業利益140,736千円、経常利益155,284千円、当期純利益927,694千円となりました。
なお、参考情報として上記の業績に株式会社キャリアデザインITパートナーズの第2四半期までの業績を加えた場合の売上高は、12,091,967千円、利益については、営業利益342,042千円、経常利益362,478千円となりました。
<事業の種類別の業績>当社は人材サービス事業の単一セグメントでありセグメント情報の記載を省略しているため、事業の種類別に記載しております。
①メディア情報事業
メディア情報事業は、Web求人広告・適職フェア等の商品・サービスを展開しております。
当事業年度におきましては、売上高は計画を大幅に上回る結果となりました。新規案件の開拓強化を進めたことにより「エンジニア」マーケットの売上高は好調に推移しており、「営業」、「女性」マーケットにおいても回復基調を示しております。マーケット別の売上高は「エンジニア」マーケット前年同期比18.4%増、「営業」マーケット同3.2%増、「女性」マーケット同5.5%増となりました。なお、集客面においては、スマートフォンアプリやAIを搭載した求人提案機能の改修・強化をはじめ、Webメディア『エンジニアtype』にてエンジニア向けにオンラインカンファレンスを実施するなど、新たな集客施策を実施したことにより『type』『女の転職type』ともに登録者ならびに応募者獲得は計画通りに推移しております。また、広告宣伝費は大幅に削減する計画としておりましたが、想定よりも売上高が計画を上回って推移したことから、2021年9月期下半期に2.8億円の追加投資を実施し、登録者の獲得を強化いたしました。
以上の結果、当事業年度におけるメディア情報事業の売上高は3,930,266千円となりました。
②人材紹介事業
人材紹介事業は、ご登録いただいた求職者の方に最適な求人案件をご紹介する登録型人材紹介を運営しております。
当事業年度におきましては、売上高は計画通りの結果となりました。「女性」マーケットにおきましては成約件数が伸び悩んだものの、「エンジニア」マーケットは回復傾向にあり、また「営業」マーケットの成約件数が堅調に推移いたしました。一方で、登録者獲得につきましては、引き続き競合他社との競争が激化しており、新規登録者はやや鈍化しておりますが、各種経路からの登録獲得を強化し、成約件数の増加を図って参ります。
以上の結果、当事業年度における人材紹介事業の売上高は1,981,399千円となりました。
③新卒メディア事業
新卒メディア事業は、新卒者を対象とする就職イベント・情報誌等の商品・サービスを展開しております。
当事業年度におきましては、売上高は計画を大幅に上回る結果となりました。主に新規案件の開拓を強化したことと、2023年度卒業予定の学生を対象としたイベントの拡販が順調に推移し、取引社数が増加したことによるものです。イベントは引き続きオンラインでの開催をするとともに、求人企業の個社別の採用ニーズに合わせた個別セミナーの販売も順調に推移いたしました。
集客面におきましては、イベントをオンライン化したことにより、前期までは東京・関西での集客が中心となっておりましたが、全国での集客の強化につながり、好調に推移いたしました。また、新しい取組みとしてオンラインで開催した「女性×IT」をテーマに掲げたインターンシップイベントではIT・メーカー・コンサルなど、 様々な業界でテクノロジーに強みを持つ企業にご参加いただき、集客は好調に推移いたしました。
以上の結果、当事業年度における新卒メディア事業の売上高は454,078千円となりました。
④新卒紹介事業
新卒紹介事業は、ご登録いただいた学生の方に最適な新卒採用案件をご紹介する登録型新卒紹介を運営しております。
当事業年度におきましては、売上高は計画を大幅に上回る結果となりました。求人案件と登録者の獲得が順調に推移しており、2022年度卒業予定の学生についてはIT業界の案件を中心に成約件数が増加し、2023年度卒業予定の学生は就職活動が早期化の傾向を示しており、案件の開拓を強化したことにより成約件数が増加しました。
以上の結果、当事業年度における新卒紹介事業の売上高は166,140千円となりました。
⑤IT派遣事業
IT派遣事業は、当社にご登録いただいた登録者の中から、求人企業の採用ニーズに最適な人材を派遣する一般労働者派遣を運営しております。
当事業年度におきましては、売上高は計画を大幅に上回る結果となりました。引き続き強みとする「エンジニア」マーケットを中心に案件獲得を強化したことにより、派遣スタッフの新規稼働人数が好調に推移いたしました。また、登録者獲得については引き続き各登録経路を強化したことにより、新規登録者は順調に推移いたしました。
以上の結果、当事業年度におけるIT派遣事業の売上高は2,904,996千円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、前事業年度末まで連結財務諸表提出会社であったため、連結キャッシュ・フロー計算書を作成しており、キャッシュ・フロー計算書は作成しておりませんでした。このため、当事業年度については、前事業年度との比較は行っておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、2,519,310千円となりまし
た。これは、連結子会社の合併による資金の増加843,112千円のほか、以下の要因によるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果得られた資金は、633,913千円でありました。主な増加要因は、税引前当期純利益
968,782千円、減価償却費328,301千円、法人税等の還付額42,802千円などの計上であり、主な減少要因は、抱合
せ株式消滅差益839,363千円、売上債権の増減額101,483千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果使用した資金は、431,883千円でありました。これは、無形固定資産の取得による
支出が404,779千円、有形固定資産の取得による支出が23,796千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果使用した資金は、122,119千円でありました。これは、配当金の支払額が
135,087千円あったこと等によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社は人材サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
①生産実績
当社の主たる業務は、Web・情報誌による求人情報提供サービス、人材紹介、人材派遣等の事業であり、いずれも製造会社のような生産設備を保有しておりません。
したがって事業の性格上、生産能力及び生産実績の記載は行っておりません。
②受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
③販売実績
当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
事業別の名称当事業年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
メディア情報事業 (千円)3,930,266
人材紹介事業 (千円)1,981,399
新卒メディア事業 (千円)454,078
新卒紹介事業 (千円)166,140
IT派遣事業 (千円)2,904,996
合計9,436,878

(注)1.事業間の取引については相殺消去しております。
2.当第3四半期累計期間より非連結決算に移行したことから、前年同期比については記載しておりません。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度末における資産及び負債の増減には、2021年4月1日の吸収合併による資産及び負債の増加分が含まれております。
①財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は4,082,869千円となり、前事業年度末に比べ1,519,829千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が923,023千円増加、売掛金が782,924千円増加し、その他が184,792千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,775,661千円となり、前事業年度末に比べ20,587千円増加いたしました。これは無形固定資産が67,201千円増加、投資その他の資産が41,665千円減少、有形固定資産が4,948千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は1,693,722千円となり、前事業年度末に比べ710,099千円増加いたしました。これは主に未払費用が425,586千円増加、その他が249,765千円増加、未払法人税等が56,640千円増加、短期借入金が33,000千円増加、賞与引当金が13,414千円増加、未払金が51,288千円減少、1年内返済予定の長期借入金が20,032千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は216,570千円となり、前事業年度末に比べ37,624千円増加いたしました。これは主に退職給付引当金が37,560千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は3,948,237千円となり、前事業年度末に比べ792,694千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が792,694千円増加したことによるものであります。
②経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照下さい。
③キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、Webシステム開発等の設備投資によるものであります。
当社の運転資金は、営業活動によって獲得した自己資金の充当を基本とし、資金需要等を考慮した上で外部資金調達手段として金融機関からの借入により調達することとしております。なお、当社は、運転資金の安定的かつ効率的な調達を行うため、借入限度額2,500,000千円のコミットメントライン契約を主幹事の株式会社三菱UFJ銀行と締結しております。当該契約に基づく2021年9月30日現在の借入れ実行残高はございません。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。