有価証券報告書-第21期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/24 12:49
【資料】
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【項目】
152項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調を維持しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により、急速な減速に転じ、その後は厳しい状況で推移いたしました。
インターネット広告市場は、動画広告等の伸長により、2019年はテレビメディア広告費を超え、前年比19.7%増の2兆1,048億円となりました(株式会社電通調べ)。一方、2020年4月から6月においては、インターネット広告費が前年同期比14.2%の減少となる(特定サービス産業動態統計調査)など落ち込みも見られました。
こうした事業環境のもと、新しい生活様式に対応しながら、当社グループは、「広告事業における収益基盤の強化」「メディアの開発・育成・強化」「グローバル展開の推進」に取り組んでまいりました。
インターネット広告事業では、アフィリエイトサービス「アクセストレード」において、一部カテゴリが新型コロナウイルスの拡大による店舗営業自粛の影響を受けた一方、個人の投資需要を取り込み「金融」カテゴリが伸長いたしました。また、店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」を展開する株式会社ストアフロントにおいては、携帯電話販売店舗等の店頭受付業務が縮小する厳しい状況の中、収益構造の転換を図り、ストック型商材の獲得に注力いたしました。
メディア運営事業では、ママ向け情報サイト「ママスタ」等で培ったメディア運営ノウハウの活用と教育ジャンルの拡大を図り、2020年4月に学習塾ポータルサイト「塾シル」を運営する株式会社ユナイトプロジェクトの全株式を取得し、連結子会社化しました。
海外事業では、新型コロナウイルスによる営業活動制限の影響が見られたものの、現地メディアパートナーの獲得を積極的におこないました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は24,880百万円(前連結会計年度比12.9%減)、営業利益は452百万円(同48.5%減)、経常利益は485百万円(同45.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は258百万円(同42.0%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<インターネット広告事業>当連結会計年度のインターネット広告事業において、主力の「アクセストレード」では、新型コロナウイルス感染症拡大防止による巣ごもり需要の増加により「Eコマース」カテゴリでは食品や飲料水等の宅配関連サービスが好調に推移したほか、「金融」カテゴリでは個人による口座開設の影響により証券が大きく伸長いたしました。また、英会話などオンライン教育サービスやマッチングアプリなど、新たな成長カテゴリの開拓に尽力しました。一方、前年度に発生した大型案件の受注が停滞したことや、人材関連やエステ等「サービス」カテゴリの需要減少を受け、収益は伸び悩みました。
「ストアフロントアフィリエイト」では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店頭受付業務縮小の影響を受けましたが、スマートフォン向けセキュリティ商品を扱う「МWノートンストア」におけるストック収益の獲得に注力し、収益構造の転換を推進いたしました。
海外事業では、大手EC事業者や「金融」カテゴリの獲得、オンラインセミナーの開催など現地メディアパートナーの新規開拓に注力し、海外向け登録パートナー数は約60万サイトに拡大いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は23,700百万円(前連結会計年度比14.4%減)となり、営業利益は699百万円(同20.9%減)となりました。
<メディア運営事業>当連結会計年度のメディア運営事業は、新たなメディアの開発やコンテンツの拡充に注力し、インターネット広告事業から人員をシフトし投資を継続いたしました。また、新型コロナウイルスの影響によるネットワーク広告単価の下落が見られたものの、「ママスタ」において、大手ポータルサイトとの提携により記事閲覧数が大幅に増加し、月間閲覧数が2億PVを突破するなど、収益の確保に努めました。また、同サイトは「ママスタジアム」から略称の「ママスタ」を正式名称とし、ロゴデザインのリニューアルをおこなうなど、ブランドイメージの統合に注力いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は1,563百万円(前連結会計年度比44.9%増)となりましたが、営業損失は247百万円(前連結会計年度は営業損失6百万円)となりました。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は7,736百万円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が55百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が44百万円増加したことによるものであります。固定資産は1,503百万円となり、前連結会計年度末と比べ157百万円増加いたしました。これは有形固定資産が68百万円減少したこと、無形固定資産が274百万円増加したこと、投資その他の資産が49百万円減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は9,239百万円となり、前連結会計年度末に比べ147百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,047百万円となり、前連結会計年度末に比べ19百万円増加いたしました。これは主に買掛金が253百万円増加したこと、未払法人税等が191百万円減少したことによるものであります。固定負債は69百万円となり、前連結会計年度末と比べ10百万円減少いたしました。
この結果、負債合計は4,117百万円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益258百万円及び剰余金の配当115百万円により、利益剰余金が143百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、55.4%(前連結会計年度末は54.8%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ、55百万円減少し、4,348百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収入は604百万円(前連結会計年度は780百万円の収入)となりました。
主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益456百万円、減価償却費229百万円、仕入債務の増加額254百万円によるものであります。主な資金減少要因は、売上債権の増加額44百万円、未払消費税等の減少額44百万円、法人税等の支払額361百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金支出は506百万円(同347百万円の支出)となりました。
主な資金減少要因は、有形固定資産の取得による支出88百万円、無形固定資産の取得による支出162百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出264百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金支出は120百万円(同97百万円の支出)となりました。
主な資金減少要因は、配当金の支払額115百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動はおこなっておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループにおいては、受注高および受注残高の金額に重要性がないため記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
前年同期比(%)
インターネット広告 (千円)23,688,619△14.4
メディア運営 (千円)1,191,829+34.7
合計 (千円)24,880,448△12.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年10月1日
至 2019年9月30日)
当連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社DAサーチ&リンク3,558,82212.5--

(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績については連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、この連結財務諸表作成にあたり必要となる会計上の見積りは、合理的な基準に基づいておこなっております。会計上の見積りは、その性質上入手し得る情報や判断に基づいておこなうため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり将来の課税所得およびタックス・プランニングを合理的に予測し、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。経営環境等の変化により、将来の課税所得およびタックス・プランニングに関する予測が変動する場合、繰延税金資産の計上金額が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち収益性が著しく低下した資産または資産グループについて、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
売上高は、修正後の連結業績予想26,000百万円を下回る24,880百万円となりました。売上高の詳細については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
利益につきましては、営業利益は当初連結業績予想400百万円を上回ったものの修正後連結業績予想520百万円を下回る452百万円となりました。経常利益も当初連結業績予想400百万円を上回ったものの修正後連結業績予想520百万円を下回る485百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当初連結業績予想260百万円、修正後連結業績予想330百万円に対し、258百万円となりました。
メディア事業の伸長および営業コスト縮小により連結業績予想を修正しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による一部クライアントの広告需要の縮少等もあり、以上のような結果となりました。
b.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループにおける資金需要の主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用等に係る運転資金ならびにシステム開発等に係る設備投資資金であります。当社グループは事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するために、資金は内部資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて銀行借入もしくは社債発行による資金調達を実施する方針であります。
当連結会計年度末における内部資金および上記の資金調達を併用することにより、当社グループの事業を継続していくうえで十分な手元流動性の確保するとともに、必要とされる運転資金および設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,348百万円であり、借入金の残高はありませんでした。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、法的規制、海外展開に伴うリスク等の要因に重大な影響を受ける可能性があります。当社は、内部統制の運用、コンプライアンスに関する教育および関係子会社の適切な管理等をおこなうことにより、これらのリスク要因に対応してまいります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「売上高」「営業利益」の2指標を重視しております。第22期において、当社グループは「広告事業における収益基盤の強化」「メディアの開発と育成」「グローバル展開の推進」をおこなうことで、「売上高」「営業利益」を成長させ企業価値の向上を目指してまいります。