有価証券報告書-第44期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、海外景気の緩やかな回復もあり、輸出入に持ち直しが見られるなど、企業の生産活動や設備投資も緩やかに増加し、企業収益は改善しております。個人消費につきましても、雇用情勢は着実な改善と給与総額も緩やかに増加するなど、全体として回復基調が続きました。
北海道経済におきましても、公共投資や住宅投資が減少しているものの、企業の設備投資は緩やかに増加しており、観光においては24ヵ月連続で道内外国人入国者数が前年を上回るなど、企業の業況感は改善しております。雇用や所得環境の改善もあり、個人消費についても回復基調が続いていることから、道内経済全体として持ち直しの傾向が続いております。
このような環境の中、当社グループ(当社及び連結子会社)の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界は、回復基調にある国内経済に反して、伸びを欠く低調な動きとなっております。中でも近年のマスコミ四媒体広告分野と折込・ダイレクトメール分野の減少傾向は続いており、インターネット広告分野のみが増加傾向となっていることからも、デジタルマーケティング分野への移行と広告効果の最適化が進んでおります。
このような業界動向の中で、当社は新たな収益領域として、観光インバウンドや地方創生事業を中心とした官公庁事業の受託と、近年強化しているデジタルマーケティング分野の売上高が拡大したものの、既存クライアントにおいて新たな広告手法を求めるといった最適化への動きが続いており、新聞折込チラシ分野の減少額を挽回するまでには至らなかったため、当連結会計年度においては前連結会計年度と比較して減収減益の業績となりました。
主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債権投資事業においては、経年に伴い回収可能債権額が減少しているものの、順調に回収が進み、新規の融資実行も増加したため、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
介護福祉事業は、既存事業所について概ね計画通りの業績で推移しております。加えて、平成29年1月に開設したグループホームふわり藻岩下の売上高の増加が寄与し、前連結会計年度比で増収となっておりますが、当該事業所において当初の計画より入居率の向上の時間を要したことと、人手不足を背景に人材採用経費が増加したことから、当連結会計年度においては若干の損失計上となりました。なお、グループホームふわり藻岩下は、入居率高水準を維持し単月黒字化していることから、今後は収益に貢献できる見込みであります。
ケアサービス事業においても、第4四半期連結会計期間の延べ来院数は当初計画に対して大幅に増加したものの、第1四半期に発生した有資格者の採用時期のずれ込みと、それにより発生した延べ来院数の低調な推移と人材採用経費の増加を補填することができず、前連結会計年度と比較して12%以上の増収となったものの、継続して損失計上となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、広告・マーケティング事業における新聞折込チラシ受注減少の影響がありましたが、債権投資事業における債権回収や新規融資実行、介護福祉事業とケアサービス事業における新規事業所の売上拡大が寄与した結果、売上高は2,083,627千円(前連結会計年度比3.8%増)、売上総利益は412,232千円(同3.7%増)となりました。
広告・マーケティング事業、介護福祉事業、ケアサービス事業に共通して長期安定的な事業運営をするための人材確保を目的とした人材採用及び人件費が増加したことから、営業利益は16,727千円(同10.5%減)、経常利益は14,089千円(同33.4%減)となり、好調な債権投資事業の利益が拡大した影響による税金費用の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は4,760千円(同1.9%減)となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「プロモーションパートナー事業」としていた報告セグメントの名称を「広告・マーケティング事業」に変更しております。当該変更はセグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響は一切ありません。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業分野である広告業界においては、国内全体としても低調な動きがみられており、北海道においても、クライアント企業がより直接的な集客効果や売上拡大効果を広告販促費に求め、マスコミ四媒体広告分野の減少傾向とインターネット広告を含むデジタルマーケティング分野への移行傾向は強まっており、競争環境は厳しくなっております。
このような環境の中、当社の強みであるデザインとマーケティング調査に基づいた企画提案力の強化を進めるとともに、デジタルマーケティング分野のサービスを拡大することで、より売上高に直結する広告効果が高く、実施後には費用対効果が検証可能なサービスの提案を行ってまいりました。
その結果、既存クライアントからの受注拡大と新規クライアントの獲得につながり、官公庁事業での実績も増えてまいりました。また、当社は新たな収益領域として観光インバウンドや地方創生事業を中心とした官公庁事業の受託と近年強化しているデジタルマーケティング分野の売上高が拡大したものの、既存サービスへの影響として新聞折込チラシ分野の減少額が大きく、それを挽回するまでには至らなかったこと、並びに人材増加を目的とした人材採用及び人件費が増加したことから、当連結会計年度においては前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,664,161千円(前連結会計年度比2.3%減)となり、セグメント利益は88,611千円(同33.9%減)となりました。
<参考・当社における品目別の売上高>当社個別業績における商品品目別の売上高と前事業年度からの増減は次のとおりです。
新聞折込チラシの売上高338,750千円(前年同期比10.2%減)
マスメディア4媒体の売上高520,909千円(同0.4%減)
販促物の売上高616,518千円(同3.0%減)
その他品目の売上高187,983千円(同12.5%増)
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、近年の傾向として景気の回復を背景として倒産企業件数が減少していることから、金融機関等から市場へ出る金融債権は近年低調となっておりますが、依然として金融機関等が有していた債権の取扱債権件数及び取扱債権額の多くを占めている状況です。その中、取扱債権数は前年度より6.0%増加した年間1,206万件と4年連続の増加となっており、サービサーへ譲渡された取扱債権額は年間14.4兆円と前期と比較して0.3兆円の微増の環境となっております(平成30年5月15日付 法務省 統計調査 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
また、平成30年2月9日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権)の状況によれば、その残高は平成29年9月期には全国銀行合計で7.0兆円となっており、一年前の平成28年9月期と比較して0.7兆円の減少となっておりますが、一定水準の残高を金融機関が保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で推移することが想定されます。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としております。債権の回収が順調に進み、債権購入からの経年により回収可能な債権が減少してきているものの、当連結会計年度においては、債権回収並びに新規融資の実行により、当初予想よりも好調であったことなどから、計画を大幅に上回る増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は108,121千円(前連結会計年度比127.0%増)となり、セグメント利益は41,462千円(同280.9%増)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現などを図り、債権回収額の回復などによる収益の確保に努めてまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅2ヶ所を運営し、新規開設を除く営業施設のグループホームの入居率は97.5%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は91.0%となりました。なお、入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
当該事業セグメントでは、平成29年1月4日にグループホームふわり藻岩下(2ユニット18名定員)を開設しており、入居者の生活に影響が無いペースで受け入れを行ったため、第2四半期まで計画入居率を下回っておりましたが、第3四半期以降は計画の入居率を達成しており、6月30日時点での当該施設の入居状況は満室となったため、当連結会計年度のグループホーム全体の入居率は88.7%まで改善しております。
以上の結果、第2四半期までの入居率未達の影響があるものの、グループホームふわり藻岩下の売上高が寄与し、当連結会計年度の売上高は276,003千円(前連結会計年度比 19.7%増)と増収になりましたが、介護業界全般の問題となっている人手不足を解消するための人材採用経費が増加したことから、のれんを4,661千円償却したセグメント損失は741千円(前連結会計年度は17,441千円のセグメント損失)となり、業績を大きく改善することができましたが、損失計上となりました。
4)ケアサービス事業
当社グループにおける当該事業セグメントの営業施設は、1店舗になります。適正な来院者数を集客し継続的に維持することにより、業績の改善と採算を軌道に乗せ、当社グループ全体の収益安定化に貢献するよう取り組んでまいりました。
広告戦略の見直しを行い、新規来院者数の増加に努めるとともに、来院者に対して適切な頻度での来院を促すことで、第4四半期連結会計期間の延べ来院数は当初計画に対して大幅に増加いたしましたが、第1四半期に発生した有資格者の採用時期のずれ込みによる延べ来院数の低調な推移と人材採用経費の増加を補填することができず、前年同期と比較して増収となったものの、損失計上となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は41,001千円(前連結会計年度比12.7%増)となり、セグメント損失7,508千円(前連結会計年度は8,519千円のセグメント損失)となりました。
引続き、「ほねつぎ伏古はり灸接骨院」に対する地域の認知度を高めることにより新規来院者数と再来院頻度を増やし、丁寧な施術対応とサービスの向上によって安定的な来院者数の確保と維持に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、60,744千円減少して261,790千円(前年同期は140,446千円増加して322,535千円)となりました。その主な要因は、営業貸付金の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローが198,064千円の資金支出となったものの、定期預金の払戻による収入による投資活動によるキャッシュ・フローが46,321千円及び短期借入金の増加により、財務活動キャッシュ・フローが90,998千円の資金収入となったことによるものです。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは198,064千円の資金支出(前年同期は116,836千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を14,089千円計上したことに加えて、営業貸付金の増加による支出225,310千円、減価償却費の計上19,220千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは46,321千円の資金収入(前年同期は94,971千円の資金支出)となりました。その主な要因は、定期預金の払戻による収入58,862千円が、有形固定資産の取得による支出3,691千円、無形固定資産の取得による支出8,717千円等を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは90,998千円の資金収入(前年同期は118,581千円の資金収入)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額126,000千円が、長期借入金の返済による支出16,258千円、リース債務の返済による支出5,201千円及び配当金の支払いによる支出13,541千円を上回ったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
(2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
(3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4、会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、新聞折込チラシ分野の減少と増員等により経費増加の結果、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を下回りました。また、債権投資事業は、債権回収と新規融資の実行により、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を大きく上回りました。その他の介護福祉事業はグループホームの開設効果による売上高は増加し、ケアサービス事業も認知度向上と集客戦略の効果により売上高は増加することができ、ともにセグメント損失を前年同期よりも改善することができました。なお、詳細は「業績等の概要(1)業績」に記載しておりますのでご参照ください。
(売上高、売上総利益)
当連結会計年度の売上高は2,083,627千円(前年同期比3.8%増)、売上総利益は412,232千円(同3.7%増)、売上総利益率は0.02ポイント低下して19.8%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、395,505千円(前年同期比4.4%増)となりました。営業利益は、16,727千円(同10.5%減)となり、売上高営業利益率は、0.1ポイント低下して0.8%となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入等により2,097千円(前年同期比58.0%減)となり、営業外費用は、支払利息4,525千円等を計上し4,734千円(同86.3%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、14,089千円(前年同期比33.4%減)となり、売上高経常利益率は、0.4ポイント低下し0.7%となりました。
(特別損益)
当連結会計年度は特別利益、特別損失ともに計上はありません。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の増加によって、4,760千円(前年同期比1.9%減)となりました。売上高親会社株主に帰属する当期純利益率は、0.01ポイント低下し0.2%となりました。
(3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産合計は821,291千円(前連結会計年度末698,905千円)となりました。その主な内訳は、現金及び預金296,990千円(同416,598千円)、受取手形及び売掛金229,546千円(同233,100千円)営業貸付金240,928千円(同15,618千円)であります。
固定資産合計は248,270千円(同258,720千円)となりました。その内訳は、有形固定資産169,352千円(同184,327千円)、のれん18,714千円を含む無形固定資産27,615千円(同24,122千円)、投資その他の資産51,302千円(同50,270千円)であります。
以上の結果、総資産の残高は1,069,561千円(同957,625千円)となりました。
(負債)
流動負債合計は415,247千円(同273,085千円)となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金118,320千円(同117,433千円)、電子記録債務63,448千円(同73,203千円)、短期借入金126,000千円(同-千円)であります。
固定負債合計は193,650千円(同215,154千円)となりました。その主な内訳は、長期借入金154,296千円(同170,554千円)であります。
以上の結果、負債合計は608,898千円(同488,240千円)となりました。
(純資産)
当連結会計年度における純資産合計は、460,663千円(同469,385千円)となりました。その主な内訳は、資本金139,255千円(同139,255千円)、利益剰余金272,153千円(同280,875千円)であります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ。フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
設備資金需要としては、介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社は44年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。当社グループにおける主たる事業である広告・マーケティング事業では、独自の企画提案力充実のために制作部門及び営業部門の強化を継続して進めて参りました。今後も、広告費の費用対効果検証に対応するために企画提案力の充実を図り、引続きスタッフの増強並びに体制強化を進める予定です。
当社グループは次の8点を重点として営業活動を展開して参ります。
①「マーケティングパートナーの位置付け」としてのクライアント企業を増やす。
「マーケティングパートナーの位置付け」とは、単発の案件ごとの受注ではなく、全社的または年間の広告宣伝や販促計画に関与し、クライアント企業の営業部門や販促部門と共同で計画を作成して、その結果として個々の案件の受注が導かれるとの意味です。当社グループを、そのような「マーケティングパートナー」と位置付けをしていただくクライアント企業を、1社ずつ確実に増やしていくべく営業活動を展開します。
② 既存顧客からの受注を拡大する。
既存クライアント企業の顧客満足度をより一層高めることにより、当社グループに対する評価をより高め、さらに集客戦略や販促戦略に有効で新規性のある独自の企画提案をして、クライアント企業の業績向上に寄与するとともに当社グループへの受注を拡大するべく営業活動を展開します。
③ 新規顧客の獲得。
当社グループの強みを活かした魅力ある企画提案による差別化により、新規顧客の獲得に注力します。特に、札幌圏を中核とした地方都市を拠点とするクライアント企業に対して、企業イメージ広告と集客広告との効果的な融合を実現する当社グループ独自のプロモーション企画を提案し新規の受注に努めます。
④ デジタルマーケティング並びにダイレクトマーケティングの強化。
クライアント企業による広告戦略の見直し、及び広告宣伝費の費用対効果の検証の傾向が継続するものと予想されます。マスメディア4媒体等の従来のアナログ媒体に加えて、Web広告やSNS等のデジタルマーケティング並びにダイレクトメール等のダイレクトマーケティングを効果的に組み合わせた広告販促手段を「ワンストップ」で提供できる企画提案力を強化します。
⑤ ASEANビジネスと地方創生に貢献する。
台湾やタイ・ベトナム等のASEAN諸国からの観光客に対する北海道ブランドの人気を活用するインバウンドビジネスがますます重要となるものと想定されます。また、北海道企業や地方自治体が農産品を主体として同諸国へ輸出しようとするアウトバウンドビジネスも重要性を増しております。一方、道内各地方自治体は、国の政策にもとづき移住促進や特産品の開発等、今後より一層、地方創生の取り組みを強化するものと想定されます。このような「北海道の魅力」を効果的に発信するためのコンサルティング力を高める計画です。
⑥ 投資対象債権の補充。
債権投資事業は事業の性格上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の回復を図ります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を進めて参ります。
⑦ 介護福祉事業の収益拡大。
当該事業分野においては、既存施設の適正な入居率を維持継続することを最重点とし、加えて、原価及び経費の見直し等の改善を維持することにより、既存施設の運営において当社グループの業績に貢献する収益を確保することを基本とし、引き続き、新規施設開設等による事業規模拡大の活動を進めて、当社グループの収益への貢献を拡大する計画です。
⑧ ケアサービス事業の規模拡大。
「ほねつぎ接骨院チェーン加盟契約」を締結したアトラ株式会社の指導・協力を得て、北海道で初の「ほねつぎ」接骨院を運営しております。今後、順次拡大して札幌市内に複数の開設を実現した後に、札幌市以外の北海道他都市にての開設を検討する計画です。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、海外景気の緩やかな回復もあり、輸出入に持ち直しが見られるなど、企業の生産活動や設備投資も緩やかに増加し、企業収益は改善しております。個人消費につきましても、雇用情勢は着実な改善と給与総額も緩やかに増加するなど、全体として回復基調が続きました。
北海道経済におきましても、公共投資や住宅投資が減少しているものの、企業の設備投資は緩やかに増加しており、観光においては24ヵ月連続で道内外国人入国者数が前年を上回るなど、企業の業況感は改善しております。雇用や所得環境の改善もあり、個人消費についても回復基調が続いていることから、道内経済全体として持ち直しの傾向が続いております。
このような環境の中、当社グループ(当社及び連結子会社)の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界は、回復基調にある国内経済に反して、伸びを欠く低調な動きとなっております。中でも近年のマスコミ四媒体広告分野と折込・ダイレクトメール分野の減少傾向は続いており、インターネット広告分野のみが増加傾向となっていることからも、デジタルマーケティング分野への移行と広告効果の最適化が進んでおります。
このような業界動向の中で、当社は新たな収益領域として、観光インバウンドや地方創生事業を中心とした官公庁事業の受託と、近年強化しているデジタルマーケティング分野の売上高が拡大したものの、既存クライアントにおいて新たな広告手法を求めるといった最適化への動きが続いており、新聞折込チラシ分野の減少額を挽回するまでには至らなかったため、当連結会計年度においては前連結会計年度と比較して減収減益の業績となりました。
主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債権投資事業においては、経年に伴い回収可能債権額が減少しているものの、順調に回収が進み、新規の融資実行も増加したため、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
介護福祉事業は、既存事業所について概ね計画通りの業績で推移しております。加えて、平成29年1月に開設したグループホームふわり藻岩下の売上高の増加が寄与し、前連結会計年度比で増収となっておりますが、当該事業所において当初の計画より入居率の向上の時間を要したことと、人手不足を背景に人材採用経費が増加したことから、当連結会計年度においては若干の損失計上となりました。なお、グループホームふわり藻岩下は、入居率高水準を維持し単月黒字化していることから、今後は収益に貢献できる見込みであります。
ケアサービス事業においても、第4四半期連結会計期間の延べ来院数は当初計画に対して大幅に増加したものの、第1四半期に発生した有資格者の採用時期のずれ込みと、それにより発生した延べ来院数の低調な推移と人材採用経費の増加を補填することができず、前連結会計年度と比較して12%以上の増収となったものの、継続して損失計上となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、広告・マーケティング事業における新聞折込チラシ受注減少の影響がありましたが、債権投資事業における債権回収や新規融資実行、介護福祉事業とケアサービス事業における新規事業所の売上拡大が寄与した結果、売上高は2,083,627千円(前連結会計年度比3.8%増)、売上総利益は412,232千円(同3.7%増)となりました。
広告・マーケティング事業、介護福祉事業、ケアサービス事業に共通して長期安定的な事業運営をするための人材確保を目的とした人材採用及び人件費が増加したことから、営業利益は16,727千円(同10.5%減)、経常利益は14,089千円(同33.4%減)となり、好調な債権投資事業の利益が拡大した影響による税金費用の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は4,760千円(同1.9%減)となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「プロモーションパートナー事業」としていた報告セグメントの名称を「広告・マーケティング事業」に変更しております。当該変更はセグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響は一切ありません。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業分野である広告業界においては、国内全体としても低調な動きがみられており、北海道においても、クライアント企業がより直接的な集客効果や売上拡大効果を広告販促費に求め、マスコミ四媒体広告分野の減少傾向とインターネット広告を含むデジタルマーケティング分野への移行傾向は強まっており、競争環境は厳しくなっております。
このような環境の中、当社の強みであるデザインとマーケティング調査に基づいた企画提案力の強化を進めるとともに、デジタルマーケティング分野のサービスを拡大することで、より売上高に直結する広告効果が高く、実施後には費用対効果が検証可能なサービスの提案を行ってまいりました。
その結果、既存クライアントからの受注拡大と新規クライアントの獲得につながり、官公庁事業での実績も増えてまいりました。また、当社は新たな収益領域として観光インバウンドや地方創生事業を中心とした官公庁事業の受託と近年強化しているデジタルマーケティング分野の売上高が拡大したものの、既存サービスへの影響として新聞折込チラシ分野の減少額が大きく、それを挽回するまでには至らなかったこと、並びに人材増加を目的とした人材採用及び人件費が増加したことから、当連結会計年度においては前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,664,161千円(前連結会計年度比2.3%減)となり、セグメント利益は88,611千円(同33.9%減)となりました。
<参考・当社における品目別の売上高>当社個別業績における商品品目別の売上高と前事業年度からの増減は次のとおりです。
新聞折込チラシの売上高338,750千円(前年同期比10.2%減)
マスメディア4媒体の売上高520,909千円(同0.4%減)
販促物の売上高616,518千円(同3.0%減)
その他品目の売上高187,983千円(同12.5%増)
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、近年の傾向として景気の回復を背景として倒産企業件数が減少していることから、金融機関等から市場へ出る金融債権は近年低調となっておりますが、依然として金融機関等が有していた債権の取扱債権件数及び取扱債権額の多くを占めている状況です。その中、取扱債権数は前年度より6.0%増加した年間1,206万件と4年連続の増加となっており、サービサーへ譲渡された取扱債権額は年間14.4兆円と前期と比較して0.3兆円の微増の環境となっております(平成30年5月15日付 法務省 統計調査 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
また、平成30年2月9日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権)の状況によれば、その残高は平成29年9月期には全国銀行合計で7.0兆円となっており、一年前の平成28年9月期と比較して0.7兆円の減少となっておりますが、一定水準の残高を金融機関が保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で推移することが想定されます。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としております。債権の回収が順調に進み、債権購入からの経年により回収可能な債権が減少してきているものの、当連結会計年度においては、債権回収並びに新規融資の実行により、当初予想よりも好調であったことなどから、計画を大幅に上回る増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は108,121千円(前連結会計年度比127.0%増)となり、セグメント利益は41,462千円(同280.9%増)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現などを図り、債権回収額の回復などによる収益の確保に努めてまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅2ヶ所を運営し、新規開設を除く営業施設のグループホームの入居率は97.5%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は91.0%となりました。なお、入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
当該事業セグメントでは、平成29年1月4日にグループホームふわり藻岩下(2ユニット18名定員)を開設しており、入居者の生活に影響が無いペースで受け入れを行ったため、第2四半期まで計画入居率を下回っておりましたが、第3四半期以降は計画の入居率を達成しており、6月30日時点での当該施設の入居状況は満室となったため、当連結会計年度のグループホーム全体の入居率は88.7%まで改善しております。
以上の結果、第2四半期までの入居率未達の影響があるものの、グループホームふわり藻岩下の売上高が寄与し、当連結会計年度の売上高は276,003千円(前連結会計年度比 19.7%増)と増収になりましたが、介護業界全般の問題となっている人手不足を解消するための人材採用経費が増加したことから、のれんを4,661千円償却したセグメント損失は741千円(前連結会計年度は17,441千円のセグメント損失)となり、業績を大きく改善することができましたが、損失計上となりました。
4)ケアサービス事業
当社グループにおける当該事業セグメントの営業施設は、1店舗になります。適正な来院者数を集客し継続的に維持することにより、業績の改善と採算を軌道に乗せ、当社グループ全体の収益安定化に貢献するよう取り組んでまいりました。
広告戦略の見直しを行い、新規来院者数の増加に努めるとともに、来院者に対して適切な頻度での来院を促すことで、第4四半期連結会計期間の延べ来院数は当初計画に対して大幅に増加いたしましたが、第1四半期に発生した有資格者の採用時期のずれ込みによる延べ来院数の低調な推移と人材採用経費の増加を補填することができず、前年同期と比較して増収となったものの、損失計上となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は41,001千円(前連結会計年度比12.7%増)となり、セグメント損失7,508千円(前連結会計年度は8,519千円のセグメント損失)となりました。
引続き、「ほねつぎ伏古はり灸接骨院」に対する地域の認知度を高めることにより新規来院者数と再来院頻度を増やし、丁寧な施術対応とサービスの向上によって安定的な来院者数の確保と維持に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、60,744千円減少して261,790千円(前年同期は140,446千円増加して322,535千円)となりました。その主な要因は、営業貸付金の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローが198,064千円の資金支出となったものの、定期預金の払戻による収入による投資活動によるキャッシュ・フローが46,321千円及び短期借入金の増加により、財務活動キャッシュ・フローが90,998千円の資金収入となったことによるものです。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは198,064千円の資金支出(前年同期は116,836千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を14,089千円計上したことに加えて、営業貸付金の増加による支出225,310千円、減価償却費の計上19,220千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは46,321千円の資金収入(前年同期は94,971千円の資金支出)となりました。その主な要因は、定期預金の払戻による収入58,862千円が、有形固定資産の取得による支出3,691千円、無形固定資産の取得による支出8,717千円等を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは90,998千円の資金収入(前年同期は118,581千円の資金収入)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額126,000千円が、長期借入金の返済による支出16,258千円、リース債務の返済による支出5,201千円及び配当金の支払いによる支出13,541千円を上回ったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
(2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
(3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) | 前年同期比(%) |
広告・マーケティング事業(千円) | 1,658,499 | 98.0 |
債権投資事業(千円) | 108,121 | 227.0 |
介護福祉事業(千円) | 276,003 | 119.7 |
ケアサービス事業(千円) | 41,001 | 112.7 |
合計(千円) | 2,083,627 | 103.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日) | 当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) | ||
株式会社カネマツ | 277,405千円 | 13.8% | 208,529千円 | 10.0% |
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4、会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、新聞折込チラシ分野の減少と増員等により経費増加の結果、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を下回りました。また、債権投資事業は、債権回収と新規融資の実行により、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を大きく上回りました。その他の介護福祉事業はグループホームの開設効果による売上高は増加し、ケアサービス事業も認知度向上と集客戦略の効果により売上高は増加することができ、ともにセグメント損失を前年同期よりも改善することができました。なお、詳細は「業績等の概要(1)業績」に記載しておりますのでご参照ください。
(売上高、売上総利益)
当連結会計年度の売上高は2,083,627千円(前年同期比3.8%増)、売上総利益は412,232千円(同3.7%増)、売上総利益率は0.02ポイント低下して19.8%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、395,505千円(前年同期比4.4%増)となりました。営業利益は、16,727千円(同10.5%減)となり、売上高営業利益率は、0.1ポイント低下して0.8%となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入等により2,097千円(前年同期比58.0%減)となり、営業外費用は、支払利息4,525千円等を計上し4,734千円(同86.3%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、14,089千円(前年同期比33.4%減)となり、売上高経常利益率は、0.4ポイント低下し0.7%となりました。
(特別損益)
当連結会計年度は特別利益、特別損失ともに計上はありません。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の増加によって、4,760千円(前年同期比1.9%減)となりました。売上高親会社株主に帰属する当期純利益率は、0.01ポイント低下し0.2%となりました。
(3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産合計は821,291千円(前連結会計年度末698,905千円)となりました。その主な内訳は、現金及び預金296,990千円(同416,598千円)、受取手形及び売掛金229,546千円(同233,100千円)営業貸付金240,928千円(同15,618千円)であります。
固定資産合計は248,270千円(同258,720千円)となりました。その内訳は、有形固定資産169,352千円(同184,327千円)、のれん18,714千円を含む無形固定資産27,615千円(同24,122千円)、投資その他の資産51,302千円(同50,270千円)であります。
以上の結果、総資産の残高は1,069,561千円(同957,625千円)となりました。
(負債)
流動負債合計は415,247千円(同273,085千円)となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金118,320千円(同117,433千円)、電子記録債務63,448千円(同73,203千円)、短期借入金126,000千円(同-千円)であります。
固定負債合計は193,650千円(同215,154千円)となりました。その主な内訳は、長期借入金154,296千円(同170,554千円)であります。
以上の結果、負債合計は608,898千円(同488,240千円)となりました。
(純資産)
当連結会計年度における純資産合計は、460,663千円(同469,385千円)となりました。その主な内訳は、資本金139,255千円(同139,255千円)、利益剰余金272,153千円(同280,875千円)であります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ。フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
設備資金需要としては、介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社は44年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。当社グループにおける主たる事業である広告・マーケティング事業では、独自の企画提案力充実のために制作部門及び営業部門の強化を継続して進めて参りました。今後も、広告費の費用対効果検証に対応するために企画提案力の充実を図り、引続きスタッフの増強並びに体制強化を進める予定です。
当社グループは次の8点を重点として営業活動を展開して参ります。
①「マーケティングパートナーの位置付け」としてのクライアント企業を増やす。
「マーケティングパートナーの位置付け」とは、単発の案件ごとの受注ではなく、全社的または年間の広告宣伝や販促計画に関与し、クライアント企業の営業部門や販促部門と共同で計画を作成して、その結果として個々の案件の受注が導かれるとの意味です。当社グループを、そのような「マーケティングパートナー」と位置付けをしていただくクライアント企業を、1社ずつ確実に増やしていくべく営業活動を展開します。
② 既存顧客からの受注を拡大する。
既存クライアント企業の顧客満足度をより一層高めることにより、当社グループに対する評価をより高め、さらに集客戦略や販促戦略に有効で新規性のある独自の企画提案をして、クライアント企業の業績向上に寄与するとともに当社グループへの受注を拡大するべく営業活動を展開します。
③ 新規顧客の獲得。
当社グループの強みを活かした魅力ある企画提案による差別化により、新規顧客の獲得に注力します。特に、札幌圏を中核とした地方都市を拠点とするクライアント企業に対して、企業イメージ広告と集客広告との効果的な融合を実現する当社グループ独自のプロモーション企画を提案し新規の受注に努めます。
④ デジタルマーケティング並びにダイレクトマーケティングの強化。
クライアント企業による広告戦略の見直し、及び広告宣伝費の費用対効果の検証の傾向が継続するものと予想されます。マスメディア4媒体等の従来のアナログ媒体に加えて、Web広告やSNS等のデジタルマーケティング並びにダイレクトメール等のダイレクトマーケティングを効果的に組み合わせた広告販促手段を「ワンストップ」で提供できる企画提案力を強化します。
⑤ ASEANビジネスと地方創生に貢献する。
台湾やタイ・ベトナム等のASEAN諸国からの観光客に対する北海道ブランドの人気を活用するインバウンドビジネスがますます重要となるものと想定されます。また、北海道企業や地方自治体が農産品を主体として同諸国へ輸出しようとするアウトバウンドビジネスも重要性を増しております。一方、道内各地方自治体は、国の政策にもとづき移住促進や特産品の開発等、今後より一層、地方創生の取り組みを強化するものと想定されます。このような「北海道の魅力」を効果的に発信するためのコンサルティング力を高める計画です。
⑥ 投資対象債権の補充。
債権投資事業は事業の性格上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の回復を図ります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を進めて参ります。
⑦ 介護福祉事業の収益拡大。
当該事業分野においては、既存施設の適正な入居率を維持継続することを最重点とし、加えて、原価及び経費の見直し等の改善を維持することにより、既存施設の運営において当社グループの業績に貢献する収益を確保することを基本とし、引き続き、新規施設開設等による事業規模拡大の活動を進めて、当社グループの収益への貢献を拡大する計画です。
⑧ ケアサービス事業の規模拡大。
「ほねつぎ接骨院チェーン加盟契約」を締結したアトラ株式会社の指導・協力を得て、北海道で初の「ほねつぎ」接骨院を運営しております。今後、順次拡大して札幌市内に複数の開設を実現した後に、札幌市以外の北海道他都市にての開設を検討する計画です。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。