有価証券報告書-第50期(2023/07/01-2024/06/30)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行したことにより社会経済活動の正常化が進んだことやインバウンド需要による景気押上げ効果が見られた一方で、ウクライナ情勢等の地政学リスク、エネルギー・原材料価格の高騰による物価上昇などによる影響、また、円安傾向にある為替動向など依然として先行きは不透明な状況が続いております。
北海道経済におきましては、インバウンド需要による景気押し上げ効果もみられ観光業や飲食業を中心に経済活動が回復基調にあり、緩やかながら持ち直し基調が続いていますが、個人消費は物価上昇の影響を受け大きな拡大には至っておりません。
当社の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界におきましては、経済活動正常化への進展に伴い各企業のプロモーション活動も戻りつつあり、イベントや広告の需要が回復基調にあります。経済全般のデジタル化の流れを背景に各企業ともデジタル技術を活用したプロモーション活動への加速化が進み、マスメディア4媒体や折込みなどの紙媒体との比較において拡大傾向が続いております。
このような環境の中、当社グループは、広告・マーケティング事業において、観光コンサル分野のふるさと納税事業の拡大に努めており、同分野では前連結会計年度に比べ大幅な増収となりました。一方で、マスメディア4媒体等の他分野が市場動向の影響を受け前連結会計年度比で減収となったこと、また、前連結会計年度に業績を押し上げたインターネット広告分野の大型案件の収益貢献が剥落した影響があったことにより、広告・マーケティング事業セグメントとしては前連結会計年度に比べ減収減益の結果となりました。なお、当社の子会社として当該事業の一部を担っていたたまかわ未来ファクトリー株式会社の当社持分株式を譲渡し当連結会計年度内である2024年6月から連結除外となっております。
その他の事業セグメントにつきましては、介護福祉事業においてコロナ禍による影響が残ったサービス付き高齢者向け住宅の入居率回復が遅れたこと等により、前連結会計年度に比べ減収にてセグメント損失が拡大、また、ケアサービス事業において施術可能な従業員の退職等に伴う総来院数の減少等により、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
当該介護福祉事業およびケアサービス事業につきましては、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、両事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を譲渡することで両事業から撤退いたしました。なお、株式会社風和里は、株式譲渡に伴い当連結会計年度の第4四半期から連結除外となっております。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、売上高が2,524,982千円(前連結会計年度比8.1%減)の減収となり、売上総利益が685,946千円(同 0.7%減)、営業利益は94,449千円(同 33.5%減)、経常利益は107,712千円(同31.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社株式譲渡によって特別利益が発生したこともあり122,295千円(同 14.2%増)となり、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、アフターコロナ期として社会・経済活動の正常化が進んだことで、企業のプロモーションが戻りつつあり、広告媒体等の需要も回復傾向となりました。マスメディア4媒体の広告費と比較し、インターネット広告分野は今後も増加・拡大することが見込まれており、国内顧客からの需要取り込みに努めております。また、新規に東京オフィスを2024年7月1日付で開設する準備を進め、首都圏の顧客拡大にも積極的に取り組んでおります。
北海道内においては、観光需要が戻りつつあり、観光サービス分野ならびに企業による大型イベントが再開されるなど、経済活動及び個人消費も緩やかな回復傾向となりました。このような環境の中、引き続き当社の強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力を生かした営業強化ならびにデジタルマーケティング分野の受注強化に努めたことに加え、拡充・強化に努めているふるさと納税事業を中心とした観光コンサル分野の大幅な伸長があったものの、前連結会計年度の業績に大きく寄与した北海道外の大型案件が剥落した反動減により、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,281,869千円(前連結会計年度比 5.4%減)となり、セグメント利益は274,558千円(前連結会計年度比 3.6%減)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
(注)商品品目別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。不良債権の流動化マーケットは、2023年度は倒産企業件数及び負債総額ともに増加に転じ、今後も増加傾向になることが想定されます。金融機関等から市場へ出る金融債権の取扱額は年間12.4兆円と前期と比較して約1.0兆円(8.9%)増加し、またそれに比例し、取扱債権数も前年度より10%増加し、年間1,280万件となっております。(出所:2024年3月報道発表資料 法務省債権回収会社(サービサー)の業務状況について)。
2024年4月3日付にて金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、全国銀行の金融再生法開示債権残高は、2023年9月期は8.8兆円と2023年3月期とほぼ同額で推移し、その不良債権のうち危険債権残高及び破産更生等債権残高は6.5兆円と高止まりしております。
なお、全国企業倒産件数は8,881件及び負債総額も2兆4,345億円と2023年度は前年と比較すると大きく増加しており、不良債権の処理市場は一定規模で今後も推移することが想定されます。外国為替の動向や地政学リスク等の影響によりエネルギー価格及び原材料をはじめとする経費増加要因も重なり厳しい経済環境が続いていることから不良債権も今後の事業環境に大きく左右されるものと想定されますので、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としておりますが、債権の回収が経年により減少傾向にあります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は34,446千円(前連結会計年度比 22.7%減)となり、セグメント利益は10,638千円(前連結会計年度比 34.4%減)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、グループホームの入居率は91.9%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は75.4%となりました。入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
グループホームおよびサービス付き高齢者向け住宅ともに、空室に対する新規入居者の決定に時間を要し、前年同期に比べ入居率が低下した影響により、前年同期と比較して減収となりセグメント損失が拡大しました。
当該介護福祉事業につきましては、経費管理の徹底にも努めてまいりましたが、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、当該事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を2024年4月30日に譲渡することで当該事業から撤退いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は167,907千円(前連結会計年度比 26.8%減)となり、セグメント損失は8,945千円(前連結会計年度は6,624千円のセグメント損失)となりました。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、伏古院(1号店)および豊平院(2号店)を運営しておりますが、施術可能な従業員の退職等に伴う総来院数の減少等により、前連結会計年度と比較して減収となりセグメント損失となりました。
当該ケアサービス事業につきましては、リピート来院者の確保、新規来院者の増加等の施策を講じ、経費管理の徹底にも努めてまいりましたが、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、当該事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を2024年4月30日に譲渡することで当該事業から撤退いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は43,248千円(前連結会計年度比 34.3%減)、セグメント損失は2,767千円(前連結会計年度は3,486千円のセグメント利益)となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して103,952千円減少し988,262千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の93,266千円減少及び営業貸付金の112,979千円減少、売掛金が61,709千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して3,149千円減少し177,322千円となりました。その主な内訳は、減価償却等により有形固定資産が92,520千円減少、投資その他の資産が87,922千円増加したことによるものであります。投資その他の資産の増加は、株式会社風和里の連結除外に伴い、連結子会社間の金銭消費貸借が、連結外の取引になったことで長期貸付金が増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して214,857千円減少し426,021千円となりました。その主な内訳は、長期借入金の185,902千円減少(1年内返済予定の長期借入金含む)などによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して107,755千円増加し739,564千円となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益122,295千円の計上により、利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
また、自己資本比率は62.2%(前連結会計年度末 48.8%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、93,266千円減少して463,063千円(前年同期は111,164千円増加して556,330千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上による収入等により、営業活動によるキャッシュ・フローが115,215千円の資金収入となり、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出等により投資活動によるキャッシュ・フローが79,732千円の資金支出、配当金の支払額及び長期借入金の返済による支出等により財務活動によるキャッシュ・フローが128,749千円の資金支出となったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは115,215千円の資金収入(前年同期は144,616千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益125,535千円計上したことに加えて、営業貸付金の減少による収入112,979千円、売上債権の増加による支出94,644千円ならびに法人税等の支払額52,807千円の支出等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは79,732千円の資金支出(前年同期は1,245千円の資金支出)となりました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出50,817千円及び敷金及び保証金の差入による支出19,968千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは128,749千円の資金支出(前年同期は32,206千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出105,508千円及び配当金の支払額が19,175千円あったことなどによるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「介護福祉事業」及び「ケアサービス事業」に分類しておりました株式会社風和里、及び「広告・マーケティング事業」に分類しておりましたたまかわ未来ファクトリー株式会社については、当連結会計年度において全株式を譲渡したため、連結の範囲から除外しております。売上高については、連結除外日までの実績を含めております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり
であります。
※最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金、有利負債返済、設備投資となります。
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は463,063千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、113,184千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及びリース債務13,184千円(1年内返済予定のリース債務を含む)となっております。
(5)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にて記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行したことにより社会経済活動の正常化が進んだことやインバウンド需要による景気押上げ効果が見られた一方で、ウクライナ情勢等の地政学リスク、エネルギー・原材料価格の高騰による物価上昇などによる影響、また、円安傾向にある為替動向など依然として先行きは不透明な状況が続いております。
北海道経済におきましては、インバウンド需要による景気押し上げ効果もみられ観光業や飲食業を中心に経済活動が回復基調にあり、緩やかながら持ち直し基調が続いていますが、個人消費は物価上昇の影響を受け大きな拡大には至っておりません。
当社の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界におきましては、経済活動正常化への進展に伴い各企業のプロモーション活動も戻りつつあり、イベントや広告の需要が回復基調にあります。経済全般のデジタル化の流れを背景に各企業ともデジタル技術を活用したプロモーション活動への加速化が進み、マスメディア4媒体や折込みなどの紙媒体との比較において拡大傾向が続いております。
このような環境の中、当社グループは、広告・マーケティング事業において、観光コンサル分野のふるさと納税事業の拡大に努めており、同分野では前連結会計年度に比べ大幅な増収となりました。一方で、マスメディア4媒体等の他分野が市場動向の影響を受け前連結会計年度比で減収となったこと、また、前連結会計年度に業績を押し上げたインターネット広告分野の大型案件の収益貢献が剥落した影響があったことにより、広告・マーケティング事業セグメントとしては前連結会計年度に比べ減収減益の結果となりました。なお、当社の子会社として当該事業の一部を担っていたたまかわ未来ファクトリー株式会社の当社持分株式を譲渡し当連結会計年度内である2024年6月から連結除外となっております。
その他の事業セグメントにつきましては、介護福祉事業においてコロナ禍による影響が残ったサービス付き高齢者向け住宅の入居率回復が遅れたこと等により、前連結会計年度に比べ減収にてセグメント損失が拡大、また、ケアサービス事業において施術可能な従業員の退職等に伴う総来院数の減少等により、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
当該介護福祉事業およびケアサービス事業につきましては、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、両事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を譲渡することで両事業から撤退いたしました。なお、株式会社風和里は、株式譲渡に伴い当連結会計年度の第4四半期から連結除外となっております。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、売上高が2,524,982千円(前連結会計年度比8.1%減)の減収となり、売上総利益が685,946千円(同 0.7%減)、営業利益は94,449千円(同 33.5%減)、経常利益は107,712千円(同31.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社株式譲渡によって特別利益が発生したこともあり122,295千円(同 14.2%増)となり、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、アフターコロナ期として社会・経済活動の正常化が進んだことで、企業のプロモーションが戻りつつあり、広告媒体等の需要も回復傾向となりました。マスメディア4媒体の広告費と比較し、インターネット広告分野は今後も増加・拡大することが見込まれており、国内顧客からの需要取り込みに努めております。また、新規に東京オフィスを2024年7月1日付で開設する準備を進め、首都圏の顧客拡大にも積極的に取り組んでおります。
北海道内においては、観光需要が戻りつつあり、観光サービス分野ならびに企業による大型イベントが再開されるなど、経済活動及び個人消費も緩やかな回復傾向となりました。このような環境の中、引き続き当社の強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力を生かした営業強化ならびにデジタルマーケティング分野の受注強化に努めたことに加え、拡充・強化に努めているふるさと納税事業を中心とした観光コンサル分野の大幅な伸長があったものの、前連結会計年度の業績に大きく寄与した北海道外の大型案件が剥落した反動減により、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,281,869千円(前連結会計年度比 5.4%減)となり、セグメント利益は274,558千円(前連結会計年度比 3.6%減)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
区 分 | 当連結会計年度 | 前年同期比 増減 |
新聞折込チラシの売上高 | 153,519千円 | 22.0%減 |
マスメディア4媒体の売上高 | 337,699千円 | 35.2%減 |
販促物の売上高 | 662,780千円 | 1.9%増 |
観光コンサルの売上高 | 817,261千円 | 41.3%増 |
インターネットの売上高 | 268,351千円 | 36.9%減 |
その他の売上高 | 42,257千円 | 3.0%増 |
セグメント売上高合計 | 2,281,869千円 | 5.4%減 |
(注)商品品目別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。不良債権の流動化マーケットは、2023年度は倒産企業件数及び負債総額ともに増加に転じ、今後も増加傾向になることが想定されます。金融機関等から市場へ出る金融債権の取扱額は年間12.4兆円と前期と比較して約1.0兆円(8.9%)増加し、またそれに比例し、取扱債権数も前年度より10%増加し、年間1,280万件となっております。(出所:2024年3月報道発表資料 法務省債権回収会社(サービサー)の業務状況について)。
2024年4月3日付にて金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、全国銀行の金融再生法開示債権残高は、2023年9月期は8.8兆円と2023年3月期とほぼ同額で推移し、その不良債権のうち危険債権残高及び破産更生等債権残高は6.5兆円と高止まりしております。
なお、全国企業倒産件数は8,881件及び負債総額も2兆4,345億円と2023年度は前年と比較すると大きく増加しており、不良債権の処理市場は一定規模で今後も推移することが想定されます。外国為替の動向や地政学リスク等の影響によりエネルギー価格及び原材料をはじめとする経費増加要因も重なり厳しい経済環境が続いていることから不良債権も今後の事業環境に大きく左右されるものと想定されますので、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としておりますが、債権の回収が経年により減少傾向にあります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は34,446千円(前連結会計年度比 22.7%減)となり、セグメント利益は10,638千円(前連結会計年度比 34.4%減)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、グループホームの入居率は91.9%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は75.4%となりました。入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
グループホームおよびサービス付き高齢者向け住宅ともに、空室に対する新規入居者の決定に時間を要し、前年同期に比べ入居率が低下した影響により、前年同期と比較して減収となりセグメント損失が拡大しました。
当該介護福祉事業につきましては、経費管理の徹底にも努めてまいりましたが、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、当該事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を2024年4月30日に譲渡することで当該事業から撤退いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は167,907千円(前連結会計年度比 26.8%減)となり、セグメント損失は8,945千円(前連結会計年度は6,624千円のセグメント損失)となりました。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、伏古院(1号店)および豊平院(2号店)を運営しておりますが、施術可能な従業員の退職等に伴う総来院数の減少等により、前連結会計年度と比較して減収となりセグメント損失となりました。
当該ケアサービス事業につきましては、リピート来院者の確保、新規来院者の増加等の施策を講じ、経費管理の徹底にも努めてまいりましたが、収益回復の遅延が続いたことから、当社中核事業である広告・マーケティング事業へ資本を集中するため、当該事業を運営する子会社であった株式会社風和里の全株式を2024年4月30日に譲渡することで当該事業から撤退いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は43,248千円(前連結会計年度比 34.3%減)、セグメント損失は2,767千円(前連結会計年度は3,486千円のセグメント利益)となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して103,952千円減少し988,262千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の93,266千円減少及び営業貸付金の112,979千円減少、売掛金が61,709千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して3,149千円減少し177,322千円となりました。その主な内訳は、減価償却等により有形固定資産が92,520千円減少、投資その他の資産が87,922千円増加したことによるものであります。投資その他の資産の増加は、株式会社風和里の連結除外に伴い、連結子会社間の金銭消費貸借が、連結外の取引になったことで長期貸付金が増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して214,857千円減少し426,021千円となりました。その主な内訳は、長期借入金の185,902千円減少(1年内返済予定の長期借入金含む)などによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して107,755千円増加し739,564千円となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益122,295千円の計上により、利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
また、自己資本比率は62.2%(前連結会計年度末 48.8%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、93,266千円減少して463,063千円(前年同期は111,164千円増加して556,330千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上による収入等により、営業活動によるキャッシュ・フローが115,215千円の資金収入となり、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出等により投資活動によるキャッシュ・フローが79,732千円の資金支出、配当金の支払額及び長期借入金の返済による支出等により財務活動によるキャッシュ・フローが128,749千円の資金支出となったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは115,215千円の資金収入(前年同期は144,616千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益125,535千円計上したことに加えて、営業貸付金の減少による収入112,979千円、売上債権の増加による支出94,644千円ならびに法人税等の支払額52,807千円の支出等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは79,732千円の資金支出(前年同期は1,245千円の資金支出)となりました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出50,817千円及び敷金及び保証金の差入による支出19,968千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは128,749千円の資金支出(前年同期は32,206千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出105,508千円及び配当金の支払額が19,175千円あったことなどによるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | 前連結会計年度比(%) |
広告・マーケティング事業(千円) | 2,279,379 | 94.6 |
債権投資事業(千円) | 34,446 | 77.3 |
介護福祉事業(千円) | 167,907 | 73.2 |
ケアサービス事業(千円) | 43,248 | 65.7 |
合計(千円) | 2,524,982 | 91.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「介護福祉事業」及び「ケアサービス事業」に分類しておりました株式会社風和里、及び「広告・マーケティング事業」に分類しておりましたたまかわ未来ファクトリー株式会社については、当連結会計年度において全株式を譲渡したため、連結の範囲から除外しております。売上高については、連結除外日までの実績を含めております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり
であります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | 当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
株式会社ビックライフソリューション | 339,066 | 12.3 | - | - |
※最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金、有利負債返済、設備投資となります。
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は463,063千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、113,184千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及びリース債務13,184千円(1年内返済予定のリース債務を含む)となっております。
(5)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にて記載しております。