有価証券報告書-第48期(令和3年7月1日-令和4年6月30日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2021年7月1日~2022年6月30日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、感染症の拡大抑制を目的とした、まん延防止等重点措置及び緊急事態宣言が発令され、繰り返し社会経済活動が制限されるなど、厳しい事業環境の1年でした。その中でワクチン接種の普及拡大による感染予防策や各種政策の効果もあって感染者数が減少し、徐々に各種規制の緩和等が行われ、企業活動及び個人消費などの経済活動正常化への動きが見られたものの、依然として収束時期は未だ不透明な状況であります。それに加え、ウクライナ情勢の長期化ならびに外国為替市場での急激な変動の影響により、短期間での原材料価格やエネルギー価格の上昇を受けて、国内の様々なものの価格に影響を及ぼし、企業業績ならびに個人消費の回復に与える影響が懸念されております。このため、社会全体として先行きは不透明な状況が続いております。
北海道経済におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により期初から繰り返し、まん延防止等重点措置(8月、1月)や緊急事態宣言の発令(8月)による行動制限で、イベント開催の自粛が続くなど観光関連産業、サービス産業ならびにその関連事業者などを含めた個人消費が大幅に減少いたしました。その中でワクチン接種も着実に進み、行動制限が徐々に緩和し経済活動の早期正常化が期待され、落ち込んだ旅行需要の早期回復を図るための政策として旅行割引制度「どうみん割」事業が3月より開始され、観光関連産業や個人消費の回復が見られ、経済活動は概ね正常化に向けた持ち直しの動きがみられるようになりました。しかし、再び6月下旬ごろから新型コロナウイルスの変異株による拡大の可能性も出始めており、人流に伴う感染再拡大の影響懸念や、ウクライナ情勢等の影響から、原材料価格などの上昇変動ならびに原材料の供給懸念などの要因により企業収益に下振れならびに消費財の価格上昇により個人消費の回復を押し下げる懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
また、当社グループの主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界でも、新型コロナウイルス感染症の長期化による影響は引き続き深刻であり、各種イベントや広告販促キャンペーンの中止・延期、レジャーの自粛などに伴う広告活動の自粛影響はありましたが、広告業界全体としては、統計数値によれば新型コロナウイルス感染症の発症する以前の水準近くまで回復した状況にあります。しかし、広告媒体や業務種類的には大きく変動し、コロナ禍でインターネット広告のみが大きく伸長し、その他は減少傾向が見られるなど広告手法のデジタル化へのシフトが続いています。
このような環境の中、当社グループは、広告・マーケティング事業の収益領域であるデジタルマーケティング分野の受注強化、地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に引き続き注力し、地方創生事業である「ふるさと納税分野」(観光コンサル)において前年を大きく上回る受注に結び付きました。また当社クライアント企業においても、長引く感染症の影響により、広告やイベントの自粛が続くなど従来のプロモーション活動に制約を受けておりましたが、イベントやセミナーの集客事業においてオンライン化が進み、映像配信などの企画や運営などが定着したこともあり、新しい形で取り組むクライアント企業が多くなりました。このような需要を捉え、企業のインターネットでの配信事業とそれに関わるデジタル広告の受注が結びつき、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
また、主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債権投資事業においては、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるものの、順調に回収が進み前連結会計年度と比較して回収額が増加し、更に新規の融資実行による利息収入の計上もあり、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
介護福祉事業は、入居者及び従業員の感染症対策が運営上の重大なリスク要因となっておりますが、従来から事業所内の衛生管理を徹底しつつ、ご利用者に寄り添った介護を継続できるよう最善を尽くして参りました。
グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅において、入居率の改善は後半に若干進みましたが、前連結会計年度の入居率には及ばず売上高は減少いたしました。また、同事業は固定的な経費が大部分であり、人材費用及び光熱費を含む経費等が若干増加したことから、前連結会計年度と比較して減収減益の営業損失となりました。
ケアサービス事業においては、院内の衛生管理を徹底し予防に努めてまいりましたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による不要不急の外出の自粛、ならびに北海道で統計開始以来、観測史上1位となった大雪により、来院者数に減少の影響を受けました。
伏古院(1号店)についてはリピート患者数も一定数確保ができていることから、前連結会計年度と同等の概ね予算通りの営業利益水準は確保しているものの、豊平院(2号店)については、当該院にあった運営の見直しを行うとともに、新規利用者を含めた来院数の確保に努め、業績の改善は進めたことで前連結会計年度より営業損失を改善することはできましたが、当該事業全体としては前連結会計年度と比較して減収増益の営業損失となりました。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、経済活動の制約の緩和等ならびに広告・マーケティング事業環境の回復傾向もあることから、売上高が2,632,683千円(前連結会計年度比 33.8%増)、売上総利益が579,547千円(同 28.2%増)となりましたが、併せて人員体制の強化を行い人件費を含めた販売費及び一般管理費も増加したことから、営業利益は76,329千円(前連結会計年度は39,261千円の営業損失)、経常利益は106,122千円(前連結会計年度は14,333千円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は68,527千円(前連結会計年度は31,694千円の親会社株主に帰属する当期純損失)の増収増益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、長引く新型コロナウイルス感染症拡大により広告業界全体が大きな影響を受け厳しい環境でありましたが、ワクチン接種の普及などにより厳しい行動制限が緩和されるなど、人流や経済活動の正常化に向けた動きを受けて、徹底した感染対策の実施により各種イベント等が再開されるなど、多くの広告媒体等で回復が見えて参りました。中でもインターネット広告は新たなライフスタイルの定着化により、紙媒体からデジタル媒体へのシフトにより大きく伸び、今ではマスメディア4媒体の広告費に近づいている状況になりました。
北海道内においても、新型コロナウイルス感染症拡大による、消費の低迷と広告出稿減少の影響を受けましたが、インターネットショッピングを楽しむ「巣ごもり消費」といった新たなライフスタイルの定着化もあり、インターネット広告は大きく伸びる結果となりました。また、ゴールデンウィークには人の移動の活発化も見られ、観光を含むサービス産業においても企業活動が回復傾向となりました。
このような環境の中、当社の強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力に加え、デジタルマーケティング分野のサービスラインナップ拡充やクライアントにとって適切な広告販促戦略の提案ができたことで、既存クライアントならびに新規クライアント数の増加や受注に繋がり、インターネット広告も増加いたしました。また地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に注力し、ふるさと納税事業の取り扱いの拡充にも積極的に取り組んで具体的な成果に繋げてまいりました。その他不動産を中心としたプロモーションの受注増加ならびにイベント等の再開による広告受託などが順調に増加推移したことで、新型コロナウイルス感染症の以前の売上高以上に計上、回復することができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,299,775千円(前連結会計年度比 40.5%増)となり、セグメント利益は212,796千円(同 151.5%増)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
(注)1.前連結会計年度までその他の売上高に含まれておりました、観光コンサルの売上高の重要性が増したため、当連結会計年度よりその他の売上高と区分して記載しております。そのため前連結会計年度のその他の売上高も組み替えて記載しております。
2.商品品目別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急避難的な資金繰り支援策があり、2021年度は倒産企業件数及び負債総額ともに前年度より減少しております。
金融機関等から市場へ出る金融債権の取扱額は年間10.8兆円と前期と比較して約0.6兆円(△5.5%)減少し、またそれに比例し、取扱債権数も前年度より6.7%減少し、年間1,101万件となっております。(2022年3月報道発表資料 法務省 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
しかし、2022年2月28日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、2021年9月期における全国銀行の金融再生法開示債権残高は8.0兆円であり、2021年3月期の7.9兆円と比較すると0.1兆円増加し、2020年3月期の6.8兆円と比較すると1.2兆円増加しており、主な増加要因は業況の悪化によるものと公表されております。不良債権のうち要管理債権残高は2.1兆円と0.1兆円増加し、危険債権残高及び破産更生等債権残高は5.9兆円とおおよそ横ばい状況となっておりますので、引き続き一定水準の残高を金融機関が継続保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で今後も推移することが想定されます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した厳しい経済環境が続いていることから不良債権も今後の経済の正常化スピードと事業環境に大きく左右されるものと想定されますので、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としております。
第2四半期連結会計期間に実行した融資による利息収入及び債権の回収可能債権額は経年により減少傾向にありましたが、当連結会計年度は順調に回収を進めることができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は45,623千円(前連結会計年度比 34.7%増)となり、セグメント利益は15,029千円(同 51.7%増)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。また、当該セグメントにおいては、融資制度などの施策もあり短期的には新型コロナウイルス感染症の影響を受けない事業ですが、感染症による影響は広範囲に及んだことから、今後は債務者の事業環境や雇用情勢などの影響を受けて債権回収が滞るリスクもあり得るため動向を注視して参ります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、通年のグループホームの入居率は92.2%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は84.6%となりました。入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、特にグループホームの空室に対する新規入居者の決定までに時間を要していたことから入居率が減少いたしました。現在は改善され回復傾向にありますが、採用費用などを含む人材費用及び光熱費用が増加したこと及び、感染対策費用等の負担は継続していることから、前連結会計年度よりも大きなセグメント損失を計上することになりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は224,511千円(前連結会計年度比 4.2%減)となり、のれんを4,661千円償却した結果、セグメント損失は16,341千円(前連結会計年度は4,228千円のセグメント損失)となりました。
なお、当該セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、入居者と従業員の安全衛生管理を徹底し、入居率の安定状態を維持することができれば、当該事業への影響は軽微でありますので、引き続き情報収集や感染予防と防止含め、リスクを最小限に抑えるための対策を実施して参ります。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、新型コロナウイルス感染症の変異株の流行ならびに北海道で統計開始以来、観測史上1位となった大雪の影響により来院者数が減少影響を受けました。伏古院(1号店)については、第2四半期連結会計期間には概ね予算通りの水準まで来院者数が増加傾向にあったものの、第3四半期連結会計期間は大雪の影響に加え、まん延防止等重点措置による外出自粛要請などの影響を受けたもののリピート来院者の確保と新規来院者の増加もあり、利益を確保することができました。しかし、豊平院(2号店)においては、新規利用者を含めた来院者数の確保に努めるとともに、当該院にあった運営の見直しや業績の改善を進めたことで前連結会計年度と比較して損失額を圧縮することができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は69,265千円(前連結会計年度比 1.7%減)、セグメント損失1,010千円(前連結会計年度は5,865千円のセグメント損失)となりました。
長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、来院者数が徐々に増加傾向にあることから、引き続きフランチャイズ本部の指導に基づき、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、顧客と従業員が安心して利用できる環境整備と施設運営を続けて、地域の健康増進に努めて参ります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、182,100千円増加して445,165千円(前年同期は233,480千円減少して263,065千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上と営業貸付金の減少による収入等により、営業活動によるキャッシュ・フローが216,915千円の資金収入となり、長期貸付けによる支出等により投資活動によるキャッシュ・フローが11,392千円の資金支出、及び長期借入金の返済による支出等により、財務活動によるキャッシュ・フローが23,422千円の資金支出となったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは216,915千円の資金収入(前年同期は303,084千円の資金支出)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を106,122千円計上したことに加えて、営業貸付金の減少による収入36,842千円、売上債権の減少による収入21,572千円、仕入債務の増加による収入11,686千円、未払消費税等の増加14,624千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは11,392千円の資金支出(前年同期は4,440千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期貸付けによる支出13,500千円、有形固定資産の取得による支出5,532千円、敷金及び保証金の回収による収入6,547千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは23,422千円の資金支出(前年同期は74,044千円の資金収入)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出17,736千円及びリース債務の返済による支出が5,681千円あったことなどによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にて記載しております。
2)当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、デジタルマーケティング分野や地方創生事業を中心とした官公庁事業の受注が順調に推移し、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの増収増益となりました。また、債権投資事業は、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるものの、順調に回収が進み前連結会計年度と比較して回収額が増加し、更に新規の融資実行による利息収入の計上もあり、増収増益となりました。介護福祉事業は新型コロナウイルス感染症の影響による空室期間が長くなり入居率の低下及び人材費用も増加して減収減益の営業損失となりました。ケアサービス事業については、来院者数は新型コロナウイルスの影響及び観測史上1位となった大雪により、来院者数が減少し、計画まで伸ばすことができず、減収増益ではありますがセグメント損失となっております。なお、詳細は「(1)経営成績の状況」に記載しておりますのでご参照ください。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とその実績値は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して136,129千円増加し969,278千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金182,100千円増加、売掛金の21,572千円減少及び営業貸付金の36,842千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して17,309千円減少し199,695千円となりました。その主な内訳は、設備投資、減価償却費により有形固定資産が13,175千円減少、のれんの償却などにより無形固定資産が6,980千円減少及び投資その他の資産が2,845千円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して50,737千円増加し633,469千円となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金の11,078千円増加、未払法人税等の32,339千円増加などにより流動負債が70,375千円増加し、長期借入金の返済13,708千円などにより固定負債が19,638千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して68,082千円増加し535,505千円となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により68,527千円増加した結果、利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
また、自己資本比率は45.1%(前連結会計年度末 43.7%)となりました。
4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要については、自己資金ならびに銀行借入による資金調達を基本としております。その中で事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
そのため、経常的な運転資金については短期的な銀行借入により資金を調達することを基本としております。
また、設備資金需要としては、主に介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。当該事項につきましては、長期的な銀行借入により資金調達することを基本としております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は445,165千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、新型コロナウイルス感染症による先行き不透明な経済状況が続くと予想されるため2020年8月28日に、手元資金を厚くしておく目的で金融機関から100,000千円の長期借入れを実施し、322,462千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及び長期借入金199,610千円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務22,852千円となっております。
5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避ならびに発生した場合の低減等の対応に努める方針です。当社は48年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。引き続き当社グループの広告・マーケティング事業を中核として、債権投資事業、介護福祉事業、ケアサービス事業の4事業を推進してまいりますが、新型コロナウイルス感染症の影響及び地政学的リスクなど、引き続き世界経済、国内経済、企業収益及び個人消費などすべてにおいて当面の間、影響を及ぼすことが続く不透明な状況が想定されます。
各事業セグメントへの新型コロナウイルス感染症の影響を注視しながら、環境にあった積極的な事業展開を講じてまいります。また各事業場における衛生管理の徹底、従業員の感染症対策を実施するなど、引き続き気を引き締めてリスク対策も講じてまいります。
① 広告・マーケティング事業
2023年6月期においても、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響は続くものの、回復傾向にあり経済活動が正常に向かうものと想定しております。しかし、地政学的リスクなどの影響による物価上昇の影響により、企業収益の回復の鈍化及び消費者心理の冷え込みなどの動きにも注視する必要があると想定しております。
そのため、クライアント企業は引き続き「攻めと防衛」の広告予算執行に対する慎重姿勢が予想されること、広告販促費の費用対効果の検証が益々進むこと、また新型コロナウイルス感染症がきっかけで急激に事業環境が変動したことから当社グループが長年注力してきた官公庁関連の受託事業の競争激化が更に進むと考えております。
当該事業セグメントは、引き続き当社グループの強みであるデザイン力と営業部門のマーケティング調査に基づいた企画提案力の充実と強化を進め、幅広いサービスラインナップを活かした総合的な提案をすることで、競合他社との差別化を図り受注増加に繋げます。
また、長年地域密着で取り組んできた北海道はもちろんのこと、引き続き全国の各地方自治体の地方創生に関わる事業として地域の魅力を効果的に発信するプロモーションを提案し、地方自治体委託事業の受託にも積極的に取り組み更なる拡大を図ります。
一方で観光立国を目指す北海道において、新型コロナウイルス感染症の影響からの経済回復と観光客の増加は命題です。世界的な新型コロナウイルス感染症の影響によりインバウンド需要消失の長期化の厳しい状況から徐々に回復すると予想されますが、時間的にはまだしばらく掛かるものと想定されるため、国内全域での需要喚起に向けた施策や予算執行が期待されます。当社グループもその状況を注視しつつ、北海道を中心とした観光分野、国際ビジネス分野やその他官公庁関連事業の受注活動を継続し、当社独自の営業基盤を構築してまいります。
以上の総合的な企画提案力強化とともに、2023年6月期においても、他社に無い新たな商品・サービスを追加して北海道における広告会社として独自の営業展開を進めてまいります。
・独自のインターネットマーケティングリサーチサイト「インサーチ」による市場調査分析と販促企画
・独自の海外のクリエイターネットワークによる高品質・低価格のWeb動画制作サービス「インムービー」
・札幌駅前の大型街頭ビジョン
・株式会社中広が実施する、子育てを社会全体で応援するためのコミュニティマガジン「ままここっと札幌版」の広告代理業務
・北海道地域に特化した工務店・ハウスメーカーと生活者を繋ぐWebサイト「ほっかいどうの家」
・札幌圏を対象とした地域広告・販促ツールの情報ポータルサイト「札幌広告.com」
・お店と消費者双方に有益で魅力的な情報を発信するWebサイト「みんサポ」
・「クラウドファンディング × インフルエンサー」マーケティングサービス
・北海道内のインフルエンサーを活用した道内企業向けプロモーション支援サービス「inShare」
・女性に特化したマーケティングでプロモーションや商品開発、イベントなどさまざまなコンテンツをプランニングしていく「インクロス」
・株式会社ウィル・コーポレーションとの業務提携による特殊DMや圧着チラシ等のダイレクトマーケティングツール
② 債権投資事業
当該事業セグメントにおいて、売上高である債権回収は計画通りの順調な推移をしておりますが、債権の性質上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を合わせて進めてまいります。
今後もセカンダリー市場の動向と債権回収の環境は、長期化した新型コロナウイルス感染症の影響を勘案し、2023年6月期において既存の保有債権においては、債権回収の減少が見込まれることから、当連結会計年度よりも減少した売上高及び融資残高による約定利息収入によりセグメント利益を見込んでおります。
しかし、市場環境は一定の規模を維持しているため、当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の増加を図ります。
③ 介護福祉事業
当該事業セグメントにおいては、主に施設サービスとしてグループホームとサービス付き高齢者向け住宅にて事業を展開しているため、引き続き、衛生管理の継続的な徹底により新型コロナウイルス感染症対策、入居者及び従業員等の体調管理を徹底し、適正な入居率を継続維持することと空室期間の短縮化に努めることで、増収を見込んでおります。また、常に原価及び経費の見直し改善策を実施することで、セグメント損失からセグメント利益への業績の回復を見込んでおります。
④ ケアサービス事業
当該事業セグメントにおいては、2院体制でキャンペーンの継続的な実施と新たなサービスの導入等に取り組み、新規来院者の拡大と再来院の促進に力を入れることで来院者数の増加を図り業績を安定化させ、当社グループ全体の収益安定化に貢献する計画です。
新型コロナウイルス感染症対策を入念に行うことでの安心感とともに、地域における「ほねつぎ」の認知度とブランドイメージを高めることにより来院数の回復と新規来院者数の増加に努め、地域における来院のシェア拡大を通じて増収と採算化を図ります。引き続き2院体制によるノウハウや事例の共有や改善に向けた交流会を定期的に実施し、効率的な運営を心掛けることで両院ともに増収増益を見込んでおります。
以上のことから、現時点で入手可能な市場動向等の情報を踏まえるとともに、今後の新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の長期化など様々な要因や影響を及ぼす可能性があり、引き続き予断を許さない状況が続くと思われます。しかし、2023年6月期の連結業績予想については、引き続き影響は継続するものの企業活動及び個人消費などの経済活動正常化への動きが見られることから消費動向は回復の方向に進むことを前提とし、当社グループの各事業への影響を想定した連結業績予想を算定しております。
なお、本連結業績予想は、現時点で入手可能な情報及び合理的であると判断される一定の前提に基づくものであり、実際の業績は様々な要因により大きく異なる可能性があります。当社グループの業績予想の修正を行う必要が生じた場合には速やかに公表いたします。
以上から、2023年6月期の連結会計年度の業績見通しは、売上高3,065百万円(前年同期比 16.5%増)、営業利益58百万円(前年同期比 23.7%減少)、経常利益50百万円(前年同期比 52.8%減少)を見込み、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円(前年同期比 55.9%減少)を見込んでおります。
7) 経営者の問題意識と今後の方針について
2023年6月期の連結会計年度も新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明な状況となっており、当面のあいだは経済活動への影響は避けられないものと認識しております。そのため、徐々に回復基調に転じると期待するがこの状況が継続するものと予想され、感染防止策が長期化することにより、今後も影響が避けられず事業環境は予断を許さない状況にありますが、当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度(2021年7月1日~2022年6月30日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、感染症の拡大抑制を目的とした、まん延防止等重点措置及び緊急事態宣言が発令され、繰り返し社会経済活動が制限されるなど、厳しい事業環境の1年でした。その中でワクチン接種の普及拡大による感染予防策や各種政策の効果もあって感染者数が減少し、徐々に各種規制の緩和等が行われ、企業活動及び個人消費などの経済活動正常化への動きが見られたものの、依然として収束時期は未だ不透明な状況であります。それに加え、ウクライナ情勢の長期化ならびに外国為替市場での急激な変動の影響により、短期間での原材料価格やエネルギー価格の上昇を受けて、国内の様々なものの価格に影響を及ぼし、企業業績ならびに個人消費の回復に与える影響が懸念されております。このため、社会全体として先行きは不透明な状況が続いております。
北海道経済におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により期初から繰り返し、まん延防止等重点措置(8月、1月)や緊急事態宣言の発令(8月)による行動制限で、イベント開催の自粛が続くなど観光関連産業、サービス産業ならびにその関連事業者などを含めた個人消費が大幅に減少いたしました。その中でワクチン接種も着実に進み、行動制限が徐々に緩和し経済活動の早期正常化が期待され、落ち込んだ旅行需要の早期回復を図るための政策として旅行割引制度「どうみん割」事業が3月より開始され、観光関連産業や個人消費の回復が見られ、経済活動は概ね正常化に向けた持ち直しの動きがみられるようになりました。しかし、再び6月下旬ごろから新型コロナウイルスの変異株による拡大の可能性も出始めており、人流に伴う感染再拡大の影響懸念や、ウクライナ情勢等の影響から、原材料価格などの上昇変動ならびに原材料の供給懸念などの要因により企業収益に下振れならびに消費財の価格上昇により個人消費の回復を押し下げる懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
また、当社グループの主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界でも、新型コロナウイルス感染症の長期化による影響は引き続き深刻であり、各種イベントや広告販促キャンペーンの中止・延期、レジャーの自粛などに伴う広告活動の自粛影響はありましたが、広告業界全体としては、統計数値によれば新型コロナウイルス感染症の発症する以前の水準近くまで回復した状況にあります。しかし、広告媒体や業務種類的には大きく変動し、コロナ禍でインターネット広告のみが大きく伸長し、その他は減少傾向が見られるなど広告手法のデジタル化へのシフトが続いています。
このような環境の中、当社グループは、広告・マーケティング事業の収益領域であるデジタルマーケティング分野の受注強化、地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に引き続き注力し、地方創生事業である「ふるさと納税分野」(観光コンサル)において前年を大きく上回る受注に結び付きました。また当社クライアント企業においても、長引く感染症の影響により、広告やイベントの自粛が続くなど従来のプロモーション活動に制約を受けておりましたが、イベントやセミナーの集客事業においてオンライン化が進み、映像配信などの企画や運営などが定着したこともあり、新しい形で取り組むクライアント企業が多くなりました。このような需要を捉え、企業のインターネットでの配信事業とそれに関わるデジタル広告の受注が結びつき、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
また、主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債権投資事業においては、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるものの、順調に回収が進み前連結会計年度と比較して回収額が増加し、更に新規の融資実行による利息収入の計上もあり、前連結会計年度と比較して増収増益となりました。
介護福祉事業は、入居者及び従業員の感染症対策が運営上の重大なリスク要因となっておりますが、従来から事業所内の衛生管理を徹底しつつ、ご利用者に寄り添った介護を継続できるよう最善を尽くして参りました。
グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅において、入居率の改善は後半に若干進みましたが、前連結会計年度の入居率には及ばず売上高は減少いたしました。また、同事業は固定的な経費が大部分であり、人材費用及び光熱費を含む経費等が若干増加したことから、前連結会計年度と比較して減収減益の営業損失となりました。
ケアサービス事業においては、院内の衛生管理を徹底し予防に努めてまいりましたが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による不要不急の外出の自粛、ならびに北海道で統計開始以来、観測史上1位となった大雪により、来院者数に減少の影響を受けました。
伏古院(1号店)についてはリピート患者数も一定数確保ができていることから、前連結会計年度と同等の概ね予算通りの営業利益水準は確保しているものの、豊平院(2号店)については、当該院にあった運営の見直しを行うとともに、新規利用者を含めた来院数の確保に努め、業績の改善は進めたことで前連結会計年度より営業損失を改善することはできましたが、当該事業全体としては前連結会計年度と比較して減収増益の営業損失となりました。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、経済活動の制約の緩和等ならびに広告・マーケティング事業環境の回復傾向もあることから、売上高が2,632,683千円(前連結会計年度比 33.8%増)、売上総利益が579,547千円(同 28.2%増)となりましたが、併せて人員体制の強化を行い人件費を含めた販売費及び一般管理費も増加したことから、営業利益は76,329千円(前連結会計年度は39,261千円の営業損失)、経常利益は106,122千円(前連結会計年度は14,333千円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は68,527千円(前連結会計年度は31,694千円の親会社株主に帰属する当期純損失)の増収増益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、長引く新型コロナウイルス感染症拡大により広告業界全体が大きな影響を受け厳しい環境でありましたが、ワクチン接種の普及などにより厳しい行動制限が緩和されるなど、人流や経済活動の正常化に向けた動きを受けて、徹底した感染対策の実施により各種イベント等が再開されるなど、多くの広告媒体等で回復が見えて参りました。中でもインターネット広告は新たなライフスタイルの定着化により、紙媒体からデジタル媒体へのシフトにより大きく伸び、今ではマスメディア4媒体の広告費に近づいている状況になりました。
北海道内においても、新型コロナウイルス感染症拡大による、消費の低迷と広告出稿減少の影響を受けましたが、インターネットショッピングを楽しむ「巣ごもり消費」といった新たなライフスタイルの定着化もあり、インターネット広告は大きく伸びる結果となりました。また、ゴールデンウィークには人の移動の活発化も見られ、観光を含むサービス産業においても企業活動が回復傾向となりました。
このような環境の中、当社の強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力に加え、デジタルマーケティング分野のサービスラインナップ拡充やクライアントにとって適切な広告販促戦略の提案ができたことで、既存クライアントならびに新規クライアント数の増加や受注に繋がり、インターネット広告も増加いたしました。また地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に注力し、ふるさと納税事業の取り扱いの拡充にも積極的に取り組んで具体的な成果に繋げてまいりました。その他不動産を中心としたプロモーションの受注増加ならびにイベント等の再開による広告受託などが順調に増加推移したことで、新型コロナウイルス感染症の以前の売上高以上に計上、回復することができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,299,775千円(前連結会計年度比 40.5%増)となり、セグメント利益は212,796千円(同 151.5%増)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
区 分 | 当連結会計年度 | 前年(2021年) 同期比増減 | 前々年(2020年) 同期比増減 |
新聞折込チラシの売上高 | 238,073千円 | 19.2%減 | 11.3%減 |
マスメディア4媒体の売上高 | 437,335千円 | 2.5%減 | 45.1%減 |
販促物の売上高 | 616,089千円 | 60.6%増 | 30.0%増 |
観光コンサルの売上高 | 713,616千円 | 159.2%増 | 257.6%増 |
その他の売上高 | 294,660千円 | 25.7%増 | 17.2%増 |
セグメント売上高合計 | 2,299,775千円 | 40.5%増 | 15.6%増 |
(注)1.前連結会計年度までその他の売上高に含まれておりました、観光コンサルの売上高の重要性が増したため、当連結会計年度よりその他の売上高と区分して記載しております。そのため前連結会計年度のその他の売上高も組み替えて記載しております。
2.商品品目別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急避難的な資金繰り支援策があり、2021年度は倒産企業件数及び負債総額ともに前年度より減少しております。
金融機関等から市場へ出る金融債権の取扱額は年間10.8兆円と前期と比較して約0.6兆円(△5.5%)減少し、またそれに比例し、取扱債権数も前年度より6.7%減少し、年間1,101万件となっております。(2022年3月報道発表資料 法務省 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
しかし、2022年2月28日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、2021年9月期における全国銀行の金融再生法開示債権残高は8.0兆円であり、2021年3月期の7.9兆円と比較すると0.1兆円増加し、2020年3月期の6.8兆円と比較すると1.2兆円増加しており、主な増加要因は業況の悪化によるものと公表されております。不良債権のうち要管理債権残高は2.1兆円と0.1兆円増加し、危険債権残高及び破産更生等債権残高は5.9兆円とおおよそ横ばい状況となっておりますので、引き続き一定水準の残高を金融機関が継続保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で今後も推移することが想定されます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した厳しい経済環境が続いていることから不良債権も今後の経済の正常化スピードと事業環境に大きく左右されるものと想定されますので、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としております。
第2四半期連結会計期間に実行した融資による利息収入及び債権の回収可能債権額は経年により減少傾向にありましたが、当連結会計年度は順調に回収を進めることができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は45,623千円(前連結会計年度比 34.7%増)となり、セグメント利益は15,029千円(同 51.7%増)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。また、当該セグメントにおいては、融資制度などの施策もあり短期的には新型コロナウイルス感染症の影響を受けない事業ですが、感染症による影響は広範囲に及んだことから、今後は債務者の事業環境や雇用情勢などの影響を受けて債権回収が滞るリスクもあり得るため動向を注視して参ります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、通年のグループホームの入居率は92.2%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は84.6%となりました。入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、特にグループホームの空室に対する新規入居者の決定までに時間を要していたことから入居率が減少いたしました。現在は改善され回復傾向にありますが、採用費用などを含む人材費用及び光熱費用が増加したこと及び、感染対策費用等の負担は継続していることから、前連結会計年度よりも大きなセグメント損失を計上することになりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は224,511千円(前連結会計年度比 4.2%減)となり、のれんを4,661千円償却した結果、セグメント損失は16,341千円(前連結会計年度は4,228千円のセグメント損失)となりました。
なお、当該セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、入居者と従業員の安全衛生管理を徹底し、入居率の安定状態を維持することができれば、当該事業への影響は軽微でありますので、引き続き情報収集や感染予防と防止含め、リスクを最小限に抑えるための対策を実施して参ります。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、新型コロナウイルス感染症の変異株の流行ならびに北海道で統計開始以来、観測史上1位となった大雪の影響により来院者数が減少影響を受けました。伏古院(1号店)については、第2四半期連結会計期間には概ね予算通りの水準まで来院者数が増加傾向にあったものの、第3四半期連結会計期間は大雪の影響に加え、まん延防止等重点措置による外出自粛要請などの影響を受けたもののリピート来院者の確保と新規来院者の増加もあり、利益を確保することができました。しかし、豊平院(2号店)においては、新規利用者を含めた来院者数の確保に努めるとともに、当該院にあった運営の見直しや業績の改善を進めたことで前連結会計年度と比較して損失額を圧縮することができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は69,265千円(前連結会計年度比 1.7%減)、セグメント損失1,010千円(前連結会計年度は5,865千円のセグメント損失)となりました。
長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、来院者数が徐々に増加傾向にあることから、引き続きフランチャイズ本部の指導に基づき、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、顧客と従業員が安心して利用できる環境整備と施設運営を続けて、地域の健康増進に努めて参ります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、182,100千円増加して445,165千円(前年同期は233,480千円減少して263,065千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上と営業貸付金の減少による収入等により、営業活動によるキャッシュ・フローが216,915千円の資金収入となり、長期貸付けによる支出等により投資活動によるキャッシュ・フローが11,392千円の資金支出、及び長期借入金の返済による支出等により、財務活動によるキャッシュ・フローが23,422千円の資金支出となったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは216,915千円の資金収入(前年同期は303,084千円の資金支出)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を106,122千円計上したことに加えて、営業貸付金の減少による収入36,842千円、売上債権の減少による収入21,572千円、仕入債務の増加による収入11,686千円、未払消費税等の増加14,624千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは11,392千円の資金支出(前年同期は4,440千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期貸付けによる支出13,500千円、有形固定資産の取得による支出5,532千円、敷金及び保証金の回収による収入6,547千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは23,422千円の資金支出(前年同期は74,044千円の資金収入)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出17,736千円及びリース債務の返済による支出が5,681千円あったことなどによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) | 前連結会計年度比(%) |
広告・マーケティング事業(千円) | 2,293,283 | 140.8 |
債権投資事業(千円) | 45,623 | 134.7 |
介護福祉事業(千円) | 224,511 | 95.8 |
ケアサービス事業(千円) | 69,265 | 98.3 |
合計(千円) | 2,632,683 | 133.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にて記載しております。
2)当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、デジタルマーケティング分野や地方創生事業を中心とした官公庁事業の受注が順調に推移し、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの増収増益となりました。また、債権投資事業は、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるものの、順調に回収が進み前連結会計年度と比較して回収額が増加し、更に新規の融資実行による利息収入の計上もあり、増収増益となりました。介護福祉事業は新型コロナウイルス感染症の影響による空室期間が長くなり入居率の低下及び人材費用も増加して減収減益の営業損失となりました。ケアサービス事業については、来院者数は新型コロナウイルスの影響及び観測史上1位となった大雪により、来院者数が減少し、計画まで伸ばすことができず、減収増益ではありますがセグメント損失となっております。なお、詳細は「(1)経営成績の状況」に記載しておりますのでご参照ください。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とその実績値は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して136,129千円増加し969,278千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金182,100千円増加、売掛金の21,572千円減少及び営業貸付金の36,842千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して17,309千円減少し199,695千円となりました。その主な内訳は、設備投資、減価償却費により有形固定資産が13,175千円減少、のれんの償却などにより無形固定資産が6,980千円減少及び投資その他の資産が2,845千円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して50,737千円増加し633,469千円となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金の11,078千円増加、未払法人税等の32,339千円増加などにより流動負債が70,375千円増加し、長期借入金の返済13,708千円などにより固定負債が19,638千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して68,082千円増加し535,505千円となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により68,527千円増加した結果、利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
また、自己資本比率は45.1%(前連結会計年度末 43.7%)となりました。
4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要については、自己資金ならびに銀行借入による資金調達を基本としております。その中で事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
そのため、経常的な運転資金については短期的な銀行借入により資金を調達することを基本としております。
また、設備資金需要としては、主に介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。当該事項につきましては、長期的な銀行借入により資金調達することを基本としております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は445,165千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、新型コロナウイルス感染症による先行き不透明な経済状況が続くと予想されるため2020年8月28日に、手元資金を厚くしておく目的で金融機関から100,000千円の長期借入れを実施し、322,462千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及び長期借入金199,610千円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務22,852千円となっております。
5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避ならびに発生した場合の低減等の対応に努める方針です。当社は48年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。引き続き当社グループの広告・マーケティング事業を中核として、債権投資事業、介護福祉事業、ケアサービス事業の4事業を推進してまいりますが、新型コロナウイルス感染症の影響及び地政学的リスクなど、引き続き世界経済、国内経済、企業収益及び個人消費などすべてにおいて当面の間、影響を及ぼすことが続く不透明な状況が想定されます。
各事業セグメントへの新型コロナウイルス感染症の影響を注視しながら、環境にあった積極的な事業展開を講じてまいります。また各事業場における衛生管理の徹底、従業員の感染症対策を実施するなど、引き続き気を引き締めてリスク対策も講じてまいります。
① 広告・マーケティング事業
2023年6月期においても、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響は続くものの、回復傾向にあり経済活動が正常に向かうものと想定しております。しかし、地政学的リスクなどの影響による物価上昇の影響により、企業収益の回復の鈍化及び消費者心理の冷え込みなどの動きにも注視する必要があると想定しております。
そのため、クライアント企業は引き続き「攻めと防衛」の広告予算執行に対する慎重姿勢が予想されること、広告販促費の費用対効果の検証が益々進むこと、また新型コロナウイルス感染症がきっかけで急激に事業環境が変動したことから当社グループが長年注力してきた官公庁関連の受託事業の競争激化が更に進むと考えております。
当該事業セグメントは、引き続き当社グループの強みであるデザイン力と営業部門のマーケティング調査に基づいた企画提案力の充実と強化を進め、幅広いサービスラインナップを活かした総合的な提案をすることで、競合他社との差別化を図り受注増加に繋げます。
また、長年地域密着で取り組んできた北海道はもちろんのこと、引き続き全国の各地方自治体の地方創生に関わる事業として地域の魅力を効果的に発信するプロモーションを提案し、地方自治体委託事業の受託にも積極的に取り組み更なる拡大を図ります。
一方で観光立国を目指す北海道において、新型コロナウイルス感染症の影響からの経済回復と観光客の増加は命題です。世界的な新型コロナウイルス感染症の影響によりインバウンド需要消失の長期化の厳しい状況から徐々に回復すると予想されますが、時間的にはまだしばらく掛かるものと想定されるため、国内全域での需要喚起に向けた施策や予算執行が期待されます。当社グループもその状況を注視しつつ、北海道を中心とした観光分野、国際ビジネス分野やその他官公庁関連事業の受注活動を継続し、当社独自の営業基盤を構築してまいります。
以上の総合的な企画提案力強化とともに、2023年6月期においても、他社に無い新たな商品・サービスを追加して北海道における広告会社として独自の営業展開を進めてまいります。
・独自のインターネットマーケティングリサーチサイト「インサーチ」による市場調査分析と販促企画
・独自の海外のクリエイターネットワークによる高品質・低価格のWeb動画制作サービス「インムービー」
・札幌駅前の大型街頭ビジョン
・株式会社中広が実施する、子育てを社会全体で応援するためのコミュニティマガジン「ままここっと札幌版」の広告代理業務
・北海道地域に特化した工務店・ハウスメーカーと生活者を繋ぐWebサイト「ほっかいどうの家」
・札幌圏を対象とした地域広告・販促ツールの情報ポータルサイト「札幌広告.com」
・お店と消費者双方に有益で魅力的な情報を発信するWebサイト「みんサポ」
・「クラウドファンディング × インフルエンサー」マーケティングサービス
・北海道内のインフルエンサーを活用した道内企業向けプロモーション支援サービス「inShare」
・女性に特化したマーケティングでプロモーションや商品開発、イベントなどさまざまなコンテンツをプランニングしていく「インクロス」
・株式会社ウィル・コーポレーションとの業務提携による特殊DMや圧着チラシ等のダイレクトマーケティングツール
② 債権投資事業
当該事業セグメントにおいて、売上高である債権回収は計画通りの順調な推移をしておりますが、債権の性質上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を合わせて進めてまいります。
今後もセカンダリー市場の動向と債権回収の環境は、長期化した新型コロナウイルス感染症の影響を勘案し、2023年6月期において既存の保有債権においては、債権回収の減少が見込まれることから、当連結会計年度よりも減少した売上高及び融資残高による約定利息収入によりセグメント利益を見込んでおります。
しかし、市場環境は一定の規模を維持しているため、当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の増加を図ります。
③ 介護福祉事業
当該事業セグメントにおいては、主に施設サービスとしてグループホームとサービス付き高齢者向け住宅にて事業を展開しているため、引き続き、衛生管理の継続的な徹底により新型コロナウイルス感染症対策、入居者及び従業員等の体調管理を徹底し、適正な入居率を継続維持することと空室期間の短縮化に努めることで、増収を見込んでおります。また、常に原価及び経費の見直し改善策を実施することで、セグメント損失からセグメント利益への業績の回復を見込んでおります。
④ ケアサービス事業
当該事業セグメントにおいては、2院体制でキャンペーンの継続的な実施と新たなサービスの導入等に取り組み、新規来院者の拡大と再来院の促進に力を入れることで来院者数の増加を図り業績を安定化させ、当社グループ全体の収益安定化に貢献する計画です。
新型コロナウイルス感染症対策を入念に行うことでの安心感とともに、地域における「ほねつぎ」の認知度とブランドイメージを高めることにより来院数の回復と新規来院者数の増加に努め、地域における来院のシェア拡大を通じて増収と採算化を図ります。引き続き2院体制によるノウハウや事例の共有や改善に向けた交流会を定期的に実施し、効率的な運営を心掛けることで両院ともに増収増益を見込んでおります。
以上のことから、現時点で入手可能な市場動向等の情報を踏まえるとともに、今後の新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の長期化など様々な要因や影響を及ぼす可能性があり、引き続き予断を許さない状況が続くと思われます。しかし、2023年6月期の連結業績予想については、引き続き影響は継続するものの企業活動及び個人消費などの経済活動正常化への動きが見られることから消費動向は回復の方向に進むことを前提とし、当社グループの各事業への影響を想定した連結業績予想を算定しております。
なお、本連結業績予想は、現時点で入手可能な情報及び合理的であると判断される一定の前提に基づくものであり、実際の業績は様々な要因により大きく異なる可能性があります。当社グループの業績予想の修正を行う必要が生じた場合には速やかに公表いたします。
以上から、2023年6月期の連結会計年度の業績見通しは、売上高3,065百万円(前年同期比 16.5%増)、営業利益58百万円(前年同期比 23.7%減少)、経常利益50百万円(前年同期比 52.8%減少)を見込み、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円(前年同期比 55.9%減少)を見込んでおります。
7) 経営者の問題意識と今後の方針について
2023年6月期の連結会計年度も新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明な状況となっており、当面のあいだは経済活動への影響は避けられないものと認識しております。そのため、徐々に回復基調に転じると期待するがこの状況が継続するものと予想され、感染防止策が長期化することにより、今後も影響が避けられず事業環境は予断を許さない状況にありますが、当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。