有価証券報告書-第46期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

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2020/09/28 15:33
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受ける2020年2月までは、経済全体として回復傾向にありました。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大にともない2020年4月7日に「緊急事態宣言」が発出され、その後4月16日には対象地域を国内全地域に拡大するなど、急速且つ広域範囲にわたり経済活動に影響を及ぼす極めて厳しい状況となりました。5月下旬の緊急事態宣言解除、その後の都道府県をまたぐ移動の自粛要請の解除ならびに新生活様式対応などの感染症拡大防止策と経済活動の段階的引上げにより、企業収益や雇用環境は依然として厳しい状況にはありますが、持ち直しの動きがみられる状況となりました。また、世界経済においても新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により経済活動が低下しており、今後の感染状況によっては景気回復が遅れ長期停滞となる可能性があるなど、経済の先行きは極めて不透明な状況であります。
北海道経済におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が及ぶまでは、全体として緩やかに景気は拡大しておりましたが、2月28日に感染拡大の深刻さが増したことから「緊急事態宣言」が出されたことに伴い、不要不急の外出等を自粛する中で、イベント開催の自粛、観光業界ならびにその関連事業者などを含めた個人消費が大幅に減少し、感染症の収束も見えないことから企業の収益・マインド面も悪化したことで経済活動がとても厳しい状況となりました。
また、当社の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界では、新型コロナウイルス感染症の影響が深刻になるまでのあいだは、全体的に横ばい状況ではあるものの、マスコミ四媒体広告分野などを中心とした既存媒体は微減傾向が続き、インターネット広告分野のみが微増を継続しておりました。しかし感染拡大からイベントや催事などの企画が自粛となり、関連する広告活動が中止となったことから業界全体に急激且つ広範囲に影響を与え収益が悪化いたしました。
このような環境の中、当社グループは新たな収益領域として掲げてきたデジタルマーケティング分野での受注と観光インバウンドや地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に注力し、サービスラインナップの拡充とともに既存媒体もけん引して売上高も順調に進捗し、今年3月までの第3四半期連結累計期間までは、前第3四半期連結累計期間の実績を上まわる収益を計上しておりましたが、感染拡大の影響を受け主要クライアントの自粛が続き、6月に入り受注が再開し始めたものの、第4四半期連結会計期間においては計画値及び前年実績を大きく下回る状況となり、結果として前連結会計年度と比較して、増収減益となりました。
また、主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債権投資事業においては、順調に回収が進み、融資債権に対する利息収入も計画通りに推移しておりましたが、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるため、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
介護福祉事業は、入居者及び従業員の感染症対策が運営上の重大なリスク要因となっておりますが、従来から事業所内の衛生管理を徹底しておりましたので、影響を受けずに比較的高い入居率で年間推移することができました。
一方、2019年3月31日をもって賃貸借契約が期間満了となった事業所1箇所の減少により、当該事業所の売上高が減少しております。加えて、サービス付き高齢者向け住宅における入居者の退去から次の入居までの空室期間が少し時間を要したこともあり、当連結会計年度においては前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
ケアサービス事業において、来院数は比較的順調に推移していたものの、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、院内の衛生管理を徹底し予防と防止に努めてまいりましたが、感染拡大による外出自粛要請などを受け第4四半期連結会計期間において急激に来院数が減少いたしました。緊急事態宣言解除後の6月に入り来院数も徐々に回復してまいりましたが、落ち込みを挽回するまでには至らず、前連結会計年度と比較して増収増益であるものの、営業損失となりました。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、売上高が2,327,924千円(前連結会計年度比 5.9%増)となりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことから、売上総利益が472,445千円(同 1.0%減)、営業利益16,759千円(同71.6%減)、経常利益は20,427千円(同 65.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は13,534千円(同70.0%減)の増収減益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて近年増加傾向で推移していたインターネット広告も減少に転じるなど、業界全体が大きな影響を受けました。
北海道内においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2月28日に「緊急事態宣言」が出されたことに伴いイベントの中止や広告自粛が続き、全体的な広告の延期・中止・予算の縮小傾向などが見られました。
このような環境の中、当社は旧来からの強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力の強化に加え、デジタルマーケティング分野でのシナジー性の高い企業との業務提携によるサービスラインナップ拡充や、顧客ニーズに深く対応するための地域商社という拠点を活かした取り組みに注力してまいりました。
当連結会計年度においては、地域密着型の最適な広告販促方法の提案の実施とクライアントの個性を重視したサービスを構築することで、新たな収益領域における受注が既存媒体受注に繋がり、順調に推移していたものの、当社グループも感染症の影響による売上高の減少とサービスラインナップ拡充に伴う、採用及び人材育成関連投資費用も増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,989,815千円(前連結会計年度比 10.2%増)となり、セグメント利益は124,775千円(前連結会計年度比 4.8%減)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
新聞折込チラシの売上高268,411千円(前連結会計年度比 25.0%減)
マスメディア4媒体の売上高796,672千円(前連結会計年度比 24.7%増)
販促物の売上高473,874千円(前連結会計年度比 2.1%減)
その他品目の売上高450,857千円(前連結会計年度比 38.7%増)
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、近年の傾向として景気の回復を背景に倒産企業件数が減少しておりましたが、2019年度は若干増加に転じました。しかし負債総額の減少傾向は継続しております。そのため金融機関等から市場へ出る金融債権は13兆円台と微減傾向となっておりますが、取扱債権数は前年度より9万7,000件以上の0.8%増加した年間1,268万件と6年連続の増加となっております。そのうちサービサーへ譲渡された取扱債権額も2年連続の年間13.3兆円と前期と比較して0.6兆円(△4.4%)減少環境となっております(2020年3月27日付 法務省 統計調査 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
また、2020年2月21日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、2019年 9月期における全国銀行の金融再生法開示債権残高は6.8兆円であり、2018年9月期の6.5兆円と比較すると若干の増加傾向となっており、そのうち要管理債権残高は1.5兆円と0.1兆円強増加し、また危険債権残高及び破産更生等債権残高も微増しておりますので、大きな変化が見られませんが、一定水準の残高を金融機関が継続保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で推移することが想定されます。また、今後は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて危険債権残高及び破産更生等債権残高にどのような影響が及ぶかについては、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としており、債権の回収も経年により減少傾向ですがほぼ見込み通り、また融資による債権残高に対する利息収入は計画通りで推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は35,191千円(前連結会計年度比 38.5%減)となり、セグメント利益は15,430千円(前連結会計年度比 45.5%減)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。また、当該セグメントにおいては、短期的には新型コロナウイルス感染症の影響を受けない事業ですが、感染症による影響は広範囲に及んでいることから、今後は債務者の事業環境や雇用情勢の悪化などの影響を受けて債権回収が滞るリスクもあり得るため動向を注視してまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、グループホームの入居率は98.0%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は92.9%となりました。
入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
2019年3月31日をもって賃貸借契約が期間満了となった事業所1箇所の減少に伴い減収となっております。一方で、既存事業所においては、グループホームの年間を通じて入居率が高い水準を維持しているものの、サービス付き高齢者向け住宅の入居率が若干マイナスとなったことから、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は239,063千円(前連結会計年度比 16.3%減)となり、のれんを4,661千円償却した結果、セグメント利益は10,817千円(同 32.2%減)となりました。
引き続き新規施設開設における公募情報を精査して参加の検討を行うとともに、適切な案件の情報を得た場合にはM&A等を活用した事業拡大についても積極的に検討してまいります。
なお、当該セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、入居者と従業員の安全衛生管理を徹底し、入居率の安定状態を維持することができれば、当該事業への影響は軽微でありますので、引き続き情報収集や感染予防と防止含め、リスクを最小限に抑えるための対策を実施してまいります。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、有資格者の退職に伴う補充採用などの対応はありましたが、来院数は比較的順調に推移するなど微増傾向となり、12月度には概ね予算通りの水準まで来院数が増加したものの、3月には新型コロナウイルス感染症の影響で来院数が減少し始め、特に4月、5月において外出自粛要請などの影響を受けた結果、前連結会計年度と比較して増収増益であるものの引き続き営業損失計上となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は67,924千円(前連結会計年度比 21.7%増)、セグメント損失9,909千円(前連結会計年度は13,873千円のセグメント損失)となりました。
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言解除により6月に入り自粛傾向が和らぎ、若干来院数が徐々に回復、増加傾向にあることから、引き続きフランチャイズ本部の指導に基づき、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、顧客と従業員が安心して利用できる環境整備と施設運営を続けて、地域の健康増進に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、87,737千円増加して496,545千円(前年同期は147,017千円増加して408,807千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上と営業貸付金の減少による収入等により、営業活動によるキャッシュ・フローが156,533千円の資金収入となり、有形固定資産の取得による支出等により投資活動によるキャッシュ・フローが31,033千円の資金支出、配当金の支払額と長期借入金の返済による支出等により、財務活動によるキャッシュ・フローが37,762千円の資金支出となったことによるものです。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは156,533千円の資金収入(前年同期は210,778千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を20,427千円計上したことに加えて、営業貸付金の純減少による収入107,981千円、売上債権の減少による収入82,573千円、仕入債務の減少による支出39,243千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは31,033千円の資金支出(前年同期は9,799千円の資金支出)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出28,552千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは37,762千円の資金支出(前年同期は53,962千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出19,214千円及び配当金の支払額13,501千円等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
前連結会計年度比(%)
広告・マーケティング事業(千円)1,985,744110.3
債権投資事業(千円)35,19161.5
介護福祉事業(千円)239,06383.7
ケアサービス事業(千円)67,924121.7
合計(千円)2,327,924105.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.売上実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」にて記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損損失)
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、業績の大幅な悪化や経営環境等の変化により、新たな減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」にて記載しております。
2) 当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、デジタルマーケティング分野や地方創生事業を中心とした官公庁事業の受注が順調に推移したものの新型コロナウイルス感染症の影響により増収減益となりました。また、債権投資事業は、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるため、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を下回りました。介護福祉事業は前連結会計年度に賃貸借契約期間の満了により事業所1ヶ所減少に伴い減収減益となりました。ケアサービス事業については、来院数は比較的順調に推移し増収増益となりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響もありセグメント損失となっております。なお、詳細は「(1)経営成績の状況」に記載しておりますのでご参照ください。
また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とその実績値は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して87,129千円減少し734,510千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の87,738千円増加、受取手形及び売掛金の82,573千円減少及び営業貸付金の107,981千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して2,836千円増加し241,751千円となりました。その主な内訳は、設備投資と減価償却費により有形固定資産が9,868千円増加、のれんの償却などにより無形固定資産が5,366千円減少及び投資その他の資産が1,667千円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して85,133千円減少し475,377千円となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金の11,868千円減少、電子記録債務の27,375千円減少、未払法人税等の10,617千円減少及び長期借入金の19,214千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して839千円増加し500,883千円となりました。その主な内訳は、非支配株主持分の724千円の増加、株主配当による剰余金の減少13,482千円ならびに親会社株主に帰属する当期純利益の計上による13,534千円増加した結果、利益剰余金が52千円増加したことによるものであります。
また、自己資本比率は51.1%(前連結会計年度末は 47.1%)となりました。
4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要については、自己資金ならびに銀行借入による資金調達を基本としております。その中で事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
そのため、経常的な運転資金については短期的な銀行借入により資金を調達することを基本としております。
また、設備資金需要としては、主に介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。当該事項につきましては、長期的な銀行借入により資金調達することを基本としております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は496,545千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、260,480千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及び長期借入金135,082千円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務25,398千円となっております。
また、新型コロナウイルス感染症による先行き不透明な経済状況が続くと予想されるため2020年8月28日に、手元資金を厚くしておく目的で金融機関から100,000千円の長期借入れを実施しております。
5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避ならびに発生した場合の低減等の対応に努める方針です。当社は46年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。引き続き当社グループの広告・マーケティング事業を中核として、債権投資事業、介護福祉事業、ケアサービス事業の4事業を推進してまいりますが、新型コロナウイルス感染症は世界経済、国内経済、企業収益及び個人消費などすべてに重大な影響を及ぼしており、長期化が懸念されております。
各事業セグメントへの新型コロナウイルス感染症拡大の影響を注視しながら、影響を最小限に抑えるための対策と対応、そして社会と経済の回復を進めて行くためには「ニューノーマル(新常態)」の移行に企業活動を通じて貢献ができるよう、環境にあった「新たな技術」の導入など積極的な展開を講じて、足元では、各事業場における衛生管理の徹底、テレワークの推進等による従業員の感染症対策を実施するなど、引き続き気を引き締めてリスク対策を講じてまいります。
① 広告・マーケティング事業
2021年6月期においては、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明なため、当面のあいだはその影響が継続するものと想定しております。
そのため、クライアント企業は引き続き広告予算縮小が予想されること、広告販促費の費用対効果の検証が益々進むこと、当社グループが長年注力してきた官公庁関連の受託事業の競争激化が進むと考えております。
当該事業セグメントは、引き続き制作部門のデザイン力及び営業部門の企画提案力の充実と強化を進め、自社独自のマーケティングリサーチに基づいたプロモーションコンサルティングや、デジタルマーケティング、ダイレクトマーケティングといった幅広いサービスラインナップを活かした総合的な提案をすることで、競合他社との差別化を図ってまいります。
また、長年地域密着で取り組んできた北海道はもちろんのこと、引き続き全国の各地方自治体の地方創生に関わる事業として地域の魅力を効果的に発信するプロモーションを提案し、地方自治体委託事業の受託にも積極的に取り組んでまいります。
一方で観光立国を目指す北海道において、新型コロナウイルス感染症の影響からの経済回復と観光客の増加は命題であるため、収束が見込まれたタイミングでの需要喚起に向けた予算執行が期待されます。当社グループもその状況を注視しつつ、北海道を中心とした観光分野、国際ビジネス分野やその他官公庁関連事業の受注活動を継続し、当社独自の営業基盤を構築してまいります。
以上の総合的な企画提案力強化とともに、2021年6月期においても、他社に無い新たな商品・サービスを追加して北海道における広告会社として独自の営業展開を進めてまいります。
・独自のインターネットマーケティングリサーチサイト「インサーチ」による市場調査分析と販促企画
・留学生等の札幌在住外国人を登録モニターとするマーケティング調査サービス「インモニター」
・独自の海外のクリエイターネットワークによる高品質・低価格のWeb動画制作サービス「インムービー」
・株式会社中広が実施する、子育てを社会全体で応援するためのコミュニティマガジン「ままここっと札幌版」
の広告代理業務
・札幌圏を対象とした地域広告・販促ツールの情報ポータルサイト「札幌広告.com」
・札幌駅前の大型街頭ビジョン
・株式会社ウィル・コーポレーションとの業務提携による特殊DMや圧着チラシ等のダイレクトマーケティング
ツール
・お店と消費者双方に有益で魅力的な情報を発信するWebサイト「みんサポ」
・「クラウドファンディング × インフルエンサー」マーケティングサービス
・日本オラクル株式会社のクラウドシステムを活用してSNS等のビッグデータを解析するサービス「インプラ
ス」
・北海道内のインフルエンサーを活用した道内企業向けプロモーション支援サービス「inShare」
・女性に特化したマーケティングでプロモーションや商品開発、イベントなどさまざまなコンテンツをプランニ
ングしていく「インクロス」
② 債権投資事業
当該事業セグメントにおいて、売上高である債権回収は計画通りの順調な推移をしておりますが、債権の性質上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を合わせて進めてまいります。
今後のセカンダリー市場の動向と債権回収の環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が広範囲に及んでいることを勘案し、2021年6月期において既存の保有債権においては、債権回収の減少が見込まれることから、当連結会計年度よりも減少した売上高並びにセグメント利益を見込んでおります。
そのため、当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の回復を図ります。
③ 介護福祉事業
当該事業セグメントは、主に施設サービスとしてグループホームとサービス付き高齢者向け住宅にて事業を展開しているため、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策、入居者及び従業員等の体調管理を徹底し、適正な入居率を継続することで、若干の増収を見込んでおります。各事業所において新規の加算算定による売上高の拡大や原価及び経費の見直し等の改善策を実施することで、セグメント利益については増加を見込んでおります。
当該事業セグメントは、引き続き、新規事業所の開設等による事業規模拡大の活動を進めて、当社グループの業績への拡大を図りたいと考えております。
④ ケアサービス事業
当該事業セグメントにおいては、2院体制でキャンペーンの継続的な実施と新たなサービスの導入等に取り組み、新規来院者の拡大と再来院の促進に力を入れることで来院数の増加を図り業績を安定化させ、当社グループ全体の収益安定化に貢献する計画です。
新型コロナウイルス感染症の影響からの脱却に向けて、感染症対策を入念に行うことでの安心感とともに、開設地域における「ほねつぎ」の認知度とブランドイメージを高めることにより来院数の回復と新規来院者数の増加に努め、地域における来院のシェア拡大を通じて増収と採算化を図ります。2院体制によるノウハウや事例の共有や改善に向けた交流会を定期的に実施し、効率的な運営を心掛けることで両院ともに増収増益を見込んでおります。
以上のことから、現時点で入手可能な市場動向等の情報を踏まえ、2021年6月期の連結業績予想について、新型コロナウイルス感染症による影響の今後の見通しにつきましては、収束の見通しが不透明な厳しい環境が当面のあいだは継続し、景気回復には時間を要することが見込まれるため、依然として予断を許さない状況が続くと思われます。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大状況が現状以上に悪化せず、消費動向は徐々に回復の方向に進みながらも、新たな生活様式への変化により今期中は影響が残ることを前提とし、当社グループの各事業への影響を想定した連結業績予想を算定しております。
なお、本連結業績予想につきましては、現時点で入手可能な情報及び合理的であると判断される一定の前提に基づくものであり、実際の業績は様々な要因により大きく異なる可能性があります。また、今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期や影響範囲等は大きく変動する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす事象が生じた場合には速やかに公表いたします。
以上から、2021年6月期の連結会計年度の業績見通しは、売上高2,438百万円、営業利益30百万円、経常利益24百万円、親会社株主に帰属する当期純利益14百万円を見込んでおります。
7) 経営者の問題意識と今後の方針について
今後の新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明な状況となっており、経済活動への影響は避けられないものと認識しております。そのため、この状況が当面は継続するものと予想され、また、感染拡大防止策が長期化することにより、今後の事業環境は予断を許さない状況にありますが、当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。