有価証券報告書-第47期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

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2021/09/29 15:41
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の再拡大や変異株の影響などにより、国内においても個人の生活様式や広範囲の事業等に大きな影響を及ぼした1年でした。政府や自治体の各種政策の効果などもあり、公共工事や製造業を中心に企業の設備投資は増加に転じるなど、経済活動は回復に向かっておりますが、個人消費は行動や移動の制限、雇用環境の弱さも背景にあり、サービス消費などは依然として引き続き低い水準で推移しております。
北海道経済におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、不要不急の外出やイベント開催の自粛、観光業界ならびにその関連事業者などを含めた個人消費が大幅に減少し、コロナ禍の終息が見通せない中、経済活動の制約も長期化していることから依然厳しい状況が続いております。特に観光関連産業が大きく落ち込み、政府を主導とした「GoTo」事業による経済の回復が一時的に見られたものの、11月以降の第3波の影響から感染防止対策が長期間続いたことにより、企業活動や個人消費が大きく収縮する事態となりました。
また、当社の主要事業セグメントである広告・マーケティング事業の広告業界でも、新型コロナウイルス感染症の影響は深刻であり、各種イベントや広告販促キャンペーンの中止・延期、レジャーの自粛などに伴い、紙媒体の新聞・雑誌、DM、交通広告などの減少基調が止まらない状況の中、一時的にはインターネット広告分野も新型コロナウイルス感染症による消費の低迷と広告出稿減少の影響を受けましたが、スマートフォンなどのモバイル端末向けの動画広告の伸長などもあり他メディアよりも早く回復しておりますが、全体としては従前の規模までの回復には未だ至っておりません。
このような環境の中、当社グループは新たな収益領域として掲げてきたデジタルマーケティング分野での受注と地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に注力し、ふるさと納税分野の大幅な受注拡大となりましたが、既存媒体においては、年初に想定しておりました事業環境よりも長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受ける状況が続き、計画値及び前年実績を大きく下回る状況となり、結果として前連結会計年度と比較して、減収減益となりました。
また、主要セグメントを補完する収益基盤事業のうち、債券投資事業においては順調に回収を進めましたが、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあることから若干の減収となりました。また、融資の実行により利息収入も計上しましたが、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
介護福祉事業は、入居者及び従業員の感染症対策が運営上の重大なリスク要因となっておりますが、従来から事業所内の衛生管理を徹底しつつ、ご利用者に寄り添った介護を継続できるよう最善を尽くして参りました。
グループホームは比較的高い入居率で推移することができましたが、サービス付き高齢者住宅において、新型コロナウイルス感染症の影響もあり空室期間が従前よりも長くなる傾向となったことから、目標としている入居率を達成できていなかったこと、ならびに採用費用を含む人材費用も増加し前連結会計年度と比較して減収減益の営業損失となりました。
ケアサービス事業においては、来院数は比較的順調に推移していたものの、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、院内の衛生管理を徹底し予防に努めてまいりましたが、感染拡大による外出自粛要請の長期化などを受けた影響により、来院数に減少影響を受けました。
伏古院(1号店)についてはリピート患者数も一定数値確保ができていることから、概ね予算通りの水準となっているものの、豊平院(2号店)については、新型コロナウイルスの影響もあり新規患者数を計画まで伸ばすことができず、計画未達となり前連結会計年度と比較して増収となり損失を縮小することはできましたが、営業損失となりました。
以上により、当社グループの当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことから、売上高が1,967,744千円(前連結会計年度比 15.5%減)、売上総利益が452,098千円(同 4.3%減)となりましたが、人員体制の強化を行い人件費を含めた販売費及び一般管理費が増加したことから、営業損失39,261千円(前連結会計年度は16,759千円の営業利益)、経常損失は14,333千円(前連結会計年度は20,427千円の経常利益)となり、固定資産の減損損失などの特別損失を11,794千円計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は31,694千円(前連結会計年度は13,534千円の親会社株主に帰属する当期純利益)の減収減益となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績の状況は次のとおりです。
1)広告・マーケティング事業
当社グループの主要事業セグメント分野である広告業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大により大きな影響を受けた年度となりました。その中でマスコミ四媒体など既存媒体の広告分野は新型コロナウイルス感染拡大前と比較して大きな減少傾向が続き、近年増加傾向で推移していたインターネット広告も一時減少に転じるなどの影響を受けましたが、第4四半期ごろより回復傾向が見られるようになりましたが、従前の規模までに回復するには至っておりません。
北海道内においても、新型コロナウイルス感染症拡大により、「GoToトラベルキャンペーン」事業にて、一時観光客増加の傾向になったものの、札幌市を目的とした旅行の適応除外が決定した後は急激に減少することとなりました。その後も消費の低迷と広告出稿減少の影響を受けましたが、インターネットショッピングを楽しむ「巣ごもり消費」といった新たなライフスタイルの定着化もあり、インターネット広告は比較的早い回復となりました。
このような環境の中、当社は旧来からの強みであるデザイン力とマーケティング調査に基づいた企画提案力の強化に加え、デジタルマーケティング分野でのサービスを強化することで、当該分野の受注が既存媒体の受注に繋がり、また地方創生事業を中心とした官公庁事業受託に注力し、更なるふるさと納税分野の取り扱いの拡充が順調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、また採用費用及び人材費用を含めた販売費及び一般管理費も増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,636,739千円(前連結会計年度比 17.7%減)となり、セグメント利益は84,597千円(前連結会計年度比 32.2%減)となりました。
<参考・当社グループにおける品目別の売上高>商品品目別の売上高と前連結会計年度からの増減は次のとおりです。
新聞折込チラシの売上高294,825千円(前連結会計年度比 9.8%増)
マスメディア4媒体の売上高448,758千円(前連結会計年度比 43.7%減)
販促物の売上高383,513千円(前連結会計年度比 19.1%減)
その他品目の売上高509,642千円(前連結会計年度比 13.0%増)
2)債権投資事業
当社グループの債権投資事業は、不良債権化した金融債権のセカンダリー市場において投資対象債権を購入するものであります。
不良債権の流動化マーケットは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急避難的な資金繰り支援策があり、倒産企業件数が前年度より件数及び負債総額ともに減少しております。
金融機関等から市場へ出る金融債権の取扱額は年間11.3兆円と前期と比較して約2兆円(△14.4%)減少し、またそれに比例し、取扱債権数も前年度より6.9%減少し、年間1,180万件となっております。(2021年3月26日付 法務省 統計調査 債権回収会社(サービサー)の業務状況について:出所)。
しかし、2021年2月26日付金融庁が公表した不良債権(金融再生法開示債権の状況等)の状況によれば、2020年9月期における全国銀行の金融再生法開示債権残高は7.4兆円であり、2020年3月期の6.8兆円と比較すると0.6兆円増加し、近年続いていた減少傾向が新型コロナウイルス感染症の影響により一転して増加に転じた状況となりました。不良債権のうち要管理債権残高は1.8兆円と0.2兆円、危険債権残高及び破産更生等債権残高は5.6兆円と0.4兆円増加している状況となっておりますので、引き続き一定水準の残高を金融機関が継続保有していることから、不良債権の処理市場は一定規模で今後も推移することが想定されます。
新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経済環境から企業の金融機関からの資金調達が増加していることから、不良債権も今後の経済環境に大きく左右される状況と想定しております。更に今後の経済環境の影響を受けて危険債権残高及び破産更生等債権残高にどのような影響が及ぶかについては、不良債権の処理市場の動向を注視してまいります。
当該事業セグメントにおいては、債権の集合体(グループ債権)の回収金額及び融資による営業貸付金利息を売上高としており、債権の回収も経年により減少傾向ですがほぼ見込み通り推移し、また融資の実行により利息収入を計上することができました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は33,876千円(前連結会計年度比 3.7%減)となり、セグメント利益は9,907千円(前連結会計年度比 35.8%減)となりました。
引き続き、セカンダリー市場における投資債権(個別債権の集合体)購入の実現を図り、債権回収額の回復による収益の確保に努めてまいります。また、当該セグメントにおいては、融資制度などの施策もあり短期的には新型コロナウイルス感染症の影響を受けない事業ですが、感染症による影響は広範囲に及んでいることから、今後は債務者の事業環境や雇用情勢の悪化などの影響を受けて債権回収が滞るリスクもあり得るため動向を注視してまいります。
3)介護福祉事業
当社グループの介護福祉事業は、当連結会計年度において、札幌市内にグループホーム2ヶ所、訪問介護(ヘルパー)ステーション1ヶ所、サービス付き高齢者向け住宅1ヶ所を運営し、グループホームの入居率は97.1%、サービス付き高齢者向け住宅の入居率は90.1%となりました。入居率は暦日による加重平均方式によって計算しております。
グループホームは年間を通じて入居率が高い水準を維持しているものの、新型コロナウイルスの影響もあり、サービス付き高齢者向け住宅の空室の期間が長くなり入居率が若干低下したことから、前連結会計年度と比較して減収減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は234,240千円(前連結会計年度比 2.0%減)となり、のれんを4,661千円償却した結果、セグメント損失は4,228千円(前連結会計年度は10,817千円のセグメント利益)となりました。
引き続き新規施設開設における公募情報を精査して参加の検討を行うとともに、適切な案件の情報を得た場合にはM&A等を活用した事業拡大についても積極的に検討してまいります。
なお、当該セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、入居者と従業員の安全衛生管理を徹底し、入居率の安定状態を維持することができれば、当該事業への影響は軽微でありますので、引き続き情報収集や感染予防と防止含め、リスクを最小限に抑えるための対策を実施してまいります。
4)ケアサービス事業
ケアサービス事業においては、新型コロナウイルス感染症により来院者数が減少影響を受けました。来院者数については、第2四半期には概ね予算通りの水準まで来院数が増加したものの、第3四半期の3月には新型コロナウイルス感染症の影響が大きく来院数が減少し始め、特に4月、5月において外出自粛要請などの影響を受けた結果、伏古院(1号店)は、リピート来院者の確保と新規来院者の増加により、比較的順調に推移したものの、豊平院(2号店)においては新規来院者数が伸ばすことが出来ず、計画未達となり前連結会計年度と比較して増収増益ではあるものの営業損失計上となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は70,465千円(前連結会計年度比 3.7%増)、セグメント損失5,865千円(前連結会計年度は9,909千円のセグメント損失)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたものの、来院数が徐々に回復傾向にあることから、引き続きフランチャイズ本部の指導に基づき、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、顧客と従業員が安心して利用できる環境整備と施設運営を続けて、地域の健康増進に努めてまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、233,480千円減少して263,065千円(前年同期は87,737千円増加して496,545千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失の計上と営業貸付金の増加による支出等により、営業活動によるキャッシュ・フローが303,084千円の資金支出となり、有形固定資産の取得による支出等及び関係会社株式の売却による収入により投資活動によるキャッシュ・フローが4,440千円の資金支出となりましたが、長期借入金の増加による収入及び配当金の支払額と長期借入金の返済による支出等により、財務活動キャッシュ・フローが74,044千円の資金収入となったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは303,084千円の資金支出(前年同期は156,533千円の資金収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失を26,127千円計上したことに加えて、営業貸付金の増加による支出250,000千円、売上債権の増加による支出97,147千円、仕入債務の増加による収入32,644千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは4,440千円の資金支出(前年同期は31,033千円の資金支出)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出5,878千円、敷金及び保証金の差入による支出2,132千円等ならびに関係会社株式の売却による収入4,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは74,044千円の資金収入(前年同期は37,762千円の資金支出)となりました。その主な要因は、長期借入金の増加による収入が100,000千円ならびに長期借入金の返済による支出17,736千円及び配当金の支払額が6,767千円あったことなどによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当社グループが営む、集客戦略及び販売戦略のための広告宣伝を企画・制作する「広告・マーケティング事業」、セカンダリー市場において売買される投資債権(個別債権の集合体)を取得し、当該債権の回収を通じて投資収益を得る「債権投資事業」、グループホームや訪問介護ステーション等を運営する「介護福祉事業」、及び鍼灸接骨院を運営する「ケアサービス事業」においては、提供するサービスの性格上、その内容、構造、形式等が一様ではなく、生産実績の記載に適さないため、記載を省略しております。
2)受注実績 生産実績と同様の理由により記載を省略しております。
3)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
前連結会計年度比(%)
広告・マーケティング事業(千円)1,629,16382.0
債権投資事業(千円)33,87696.3
介護福祉事業(千円)234,24098.0
ケアサービス事業(千円)70,465103.7
合計(千円)1,967,74484.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.売上実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にて記載しております。
2) 当連結会計年度の経営成績についての分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績について、主要な広告・マーケティング事業は、デジタルマーケティング分野や地方創生事業を中心とした官公庁事業の受注が順調に推移したものの新型コロナウイルス感染症の影響により減収減益となりました。また、債権投資事業は、経年に伴い回収可能債権額が減少傾向にあるため、売上高及びセグメント利益ともに前年同期を下回りました。介護福祉事業は新型コロナウイルス感染症の影響による空室期間が長くなり入居率の低下及び人材費用も増加して減収減益の営業損失となりました。ケアサービス事業については、来院数は新型コロナウイルスの影響もあり計画まで伸ばすことができず、増収増益ではありますがセグメント損失となっております。なお、詳細は「(1)経営成績の状況」に記載しておりますのでご参照ください。
また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とその実績値は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
3) 財政状態についての分析
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度と比較して98,639千円増加し833,149千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の233,480千円減少、受取手形及び売掛金の97,147千円増加及び営業貸付金の250,000千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度と比較して24,746千円減少し217,004千円となりました。その主な内訳は、設備投資、減価償却費ならびに減損損失により有形固定資産が13,987千円減少、のれんの償却などにより無形固定資産が6,500千円減少及び関係会社株式売却により投資その他の資産が4,258千円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度と比較して107,354千円増加し582,731千円となりました。その主な内訳は、支払手形及び買掛金の21,884千円増加、電子記録債務の10,759千円増加、未払法人税等の1,393千円増加などにより流動負債が24,882千円増加し、新型コロナウイルス感染症による影響を勘案し、手元資金を厚くしておく目的で長期借入金として100,000千円調達したことなどにより固定負債が82,471千円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度と比較して33,461円減少し467,422千円となりました。その主な内訳は、非支配株主持分が6,872千円の増加、株主配当による剰余金の減少6,741千円ならびに親会社株主に帰属する当期純損失の計上による31,694千円減少の結果、利益剰余金が38,435千円減少したことによるものであります。
また、自己資本比率は43.7%(前連結会計年度末 51.1%)となりました。
4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要については、自己資金ならびに銀行借入による資金調達を基本としております。その中で事業活動における運転資金需要の主なものは、広告・マーケティング事業における官公庁事業が翌年3月までの期間で受注する業務が多いことから完了までに増加する制作支出金のほか、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
そのため、経常的な運転資金については短期的な銀行借入により資金を調達することを基本としております。
また、設備資金需要としては、主に介護福祉事業及びケアサービス事業における新規事業所の開設にかかる設備投資や開設準備費用等があります。当該事項につきましては、長期的な銀行借入により資金調達することを基本としております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について子会社のものを含めて、当社において一元管理しております。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達や設備投資については、金融機関等からの借入等により資金調達を行う方針であります。
当社グループは、中長期的な資本の財源として、持続的な親会社株主に帰属する当期純利益と営業キャッシュ・フローの資金収入を獲得することが重要と考えております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は263,065千円であり、一定の投資余力を確保できているものと判断しております。
また、有利子負債については、当社グループの事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
当連結会計年度末の有利子負債は、新型コロナウイルス感染症による先行き不透明な経済状況が続くと予想されるため2020年8月28日に、手元資金を厚くしておく目的で金融機関から100,000千円の長期借入れを実施し、345,879千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金100,000千円及び長期借入金217,346千円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務28,533千円となっております。
5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」において記載しております内容が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因です。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避ならびに発生した場合の低減等の対応に努める方針です。当社は47年の歴史のなかで、様々なリスク要因に遭遇し、都度それを克服して今日の企業文化を形成して参りました。今後とも、新しい時代の変化に対応するとともに、経営成績に重要な影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合に備えた対応を続けて参ります。
詳細については「2 事業等のリスク」をご参照ください。
6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、更なる継続的な成長を実現するために、経済状況の変化や市場環境の急速な変化に対応すべく経営体制の整備増強に努めております。引き続き当社グループの広告・マーケティング事業を中核として、債権投資事業、介護福祉事業、ケアサービス事業の4事業を推進してまいりますが、新型コロナウイルス感染症の影響はワクチン接種の効果もあり徐々に回復基調に転じると期待しておりますが、世界経済、国内経済、企業収益及び個人消費などすべてにおいて当面の間、未だ影響を及ぼすことが続く極めて不透明な状況が想定されます。
各事業セグメントへの新型コロナウイルス感染症の影響を注視しながら、環境にあった「新たな技術」の導入など積極的な事業展開を講じてまいります。また各事業場における衛生管理の徹底、従業員の感染症対策を実施するなど、引き続き気を引き締めてリスク対策も講じてまいります。
① 広告・マーケティング事業
2022年6月期においても、製造業などの分野においては経済の回復傾向になっておりますが、観光、飲食などの非製造事業者においては新型コロナウイルス感染症の終息の見通しが不透明なため、当面の間はその影響が継続するものと想定しております。
そのため、クライアント企業は引き続き広告予算縮小が予想されること、広告販促費の費用対効果の検証が益々進むこと、また事業環境の変動から当社グループが長年注力してきた官公庁関連の受託事業の競争激化が進むと考えております。
当該事業セグメントは、引き続き制作部門のデザイン力及び営業部門の企画提案力の充実と強化を進め、自社独自のマーケティングリサーチに基づいたプロモーションコンサルティングや、デジタルマーケティングといった幅広いサービスラインナップを活かした総合的な提案をすることで、競合他社との差別化を図ってまいります。
また、長年地域密着で取り組んできた北海道はもちろんのこと、引き続き全国の各地方自治体の地方創生に関わる事業として地域の魅力を効果的に発信するプロモーションを提案し、地方自治体委託事業の受託にも積極的に取り組み更なる拡大を図ります。
一方で観光立国を目指す北海道において、新型コロナウイルス感染症の影響からの経済回復と観光客の増加は命題であるため、ワクチンの接種率や国内の感染状況などにより需要喚起に向けた施策や予算執行が再度期待されます。当社グループもその状況を注視しつつ、北海道を中心とした観光分野、国際ビジネス分野やその他官公庁関連事業の受注活動を継続し、当社独自の営業基盤を構築してまいります。
以上の総合的な企画提案力強化とともに、2022年6月期においても、他社に無い新たな商品・サービスを追加して北海道における広告会社として独自の営業展開を進めてまいります。
・独自のインターネットマーケティングリサーチサイト「インサーチ」による市場調査分析と販促企画
・独自の海外のクリエイターネットワークによる高品質・低価格のWeb動画制作サービス「インムービー」
・札幌駅前の大型街頭ビジョン
・株式会社中広が実施する、子育てを社会全体で応援するためのコミュニティマガジン「ままここっと札幌
版」の広告代理業務
・北海道地域に特化した工務店・ハウスメーカーと生活者を繋ぐWebサイト「ほっかいどうの家」
・札幌圏を対象とした地域広告・販促ツールの情報ポータルサイト「札幌広告.com」
・お店と消費者双方に有益で魅力的な情報を発信するWebサイト「みんサポ」
・「クラウドファンディング × インフルエンサー」マーケティングサービス
・北海道内のインフルエンサーを活用した道内企業向けプロモーション支援サービス「inShare」
・女性に特化したマーケティングでプロモーションや商品開発、イベントなどさまざまなコンテンツをプラン
ニングしていく「インクロス」
・留学生等の札幌在住外国人を登録モニターとするマーケティング調査サービス「インモニター」
・株式会社ウィル・コーポレーションとの業務提携による特殊DMや圧着チラシ等のダイレクトマーケティン
グツール
・日本オラクル株式会社のクラウドシステムを活用してSNS等のビッグデータを解析するサービス「インプラ
ス」
② 債権投資事業
当該事業セグメントにおいて、売上高である債権回収は計画通りの順調な推移をしておりますが、債権の性質上、債権回収が進むと回収困難な債権の比率が高まり、回収額は逓減する傾向にあります。また、当該事業を管理統括する子会社である株式会社インベストは貸金業法に基づく貸金業者登録を受けており、当社グループと同様の債権投資事業会社等に対する債権購入資金の融資を含めて収益確保を合わせて進めてまいります。
今後のセカンダリー市場の動向と債権回収の環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が広範囲に及んでいることを勘案し、2022年6月期において既存の保有債権においては、債権回収の減少が見込まれることから、当連結会計年度よりも減少した売上高並びにセグメント利益を見込んでおります。
しかし、市場環境は一定の規模を維持しているため、当社グループの財政状況を踏まえ適切な事業規模を設定し、リスク分析を十分に実施したうえで、新たな投資債権(個別債権の集合体)の購入によって債権回収額及び粗利益率の回復を図ります。
③ 介護福祉事業
当該事業セグメントは、主に施設サービスとしてグループホームとサービス付き高齢者向け住宅にて事業を展開しているため、引き続き、衛生管理の継続的な徹底により新型コロナウイルス感染症対策、入居者及び従業員等の体調管理を徹底し、適正な入居率を継続することで、若干の増収を見込んでおります。また今年4月の介護報酬制度の改定においての影響は極めて軽微であり、原価及び経費の見直し等の改善策を実施することで、セグメント利益については増加を見込んでおります。
当該事業セグメントは、引き続き、新規事業所の開設等による事業規模拡大の活動を進めて、当社グループの業績への拡大を図りたいと考えております。
④ ケアサービス事業
当該事業セグメントにおいては、2院体制でキャンペーンの継続的な実施と新たなサービスの導入等に取り組み、新規来院者の拡大と再来院の促進に力を入れることで来院数の増加を図り業績を安定化させ、当社グループ全体の収益安定化に貢献する計画です。
新型コロナウイルス感染症の影響からの脱却に向けて、感染症対策を入念に行うことでの安心感とともに、地域における「ほねつぎ」の認知度とブランドイメージを高めることにより来院数の回復と新規来院者数の増加に努め、地域における来院のシェア拡大を通じて増収と採算化を図ります。2院体制によるノウハウや事例の共有や改善に向けた交流会を定期的に実施し、効率的な運営を心掛けることで両院ともに増収増益を見込んでおります。
以上のことから、現時点で入手可能な市場動向等の情報を踏まえ、2022年6月期の連結業績予想について、新型コロナウイルス感染症による影響の今後の見通しにつきましては、収束の見通しが不透明な厳しい環境が当面のあいだは継続し、コロナ禍前のような以前と同様の景気回復には未だ時間を要することが見込まれるため、依然として予断を許さない状況が続くと思われます。
しかし、ワクチンの接種や治療薬の開発も進むことで、新型コロナウイルス感染症の拡大状況が現状以上に悪化せず、消費動向は徐々に回復の方向に進むことを前提とし、当社グループの各事業への影響を想定した連結業績予想を算定しております。
なお、本連結業績予想は、現時点で入手可能な情報及び合理的であると判断される一定の前提に基づくものであり、実際の業績は様々な要因により大きく異なる可能性があります。また、実際の業績は今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期や経済状況など様々な要因や影響を及ぼす範囲等により大きく変動する可能性があります。当社グループの業績予想の修正を行う必要が生じた場合には速やかに公表いたします。
以上から、2022年6月期の連結会計年度の業績見通しは、売上高2,458百万円、営業利益34百万円、経常利益30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益16百万円を見込んでおります。
なお、2022年6月期連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用いたしますが、連結会計年度の業績見通しに与える影響額はありません。
7) 経営者の問題意識と今後の方針について
2022年6月期の連結会計年度も新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明な状況となっており、当面のあいだは経済活動への影響は避けられないものと認識しております。そのため、徐々に回復基調に転じると期待するがこの状況が継続するものと予想さし、感染防止策が長期化することにより、今後も影響が避けられず事業環境は予断を許さない状況にありますが、当社グループは、広告・マーケティング業として、クライアント企業から信頼され頼りにされる販促のパートナーとなること、高品質のプロモーション情報を発信して消費者の役に立つこと、当社グループの業績拡大により株主、従業員、取引先などのステークホルダーに貢献することを、当社グループの存在意義と認識しております。
さらに当社グループの主たる事業地域である北海道経済の影響並びに広告業界の動向の影響を受けにくい債権投資事業、介護福祉事業及びケアサービス事業などの収益基盤を追加することにより広告・マーケティング事業の収益を補完する方針です。
当社グループの経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。