有価証券報告書-第18期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 11:24
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末における「資産の部」は162,986百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,525百万円(△1.5%)減少しました。これは主に、現金預金が3,199百万円増加し、受取手形・完成工事未収入金等が6,472百万円減少したことによるものであります。
また、「負債の部」は63,475百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,466百万円(△14.2%)減少しました。これは主に、短期借入金が4,845百万円、支払手形・工事未払金等が4,734百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
一方、「純資産の部」は99,510百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,941百万円(+8.7%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.0%から60.7%となりました。
② 経営成績の状況
当社グループは、2023年5月に「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」を策定し、基本方針のもと、その実現に向け各種施策に取り組んでまいりました。
本計画期間中の当社グループを取り巻く環境は、全体としては政府による防災・減災、国土強靭化対策等に基づく公共投資や比較的安定した国内の経済環境を背景とした旺盛な民間投資が建設市場を牽引しましたが、一方で、特に期間後半にかけて、円安傾向を受けた建設資材をはじめとする諸物価の高騰や、時間外労働の抑制施策もあって急速に顕在化した業界における担い手不足のため、極めて厳しい状況が続きました。
このようななか、当社グループにおいては、効率的な人員配置や各プロセスの不断の見直しによる生産性向上、上昇する資材コストの価格転嫁に努めるなどしたことが功を奏し、数値目標については、売上高は計画当初の目標値に届かなかったものの、営業利益、当期純利益といった損益に関する目標は大きく達成することができました。また、資本コストを意識した経営を推進したことで、ROE目標も達成し、株主還元に関する目標についても当社配当方針に基づく配当性向30%を達成しています。
当社グループを取り巻く現在の経営環境としては、長期化が見込まれる円安などに起因する諸物価の高騰や担い手不足の業界全体への影響はいまだ予断を許さず、今後も不透明で厳しい状況が継続するものと想定されます。
また、市場環境といたしまして、公共投資である鉄構セグメントの鋼製橋梁事業や土木セグメントのPC橋梁事業については、更新、保全事業が主流になりつつあるなか足下で新設の発注量が減少傾向にありますが、老朽化するインフラの対策は必須であるほか、鋼製橋梁事業の大型プロジェクトの発注が予定されるなど、底堅い展開を見込んでいます。鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントについては、大都市圏における大型再開発案件や、Eコマースの浸透を背景とした高機能・大規模な物流倉庫などの堅調な需要を見込んでいます。ソリューションセグメントについては、ソフトウエアやロボットを活用した生産性向上の取り組みが加速するなか、一層の飛躍を期待しています。
こうした認識に基づき、2026年5月に「第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)」を策定しています。本計画に基づき、既存事業と成長事業をバランスよく組み合わせた盤石な収益基盤の構築に努めつつ、引き続き資本コストを意識したROE経営を推進してまいります。
当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高115,025百万円(前連結会計年度比13.5%減)、営業利益8,598百万円(同11.2%減)、経常利益11,055百万円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,782百万円(同20.9%減)となりました。受注高につきましては127,638百万円(同13.9%減)となりました。
なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)
(鉄構セグメント)
当セグメントにおける鋼製橋梁事業につきましては、受注高は、新設橋梁の発注が引き続き低調に推移するなか、高速道路会社発注の大型更新工事や既受注の新設工事に係る設計変更を複数獲得したものの、前連結会計年度を下回る結果となりました。売上高は、工事の竣工に伴い大きな設計変更を複数獲得したものの、工期が長く工程が本格化しない物件を多く抱えていることなどにより、前連結会計年度を下回りました。営業利益は、売上高減少の影響を前述の設計変更獲得の貢献が上回ったことなどで、前連結会計年度を上回りました。
鉄骨事業につきましては、受注高は関東、関西をはじめとする大都市圏における再開発事業などの受注を積み上げたことで前連結会計年度を上回りましたが、当期出来高に貢献する物件が少なかったことなどから、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は好調だった前連結会計年度には届かないものの、高難度の物件が多いことなどから高い水準を堅持しました。
セグメント全体で、受注高は59,301百万円(前連結会計年度比16.5%減)、売上高49,879百万円(同21.0%減)、営業利益6,320百万円(同0.7%増)となりました。
(土木セグメント)
土木セグメントにつきましては、受注高は、期を通じて発注量が低調に推移し受注競争が激しさを増すなか、大型の新設橋梁を獲得するなどしたものの、34,283百万円(前連結会計年度比22.3%減)と前連結会計年度を下回りました。売上高は、高い受注残がありながらも、鉄構セグメント同様当期の出来高に貢献する物件が少なかったことなどから、32,918百万円(同14.8%減)と前連結会計年度を下回りました。営業利益は、第4四半期連結会計期間において想定していた複数の設計変更の獲得に至りましたが、1,654百万円(同21.4%減)と前連結会計年度を下回る結果となりました。
(建築セグメント)
建築セグメントにつきましては、受注高は、設計作業中で施工部分の契約に至らなかった物件が複数あったことなどから期首目標には届かなかったものの、16,042百万円(前連結会計年度比4.2%増)と前連結会計年度を上回りました。売上高は、大型物件を中心に比較的工事が順調に進捗したことなどから、16,703百万円(同8.0%増)となりました。営業利益は、建設コスト高騰が続くなか、発注者への価格転嫁や一層の原価低減に努めたものの、1,308百万円(同9.4%減)となりました。
(ソリューションセグメント)
ソリューションセグメントにつきましては、新設橋梁の発注量減少を背景に設計受託事業は振るわなかったものの、建設業のDX化の取り組みが進むなか、3次元CADやクラウドサービスをはじめとする自社製品ソフトウエアが引き続き好調であったことから、受注高は8,520百万円(前連結会計年度比5.8%増)、売上高は8,197百万円(同3.1%増)となりました。営業利益は、特に自社製品ソフトウエアの売上高の増加に伴い、3,098百万円(同3.9%増)となりました。
(その他)
その他につきましては、橋梁付属物の販売事業において他社製品との競合が激しさを増していることや、航空機使用事業における円安などを背景とした装備品等のコスト高騰などを受け、受注高は9,490百万円(前連結会計年度比1.4%減)、売上高は9,549百万円(同2.5%減)、営業損失は388百万円(前連結会計年度は営業損失172百万円)となりました。なお、定期路線事業に係る営業損失につきましては、営業外収益に計上する「補助金収入」により、相当部分が解消しています。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,197百万円増加し17,477百万円(前連結会計年度比+22.4%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、15,160百万円の資金増加(前連結会計年度は9,839百万円の資金増加)となりました。これは主に、売上債権の減少による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,828百万円の資金減少(前連結会計年度は2,981百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、10,134百万円の資金減少(前連結会計年度は8,659百万円の資金減少)となりました。これは主に、借入金の返済による資金の減少があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
鉄構59,301△16.5104,7949.9
土木34,283△22.352,0642.7
建築16,0424.217,127△3.7
ソリューション8,5205.83,9269.0
その他9,490△1.4393△13.1
合計127,638△13.9178,3066.2

(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
鉄構49,879△21.0
土木32,918△14.8
建築16,7038.0
ソリューション8,1973.1
その他9,549△2.5
合計117,248△13.2

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。
2 最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。
a.生産実績
セグメントの名称前事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当事業年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)
鉄構62,55249,324(21.1%減)
建築15,39816,678( 8.3%増)
その他290124(57.3%減)
合計78,24166,127(15.5%減)

(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。
2 生産高には、外注生産高が含まれています。
b.受注実績
期別セグメントの名称前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)
(百万円)
当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)
前事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
鉄構87,56170,671158,23362,85495,378
建築17,86215,39833,26115,47317,788
その他8723532330617
合計105,51186,306191,81878,633113,184
当事業年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
鉄構95,37858,883154,26249,467104,794
建築17,78816,04233,83016,70317,127
その他17201218218-
合計113,18475,127188,31166,389121,922

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。
2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額90億円以上の主なものは、次のとおりであります。
名古屋高速道路公社市道高速1号他新洲崎工区改築事業2028年1月完成予定
西日本高速道路㈱新名神高速道路 高槻高架橋西(鋼上部工)工事2027年6月 〃
清水建設㈱大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業Torch Tower(B棟)新築工事2027年10月 〃
首都高速道路㈱高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事2028年8月 〃
国土交通省関東地方整備局川崎臨港道路東扇島水江町線主橋梁部上部工事(その2)2027年7月 〃

c.販売実績
セグメントの名称前事業年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当事業年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)
鉄構62,85449,467(21.3%減)
建築15,47316,703( 8.0%増)
その他306218(28.6%減)
合計78,63366,389(15.6%減)

(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
西日本高速道路㈱中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事
㈱大林組品川開発プロジェクト(第1期)4街区 本体鉄骨 北棟A工区
清水建設㈱(仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事
東日本高速道路㈱東関東自動車道 塔ヶ崎高架橋(鋼上部工)工事
大成建設㈱(仮称)赤坂二丁目プロジェクト

当事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
西日本高速道路㈱新名神高速道路 吉祥寺川橋他2橋(鋼上部工)工事
西日本高速道路㈱新名神高速道路 城陽第三高架橋(上り線)他1橋(鋼上部工)工事
東日本高速道路㈱首都圏中央連絡自動車道 谷田川高架橋(鋼上部工)工事
久山特定目的会社プロロジスパーク北上金ケ崎プロジェクト
大成建設㈱(仮称)TKL新棟計画

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
清水建設㈱ 8,941百万円 11.4%
当事業年度
清水建設㈱ 9,923百万円 14.9%
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部の流動資産では現金預金が増加し、売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等及び電子記録債権)が減少しました。これは主に土木セグメントにおいて売上代金の回収が進んだことと、鉄構、土木セグメントにおいて売上高の減少による売掛債権が減少したことによるものです。負債の部の流動負債では買掛債務(支払手形・工事未払金等)や短期借入金が減少し、未成工事受入金が増加しました。これは売上高の減少によるものと、鉄構セグメントにおいて大型工事の前渡金を受け取り、短期借入金の返済に充てたことにより運転資金が減少したことによるものと分析しています。
次に、総資産は2,525百万円減少し162,986百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比5.7%上昇の61.1%となりました。これは上記運転資金の減少及び純資産において利益剰余金が5,914百万円増加したことによるものであります。関係会社株式が1,939百万円増加していますが、これは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであります。
(ロ)経営成績
当連結会計年度は第3次中期経営計画の最終年度でしたが、最終年度における数値目標の達成状況につきまして、受注高は鉄構、土木セグメントにおいて順調に大型案件を積み上げることができたものの、建築セグメントで設計に着手している案件で施工部分の契約に至らなかった工事が複数案件あったことで、全体としては若干目標に届きませんでした。売上高は鉄構セグメントが伸び悩んだものの、土木、建築セグメントでカバーすることができ目標を達成し、営業利益につきましては鉄構セグメントで大型工事における設計変更の獲得が図れたことで目標を大幅にクリアすることができました。その結果、当期純利益も当初見込んでいた水準を上回り、ROEにつきましても9.2%と目標としていた8.0%を上回ることができました。
当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業と土木セグメントにおいて、豊富な繰越高を抱えるも、案件の大型化に伴う工程の長期化や止まっている工事が散見されたことに加え、鉄構セグメントの中の鉄骨事業において、関西圏を中心に大型工事の発注が端境期であったことで前連結会計年度に比べ13.5%減の115,025百万円となりました。営業利益はソリューションセグメントが堅調に収益を伸ばすことができた一方、土木、建築セグメントの進捗が低迷したことにより、前連結会計年度に比べ11.2%減の8,598百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益が減少したことで前連結会計年度に比べ12.4%減の11,055百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによる反動もあり20.9%減の8,782百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントにおける鋼製橋梁事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。
また基幹事業である鉄構、土木、建築セグメントは、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や時間外労働の上限規制により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっています。
さらにまた、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。また、同社グループはシンガポールを中心に東南アジアで事業展開をしていることに伴い外貨建ての資産・負債を有することから、為替相場の変動による差損益が持分法投資損益に影響を与えることがあります。
その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について
当社グループの基本戦略は、基幹事業と成長事業でのバランスのとれた収益基盤の確立を目指すとともに、各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め、「土木×建築」、「メタル×PC」、「つくる×建てる」の二刀流で事業領域の拡大を目指し、売上と利益の拡大を図ることであります。セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
鉄構セグメントの鋼製橋梁事業では、発注金額は発注者の予算制約等の影響もあり伸び悩んでいます。また資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により重量ベースでは一層厳しい環境が予想されており、工場の操業度(生産量)的には低下する可能性があると認識しています。当社グループでは受注確保に向け、入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また新設は中期的にはビッグプロジェクトの発注が控えているものの、長期的には緩やかな減少が予想されていることから、今後は更新工事を含む保全工事への対応を強化していくとともに合成床版の拡販や土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。
次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏における大型再開発案件、関西地区におけるIR関連案件、九州地区における半導体関連案件の発注が中期的に見込まれているものの、建設コスト上昇等により大型プロジェクトの計画や工程の見直し等が散見され、発注時期について不透明な状況が続いています。当社グループといたしましては、工場操業の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームの確保と収益の拡大を目指してまいります。
土木セグメントでは、PC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、安定的な事業ボリュームの確保と採算性の向上を目指しています。そのようななか、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大していたものの、今後は発注者の予算制約等の影響もあり低調な発注量になることが見込まれています。当社グループでは引き続き受注力の強化に向けて情報収集力を高め、技術提案力や積算精度の向上を図ってまいります。また人手不足を背景に工期短縮や生産性向上を目的としたプレキャスト部材のニーズが高まっていることから、建築分野における民間PC、PCa製品を設計から架設までできる体制を構築し、受注力強化を図ってまいります。
建築セグメントでは、物流施設における老朽化や機能性向上が社会的な課題となっており、当社グループがターゲットとして位置付けている平屋、2階建て倉庫や冷凍冷蔵・危険物を用途とする倉庫の市場環境は底堅く推移していくと予想されています。当社グループといたしましては、建物の価値を高められる技術提案力を強化し、受注量確保を図っていくとともに、協力会社からの情報を含め、様々な営業案件の情報を収集するための体制を強化することで、施工要員の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。
ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化するなか、3次元CADや情報共有ソフトを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移しました。老朽化した社会インフラに対する更新ニーズの高まりもあり、BIM/CIMを切り口とした社会インフラ市場への開拓を進めるとともに自社製品にさらなるサービスを投入し、市場浸透を行ってまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益11,296百万円、減価償却費3,117百万円、売上債権の減少8,168百万円により、仕入債務の減少2,887百万円、未払消費税等の減少2,421百万円、法人税等の支払3,119百万円等をカバーし営業活動によるキャッシュ・フローは15,160百万円のプラスとなっています。これは税金等調整前当期純利益、減価償却費等に加え、鉄構セグメントを中心に完了した工事が多かったことにより運転資金が減少したことが主な要因です。これに伴い短期借入金を4,845百万円減少、長期借入金及び社債を1,033百万円減少させ、配当金の支払2,859百万円を行いましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは10,134百万円のマイナスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形固定資産の取得3,153百万円に伴い1,828百万円のマイナスとなっています。
・資金需要
当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。
運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり運転資金は減少しました。
設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で3,589百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
・財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部留保の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。
運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。その点を踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については、それぞれの事業会社が金融機関と個別に当座貸越契約を締結していますが、グループ全体で金融機関14行との間で総額413億円の当座貸越契約を締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。
金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。
また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、長期借入のうち一部の借入については固定金利による調達を行い、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。
・経営資源の配分
当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フロー(注)については、基幹事業の更なる強化を図るための「設備投資」及び成長事業への投資と「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。2023年度を初年度とする第3次中期経営計画の本年度実績は以下のとおりとなりました。
(注)当社グループでは複数年に亘る事業を行っているため、事業に係る資金の動きは除外しています。
(カッコ内は計画値(3か年累計))
営業キャッシュ・フロー(3年間計) (200億円)
初年度 133億円
2年度 157億円
本年度 144億円
3か年計 435億円
設備投資 (100億円)
初年度 38億円
2年度 26億円
本年度 35億円
3か年計 101億円
株主還元(※)(配当46億円)
初年度 22億円
2年度 25億円
本年度 26億円
3か年計 74億円

(※)株主還元について
・株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針を「連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
・2024年5月には「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」の残り期間(2024年度~2025年度)に係る1株当たり配当金の下限を90円としています。
・2024年度より中間配当制度を導入しています。
・2024年11月には、配当方針を「親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。
・本年度のうち期末配当分の14億円は2026年6月25日開催予定の定時株主総会の決議事項となっています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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