有価証券報告書-第19期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
(注1) 前連結会計年度の経常損益は、当連結会計年度において固定資産売却益の表示区分を変更したことに伴う組替後の金額であります。
(注2) EBITDA=営業利益+減価償却費(営業費用)+のれん償却額
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、中小型ディスプレイ業界における厳しい競争が継続する中、主要顧客であるスマートフォンメーカーの有機EL(OLED)ディスプレイ採用へのシフトに伴い液晶ディスプレイの受注が大幅に減少し、厳しい状況が続きました。また、当連結会計年度上半期には、新型コロナウイルス感染拡大に伴う海外生産拠点での都市封鎖やサプライチェーンの混乱が生じ、下半期には世界的な半導体の需給逼迫が起きたことで、当社グループの受注や生産に一部影響が生じました。
こうした情勢の中、当社グループは業績の改善に向けて、引き続き徹底したコスト削減に取り組みました。固定費につきましては、2020年10月1日付の白山工場(石川県白山市)の譲渡により年間約80億円を削減するなど、前連結会計年度に実施した人員削減を含む構造改革の効果と合わせて、前連結会計年度比約280億円を削減しました。変動費につきましても、半導体等の部材不足により調達価格の上昇が生じる中、生産歩留まり向上等の改善努力により、目標としていた変動費率の前連結会計年度比3ポイントの改善を達成しました。なお、白山工場譲渡につきましては、固定資産売却益約186億円を計上し、また、同工場の譲渡対価相当額を当社顧客からの前受金の支払に充当(一部は売掛金との相殺)した結果、743億円の負債を削減しております。
販売面では、ウェアラブル機器用のOLEDディスプレイや、VR機器用の超高精細液晶ディスプレイ等、当社グループの事業展開において重要なノンモバイル製品が増加しました。その一方、売上高構成比率が最も大きいスマートフォン用ディスプレイの受注減少幅が非常に大きく、また、車載ディスプレイについても新型コロナウイルスの感染拡大及び半導体等の部材の需給逼迫の影響を受けたことにより生産及び受注が減少したため、当社グループ全体では減収となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比32.2%減の341,694百万円となりました。売上高が減少した一方で、費用削減の効果が生じたことから、営業損失は縮小して26,226百万円となりました。また、2020年3月の関連会社株式譲渡により当連結会計年度から持分法による投資損失の計上がなくなったこと、及び同月に実行されたリファイナンスによる有利子負債の縮小に伴い支払利息が減少したこと等により、経常損失も縮小して32,656百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、白山工場譲渡に伴う固定資産売却益の計上及び事業構造改善費用の削減等により大幅縮小し、42,696百万円となりました。
アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。
① モバイル分野 (単位:百万円)
スマートフォン、タブレット用のディスプレイを含むモバイル分野は、主要顧客であるスマートフォンメーカーのOLEDディスプレイの採用拡大に伴い液晶ディスプレイの受注が急減し、大幅減収となりました。スマートフォン市場の成熟に加え、スマートフォン用ディスプレイ市場における顧客ニーズの変化や厳しい競争環境等により、今後当社グループにおいて当分野の売上高が大きく改善する可能性は極めて低い見通しであることから、スマートフォン用ディスプレイ生産の主力工場であった白山工場を2020年10月1日付で譲渡しました。
② 車載分野 (単位:百万円)
計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により第1四半期の売上高が大きく落ち込んだ他、中国を除く主要各国において第3四半期まで自動車販売の前年同期比割れが続いていたこと、及び第3四半期以降、半導体の不足により顧客及び当社において一部生産調整を余儀なくされたことから、減収となりました。ただし、第2四半期以降、需要は回復をしており、第4四半期は前年同期比増収となりました。
③ ノンモバイル分野 (単位:百万円)
デジタルカメラやウェアラブル機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイの他、特許収入等を含むノンモバイル分野は、売上構成比率の高いデジタルカメラ用ディスプレイや、米中貿易摩擦の影響を受けたノートPC用ディスプレイの販売が減少した一方、半導体不足の影響は受けながらも、ウェアラブル機器用OLEDディスプレイや超高精細VR用液晶ディスプレイの販売が好調であったことから、前連結会計年度比増収となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
① 生産実績
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件などは一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、中国、台湾及びフィリピンの製造子会社による後工程に区分して管理されております。
そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。
(単位:百万円)
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(2) 財政状態
(単位:百万円)
当連結会計年度末の資産合計残高は、主に、白山工場に係る資産の譲渡を主要因とする固定資産の減少、販売減に伴う売掛金の減少及び未収入金の減少(ディスプレイパネルの有償支給の減少)により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
負債合計残高は、顧客から受領していた前受金の充当及び受注減に伴う買掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
純資産合計残高は、第三者割当増資の払込及び新株予約権の行使による優先株式の発行に伴う株主資本の増加24,390百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純損失42,696百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
上記の結果、自己資本比率は17.6%と前連結会計年度末に比べて改善しました。
なお、当社は、前連結会計年度末における繰越利益剰余金の欠損を補填し、資本政策の機動性の確保及び資本準備金の額の減少による税負担の軽減を目的として、2020年8月26日付で、資本準備金の額の減少及び剰余金の処分を実施しております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
(注)フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失41,716百万円から非現金支出項目(減価償却費、のれん償却費及び減損損失)を控除した後の損失額が3,030百万円であったこと及び運転資金の支出等により、23,121百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純損失の縮小及び決済期間の見直し等により、支出の大幅な減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により9,145百万円の支出となりました。固定資産の取得による支出は7,039百万円となり、前連結会計年度比9,036百万円減少しましたが、持分法適用会社の株式売却による収入46,320百万円により収入超であった前連結会計年度との比較では、支出の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に優先株式の発行による収入24,234百万円により、20,230百万円の収入となりました。優先株式の発行による収入が当連結会計年度を上回っていた前連結会計年度との比較では収入の減少となりました。
② 資金需要及び資金調達の状況
当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資であります。
一方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることからこれらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。2020年3月期においては、資金繰りが大きく悪化するに至り、資金繰りの抜本的な解決や上場会社として適切な純資産額水準の確保のため、大規模な資本性資金が早期に必要となりました。このため、当社は、2020年1月31日付でいちごトラストとの間で資本提携契約を締結し、本資本提携契約に基づき、2020年3月26日付でいちごトラストに対する第三者割当によるB種優先株式の発行及び株式会社ジャパンディスプレイ第11回新株予約権(以下「第11回新株予約権」といいます。)の発行を行い、同日、B種優先株式に係る504億円の調達をいたしました。調達した資金は、運転資金及び成長事業を主とした分野への設備投資に、それぞれ一部を充当済みとなっております。
上記調達により、当社の資金繰り及び財務状況は改善をいたしましたが、その一方で、当時、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により当社事業への影響が生じており、感染拡大が将来的に当社事業や財務へ及ぼす影響が正確に見通せない状況となっておりました。このため、当社は、追加運転資金の確保への手当てを行うとともに、財務体質の良化により資金調達の選択肢を増やし資金調達力を向上させるため、2020年7月21日付で、いちごトラストとの間で、いちごトラストに対する第三者割当によるD種優先株式(調達総額50億円)及びE種優先株式を目的とする第12回新株予約権(行使時の調達総額554億円)の発行による追加の資金調達に関する資本提携契約(以下「本追加資本提携契約」といいます。)を締結し、本追加資本提携契約に基づき、2020年8月28日に第三者割当を実施し、同日、D種優先株式に係る50億円の調達をいたしました。現状、新型コロナウイルスの感染拡大による当社事業への影響はほぼ解消されておりますが、一方で、世界的な半導体等の部材不足により、当社の生産や顧客からの受注に影響が生じていることから、D種優先株式に係る50億円は、当該影響により必要となり得る運転資金に充当する予定としております。なお、当該第三者割当の実施に先立ち、いちごトラストは、第11回新株予約権の全部を放棄しております。
その後、2021年3月25日にいちごトラストにより第12回新株予約権の一部が行使され、当社は、同日、約194億円を調達いたしました。第12回新株予約権の未行使残存額は、当連結会計年度末において約360億円となっております。
当社グループは、上記資金調達により当面の資金需要を確保しておりますが、今後は、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。
③ 財務戦略の基本的な考え方
上記の資金状況を踏まえたうえで、当社グループは、安定収益の確保と着実な成長を目的として、計画的かつ機動的な財務戦略を立案し、実行しております。
事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、低コストでかつ安定的に資金確保し、CCC(キャッシ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、事業展開においては、現地のカントリーリスクや、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うサプライチェーンの混乱による受注減少のリスク等、不測の事態が発生することも想定し、政府系金融機関による各種支援メニューや民間金融機関によるアセットファイナンス、及びプロジェクトファイナンスの組成等、その都度最適な資金調達方法を検討しております。
また、当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えております。手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.5か月分を目安に、手許現預金及び新株予約権の未行使額相当を合わせた金額で賄うこととしております。更に、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融機関からの借入金等を通じて、適宜必要な資金を確保する方針です。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社グループは、「2 事業等のリスク (2)財務リスク④継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するための当社グループの取り組みについては、「2 事業等のリスク (2)財務リスク④継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
| 連結業績 | (単位:百万円) | |||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 売上高 | 504,022 | 341,694 | △162,327 | △32.2% |
| 売上総利益 | △1,399 | 5,141 | 6,540 | - |
| 営業利益 | △38,536 | △26,226 | 12,309 | - |
| 経常利益(注1) | △57,854 | △32,656 | 25,198 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △101,417 | △42,696 | 58,720 | - |
| EBITDA(注2) | △19,549 | △12,502 | 7,047 | - |
(注1) 前連結会計年度の経常損益は、当連結会計年度において固定資産売却益の表示区分を変更したことに伴う組替後の金額であります。
(注2) EBITDA=営業利益+減価償却費(営業費用)+のれん償却額
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、中小型ディスプレイ業界における厳しい競争が継続する中、主要顧客であるスマートフォンメーカーの有機EL(OLED)ディスプレイ採用へのシフトに伴い液晶ディスプレイの受注が大幅に減少し、厳しい状況が続きました。また、当連結会計年度上半期には、新型コロナウイルス感染拡大に伴う海外生産拠点での都市封鎖やサプライチェーンの混乱が生じ、下半期には世界的な半導体の需給逼迫が起きたことで、当社グループの受注や生産に一部影響が生じました。
こうした情勢の中、当社グループは業績の改善に向けて、引き続き徹底したコスト削減に取り組みました。固定費につきましては、2020年10月1日付の白山工場(石川県白山市)の譲渡により年間約80億円を削減するなど、前連結会計年度に実施した人員削減を含む構造改革の効果と合わせて、前連結会計年度比約280億円を削減しました。変動費につきましても、半導体等の部材不足により調達価格の上昇が生じる中、生産歩留まり向上等の改善努力により、目標としていた変動費率の前連結会計年度比3ポイントの改善を達成しました。なお、白山工場譲渡につきましては、固定資産売却益約186億円を計上し、また、同工場の譲渡対価相当額を当社顧客からの前受金の支払に充当(一部は売掛金との相殺)した結果、743億円の負債を削減しております。
販売面では、ウェアラブル機器用のOLEDディスプレイや、VR機器用の超高精細液晶ディスプレイ等、当社グループの事業展開において重要なノンモバイル製品が増加しました。その一方、売上高構成比率が最も大きいスマートフォン用ディスプレイの受注減少幅が非常に大きく、また、車載ディスプレイについても新型コロナウイルスの感染拡大及び半導体等の部材の需給逼迫の影響を受けたことにより生産及び受注が減少したため、当社グループ全体では減収となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比32.2%減の341,694百万円となりました。売上高が減少した一方で、費用削減の効果が生じたことから、営業損失は縮小して26,226百万円となりました。また、2020年3月の関連会社株式譲渡により当連結会計年度から持分法による投資損失の計上がなくなったこと、及び同月に実行されたリファイナンスによる有利子負債の縮小に伴い支払利息が減少したこと等により、経常損失も縮小して32,656百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、白山工場譲渡に伴う固定資産売却益の計上及び事業構造改善費用の削減等により大幅縮小し、42,696百万円となりました。
アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。
① モバイル分野 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||
| 金額 割合 | 金額 割合 | 金額 | 増減率 | |
| 売上高 | 350,802 69.6% | 197,476 57.8% | △153,326 | △43.7% |
スマートフォン、タブレット用のディスプレイを含むモバイル分野は、主要顧客であるスマートフォンメーカーのOLEDディスプレイの採用拡大に伴い液晶ディスプレイの受注が急減し、大幅減収となりました。スマートフォン市場の成熟に加え、スマートフォン用ディスプレイ市場における顧客ニーズの変化や厳しい競争環境等により、今後当社グループにおいて当分野の売上高が大きく改善する可能性は極めて低い見通しであることから、スマートフォン用ディスプレイ生産の主力工場であった白山工場を2020年10月1日付で譲渡しました。
② 車載分野 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||
| 金額 割合 | 金額 割合 | 金額 | 増減率 | |
| 売上高 | 103,562 20.5% | 88,052 25.8% | △15,510 | △15.0% |
計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により第1四半期の売上高が大きく落ち込んだ他、中国を除く主要各国において第3四半期まで自動車販売の前年同期比割れが続いていたこと、及び第3四半期以降、半導体の不足により顧客及び当社において一部生産調整を余儀なくされたことから、減収となりました。ただし、第2四半期以降、需要は回復をしており、第4四半期は前年同期比増収となりました。
③ ノンモバイル分野 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||
| 金額 割合 | 金額 割合 | 金額 | 増減率 | |
| 売上高 | 49,656 9.9% | 56,165 16.4% | 6,509 | 13.1% |
デジタルカメラやウェアラブル機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイの他、特許収入等を含むノンモバイル分野は、売上構成比率の高いデジタルカメラ用ディスプレイや、米中貿易摩擦の影響を受けたノートPC用ディスプレイの販売が減少した一方、半導体不足の影響は受けながらも、ウェアラブル機器用OLEDディスプレイや超高精細VR用液晶ディスプレイの販売が好調であったことから、前連結会計年度比増収となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
① 生産実績
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件などは一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、中国、台湾及びフィリピンの製造子会社による後工程に区分して管理されております。
そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。
(単位:百万円)
| アプリケーション分野 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| モバイル | 197,476 | △43.7 |
| 車載 | 88,052 | △15.0 |
| ノンモバイル | 56,165 | 13.1 |
| 合計 | 341,694 | △32.2 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額 | 割合(%) | 金額 | 割合(%) | |
| Apple Inc.グループ | 312,905 | 62.1 | 182,874 | 53.5 |
(2) 財政状態
(単位:百万円)
| 前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | 増減 | |
| 資産合計 | 389,746 | 224,998 | △164,747 |
| 負債合計 | 336,382 | 183,168 | △153,213 |
| 純資産合計 | 53,363 | 41,829 | △11,534 |
| 自己資本比率 | 13.1% | 17.6% | 4.5ポイント |
当連結会計年度末の資産合計残高は、主に、白山工場に係る資産の譲渡を主要因とする固定資産の減少、販売減に伴う売掛金の減少及び未収入金の減少(ディスプレイパネルの有償支給の減少)により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
負債合計残高は、顧客から受領していた前受金の充当及び受注減に伴う買掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
純資産合計残高は、第三者割当増資の払込及び新株予約権の行使による優先株式の発行に伴う株主資本の増加24,390百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純損失42,696百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べて減少しました。
上記の結果、自己資本比率は17.6%と前連結会計年度末に比べて改善しました。
なお、当社は、前連結会計年度末における繰越利益剰余金の欠損を補填し、資本政策の機動性の確保及び資本準備金の額の減少による税負担の軽減を目的として、2020年8月26日付で、資本準備金の額の減少及び剰余金の処分を実施しております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △87,111 | △23,121 | 63,989 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 28,069 | △9,145 | △37,214 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 57,682 | 20,230 | △37,452 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 66,380 | 55,347 | △11,033 |
| フリー・キャッシュ・フロー(注) | △103,187 | △30,161 | 73,026 |
(注)フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失41,716百万円から非現金支出項目(減価償却費、のれん償却費及び減損損失)を控除した後の損失額が3,030百万円であったこと及び運転資金の支出等により、23,121百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純損失の縮小及び決済期間の見直し等により、支出の大幅な減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により9,145百万円の支出となりました。固定資産の取得による支出は7,039百万円となり、前連結会計年度比9,036百万円減少しましたが、持分法適用会社の株式売却による収入46,320百万円により収入超であった前連結会計年度との比較では、支出の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に優先株式の発行による収入24,234百万円により、20,230百万円の収入となりました。優先株式の発行による収入が当連結会計年度を上回っていた前連結会計年度との比較では収入の減少となりました。
② 資金需要及び資金調達の状況
当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資であります。
一方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることからこれらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。2020年3月期においては、資金繰りが大きく悪化するに至り、資金繰りの抜本的な解決や上場会社として適切な純資産額水準の確保のため、大規模な資本性資金が早期に必要となりました。このため、当社は、2020年1月31日付でいちごトラストとの間で資本提携契約を締結し、本資本提携契約に基づき、2020年3月26日付でいちごトラストに対する第三者割当によるB種優先株式の発行及び株式会社ジャパンディスプレイ第11回新株予約権(以下「第11回新株予約権」といいます。)の発行を行い、同日、B種優先株式に係る504億円の調達をいたしました。調達した資金は、運転資金及び成長事業を主とした分野への設備投資に、それぞれ一部を充当済みとなっております。
上記調達により、当社の資金繰り及び財務状況は改善をいたしましたが、その一方で、当時、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により当社事業への影響が生じており、感染拡大が将来的に当社事業や財務へ及ぼす影響が正確に見通せない状況となっておりました。このため、当社は、追加運転資金の確保への手当てを行うとともに、財務体質の良化により資金調達の選択肢を増やし資金調達力を向上させるため、2020年7月21日付で、いちごトラストとの間で、いちごトラストに対する第三者割当によるD種優先株式(調達総額50億円)及びE種優先株式を目的とする第12回新株予約権(行使時の調達総額554億円)の発行による追加の資金調達に関する資本提携契約(以下「本追加資本提携契約」といいます。)を締結し、本追加資本提携契約に基づき、2020年8月28日に第三者割当を実施し、同日、D種優先株式に係る50億円の調達をいたしました。現状、新型コロナウイルスの感染拡大による当社事業への影響はほぼ解消されておりますが、一方で、世界的な半導体等の部材不足により、当社の生産や顧客からの受注に影響が生じていることから、D種優先株式に係る50億円は、当該影響により必要となり得る運転資金に充当する予定としております。なお、当該第三者割当の実施に先立ち、いちごトラストは、第11回新株予約権の全部を放棄しております。
その後、2021年3月25日にいちごトラストにより第12回新株予約権の一部が行使され、当社は、同日、約194億円を調達いたしました。第12回新株予約権の未行使残存額は、当連結会計年度末において約360億円となっております。
当社グループは、上記資金調達により当面の資金需要を確保しておりますが、今後は、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。
③ 財務戦略の基本的な考え方
上記の資金状況を踏まえたうえで、当社グループは、安定収益の確保と着実な成長を目的として、計画的かつ機動的な財務戦略を立案し、実行しております。
事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、低コストでかつ安定的に資金確保し、CCC(キャッシ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、事業展開においては、現地のカントリーリスクや、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うサプライチェーンの混乱による受注減少のリスク等、不測の事態が発生することも想定し、政府系金融機関による各種支援メニューや民間金融機関によるアセットファイナンス、及びプロジェクトファイナンスの組成等、その都度最適な資金調達方法を検討しております。
また、当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えております。手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.5か月分を目安に、手許現預金及び新株予約権の未行使額相当を合わせた金額で賄うこととしております。更に、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融機関からの借入金等を通じて、適宜必要な資金を確保する方針です。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社グループは、「2 事業等のリスク (2)財務リスク④継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するための当社グループの取り組みについては、「2 事業等のリスク (2)財務リスク④継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおりであります。