有価証券報告書-第14期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/26 16:23
【資料】
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【項目】
140項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが移行されたことに伴い社会活動が通常へと戻りつつある中、インバウンド需要の回復等も見られた一方、堅調な米国経済の影響による大幅な円安の進行や物価上昇による個人消費の停滞等が継続しました。長引くウクライナ情勢に加えイスラエルの武力紛争も勃発し、欧州経済の低迷等も含め、先行き不透明な状況は依然として続いております。
このような経営環境のもと当社グループは『新たなる挑戦に向けて』と題し、2023年2月に「新中期経営計画(2023-2025年)」を公表しております。
経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』の実現に向け、当社グループ一丸となって新たなる挑戦へ邁進してまいりました。
また、2023年9月に公表しました通り、中長期的な企業価値や株主利益の向上をはかるべく、東京証券取引所の市場につきスタンダード市場を積極的に選択することとしました。経営理念の実現を通して「育てる喜び」「観る感動」「食べる幸せ」を世界中の人々へ届けることを当社グループの使命と捉えております。
当社グループの提唱する食糧増産技術(アグリテクノロジー)の普及という活動そのものが「環境保全」「資源効率の改善」「飢餓撲滅」といった持続可能な開発目標(SDGs)に資するものと捉え、新たな製品や技術、サービスの開発を通じ、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献するために、来期以降も引き続き事業活動を進めてまいります。
以上の事業活動の結果、当連結会計年度の売上高は289億88百万円(前連結会計年度比20億28百万円増加、同7.5%増)、営業利益37億66百万円(前連結会計年度比4億20百万円増加、同12.6%増)、経常利益38億円(前連結会計年度比4億14百万円増加、同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24億88百万円(前連結会計年度比2億26百万円増加、同10.0%増)となりました。
当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントでありますが、各分野の状況は次のとおりであります。
農薬分野においては、国内市場では、当社主力製品の殺虫剤「オンコル」や「オリオン」が好調を維持し、殺ダニ剤「ダニサラバ」や殺菌剤「ガッテン」混合剤の売上も年間を通して堅調に推移しました。当社が注力しているグリーンプロダクツ(注1)各種も殺ダニ剤「サフオイル」や殺虫剤「トモノール」等が堅調に推移し、売上高を伸ばしました。海外市場においては殺ダニ剤「ダニサラバ」が好調で売上を大きく伸ばし、殺菌剤「カリグリーン」も前年の売上高を上回りました。それらの結果、農薬分野全体の売上高は118億85百万円(前連結会計年度比4億91百万円増加、同4.3%増)となりました。
肥料・バイオスティミュラント(注2)分野においては、肥料に関し国内市場では流通過程における過剰在庫の影響により、ハウス肥料や養液栽培用肥料等の販売が前連結会計年度比で減少しましたが、バイオスティミュラント剤「ポテトール」「リダバイタル」「アルガミックス」「フルボディ」が好調に推移し、また、各種肥料の製造販売を行う子会社である旭化学工業も売上高を伸長させました。海外市場におきましては「アトニック」が年間を通じて売上高を伸ばし、東南アジアや中南米へ向け、当社の製品を大きく展開させることができました。オランダの子会社であるBlue Wave Holding B.V.やスペインの子会社であるLIDA Plant Research, S.L.の業績も好調に推移し、「アトニック」の販売を行うインドネシアの子会社であるPT.OAT MITOKU AGRIOも堅調な売上高を維持しました。これらの結果、肥料・バイオスティミュラント分野等全体の売上高は171億3百万円(前連結会計年度比15億37百万円増加、同9.9%増)となりました。
一方、人件費や研究開発費等が昨年比で増加した影響もあり、販売費及び一般管理費は101億80百万円(前連結会計年度比8億66百万円増加、同9.3%増)となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
アグリテクノ事業14,072103.4

②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
アグリテクノ事業81767.7

③受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載を省略しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントのため分野別に記載しております。
分野別の名称当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
農薬11,885104.3
肥料・バイオスティミュラント16,930109.8
その他172117.8
合計28,988107.5

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
丸善薬品産業株式会社4,85218.04,94317.1

(3)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の総資産は340億円となり、前連結会計年度末に比べ29億91百万円増加しました。その内訳は、流動資産が26億66百万円増加、固定資産が3億24百万円増加したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は195億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億66百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が4億41百万円増加、売掛金が14億97百万円増加、商品及び製品が1億78百万円減少、原材料及び貯蔵品が12百万円減少、仕掛品が5億42百万円増加、その他が3億5百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は144億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億24百万円増加しました。その主な要因は、機械装置及び運搬具が51百万円増加、リース資産が46百万円増加、ソフトウェアが25百万円増加、のれんが45百万円減少、投資有価証券が93百万円増加したことによるものであります。
② 負債の部
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は152億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億15百万円増加しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が7億64百万円減少、短期借入金が40億83百万円増加、その他が3億98百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は38億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億48百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金が35億96百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産の部は148億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億23百万円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上24億88百万円、剰余金の配当4億75百万円、為替換算調整勘定が13億1百万円増加したことによるものであります。
(4)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億44百万円増加し、当連結会計年度末には37億16百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は17億89百万円(前連結会計年度は14億16百万円の収入)となりました。これは主として収入面では、税金等調整前当期純利益37億96百万円、減価償却費9億91百万円、のれん償却額6億82百万円等に対して、支出面では、売上債権の増加額14億12百万円、仕入債務の減少額8億95百万円、法人税等の支払額15億74百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は5億85百万円(前連結会計年度は5億69百万円の支出)となりました。これは主として支出面では、有形固定資産の取得による支出3億97百万円、無形固定資産の取得による支出1億22百万円、定期預金の預入80百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は10億52百万円(前連結会計年度は10億29百万円の支出)となりました。これは主として、収入面では、短期借入金の純増加額16億14百万円に対して、支出面では、長期借入金の返済による支出13億33百万円、自己株式の取得による支出6億円、配当金の支払額4億74百万円等によるものであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は128億14百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は37億16百万円となっております。
(6)経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、2022年2月に策定・公表いたしました「新中期経営計画(2022-2024年)」に掲げた企業活動を実践してまいりました。主な活動は以下のとおりであります。
①成長ドライバーへの取組み
・グリーンプロダクツの拡販
国内果樹・柑橘市場への製品拡販活動の結果、製品に対する高評価を受け、販売量が拡大いたしました。
・バイオスティミュラントの拡販
バイオスティミュラント製品のメカニズム解明を行い、解明結果を生産者へ伝え製品拡販活動を実施いたしました。
・グローバル製品展開
殺ダニ剤「ダニサラバ」、殺菌剤「ガッテン」及び「カリグリーン」、肥料製品の販売国を拡大し、輸出量が増加いたしました。
②グローバルシナジーの最大化への取組み
・南米、アジアエリアでグループ会社製品の販売展開を行うため、拡販プロジェクトを立ち上げ、販売展開を開始しております。また、研究開発・生産・購買調達の最適化を図るため、グループ会社間連携協力に取り組んでおります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は37億66百万円(前連結会計年度比4億20百万円増加、同12.6%増)、売上高営業利益率は13.0%(前連結会計年度比3.6%増)、連結ROEは20.0%(前連結会計年度比3.5%減)となり、2023年2月に策定・公表した「新中期経営計画(2023-2025年)」で目標と定めた2025年の経営指標(営業利益、売上高営業利益率、連結ROE)を当連結会計年度で達成いたしました。
当社グループが主に事業を展開する農業業界においては、国内販売におきましては、農業生産額の減少などにともない市場は縮小傾向にあり、事業環境としてはやや厳しい状況が続くものと考えられます。また、海外販売におきましては、食料の安定供給や作物生産技術の高度化や高品質化など、中長期的には拡大傾向で推移するものと予想しております。
このような中、当社グループは、「新中期経営計画(2024-2026年)」に基づいた重要課題に取組み、2026年12月期には売上高317億円(当連結会計年度比9.4%増)、営業利益38億円(当連結会計年度比0.9%増)、連結ROE13.8%を達成し、持続的成長軌道に乗せるよう目指してまいります。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、主として発生日以降5~15年間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初予想していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産は収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売価額、市場環境等を勘案しておりますが、これらの前提条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が減少することになった場合には、評価損計上の処理が追加で必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。