有価証券報告書-第15期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/25 14:12
【資料】
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【項目】
139項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、一時的に景気の停滞感があったものの回復基調を維持しました。日経平均株 価が史上最高値を更新したことや労働者の賃金上昇率の大幅な伸びも特筆すべき点として挙げられます。好調なインバウンド需要や企業の設備投資等は今後も継続していくと考えられますが、インフレ経済への突入、不安定な為替や慢性的な人手不足、世界情勢の動向等を踏まえると、今後も先行きは不透明な状況です。
このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上高は297億73百万円(前連結会計年度比7億85百万円増加、同2.7%増)、営業利益31億14百万円(前連結会計年度比6億51百万円減少、同17.3%減)、経常利益32億42百万円(前連結会計年度比5億58百万円減少、同14.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20億77百万円(前連結会計年度比4億10百万円減少、同16.5%減)となりました。
当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントでありますが、各分野の状況は次のとおりであります。
農薬分野においては、国内市場では、当社主力製品の病害虫防除資材「ハチハチ」や、当社注力製品である(注1)グリーンプロダクツ「サフオイル」および「トアロー」等各種の販売が堅調に推移しました。しかしながら、病害虫防 除資材「オンコル」や「ダニサラバ」、「カリグリーン」等が前年同期比で減少しました。海外市場におきましては病害虫防除資材「ガッテン」が好調な売上を維持し、「カリグリーン」等のグリーンプロダクツも好調に推移しました。一方で「ダニサラバ」は、主に下半期に順調な推移を見せましたが前年比では減少となりました。それらの結果、農薬分野全体の売上高は110億75百万円(前連結会計年度比8億9百万円減少、同6.8%減)となりました。
肥料・バイオスティミュラント分野において、国内市場では(注2)バイオスティミュラント剤「ポテトール」や「リダバイタル」「アルガミックス」「フルボディ」が売上を伸ばしました。しかしながら、上半期において流通過程における過剰在庫の影響があったこともあり、ハウス肥料や養液栽培用肥料等の販売が前年比で減少しました。海外市場においては、主力製品「アトニック」の売上が好調に推移しました。オランダの関連会社Blue Wave Holding B.V.や スペインのLIDA Plant Reserch, S.L.も好調で、国内子会社である旭化学工業株式会社、株式会社インプランタイノベ ーションズ等も前年比で増収増益となりました。これらの結果、肥料・バイオスティミュラント分野等全体の売上高は186億98百万円(前連結会計年度比15億94百万円増加、同9.3%増)となりました。
一方、人件費や研究開発費等が昨年比で増加した影響もあり、販売費及び一般管理費は113億27百万円(前連結会計年度比11億46百万円増加、同11.3%増)となりました。
当社グループは、経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』のもと、「新中期経営計画(2024-2026年)」で掲げた通り、『さらなる成長への積極投資』を推し進めており、グリーンプロダクツ、バイオスティミュラント、スマート農業、グローバル展開を確固とした柱と致します。
今後も、世界の農業の発展のために研究開発を推し進め、環境への配慮と食料の安定供給の両立を目指しながら、2030年の当社のあるべき姿を追求してまいります。
(注1)グリーンプロダクツ:農薬登録を有する天然・食品添加物由来又は有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない安心安全な環境に優しい防除資材
(注2)バイオスティミュラント:植物が本来持つ免疫力を高め、耐寒性、耐暑性、病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称
また、2024年10月7日に発生しました当社鳴門工場における火災事故により、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。二度とこのような事故を起こさないよう、全社一丸となって安全対策の励行および再発防止に努めていく所存であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
アグリテクノ事業13,73597.6

②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
アグリテクノ事業874106.9

③受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載を省略しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントのため分野別に記載しております。
分野別の名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
農薬11,07593.2
肥料・バイオスティミュラント18,487109.2
その他210122.1
合計29,773102.7

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
丸善薬品産業株式会社4,94317.14,89516.4

(3)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の総資産は346億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億63百万円増加しました。その内訳は、流動資産が10億83百万円増加、固定資産が4億20百万円減少したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は206億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億83百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が7億93百万円増加、売掛金が7億33百万円増加、商品及び製品が5億3百万円減少、原材料及び貯蔵品が5億81百万円減少、仕掛品が4億15百万円増加、その他が1億61百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は139億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億20百万円減少しました。その主な要因は、機械装置及び運搬具が1億5百万円増加、リース資産が99百万円増加、ソフトウェアが39百万円減少、のれんが4億40百万円減少、投資有価証券が37百万円減少したことによるものであります。
② 負債の部
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は135億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億円減少しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が55百万円増加、短期借入金が14億23百万円減少、その他が1億18百万円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は40億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億32百万円増加しました。その主な要因は、長期借入金が92百万円増加したことによるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産の部は171億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億31百万円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上20億77百万円、剰余金の配当5億65百万円、為替換算調整勘定が7億15百万円増加したことによるものであります。
(4)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億65百万円増加し、当連結会計年度末には44億81百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は37億62百万円(前連結会計年度は17億89百万円の収入)となりました。これは主として収入面では、税金等調整前当期純利益32億17百万円、減価償却費11億26百万円、のれん償却額7億30百万円等に対して、支出面では、売上債権の増加額4億62百万円、仕入債務の減少額18百万円、法人税等の支払額13億70百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は5億55百万円(前連結会計年度は5億85百万円の支出)となりました。主な収入要因は、定期預金の払戻により収入2億80百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入48百万円等によるものです。また、主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出4億85百万円、定期預金の預入による支出2億82
百万円、有価証券の取得による49百万円、無形固定資産の取得による支出56百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は24億82百万円(前連結会計年度は10億52百万円の支出)となりました。主な収入要因は、短期借入金の純増加額6億93百万円、長期借入による収入20億45百万円であります。また、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出41億41百万円、自己株式の取得による支出2億52百万円、配当金の支払額5億65百万円等によるものであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は115億92百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は44億81百万円となっております。
(6)経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、2024年2月に策定・公表いたしました「新中期経営計画(2024-2026年)」に掲げた企業活動を実践してまいりました。主な活動は以下のとおりであります。
①さらなる成長への積極投資
・グリーンプロダクツ、バイオスティミュラント、スマート農業に積極的に投資し、研究開発費は27億31百万円、売上比9.2%となりました。
②グリーンプロダクツの普及・拡大
・国内りんご・柑橘市場において「アカリタッチ」、「サフオイル」の販売量が拡大しました。海外では、米国において「カリグリーン」の有機認証OMRIを取得しており、ぶどうを中心に販売を拡大しております。
③バイオスティミュラント製品の普及・拡大
・インドや中国市場等において適用作物の拡大を進め、現地Farmers meeting開催などの普及活動を通じて販売の基盤を強固にしております。日本国内においても、気候変動に対応したバイオスティミュラント製品の周知活動を強化し、普及・拡大に努めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は297億73百万円(前連結会計年度比7億85百万円増加、同2.7%増)、営業利益は31億14百万円(前連結会計年度比6億51百万円減少、同17.3%減)、売上高営業利益率は10.5%(前連結会計年度比2.5%減)、連結ROEは13.9%(前連結会計年度比6.0%減)となり、「新中期経営計画(2024-2026年)」で定めた2024年の経営指標のうち、営業利益と売上高営業利益率を除く各指標は達成いたしました。研究開発投資の加速により、営業利益はやや計画を下回りました。
当社グループが主に事業を展開する農業業界においては、国内販売におきましては、農業生産額の減少などにともない市場は縮小傾向にあり、事業環境としてはやや厳しい状況が続くものと考えられます。また、海外販売におきましては、食料の安定供給や作物生産技術の高度化や高品質化など、中長期的には拡大傾向で推移するものと予想しております。
このような中、当社グループは、「新中期経営計画(2024-2026年)」に基づいた重要課題に引き続き取組み、2026年12月期には売上高317億円(当連結会計年度比6.5%増)、営業利益38億円(当連結会計年度比22%増)、連結ROE13.8%を達成し、持続的成長軌道に乗せるよう目指してまいります。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、主として発生日以降5~15年間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初予想していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産は収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売価額、市場環境等を勘案しておりますが、これらの前提条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が減少することになった場合には、評価損計上の処理が追加で必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。