有価証券報告書-第24期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 15:37
【資料】
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【項目】
131項目
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、先行き不透明な状況が続いております。米中など一部の国・地域では経済が回復基調にあり輸出や生産活動で恩恵を受ける一方、国内の感染状況は終息のめどが立たないことから、旅行・外食などの対面型サービス業は低迷が続いています。
学校教育を取り巻く環境としては、2020年度より実施が始まった新たな「学習指導要領」に基づき、情報活用能力の育成、授業の改善及び教職員の業務改善を実現するためのICT環境の整備が進行しております。特に小学校・中学校では政府の「GIGAスクール構想」によって、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が開始されており、新型コロナウイルス感染拡大による学校の臨時休業等の影響もあり、その推進は加速しています。また、大学においても、キャンパス閉鎖等に伴うオンライン授業の増加によりICT環境の整備は加速しております。一方、大型イベント等を企画する進路市場においては、企画そのものの実施が制限される等、未だ不透明な状況が継続しております。
このような市場動向のもと、当連結会計年度の売上高は4,082,713千円(前年同期比28.1%増)、営業利益は513,193千円(前年同期比112.1%増)、経常利益は490,434千円(前年同期比109.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は360,629千円(前年同期比133.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(学習部門)
学習部門においては、小中市場ではGIGAスクール構想における「児童生徒1人1台端末の整備」事業の入札が本格化しており、ChromeOSを選定した自治体において、運用管理システム「InterCLASS Console Support」や、フィルタリングツール「InterCLASS Filtering Service」などの受注が大きく伸びました。また、高大市場ではクラウドに対応した学習プラットフォーム「Glexa」及び「CaLabo MX」の受注が増加いたしました。一方、新型コロナウイルス感染対策の影響により、特に高大市場においては大型設備の更新が先送り傾向にありました。また、本年度受注が拡大した製品の多くが利用期間に応じて来期以降の売上に分割計上されることとなります。加えて費用の面では開発費が先行して計上されるため、単年度では増収減益の影響がありました。結果、売上高は1,193,291千円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は284,281千円(前年同期比12.3%減)となりました。
(進路部門)
進路部門においては緊急事態宣言の影響により、例年売上の大きい春先に予定していた進学相談会の多くが、開催の延期または中止となりました。売上の急減に対応し、夏休み期間以降に進学相談会を延期して実施したほか、2020年12月には新たなWeb媒体として『高校生のキモチ。』をリリースしました。これが新型コロナウイルス感染拡大の影響で生徒募集の手段が限られていた専門学校のニーズを捉え、開始直後から多くの契約を受注、売上増加に貢献しました。あわせて外注費などのコスト見直しを行った結果、売上高は1,058,824千円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益は63,868千円(前年同期比442.1%増)となりました。
なお、株式会社昭栄広報の業績は、前連結会計年度には4月1日から12月31日までの9カ月間を計上しているのに対し、当連結会計年度は1月1日から12月31日までの12カ月間を計上しております。
(情報基盤部門)
情報基盤部門においては、GIGAスクール構想の「校内通信ネットワークの整備」事業により、無線LAN最適化ソリューション「Tbridge」が各自治体の仕様に採用されるケースが増え、受注が急速に拡大しました。その他、大学における大型構築案件の受注や、次世代アプライアンス「ezContainer」等の堅調な推移もあり、売上高は1,830,597千円(前年同期比64.1%増)、セグメント利益は636,899千円(前年同期比58.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より2,189,072千円増加し、3,370,140千円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,567,530千円の収入(前年同期は507,794千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益501,438千円に加え、減価償却費275,408千円、前受金の増加1,886,542千円が計上されたことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、352,657千円の支出(前年同期は872千円の収入)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出161,829千円、有価証券の取得による支出100,000千円及び投資有価証券の取得による支出50,110千円が生じたことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、25,800千円の支出(前年同期は14,188千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出18,856千円及び配当金の支払額15,407千円が生じたことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
学習部門435,721148.9
進路部門201,750118.8
情報基盤部門180,813189.2
その他--
合計818,285137.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
学習部門1,193,291101.3
進路部門1,058,824118.6
情報基盤部門1,830,597164.1
その他--
合計4,082,713128.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は4,082,713千円(前年同期比28.1%増)となりました。内訳は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度は、売上原価が1,738,888千円(前年同期比37.7%増)、売上総利益が2,343,824千円(前年同期比21.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,830,631千円(前年同期比8.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は513,193千円(前年同期比112.1%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は22,221千円となりました。当連結会計年度の営業外費用は44,980千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は490,434千円(前年同期比109.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は140,809千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は360,629千円(前年同期比133.6%増)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の額は、5,585,679千円(前連結会計年度末は3,031,414千円)となり、2,554,264千円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加2,188,082千円、売掛金の増加165,941千円、有価証券の増加100,000千円によるものです。
負債の額は、3,582,674千円(前連結会計年度末は1,399,103千円)となり、2,183,570千円増加しました。これは主に、前受金の増加1,886,542千円、買掛金の増加96,659千円によるものです。なお、前受金の増加は、主に学習部門における運用管理システム「InterCLASS Console Support」やフィルタリングツール「InterCLASS Filtering Service」などのChromebook対応授業・学習支援システムの受注増加によるものです。
純資産の額は、2,003,005千円(前連結会計年度末は1,632,311千円)となり、370,694千円増加しました。これは主に利益剰余金が345,157千円増加したことによるものです。
c.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
d. 経営戦略の現状と見通し
新型コロナウイルス感染拡大によってもたらされた環境変化に対応するとともに、企業の社会的責任を果たすことを重要な経営課題の一つと捉え継続的な成長を目指します。
学習部門においては、当連結会計年度に計上した前受金を安定的な収益の基盤とするとともに、顧客基盤を活かした活動等を行うことで利活用を促進し、収益拡大を目指します。
進路部門においては、従来の進学相談会のデジタル化を促進するとともに、進路情報サイトを本事業のプラットフォームと捉え収益化を促進いたします。
情報基盤部門においては、情報基盤の構築から保守・運用までを支援し、安定的な収益増を目指します。
e. 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。