有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/08 15:00
【資料】
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【項目】
80項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第22期事業年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
(資産)
当事業年度末の資産の部は、前事業年度末に比べて143,052千円増加し、848,878千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加(前事業年度末に比べて233,593千円の増加)、ソフトウエアの減少(前事業年度末に比べて96,751千円の減少)、売掛金の増加(前事業年度末に比べて38,213千円の増加)等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債の部は、前事業年度末に比べて230,370千円増加し、812,223千円となりました。これは主に、買掛金の増加(前事業年度末に比べて153,624千円の増加)、長期借入金の増加(前事業年度末に比べて89,595千円の増加)、未払消費税等の減少(前事業年度末に比べて9,628千円の減少)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産の部は、前事業年度末に比べて87,318千円減少し、36,655千円となりました。これは、当期純損失87,318千円を計上したことによるものであります。
第23期第3四半期累計期間(自 2018年10月1日 至 2019年6月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の資産の部は、前事業年度末に比べて181,244千円減少し、667,634千円となりました。これは主に、売掛金の減少(前事業年度末に比べて251,422千円の減少)、現金及び預金の減少(前事業年度末に比べて74,971千円の減少)、受取手形の増加(前事業年度末に比べて44,876千円の増加)等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債の部は、前事業年度末に比べて303,657千円減少し、508,565千円となりました。これは主に、買掛金の減少(前事業年度末に比べて256,549千円の減少)、長期借入金の減少(前事業年度末に比べて78,277千円の減少)、未払費用の減少(前事業年度末に比べて15,646千円の減少)によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産の部は、前事業年度末に比べて122,413千円増加し、159,068千円となりました。これは、四半期純利益122,413千円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
②経営成績の状況
第22期事業年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績と雇用・所得環境の改善による消費の持ち直し、また設備投資も底堅い動きを見せるなど、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外においては、米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦激化への懸念や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意が必要な状況にあります。
当社の属する情報通信業界も、良好な事業環境が続きました。企業のIT投資は、好調な企業業績を背景に拡大し、政府が主導する働き方改革と雇用状況改善による人手不足が、業務効率化のシステム需要を押し上げ、また、個人情報の流出や仮想通貨の流出事故等が発生したことにより、サイバーセキュリティ対策強化の機運を高めましたし、AIやIoT、RPAなどの新しいビジネスに必要なIT技術も広がりを見せています。
このような環境下、当社は主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の受注活動の強化、さらなる採算性の重視、品質の向上に努めるとともにエモーショナルシステム事業の立て直しに取り組みましたが、セキュアクラウドシステム事業が過去最高の売上高を計上する一方で、エモーショナルシステム事業は不振を脱するまでには至りませんでした。
その結果、当事業年度における売上高は1,485,725千円(前事業年度比6.7%減)、営業利益は24,315千円(前事業年度比76.9%減)、経常利益は14,396千円(前事業年度比83.9%減)、当期純損失は減損損失98,716千円が発生したことにより87,318千円(前事業年度は91,245千円の当期純利益)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(セキュアクラウドシステム事業)
セキュアクラウドシステム事業は、期末に高付加価値の大型仮想化案件が実現したことなどからソフト・ハード販売、コンサルティング&実装サービスを中心にプラットフォーム分野が好調に伸び、過去最高の利益を更新することができました。
これらの結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、1,466,179千円(前事業年度比4.2%増)、セグメント利益は303,322千円(前事業年度比16.6%増)となりました。
(エモーショナルシステム事業)
エモーショナルシステム事業は、4D王販売案件の受注遅延により当事業年度の4D王販売実績台数を伸ばすに至りませんでした。このような状況を踏まえて期中に、新市場・新分野の開拓、新たな代理店獲得により販路を拡充させ更なる可能性を引き出す営業戦略への転換を行いました。当事業年度内の販売実現には至らなかったものの、翌期以降の受注残高の確保と新たな販路を開拓しております。
これらの結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、19,546千円(前事業年度比89.5%減)、セグメント損失は122,699千円(前事業年度はセグメント損失5,342千円)となりました。なお、前期と比較して大幅なセグメント損失を計上したことにより、当事業グループの固定資産については減損損失98,716千円を計上しております。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用156,307千円を差し引いた数値となっております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
第23期第3四半期累計期間(自 2018年10月1日 至 2019年6月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、全体として緩やかな回復基調で推移しました。雇用情勢や所得環境は改善が続きました。通商問題等の影響もあって輸出や生産には弱さが見られましたが、個人消費は持ち直し、企業収益は高い水準で底堅く推移しました。
当社の属する情報通信業界は、ソフトウエア投資の拡大局面が継続するなど良好な事業環境が続きました。とりわけ、2020年1月に迫るWindows 7 / WindowsServer 2008 サポート終了に伴うクラウド化・仮想デスクトップの導入需要、全国的な人手不足や政府が推進する働き方改革に対処する業務効率化のシステム需要、消費税増税と軽減税率制度対応のシステム需要、巧妙化するサイバーセキュリティリスクへの対応需要などが企業のIT投資需要を加速しています。
このような環境の下、当社は主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の収益性拡大と顧客満足の向上を図るため大口パートナーとの関係強化と中堅企業顧客の開拓に努めるとともに、エモーショナルシステム事業の再構築に向け4D王販売の強化、代理店ネットワークの増強に注力しました。
その結果、当第3四半期累計期間における売上高は1,222,796千円、営業利益は121,902千円、経常利益は112,527千円、四半期純利益は122,413千円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(セキュアクラウドシステム事業)
セキュアクラウドシステム事業は企業の旺盛なIT投資需要を背景に順調に推移しました。中でもプラットフォーム分野は技術者の強化・育成を図り大口パートナーとの関係強化に努めたことによりCitrix製品販売が大幅増となったほか、中堅企業の旺盛なクラウド基盤刷新需要のキャッチアップによって中堅企業顧客数を拡大しました。
これらの結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、1,114,386千円、セグメント利益は256,993千円となりました。
(エモーショナルシステム事業)
エモーショナルシステム事業は中心戦略製品である4D王の新規販売が好転し、リプレース販売も計画通りに進捗しました。前年(2018年7月15日)、福岡市科学館の「クリエイティブスペースプロデュースコンテスト」で大賞を受賞したことを契機に、全国の博物館・科学館などの文化施設を新たな市場と位置づけて営業力強化を図り、代理店ネットワークの強化に注力しました。
これらの結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、108,410千円、セグメント利益は12,796千円となりました。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用
147,887千円を差し引いた数値となっております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
③キャッシュ・フローの状況
第22期事業年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高(以下、資金という。)は、前事業年度末に比べ232,992千円増加し、362,709千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は171,211千円となりました。これは主に、減損損失の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は25,638千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が生じたためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は87,419千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入が生じたためであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2017年10月1日
至 2018年9月30日)
前年同期比(%)
セキュアクラウドシステム事業(千円)213,452100.3
エモーショナルシステム事業(千円)3,048277.5
合計(千円)216,501101.2

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
セキュアクラウドシステム事業1,490,636114.5175,159116.2
エモーショナルシステム事業27,03123.87,9001,905.5
合計1,517,668107.2183,059121.1

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2017年10月1日
至 2018年9月30日)
前年同期比(%)
製商品サービスセグメント合計
セキュアクラウドシステム事業(千円)1,001,327464,8521,466,179104.2
エモーショナルシステム事業(千円)3,56415,98219,54610.5
合計(千円)1,004,891480,8341,485,72593.3

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第二部 企業情報 第5 経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境をはじめとした様々なリスクが存在していることを認識しております。当社が属する情報通信業界においては、技術革新のスピードが早いため、業界動向や環境変化等を把握しながら技術を堅実に積み重ねることで、高品質なサービスを提供し続けることができるよう対応してまいります。
③経営者の問題意識と今後の方針
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した様々な課題を適切に対処することが必要であると認識しております。常に業界動向等の変化を捉えながら既存事業であるセキュアクラウドシステム事業、ならびにエモーショナルシステム事業双方の事業基盤の強化に努めるとともに、優秀な人材の確保をはじめとした内部管理体制の充実を図ることで、持続的な成長、および効率的な事業運営を実現させる所存であります。
④当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における経営成績は、売上高は、全体として1,485,725千円(前事業年度比6.7%減)と小幅減収となりました。営業利益は24,315千円(前事業年度比76.9%減)、経常利益は14,396千円(前事業年度比83.9%減)、当期純損失は減損損失98,716千円が発生したことにより87,318千円(前事業年度は91,245千円の当期純利益)となりました。
当社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業での上半期の低調が響き、第4四半期の7月までは営業赤字状態が継続しておりましたが、8月、9月に高付加価値の大型仮想化案件が実現したことなどからソフト・ハード販売、コンサルティング&実装サービスを中心にプラットフォーム分野の急速な挽回により、セキュアクラウドシステム事業においては、1,466,179千円(前事業年度比4.2%増)と前事業年度を超える売上高を実現し、セグメント利益は303,322千円(前事業年度比16.6%増)となり過去最高の利益となりました。当事業においては、優秀な人材の確保と取引先の拡大に注力することで、継続的な成長を目指してまいります。
一方、エモーショナルシステム事業については、4D王販売見込み案件の受注遅延により当事業年度の4D王販売を実現できず、売上高19,546千円(前事業年度比89.5%減)、セグメント損失は122,699千円(前事業年度はセグメント損失5,342千円)となりました。また、前事業年度と比較して大幅なセグメント損失を計上したことにより、当事業グループの固定資産については減損損失98,716千円を計上しております。当事業においては、これまでの販売実績の中心であった遊園地系の市場だけではなく、博物館、科学館、または工場見学といった新市場・新分野の開拓に注力し、早期の黒字化を目指してまいります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、運転資金の確保は自己資金及び金融機関からの借入により、将来の収益拡大を目的とした設備投資のために必要な資金の確保は、長期借入金等による資金調達を検討する方針であります。