有価証券報告書-第70期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 15:30
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【項目】
163項目

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の概要
当連結会計年度における世界経済は、米国の通商政策及び金融政策を巡る不確実性が続く中、個人消費や企業活動に慎重さがみられました。中国においても個人消費や設備投資の回復が鈍く、景気は弱含む展開となりました。さらに、期末にかけては中東地域における緊張の高まりを背景に、エネルギー価格や原材料価格が変動し、為替市場でも主要通貨が不安定に推移するなど、先行き不透明な状況が続きました。
わが国経済においては、雇用・所得環境の改善により個人消費は底堅く推移した一方、物価上昇や、海外経済の不透明感、エネルギー・原材料価格の変動などが影響し、景気の先行きは依然として不透明な状況となりました。
このような経済環境の下、当社グループにおける受注の状況につきましては、縫製事業では、期を通じて堅調な受注状況が継続しました。バングラデシュの工場を中心にASEAN諸国等への生産地シフトを推進し、生産拡大が計画通り進捗しました。一方、ラミネーションフィルム事業は、前期の業績伸長に大きく寄与した顧客のヒット商品向け素材供給の反動や、一部の顧客における在庫調整の影響から受注が伸び悩み、前々期並みの水準へと戻りました。
当社グループが展開する国ごとの生産状況は以下のとおりであります。
(中国)
縫製事業では、熟練オペレーターによる高い縫製技術を活かし、サンプル作成や短納期対応など付加価値の高い領域を中心に生産を行いました。ASEAN諸国等への生産地シフトの進展に伴い、技術力を要するアイテムへの対応を強化しました。
ラミネーションフィルム事業では、前期の業績伸長に寄与した顧客のヒット商品向け素材供給が一巡したことにより、前々期並みの生産水準で推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は241億42百万円(前期比6.1%減)となりました。
(バングラデシュ)
ワーキングウェアやインナーウェア・カットソーの需要増加に対応するため、生産ラインの増設を進め、生産体制の拡充に取り組みました。生産能力の引き上げが進み、グループ内でも特に生産規模が大きく拡大しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は231億67百万円(前期比24.8%増)となりました。
(ベトナム)
縫製事業では、既存工場を中心に安定した生産体制を維持し、縫製難易度の高いアイテムにも対応しました。新設工場では生産体制の整備を継続し、堅調な受注に合わせた着実な生産運営を行いました。
ラミネーションフィルム事業では、需要は前期並みの水準で推移し、生産数量も安定的に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は202億51百万円(前期比0.5%増)となりました。
(インドネシア)
前期に主要アイテムの見直しを行い、当期は生産プロセスの整備を進めてきたことで生産ラインの習熟が進み、生産性が着実に向上しました。これらの取り組みにより、拠点としての生産機能が一段と強化されました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は37億55百万円(前期比27.3%増)となりました。
(ミャンマー)
不安定な国内情勢が続く中でも、工場独自の新規顧客開拓を継続し受注を確保しました。稼働率は安定的に推移し、既存ラインを中心に堅実な生産運営を行いました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は29億33百万円(前期比8.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は742億51百万円(前期比5.2%増)、営業利益は21億74百万円(同401.3%増)となりました。また、経常利益は53億91百万円(同28.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は31億17百万円(同19.9%増)となりました。
また、当社グループの本業における実力値を判断するために算出した、当社の独自指標である為替差損益調整後営業利益 ※は、48億13百万円(前期比13.7%増)となりました。
当社グループの収支構造は、円安ドル高局面においては、海外子会社損益計算書の製造原価及び販管費の円換算額が大きくなるため連結営業利益が減少します。一方で取引先との個別契約等による為替変動リスクヘッジの効果は、日常的な営業取引決済等から発生する為替差損益として、連結損益計算書において営業外収益に計上されます。これらの為替差損益は当社の営業取引(本業)からくる営業利益と一体のものであるという考えの下、営業取引から発生した為替差損益を調整した事業損益を算定し「為替差損益調整後営業利益」として開示しております。
計算式:為替差損益調整後営業利益 = 営業利益 + 営業取引から発生した為替差損益
注:為替差損益の分類方法は以下の通りです。
営業取引から発生した為替差損益:売掛金及び買掛金から生じる決済差額及び換算差額、並びに為替レート差に起因する連結相殺差額
財務取引から発生した為替差損益:現預金、貸付金及び借入金から生じる決済差額及び換算差額

(単位:百万円)
2025年3月期
連結会計期間
2026年3月期
連結会計期間
増減増減率
売上高70,57974,2513,6715.2%
営業利益4332,1741,741401.3%
為替差損益3,6383,154△483△13.3%
うち営業取引から発生したもの ※3,7992,638△1,161△30.6%
うち財務取引から発生したもの ※△160516677-
為替差損益調整後営業利益 ※4,2334,81357913.7%
経常利益4,1995,3911,19128.4%
親会社株主に帰属する当期純利益2,6003,11751719.9%

※ 会計監査人の監査対象外
また、当社グループは、これまでアパレルOEM事業のみの単一セグメントであったことから、セグメント情報の開示を省略しておりましたが、当連結会計年度より経営管理区分の見直しに伴い、報告セグメントを「縫製事業」および「ラミネーションフィルム事業」に区分して開示しております。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(縫製事業)
当連結会計年度においては、猛暑の影響によるファン付きウェアの需要増加を背景にワーキングウェアの受注が増加したほか、インナーウェア・カットソーの需要増加により受注が伸長し、これに対応するためバングラデシュ工場では生産体制の拡充を進めました。これらの結果、販売枚数は前期比22.1%増の6,350万枚となり、堅調な受注を背景に事業拡大が進みました。受注増に伴い工場稼働率が高まり、生産性の向上にも寄与したことで粗利益率も向上いたしました。
以上の結果、縫製事業の売上高は660億29百万円(前期比12.5%増)、セグメント利益は59億59百万円(同67.6%増)となりました。
また、当社の独自指標である為替差損益調整後営業利益は、縫製事業において54億69百万円(同57.2%増)となりました。
(ラミネーションフィルム事業)
当連結会計年度においては、前期に業績伸長へ大きく寄与した顧客のヒット商品向け素材供給が一巡し、生産・販売は前々期並みの水準へと戻りました。これに加え、中国経済及び個人消費の低迷により買い替え需要が発生しにくい状況が続いたほか、一部顧客の在庫調整に伴い発注数量やタイミングが変動したことも影響し、販売ヤード数は前期比25.2%減の1,364万ヤードとなりました。
以上の結果、ラミネーションフィルム事業の売上高は82億21百万円(前期比30.9%減)、セグメント利益は5億54百万円(同67.9%減)となりました。
また、当社の独自指標である為替差損益調整後営業利益は、ラミネーションフィルム事業において5億86百万円(同66.0%減)となりました。
セグメント別売上高
セ グ メ ン ト 区 分2026年3月期
(当連結会計年度)
金額(百万円)構成比(%)
縫製事業66,02988.9
ラミネーションフィルム事業8,22111.1
合計74,251100.0

総資産は、前連結会計年度末に比べて27億20百万円増加し、751億74百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて3億8百万円減少し、316億15百万円となり、純資産は前連結会計年度末に比べて30億29百万円増加し、435億58百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー60億71百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フロー43億57百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー19億25百万円の支出となった結果、前連結会計年度末に比べて1億20百万円増加し、195億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは60億71百万円の獲得(前期は27億24百万円の獲得)となりました。主な要因としては、棚卸資産の増加13億86百万円、法人税等の支払額13億7百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上51億25百万円、減価償却費の計上20億63百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは43億57百万円の支出(前期は20億34百万円の支出)となりました。主な要因としては、有形固定資産の取得による支出28億56百万円、定期預金の預入14億57百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは19億25百万円の支出(前期は7億5百万円の獲得)となりました。主な要因としては、長期借入れによる収入35億90百万円等があったものの、短期借入金の純減額37億32百万円、長期借入金の返済による減少10億4百万円、配当金の支払による減少9億39百万円等があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
金額(百万円)前期比(%)
縫製事業60,610106.9
ラミネーション
フィルム事業
6,31366.6
合計66,923101.1

(注) 金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
縫製事業66,615106.321,340102.8
ラミネーション
フィルム事業
8,41875.12,884107.3
合計75,033101.624,225103.3

c.生産国別の販売実績
国名当連結会計年度
(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
販売高(百万円)前期比(%)
縫製事業
バングラデシュ23,167124.8
中国18,093111.1
ベトナム18,079102.3
インドネシア3,755127.3
ミャンマー2,93391.3
小計66,029112.5
ラミネーションフィルム事業
中国6,04964.2
ベトナム2,17188.0
小計8,22169.1
合計74,251105.2

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
東レインターナショナル株式会社13,18418.715,56721.0
Toray Industries (H.K.) Ltd.13,51319.112,33316.6
株式会社ユニクロ8,69312.311,80515.9


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、物価上昇や海外経済の不透明感、エネルギー・原材料価格の変動などにより先行き不透明な状況が続いたものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、景気は回復基調にありました。アパレル製品の需要も概ね順調に推移し、縫製事業では期を通じて堅調な受注を維持しました。一方、ラミネーションフィルム事業では、前期の業績伸長に大きく寄与した顧客のヒット商品向け素材供給の反動や、一部顧客の在庫調整の影響により、受注は伸び悩みました。
売上高につきましては、生産能力の増強など各生産拠点での生産量が増加、特に中期経営計画で新設したベトナムとバングラデシュの工場3拠点を中心に稼働が進捗し、前連結会計年度に比べて36億71百万円増加の742億51百万円(前期比5.2%増)となりました。中期経営計画「ビジョン2025」では、当連結会計年度の売上高は740億円を計画しておりましたが、計画比0.3%増と計画達成しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、堅調な受注増加に伴い増加するとともに、円安による工場コスト増加等により、前連結会計年度に比べて15億4百万円増加の654億95百万円(同2.4%増)となりました。
売上総利益率は、売上高の増加により売上原価の増加影響を吸収したことに加え、生産量の増加や生産効率の改善が寄与した結果、前連結会計年度9.3%から当連結会計年度では11.8%へと2.5ポイント上昇しました。この結果、売上総利益は87億56百万円(同32.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、売上高増加による影響とともに、円安による工場コスト増加により、前連結会計年度に比べて4億26百万円増加の65億81百万円(同6.9%増)となりました。この結果、営業利益は21億74百万円(同401.3%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、為替レートがドル高現地通貨安に推移したことにより為替差益31億54百万円を計上し、前連結会計年度に比べて5億62百万円減少の36億71百万円(同13.3%減)となりました。当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に計上していた撤去費用48百万円が当連結会計年度には発生しなかったことにより、前連結会計年度に比べて12百万円減少の4億54百万円(同2.7%減)となりました。この結果、経常利益は53億91百万円(同28.4%増)となりました。中期経営計画「ビジョン2025」では、当連結会計年度の経常利益は47億円を計画しておりましたが、計画比14.7%増となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度及び前連結会計年度において、特別利益は発生しておりません。当連結会計年度の特別損失は、子会社において減損損失及び投資有価証券売却損が発生したことにより、前連結会計年度に比べて2億66百万円増加しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は31億17百万円(同19.9%増)となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて27億20百万円増加し、751億74百万円となりました。主な要因としては、棚卸資産の増加14億24百万円、現金及び預金の増加14億48百万円等があったことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて3億8百万円減少し、316億15百万円となりました。主な要因としては、長期借入金の増加25億19百万円、支払手形及び買掛金の増加4億71百万円、未払法人税等の増加3億50百万円等があったものの、短期借入金の減少37億64百万円等があったことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて30億29百万円増加し、435億58百万円となりました。主な要因としては、配当金の支払9億39百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加31億17百万円、非支配株主持分の増加6億46百万円等があったことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
内容につきましては本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末において借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は149億47百万円、現金及び現金同等物の残高は195億6百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として会社別にグルーピングを行い、収益性が低下した資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
収益性の低下の評価に用いる将来キャッシュ・フローは、各社及び各工場の事業計画等に基づき見積っております。
事業計画等では、将来の受注見込みや、海外工場での人件費を中心とした費用の見積りに一定の仮定をおいており、その仮定には不確実性が伴っております。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループを取り巻く事業環境は、米国の金融政策や中国経済の回復の遅れ、中東情勢の緊張に伴う原材料価格の変動、サプライチェーンを巡る地政学リスクの高まりなど、不透明な状況が続いております。アパレル業界においても、消費者の価値と価格のバランスを重視する傾向の強まり、販売チャネルの多様化、環境対応の高度化など、構造的な変化が進んでおります。
こうした環境のもと、当社グループは拡大した生産基盤や柔軟な生産体制を活かし、製造プロセスの透明性向上やサステナビリティ対応の強化を通じて、顧客企業から「選ばれる工場」であり続けることを経営方針としております。また、成長投資と財務健全性のバランスを図りつつ、生産性向上と収益力強化を進めることで、企業価値の向上を図ってまいります。

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