有価証券報告書-第17期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/05/30 13:45
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102項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、 「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界経済の緩やかな回復を背景に、アベノミクスにおける、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」により、企業の稼ぐ力が高まり、企業収益が過去最高となる中で、雇用・所得環境が改善し、所得の増加が消費や投資の拡大につながるという「経済の好循環」が着実に回りつつあります。また、技術革新の進展等を受けて情報関連財の需要が世界的に増加する中で、輸出や生産の改善により、緩やかな回復基調が続いています。物価動向は横ばいにとどまっているものの、物価を取り巻く環境をみると、人手不足感が一層高まり、人材の新規採用や安定的な人員の確保が困難な状況がなおも続いています。しかしながら、リーマンショック後に一時期大きく増加した失業期間が1年以上の完全失業者の数、割合ともに減少しており、多くの人々が働く場を得やすくなってきています。ただし、人手不足感の高まりによる負の影響が一部の企業ではみられていること、また雇用のミスマッチも依然として残っている点には留意が必要です。
こうした中で、賃上げ率は5年連続で高い水準となり、一人当たりの賃金は緩やかに増加しています。こうした雇用・所得環境の改善は消費の持ち直しにつながっていると考えられます。
情報・通信、情報サービスの分野においては、1990年代半ばからのインターネットと携帯電話の急激な普及により、先進国にとどまらず、途上国にも情報化の波が押し寄せました。このように国境を越えた情報通信ネットワークの形成が進み、さらにスマートフォンが世界的に普及した結果、人々の意識や行動の範囲が時間や場所を越えて世界的な広がりを持つことになり、世界中で様々な変化、成長、進歩の機会が拡大することとなりました。
近年、ICT(Information and Communications Technology:情報通信技術)はより進化しています。インターネット利用の増大とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の普及により、様々な人・モノ・組織がネットワークにつながることに伴い、大量のデジタルデータ(Big Data:ビッグデータ)の生成、収集、蓄積が進みつつあります。それらデータのAI(Artificial Intelligence:人工知能)による分析結果を、業務処理の効率化や予測精度の向上、最適なアドバイスの提供、効率的な機械の制御などに活用することで、現実世界において新たな価値創造につなげることができます。
これは現実世界の変化にとどまらない、IoTによって現実世界からより多くの情報が収集できると、サイバー空間においても、現実世界の状況をより詳細に再現することができるようになり、また、サイバー空間の情報に現実世界の情報が合わさることによって、これまでとは異なる視点や考え方も生まれることで、現実世界のみでは困難だった複雑な原因の解明や将来予測、最適な対策・計画を検討することも可能となります。
現在は、このような「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション」が進みつつある時代にあるといえます。この変化は段階を経て社会に浸透し、大きな影響を及ぼすこととなります。まず、インフラ、制度、組織、生産方法など従来の社会・経済システムに、AI、IoTなどのICTが導入され、次に、社会・経済システムはそれらICTを活用できるように変革されます。
このようにデジタルトランスフォーメーションが進展することによって、特定の分野、組織内に閉じて部分的に最適化されていたシステムや制度等が社会全体にとって最適なものへと変貌すると予想されます。
このような状況の中、当社は「ライセンス&SIサービス」・「クラウドサービス」・「ソフトウェア開発サービス」の3つの業務において業績を順調に伸展させ、2019年2月26日に東京証券取引所マザーズ市場に新規上場いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,482,856千円(前連結会計年度比43.7%増)、営業利益371,436千円(同183.9%増)、経常利益386,245千円(同197.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益255,646千円(同174.5%増)となりました。
なお、当社グループはツールソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ680,660千円増加し、1,486,684千円(前連結会計年度比84.4%増)となりました。主な要因は、現金及び預金が上場時の新株発行による払込金等により633,947千円増加したことによります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ141,518千円増加し、497,221千円(前連結会計年度比39.8%増)となりました。主な要因は、未払法人税等が105,928千円、前受金が54,971千円増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ539,142千円増加し、989,463千円(前連結会計年度比119.7%増)となりました。主な要因は、東京証券取引所マザーズ上場時の公募による新株式の発行(ブックビルディング方式による募集)により資本金及び資本準備金がそれぞれ141,496千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が255,646千円増加したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前期末と比べ633,947千円増加し1,037,007千円(前連結会計年度比157.3%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、収入は386,924千円(前連結会計年度比281.1%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益386,245千円及び前受金の増加54,971千円があった一方で、売上債権の増加35,760千円、為替差益16,742千円、法人税等の支払額35,852千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、支出は5,900千円(前連結会計年度比67.8%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,786千円、無形固定資産の取得による支出2,114千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、収入は250,992千円(前連結会計年度比736.6%増)となりました。これは主に、株式の発行による収入が282,992千円あった一方で、短期借入金の返済による支出30,000千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループでおこなう事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、以下のとおりであります。
サービスの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
ライセンス&SIサービス2,178,418140.786,605129.8
クラウドサービス212,366159.979,040180.3
ソフトウェア開発147,133166.0
合計2,537,918143.4165,645149.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、以下のとおりであります。
サービスの名称販売高(千円)前年同期比(%)
ライセンス&SIサービス2,158,556141.3
クラウドサービス177,166158.2
ソフトウェア開発147,133166.0
合計2,482,856143.7

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社デンソー263,78215.3323,55413.0

2.上記金額には消費税は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績などを勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ754,600千円増加し、2,482,856千円(前連結会計年度比43.7%増)となりました。これは主に、Atlassian製品ライセンス売上によるものであります。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度に比べ425,881千円増加し、1,473,775千円(前連結会計年度比40.6%増)となりました。これは主に、売上に伴うAtlassian製品ライセンスの仕入によるものであります。この結果、売上総利益は1,009,080千円(前連結会計年度比48.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ88,129千円増加し、637,644千円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。これは主に、人件費によるものであります。この結果、営業利益は371,436千円(前連結会計年度比183.9%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は主に為替差益により、前連結会計年度に比べ10,352千円増加し、22,404千円(前連結会計年度比85.9%増)、営業外費用は、前連結会計年度に比べ5,476千円減少し、7,595千円(前連結会計年度比41.9%減)となりました。この結果、経常利益は386,245千円(前連結会計年度比197.5%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益については、該当事項はありません。法人税、住民税及び事業税132,777千円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は255,646千円(前連結会計年度比174.5%増)となりました。
b.財政状態
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくために、経営者は「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。