有価証券報告書-第79期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当期の世界経済は、米国の政策変更による通商問題の影響等により、中国や欧州において一部に弱さが見られましたが、米国において着実な景気回復が続いたことにより、全体としては緩やかに回復しました。わが国経済は、雇用情勢の改善、設備投資の増加等により、緩やかに回復しましたが、輸出や生産の一部に弱さが見られたほか、個人消費についても先行き不透明な状況が続きました。
当社グループと関係が深い住宅市場に関しましては、国内において、金融機関による融資姿勢が慎重になった影響等により貸家が減少したものの、住宅ローン金利が継続して低水準で推移したこと等から、新設住宅着工戸数は前期より増加しました。また、海外においては、当社グループが事業を展開している米国では、住宅価格や住宅ローン金利の上昇による影響が見られたものの、個人消費の伸びや雇用環境の改善等もあり、市場は堅調に推移しました。豪州では、近年における住宅価格の上昇に加えて、住宅ローン審査の厳格化により、市場は調整局面となりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、当期を最終年度とする「住友林業グループ 中期経営計画2018」の実現に向けて、主力事業である戸建注文住宅事業及び木材建材事業の収益力向上に努めたほか、海外での事業領域の拡大に経営資源を積極的に投入するとともに、木質バイオマス発電事業を始めとした資源環境事業に注力するなど、引き続き、収益源の多様化に取り組みました。
その結果、売上高は1兆3,088億93百万円(前期比7.1%増)、営業利益は492億47百万円(同7.1%減)、経常利益は 514億36百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は291億60百万円(同3.2%減)となりました。
また、自己資本利益率(ROE)につきましては9.3%となり、前期の10.3%から低下したものの引き続き10%以上を確保することを目標とします。
なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異については、前期はプラス22億91百万円、当期はマイナス34億10百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は、前期の555億74百万円に対して、当期が548億46百万円と1.3%の減益となりました。
事業セグメント別の業績は、次のとおりです。
なお、従来、事業セグメントについては、「木材建材事業」、「住宅事業」、「海外事業」、「その他事業」としておりましたが、当期より「木材建材事業」、「住宅・建築事業」、「海外住宅・不動産事業」、「その他事業」の事業セグメントに変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の事業セグメントに組み替えた数値で比較しております。また、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高を含めております。
<木材建材事業>流通事業におきましては、国内において、木材価格の市況回復や取引先との連携を強化したことにより、販売数量が増加するなど、業績は堅調に推移しました。また、収益源の多様化をさらに推進すべく、国産材の輸出拡大を図ったほか、発電用木質燃料の取扱拡大に注力するとともに、商業施設向けの建築資材供給を始めとした付加価値の高いサービスの提供に取り組みました。なお、天然林の伐採規制が各国で強まる中、森林認証材や植林木を使用した環境配慮型商品を拡販するなど、持続可能性に配慮した商品の拡充に努めました。海外においては、統括拠点であるシンガポールをベースに、主にベトナムや中国での木材・建材商品の拡販に注力しました。
製造事業におきましては、国内において、現場での組立が容易で施工時間を短縮できる付加価値の高い階段材等の拡販に注力するなど、引き続き収益性の向上に取り組みました。ニュージーランドにおいては、同国内及び日本向けの販売は堅調に推移したものの、製造コストが上昇したことにより、業績は伸び悩みました。
以上の結果、木材建材事業の売上高は4,870億91百万円(前期比4.7%増)、経常利益は79億80百万円(同7.0%減) となりました。
<住宅・建築事業>戸建注文住宅事業におきましては、一次取得者層に対して、土地をお探しのお客様へのきめ細かな提案や、当社オリジナルの技術力や設計力を活かした商品の提案力強化に努めたほか、エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅の受注拡大に注力しました。その結果、完工引渡棟数は前期より増加しましたが、建築資材価格の高騰等により、業績は伸び悩みました。商品面では、当社独自のネットワークにより海外より調達した、オーク、チーク、パイン、メイプル、ウォルナット等の銘木を用いた床材等の内装部材のラインナップに、国産ナラ材を新たに追加しました。また、天井高が選べ、多様な室内空間等を実現できる商品「The Forest BF(ザ フォレスト ビーエフ)」については、深い軒や庇といった日本の伝統建築の外観デザインの良さを取り入れた新たな提案や、天井高以外にも、床材や建具の種類・デザインを増やすなど、様々なお客様のご要望にお応えすべく、室内空間の多様性をさらに拡充しました。
賃貸住宅事業におきましては、間取りの可変性を高め、入居者のニーズの変化にも対応しやすい「WF構法(ウォールフレーム構法)」を用いた賃貸住宅の拡販に取り組むとともに、東京・大阪・名古屋に支社を設置し、市場の大きい都市部において営業力の強化を図りました。また、入居者のライフスタイルが多様化し、賃貸住宅に求められる性能も高まっている中で、他社と共同で遮音性の高い床を開発し、当社の賃貸住宅「フォレストメゾン」に新たに採用するなど、より快適な住環境の提供に努めました。
リフォーム事業におきましては、インテリアコーディネーターや設計担当者を増員するなど営業力の強化に努めたほか、独自の耐震・制震工法等に基づく高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームの受注拡大に注力しました。その結果、業績は堅調に推移しました。
木化事業におきましては、建築物の木造化・木質化を推進すべく、当期は、木造の保育所施設やゲストハウス等を竣工するなど、着実に建築実績を積み上げました。また、戦略的パートナーで持分法適用関連会社である株式会社熊谷組との協業においては、同社が施工した物件を用いて木造化・木質化の試設計を実施し、コスト等の課題把握を進めるなど、中大規模木造建築物への取り組みに関する提携強化を進めました。
以上の結果、住宅・建築事業の売上高は4,528億39百万円(前期比0.8%増)、経常利益は215億98百万円(同13.4%減)となりました。
<海外住宅・不動産事業>海外における戸建分譲住宅事業におきましては、米国において、当社グループが事業活動を展開しているワシントン州、ユタ州、テキサス州、メリーランド州、ノースカロライナ州等の地域では、住宅市場が堅調に推移したことにより、米国全体の引渡戸数は前期より増加しました。主にメルボルン及びシドニーで事業を展開している豪州においては、住宅市場が調整局面にあることから、引渡戸数は前期より減少しました。また、東南アジアにおける収益基盤の強化を図るべく、ベトナム、インドネシア、タイにおいて、取組中の戸建分譲住宅及び分譲マンションプロジェクトを着実に進めました。なお、昨年5月に土地開発事業を行うMark III Properties, LLC (本社:米国サウスカロライナ州)を、また、同年7月に集合住宅・商業複合施設の不動産開発事業を行うCrescent Communities II, LLC(本社:米国ノースカロライナ州)を連結子会社とし、海外不動産開発事業への本格的な進出を行い、収益基盤のさらなる多様化・事業の多角化を図りました。
以上の結果、海外住宅・不動産事業の売上高は3,648億78百万円(前期比19.3%増)、経常利益は258億12百万円(同 9.9%増)となりました。
<その他事業>当社グループは、上記事業のほか、バイオマス発電事業、海外における植林事業、有料老人ホーム運営事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業等を行っています。また、持分法適用関連会社である株式会社熊谷組が行う事業も含まれます。
なお、北海道紋別市及び昨年4月より営業運転を開始した青森県八戸市におけるバイオマス発電事業の業績は、双方とも堅調に推移しました。
その他事業の売上高は404億16百万円(前期比9.2%増)、経常利益は52億3百万円(同5.5%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。
②受注実績
当連結会計年度における住宅・建築事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1 住宅・建築事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。
2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、Crescent Communitiesグループの新規連結をはじめ、海外住宅・不動産事業の拡大に伴いたな卸資産、固定資産及び投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より718億56百万円増加し、9,709億76百万円となりました。負債は、Crescent Communitiesグループの新規連結に伴う借入金の増加等により、前連結会計年度末より640億5百万円増加し、6,174億86百万円になりました。なお、純資産は3,534億89百万円、自己資本比率は32.8%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
<木材建材事業>当連結会計年度末における木材建材事業の資産は、国内流通事業等の販売拡大に伴い売上債権が増加したこと等により、前連結会計年度末より57億19百万円増加し、2,074億8百万円となりました。
<住宅・建築事業>当連結会計年度末における住宅・建築事業の資産は、分譲事業において積極的な土地仕入を行いたな卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末より117億7百万円増加し、1,557億73百万円となりました。
<海外住宅・不動産事業>当連結会計年度末における海外住宅・不動産事業の資産は、Crescent Communitiesグループの新規連結をはじめ、海外住宅・不動産事業の拡大に伴いたな卸資産、固定資産及び投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より882億95百万円増加し、3,214億86百万円となりました。
<その他事業>当連結会計年度末におけるその他事業の資産は、バイオマス発電事業において設備の減価償却が進み有形固定資産が減少したこと等により、前連結会計年度末より37億56百万円減少し、1,283億8百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より204億53百万円減少して 1,051億2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は406億89百万円増加しました(前連結会計年度は137億32百万円の増加)。これは、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益566億18 百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は716億59百万円減少しました(前連結会計年度は462億50百万円の減少)。これは、 Crescent Communitiesグループの持分取得に資金を使用したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は115億23百万円増加しました(前連結会計年度は251億56百万円の増加)。これは、配当金の支払や連結子会社持分の追加取得等により資金が減少した一方で、有利子負債の増加等により資金が増加したことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、長短の資金使途に応じて最適な資金調達手法を機動的に利用し、資金返済時期の分散や調達コストの低減を実現することを基本方針としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,488憶85百万円となっております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当期の世界経済は、米国の政策変更による通商問題の影響等により、中国や欧州において一部に弱さが見られましたが、米国において着実な景気回復が続いたことにより、全体としては緩やかに回復しました。わが国経済は、雇用情勢の改善、設備投資の増加等により、緩やかに回復しましたが、輸出や生産の一部に弱さが見られたほか、個人消費についても先行き不透明な状況が続きました。
当社グループと関係が深い住宅市場に関しましては、国内において、金融機関による融資姿勢が慎重になった影響等により貸家が減少したものの、住宅ローン金利が継続して低水準で推移したこと等から、新設住宅着工戸数は前期より増加しました。また、海外においては、当社グループが事業を展開している米国では、住宅価格や住宅ローン金利の上昇による影響が見られたものの、個人消費の伸びや雇用環境の改善等もあり、市場は堅調に推移しました。豪州では、近年における住宅価格の上昇に加えて、住宅ローン審査の厳格化により、市場は調整局面となりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、当期を最終年度とする「住友林業グループ 中期経営計画2018」の実現に向けて、主力事業である戸建注文住宅事業及び木材建材事業の収益力向上に努めたほか、海外での事業領域の拡大に経営資源を積極的に投入するとともに、木質バイオマス発電事業を始めとした資源環境事業に注力するなど、引き続き、収益源の多様化に取り組みました。
その結果、売上高は1兆3,088億93百万円(前期比7.1%増)、営業利益は492億47百万円(同7.1%減)、経常利益は 514億36百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は291億60百万円(同3.2%減)となりました。
また、自己資本利益率(ROE)につきましては9.3%となり、前期の10.3%から低下したものの引き続き10%以上を確保することを目標とします。
なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異については、前期はプラス22億91百万円、当期はマイナス34億10百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は、前期の555億74百万円に対して、当期が548億46百万円と1.3%の減益となりました。
事業セグメント別の業績は、次のとおりです。
なお、従来、事業セグメントについては、「木材建材事業」、「住宅事業」、「海外事業」、「その他事業」としておりましたが、当期より「木材建材事業」、「住宅・建築事業」、「海外住宅・不動産事業」、「その他事業」の事業セグメントに変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の事業セグメントに組み替えた数値で比較しております。また、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高を含めております。
<木材建材事業>流通事業におきましては、国内において、木材価格の市況回復や取引先との連携を強化したことにより、販売数量が増加するなど、業績は堅調に推移しました。また、収益源の多様化をさらに推進すべく、国産材の輸出拡大を図ったほか、発電用木質燃料の取扱拡大に注力するとともに、商業施設向けの建築資材供給を始めとした付加価値の高いサービスの提供に取り組みました。なお、天然林の伐採規制が各国で強まる中、森林認証材や植林木を使用した環境配慮型商品を拡販するなど、持続可能性に配慮した商品の拡充に努めました。海外においては、統括拠点であるシンガポールをベースに、主にベトナムや中国での木材・建材商品の拡販に注力しました。
製造事業におきましては、国内において、現場での組立が容易で施工時間を短縮できる付加価値の高い階段材等の拡販に注力するなど、引き続き収益性の向上に取り組みました。ニュージーランドにおいては、同国内及び日本向けの販売は堅調に推移したものの、製造コストが上昇したことにより、業績は伸び悩みました。
以上の結果、木材建材事業の売上高は4,870億91百万円(前期比4.7%増)、経常利益は79億80百万円(同7.0%減) となりました。
<住宅・建築事業>戸建注文住宅事業におきましては、一次取得者層に対して、土地をお探しのお客様へのきめ細かな提案や、当社オリジナルの技術力や設計力を活かした商品の提案力強化に努めたほか、エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅の受注拡大に注力しました。その結果、完工引渡棟数は前期より増加しましたが、建築資材価格の高騰等により、業績は伸び悩みました。商品面では、当社独自のネットワークにより海外より調達した、オーク、チーク、パイン、メイプル、ウォルナット等の銘木を用いた床材等の内装部材のラインナップに、国産ナラ材を新たに追加しました。また、天井高が選べ、多様な室内空間等を実現できる商品「The Forest BF(ザ フォレスト ビーエフ)」については、深い軒や庇といった日本の伝統建築の外観デザインの良さを取り入れた新たな提案や、天井高以外にも、床材や建具の種類・デザインを増やすなど、様々なお客様のご要望にお応えすべく、室内空間の多様性をさらに拡充しました。
賃貸住宅事業におきましては、間取りの可変性を高め、入居者のニーズの変化にも対応しやすい「WF構法(ウォールフレーム構法)」を用いた賃貸住宅の拡販に取り組むとともに、東京・大阪・名古屋に支社を設置し、市場の大きい都市部において営業力の強化を図りました。また、入居者のライフスタイルが多様化し、賃貸住宅に求められる性能も高まっている中で、他社と共同で遮音性の高い床を開発し、当社の賃貸住宅「フォレストメゾン」に新たに採用するなど、より快適な住環境の提供に努めました。
リフォーム事業におきましては、インテリアコーディネーターや設計担当者を増員するなど営業力の強化に努めたほか、独自の耐震・制震工法等に基づく高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームの受注拡大に注力しました。その結果、業績は堅調に推移しました。
木化事業におきましては、建築物の木造化・木質化を推進すべく、当期は、木造の保育所施設やゲストハウス等を竣工するなど、着実に建築実績を積み上げました。また、戦略的パートナーで持分法適用関連会社である株式会社熊谷組との協業においては、同社が施工した物件を用いて木造化・木質化の試設計を実施し、コスト等の課題把握を進めるなど、中大規模木造建築物への取り組みに関する提携強化を進めました。
以上の結果、住宅・建築事業の売上高は4,528億39百万円(前期比0.8%増)、経常利益は215億98百万円(同13.4%減)となりました。
<海外住宅・不動産事業>海外における戸建分譲住宅事業におきましては、米国において、当社グループが事業活動を展開しているワシントン州、ユタ州、テキサス州、メリーランド州、ノースカロライナ州等の地域では、住宅市場が堅調に推移したことにより、米国全体の引渡戸数は前期より増加しました。主にメルボルン及びシドニーで事業を展開している豪州においては、住宅市場が調整局面にあることから、引渡戸数は前期より減少しました。また、東南アジアにおける収益基盤の強化を図るべく、ベトナム、インドネシア、タイにおいて、取組中の戸建分譲住宅及び分譲マンションプロジェクトを着実に進めました。なお、昨年5月に土地開発事業を行うMark III Properties, LLC (本社:米国サウスカロライナ州)を、また、同年7月に集合住宅・商業複合施設の不動産開発事業を行うCrescent Communities II, LLC(本社:米国ノースカロライナ州)を連結子会社とし、海外不動産開発事業への本格的な進出を行い、収益基盤のさらなる多様化・事業の多角化を図りました。
以上の結果、海外住宅・不動産事業の売上高は3,648億78百万円(前期比19.3%増)、経常利益は258億12百万円(同 9.9%増)となりました。
<その他事業>当社グループは、上記事業のほか、バイオマス発電事業、海外における植林事業、有料老人ホーム運営事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業等を行っています。また、持分法適用関連会社である株式会社熊谷組が行う事業も含まれます。
なお、北海道紋別市及び昨年4月より営業運転を開始した青森県八戸市におけるバイオマス発電事業の業績は、双方とも堅調に推移しました。
その他事業の売上高は404億16百万円(前期比9.2%増)、経常利益は52億3百万円(同5.5%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。
②受注実績
当連結会計年度における住宅・建築事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
住宅・建築事業(提出会社) | 369,310 | 119.4 | 338,200 | 120.7 |
(注) 1 住宅・建築事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。
2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
木材建材事業 | 487,091 | 104.7 |
住宅・建築事業 | 452,839 | 100.8 |
海外住宅・不動産事業 | 364,878 | 119.3 |
報告セグメント計 | 1,304,807 | 106.9 |
その他事業 | 40,416 | 109.2 |
調整額 | △36,330 | - |
合計 | 1,308,893 | 107.1 |
(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、Crescent Communitiesグループの新規連結をはじめ、海外住宅・不動産事業の拡大に伴いたな卸資産、固定資産及び投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より718億56百万円増加し、9,709億76百万円となりました。負債は、Crescent Communitiesグループの新規連結に伴う借入金の増加等により、前連結会計年度末より640億5百万円増加し、6,174億86百万円になりました。なお、純資産は3,534億89百万円、自己資本比率は32.8%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
<木材建材事業>当連結会計年度末における木材建材事業の資産は、国内流通事業等の販売拡大に伴い売上債権が増加したこと等により、前連結会計年度末より57億19百万円増加し、2,074億8百万円となりました。
<住宅・建築事業>当連結会計年度末における住宅・建築事業の資産は、分譲事業において積極的な土地仕入を行いたな卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末より117億7百万円増加し、1,557億73百万円となりました。
<海外住宅・不動産事業>当連結会計年度末における海外住宅・不動産事業の資産は、Crescent Communitiesグループの新規連結をはじめ、海外住宅・不動産事業の拡大に伴いたな卸資産、固定資産及び投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より882億95百万円増加し、3,214億86百万円となりました。
<その他事業>当連結会計年度末におけるその他事業の資産は、バイオマス発電事業において設備の減価償却が進み有形固定資産が減少したこと等により、前連結会計年度末より37億56百万円減少し、1,283億8百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より204億53百万円減少して 1,051億2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は406億89百万円増加しました(前連結会計年度は137億32百万円の増加)。これは、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益566億18 百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は716億59百万円減少しました(前連結会計年度は462億50百万円の減少)。これは、 Crescent Communitiesグループの持分取得に資金を使用したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は115億23百万円増加しました(前連結会計年度は251億56百万円の増加)。これは、配当金の支払や連結子会社持分の追加取得等により資金が減少した一方で、有利子負債の増加等により資金が増加したことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、長短の資金使途に応じて最適な資金調達手法を機動的に利用し、資金返済時期の分散や調達コストの低減を実現することを基本方針としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,488憶85百万円となっております。