有価証券報告書-第158期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 11:55
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159項目
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資を中心とした民需に支えられ、輸出や生産の一部に弱さもみられましたが、緩やかな回復基調が続きました。また、世界経済は、全体としては緩やかな回復基調が継続していましたが、昨年後半に顕在化した米中間の貿易摩擦や中国経済の減速等から世界経済の停滞が懸念され、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の下、当社グループは『中期経営計画《Go for Next 100》』に基づき、高付加価値品へのシフトを図り、生産性向上や原価低減を加速させるとともに、中長期で持続的な成長を実現するために、設備投資、人材投資、研究開発を積極的に実施いたしました。こうした事業基盤強化施策に伴う費用の増加に加え、物価上昇に伴う原燃料価格、物流費の増加等の収益圧迫要因がありました。
この結果、連結売上高は82,292百万円(前年同期比2.6%の減収)、連結営業利益は8,198百万円(前年同期比24.3%の減益)、連結経常利益は8,934百万円(前年同期比19.3%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,984百万円(前年同期比22.1%の減益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
繊維事業は、売上高4,862百万円と前年同期比1.7%の減収となり、営業損失は373百万円(前連結会計年度は営業損失452百万円)となりました。
原繊材事業は、売上高26,442百万円と前年同期比9.4%の減収となり、営業利益は3,937百万円と前年同期比40.0%の減益となりました。
機能材事業は、売上高14,043百万円と前年同期比2.1%の増収となり、営業利益は2,031百万円と前年同期比4.7%の減益となりました。
設備材事業は、売上高21,785百万円と前年同期比0.8%の増収となり、営業利益は629百万円と前年同期比24.3%の減益となりました。
ライフサイエンス事業は、売上高13,692百万円と前年同期比5.4%の増収となり、営業利益は2,644百万円と前年同期比7.5%の減益となりました。
その他の事業は、売上高1,466百万円と前年同期比28.2%の減収となり、営業利益は211百万円(前連結会計年度は営業損失139百万円)となりました。
当連結会計年度末における総資産は151,000百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,839百万円増加しました。主な要因は、機械装置及び運搬具の増加などであります。
負債は60,259百万円となり、前連結会計年度末に比べ647百万円増加しました。主な要因は、長期借入金の増加などであります。
純資産は90,740百万円となり、自己資本比率は59.4%と前連結会計年度末に比べ0.5ポイント上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金5,317百万円、投資活動により使用した資金11,389百万円、財務活動により得られた資金3,948百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ2,178百万円減少し、当連結会計年度末には16,145百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、前連結会計年度の7,791百万円の増加から、5,317百万円の増加となりました。これは主に「①財政状態及び経営成績の状況」で記載いたしましたとおりの事業活動の結果、税金等調整前当期純利益が9,830百万円となったほか、減価償却費4,080百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額3,068百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、前連結会計年度の2,524百万円の増加から11,389百万円の減少となりました。これは主に、固定資産の取得による支出12,634百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、前連結会計年度の9,467百万円の減少から3,948百万円の増加となりました。これは主に、長期借入れによる収入9,590百万円により資金が増加したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(ア)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
繊維事業4,862△5.1
原繊材事業23,379△4.6
機能材事業12,2310.8
設備材事業18,399△1.0
ライフサイエンス事業12,9852.3
その他の事業91△52.8
合計71,950△1.8

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(イ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込生産を行っており、受注生産はほとんどありません。
(ウ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
繊維事業4,862△1.7
原繊材事業26,442△9.4
機能材事業14,0432.1
設備材事業21,7850.8
ライフサイエンス事業13,6925.4
その他の事業1,466△28.2
合計82,292△2.6

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
日東紡グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
2018年度(実績)2020年度目標2023年度目標
経常利益(百万円)8,93412,00015,000
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)7,9848,00010,000
ROE9.1%8.0%以上10.0%以上
有利子負債(NET)(百万円)8,88910,000以下実質ゼロ
自己資本比率59.4%60.0%以上70.0%
設備投資(百万円)11,9494年間累計 55,000-

『中期経営計画《Go for Next 100》』の2年目となる当連結会計年度は、高付加価値化を推進するために基盤強化に努め、設備投資、人材投資、研究開発に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の連結経常利益は8,934百万円(前年同期比19.3%の減益)となりました。
また、固定資産売却益1,895百万円、投資有価証券売却益883百万円の特別利益を計上し、一方、減損損失1,035百万円など計1,883百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,984百万円(前年同期比22.1%の減益)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び対応策については、前述の「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
繊維事業では、芯地製品は上半期にレディース向けを中心に好調に推移しましたが、下半期は天候不順や暖冬の影響を受け厳しい状況が続きました。一方で、値上げの浸透や中国から日本への生産移管により収益性は改善いたしました。原糸製品はカジュアル衣料用途のCSY糸の販売が低迷しました。
この結果、当事業は売上高4,862百万円と前年同期比1.7%の減収となり、営業損失は主力の芯地販売の低迷を受け、373百万円(前連結会計年度は営業損失452百万円)となりました。
また、セグメント資産は7,220百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,105百万円減少しました。
グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、高付加価値品へのシフトを図り、営業活動の強化および原価低減に取り組みましたが、基盤強化施策に伴う費用の増加に加え、物価上昇や一部高付加価値品の販売低迷の影響を受けました。グラスファイバー事業部門に属する各事業の状況と具体的な取り組みは以下のとおりです。
原繊材事業では、スマートフォンの生産調整の影響を受け、高付加価値品を中心に電子材料向けガラスヤーンや強化プラスチック用途の複合材の販売が低迷しました。また、第1四半期に実施した大型の設備改修により収益が悪化しました。
この結果、当事業は売上高26,442百万円と前年同期比9.4%の減収となり、営業利益は3,937百万円と前年同期比40.0%の減益となりました。
また、セグメント資産は54,506百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,685百万円増加しました。
機能材事業では、高速大容量通信に資する電子材料向けスペシャルガラスの需要は引き続き堅調でしたが、2017年8月に生じた日東紡澳門玻纖紡織有限公司の台風被害により収益が悪化いたしました。
この結果、当事業は売上高14,043百万円と前年同期比2.1%の増収となり、営業利益は2,031百万円と前年同期比4.7%の減益となりました。
また、セグメント資産は16,092百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,952百万円増加しました。
設備材事業では、設備・建設資材向けのガラスクロスの販売は安定的に推移しましたが、住宅向け断熱材は第1四半期に実施した大型の設備改修や物流費・資材費・燃料費などの上昇の影響により収益が悪化しました。
この結果、当事業は売上高21,785百万円と前年同期比0.8%の増収となり、営業利益は629百万円と前年同期比24.3%の減益となりました。
また、セグメント資産は23,214百万円となり、前連結会計年度末に比べ708百万円増加しました。
ライフサイエンス事業では、免疫系体外診断薬を中心に国内、海外向けの販売に注力するとともに原価低減に努めましたが、研究・販売体制強化に伴う費用が増加しました。スペシャリティケミカルス分野においては、高付加価値品を国内外に安定的に供給しました。また飲料分野では、多品種小ロットの需要への幅広い対応を継続した一方で、原料費や物流費の上昇の影響を受けました。
この結果、当事業は売上高13,692百万円と前年同期比5.4%の増収となり、営業利益は2,644百万円と前年同期比7.5%の減益となりました。
また、セグメント資産は13,592百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,338百万円増加しました。
その他の事業は、サービス事業及び産業機械設備関連事業等の収益確保に取り組みました。
この結果、売上高1,466百万円と前年同期比28.2%の減収となり、営業利益は211百万円(前連結会計年度は営業損失139百万円)となりました。
また、セグメント資産は3,009百万円となり、前連結会計年度末に比べ737百万円減少しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原燃料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー(当社グループはフリー・キャッシュフローを営業活動によるキャッシュ・フロー及び資産活用をはじめとした投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義しております。)及び間接調達により十分な資金を確保しており、借入枠70億円のコミットメントラインにより財務の安定性及び流動性を補完しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。