有価証券報告書-第157期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資を中心とした内需や堅調な外需に支えられ、緩やかな回復基調が続きました。また、世界経済も、個人消費の底堅い回復が続く米国や内外需要が堅調な中国など、拡大基調が継続しました。一方で金融市場発の下振れリスク、原油価格の上昇、地政学的リスクなど、先行き不透明な状況も見られました。
このような環境の下、当社グループは中期経営計画『Go For Next 100』に基づき、高付加価値品へのシフト、生産性向上や原価低減を加速させるとともに、成長のための設備投資や研究開発に注力しました。
この結果、連結売上高は845億26百万円(前年同期比1.4%の増収)、連結営業利益は108億37百万円(前年同期比2.8%の減益)、連結経常利益は110億71百万円(前年同期比2.8%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は102億53百万円(前年同期比37.1%の増益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
繊維事業は、売上高49億45百万円と前年同期比0.1%の減収となり、営業損失は4億52百万円(前連結会計年度は営業損失3億66百万円)となりました。
原繊材事業は、売上高291億72百万円と前年同期比9.0%の増収となり、営業利益は65億59百万円と前年同期比25.3%の増益となりました。
機能材事業は、売上高137億50百万円と前年同期比3.4%の減収となり、営業利益は21億30百万円と前年同期比23.5%の減益となりました。
設備材事業は、売上高216億22百万円と前年同期比2.0%の減収となり、営業利益は8億31百万円と前年同期比55.6%の減益となりました。
ライフサイエンス事業は、売上高129億92百万円と前年同期比4.4%の増収となり、営業利益は28億58百万円と前年同期比1.6%の増益となりました。
その他の事業は、売上高20億41百万円と前年同期比28.8%の減収となり、営業損失は1億39百万円(前連結会計年度は営業利益2億53百万円)となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,473億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ71億25百万円増加しました。主な要因は、原材料及び貯蔵品、受取手形及び売掛金の増加などであります。
負債は597億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億41百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少などであります。
純資産は875億48百万円となり、自己資本比率は58.8%と前連結会計年度末に比べ3.6ポイント上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金77億91百万円、投資活動により得られた資金25億24百万円、財務活動により使用した資金94億67百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ8億95百万円増加し、当連結会計年度末には183億24百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、前連結会計年度の110億34百万円の増加から、77億91百万円の増加となりました。これは主に「①財政状態及び経営成績の状況」で記載いたしましたとおりの事業活動の結果、税金等調整前当期純利益が144億84百万円となったほか、減価償却費41億64百万円などにより資金が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、前連結会計年度の22億71百万円の減少から25億24百万円の増加となりました。これは主に、固定資産の取得による支出44億80百万円により資金が減少した一方、固定資産の売却による収入63億79百万円により資金が増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、前連結会計年度の88億26百万円の減少から94億67百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出68億4百万円、自己株式の取得による支出7億80百万円、配当金の支払額14億60百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ア)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(イ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込生産を行っており、受注生産はほとんどありません。
(ウ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
日東紡グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
当連結会計年度は、中期経営計画《Go For Next 100》スタートの年であり、事業基盤強化への取り組みを積極的に行い、設備投資、研究開発及び人財へ重点的に経営資源を投じました。また高付加価値品の拡販に取り組みました。
設備投資については、中期経営計画の4年間で合計550億円を計画しており、そのうち約230億円の投資を決定いたしました。これは、グラスファイバー事業における国内外での高付加価値品へのシフト、製造能力の増強、メディカル事業における開発・生産施設の建設が中心です。また、大規模修繕工事に加え、老朽設備の修繕も積極的に行い、次なる成長への基盤整備に取り組んでおります。
当連結会計年度の経営成績等は、中長期的成長を目的とした基盤強化を予定通りに実行し、高付加価値化、原価低減を進めましたが、想定以上の物価上昇が収益圧迫要因となりました。
この結果、当連結会計年度の連結経常利益は110億71百万円(前年同期比2.8%の減益)となりました。
また、固定資産売却益42億62百万円、投資有価証券売却益5億29百万円の特別利益を計上し、一方、減損損失7億29百万円など計13億79百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は102億53百万円(前年同期比37.1%の増益)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び対応策については、前述の「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原燃料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー(当社グループはフリー・キャッシュフローを営業活動によるキャッシュ・フロー及び資産活用をはじめとした投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義しております。)及び間接調達により十分な資金を確保しており、借入枠70億円のコミットメントラインにより財務の安定性及び流動性を補完しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は183億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億95百万円の増加となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
繊維事業では、主力の芯地販売は中国国内での拡販に努めましたが、日本国内で低迷しました。また、原糸および「日東紡のふきん」などの二次製品販売も低迷しましたが、スポーツ向け等を含めた高付加価値品の開発・販売等に努めました。
この結果、当事業は売上高49億45百万円と前年同期比0.1%の減収となり、営業損失は主力の芯地販売の低迷を受け、4億52百万円(前連結会計年度は営業損失3億66百万円)となりました。
また、セグメント資産は83億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億29百万円減少しました。
グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、高付加価値品へのシフトを加速させ、営業活動の強化および原価低減に取り組みました。グラスファイバー事業部門に属する各事業の具体的な取り組みは以下のとおりです。
原繊材事業では、ガラスヤーンなどの高付加価値品の販売が好調に推移する中、生産の能力増強や効率化を推進しました。
この結果、当事業は売上高291億72百万円と前年同期比9.0%の増収となり、営業利益は65億59百万円と前年同期比25.3%の増益となりました。
また、セグメント資産は499億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億8百万円増加しました。
機能材事業では、電子材料用途の需要は堅調な状態が持続しましたが、日東紡澳門玻纎紡織有限公司の台風被害による稼働停止影響に加え、一部高付加価値品の生産が一時的に低下しました。
この結果、当事業は売上高137億50百万円と前年同期比3.4%の減収となり、営業利益は21億30百万円と前年同期比23.5%の減益となりました。
また、セグメント資産は111億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億79百万円増加しました。
設備材事業では、設備・建設資材向けのガラスクロスの販売が伸び悩みました。住宅向け断熱材の需要は安定的に推移しましたが、第1四半期に実施した大型の設備改修に加え、物流費・資材費などコストアップの影響により収益が悪化しました。
この結果、当事業は売上高216億22百万円と前年同期比2.0%の減収となり、営業利益は8億31百万円と前年同期比55.6%の減益となりました。
また、セグメント資産は225億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億10百万円増加しました。
ライフサイエンス事業では、免疫系体外診断薬を中心に国内、海外向けの販売に注力するとともに、原価低減に努めました。スペシャリティケミカルス分野においては、高付加価値品を国内外に安定的に供給しました。また飲料分野では、多品種小ロットの需要への幅広い対応に加えて、新規顧客獲得に注力しました。
この結果、当事業は売上高129億92百万円と前年同期比4.4%の増収となり、営業利益は28億58百万円と前年同期比1.6%の増益となりました。
また、セグメント資産は102億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億1百万円増加しました。
その他の事業は、不動産・サービス事業などの収益確保に取り組みました。
この結果、売上高20億41百万円と前年同期比28.8%の減収となり、営業損失は1億39百万円(前連結会計年度は営業利益2億53百万円)となりました。
また、セグメント資産は37億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億98百万円減少しました。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資を中心とした内需や堅調な外需に支えられ、緩やかな回復基調が続きました。また、世界経済も、個人消費の底堅い回復が続く米国や内外需要が堅調な中国など、拡大基調が継続しました。一方で金融市場発の下振れリスク、原油価格の上昇、地政学的リスクなど、先行き不透明な状況も見られました。
このような環境の下、当社グループは中期経営計画『Go For Next 100』に基づき、高付加価値品へのシフト、生産性向上や原価低減を加速させるとともに、成長のための設備投資や研究開発に注力しました。
この結果、連結売上高は845億26百万円(前年同期比1.4%の増収)、連結営業利益は108億37百万円(前年同期比2.8%の減益)、連結経常利益は110億71百万円(前年同期比2.8%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は102億53百万円(前年同期比37.1%の増益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
繊維事業は、売上高49億45百万円と前年同期比0.1%の減収となり、営業損失は4億52百万円(前連結会計年度は営業損失3億66百万円)となりました。
原繊材事業は、売上高291億72百万円と前年同期比9.0%の増収となり、営業利益は65億59百万円と前年同期比25.3%の増益となりました。
機能材事業は、売上高137億50百万円と前年同期比3.4%の減収となり、営業利益は21億30百万円と前年同期比23.5%の減益となりました。
設備材事業は、売上高216億22百万円と前年同期比2.0%の減収となり、営業利益は8億31百万円と前年同期比55.6%の減益となりました。
ライフサイエンス事業は、売上高129億92百万円と前年同期比4.4%の増収となり、営業利益は28億58百万円と前年同期比1.6%の増益となりました。
その他の事業は、売上高20億41百万円と前年同期比28.8%の減収となり、営業損失は1億39百万円(前連結会計年度は営業利益2億53百万円)となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,473億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ71億25百万円増加しました。主な要因は、原材料及び貯蔵品、受取手形及び売掛金の増加などであります。
負債は597億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億41百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少などであります。
純資産は875億48百万円となり、自己資本比率は58.8%と前連結会計年度末に比べ3.6ポイント上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金77億91百万円、投資活動により得られた資金25億24百万円、財務活動により使用した資金94億67百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ8億95百万円増加し、当連結会計年度末には183億24百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、前連結会計年度の110億34百万円の増加から、77億91百万円の増加となりました。これは主に「①財政状態及び経営成績の状況」で記載いたしましたとおりの事業活動の結果、税金等調整前当期純利益が144億84百万円となったほか、減価償却費41億64百万円などにより資金が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、前連結会計年度の22億71百万円の減少から25億24百万円の増加となりました。これは主に、固定資産の取得による支出44億80百万円により資金が減少した一方、固定資産の売却による収入63億79百万円により資金が増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、前連結会計年度の88億26百万円の減少から94億67百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出68億4百万円、自己株式の取得による支出7億80百万円、配当金の支払額14億60百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ア)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 5,123 | 1.7 |
原繊材事業 | 24,516 | 11.3 |
機能材事業 | 12,135 | △7.5 |
設備材事業 | 18,591 | 0.7 |
ライフサイエンス事業 | 12,687 | 12.3 |
その他の事業 | 194 | 12.1 |
合計 | 73,250 | 4.4 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(イ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込生産を行っており、受注生産はほとんどありません。
(ウ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
繊維事業 | 4,945 | △0.1 |
原繊材事業 | 29,172 | 9.0 |
機能材事業 | 13,750 | △3.4 |
設備材事業 | 21,622 | △2.0 |
ライフサイエンス事業 | 12,992 | 4.4 |
その他の事業 | 2,041 | △28.8 |
合計 | 84,526 | 1.4 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
日東紡グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
2017年度(実績) | 2020年度目標 | 2023年度目標 | |
経常利益(百万円) | 11,071 | 12,000 | 15,000 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 10,253 | 8,000 | 10,000 |
ROE | 12.5% | 8.0%以上 | 10.0%以上 |
有利子負債(NET)(百万円) | 1,100 | 10,000以下 | 実質ゼロ |
自己資本比率 | 58.8% | 60.0%以上 | 70.0% |
設備投資(百万円) | 7,024 | 55,000 (4年間累計) | - |
当連結会計年度は、中期経営計画《Go For Next 100》スタートの年であり、事業基盤強化への取り組みを積極的に行い、設備投資、研究開発及び人財へ重点的に経営資源を投じました。また高付加価値品の拡販に取り組みました。
設備投資については、中期経営計画の4年間で合計550億円を計画しており、そのうち約230億円の投資を決定いたしました。これは、グラスファイバー事業における国内外での高付加価値品へのシフト、製造能力の増強、メディカル事業における開発・生産施設の建設が中心です。また、大規模修繕工事に加え、老朽設備の修繕も積極的に行い、次なる成長への基盤整備に取り組んでおります。
当連結会計年度の経営成績等は、中長期的成長を目的とした基盤強化を予定通りに実行し、高付加価値化、原価低減を進めましたが、想定以上の物価上昇が収益圧迫要因となりました。
この結果、当連結会計年度の連結経常利益は110億71百万円(前年同期比2.8%の減益)となりました。
また、固定資産売却益42億62百万円、投資有価証券売却益5億29百万円の特別利益を計上し、一方、減損損失7億29百万円など計13億79百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は102億53百万円(前年同期比37.1%の増益)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び対応策については、前述の「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原燃料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー(当社グループはフリー・キャッシュフローを営業活動によるキャッシュ・フロー及び資産活用をはじめとした投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義しております。)及び間接調達により十分な資金を確保しており、借入枠70億円のコミットメントラインにより財務の安定性及び流動性を補完しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は183億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億95百万円の増加となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
繊維事業では、主力の芯地販売は中国国内での拡販に努めましたが、日本国内で低迷しました。また、原糸および「日東紡のふきん」などの二次製品販売も低迷しましたが、スポーツ向け等を含めた高付加価値品の開発・販売等に努めました。
この結果、当事業は売上高49億45百万円と前年同期比0.1%の減収となり、営業損失は主力の芯地販売の低迷を受け、4億52百万円(前連結会計年度は営業損失3億66百万円)となりました。
また、セグメント資産は83億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億29百万円減少しました。
グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、高付加価値品へのシフトを加速させ、営業活動の強化および原価低減に取り組みました。グラスファイバー事業部門に属する各事業の具体的な取り組みは以下のとおりです。
原繊材事業では、ガラスヤーンなどの高付加価値品の販売が好調に推移する中、生産の能力増強や効率化を推進しました。
この結果、当事業は売上高291億72百万円と前年同期比9.0%の増収となり、営業利益は65億59百万円と前年同期比25.3%の増益となりました。
また、セグメント資産は499億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億8百万円増加しました。
機能材事業では、電子材料用途の需要は堅調な状態が持続しましたが、日東紡澳門玻纎紡織有限公司の台風被害による稼働停止影響に加え、一部高付加価値品の生産が一時的に低下しました。
この結果、当事業は売上高137億50百万円と前年同期比3.4%の減収となり、営業利益は21億30百万円と前年同期比23.5%の減益となりました。
また、セグメント資産は111億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億79百万円増加しました。
設備材事業では、設備・建設資材向けのガラスクロスの販売が伸び悩みました。住宅向け断熱材の需要は安定的に推移しましたが、第1四半期に実施した大型の設備改修に加え、物流費・資材費などコストアップの影響により収益が悪化しました。
この結果、当事業は売上高216億22百万円と前年同期比2.0%の減収となり、営業利益は8億31百万円と前年同期比55.6%の減益となりました。
また、セグメント資産は225億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億10百万円増加しました。
ライフサイエンス事業では、免疫系体外診断薬を中心に国内、海外向けの販売に注力するとともに、原価低減に努めました。スペシャリティケミカルス分野においては、高付加価値品を国内外に安定的に供給しました。また飲料分野では、多品種小ロットの需要への幅広い対応に加えて、新規顧客獲得に注力しました。
この結果、当事業は売上高129億92百万円と前年同期比4.4%の増収となり、営業利益は28億58百万円と前年同期比1.6%の増益となりました。
また、セグメント資産は102億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億1百万円増加しました。
その他の事業は、不動産・サービス事業などの収益確保に取り組みました。
この結果、売上高20億41百万円と前年同期比28.8%の減収となり、営業損失は1億39百万円(前連結会計年度は営業利益2億53百万円)となりました。
また、セグメント資産は37億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億98百万円減少しました。