有価証券報告書-第160期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:17
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【項目】
160項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による景気の急激な悪化があり、下期以降一部に回復の動きが見られましたが勢いを欠きました。世界経済についても、同ウイルス感染拡大に加え米中貿易摩擦の深刻化等もあり、下期はグローバルで需要の回復が見られたものの全般的には停滞しました。
このような環境の下、当社グループの各事業セグメントにおいても新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、販売が大きく落ち込みました。他方、持続的な成長を実現するために高付加価値品へのシフトを進め、人材投資、設備投資、研究開発は計画通り実行いたしました。また、厳しい事業環境が続く繊維事業及びグラスファイバー原繊材セグメントの複合材事業について事業構造改革を打ち出し、基盤強化に向けた取組みを開始いたしました。
この結果、連結売上高は78,727百万円(前年同期比8.2%の減収)、連結営業利益は5,964百万円(前年同期比26.9%の減益)、連結経常利益は6,274百万円(前年同期比23.5%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,100百万円(前年同期比40.4%の増益)となりました。
当連結会計年度が最終年となる『中期経営計画《Go for Next 100》』の財務目標に対しては未達となりましたが、高付加価値化戦略を推進するための成長基盤の構築を計画通り進捗させました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
繊維事業は、売上高2,254百万円と前年同期比37.7%の減収となり、営業損失は718百万円(前連結会計年度は営業損失221百万円)となりました。
原繊材事業は、売上高23,124百万円と前年同期比7.6%の減収となり、営業利益は2,368百万円と前年同期比23.4%の減益となりました。
機能材事業は、売上高20,371百万円と前年同期比2.7%の増収となり、営業利益は2,626百万円と前年同期比10.0%の減益となりました。
設備材事業は、売上高18,559百万円と前年同期比13.3%の減収となり、営業利益は307百万円と前年同期比30.8%の減益となりました。
ライフサイエンス事業は、売上高13,500百万円と前年同期比10.3%の減収となり、営業利益は2,147百万円と前年同期比25.4%の減益となりました。
その他の事業は、売上高917百万円と前年同期比15.2%の増収となり、営業利益は294百万円と前年同期比37.0%の減益となりました。
当連結会計年度末における総資産は184,652百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,827百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、有形固定資産の増加などであります。
負債は80,262百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,142百万円増加しました。主な要因は、長期借入金の増加などであります。
純資産は104,389百万円となり、自己資本比率は53.7%と前連結会計年度末に比べ0.5ポイント減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により得られた資金7,815百万円、投資活動により使用した資金1,867百万円、財務活動により得られた資金1,862百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ7,468百万円増加し、当連結会計年度末には30,163百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、前連結会計年度の10,614百万円の増加から、7,815百万円の増加となりました。これは主に「①財政状態及び経営成績の状況」で記載いたしましたとおりの事業活動の結果、税金等調整前当期純利益が11,213百万円となったほか、減価償却費6,332百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額1,686百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、前連結会計年度の16,917百万円の減少から1,867百万円の減少となりました。これは主に、固定資産及び投資有価証券の売却による収入12,083百万円などにより資金が増加した一方、固定資産の取得による支出13,840百万円により資金が減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、前連結会計年度の12,628百万円の増加から1,862百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出6,702百万円及び配当金の支払額1,842百万円などにより資金が減少した一方、長期借入れによる収入11,274百万円により資金が増加したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(ア)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
繊維事業1,831△42.0
原繊材事業20,329△2.8
機能材事業20,06510.3
設備材事業16,586△10.6
ライフサイエンス事業12,819△10.4
その他の事業--
合計71,631△4.7

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(イ)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込生産を行っており、受注生産はほとんどありません。
(ウ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
繊維事業2,254△37.7
原繊材事業23,124△7.6
機能材事業20,3712.7
設備材事業18,559△13.3
ライフサイエンス事業13,500△10.3
その他の事業91715.2
合計78,727△8.2

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
日東紡グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
2020年度実績2023年度目標
売上高(百万円)78,727100,000
営業利益(百万円)5,96414,000
ROE8.4%10.0%
自己資本比率53.7%55.0%

当社グループの各事業セグメントは、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、販売が大きく落ち込みました。他方、持続的な成長を実現するために高付加価値品へのシフトを進め、人材投資、設備投資、研究開発は計画通り実行いたしました。また、厳しい事業環境が続く繊維事業及びグラスファイバー原繊材セグメントの複合材事業について事業構造改革を打ち出し、基盤強化に向けた取組みを開始いたしました。
この結果、連結売上高は78,727百万円(前年同期比8.2%の減収)、連結営業利益は5,964百万円(前年同期比26.9%の減益)となりました。
また、投資有価証券売却益6,590百万円、固定資産売却益3,091百万円など計14,008百万円の特別利益を計上し、一方、事業構造改善費用3,946百万円、災害による損失2,235百万円など計9,069百万円の特別損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8,100百万円(前年同期比40.4%の増益)となり、ROEは8.4%となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び対応策につきましては、前述の「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営環境」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
繊維事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の他、新しい生活様式へのシフトを背景にした衣料品への消費マインドの低下が継続し販売が大きく減少しました。
この結果、当事業は売上高2,254百万円と前年同期比37.7%の減収となり、営業損失は718百万円(前連結会計年度は営業損失221百万円)となりました。
また、セグメント資産は3,509百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,420百万円減少しました。
グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、前年度に実施したスペシャルガラス生産設備増強の投資効果が発現しておりますが、当社グループの注力するハイエンド高速大容量通信向け市場の成長ペースが鈍化しました。
グラスファイバー事業部門に属する各事業の状況と具体的な取組みは以下のとおりです。
原繊材事業では、電子材料向けスペシャルガラス(NEヤーン、Tヤーン)の製造及びNEヤーンの外部への販売は伸長しましたが、価格競争の激しいミドルグレード・ヤーン及び強化プラスチック向けの複合材の販売は前年比減少となりました。また、基盤強化施策に伴う人件費及び減価償却費が増加しました。
この結果、当事業は売上高23,124百万円と前年同期比7.6%の減収となり、営業利益は2,368百万円と前年同期比23.4%の減益となりました。
また、セグメント資産は72,482百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,875百万円増加しました。
機能材事業では、前第2四半期連結会計期間に連結子会社となったBaotek Industrial Materials Ltd.が売上高の増加に寄与しました。高速大容量通信に資する電子材料向けのスペシャルガラス・クロスは通年での販売は伸長したものの、2020年7月に発生した福島第2工場の火災の影響もありました。
この結果、当事業は売上高20,371百万円と前年同期比2.7%の増収となり、営業利益は2,626百万円と前年同期比10.0%の減益となりました。
また、セグメント資産は23,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,155百万円増加しました。
設備材事業では、設備・建設資材向けガラスクロス及び住宅向け断熱材が、新型コロナウイルス感染拡大の影響から販売が減少しました。
この結果、当事業は売上高18,559百万円と前年同期比13.3%の減収となり、営業利益は307百万円と前年同期比30.8%の減益となりました。
また、セグメント資産は20,160百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,994百万円減少しました。
ライフサイエンス事業のメディカル事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け低迷した販売が、国内は前年並みまで回復しましたが、海外は厳しい状況が続きました。飲料事業においては、外出自粛等により飲料生産受託の数量が減少しました。
この結果、当事業は売上高13,500百万円と前年同期比10.3%の減収となり、営業利益は2,147百万円と前年同期比25.4%の減益となりました。
また、セグメント資産は17,746百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,216百万円増加しました。
その他の事業は、産業機械設備関連事業等の収益確保に取り組みました。
この結果、売上高917百万円と前年同期比15.2%の増収となり、営業利益は294百万円と前年同期比37.0%の減益となりました。
また、セグメント資産は2,792百万円となり、前連結会計年度末に比べ441百万円増加しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる原燃料費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発などであります。資金調達は主としてフリー・キャッシュフロー(当社グループはフリー・キャッシュフローを営業活動によるキャッシュ・フロー及び資産活用をはじめとした投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義しております。)、社債の発行及び間接調達により十分な資金を確保しており、借入枠100億円のコミットメントラインにより財務の安定性及び流動性を補完しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報) 」に記載しております。