有価証券報告書-第129期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/24 13:35
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91項目
(経営成績等の状況)
(1) 当期の経営成績の状況
当期の世界経済は、期初から米中通商問題の影響等により製造業全般の景況感が停滞し、さらに2020年に入って、新型コロナウイルス感染拡大の影響が中国から欧州・米国・日本を含むアジア各地に波及し、グローバルでの経済活動に大きくブレーキがかかりました。日本経済は、消費税増税後の個人消費の落ち込み、大型台風の影響による生産活動の停滞、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響による訪日客減少などにより、製造業・非製造業とも景況感は急激に悪化しています。
当社グループを取り巻く経営環境は、半導体分野において2019年の市場成長率は2001年のITバブル崩壊後以来のマイナス成長でしたが、当期後半から5G通信向けの本格化により、中国市場を中心に市況の大幅な回復がみられました。自動車分野においては、世界最大の市場である中国での新車販売台数は、秋季以降比較的堅調に推移してきましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、生産・販売台数ともに前年度比で大幅なマイナスとなりました。米国・欧州においても同様に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、新車販売台数は年度末に急落し、前年度実績を下回りました。国内の新車販売台数は、消費税増税の影響を受け、前年を下回りました。また、国内の新規住宅着工件数は、国土交通省の発表によりますと、2019年度累計で前年度比7.3%減となり、大きく悪化しました。
当社グループは、このような経営環境の中、CS(Customer Satisfaction、顧客満足)向上を最優先に、機能性化学分野での「ニッチ&トップシェア」の実現とともに、事業規模の拡大を図ることを基本方針に掲げて事業運営に取り組んでおります。
この結果、当期の売上収益は、期初からの製造業全般にわたる景況感の低迷影響に加え、円高ドル安ユーロ安による為替の影響、2月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響等を受け、前期比で3.0%減少し2,066億20百万円と、63億32百万円の減収となりました。損益につきましては、自動車向けを中心とする高機能プラスチック関連製品の販売不振、半導体関連材料での原料価格上昇、航空機用途向け製品の販売環境悪化に伴う構造改革費用の増加等が響き、事業利益は、前期比17.0%減少し143億46百万円となり、営業利益は、前期比24.3%減少し102億85百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比で40.4%減の89億86百万円となりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大による影響は、売上収益においては約17億円の減収(半導体関連材料で約7億円、高機能プラスチックで約7億円、クオリティオブライフ関連製品で約3億円)、また事業利益は約7億円の減益でありました。
当社としましては、現今の新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済環境悪化が長期化する可能性を踏まえ、全社を挙げて、サプライチェーン動向の情報収集活動強化、生産供給体制の見直しを含めたコストダウン活動、新製品開発の早期上市、新規顧客・用途開拓活動の推進により、収益水準の維持・強化を進めているところであります。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
[売上収益 49,824百万円(前期比 2.0%増)、事業利益 7,684百万円(同 3.9%減)]
2018年後半より半導体市況の世界的な低迷が続いていましたが、当社が以前から注力してきた車載用のモーター用途やECU(Electronic Control Unit、電子制御ユニット)一括封止用途の実績化に加え、中国市場での5G通信用途向けでの需要増により回復がみられ、主力製品である半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、秋季以降販売が増加傾向に転じて通期では増収となりました。
感光性ウェハーコート用液状樹脂も年度前半の好調を受け、通期では増収となりました。
一方、半導体用ダイボンディングペーストは年度前半の不調を後半の拡販でカバーできず通期では前期を若干下回りました。
また、半導体パッケージ基板材料「LαZ®」シリーズは、スマートフォンの新機種採用増に加え、パワーアンプ内蔵基板用途やNANDメモリー用途で拡販し、売上収益を増加させました。
損益につきましては、一部原材料の調達価格高騰による製造コストの上昇により前期比で収益率が悪化しました。
② 高機能プラスチック
[売上収益 84,882百万円(前期比 9.5%減)、事業利益 4,065百万円(同 39.0%減)]
期初から全世界的な自動車市場の低迷、米中貿易摩擦による中国からの米国向け電機製品の輸出減、原油安による米国子会社のシェールガス・オイル向けの販売不振が続いていましたが、これに加えて2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、中国での自動車生産・販売台数が急落したことで、工業用フェノール樹脂、フェノール樹脂成形材料および銅張積層板は売上収益が減少しました。また、長期的な原油安に伴う原料価格の低下により、工業用フェノール樹脂の市場価格は低下しており、売上収益の減少要因となっています。
航空機内装部品は、主要顧客である米国航空機メーカーにおいて一部生産停止が発表されたことを受け、売上収益が大幅に減少しました。
一方、自動車用成形品は、環境規制関連用途において、中国国内での大口顧客の獲得により今期から大きく売上収益を伸ばしています。
③ クオリティオブライフ関連製品
[売上収益 71,207百万円(前期比 2.4%増)、事業利益 5,567百万円(同 2.7%増)]
医療機器製品は、血管内治療や内視鏡治療の分野で高付加価値用途の強化を進めており、当期は消化管内止血用の内視鏡クリップの上市に成功し、国内営業組織についてはエリア別から製品カテゴリー別に改編し、顧客ニーズにマッチした営業活動を進めております。国内事業は、消費税率改定に伴う償還価格改定の影響に加え、企業向け製品が低調となりましたが、医療機器製品全体では、前期を若干上回る売上収益となりました。
バイオ関連製品は、既存のバイオ製品は糖鎖キットの米国向け輸出や診断用マイクロフルイディクスの販売が好調でした。新規事業としましては、今期から営業を開始した体外診断用医薬品事業の新会社SBバイオサイエンス㈱が寄与し、バイオ関連製品全体の売上収益は前期比235%と倍増しました。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、食品包材用途は暖冬の影響で2020年に入って販売が落ちましたが、医薬品包装用途がジェネリック医薬品メーカー向けに好調を持続し、売上収益は大幅に増加しました。また、電子部品搬送用カバーテープは、中国南通工場が順調に立ち上がり、2月以降新型コロナウイルス感染拡大の影響で生産販売活動に一時中断はあったものの、中国国内での拡販を実現しました。
ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、サングラス等に使用する偏光板は欧州市場をメインに拡販を進め、売上収益を伸ばしました。一方、建装材向け・工業設備用向けは、暖冬の影響や顧客の在庫調整局面にあたり、年度後半の販売は低調でした。
防水関連製品については、新設住宅着工戸数の低迷が続いていますが、当社製品は住宅(新築・リフォーム)向け、マンション向けで堅調に推移し、売上収益は前期並みを維持しました。
(2) 当期の財政状態の状況
①資産の部
資産合計は、前連結会計年度末に比べ15億76百万円減少し、2,833億22百万円となりました。
主な増減は、IFRS第16号「リース」の適用に伴う使用権資産の増加、現預金の増加、ならびに金融資産の時価下落による減少であります。
②負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ95百万円減少し、1,041億68百万円となりました。
主な増減は、IFRS第16号「リース」の適用に伴うリース負債の増加、コマーシャル・ペーパーの発行による増加、ならびに長期借入金の一部返済による減少であります。
③資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べ14億81百万円減少し、1,791億54百万円となりました。
主な増減は、当期利益の計上による増加、配当金の支払による減少、ならびに為替変動影響による減少であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ61億31百万円増加し、657億71百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は222億6百万円となりました。
これは主に、税引前利益および減価償却費の計上による収入と、法人所得税の支払による支出の結果であります。前期と比べると20億15百万円の収入の増加となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は103億77百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の結果であります。前期と比べると52億39百万円の支出の減少となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動に用いた資金は40億41百万円となりました。
これは主に、コマーシャル・ペーパーの増加による収入と、長期借入金の返済および配当金の支払による支出の結果であります。前期と比べると18億17百万円の支出の増加となりました。
(4) 資本の財源および資金の流動性に係る情報
①財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、健全かつ安定した財務基盤の維持を前提に、資本効率の向上を図り、事業活動の成長と拡大のための投資を継続的に行い、安定かつ継続的に株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としております。
財務基盤に関しては、親会社所有者帰属持分比率は60%を超え、デッドエクイティ(D/E)レシオは30%未満、ネットキャッシュは172億円のプラスの状況であり、一定の安定した水準となっておりますが、効率性に関しては、ROEは目標としていた10%に届かず早急な改善が課題であると考えており、資本効率向上のため以下を推進してまいります。
・収益性向上による営業キャッシュ・フロー確保のため、低採算・不採算事業の撲滅改善、製造原価の低減に加 え、開発効率の向上や間接業務の効率化等の費用削減。
・資産のスリム化のため、売掛債権の回収促進、棚卸資産の適正水準や滞留の管理強化、政策保有株式の適宜見直 し、不要・遊休資産の処分・売却の徹底、グローバルおよびリージョナルファイナンスによるグループ内資金の 効率的な活用。
また、当社グループ事業の成長と拡大のための研究開発および設備投資、さらなる成長スピードを加速させるためのM&A、事業提携等の戦略的な投資を積極的に実施してまいります。自己資金や外部から借り入れた資金をこれらの投資に配分しますが、様々なリスクに見合った財務健全性の確保と、適正な財務レバレッジコントロールの観点から、適切な負債・資本のバランスとして親会社所有者帰属持分比率は最低50%を維持してまいります。さらに株主還元では配当性向30%を目安に、連結業績に応じて安定した配当を継続して実施してまいります。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、生産効率および品質の維持向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期の資金需要と、製品製造のための原材料および部品の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要のほか、M&A、事業提携、R&D投資等の戦略的投資のための需要があります。
③資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金および外部資金を有効に活用しております。
資金調達にあたっては、様々な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで、当社グループにとって最適かつ有利な手段を機動的に選択しております。
当社グループは、主要な取引先金融機関との間で長年にわたり良好な取引関係を維持しており、長期借入金、短期借入金、シンジケートローン等による資金調達を行っております。
また、金融市場からの安定的な資金調達能力の維持向上にも努め、国内2社の格付機関から格付けを取得し、コマーシャル・ペーパーを発行して資金調達を行っております。
なお、主に緊急時の流動性資金の確保を目的として、取引先金融機関との間に短期借入金枠を設定しているほか、コミットメントラインを設定しております。
直近では、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態を念頭に、当社グループの資金調達に及ぼす影響を考慮して、コマーシャル・ペーパーの発行を増額する等により手元資金の十分な確保に努めております。
(5) 生産、受注および販売の実績
①生産実績および受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産を行わないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (セグメント別販売状況)」に関連付けて示しております。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
半導体関連材料49,8242.0
高機能プラスチック84,882△9.5
クオリティオブライフ関連製品71,2072.4
その他707△6.8
合計206,620△3.0

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年度を初年度とする3ヶ年の中期経営目標を策定し、「未来に夢を提供する会社」のビジョンを掲げ、事業運営に取り組んでまいりました。最終年度である2021年度の数値目標として売上収益2,500億円、事業利益250億円、ROE10%を掲げておりましたが、製造業全般にわたる景況感の低迷影響に加え、円高ドル安ユーロ安による為替影響、2020年2月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響(売上収益は約17億円の減収、事業利益は約7億円の減益)等を受け、当期の売上収益は2,066億20百万円、事業利益は143億46百万円、ROEは5.0%となり、目標達成には遠い結果となりました。
2020年度以降につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、中期経営目標の達成が困難となったことから見直しを進めているところではありますが、SDGs(持続可能な開発目標)に即した「One Sumibe」活動の実践により、機能性化学分野での「ニッチ&トップシェア」の実現とともに、事業規模の維持拡大を図ることを基本方針とし、取り組んでまいります。
(7) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。重要な会計方針および見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」および「4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

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