有価証券報告書-第130期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/24 13:56
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134項目
(経営成績等の状況)
(1) 当期の経営成績の状況
当期の世界経済は、期初は新型コロナウイルス感染症の拡大が全世界に波及したため経済活動は大きく減速しましたが、感染拡大を封じ込めた中国がいち早く生産活動を再開したことや各国政府の経済対策などを背景に第2四半期以降は回復基調で推移しました。日本経済は、製造業においては世界的な半導体需要の持ち直しを背景に輸出の増加を受け第1四半期を底に回復基調となりましたが、サービス産業などでは緊急事態宣言の再発令を受け厳しい経営環境となっております。当社グループを取り巻く経営環境は、半導体分野においては、5G関連投資の増加に加え、各国におけるリモートワークの推進、巣ごもり消費の増加等により、コンピュータ関連を中心に需要が拡大しました。自動車分野においては、中国では政府による自動車購入促進政策に支えられ、2020年度で生産・販売台数ともに前年度を上回る水準まで回復した一方で、米国・欧州における2020年度の販売台数は、前年度に比べて減少しました。また、国内の新規住宅着工件数は、国土交通省の発表によりますと、2020年度は前年度比8.1%減となりました。
当社グループは、このような経営環境の中、CS(Customer Satisfaction、顧客満足)向上を最優先に、機能性化学分野での「ニッチ&トップシェア」の実現とともに、事業規模の拡大を図ることを基本方針に掲げて事業運営に取り組んでおります。
この結果、当期の売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による売上の減少があるものの、半導体関連の売上増加に加え、2020年10月7日の川澄化学工業株式会社の連結子会社化に伴う売上増加があったことから、前期比で1.2%増加し2,090億2百万円と、23億82百万円の増収となりました。損益につきましては、半導体関連の需要活発化と自動車市場の復調に加え、期初から取り組んできた全社的なコスト削減活動により、事業利益は、前期比16.0%増加し166億42百万円となり、営業利益は、事業利益の増加に加え、川澄化学工業株式会社の連結子会社化に伴う負ののれん発生益81億円を計上したこと等により、前期比93.6%増の199億14百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比で46.9%増の131億98百万円となりました。なお、当期の新型コロナウイルス感染拡大による売上収益への影響としましては、自動車関連用途、航空機内装部品用途および国内住宅・建築関連用途で販売が大きく落ち込んだことがあげられます。
当社としましては、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による経済活動停滞リスクが暫くは払拭されないと見込まれることから、全社を挙げて、サプライチェーン動向の情報収集活動強化、生産供給体制の見直しを含めた各種コストダウン活動、新製品開発の早期上市、新規顧客・用途開拓活動の推進により、収益水準の改善を進めております。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
[売上収益 57,266百万円(前期比 14.9%増)、事業利益 9,439百万円(同 22.8%増)]
主力製品である半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、リモートワークの推進拡大に伴うパソコンやWi-Fi等の通信機器の販売増加、家庭用ゲーム機の出荷増を受けて好調に推移しました。これに加えて車載用途の販売が回復したことにより、売上収益は前年を大きく上回りました。
感光性ウェハーコート用液状樹脂は旺盛なメモリー需要を受けて販売が堅調に推移したことにより、売上収益は増加しました。
半導体用ダイボンディングペーストは国内拠点に加え、中国拠点の生産・販売が順調に増加したことにより、売上収益は増加しました。
また、半導体パッケージ基板材料「LαZ®」シリーズは、5Gスマートフォンの需要増加等で売上収益は増加しました。
② 高機能プラスチック
[売上収益 72,559百万円(前期比 14.5%減)、事業利益 3,491百万円(同 14.1%減)]
新型コロナウイルス感染拡大により、世界各地の自動車工場では生産水準の低下を余儀なくされたことから、工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料は大幅に売上収益が減少しました。しかしながら中国がいち早く生産活動を再開したことに加え、欧米での自動車販売が好転したことにより下半期には上半期に比べて売上収益の水準が大きく改善しました。
航空機内装部品は、米国航空機メーカーにおける品質問題に加え、新型コロナウイルス感染拡大により移動の制限が長期化した影響で航空運輸業界全体が低迷しており、売上収益は大幅に減少しました。
高機能プラスチックセグメントにおいては、構造改革を断行したことにより利益水準の悪化に歯止めをかけました。足元ではフェノールの価格が高騰しておりますので、原料の価格動向を注視しながら収益の維持に努めてまいります。
③ クオリティオブライフ関連製品
[売上収益 78,583百万円(前期比 10.4%増)、事業利益 6,613百万円(同 18.8%増)]
医療機器製品は、低侵襲治療分野における競争力強化を目的として、2020年10月7日付で川澄化学工業株式会社を当社グループに加えたことにより、売上収益は大幅に増加しました。今後は当社既存事業との統合シナジー効果の早期発揮に向けて取り組むとともに、2021年10月には神奈川県川崎市に開発拠点の稼働を予定しており、新規製品開発のスピードアップをはかります。
バイオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症の検査に関連したプラスチック容器類の需要増大、PCR検査関連部材の売上増大等により売上収益は増加しました。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、医薬品包装用途では顧客の在庫調整等の影響を受けて販売は減少しましたが、鮮度保持フィルム「P-プラス®」を含む食品包装用途は外出自粛による巣ごもり消費の増加により販売を伸ばし、電子部品搬送用のカバーテープなど産業用フィルムも販売は堅調に推移したことで、売上収益は増加しました。
ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、新型コロナウイルス感染防止用途としての飛沫防止板、医療用ゴーグル等で販売の増加がありましたが、主力の土木建材向けやエクステリア用途では住宅・建築工事の減少等により、売上収益は減少しました。ヘッドアップディスプレイ(HUD)向け光学カバー材は、自動車分野の復調に伴い売上収益は増加しました。
防水関連製品については、住宅(新築・リフォーム)向けの販売は下半期より回復してきましたが、マンション向けでは新型コロナウイルス感染拡大への懸念から工事の延期が相次いだため、売上収益は減少しました。
(2) 当期の財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は3,457億63百万円となり、前連結会計年度末と比較して624億41百万円増加しました。2020年10月7日に川澄化学工業株式会社を連結子会社化したことにより、資産、負債および資本が前連結会計年度末から増加しております。
①資産の部
資産合計は、前連結会計年度末に比べ624億41百万円増加し、3,457億63百万円となりました。
主な増減は、現預金の増加、その他の金融資産の時価上昇による増加、ならびに有形固定資産の増加であります。
②負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ394億54百万円増加し、1,436億22百万円となりました。
主な増減は、銀行借入やコマーシャル・ペーパーの発行による借入金の増加であります。
③資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べ229億87百万円増加し、2,021億41百万円となりました。
主な増減は、当期利益の計上による増加、配当金の支払による減少、その他の金融資産の時価上昇による増加、ならびに為替変動影響による増加であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ374億4百万円増加し、1,031億75百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は274億5百万円となりました。
これは主に、税引前利益、減価償却費および段階取得に係る差損の計上による収入と、負ののれん発生益の計上による支出の結果であります。前期と比べると51億99百万円の収入の増加となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は149億93百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の結果であります。前期と比べると46億16百万円の支出の増加となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は217億68百万円となりました。
これは主に、長期借入金およびコマーシャル・ペーパーの増加による収入と、長期借入金の返済による支出の結果であります。前期と比べると258億9百万円の収入の増加となりました。
(4) 資本の財源および資金の流動性に係る情報
①財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、健全かつ安定した財務基盤の維持を前提に、資本効率の向上を図り、事業活動の成長と拡大のための投資を継続的に行い、安定かつ継続的に株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としております。
財務基盤に関しては、親会社所有者帰属持分比率が57.9%、デッドエクイティ(D/E)レシオが38.3%、ネットキャッシュが264億円のプラスという状況で、安定した水準を維持しております。引き続き財務体質の改善、信用力向上のための取組みに努めてまいります。一方で効率性に関しては、ROEが目標としていた10%に届かず、早急な改善が課題であると認識しており、資本効率向上のための以下の施策をこれまで以上に強力に推進してまいります。
・収益性向上による営業キャッシュ・フロー確保のため、低採算・不採算事業の撲滅改善、製造原価の低減に加え、開発効率の向上や間接業務の効率化等の費用削減。
・資産のスリム化のため、売掛債権の回収促進、棚卸資産の適正水準や滞留の管理強化、政策保有株式の適宜見直し、不要・遊休資産の処分・売却の徹底、グローバルおよびリージョナルファイナンスによるグループ内資金の効率的な活用。
また、当社グループ事業の成長と拡大のための研究開発および設備投資、さらなる成長スピードを加速させるためのM&A、事業提携等の戦略的な投資を積極的に実施してまいります。自己資金や外部から借り入れた資金をこれらの投資に配分しますが、様々なリスクに見合った財務健全性の確保と、適正な財務レバレッジコントロールの観点から、適切な負債・資本のバランスとして親会社所有者帰属持分比率は最低50%を維持してまいります。さらに株主還元では配当性向30%を目安に、連結業績に応じて安定した配当を継続して実施してまいります。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、生産効率および品質の維持向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期の資金需要と、製品製造のための原材料および部品の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要のほか、M&A、事業提携、R&D投資等の戦略的投資のための需要があります。
③資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金および外部資金を有効に活用しております。
資金調達にあたっては、様々な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで、当社グループにとって最適かつ有利な手段を機動的に選択しております。
当社グループは、主要な取引先金融機関との間で長年にわたり良好な関係を維持しており、長期借入金、短期借入金、シンジケートローン等による資金調達を行っております。さらに金融市場からの安定的な資金調達能力の維持向上に努め、国内2社の格付機関から格付けを取得し、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達も行っております。また緊急時の手元流動性と資金調達枠の確保を目的として、取引先金融機関との間にコミットメントライン契約を設定しております。
新型コロナウイルス感染症の影響など当社グループの資金調達を取り巻く環境は依然として不透明であることもあり、2021年4月より、コミットメントライン契約、コマーシャル・ペーパー発行限度枠をそれぞれ増枠し、不測の事態に対応できるよう体制を一層強化しました。これにより運転資金および設備資金に加え、戦略的な投資に対しても十分な流動性が確保でき、機動的かつ円滑な資金調達が可能となっております。
(5) 生産、受注および販売の実績
①生産実績および受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産を行わないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (セグメント別販売状況)」に関連付けて示しております。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
半導体関連材料57,26614.9
高機能プラスチック72,559△14.5
クオリティオブライフ関連製品78,58310.4
その他594△15.9
合計209,0021.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上収益、事業利益、ROEを業績目標の指標に設定しております。
当期は、事業によっては新型コロナウイルス感染拡大等による影響を受けたものの、各国政府の経済対策や市場の回復に加え、期初から取り組んできた全社的なコスト削減活動により、売上収益、事業利益およびROEは2,090億2百万円、166億42百万円、7.0%となり、いずれも前期を上回る結果となりました。
2021年度以降につきましては、社会の変化や不確実な状況に適応できるより強固な経営基盤の構築や、継続的な事業の拡大および将来につながるサステナブルな経営推進に向けて、新たに2021年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画の策定を進めております。詳細は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

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