四半期報告書-第94期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
(1)業績の概況
世界経済は、中国において成長率の伸びに鈍化がみられたものの、米国において景気が堅調を維持したことに加え、新興国においても総じて景気が底堅く推移したことから、全体として緩やかな成長が継続しました。
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続いたほか、設備投資が増加したことから、緩やかな回復が継続しました。
(当第3四半期連結累計期間のセグメント別の業績概況)
こうしたなか、当社グループは、各セグメントにおいて、各社がそれぞれの事業環境変化に対応しながら、収益改善に努めてまいりました。当第3四半期連結累計期間における各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
(*)平成30年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、
化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントとしました。
<製鉄>鉄鋼需要については、国内は自動車向け等で堅調に推移し、海外では全体として増加基調をたどりました。また、鉄鋼市況については、国内は底堅い需要を背景に概ね高い水準を維持した一方で、海外では中国経済の先行き不透明感から、第3四半期において下落しました。このような事業環境のなか、豪雨・台風等の自然災害や当社及びグループ会社の在庫評価差による影響等はあったものの、スクラップ・合金等の副原料価格や資材費、物流費等の上昇を踏まえた鋼材価格の改定を含む「再生産可能な適正価格」の実現に向けた取組みを継続し、また、コスト改善も進捗したことから、製鉄セグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の3兆9,870億円、経常利益は増益の2,125億円となりました。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱については、海外鉄鋼メーカーの投資再開等、徐々に事業環境が改善しつつあります。また、建築や環境分野等の国内向けの事業環境が堅調であったこと、着実なプロジェクト実行管理の下で工事等が順調に進捗したことから、エンジニアリングセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の2,537億円、経常利益は増益の52億円となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱(平成30年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱の統合により発足)については、コールケミカルにおいて、主力商品であるニードルコークスが、タイトな需給環境の継続を背景に、高水準な市況を維持しました。また、機能材料において、スマートフォン向け等で回路基板材料の販売に一部翳りが見えたものの、液晶ディスプレイ用レジスト材料及びサスペンション材等の金属箔の販売が好調であり、全体としては底堅く推移しました。加えて、複合材料においては、電子材料用エポキシ樹脂及び土木・建築分野向けの炭素繊維複合材料の販売がそれぞれ堅調を維持しました。一方で、化学品においては、原油価格の下落と需給が弱含みに転じたことを背景に、スチレンモノマーの価格が低下しました。ケミカル&マテリアルセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の1,910億円、経常利益は増益の206億円となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、先進的なソリューション・サービスを含めたシステムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供しております。当期は、顧客の業務高度化ニーズ等による旺盛なシステム投資を背景に、好調な事業環境が継続するなか、IoTを活用した工場等の作業現場における「安全見守り」ソリューションの展開や、AIを活用したデータ分析プラットフォームの展開等を積極的に推進しました。システムソリューションセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の1,872億円、経常利益は増益の180億円となりました。
(売上・損益)
当第3四半期連結累計期間の業績は、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の4兆5,191億円、営業利益は増益の1,507億円、経常利益は増益の2,532億円及び親会社株主に帰属する四半期純利益は増益の2,316億円となりました。なお、当社グループは、平成31年3月期決算から国際財務報告基準(以下IFRS)を任意適用することとしており、IFRSに基づく第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益は4兆5,700億円、事業利益は2,600億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,000億円(全て概算値)となりました。
(2)当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産
当第3四半期連結会計期間末の連結総資産は、Ovako AB社の子会社化等があり、たな卸資産の増加(1,333億円)、有形・無形固定資産の増加(1,165億円)、流動・固定資産のその他の増加(1,397億円)があった一方で、含み益の減少や売却を主因とした投資有価証券の減少(2,029億円)等により、前期末(7兆5,263億円)から1,838億円増加し7兆7,101億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆3,775億円と前期末(2兆689億円)から3,085億円増加した一方、流動負債のその他の減少(997億円)等があり、前期末(4兆108億円)から2,393億円増加し4兆2,502億円となりました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益2,316億円による増加、配当金の支払いによる減少(707億円)に加え、その他有価証券評価差額金の減少(1,322億円)、為替換算調整勘定の減少(491億円)、退職給付に係る調整累計額の減少(185億円)等により、前期末(3兆5,155億円)から555億円減少し3兆4,599億円となりました。なお、当期末の自己資本は3兆1,040億円となり、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.77倍となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済は、中国において景気減速の懸念はあるものの、政府が各種政策による景気の下支えに注力していることに加え、米国において引き続き景気が堅調に推移すると想定されること等から、全体として緩やかな成長を維持するものと見込まれます。
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続き、回復基調が継続するものと見込まれます。
国内の鉄鋼需要及び市況については、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。また、海外の鉄鋼需要及び市況については、米中貿易摩擦の激化や、その影響を含めた中国経済の減速等により先行きの不透明感が増している一方で、足下では市況は下げ止まっていることや中国政府の景気対策効果も期待されることから、今後の動きを引き続き注視していく必要があります。
こうしたなか、平成30年度通期の連結事業利益(IFRSベース)については、和歌山製鐵所第5高炉の炉況悪化など操業・設備トラブルによる生産・出荷量減少の影響が大きいことに加え、第3四半期の海外鉄鋼市況の下落の影響もあり、第2四半期決算発表時(平成30年11月2日)から200億円減益の3,300億円の見通しとなりました。和歌山製鐵所第5高炉については切替えを予定しており、2月中旬以降、第2高炉の円滑な立上げに努めてまいります。また、全社を挙げた設備・操業安定化対策の推進、スクラップ・合金等の副原料価格や資材費、物流費等の上昇を踏まえた鋼材価格の改定を含む「再生産可能な適正価格」の実現に向けた取組み、コスト改善の着実な実行など、最大限の経営努力を継続していく所存です。
(注)上記の見通しには、平成31年2月6日の平成30年度第3四半期決算発表時点の将来見通し・計画に基づく予測が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(利益配分に関する基本方針及び当期末の剰余金配当)
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針と致しております。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間30%程度を目安と致します。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通し等を踏まえて判断することとしております。
当期末の剰余金の配当については、第2四半期決算発表時(平成30年11月2日)では未定としておりましたが、上記方針に従い、当期の業績見通し等を踏まえ、1株につき40円とさせていただく予定です(年間配当金としては1株につき80円、連結配当性向(IFRSベース)31%程度)。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
この企業理念・経営戦略が当社株式の大量買付け行為等によってゆがめられ、当社の存立・発展が阻害されるおそれが生じるなど、企業価値が毀損され、ひいては株主共同の利益が損なわれることのないよう、当社は、必要な措置を講じることと致しております。
当社は、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」といいます。)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。他方で、買収提案の中には、当社の企業価値や株主共同の利益に対し明白な侵害をもたらすおそれのあるもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要することとなるおそれのあるもの等が含まれる可能性があると考えております。
従って、当社は、第三者から買収提案がなされた場合に株主の皆様にこのような不利益が生じることがないよう、明確かつ透明性の高いルールを備え置き、実際に買収提案がなされた場合には、株主の皆様が必要な情報と相当な検討期間をもって適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行えるよう環境を整えることが当社取締役会の責務であると考え、『株式の大量買付けに関する適正ルール』(以下、「適正ルール」といいます。)を導入しております。
<基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要>当社は、株主共同の利益の確保・向上を目的に、適正ルールを平成18年3月に取締役会決議をもって導入しておりますが、適正ルール導入から10年が経過した平成28年3月に、改めて適正ルールの必要性を確認するとともに、その信頼性・法的安定性を一層高めることができるよう、その導入・更新等について事前に株主の皆様の賛同を必要とする仕組みに変更することとし、同年6月24日開催の第92回定時株主総会において、この変更等を反映した適正ルールについて、株主の皆様の御承認をいただきました。御承認をいただいた適正ルールの概要は、以下①から③のとおりです。
① 買収提案者による必要情報の提出と取締役会における検討等
当社取締役会は、当社の株券等を議決権割合で15%以上取得しようとする者(以下、「買収提案者」といいます。)から適正ルールに定める情報(以下、「必要情報」といいます。)がすべて提出された場合、当該買収提案者からの買収提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資するか否かを検討致します(検討期間は原則12週間)。
② 株主意思の確認手続き
当社取締役会は、原則として、上記検討期間の満了後、買収提案を受け入れるか否かを株主の皆様に御判断いただくため、新株予約権の無償割当て(買収提案者に対する措置の発動)の必要性・賛否に関する株主意思の確認手続きを、書面投票又は株主意思確認総会により行います。
ただし、当社取締役会が必要情報を検討した結果、買収提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資すると判断した場合は、株主意思の確認手続きには進まず、また、新株予約権の無償割当ても行われません。
③ 新株予約権の無償割当てがなされる場合
適正ルールに基づく新株予約権の無償割当ては、ア)株主意思の確認手続きにおいて、株主の皆様が新株予約権の無償割当てに賛同された場合、イ)買収提案者が裁判例において悪質・濫用的であると例示されたグリーンメイラー等の4類型のいずれかに該当し、その買収提案が株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるものと取締役会が判断した場合、又はウ)買収提案者が適正ルールに定める手続きを無視したと取締役会が判断した場合に限られます。
なお、当社取締役会は、上記イ)又はウ)の判断にあたっては、適正ルールの運用に係る当社取締役会の判断の公正性を確保するため、当社の社外取締役又は社外監査役のうち3名の委員で構成する独立委員会から事前に意見を取得し、その意見を最大限尊重致します。
当社の適正ルールは、当社ウェブサイトに掲載しております。
<上記取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由>適正ルールは、買収提案がなされた場合に、新株予約権の無償割当ての必要性を、株主の皆様に必要な情報と相当な検討期間をもって御判断いただくためのルール及び手続きを定めたものです。適正ルールは、買収提案を受け入れるか否かの最終的な判断を当社株主の皆様に委ねることにより、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上を図る目的のものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。
以上から、当社取締役会は、適正ルールが上記「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」に沿うものであると判断しております。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は526億円です。
(5)主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末時点で主要な連結子会社であった日鉄住金鋼鉄和歌山㈱は、当社を存続会社、同社を消滅会社とする吸収合併により、平成30年4月1日をもって解散し、当社和歌山製鐵所に加わりました。これにより、旧日鉄住金鋼鉄和歌山㈱の設備が和歌山製鐵所に加わりました。
(提出会社)
(平成30年12月31日現在)(単位 百万円)
(注)1 土地(面積千㎡)の欄中[ ]内は、連結会社以外の者から賃借している土地の面積(千㎡)であり外数で表している。
2 上表には福利厚生施設が含まれている。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社がOvako AB社の株式を100%取得したことにより、以下の設備が主要な設備に加わりました。
(在外子会社)
(平成30年9月30日現在)(単位 百万円)
(注)1 Ovako AB社の数値は、傘下会社の金額を含む。
2 従業員数は平成30年12月31日現在のものである。
(6)重要な設備の新設、除却等の計画
前連結会計年度末において計画中であった日鉄住金鋼鉄和歌山㈱本社・製造所における第2高炉及び製鋼設備の改修については、当社による日鉄住金鋼鉄和歌山㈱の吸収合併により、会社名・事業所名が「日鉄住金鋼鉄和歌山㈱本社・製造所」から「当社和歌山製鐵所」となりました。
改修
* 製鋼設備については、平成24年度から稼働を開始している。
重要な設備の新設、除却等の計画について、新たに以下の計画が加わりました。
(提出会社)
改修
(国内子会社)
改修
世界経済は、中国において成長率の伸びに鈍化がみられたものの、米国において景気が堅調を維持したことに加え、新興国においても総じて景気が底堅く推移したことから、全体として緩やかな成長が継続しました。
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続いたほか、設備投資が増加したことから、緩やかな回復が継続しました。
(当第3四半期連結累計期間のセグメント別の業績概況)
こうしたなか、当社グループは、各セグメントにおいて、各社がそれぞれの事業環境変化に対応しながら、収益改善に努めてまいりました。当第3四半期連結累計期間における各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
売上高 | 経常利益 | |||
当第3四半期連結累計期間 | 前第3四半期連結累計期間 | 当第3四半期連結累計期間 | 前第3四半期連結累計期間 | |
製鉄 | 39,870 | 36,998 | 2,125 | 1,897 |
エンジニアリング | 2,537 | 2,052 | 52 | 48 |
ケミカル&マテリアル(*) | 1,910 | 1,794 | 206 | 145 |
システムソリューション | 1,872 | 1,682 | 180 | 147 |
合計 | 46,192 | 42,528 | 2,564 | 2,239 |
調整額 | △1,001 | △883 | △31 | 15 |
四半期連結損益計算書計上額 | 45,191 | 41,645 | 2,532 | 2,254 |
(*)平成30年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、
化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントとしました。
<製鉄>鉄鋼需要については、国内は自動車向け等で堅調に推移し、海外では全体として増加基調をたどりました。また、鉄鋼市況については、国内は底堅い需要を背景に概ね高い水準を維持した一方で、海外では中国経済の先行き不透明感から、第3四半期において下落しました。このような事業環境のなか、豪雨・台風等の自然災害や当社及びグループ会社の在庫評価差による影響等はあったものの、スクラップ・合金等の副原料価格や資材費、物流費等の上昇を踏まえた鋼材価格の改定を含む「再生産可能な適正価格」の実現に向けた取組みを継続し、また、コスト改善も進捗したことから、製鉄セグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の3兆9,870億円、経常利益は増益の2,125億円となりました。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱については、海外鉄鋼メーカーの投資再開等、徐々に事業環境が改善しつつあります。また、建築や環境分野等の国内向けの事業環境が堅調であったこと、着実なプロジェクト実行管理の下で工事等が順調に進捗したことから、エンジニアリングセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の2,537億円、経常利益は増益の52億円となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱(平成30年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱の統合により発足)については、コールケミカルにおいて、主力商品であるニードルコークスが、タイトな需給環境の継続を背景に、高水準な市況を維持しました。また、機能材料において、スマートフォン向け等で回路基板材料の販売に一部翳りが見えたものの、液晶ディスプレイ用レジスト材料及びサスペンション材等の金属箔の販売が好調であり、全体としては底堅く推移しました。加えて、複合材料においては、電子材料用エポキシ樹脂及び土木・建築分野向けの炭素繊維複合材料の販売がそれぞれ堅調を維持しました。一方で、化学品においては、原油価格の下落と需給が弱含みに転じたことを背景に、スチレンモノマーの価格が低下しました。ケミカル&マテリアルセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の1,910億円、経常利益は増益の206億円となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、先進的なソリューション・サービスを含めたシステムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供しております。当期は、顧客の業務高度化ニーズ等による旺盛なシステム投資を背景に、好調な事業環境が継続するなか、IoTを活用した工場等の作業現場における「安全見守り」ソリューションの展開や、AIを活用したデータ分析プラットフォームの展開等を積極的に推進しました。システムソリューションセグメントとして、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の1,872億円、経常利益は増益の180億円となりました。
(売上・損益)
当第3四半期連結累計期間の業績は、対前年同四半期連結累計期間で、売上高は増収の4兆5,191億円、営業利益は増益の1,507億円、経常利益は増益の2,532億円及び親会社株主に帰属する四半期純利益は増益の2,316億円となりました。なお、当社グループは、平成31年3月期決算から国際財務報告基準(以下IFRS)を任意適用することとしており、IFRSに基づく第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益は4兆5,700億円、事業利益は2,600億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,000億円(全て概算値)となりました。
(2)当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産
当第3四半期連結会計期間末の連結総資産は、Ovako AB社の子会社化等があり、たな卸資産の増加(1,333億円)、有形・無形固定資産の増加(1,165億円)、流動・固定資産のその他の増加(1,397億円)があった一方で、含み益の減少や売却を主因とした投資有価証券の減少(2,029億円)等により、前期末(7兆5,263億円)から1,838億円増加し7兆7,101億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆3,775億円と前期末(2兆689億円)から3,085億円増加した一方、流動負債のその他の減少(997億円)等があり、前期末(4兆108億円)から2,393億円増加し4兆2,502億円となりました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益2,316億円による増加、配当金の支払いによる減少(707億円)に加え、その他有価証券評価差額金の減少(1,322億円)、為替換算調整勘定の減少(491億円)、退職給付に係る調整累計額の減少(185億円)等により、前期末(3兆5,155億円)から555億円減少し3兆4,599億円となりました。なお、当期末の自己資本は3兆1,040億円となり、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.77倍となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済は、中国において景気減速の懸念はあるものの、政府が各種政策による景気の下支えに注力していることに加え、米国において引き続き景気が堅調に推移すると想定されること等から、全体として緩やかな成長を維持するものと見込まれます。
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続き、回復基調が継続するものと見込まれます。
国内の鉄鋼需要及び市況については、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。また、海外の鉄鋼需要及び市況については、米中貿易摩擦の激化や、その影響を含めた中国経済の減速等により先行きの不透明感が増している一方で、足下では市況は下げ止まっていることや中国政府の景気対策効果も期待されることから、今後の動きを引き続き注視していく必要があります。
こうしたなか、平成30年度通期の連結事業利益(IFRSベース)については、和歌山製鐵所第5高炉の炉況悪化など操業・設備トラブルによる生産・出荷量減少の影響が大きいことに加え、第3四半期の海外鉄鋼市況の下落の影響もあり、第2四半期決算発表時(平成30年11月2日)から200億円減益の3,300億円の見通しとなりました。和歌山製鐵所第5高炉については切替えを予定しており、2月中旬以降、第2高炉の円滑な立上げに努めてまいります。また、全社を挙げた設備・操業安定化対策の推進、スクラップ・合金等の副原料価格や資材費、物流費等の上昇を踏まえた鋼材価格の改定を含む「再生産可能な適正価格」の実現に向けた取組み、コスト改善の着実な実行など、最大限の経営努力を継続していく所存です。
(注)上記の見通しには、平成31年2月6日の平成30年度第3四半期決算発表時点の将来見通し・計画に基づく予測が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(利益配分に関する基本方針及び当期末の剰余金配当)
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針と致しております。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間30%程度を目安と致します。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通し等を踏まえて判断することとしております。
当期末の剰余金の配当については、第2四半期決算発表時(平成30年11月2日)では未定としておりましたが、上記方針に従い、当期の業績見通し等を踏まえ、1株につき40円とさせていただく予定です(年間配当金としては1株につき80円、連結配当性向(IFRSベース)31%程度)。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
この企業理念・経営戦略が当社株式の大量買付け行為等によってゆがめられ、当社の存立・発展が阻害されるおそれが生じるなど、企業価値が毀損され、ひいては株主共同の利益が損なわれることのないよう、当社は、必要な措置を講じることと致しております。
当社は、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」といいます。)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。他方で、買収提案の中には、当社の企業価値や株主共同の利益に対し明白な侵害をもたらすおそれのあるもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要することとなるおそれのあるもの等が含まれる可能性があると考えております。
従って、当社は、第三者から買収提案がなされた場合に株主の皆様にこのような不利益が生じることがないよう、明確かつ透明性の高いルールを備え置き、実際に買収提案がなされた場合には、株主の皆様が必要な情報と相当な検討期間をもって適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行えるよう環境を整えることが当社取締役会の責務であると考え、『株式の大量買付けに関する適正ルール』(以下、「適正ルール」といいます。)を導入しております。
<基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要>当社は、株主共同の利益の確保・向上を目的に、適正ルールを平成18年3月に取締役会決議をもって導入しておりますが、適正ルール導入から10年が経過した平成28年3月に、改めて適正ルールの必要性を確認するとともに、その信頼性・法的安定性を一層高めることができるよう、その導入・更新等について事前に株主の皆様の賛同を必要とする仕組みに変更することとし、同年6月24日開催の第92回定時株主総会において、この変更等を反映した適正ルールについて、株主の皆様の御承認をいただきました。御承認をいただいた適正ルールの概要は、以下①から③のとおりです。
① 買収提案者による必要情報の提出と取締役会における検討等
当社取締役会は、当社の株券等を議決権割合で15%以上取得しようとする者(以下、「買収提案者」といいます。)から適正ルールに定める情報(以下、「必要情報」といいます。)がすべて提出された場合、当該買収提案者からの買収提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資するか否かを検討致します(検討期間は原則12週間)。
② 株主意思の確認手続き
当社取締役会は、原則として、上記検討期間の満了後、買収提案を受け入れるか否かを株主の皆様に御判断いただくため、新株予約権の無償割当て(買収提案者に対する措置の発動)の必要性・賛否に関する株主意思の確認手続きを、書面投票又は株主意思確認総会により行います。
ただし、当社取締役会が必要情報を検討した結果、買収提案が当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化に資すると判断した場合は、株主意思の確認手続きには進まず、また、新株予約権の無償割当ても行われません。
③ 新株予約権の無償割当てがなされる場合
適正ルールに基づく新株予約権の無償割当ては、ア)株主意思の確認手続きにおいて、株主の皆様が新株予約権の無償割当てに賛同された場合、イ)買収提案者が裁判例において悪質・濫用的であると例示されたグリーンメイラー等の4類型のいずれかに該当し、その買収提案が株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるものと取締役会が判断した場合、又はウ)買収提案者が適正ルールに定める手続きを無視したと取締役会が判断した場合に限られます。
なお、当社取締役会は、上記イ)又はウ)の判断にあたっては、適正ルールの運用に係る当社取締役会の判断の公正性を確保するため、当社の社外取締役又は社外監査役のうち3名の委員で構成する独立委員会から事前に意見を取得し、その意見を最大限尊重致します。
当社の適正ルールは、当社ウェブサイトに掲載しております。
<上記取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由>適正ルールは、買収提案がなされた場合に、新株予約権の無償割当ての必要性を、株主の皆様に必要な情報と相当な検討期間をもって御判断いただくためのルール及び手続きを定めたものです。適正ルールは、買収提案を受け入れるか否かの最終的な判断を当社株主の皆様に委ねることにより、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上を図る目的のものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。
以上から、当社取締役会は、適正ルールが上記「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」に沿うものであると判断しております。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は526億円です。
(5)主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末時点で主要な連結子会社であった日鉄住金鋼鉄和歌山㈱は、当社を存続会社、同社を消滅会社とする吸収合併により、平成30年4月1日をもって解散し、当社和歌山製鐵所に加わりました。これにより、旧日鉄住金鋼鉄和歌山㈱の設備が和歌山製鐵所に加わりました。
(提出会社)
(平成30年12月31日現在)(単位 百万円)
事業所名 (所在地) | セグメントの名称 | 設備の内容 | 建物及び 構築物 | 機械装置 及び運搬具 | 工具、器具及び備品 | 土地 (面積千㎡) | リース 資産 | 建設 仮勘定 | 計 | 従業 員数 (人) |
和歌山製鐵所(和歌山県和歌山市、同県海南市及び大阪府堺市) | 製鉄 | 鋼片・条鋼・鋼板・鋼管製造設備 | 67,207 | 84,408 | 6,561 | 44,215 (6,638) [90] | 701 | 33,625 | 236,720 | 3,066 |
(注)1 土地(面積千㎡)の欄中[ ]内は、連結会社以外の者から賃借している土地の面積(千㎡)であり外数で表している。
2 上表には福利厚生施設が含まれている。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社がOvako AB社の株式を100%取得したことにより、以下の設備が主要な設備に加わりました。
(在外子会社)
(平成30年9月30日現在)(単位 百万円)
会社名 | 事業所名 (所在地) | セグメントの名称 | 設備の内容 | 建物及び 構築物 | 機械装置 及び運搬具 | 工具、器具及び備品 | 土地 | リース 資産 | 建設 仮勘定 | 計 | 従業 員数 (人) |
Ovako AB | ホーフォーシュ工場(スウェーデン国ホーフォーシュ市)等 | 製鉄 | 製鋼・圧延設備 | 7,655 | 22,306 | - | 1,731 | - | 5,552 | 37,245 | 2,967 |
(注)1 Ovako AB社の数値は、傘下会社の金額を含む。
2 従業員数は平成30年12月31日現在のものである。
(6)重要な設備の新設、除却等の計画
前連結会計年度末において計画中であった日鉄住金鋼鉄和歌山㈱本社・製造所における第2高炉及び製鋼設備の改修については、当社による日鉄住金鋼鉄和歌山㈱の吸収合併により、会社名・事業所名が「日鉄住金鋼鉄和歌山㈱本社・製造所」から「当社和歌山製鐵所」となりました。
改修
会社名 事業所名 | 所在地 | セグメント の名称 | 設備の内容 | 投資予定金額 (百万円) | 資金調達方法 | 着手及び完了予定 | 能力等 | ||
総額 | 既支払額 | 着手 | 完了 | ||||||
当社 和歌山製鐵所 | 和歌山県 和歌山市 | 製鉄 | 第2高炉及び製鋼設備 | 115,000 | 98,500 | 借入金等 | 平成20年4月 | 平成30年度末頃 * | 高炉容積は 3,700㎥ |
* 製鋼設備については、平成24年度から稼働を開始している。
重要な設備の新設、除却等の計画について、新たに以下の計画が加わりました。
(提出会社)
改修
会社名 事業所名 | 所在地 | セグメント の名称 | 設備の内容 | 投資予定金額 (百万円) | 資金調達方法 | 着手及び完了予定 | 能力等 | ||
総額 | 既支払額 | 着手 | 完了 | ||||||
当社 名古屋製鐵所 | 愛知県 東海市 | 製鉄 | 第3コークス炉(付帯設備を含む) | 57,000 | 100 | 自己資金及び借入金等 | 平成30年11月 | 平成33年度上半期 | 80万t/年 |
(国内子会社)
改修
会社名 事業所名 | 所在地 | セグメント の名称 | 設備の内容 | 投資予定金額 (百万円) | 資金調達方法 | 着手及び完了予定 | 能力等 | ||
総額 | 既支払額 | 着手 | 完了 | ||||||
北海製鉄㈱ | 北海道 室蘭市 | 製鉄 | 第2高炉 | 35,000 | 10 | 借入金等 | 平成30年11月 | 平成32年度下半期 | 高炉容積は3,014㎥ |