四半期報告書-第95期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
当社グループは前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前第1四半期連結累計期間の数値をIFRSに組替えて比較分析を行っております。
(1)業績の概況
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、米国においては個人消費や設備投資が堅調に推移しているものの、米中貿易摩擦を背景に、中国においては個人消費を中心に景気の減速傾向が見られ、同国政府がインフラ投資の促進等景気の下支えに注力している状況にあります。日本経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が継続する一方で、輸出や生産の弱さも継続しており、足下は景気にやや停滞感が見られています。
(当第1四半期連結累計期間のセグメント別の業績概況)
こうしたなか、当社グループは、各セグメントにおいて、各社がそれぞれの事業環境変化に対応しながら、収益改善に努めてまいりました。
当第1四半期連結累計期間における各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
(*)2018年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントとした。前期のケミカル&マテリアルセグメントの数値は化学セグメントと新素材セグメントの合計値としている。
<製鉄>鉄鋼需要については、国内では自動車・建設向け等が総じて堅調に推移したものの、海外では中国の景気悪化懸念による消費財の生産減もあり、鋼板系品種を中心に需要の伸びは力強さを欠きました。また、鋼材市況については、国内は概ね高い水準を維持したものの、海外は昨年後半の下落からの回復の動きに鈍化が見られました。
このような事業環境のなか、当第1四半期の業績は、コスト改善と紐付き分野の価格改善を進めてきたものの、原料価格の上昇、君津製鉄所において落雷により発生した停電の影響及び在庫評価差等により、前年同期に比べて減益となりました。
製鉄セグメントとして、売上収益は1兆3,467億円(前年同期は1兆3,018億円)、事業利益は560億円(前年同期は841億円)となりました。
<エンジニアリング>日鉄エンジニアリング㈱については、製鉄・環境・エネルギー関連のプラント分野における建設・施設運営から、大型鋼構造建造物・超高層建築物・パイプライン建設等の多様な領域で、総合エンジニアリング技術をグローバルに提供しております。当期は、各分野において着実に実行管理を行ったことでプロジェクトが順調に進捗し、複数の国内案件が完成したことに加え、関連会社の収益も改善しました。
エンジニアリングセグメントとして、売上収益は784億円(前年同期は702億円)、事業利益は38億円(前年同期は△3億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱については、コールケミカル事業において主力商品であるニードルコークスの需要が引き続き堅調に推移し、土木・建築向けの炭素繊維複合材料も補修・補強用途を中心に販売を伸ばしました。一方、化学品事業においては、ベンゼンの市況が低迷し、電子・機能材料分野でも、スマートフォン向け材料や半導体関連材料について厳しい事業環境が続いたうえに米中貿易摩擦による影響も加わり、販売は低調に推移しました。
ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は544億円(前年同期は599億円)、事業利益は35億円(前年同期は62億円)となりました。
<システムソリューション>日鉄ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、システムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供するとともに、顧客の事業環境変化に対応した先進的なソリューション・サービスを展開しております。当期は、顧客の旺盛なシステム投資を背景に好調な事業環境が継続するなか、設備等の保全課題に対するIoT・AIを活用した予防保全ソリューションの提供に加え、当社の高度IT活用に向けたデータ解析・AI開発プラットフォームの構築支援等を行いました。
システムソリューションセグメントとして、売上収益は821億円(前年同期は590億円)、事業利益は79億円(前年同期は54億円)となりました。
(売上・損益)
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益は1兆5,224億円(前年同期は1兆4,599億円)、事業利益は606億円(前年同期は906億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は333億円(前年同期は853億円)となりました。
(2)当第1四半期連結会計期間末の資産、負債、資本及び当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー
当第1四半期連結会計期間末の連結総資産は、現金及び現金同等物の増加(221億円)、棚卸資産の増加(598億円)、IFRS第16号適用開始に伴うオペレーティング・リースのオンバランスの影響等による有形固定資産及び使用権資産の増加(349億円)があった一方で、営業債権及びその他の債権の減少(1,204億円)、投資有価証券の公正価値の減少や売却を主因とした非流動資産のその他の金融資産の減少(418億円)等により、前期末(8兆495億円)から377億円減少し8兆117億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆5,057億円と前期末(2兆3,692億円)から1,365億円増加した一方、営業債務及びその他の債務の減少(1,548億円)等があり、前期末(4兆4,421億円)から236億円減少し4兆4,185億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する四半期利益333億円による増加、配当金の支払いによる減少(368億円)に加え、投資有価証券の公正価値の減少を主因としたその他の資本の構成要素の減少(177億円)等により、前期末(3兆6,073億円)から141億円減少し3兆5,932億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は3兆2,135億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.78倍となりました。
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益562億円に、減価償却費及び償却費(1,045億円)の加算に加え、営業債権及びその他の債権の減少(1,300億円)がある一方、棚卸資産の増加(594億円)や営業債務及びその他の債務の減少(1,092億円)、法人所得税の支払い(435億円)等もあり、825億円の収入(前年同期は1,006億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(920億円)がある一方、投資有価証券の売却による収入(166億円)、関係会社株式の売却による収入(123億円)等もあり、676億円の支出(前年同期は1,338億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは148億円の収入(前年同期は332億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、オペレーティング・リースのオンバランスによる増加等を控除した実質的な有利子負債の増加(1,026億円)に加え、前期末の配当(368億円)等により、89億円の収入(前年同期は503億円の収入)となりました。以上により、当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は1,853億円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済は、米中貿易摩擦の長期化による影響が拡大し、中国をはじめ全体としての景気減速の懸念が強い状態が継続するものと見込まれます。日本経済についても、世界経済の動きによる影響から、先行きの不透明感が高い状態が継続するものと見込まれます。
鉄鋼需要及び市況については、国内は輸出産業の一部に減速の兆候が見られ、間接輸出需要は弱含みの状況にあります。また、海外も米中貿易摩擦の長期化等による下振れが懸念されることから、今後の動きを引き続き注視していく必要があります。
こうしたなか、2019年度上期の連結業績については、売上収益は3兆円、事業利益は700億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は300億円を予想しております。
また、2019年度通期の連結業績については、上記のように先行き不透明感が高いなか、全社を挙げた設備・操業安定化対策の推進及びコスト改善の着実な実行に加え、紐付き分野の価格改善を確実に進めていくものの、足下における原料市況高・鋼材市況安という状況が継続するとの前提に立った輸出市況分野を中心とする大幅なマージン悪化及び間接輸出需要の減少に伴う品種構成の悪化並びに君津製鉄所の落雷による停電影響等の想定を上回る変化や償却負担の増加・在庫評価益の減少等もあることから、事業利益は1,500億円にとどまるものと見込んでおります。
こうした状況下、当社は、足下の収益改善に向けた取組みを進めるとともに、中長期的な成長に向けた施策を推進してまいります。具体的には、日鉄日新製鋼㈱や山陽特殊製鋼㈱・オバコ社との統合再編シナジーを早期に最大限発揮するとともに、八幡製鉄所における電磁鋼板の設備投資を決定するなど、今後も需要が伸長し、当社の優位性が発揮できる分野・地域への投資を推進してまいります。また、財務規律を重視したキャッシュマネジメント(資産圧縮・設備投資効率化)も実行してまいります。さらに、新たなリスクの顕在化にも備え、将来を見据えた収益基盤の強化に向けた抜本的対策の具体案検討にも着手し、具体化できた案件から順次公表することと致します。
(注)上記の見通しには、2019年8月1日の2019年度第1四半期決算発表時点の将来見通し・計画に基づく予測が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(利益配分に関する基本方針及び当第2四半期末の剰余金配当)
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針と致しております。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間30%程度を目安と致します。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通し等を踏まえて判断することとしております。
当第2四半期末の剰余金の配当については、上記方針に従い、誠に遺憾ではありますが、1株につき10円(連結配当性向31%程度)とさせていただく予定と致します。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
当社は、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」といいます。)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。他方で、買収提案の中には、当社の企業価値や株主共同の利益に対し明白な侵害をもたらすおそれのあるもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要することとなるおそれのあるもの等が含まれる可能性があると考えております。
従って、当社は、第三者から買収提案がなされた場合に株主の皆様にこのような不利益が生じることがないよう、当社株式の取引状況や株主の異動状況等を注視するとともに、実際に買収提案がなされた場合には、株主の皆様が必要な情報と相当な検討期間をもって適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行うことができるように努めます。仮に、買収提案が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると合理的に判断される場合には、その時点における関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を速やかに講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保を図って参ります。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は192億円です。
(1)業績の概況
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、米国においては個人消費や設備投資が堅調に推移しているものの、米中貿易摩擦を背景に、中国においては個人消費を中心に景気の減速傾向が見られ、同国政府がインフラ投資の促進等景気の下支えに注力している状況にあります。日本経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が継続する一方で、輸出や生産の弱さも継続しており、足下は景気にやや停滞感が見られています。
(当第1四半期連結累計期間のセグメント別の業績概況)
こうしたなか、当社グループは、各セグメントにおいて、各社がそれぞれの事業環境変化に対応しながら、収益改善に努めてまいりました。
当第1四半期連結累計期間における各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
売上収益 | 事業利益 | |||
当第1四半期連結累計期間 | 前第1四半期連結累計期間 | 当第1四半期連結累計期間 | 前第1四半期連結累計期間 | |
製鉄 | 13,467 | 13,018 | 560 | 841 |
エンジニアリング | 784 | 702 | 38 | △3 |
ケミカル&マテリアル(*) | 544 | 599 | 35 | 62 |
システムソリューション | 821 | 590 | 79 | 54 |
合計 | 15,617 | 14,910 | 714 | 954 |
調整額 | △392 | △310 | △108 | △48 |
要約四半期連結損益計算書計上額 | 15,224 | 14,599 | 606 | 906 |
(*)2018年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントとした。前期のケミカル&マテリアルセグメントの数値は化学セグメントと新素材セグメントの合計値としている。
<製鉄>鉄鋼需要については、国内では自動車・建設向け等が総じて堅調に推移したものの、海外では中国の景気悪化懸念による消費財の生産減もあり、鋼板系品種を中心に需要の伸びは力強さを欠きました。また、鋼材市況については、国内は概ね高い水準を維持したものの、海外は昨年後半の下落からの回復の動きに鈍化が見られました。
このような事業環境のなか、当第1四半期の業績は、コスト改善と紐付き分野の価格改善を進めてきたものの、原料価格の上昇、君津製鉄所において落雷により発生した停電の影響及び在庫評価差等により、前年同期に比べて減益となりました。
製鉄セグメントとして、売上収益は1兆3,467億円(前年同期は1兆3,018億円)、事業利益は560億円(前年同期は841億円)となりました。
<エンジニアリング>日鉄エンジニアリング㈱については、製鉄・環境・エネルギー関連のプラント分野における建設・施設運営から、大型鋼構造建造物・超高層建築物・パイプライン建設等の多様な領域で、総合エンジニアリング技術をグローバルに提供しております。当期は、各分野において着実に実行管理を行ったことでプロジェクトが順調に進捗し、複数の国内案件が完成したことに加え、関連会社の収益も改善しました。
エンジニアリングセグメントとして、売上収益は784億円(前年同期は702億円)、事業利益は38億円(前年同期は△3億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱については、コールケミカル事業において主力商品であるニードルコークスの需要が引き続き堅調に推移し、土木・建築向けの炭素繊維複合材料も補修・補強用途を中心に販売を伸ばしました。一方、化学品事業においては、ベンゼンの市況が低迷し、電子・機能材料分野でも、スマートフォン向け材料や半導体関連材料について厳しい事業環境が続いたうえに米中貿易摩擦による影響も加わり、販売は低調に推移しました。
ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は544億円(前年同期は599億円)、事業利益は35億円(前年同期は62億円)となりました。
<システムソリューション>日鉄ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、システムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供するとともに、顧客の事業環境変化に対応した先進的なソリューション・サービスを展開しております。当期は、顧客の旺盛なシステム投資を背景に好調な事業環境が継続するなか、設備等の保全課題に対するIoT・AIを活用した予防保全ソリューションの提供に加え、当社の高度IT活用に向けたデータ解析・AI開発プラットフォームの構築支援等を行いました。
システムソリューションセグメントとして、売上収益は821億円(前年同期は590億円)、事業利益は79億円(前年同期は54億円)となりました。
(売上・損益)
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益は1兆5,224億円(前年同期は1兆4,599億円)、事業利益は606億円(前年同期は906億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は333億円(前年同期は853億円)となりました。
(2)当第1四半期連結会計期間末の資産、負債、資本及び当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー
当第1四半期連結会計期間末の連結総資産は、現金及び現金同等物の増加(221億円)、棚卸資産の増加(598億円)、IFRS第16号適用開始に伴うオペレーティング・リースのオンバランスの影響等による有形固定資産及び使用権資産の増加(349億円)があった一方で、営業債権及びその他の債権の減少(1,204億円)、投資有価証券の公正価値の減少や売却を主因とした非流動資産のその他の金融資産の減少(418億円)等により、前期末(8兆495億円)から377億円減少し8兆117億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆5,057億円と前期末(2兆3,692億円)から1,365億円増加した一方、営業債務及びその他の債務の減少(1,548億円)等があり、前期末(4兆4,421億円)から236億円減少し4兆4,185億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する四半期利益333億円による増加、配当金の支払いによる減少(368億円)に加え、投資有価証券の公正価値の減少を主因としたその他の資本の構成要素の減少(177億円)等により、前期末(3兆6,073億円)から141億円減少し3兆5,932億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は3兆2,135億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.78倍となりました。
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益562億円に、減価償却費及び償却費(1,045億円)の加算に加え、営業債権及びその他の債権の減少(1,300億円)がある一方、棚卸資産の増加(594億円)や営業債務及びその他の債務の減少(1,092億円)、法人所得税の支払い(435億円)等もあり、825億円の収入(前年同期は1,006億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(920億円)がある一方、投資有価証券の売却による収入(166億円)、関係会社株式の売却による収入(123億円)等もあり、676億円の支出(前年同期は1,338億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは148億円の収入(前年同期は332億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、オペレーティング・リースのオンバランスによる増加等を控除した実質的な有利子負債の増加(1,026億円)に加え、前期末の配当(368億円)等により、89億円の収入(前年同期は503億円の収入)となりました。以上により、当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は1,853億円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済は、米中貿易摩擦の長期化による影響が拡大し、中国をはじめ全体としての景気減速の懸念が強い状態が継続するものと見込まれます。日本経済についても、世界経済の動きによる影響から、先行きの不透明感が高い状態が継続するものと見込まれます。
鉄鋼需要及び市況については、国内は輸出産業の一部に減速の兆候が見られ、間接輸出需要は弱含みの状況にあります。また、海外も米中貿易摩擦の長期化等による下振れが懸念されることから、今後の動きを引き続き注視していく必要があります。
こうしたなか、2019年度上期の連結業績については、売上収益は3兆円、事業利益は700億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は300億円を予想しております。
また、2019年度通期の連結業績については、上記のように先行き不透明感が高いなか、全社を挙げた設備・操業安定化対策の推進及びコスト改善の着実な実行に加え、紐付き分野の価格改善を確実に進めていくものの、足下における原料市況高・鋼材市況安という状況が継続するとの前提に立った輸出市況分野を中心とする大幅なマージン悪化及び間接輸出需要の減少に伴う品種構成の悪化並びに君津製鉄所の落雷による停電影響等の想定を上回る変化や償却負担の増加・在庫評価益の減少等もあることから、事業利益は1,500億円にとどまるものと見込んでおります。
こうした状況下、当社は、足下の収益改善に向けた取組みを進めるとともに、中長期的な成長に向けた施策を推進してまいります。具体的には、日鉄日新製鋼㈱や山陽特殊製鋼㈱・オバコ社との統合再編シナジーを早期に最大限発揮するとともに、八幡製鉄所における電磁鋼板の設備投資を決定するなど、今後も需要が伸長し、当社の優位性が発揮できる分野・地域への投資を推進してまいります。また、財務規律を重視したキャッシュマネジメント(資産圧縮・設備投資効率化)も実行してまいります。さらに、新たなリスクの顕在化にも備え、将来を見据えた収益基盤の強化に向けた抜本的対策の具体案検討にも着手し、具体化できた案件から順次公表することと致します。
(注)上記の見通しには、2019年8月1日の2019年度第1四半期決算発表時点の将来見通し・計画に基づく予測が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(利益配分に関する基本方針及び当第2四半期末の剰余金配当)
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針と致しております。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間30%程度を目安と致します。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通し等を踏まえて判断することとしております。
当第2四半期末の剰余金の配当については、上記方針に従い、誠に遺憾ではありますが、1株につき10円(連結配当性向31%程度)とさせていただく予定と致します。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
当社は、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」といいます。)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。他方で、買収提案の中には、当社の企業価値や株主共同の利益に対し明白な侵害をもたらすおそれのあるもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要することとなるおそれのあるもの等が含まれる可能性があると考えております。
従って、当社は、第三者から買収提案がなされた場合に株主の皆様にこのような不利益が生じることがないよう、当社株式の取引状況や株主の異動状況等を注視するとともに、実際に買収提案がなされた場合には、株主の皆様が必要な情報と相当な検討期間をもって適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行うことができるように努めます。仮に、買収提案が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると合理的に判断される場合には、その時点における関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を速やかに講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保を図って参ります。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は192億円です。