有価証券報告書-第93期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
② 当期末の資産、負債、純資産及び当期のキャッシュ・フロー
当期末の連結総資産は、受取手形及び売掛金の増加(544億円)、たな卸資産の増加(1,643億円)、投資有価証券の増加(550億円)等により、前期末(7兆2,619億円)から3,304億円増加し7兆5,924億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆689億円と前期末(2兆1,048億円)から359億円減少した一方、支払手形及び買掛金の増加(468億円)、未払金の増加(667億円)、繰延税金負債の増加(148億円)等があり、前期末(3兆9,709億円)から1,060億円増加し4兆769億円となりました。
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益1,950億円による増加、配当金の支払いによる減少(662億円)に加え、その他有価証券評価差額金の増加(438億円)、非支配株主持分の増加(272億円)等により、前期末(3兆2,910億円)から2,244億円増加し3兆5,155億円となりました。なお、当期末の自己資本は3兆1,454億円となり、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.66倍となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,898億円に減価償却費(3,407億円)等を加えた収入に対し、売上債権の増加(501億円)、たな卸資産の増加(1,628億円)等があり、4,588億円の収入(前年同期は4,842億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出(4,030億円)に対し、投資有価証券の売却による収入(399億円)等があり、3,534億円の支出(前年同期は3,437億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは1,054億円の収入(前年同期は1,405億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期末及び当第2四半期末の配当(662億円)に加え、有利子負債の減少(359億円)等により、891億円の支出(前年同期は1,350億円の支出)となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物は1,117億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は製造原価による。
2 上記の金額には、グループ向生産分を含む。
3 当連結会計年度において、製鉄セグメントの生産(グループ向け生産分を含む)は、対前連結会計年度で1兆2,574億円増加の5兆7,418億円となりました。これは平成29年3月13日の日新製鋼㈱の子会社化等によるものです。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注) 1 上記の金額には、グループ内受注分を含む。
2 「製鉄」、「化学」及び「新素材」は、多種多様な製品毎に継続的且つ反復的に注文を受けて生産・出荷する形態を主としており、その受注動向は、生産実績や販売実績に概ね連動していく傾向にあり、また、需要動向等についても本報告書「当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載していることから、金額又は数量についての記載を省略している。
c. 販売実績
当連結会計年度における外部顧客に対する販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注) 1 前連結会計年度及び当連結会計年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりである。
(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は、次のとおりである。
(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
(注) 総販売実績に対する割合が10%未満の場合は、当該連結会計年度の記載を省略し、「-」表示している。
4 当連結会計年度において、製鉄セグメントの外部顧客に対する販売は、対前連結会計年度で9,666億円増加の4兆9,833億円となりました。これは平成29年3月13日の日新製鋼㈱の子会社化等によるものです。
なお、生産、受注及び販売等に関する特記事項については、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」等に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、工事損失引当金、役員退職慰労引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当期の世界経済は、米国において、堅調な個人消費や労働市場の改善を背景に景気の着実な回復が継続し、欧州においても回復基調が続いたことに加え、中国では景気が安定的に推移し、新興国において緩やかな景気回復が継続したことから、全体として回復基調で推移しました。
日本経済は、個人消費・設備投資ともに底堅く、緩やかな回復が継続しました。
国内鉄鋼需要については、自動車向けや建築・土木向けなどを中心に堅調に推移しました。海外鉄鋼需要についても緩やかな伸長が継続しました。また、国際鉄鋼市況については、引き締まった需給環境等を背景に、概ね高い水準を維持しました。
このような環境のなか、当社グループは、平成27年3月に策定した2017年中期経営計画に掲げた国内マザーミル競争力の強化、グローバル戦略の推進、技術先進性の発揮、世界最高水準のコスト競争力の実現、製鉄事業グループ会社の体質強化等の諸施策の推進に努めてまいりました。
当社グループと致しましては、各セグメントにおいて各社がそれぞれの環境変化に対応しながら、最大限の経営努力を重ねてまいりました。各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(当期のセグメント別の業績の概況)
<製鉄>製鉄セグメントについては、国内マザーミル競争力の強化とグローバル戦略の推進を大きな柱として諸施策に取り組んでまいりました。
国内においては、製鉄所等の強化・再建を基本経営課題として、設備と人材の両面で製造実力の強化策を引き続き推進してまいりました。設備面では、室蘭製鐵所のコークス炉の改修を決定するなど、基幹設備のリフレッシュを含めた各種設備の健全性の維持・強化を行ってまいりました。また、人材面では、世代交代が進むなかで確実に技能伝承を行うべく、採用の強化と長期的な視点に立った人材育成施策を推進してまいりました。また、和歌山製鐵所においては、上工程部門(製銑・製鋼部門)を担う連結子会社の日鉄住金鋼鉄和歌山㈱を当社が吸収合併し、当社の事業インフラの活用を通じた経営効率のより一層の向上を図っていくことと致しました。
一方、海外においては、成長市場における需要の捕捉や需要家の皆様の海外展開に即応した事業体制の構築を図るなど、グローバル供給体制の一層の充実を図ってまいりました。たとえば、自動車マーケットにおける需要の伸長が期待されるインドネシアにおいては、高級・高品質の自動車用鋼板の製造・販売を行う合弁会社が営業運転を開始致しました。また、ブラジルにおける持分法適用関連会社であるウジミナス社について、同社を共同経営するアルゼンチンのテルニウム社との間で、新たなガバナンスルールの導入等に関する基本合意書を締結し、ウジミナス社の競争力及び企業価値の向上に両社が一致協力して取り組むことを確認致しました。
さらに、インドにおいては、中長期的に大幅な成長が見込まれる需要を着実に捕捉するため、同国のエッサールスチール社をアルセロールミッタル社と共同で買収するための手続きに参画することと致しました。また、今後も堅調な需要の伸びが期待される特殊鋼分野において、技術・品質・商品開発力の一層の強化と、グローバル事業の強化・拡大を図るため、欧州に製造・販売拠点をもち、軸受鋼等で世界トップレベルの技術を有するスウェーデンのオバコ社の買収に係る契約を締結するとともに、国内においては、持分法適用関連会社である山陽特殊製鋼㈱の子会社化等の検討を開始することと致しました。
技術先進性の発揮の面では、当社が開発した合金鉄溶解炉による「省資源・環境調和型・高生産性ステンレス製鋼プロセス」が、生産工学等における顕著な業績を表彰する大河内賞(第64回)において、最高賞である「大河内記念生産特賞」を受賞しました。本プロセスにより、ステンレス鋼製造時に発生するクロム含有のスクラップ等が全量リサイクル可能となるなど、環境面だけでなく、生産性の向上とコスト削減にも貢献しております。また、自動車分野においては、君津製鐵所に超ハイテン鋼板の製造設備を新設することを決定致しました。これにより、自動車業界における車体の軽量化・高強度化ニーズを捕捉し、需要家の皆様の価値創造に貢献する高機能素材及びソリューション技術の提供に努めてまいります。
これらに加えて、コスト改善の観点から原燃料費の低減や製造歩留の向上等にも引き続き取り組むとともに、鋼材価格については、原材料価格の高騰等を踏まえて、需要家の皆様に御理解いただけるよう丁寧な対応に努めてまいりました。製鉄セグメントとして、売上高は5兆172億円(前年同期は4兆522億円)、経常利益は2,457億円(前年同期は1,380億円)となりました。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱については、原油価格の上昇、海外鉄鋼メーカーの投資再開等、事業環境に改善の兆しが見られました。また、建築分野等の国内向けの事業環境が堅調であったこと、加えて、プロジェクト実行管理が着実に行われたこと等から、売上高・損益ともに増加しました。エンジニアリングセグメントとして、売上高は2,942億円(前年同期は2,675億円)、経常利益は91億円(前年同期は68億円)となりました。
<化学>新日鉄住金化学㈱については、機能材料事業において、回路基板材料やディスプレイ材料でスマートフォン等の電子機器向けの販売が伸び、両製品ともに過去最高の年間販売数量を記録しました。化学品事業においても、主力製品であるスチレンモノマーの需給環境が良好に推移し、着実に収益を確保しました。また、コールケミカル事業においても、電炉向けの黒鉛電極の旺盛な需要によるニードルコークスの需給逼迫とリチウムイオン電池の負極材向けコークスの需要伸長を背景に、製品の価格水準が上昇するなど、販売環境が大幅に好転しました。これらの結果、売上高・損益ともに増加しました。化学セグメントとして、売上高は2,007億円(前年同期は1,742億円)、経常利益は154億円(前年同期は45億円)となりました。
<新素材>新日鉄住金マテリアルズ㈱については、半導体・電子産業部材において、サスペンション材等の金属箔の販売が
引き続き好調に推移しました。また、環境・エネルギー部材においても、新興国での需要を着実に捕捉したメタル
担体の販売が拡大しました。市場競争激化の影響を受けたものの、販売の拡大により売上高・損益ともに増加しま
した。新素材セグメントとして、売上高は370億円(前年同期は345億円)、経常利益は19億円(前年同期は17億円)となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、システムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供するとともに、顧客の事業環境変化に対応した先進的なソリューション・サービスを展開しております。当期は、顧客企業によるAI・機械学習やIoTを活用した生産・物流現場等における業務の高度化ニーズの高まりに対応するソリューション展開を推進し、売上高・損益ともに増加しました。システムソリューションセグメントとして、売上高は2,442億円(前年同期は2,325億円)、経常利益は232億円(前年同期は221億円)となりました。
(売上・損益)
当期の連結業績については、設備トラブル、天候不順等による生産・出荷量の減少に加え、主原料価格の高騰、並びにスクラップ・合金等の副原料価格、資材費、物流費等の上昇など減益影響はあったものの、コスト改善施策の着実な実行と海外事業を含めたグループ会社の業績改善、在庫評価差等の増益要因もあり、売上高は5兆6,686億円(前年同期は4兆6,328億円)、営業利益は1,823億円(前年同期は1,142億円)、経常利益は2,975億円(前年同期は1,745億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,950億円(前年同期は1,309億円)となりました。
また、当期の単独業績については、売上高は3兆2,666億円(前年同期は2兆9,742億円)、営業利益は64億円(前年同期は△291億円)、経常利益は1,072億円(前年同期は481億円)、当期純利益は1,182億円(前年同期は415億円)となりました。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
平成29年度を実行最終年度とする「2017年中期経営計画」の収益、財務体質の各目標とそれに対する平成29年度までの達成状況は以下のとおりです。
(*) 平成27年度~平成29年度の3カ年累計
当社は「2017年中期経営計画」(実行期間:平成27年度~平成29年度)において、「国内マザーミル競争力の強化」、「グローバル戦略の推進」、「技術先進性の発揮」、「世界最高水準のコスト競争力の実現」及び「製鉄事業グループ会社の体質強化」を5本の柱として取り組んでまいりました。しかしながら、中国の過剰生産能力問題、原油価格下落に伴うエネルギー分野の需要減少、石炭価格の高騰・乱高下及び市況原料等のコストアップといった環境の変化、設備トラブル、天候不順等による生産・出荷量の減少もあり、コスト改善については中期経営計画で掲げた1,500億円の改善を達成したものの、同計画で掲げた収益、財務体質の各目標の水準には到達しませんでした。
株主還元につきましては、剰余金の配当は「連結配当性向年間20~30%」を目安とする方針に対し、平成29年度は連結配当性向31.7%となりました。
平成30年度を実行初年度とする「2020年中期経営計画」においては、「第一部 企業情報 第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の諸施策の着実な推進を通じ、収益、財務体質の各目標の達成に向け取り組んでまいります。
① 経営成績の状況
当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
② 当期末の資産、負債、純資産及び当期のキャッシュ・フロー
当期末の連結総資産は、受取手形及び売掛金の増加(544億円)、たな卸資産の増加(1,643億円)、投資有価証券の増加(550億円)等により、前期末(7兆2,619億円)から3,304億円増加し7兆5,924億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆689億円と前期末(2兆1,048億円)から359億円減少した一方、支払手形及び買掛金の増加(468億円)、未払金の増加(667億円)、繰延税金負債の増加(148億円)等があり、前期末(3兆9,709億円)から1,060億円増加し4兆769億円となりました。
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益1,950億円による増加、配当金の支払いによる減少(662億円)に加え、その他有価証券評価差額金の増加(438億円)、非支配株主持分の増加(272億円)等により、前期末(3兆2,910億円)から2,244億円増加し3兆5,155億円となりました。なお、当期末の自己資本は3兆1,454億円となり、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.66倍となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,898億円に減価償却費(3,407億円)等を加えた収入に対し、売上債権の増加(501億円)、たな卸資産の増加(1,628億円)等があり、4,588億円の収入(前年同期は4,842億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出(4,030億円)に対し、投資有価証券の売却による収入(399億円)等があり、3,534億円の支出(前年同期は3,437億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは1,054億円の収入(前年同期は1,405億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期末及び当第2四半期末の配当(662億円)に加え、有利子負債の減少(359億円)等により、891億円の支出(前年同期は1,350億円の支出)となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物は1,117億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 金額(百万円) | 当連結会計年度 金額(百万円) |
製鉄 | 4,484,382 | 5,741,862 |
エンジニアリング | 222,053 | 248,596 |
化学 | 173,372 | 186,638 |
新素材 | 26,980 | 30,289 |
システムソリューション | 186,823 | 247,290 |
合計 | 5,093,611 | 6,454,676 |
(注) 1 金額は製造原価による。
2 上記の金額には、グループ向生産分を含む。
3 当連結会計年度において、製鉄セグメントの生産(グループ向け生産分を含む)は、対前連結会計年度で1兆2,574億円増加の5兆7,418億円となりました。これは平成29年3月13日の日新製鋼㈱の子会社化等によるものです。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 受注高(百万円) | 当連結会計年度 受注高(百万円) | 前連結会計年度 受注残高(百万円) | 当連結会計年度 受注残高(百万円) |
エンジニアリング | 276,851 | 402,032 | 310,000 | 420,000 |
システムソリューション | 252,896 | 247,918 | 117,377 | 121,079 |
合計 | 529,747 | 649,950 | 427,377 | 541,079 |
(注) 1 上記の金額には、グループ内受注分を含む。
2 「製鉄」、「化学」及び「新素材」は、多種多様な製品毎に継続的且つ反復的に注文を受けて生産・出荷する形態を主としており、その受注動向は、生産実績や販売実績に概ね連動していく傾向にあり、また、需要動向等についても本報告書「当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載していることから、金額又は数量についての記載を省略している。
c. 販売実績
当連結会計年度における外部顧客に対する販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 金額(百万円) | 当連結会計年度 金額(百万円) |
製鉄 | 4,016,670 | 4,983,335 |
エンジニアリング | 234,861 | 260,908 |
化学 | 168,596 | 197,057 |
新素材 | 34,519 | 37,050 |
システムソリューション | 178,242 | 190,310 |
合計 | 4,632,890 | 5,668,663 |
(注) 1 前連結会計年度及び当連結会計年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりである。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
輸出販売高(百万円) | 輸出割合(%) | 輸出販売高(百万円) | 輸出割合(%) |
1,676,909 | 36.2 | 1,960,019 | 34.6 |
(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は、次のとおりである。
輸出先 | 前連結会計年度(%) | 当連結会計年度(%) |
アジア | 62.2 | 64.7 |
中近東 | 8.0 | 5.9 |
欧州 | 4.9 | 5.1 |
北米 | 10.7 | 13.3 |
中南米 | 10.6 | 8.4 |
アフリカ | 2.6 | 1.8 |
大洋州 | 1.0 | 0.8 |
合計 | 100.0 | 100.0 |
(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
日鉄住金物産㈱ | 744,325 | 16.1 | 848,839 | 15.0 |
住友商事㈱ | 675,417 | 14.6 | 772,942 | 13.6 |
㈱メタルワン | - | - | 592,146 | 10.4 |
(注) 総販売実績に対する割合が10%未満の場合は、当該連結会計年度の記載を省略し、「-」表示している。
4 当連結会計年度において、製鉄セグメントの外部顧客に対する販売は、対前連結会計年度で9,666億円増加の4兆9,833億円となりました。これは平成29年3月13日の日新製鋼㈱の子会社化等によるものです。
なお、生産、受注及び販売等に関する特記事項については、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」等に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、工事損失引当金、役員退職慰労引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当期の世界経済は、米国において、堅調な個人消費や労働市場の改善を背景に景気の着実な回復が継続し、欧州においても回復基調が続いたことに加え、中国では景気が安定的に推移し、新興国において緩やかな景気回復が継続したことから、全体として回復基調で推移しました。
日本経済は、個人消費・設備投資ともに底堅く、緩やかな回復が継続しました。
国内鉄鋼需要については、自動車向けや建築・土木向けなどを中心に堅調に推移しました。海外鉄鋼需要についても緩やかな伸長が継続しました。また、国際鉄鋼市況については、引き締まった需給環境等を背景に、概ね高い水準を維持しました。
このような環境のなか、当社グループは、平成27年3月に策定した2017年中期経営計画に掲げた国内マザーミル競争力の強化、グローバル戦略の推進、技術先進性の発揮、世界最高水準のコスト競争力の実現、製鉄事業グループ会社の体質強化等の諸施策の推進に努めてまいりました。
当社グループと致しましては、各セグメントにおいて各社がそれぞれの環境変化に対応しながら、最大限の経営努力を重ねてまいりました。各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(当期のセグメント別の業績の概況)
製鉄 | エンジニ アリング | 化学 | 新素材 | システム ソリュー ション | 合計 | 調整額 | 連結財務諸表計上額 | ||
売上高 | 当期 | 50,172 | 2,942 | 2,007 | 370 | 2,442 | 57,935 | △1,248 | 56,686 |
(億円) | 前期 | 40,522 | 2,675 | 1,742 | 345 | 2,325 | 47,610 | △1,281 | 46,328 |
経常利益 | 当期 | 2,457 | 91 | 154 | 19 | 232 | 2,955 | 20 | 2,975 |
(億円) | 前期 | 1,380 | 68 | 45 | 17 | 221 | 1,732 | 12 | 1,745 |
<製鉄>製鉄セグメントについては、国内マザーミル競争力の強化とグローバル戦略の推進を大きな柱として諸施策に取り組んでまいりました。
国内においては、製鉄所等の強化・再建を基本経営課題として、設備と人材の両面で製造実力の強化策を引き続き推進してまいりました。設備面では、室蘭製鐵所のコークス炉の改修を決定するなど、基幹設備のリフレッシュを含めた各種設備の健全性の維持・強化を行ってまいりました。また、人材面では、世代交代が進むなかで確実に技能伝承を行うべく、採用の強化と長期的な視点に立った人材育成施策を推進してまいりました。また、和歌山製鐵所においては、上工程部門(製銑・製鋼部門)を担う連結子会社の日鉄住金鋼鉄和歌山㈱を当社が吸収合併し、当社の事業インフラの活用を通じた経営効率のより一層の向上を図っていくことと致しました。
一方、海外においては、成長市場における需要の捕捉や需要家の皆様の海外展開に即応した事業体制の構築を図るなど、グローバル供給体制の一層の充実を図ってまいりました。たとえば、自動車マーケットにおける需要の伸長が期待されるインドネシアにおいては、高級・高品質の自動車用鋼板の製造・販売を行う合弁会社が営業運転を開始致しました。また、ブラジルにおける持分法適用関連会社であるウジミナス社について、同社を共同経営するアルゼンチンのテルニウム社との間で、新たなガバナンスルールの導入等に関する基本合意書を締結し、ウジミナス社の競争力及び企業価値の向上に両社が一致協力して取り組むことを確認致しました。
さらに、インドにおいては、中長期的に大幅な成長が見込まれる需要を着実に捕捉するため、同国のエッサールスチール社をアルセロールミッタル社と共同で買収するための手続きに参画することと致しました。また、今後も堅調な需要の伸びが期待される特殊鋼分野において、技術・品質・商品開発力の一層の強化と、グローバル事業の強化・拡大を図るため、欧州に製造・販売拠点をもち、軸受鋼等で世界トップレベルの技術を有するスウェーデンのオバコ社の買収に係る契約を締結するとともに、国内においては、持分法適用関連会社である山陽特殊製鋼㈱の子会社化等の検討を開始することと致しました。
技術先進性の発揮の面では、当社が開発した合金鉄溶解炉による「省資源・環境調和型・高生産性ステンレス製鋼プロセス」が、生産工学等における顕著な業績を表彰する大河内賞(第64回)において、最高賞である「大河内記念生産特賞」を受賞しました。本プロセスにより、ステンレス鋼製造時に発生するクロム含有のスクラップ等が全量リサイクル可能となるなど、環境面だけでなく、生産性の向上とコスト削減にも貢献しております。また、自動車分野においては、君津製鐵所に超ハイテン鋼板の製造設備を新設することを決定致しました。これにより、自動車業界における車体の軽量化・高強度化ニーズを捕捉し、需要家の皆様の価値創造に貢献する高機能素材及びソリューション技術の提供に努めてまいります。
これらに加えて、コスト改善の観点から原燃料費の低減や製造歩留の向上等にも引き続き取り組むとともに、鋼材価格については、原材料価格の高騰等を踏まえて、需要家の皆様に御理解いただけるよう丁寧な対応に努めてまいりました。製鉄セグメントとして、売上高は5兆172億円(前年同期は4兆522億円)、経常利益は2,457億円(前年同期は1,380億円)となりました。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱については、原油価格の上昇、海外鉄鋼メーカーの投資再開等、事業環境に改善の兆しが見られました。また、建築分野等の国内向けの事業環境が堅調であったこと、加えて、プロジェクト実行管理が着実に行われたこと等から、売上高・損益ともに増加しました。エンジニアリングセグメントとして、売上高は2,942億円(前年同期は2,675億円)、経常利益は91億円(前年同期は68億円)となりました。
<化学>新日鉄住金化学㈱については、機能材料事業において、回路基板材料やディスプレイ材料でスマートフォン等の電子機器向けの販売が伸び、両製品ともに過去最高の年間販売数量を記録しました。化学品事業においても、主力製品であるスチレンモノマーの需給環境が良好に推移し、着実に収益を確保しました。また、コールケミカル事業においても、電炉向けの黒鉛電極の旺盛な需要によるニードルコークスの需給逼迫とリチウムイオン電池の負極材向けコークスの需要伸長を背景に、製品の価格水準が上昇するなど、販売環境が大幅に好転しました。これらの結果、売上高・損益ともに増加しました。化学セグメントとして、売上高は2,007億円(前年同期は1,742億円)、経常利益は154億円(前年同期は45億円)となりました。
<新素材>新日鉄住金マテリアルズ㈱については、半導体・電子産業部材において、サスペンション材等の金属箔の販売が
引き続き好調に推移しました。また、環境・エネルギー部材においても、新興国での需要を着実に捕捉したメタル
担体の販売が拡大しました。市場競争激化の影響を受けたものの、販売の拡大により売上高・損益ともに増加しま
した。新素材セグメントとして、売上高は370億円(前年同期は345億円)、経常利益は19億円(前年同期は17億円)となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱については、幅広い業種の顧客に対し、システムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供するとともに、顧客の事業環境変化に対応した先進的なソリューション・サービスを展開しております。当期は、顧客企業によるAI・機械学習やIoTを活用した生産・物流現場等における業務の高度化ニーズの高まりに対応するソリューション展開を推進し、売上高・損益ともに増加しました。システムソリューションセグメントとして、売上高は2,442億円(前年同期は2,325億円)、経常利益は232億円(前年同期は221億円)となりました。
(売上・損益)
当期の連結業績については、設備トラブル、天候不順等による生産・出荷量の減少に加え、主原料価格の高騰、並びにスクラップ・合金等の副原料価格、資材費、物流費等の上昇など減益影響はあったものの、コスト改善施策の着実な実行と海外事業を含めたグループ会社の業績改善、在庫評価差等の増益要因もあり、売上高は5兆6,686億円(前年同期は4兆6,328億円)、営業利益は1,823億円(前年同期は1,142億円)、経常利益は2,975億円(前年同期は1,745億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,950億円(前年同期は1,309億円)となりました。
また、当期の単独業績については、売上高は3兆2,666億円(前年同期は2兆9,742億円)、営業利益は64億円(前年同期は△291億円)、経常利益は1,072億円(前年同期は481億円)、当期純利益は1,182億円(前年同期は415億円)となりました。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
平成29年度を実行最終年度とする「2017年中期経営計画」の収益、財務体質の各目標とそれに対する平成29年度までの達成状況は以下のとおりです。
平成29年度(実績) | 平成29年度(目標) | ||
売上高利益率(ROS) | 5.2% | 10%以上 | |
自己資本利益率(ROE) | 6.4% | 10%以上 | |
D/Eレシオ | 0.66 | 0.5程度 | |
コスト改善 (単独・累計(*)) | 年率1,500億円 | 年率1,500億円以上 |
(*) 平成27年度~平成29年度の3カ年累計
当社は「2017年中期経営計画」(実行期間:平成27年度~平成29年度)において、「国内マザーミル競争力の強化」、「グローバル戦略の推進」、「技術先進性の発揮」、「世界最高水準のコスト競争力の実現」及び「製鉄事業グループ会社の体質強化」を5本の柱として取り組んでまいりました。しかしながら、中国の過剰生産能力問題、原油価格下落に伴うエネルギー分野の需要減少、石炭価格の高騰・乱高下及び市況原料等のコストアップといった環境の変化、設備トラブル、天候不順等による生産・出荷量の減少もあり、コスト改善については中期経営計画で掲げた1,500億円の改善を達成したものの、同計画で掲げた収益、財務体質の各目標の水準には到達しませんでした。
株主還元につきましては、剰余金の配当は「連結配当性向年間20~30%」を目安とする方針に対し、平成29年度は連結配当性向31.7%となりました。
平成30年度を実行初年度とする「2020年中期経営計画」においては、「第一部 企業情報 第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の諸施策の着実な推進を通じ、収益、財務体質の各目標の達成に向け取り組んでまいります。