有価証券報告書-第94期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/25 15:00
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93項目
当社グループは当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組替えて比較分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。
② 当期末の資産、負債、資本及び当期のキャッシュ・フロー
当期末の連結総資産は、山陽特殊製鋼㈱・オバコ社の子会社化等による営業債権及びその他の債権の増加(1,362億円)、棚卸資産の増加(1,672億円)、有形固定資産の増加(1,228億円)に対し、投資有価証券の公正価値の減少や売却を主因とした非流動資産のその他の金融資産の減少(1,949億円)等により、前期末(7兆7,561億円)から2,933億円増加し8兆495億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆3,692億円と前期末(2兆1,577億円)から2,114億円増加したこと等があり、前期末(4兆2,312億円)から2,109億円増加し4兆4,421億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する当期利益2,511億円による増加、配当金の支払いによる減少(707億円)、株式交換等による自己株式の処分等による増加(733億円)に加え、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の減少(866億円)、在外営業活動体の換算差額の減少(605億円)等により、前期末(3兆5,248億円)から824億円増加し3兆6,073億円となりました。
なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は3兆2,307億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.73倍となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益2,487億円に減価償却費及び償却費(4,086億円)や事業再編損(494億円)の加算がある一方、棚卸資産の増加(1,294億円)や法人所得税の支払い(808億円)等もあり、4,523億円の収入(前年同期は4,855億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(4,387億円)、山陽特殊製鋼㈱・オバコ社の子会社化を中心とした関係会社株式の取得による支出(384億円)がある一方、投資有価証券の売却による収入(876億円)等もあり、3,818億円の支出(前年同期は3,631億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは705億円の収入(前年同期は1,223億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、山陽特殊製鋼㈱・オバコ社の子会社化等による有利子負債の増加(767億円)を控除した実質的な有利子負債の増加(1,347億円)に加え、前期末及び当第2四半期末の配当(707億円)等により、429億円の支出(前年同期は1,049億円の支出)となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物は1,631億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称前連結会計年度 金額(百万円)当連結会計年度 金額(百万円)
製鉄5,833,9896,106,906
エンジニアリング248,596312,422
ケミカル&マテリアル216,927239,980
システムソリューション247,290275,948
合計6,546,8036,935,257

(注) 1 金額は製造原価による。
2 上記の金額には、グループ向生産分を含む。
3 2018年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントと致しました。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称前連結会計年度
受注高(百万円)
当連結会計年度
受注高(百万円)
前連結会計年度
受注残高(百万円)
当連結会計年度
受注残高(百万円)
エンジニアリング355,768305,526372,043355,351
システムソリューション186,621225,35686,100106,521
合計542,389530,882458,143461,872

(注) 1 上記の金額には、グループ内受注分を含まない。なお、前連結会計年度まではグループ内受注分を含む金額を開示していたが、当連結会計年度よりグループ内受注分を含まない受注高及び受注残高を開示している。
2 「製鉄」、「ケミカル&マテリアル」は、多種多様な製品毎に継続的且つ反復的に注文を受けて生産・出荷する形態を主としており、その受注動向は、生産実績や販売実績に概ね連動していく傾向にあり、また、需要動向等についても、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載していることから、金額又は数量についての記載を省略している。
c. 販売実績
当連結会計年度における外部顧客に対する販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称前連結会計年度 金額(百万円)当連結会計年度 金額(百万円)
製鉄4,983,3355,408,633
エンジニアリング260,908321,346
ケミカル&マテリアル234,108243,014
システムソリューション190,310204,952
IFRS調整44,302
合計5,712,9656,177,947

(注) 1 前連結会計年度及び当連結会計年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりである。
前連結会計年度当連結会計年度
輸出販売高(百万円)輸出割合(%)輸出販売高(百万円)輸出割合(%)
1,983,78934.72,124,75834.4

(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は、次のとおりである。
輸出先前連結会計年度(%)当連結会計年度(%)
アジア64.261.7
中近東5.95.3
欧州5.47.9
北米13.213.4
中南米8.58.9
アフリカ1.92.2
大洋州0.90.6
合計100.0100.0

(注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
日鉄住金物産㈱849,24414.91,170,24118.9
住友商事㈱772,94213.5762,88812.3
㈱メタルワン592,14610.4631,63910.2

4 2018年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントと致しました。
なお、生産、受注及び販売等に関する特記事項については、本報告書「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」等に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、引当金の計上、非金融資産の減損に係る会計基準における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当期の世界経済は、中国において景気の減速傾向が見られたものの、米国では景気が底堅く推移したことに加え、新興国経済も総じて安定基調を維持したことから、全体としては緩やかな成長が継続しました。日本経済は、雇用環境が引き続き好調に推移したほか、設備投資も増加し、緩やかな回復が継続しました。
国内鉄鋼需要については、自動車向け等で堅調に推移し、海外鉄鋼需要については、全体として増加基調となりました。国内市況については、底堅い需要を背景に、概ね高い水準を維持した一方、海外市況については、第3四半期において一時的に下落したものの、全体としては堅調に推移しました。
このような環境のなか、当社グループは、2018年3月に策定した2020年中期経営計画において、社会・産業の変化に対応した素材とソリューションの提供、グローバル事業展開の強化・拡大、国内マザーミルの「つくる力」の継続強化、鉄鋼製造プロセスへの高度ITの実装、持続可能な社会の実現への貢献(SDGs)の5つを取り組むべき中長期の課題と捉え、諸施策の推進に努めてまいりました。
当社グループと致しましては、各セグメントにおいて各社がそれぞれの環境変化に対応しながら、最大限の経営努力を重ねてまいりました。各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
なお、2018年10月、新日鉄住金化学㈱と新日鉄住金マテリアルズ㈱が統合し日鉄ケミカル&マテリアル㈱が発足したことにより、化学セグメントと新素材セグメントを統合し、ケミカル&マテリアルセグメントと致しました。
(当期のセグメント別の業績の概況)
製鉄エンジニ
アリング
ケミカル&マテリアル(*1)システム
ソリュー
ション
合計調整額(*2)連結財務諸表計上額
売上収益当期54,5453,5672,4702,67563,258△1,47861,779
(億円)前期50,1722,9422,3782,44257,935△80557,129
セグメント利益当期2,746942502653,358113,369
(億円)前期2,457911732322,955△682,887

(*1)前期のケミカル&マテリアルの数値は化学セグメントと新素材セグメントの合算値。
(*2)IFRS調整を含む。
<製鉄>製鉄セグメントについては、安全最優先のもとで、「つくる力」の再構築と「売る力」の強化を柱に収益基盤の立直しを図ってまいりました。
国内においては、和歌山製鐵所で高炉の新鋭化や、八幡製鐵所で連続鋳造設備の新設等を行うなど最適生産体制の構築に継続的に取り組むとともに、室蘭製鐵所の上工程を担う北海製鉄㈱の高炉改修や名古屋製鐵所のコークス炉改修を決定するなど、新鋭設備の導入や既存設備のリフレッシュを行い、設備の健全性の維持・強化に継続的に取り組んでまいりました。また、就労人口が減少するなかで確実な人材確保と世代交代を進めるべく、多様な人材の採用の強化と長期的な視点に立った技能伝承、人材育成施策、人口減少による人手不足に対応すべく省力化(IT活用、自動化)の推進、生産の安定化、生産性向上等に取り組んでまいりました。
海外においては、需要が確実に伸びる市場、あるいは当社の技術力・商品力が活きる分野に経営資源を重点投入し、相手国の自国産化に貢献しつつ、当社海外事業の収益力拡大を図ってまいりました。当期においては、成長するアジア市場において一貫製造拠点を確保するため、インドの高炉一貫鉄鋼メーカーであるエッサールスチール社をアルセロールミッタル社と共同で買収し経営するための手続きを進めております。買収完了後は、当社とアルセロールミッタル社は、インドに鉄源一貫製鉄所を持つ鉄鋼メーカーとして、拡大するインドの鉄鋼需要を中長期的に取り込むことが可能となります。
また、グループ事業体制の強化についても継続して取り組んでまいりました。本年1月に日新製鋼㈱を完全子会社化し、当社グループのステンレス事業について、同年4月にステンレス鋼板事業や溶接ステンレス鋼管事業の再編・統合を行い、各事業のさらなる競争力強化を図ることと致しました。特殊鋼事業については、本年3月に山陽特殊製鋼㈱を子会社化すると同時に当社が昨年6月に完全子会社化したスウェーデンの特殊鋼メーカーであるオバコ社を山陽特殊製鋼㈱の完全子会社とすることで、軸受鋼をコアとする特殊鋼製品の技術力・コスト競争力を一層高めてまいります。
さらに、多様化・高度化する社会・産業の変化に対応した素材開発及び利用加工技術等のソリューションの提供を拡大してまいりました。先進的な素材開発はもとより部品構造や加工技術の組合せにより車体軽量化・衝突安全性向上等を実現する次世代自動車構造コンセプト「NSafe®-AutoConcept」や、出雲大社の二の鳥居(勢溜大鳥居)にも採用された普通鋼の4倍から8倍もの耐候性を持つ素材「COR-TEN®」、大手コンビニエンスストアのロードサイド店舗への採用が拡大している大幅な鋼材重量の削減を実現する溶接軽量H形鋼「SMart BEAM®」等、様々な分野で鉄の新たな可能性を提案してまいりました。
世界をリードする技術開発の推進(技術先進性の発揮)の面では、生産工学等における顕著な業績を表彰する大河内賞(第65回)において、「環境負荷低減型超ハイテン橋梁ケーブル用ワイヤ向け線材の開発」で「大河内記念生産賞」を受賞しました。また、科学技術の進歩、産業の発展に貢献した技術開発者を表彰する伝統と権威ある市村賞(第51回)において、「高延性厚鋼板の開発による船舶衝突安全性の向上」で「市村産業賞 貢献賞」、「水素社会の実現を加速する高圧水素用高強度ステンレス鋼の開発」で「市村地球環境産業賞 貢献賞」のダブル受賞を達成しました。
環境面における取組みにおいては、省エネ・CO2削減、循環型社会の形成に貢献してまいりました。当社が2000年から取り組んでいるコークス炉化学原料化法によるプラスチックリサイクルが当期において累計リサイクル量300万トンを達成しました。これによる環境負荷削減効果は、CO2削減量としては約960万トン、埋め立て処分地の回避としては約1200万㎥相当となります。
これらに加えて、コスト改善の観点から原燃料費の低減や製造歩留の向上等にも引き続き取り組むとともに、鋼材価格については、原材料価格の高騰等を踏まえて、需要家の皆様に御理解いただけるよう丁寧な対応に努めてまいりました。製鉄セグメントとして、売上収益は5兆4,545億円(前年同期は5兆172億円)、セグメント利益は2,746億円(前年同期は2,457億円)となりました。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱(2019年4月1日付で日鉄エンジニアリング㈱に商号変更)については、製鉄・環境・エネルギー関連のプラント分野における建設・施設運営から、大型鋼構造建造物・超高層建築物・パイプライン建設等の多様な領域で、総合エンジニアリング技術をグローバルに提供しております。当期は、国内エネルギー関連の受注が堅調であり、また、建築や環境分野等の国内向けも引き続き堅調であったことから、昨年度に続き高水準の受注を達成することができました。売上収益・損益については、着実な実行管理によりプロジェクトが順調に進捗したことから、エンジニアリングセグメントとして、売上収益は3,567億円(前年同期は2,942億円)、セグメント利益は94億円(前年同期は91億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>2018年10月に統合発足した日鉄ケミカル&マテリアル㈱については、コールケミカル事業の主力商品であるニードルコークスについて、引き続き黒鉛電極向け需要が好調に推移し、国内外の市況も高水準を維持しました。化学品事業では、原油価格の下落や需給の弱含みから、スチレンモノマーの価格が一時下落しましたが、現在は回復基調にあります。機能材料分野では、スマートフォン向け材料や半導体関連材料の販売において一部陰りが見えたものの、液晶ディスプレイ用レジスト材料、有機EL材料、金属箔は安定して売上を確保しました。複合材料分野では、補修・補強用途を中心に、土木・建築分野向け炭素繊維複合材料の販売が伸長し、過去最高の売上収益となりました。ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は2,470億円(前年同期は2,378億円)、セグメント利益は250億円(前年同期は173億円)となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱(2019年4月1日付で日鉄ソリューションズ㈱に商号変更)については、幅広い業種の顧客に対し、先進的なソリューション・サービスを含めたシステムの企画、構築、運用・保守を一貫して提供しております。当期は、顧客の業務高度化ニーズ等による旺盛なシステム投資等を背景に、好調な事業環境が継続しました。その中で、IoTを活用した工場等の作業現場における「安全見守り」ソリューションの展開や、AIを活用したデータ分析プラットフォームの展開等を積極的に推進するとともに、当社及びグループ会社の商号変更や事業再編に伴うシステム対応を進めてまいりました。システムソリューション事業として、売上収益は2,675億円(前年同期は2,442億円)、セグメント利益は265億円(前年同期は232億円)となりました。
(売上・損益)
当社グループは、グローバル展開の一層の推進による企業価値の向上と資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、当期末(2019年3月期)から国際会計基準(IFRS)に従って連結財務諸表を作成しております。
当期の連結業績については、豪雨・台風等の自然災害、主原料価格の上昇や市況原料・資材費・物流費の高騰等のコストアップ、当社及びグループ会社の在庫評価差影響等が大きかったものの、全社を挙げた設備・操業安定化対策の推進やコスト改善の着実な実行に加え、2018年度上期における海外市況の上昇等を中心とした鋼材価格の改善や製鉄以外の事業部門の収益改善等により、売上収益は6兆1,779億円(前年同期は5兆7,129億円)、事業利益は3,369億円(前年同期は2,887億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,511億円(前年同期は1,808億円)となりました。
また、当期の単独業績については、売上高は3兆5,622億円(前年同期は3兆2,666億円)、営業利益は251億円(前年同期は64億円)、経常利益は1,123億円(前年同期は1,072億円)、当期純利益は1,453億円(前年同期は1,182億円)となりました。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
2020年度を実行最終年度とする「2020年中期経営計画」の収益、財務体質の各目標とそれに対する2018年度までの達成状況は以下のとおりです。
2018年度(実績)2020年度(目標)
売上収益事業利益率(ROS)5.5%10%程度
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)7.9%10%程度
D/Eレシオ0.730.7程度
コスト改善(単独)440億円年率1,500億円(*)
連結配当性向28.4%30%程度

(*) 2018年度~2020年度の3カ年累計
上記の経営成績についての、分析・検討内容は「第一部 企業情報 第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。

(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しております。
(のれんの償却停止)
日本基準では、のれんを一定期間にわたり均等償却しておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行わず毎期減損テストを実施しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が105億円増加しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に、一定の年数による定額法で純損益として費用処理しておりましたが、IFRSでは、数理計算上の差異を含む確定給付負債(資産)の純額の再測定はその他の包括利益として認識後、利益剰余金に即時振替しており、過去勤務費用は純損益として即時認識しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が199億円減少し、その他の包括利益が199億円(税効果前)増加しております。
(資本性金融商品に係る会計処理)
日本基準では、投資有価証券売却損益・投資有価証券評価損を純損益として認識しておりましたが、IFRS適用にあたって、資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益・評価損を純損益として認識しておりません。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、税引前利益が209億円減少し、その他の包括利益が209億円(税効果前)増加しております。