四半期報告書-第98期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/09 15:00
【資料】
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【項目】
38項目
(1)経営成績の状況
当期の連結業績につきましては、連結売上収益は1兆9,191億円(前年同期は1兆5,031億円)、連結事業利益は3,388億円(前年同期は2,170億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,309億円(前年同期は1,621億円)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。当社グループは、製鉄事業を中核として、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しており、製鉄セグメントが連結売上収益の約9割を占めています。
(当期のセグメント別の業績の概況) (単位:億円)
売上収益事業利益
当第1四半期連結累計期間前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間前第1四半期連結累計期間
製鉄17,50213,5153,3162,025
エンジニアリング70959133△5
ケミカル&マテリアル7415789262
システムソリューション6536646677
合計19,60715,3493,5092,160
調整額△415△317△1209
要約四半期連結損益計算書計上額19,19115,0313,3882,170

<製鉄>鉄鋼需要については、中国の経済成長の減速が鮮明化したことに加え、同国のロックダウン解除後もサプライチェーンの混乱に回復が見通せないなか、ASEANを中心に、鋼材市況が下落し、需要も減退しました。このような事業環境のなか、当社は従来からの抜本的な収益構造対策を継続推進するとともに、経営環境変化に即応するための業務サイクルの短縮化や紐付き分野における適正なマージンの確保に向けた取組みの強化等を推進した結果、当第1四半期の業績は、生産・出荷数量の減少はあるものの、販売価格・マージン(為替影響を含む)の改善や在庫評価差等により、前年同期比で増収・増益となりました。
製鉄セグメントとして、売上収益は1兆7,502億円(前年同期は1兆3,515億円)、事業利益は3,316億円(前年同期は2,025億円)となりました。
<エンジニアリング>日鉄エンジニアリング㈱においては、製鉄プラントセクターでの大規模設備改修や、環境・エネルギーセクターでの洋上風力発電設備建設、海外海洋ガス田開発案件、廃棄物発電施設建設及び運営受託、都市インフラセクターでの大型物流倉庫建設等で、着実なプロジェクト実行管理を行ったことにより、堅調な売上を計上することができ、前年同期比で増収・増益となりました。引き続き、資材の高騰やコロナ感染状況等、事業環境の変化を注視し、事業に取り組んでまいります。
エンジニアリングセグメントとして、売上収益は709億円(前年同期は591億円)、事業利益は33億円(前年同期は△5億円)となりました。
<ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱やロシア・ウクライナ情勢に伴う原燃料高騰の影響はありましたが、円安の進行に加えてコスト増分の販売価格への転嫁や高付加価値品の拡販継続等により、前年同期比で増収・増益となりました。コールケミカル事業では需要が回復していた黒鉛電極向けニードルコークスが一部の地域で停滞感を見せており、化学品事業ではベンゼンは好調を維持したものの、ビスフェノールAの需要が低迷しました。機能材料事業では、データセンター向けハードディスクドライブサスペンション材用金属箔や、半導体パッケージ基板向けエポキシ樹脂、封止材向けセラミック球状微粒子、ボンディングワイヤ等の半導体関連材料が好調を維持し、販売が伸長しました。また、複合材料事業では、土木・建築補強向け炭素繊維複合材料やスポーツ分野向け炭素繊維の販売が好調を継続しました。
ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は741億円(前年同期は578億円)、事業利益は92億円(前年同期は62億円)となりました。
<システムソリューション>日鉄ソリューションズ㈱においては、今後の日本企業のDX本格展開を見据え、お客様との関係性を深化させながら、全社を挙げてDXニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。成長に向けた取組みとして、AI領域での対応力や業務プロセスのデジタル化支援等に強みを持つ企業との資本業務提携契約や戦略的パートナーシップ契約の締結を行うなど、DXニーズへの対応力を強化致しました。また、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」を6月より提供開始するなど、新規ソリューション開発にも取り組んでまいりました。加えて、無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、製鉄所設備の早期異常検知を目的とした実運用を開始したほか、同社の統合データマネジメントサービスをベースに統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、当社のDX推進に向けた取組みを進めてまいりました。
システムソリューションセグメントとして、売上収益は653億円(前年同期は664億円)、事業利益は66億円(前年同期は77億円)となりました。
(2)当第1四半期連結会計期間末の資産、負債、資本及び当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー
当第1四半期連結会計期間末の連結総資産は、棚卸資産の増加(2,194億円)、有形固定資産の増加(538億円)、持分法で会計処理されている投資の増加(1,023億円)等があった一方で、現金及び現金同等物の減少(1,402億円)等があり、前期末(8兆7,523億円)から2,720億円増加し9兆244億円となりました。
負債については、有利子負債が2兆6,187億円と前期末(2兆6,533億円)から346億円減少した一方で、営業債務及びその他の債務の増加(177億円)、その他の流動負債の増加(134億円)等により、前期末(4兆8,553億円)から26億円増加し4兆8,579億円となりました。
資本については、親会社の所有者に帰属する四半期利益2,309億円による増加、配当金の支払いによる減少(829億円)に加え、在外営業活動体の換算差額の増加(938億円)等により、前期末(3兆8,970億円)から2,694億円増加し4兆1,664億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は3兆7,314億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.70倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.55倍)となりました。
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益3,340億円に、減価償却費及び償却費(815億円)の加算がある一方、持分法による投資損益(452億円)の控除の調整に加え、棚卸資産の増加(2,052億円)、法人所得税の支払(1,036億円)による支出等があり、715億円の収入(前年同期は977億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(107億円)等があった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(935億円)等により、793億円の支出(前年同期は64億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは77億円の支出(前年同期は913億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少(541億円)、前期末の配当(829億円)等により、1,431億円の支出(前年同期は789億円の支出)となりました。以上により、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は4,108億円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書(第97期有価証券報告書)に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(7)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は164億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について、重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数について、著しい変動はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産及び販売の実績が著しく増加しております。なお、詳細については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載しております。
(10)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、重要な設備の新設、除却等の計画について、以下の計画が加わりました。
新設
会社名
事業所名
所在地セグメント
の名称
設備の内容投資予定金額
(億円)
資金調達方法着手及び完了予定能力等
総額既支払額着手完了
当社
名古屋製鉄所
愛知県
東海市
製鉄次世代
熱延設備
2,70046自己資金及び借入金等2022年
5月
2026年度
第1四半期
600万t/年

改修
会社名
事業所名
所在地セグメント
の名称
設備の内容投資予定金額
(億円)
資金調達方法着手及び完了予定能力等
総額既支払額着手完了
当社
九州製鉄所
大分県
大分市
製鉄第2コークス炉(付帯設備を含む)5000自己資金及び借入金等2022年
6月
2025年度
下半期
80万t/年