四半期報告書-第156期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響による景気減速から先行き不透明な状況が続きました。日本経済においても新型コロナウイルス感染症拡大防止のための経済活動制限などによって設備投資は弱含み厳しい状況が続きましたが、一方で、公共投資は大規模自然災害からの復旧・復興対策などに向けて底堅く推移しました。
このような環境下、当社グループの主要市場である石油・ガス市場においては新型コロナウイルス感染症の影響と原油価格下落の影響が継続し、案件の遅延や延期の動きが見られました。半導体市場においては引き続き設備投資は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により顧客の投資スケジュールに遅れが見られました。建築設備市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響による工事中断や遅延の動きがありました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の受注高は、半導体市場における設備投資が一部で先送りの動きは見られるものの需要は底堅く、精密・電子事業が好調に推移したことで前年同期を上回りました。売上高は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって国内外の建築設備市場を中心に風水力事業で伸び悩みました。また環境プラント事業においては、EPC(プラントの設計・調達・建設)案件の工事進捗が端境期にあることから減収となり、全体としては前年同期を下回りました。営業利益は、風水力事業において収益性の改善が進んだことや新型コロナウイルス感染症拡大による営業活動の制限に伴い固定費が減少したことなどにより前年同期を上回りました。
当第2四半期連結累計期間における売上高は2,454億79百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は136億56百万円(前年同期比5.3%増)、経常利益は124億28百万円(前年同期比6.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は74億34百万円(前年同期比7.4%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
《事業セグメント別の概況》
(単位:百万円)
前述のとおり、第1四半期連結会計期間の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
《事業セグメント別の事業環境と事業概況》
(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。
2.O&M(Operation & Maintenance)……プラントの運転管理・メンテナンス
DBO(Design, Build, Operate)……プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・メンテナンスを
一定期間請け負う。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて受取手形及び売掛金が309億14百万円、仕掛品が189億62百万円減少した一方、現金及び預金が735億13百万円増加したことなどにより、332億69百万円増加し、6,285億8百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて支払手形及び買掛金が83億67百万円減少した一方、短期借入金が320億33百万円、流動負債その他(前受金等)が171億44百万円増加したことなどにより、362億7百万円増加し、3,396億19百万円となりました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産について、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益74億34百万円及び連結範囲の変動に伴う利益剰余金5億25百万円により増加した一方、「収益認識に関する会計基準」等の適用による当期首残高44億73百万円の減少及び配当金の支払い28億53百万円により6億32百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定が35億86百万円減少したことなどにより、前年度末に比べて29億38百万円減少し、2,888億88百万円となりました。自己資本は2,814億34百万円で、自己資本比率は44.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、593億75百万円の収入超過(前年同期比291億68百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出155億円などにより、133億27百万円の支出超過(前年同期比14億89百万円の支出増加)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、460億47百万円の収入超過(前年同期比276億78百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で313億17百万円増加したことや、配当金を28億53百万円支払ったことなどにより、270億70百万円の収入超過(前年同期比208億18百万円の収入増加)となりました。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から745億10百万円増加し、1,678億62百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、企業価値向上のために適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としており、強固な財務体質と高い資本効率をともに兼ね備えることが重要だと考えています。
自己資本は信用格付として維持すべき水準と考える『シングルAフラット(※)』となり、現在の事業推進に必要十分な状態となっています。従って、現在の当社の財務の状態においては、売上債権、棚卸資産を圧縮し、創出された資金を厳選した成長投資に振り向け固定資産を増強する一方、資本効率を高めるために自己資本を一定水準に抑制していきます。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、資金の流動性については、連結売上高の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、手許流動性を確保しています。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。
なお、足許では新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、手許流動性と資金調達枠の確保に努めます。代替流動性と社債の発行枠の状況は以下のとおりです。
代替流動性
当座貸越契約 50億円
コミットメントライン契約 450億円
いずれの契約においても、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
社債発行枠
社債 発行登録枠 600億円
コマーシャルペーパー 発行限度枠 400億円
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、53億3百万円です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(6) 今後の見通し
《事業セグメント別の事業環境の見通し》
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
前第2四半期 連結累計期間 | 当第2四半期 連結累計期間 | 増減額 | 増減率 (%) | |
受注高 | 245,648 | 257,603 | 11,955 | 4.9 |
売上高 | 248,055 | 245,479 | △2,576 | △1.0 |
営業利益 | 12,973 | 13,656 | 683 | 5.3 |
売上高営業利益率 (%) | 5.2 | 5.6 | - | - |
経常利益 | 13,349 | 12,428 | △920 | △6.9 |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 | 8,025 | 7,434 | △590 | △7.4 |
1株当たり四半期純利益 (円) | 81.91 | 78.08 | △3.82 | △4.7 |
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響による景気減速から先行き不透明な状況が続きました。日本経済においても新型コロナウイルス感染症拡大防止のための経済活動制限などによって設備投資は弱含み厳しい状況が続きましたが、一方で、公共投資は大規模自然災害からの復旧・復興対策などに向けて底堅く推移しました。
このような環境下、当社グループの主要市場である石油・ガス市場においては新型コロナウイルス感染症の影響と原油価格下落の影響が継続し、案件の遅延や延期の動きが見られました。半導体市場においては引き続き設備投資は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により顧客の投資スケジュールに遅れが見られました。建築設備市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響による工事中断や遅延の動きがありました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の受注高は、半導体市場における設備投資が一部で先送りの動きは見られるものの需要は底堅く、精密・電子事業が好調に推移したことで前年同期を上回りました。売上高は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって国内外の建築設備市場を中心に風水力事業で伸び悩みました。また環境プラント事業においては、EPC(プラントの設計・調達・建設)案件の工事進捗が端境期にあることから減収となり、全体としては前年同期を下回りました。営業利益は、風水力事業において収益性の改善が進んだことや新型コロナウイルス感染症拡大による営業活動の制限に伴い固定費が減少したことなどにより前年同期を上回りました。
当第2四半期連結累計期間における売上高は2,454億79百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は136億56百万円(前年同期比5.3%増)、経常利益は124億28百万円(前年同期比6.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は74億34百万円(前年同期比7.4%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
《事業セグメント別の概況》
(単位:百万円)
セグメント | 受注高 | 売上高 | セグメント損益 | ||||||
前第2四半期連結累計期間 | 当第2四半期連結累計期間 | 増減率 (%) | 前第2四半期連結累計期間 | 当第2四半期連結累計期間 | 増減率 (%) | 前第2四半期連結累計期間 | 当第2四半期連結累計期間 | 増減率 (%) | |
風水力 | 161,761 | 150,337 | △7.1 | 154,227 | 149,286 | △3.2 | 5,319 | 8,206 | 54.3 |
環境プラント | 30,589 | 36,077 | 17.9 | 32,177 | 28,755 | △10.6 | 3,096 | 2,291 | △26.0 |
精密・電子 | 52,537 | 70,446 | 34.1 | 60,891 | 66,715 | 9.6 | 4,454 | 3,751 | △15.8 |
報告セグメント計 | 244,888 | 256,861 | 4.9 | 247,297 | 244,757 | △1.0 | 12,870 | 14,249 | 10.7 |
その他 | 760 | 741 | △2.4 | 758 | 722 | △4.8 | 87 | △553 | - |
調整額 | - | - | - | - | - | - | 14 | △39 | - |
合計 | 245,648 | 257,603 | 4.9 | 248,055 | 245,479 | △1.0 | 12,973 | 13,656 | 5.3 |
前述のとおり、第1四半期連結会計期間の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
《事業セグメント別の事業環境と事業概況》
セグメント | 2020年12月期 第2四半期の事業環境 | 2020年12月期 第2四半期の事業概況と受注高の増減率 (注)1 | ||
風水力 | ポンプ | <海外>・石油・ガス市場は、新型コロナウイルス感染症拡大と原油価格下落の影響により、案件の遅延・延期の動きが出ている。 ・水インフラ市場は、特に中国、東南アジアの新規案件と、北米での老朽化設備更新の需要が増加傾向にあるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、発注者である公共機関の機能低下に伴い各案件の始動が遅れている。 ・電力市場はCO2排出規制の影響を受けて 石炭火力が低調であるが、ガス火力の需 要は堅調。 <国内>・建築設備市場は、建築着工棟数の減少等により縮小傾向にある。 ・社会インフラの更新・補修に対する投資は、前年同期と同程度。 | <海外>・石油・ガス関連の受注は前年同期を下回る。 ・水インフラの受注は、前年同期を下回る。 ・電力関連の受注は前年同期を上回る。 <国内>・建築設備向けの受注は新型コロナウイルス感染症の影響による工事中断や着工遅延などにより、前年同期を下回る。 ・公共向けの受注は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大等の施策の効果により前年同期を上回る。 | ![]() |
コンプ レッサ・ タービン | ・新規製品市場全体としては、中国で石油化学が依然堅調に推移している一方、北米では石油化学やLNGプロジェクトで遅延、停滞感が出ている。インド、ロシア、中東では投資が遅延傾向にある。 ・サービス市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の移動制限により、指導員派遣で影響が続いており、全体として低調に推移している。 ・LNG市場(クライオポンプ)は、一部案件に動きはあるものの、原油価格下落の影響が続いており、投資判断が遅延傾向にある。 | ・新規製品の受注は低調であるものの、厳しい価格競争や案件遅延の影響が大きかった前年同期を上回る。 ・サービス分野の受注は、前年同期を下回る。 | ![]() | |
冷熱 | ・国内では、新型コロナウイルス感染症の影響により、設備更新計画の凍結、既設製品の定期メンテナンス案件の延期が相次いでいる。 ・中国では、長期に及んだ経済活動制限の影響により、回復が遅れている。 | ・国内の受注は前年同期を下回る。 ・中国の受注は前年同期を下回る。 | ![]() | |
環境プラント (注)2 | ・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移している。 ・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。 ・民間企業向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチック等を処理する産業廃棄物処理施設の建設需要は継続している。 | ・公共向け廃棄物処理施設の新規DBO案件を1件受注するとともに、前期までに落札済みのDBO案件の長期包括部分を受注した。O&Mセグメントの受注は安定的に推移しており、前年同期を上回る。 <大型案件の受注状況>・公共向け廃棄物処理施設のDBO案件 (1件) ・公共向け長期包括契約(前期までに落札したDBO案件の長期包括部分)(1件) | ![]() | |
精密・電子 | ・半導体市場・半導体製造装置市場は、新型コロナウイルス感染症拡大により生じた世界的な経済活動停滞により、一部では顧客の投資スケジュールに遅れが見られるが、テレワーク普及等によるデータセンター向け需要の伸長などもあり、全体としては回復傾向にある。 ・ファウンドリの設備投資は全体的に活発化しつつあり、メモリメーカの設備投資も回復の傾向が見られた。 | ・一部のメモリメーカの設備投資回復、およびファウンドリの設備投資拡大により、受注高は前年同期を上回る。 ・顧客の稼働状況は高く、一部の顧客では新型コロナウイルスの感染症拡大による稼働停止リスクを低減するため、予備部品等を通常より多く抱える動きなどがあり、サービス&サポートは好調に推移した。 | ![]() |
(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。
+5%以上の場合は | ![]() | 、△5%以下の場合は | ![]() | 、±5%の範囲内の場合は | ![]() | で表しています。 |
2.O&M(Operation & Maintenance)……プラントの運転管理・メンテナンス
DBO(Design, Build, Operate)……プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・メンテナンスを
一定期間請け負う。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて受取手形及び売掛金が309億14百万円、仕掛品が189億62百万円減少した一方、現金及び預金が735億13百万円増加したことなどにより、332億69百万円増加し、6,285億8百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて支払手形及び買掛金が83億67百万円減少した一方、短期借入金が320億33百万円、流動負債その他(前受金等)が171億44百万円増加したことなどにより、362億7百万円増加し、3,396億19百万円となりました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産について、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益74億34百万円及び連結範囲の変動に伴う利益剰余金5億25百万円により増加した一方、「収益認識に関する会計基準」等の適用による当期首残高44億73百万円の減少及び配当金の支払い28億53百万円により6億32百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定が35億86百万円減少したことなどにより、前年度末に比べて29億38百万円減少し、2,888億88百万円となりました。自己資本は2,814億34百万円で、自己資本比率は44.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、593億75百万円の収入超過(前年同期比291億68百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出155億円などにより、133億27百万円の支出超過(前年同期比14億89百万円の支出増加)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、460億47百万円の収入超過(前年同期比276億78百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で313億17百万円増加したことや、配当金を28億53百万円支払ったことなどにより、270億70百万円の収入超過(前年同期比208億18百万円の収入増加)となりました。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から745億10百万円増加し、1,678億62百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、企業価値向上のために適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としており、強固な財務体質と高い資本効率をともに兼ね備えることが重要だと考えています。
自己資本は信用格付として維持すべき水準と考える『シングルAフラット(※)』となり、現在の事業推進に必要十分な状態となっています。従って、現在の当社の財務の状態においては、売上債権、棚卸資産を圧縮し、創出された資金を厳選した成長投資に振り向け固定資産を増強する一方、資本効率を高めるために自己資本を一定水準に抑制していきます。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、資金の流動性については、連結売上高の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、手許流動性を確保しています。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。
なお、足許では新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、手許流動性と資金調達枠の確保に努めます。代替流動性と社債の発行枠の状況は以下のとおりです。
代替流動性
当座貸越契約 50億円
コミットメントライン契約 450億円
いずれの契約においても、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
社債発行枠
社債 発行登録枠 600億円
コマーシャルペーパー 発行限度枠 400億円
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、53億3百万円です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(6) 今後の見通し
《事業セグメント別の事業環境の見通し》
セグメント | 事業環境 | |
風水力 | ポンプ | <海外>・原油価格の下落、新型コロナウイルス感染症拡大による景気減退の影響により、石油化学・石油精製プラント向け新規製品市場・サービス市場共に、投資の落ち込みや投資判断の遅延が見込まれる。 ・水インフラ市場は、増加傾向にあった中国、東南アジア、北米での需要も新型コロナウイルス感染症拡大の影響により遅延が見込まれる。 ・電力市場では、大型石炭火力市場が縮小すると見込まれる。 ・中東情勢の不安定化により、新規製品、サービス分野のプロジェクトが延期もしくは凍結される可能性がある。 <国内>・建築設備向け市場は、東京オリンピック・パラリンピックまでに開業を目指した首都圏の大型開発が一服し新規案件に切り替わるが、当社業績への影響は来期以降となる見込み。中小案件は新型コロナウイルス感染症の影響による工事中断や着工遅延などにより減少が見込まれる。 ・公共向けは自然災害に対する事前防災対策や社会インフラの老朽化対策が推進されることにより堅調に推移する見込みだが、新型コロナウイルス感染症の影響による大型案件の発注遅れが懸念される。 ・国内石炭火力発電容量の大幅な縮減が検討されており、火力発電分野におけるアフターサービスの縮小傾向が強まる可能性がある。 |
コンプレッサ・タービン | ・原油価格の低迷、新型コロナウイルス感染症拡大による景気減退の影響が続いており、石油化学・石油精製プラント向け新規製品市場・サービス市場共に、投資の落ち込みや投資判断の遅延が見込まれる。 ・LNG市場は停滞感があり、大型案件では遅れが出始め、今後一定の影響が見込まれる。 ・中東では新規製品で延期される案件が出てきている一方、サービス分野では一部プロジェクトに動きが出てきている。 | |
冷熱 | ・国内市場は、生活様式の激変を経て、宿泊施設や大型ショッピングセンター等の市場は縮小・低調のまま推移する見込み。 ・中国は、世界に先駆けていち早い経済回復が見込まれたものの、長期に及んだ経済活動制限の影響により、回復の遅れが見込まれる。 | |
環境プラント | ・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移すると見込まれる。 ・民間企業向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチック等を処理する産業廃棄物処理施設の建設需要は継続すると見込まれる。 ・既存施設のO&Mの需要は例年並みと見込まれる。 ・新型コロナウイルスの感染状況が継続した場合、発注の延期や工事進捗の遅延等が生じる可能性がある。 | |
精密・電子 | ・新型コロナウイルス感染症拡大の影響には引き続き注視が必要であるが、中長期的なICAC5(IoT, Cloud, AI, Car(車の自動運転), 5G)を中心とした半導体需要の拡大による半導体製造装置市場の成長傾向に変化はないと見込んでいる。一方で、米中貿易摩擦による世界経済への影響と半導体製造メーカの投資動向の変化については注意深く見ていく必要がある。 |