四半期報告書-第159期第1四半期(2023/01/01-2023/03/31)

【提出】
2023/05/15 15:38
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41項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額増減率 (%)
受注高177,005197,90920,90311.8
売上収益152,808184,07131,26220.5
営業利益14,17715,2641,0867.7
売上収益営業利益率 (%)9.38.3--
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
10,2518,098△2,152△21.0
基本的1株当たり四半期利益 (円)111.4487.95△23.48△21.1

当第1四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレ、金融引き締めに伴う企業の投資抑制など経済活動には減速感がみられました。中国ではゼロコロナ政策の解除や、日本においても新型コロナウイルス感染症の抑制対策と経済活動の両立によってウィズコロナの新たな段階への移行が進んでおり、設備投資は緩やかに持ち直しつつありますが、金融政策による欧米での景気後退懸念や、米中の輸出管理規制強化など地政学リスクの高まりもあり、依然として不透明な状況が継続しています。
このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とする3カ年の中期経営計画「E-Plan2025」を策定し、「顧客起点での価値創造」をテーマに、それぞれの事業で更なる競争力の強化を図るため対面市場別組織へ移行し、経営指標の達成に向けた各種施策の取り組みを進めています。
当第1四半期連結累計期間の受注高は、エネルギー事業が対面する石油・ガス市場における需要の増加や、環境事業における国内大型案件の受注など、精密・電子事業を除く各セグメントで前年同期を上回り好調に推移しました。一方、精密・電子事業の受注高においては、2022年後半以降の半導体需要の減速を受けた半導体メーカによる設備投資計画の延期や在庫調整の動きが鮮明となり前年同期を大きく下回りました。売上収益は、前年に中国でのロックダウン影響を受けた建築・産業事業に加えてエネルギー事業での売上増や、部材不足の解消などにより生産状況の改善が進んだ精密・電子事業で伸長しました。営業利益は増収に加え、価格改定効果や円安影響により増益となり、受注高、売上収益、営業利益はいずれも当第1四半期連結累計期間として過去最高額を更新しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における受注高は1,979億9百万円(前年同期比11.8%増)、売上収益は1,840億71百万円(前年同期比20.5%増)、営業利益は152億64百万円(前年同期比7.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は80億98百万円(前年同期比21.0%減)となりました。
事業セグメント別の概況は以下のとおりです。 なお、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおり、当第1四半期連結累計期間より報告セグメントを変更しています。以下、前第1四半期連結累計期間との比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。
《事業セグメント別の概況》
(単位:百万円)
セグメント受注高売上収益セグメント損益
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減率
(%)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減率
(%)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間増減率
(%)
建築・産業47,30152,26910.541,15853,08629.02,0343,99196.2
エネルギー29,18862,378113.728,81635,97224.81,5911,109△30.3
インフラ14,66415,6586.817,69520,36915.14,4584,8358.4
環境16,35433,300103.621,61517,896△17.21,9681,831△7.0
精密・電子68,99734,031△50.743,13556,43830.84,7603,491△26.6
報告セグメント計176,506197,63812.0152,421183,76420.614,81315,2583.0
その他498270△45.7386307△20.6△455△246-
調整額------△179252-
合計177,005197,90911.8152,808184,07120.514,17715,2647.7

《事業セグメント別の事業環境と事業概況》
セグメント2023年12月期
第1四半期の事業環境
2023年12月期
第1四半期の事業概況と受注高の増減率(注1)
建築・産業<海外>・欧米の建築設備市場は、資材やエネルギーコストの高止まり及びインフレや利上げによる投資の落ち込みにより、鈍化傾向が継続している。
・中国の建築設備市場は、新規着工件数が減少しており市場成長の減速がみられる。産業市場はコロナ禍からの経済回復に伴い、ハイテク産業の伸びが堅調である。
<国内>・建築設備市場は、建築着工棟数の回復傾向が継続しており、サービス市場での需要も増加傾向である。
・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。
<海外>・コロナ禍からの経済回復や2022年の北米ポンプメーカ買収効果により、中国及び北南米での受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。
<国内>・低環境負荷製品投入などの施策効果により製品の受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。
エネルギー・新規製品市場は、インドや中東では石油化学市場等の案件に動きがあり、特にサウジアラビア等の大型案件が始動している。北米ではインフレ等の影響はあるもののLNG市場向けを中心に活発な動きがみられる。中国ではゼロコロナ政策解除後、経済状況が復調傾向にあり、案件の引合いが増加している。
・サービス市場は、全般的にメンテナンス・修理・部品などの需要が堅調に推移している。
・製品の受注高は、大型案件の受注により、前年同期を上回る。
・サービス分野の受注高は、前年同期を上回る。
インフラ<海外>・中国国内の水利案件は純国産ブランドへの移行が進行し、厳しい状況が続いている。
・東南アジアでは、経済成長や都市化による上下水道整備や老朽化施設の再整備分野で回復傾向にある。
・北米市場は、インフラ投資法案可決もあり、主に上水道分野の需要が増加傾向にある。
<国内>・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。
・公共向け建設市場は、前期を上回る水準で推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。
<海外>・水インフラの受注高は前年同期を上回る。
<国内>・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取組により、前年同期並み。
環境
(注)2
<国内>・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年通りに推移している。
・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。
・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。
<国内>・今期はEPCの大型案件受注があり前年同期と比較して受注高は大幅に上回る。
【大型案件の受注状況】
・公共向け廃棄物処理施設のDBO案件(1件)
・民間向けバイオマス発電施設の長期包括案件(1件)

セグメント2023年12月期
第1四半期の事業環境
2023年12月期
第1四半期の事業概況と受注高の増減率(注1)
精密・電子・コロナ禍以降に継続してきた半導体需要の急伸が一段落したことを受け、半導体メーカでは設備投資計画を延期する動きが強く、半導体製造装置市場は調整局面にある。・ロジック・ファウンドリ、メモリメーカいずれも投資を減速させた影響を受け、受注高は前年同期を下回る。

(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。
+5%以上の場合は、△5%以下の場合は、±5%の範囲内の場合はで表しています。

2.O&M(Operation & Maintenance) ……プラントの運転管理・メンテナンス
DBO(Design, Build, Operate)………プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・
メンテナンスを一定期間請け負う。

(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて契約資産が226億87百万円、その他の流動資産が93億41百万円減少した一方、現金及び現金同等物が295億83百万円、営業債権及びその他の債権が203億89百万円増加したことなどにより、301億83百万円増加し、8,582億32百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が196億45百万円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が373億16百万円、その他の流動負債が57億61百万円、契約負債が53億4百万円増加したことなどにより、300億49百万円増加し、4,883億73百万円となりました。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本について、配当金を99億42百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益80億98百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が20億41百万円増加したこと等により前年度末に比べて1億33百万円増加し、3,698億59百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は3,605億60百万円で、親会社所有者帰属持分比率は42.0%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、122億20百万円の収入超過(前年同期比54億50百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出80億96百万円などにより、83億50百万円の支出超過(前年同期比18億39百万円の支出増加)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、38億69百万円の収入超過(前年同期比36億11百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が純額で380億90百万円増加したことや、配当金の支払い99億42百万円などにより、251億38百万円の収入超過(前年同期比461億70百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から295億83百万円増加し、1,457億21百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。
契約の種別ならびに当第1四半期連結会計期間末の借入未実行残高は次のとおりです。
種別金額
当座貸越契約50億円
コミットメントライン契約800億円
借入実行高△350億円
借入未実行残高500億円

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、38億45百万円です。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 今後の見通し
《事業セグメント別の事業環境の見通し》
セグメント事業環境
建築・産業<海外>・中国はハイテク産業市場が急速に成長する一方、建築設備および公共市場における回復ペースは鈍化すると見込まれる。
・欧米はインフレやサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢の長期化などの影響により設備投資の鈍化傾向が継続すると見込まれる。
<国内>・建築設備市場は、マンション関連分野で資材価格の高止まりによる建設コストが高騰しており需要が減速するとみられるが、ビルや工場、物流施設分野は設備投資の持ち直しが続くとみられ、市場全体としては2022年並みを維持すると見込まれる。
・産業市場は、一部で一時的な需要減速が見込まれ、設備投資計画の修正や延期などが懸念されるが、市場全体としては設備投資などの需要回復が継続すると見込まれる。
エネルギー・新規製品市場は、中東や経済が回復傾向にある中国では、石油化学プラント等に動きが見込まれる。LNG市場では北米や中東等を中心に堅調に推移することが見込まれる。
・サービス市場は、メンテナンス・修理需要が活況から一服し、通常レベルに戻るとみられる。
・脱炭素関連市場は、水素やアンモニア、二酸化炭素の回収・貯蔵・有効利用等で案件に動きがみられる。
・電力市場は、国内では石炭火力発電所でのアンモニア混焼案件が始動している。中国では引き続き火力発電の新設/高効率化改造の案件が進行している。
インフラ<海外>・世界的なインフレ・景気減速により公共投資も抑制される見通しだが、人口増による水需要はアジア・アフリカを中心に堅調である。また、地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増えており、河川排水ポンプや排水ポンプ車などは一定の需要が続くことが見込まれる。
<国内>・国土交通省が公表した「第5次社会資本整備重点計画」で激甚化・頻発化する自然災害、加速するインフラの老朽化が社会情勢の変化として取り上げられており、関連する社会インフラの更新・補修に対する投資は堅調に推移する見込みである。
環境<国内>・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は、概ね例年通り推移すると見込まれる。
・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設の建設需要は継続すると見込まれる。
・既存施設のO&Mは、民間への発注が増加傾向にあるが、需要は短期的には例年並みと見込まれる。
精密・電子・半導体市場および半導体製造装置市場は、一部の半導体の種類・用途で需給逼迫が継続しているものの、市場全体としては一時的な調整局面にある。一方、中長期的には、ICAC5(IoT、Cloud、AI、Car(電気自動車・車の自動運転)、5G)、DX、GX向けの需要拡大を背景とした、市場の成長見通しに変化はないと見込まれる。