訂正有価証券報告書-第159期(2023/01/01-2023/12/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により社会経済活動の正常化が進み、個人消費や企業の設備投資には緩やかな回復が見られました。一方、世界経済ではウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレの継続、金融引き締め政策に伴う企業の投資抑制など経済活動には減速感がみられました。中国や欧米を中心とした景気後退懸念や、米中の対立による半導体輸出管理規制強化など地政学リスクは継続しており、依然として先行き不透明な状況が継続しています。
このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とする3か年の中期経営計画「E-Plan2025」を策定し、「顧客起点での価値創造」をテーマに、更なる競争力の強化を図るため対面市場別組織へ移行し、経営指標の達成に向けた各種施策の取り組みを進めています。
当連結会計年度の受注高は、「エネルギー」においては、北米を中心にLNG市場向けの需要が活況で大型案件を複数受注したほか、アジアでも石油化学市場向けの大型案件を受注し、前期と比べて大幅に増加しました。一方で、「精密・電子」においては、半導体メーカの設備投資抑制や工場稼働調整に一部で底打ちの兆しは見られたものの、低調に推移しました。全社の受注高は、「精密・電子」の減少を他の事業がカバーしたことで前期を上回りました。売上収益は、「環境」を除く各事業で前期を上回り好調に推移しました。「建築・産業」や「エネルギー」、「インフラ」が順調に受注を伸ばしたことや、「精密・電子」において部材不足の解消により生産状況が改善し、前期末から高水準で推移していた受注残高の消化が進んだことで売上収益が増加しました。営業利益は、人件費の上昇や事業活動拡大に伴う固定費が増加傾向にあるものの、増収に加え、価格改定効果等により増益となりました。
これらの結果、当連結会計年度における受注高は8,205億98百万円(前期比0.7%増)、売上収益は7,593億28百万円(前期比11.5%増)、営業利益は860億25百万円(前期比21.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は602億83百万円(前期比19.4%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおり、第1四半期連結累計期間より報告セグメントを変更しています。以下、前連結累計期間との比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。
(単位:百万円)
<建築・産業>建築設備市場は、全般的に海外では成長がやや鈍化する一方、国内の設備投資は堅調に推移しました。受注高は、不動産市況が低調な中国において、省エネ製品への需要の高まりや公共インフラ投資の進展などもあり、産業市場や公共系市場向けで増加しました。売上収益は、受注高の増加や価格改定効果などにより前期を上回りました。セグメント利益は、増収効果に加え、製品価格改定による収益性改善もあり増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から164億82百万円増の2,213億51百万円、売上収益は286億52百万円増の2,221億81百万円、営業利益は43億36百万円増の157億37百万円となりました。
<エネルギー>LNG市場は北米を中心に活発な動きが見られました。また、石油化学市場においても北米、アジア、中東の需要が堅調に推移し受注も好調に推移しました。特に中国では石油化学向け、電力向けも堅調でした。売上収益は、製品受注が好調で北米や中東、中国を含むアジアで増収となり、サービス&サポートも堅調に推移しました。セグメント利益は、増収効果に加え、製品の収益性改善や価格改定効果によって、増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から747億43百万円増の2,227億76百万円、売上収益は236億23百万円増の1,672億29百万円、営業利益は54億10百万円増の223億47百万円となりました。
<インフラ>国内においてポンプ設備の更新・補修に対する需要は堅調で、受注高は下期に大型案件を複数受注したことで前期を上回りました。海外の水インフラ向けでも受注高は増加しました。国内外ともに売上収益を伸ばしたことによる増益効果と収益性の高い工事進行売上が進捗したことにより、セグメント利益は前期比で増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から30億72百万円増の566億58百万円、売上収益は39億19百万円増の501億78百万円、営業利益は6億79百万円増の46億4百万円となりました。
<環境>受注高は、DBOの大型案件および長期包括案件を合計で2件受注しましたが、前期と比較して減少しました。売上収益は、過年度のEPC案件における受注が少なかった影響で、当期のEPC売上が減少しました。一方で、O&Mは安定して売上を計上しました。セグメント利益は、O&M売上比率の上昇に加え、売電事業における収益性改善などにより増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から49億56百万円減の1,008億54百万円、売上収益は21億98百万円減の715億40百万円、営業利益は32億64百万円増の69億33百万円となりました。
※O&M(Operation & Maintenance)…プラントの運転管理・メンテナンス
EPC(Engineering, Procurement, Construction)…プラントの設計・調達・建設
DBO(Design, Build, Operate)…プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・メンテナンスを
一定期間請け負う。
<精密・電子>半導体市場は、中国の半導体メーカで活発な投資が継続していますが、グローバルにおいては設備投資の延期や一部中止が継続しています。受注高は、中国の一部顧客による積極投資も見られましたが、全体的な需要は依然として低水準でした。売上収益については、CMPにおいては、期初受注残の消化が着実に進んだことで増収となりましたが、コーポネントにおいては、顧客の工場の稼働率が低調だった影響を受け減収となりました。セグメント利益については、サービス&サポート売上が減少し固定費も増加したものの、増収効果や為替影響により増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から837億59百万円減の2,177億91百万円、売上収益は247億38百万円増の2,469億98百万円、営業利益は21億2百万円増の382億85百万円となりました。
《セグメント別の事業環境と事業概況》
生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
② 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(2)財政状態
① 資産
当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて現金及び現金同等物が319億22百万円、棚卸資産が 192億78百万円、営業債権及びその他の債権が116億98百万円、有形固定資産が101億66百万円、のれん及び無形資産が70億48百万円増加したことなどにより、858億50百万円増加し、9,139億円となりました。
② 負債
当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が230億23百万円減少した一方、契約負債が297億50百万円、社債、借入金及びリース負債が259億15百万円増加したことなどにより、340億4百万円増加し、4,923億27百万円となりました。
③ 資本
当連結会計年度末における資本は、配当金を189億43百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する当期利益602億83百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が99億29百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて518億46百万円増加し、4,215億72百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は4,098億75百万円で、親会社所有者帰属持分比率は44.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、700億12百万円の収入超過(前期比329億42百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出344億67百万円などにより、356億25百万円の支出超過(前期比26億99百万円の支出減少)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、343億87百万円の収入超過(前期比356億41百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で224億33百万円増加したことや、配当金の支払い189億43百万円などにより、46億58百万円の支出超過(前期比190億90百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から319億22百万円増加し、1,480億59百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。
契約の種別並びに当連結会計年度末の借入未実行残高は次のとおりです。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績
(単位:百万円)
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率 (%) | |
受注高 | 815,218 | 820,598 | 5,379 | 0.7 |
売上収益 | 680,870 | 759,328 | 78,458 | 11.5 |
営業利益 | 70,572 | 86,025 | 15,452 | 21.9 |
売上収益営業利益率 (%) | 10.4 | 11.3 | - | - |
親会社の所有者に帰属する 当期利益 | 50,488 | 60,283 | 9,794 | 19.4 |
基本的1株当たり当期利益 (円) | 548.61 | 653.64 | 105.03 | 19.1 |
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により社会経済活動の正常化が進み、個人消費や企業の設備投資には緩やかな回復が見られました。一方、世界経済ではウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレの継続、金融引き締め政策に伴う企業の投資抑制など経済活動には減速感がみられました。中国や欧米を中心とした景気後退懸念や、米中の対立による半導体輸出管理規制強化など地政学リスクは継続しており、依然として先行き不透明な状況が継続しています。
このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とする3か年の中期経営計画「E-Plan2025」を策定し、「顧客起点での価値創造」をテーマに、更なる競争力の強化を図るため対面市場別組織へ移行し、経営指標の達成に向けた各種施策の取り組みを進めています。
当連結会計年度の受注高は、「エネルギー」においては、北米を中心にLNG市場向けの需要が活況で大型案件を複数受注したほか、アジアでも石油化学市場向けの大型案件を受注し、前期と比べて大幅に増加しました。一方で、「精密・電子」においては、半導体メーカの設備投資抑制や工場稼働調整に一部で底打ちの兆しは見られたものの、低調に推移しました。全社の受注高は、「精密・電子」の減少を他の事業がカバーしたことで前期を上回りました。売上収益は、「環境」を除く各事業で前期を上回り好調に推移しました。「建築・産業」や「エネルギー」、「インフラ」が順調に受注を伸ばしたことや、「精密・電子」において部材不足の解消により生産状況が改善し、前期末から高水準で推移していた受注残高の消化が進んだことで売上収益が増加しました。営業利益は、人件費の上昇や事業活動拡大に伴う固定費が増加傾向にあるものの、増収に加え、価格改定効果等により増益となりました。
これらの結果、当連結会計年度における受注高は8,205億98百万円(前期比0.7%増)、売上収益は7,593億28百万円(前期比11.5%増)、営業利益は860億25百万円(前期比21.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は602億83百万円(前期比19.4%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおり、第1四半期連結累計期間より報告セグメントを変更しています。以下、前連結累計期間との比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。
(単位:百万円)
セグメント | 受注高 | 売上収益 | セグメント損益 | ||||||
前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減率 (%) | |
建築・産業 | 204,869 | 221,351 | 8.0 | 193,529 | 222,181 | 14.8 | 11,401 | 15,737 | 38.0 |
エネルギー | 148,032 | 222,776 | 50.5 | 143,605 | 167,229 | 16.5 | 16,936 | 22,347 | 31.9 |
インフラ | 53,586 | 56,658 | 5.7 | 46,258 | 50,178 | 8.5 | 3,924 | 4,604 | 17.3 |
環境 | 105,810 | 100,854 | △4.7 | 73,738 | 71,540 | △3.0 | 3,669 | 6,933 | 89.0 |
精密・電子 | 301,551 | 217,791 | △27.8 | 222,259 | 246,998 | 11.1 | 36,183 | 38,285 | 5.8 |
報告セグメント計 | 813,849 | 819,432 | 0.7 | 679,391 | 758,128 | 11.6 | 72,114 | 87,907 | 21.9 |
その他 | 1,368 | 1,165 | △14.9 | 1,478 | 1,199 | △18.8 | △1,216 | △933 | - |
調整額 | - | - | - | - | - | - | △325 | △949 | - |
合計 | 815,218 | 820,598 | 0.7 | 680,870 | 759,328 | 11.5 | 70,572 | 86,025 | 21.9 |
<建築・産業>建築設備市場は、全般的に海外では成長がやや鈍化する一方、国内の設備投資は堅調に推移しました。受注高は、不動産市況が低調な中国において、省エネ製品への需要の高まりや公共インフラ投資の進展などもあり、産業市場や公共系市場向けで増加しました。売上収益は、受注高の増加や価格改定効果などにより前期を上回りました。セグメント利益は、増収効果に加え、製品価格改定による収益性改善もあり増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から164億82百万円増の2,213億51百万円、売上収益は286億52百万円増の2,221億81百万円、営業利益は43億36百万円増の157億37百万円となりました。
<エネルギー>LNG市場は北米を中心に活発な動きが見られました。また、石油化学市場においても北米、アジア、中東の需要が堅調に推移し受注も好調に推移しました。特に中国では石油化学向け、電力向けも堅調でした。売上収益は、製品受注が好調で北米や中東、中国を含むアジアで増収となり、サービス&サポートも堅調に推移しました。セグメント利益は、増収効果に加え、製品の収益性改善や価格改定効果によって、増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から747億43百万円増の2,227億76百万円、売上収益は236億23百万円増の1,672億29百万円、営業利益は54億10百万円増の223億47百万円となりました。
<インフラ>国内においてポンプ設備の更新・補修に対する需要は堅調で、受注高は下期に大型案件を複数受注したことで前期を上回りました。海外の水インフラ向けでも受注高は増加しました。国内外ともに売上収益を伸ばしたことによる増益効果と収益性の高い工事進行売上が進捗したことにより、セグメント利益は前期比で増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から30億72百万円増の566億58百万円、売上収益は39億19百万円増の501億78百万円、営業利益は6億79百万円増の46億4百万円となりました。
<環境>受注高は、DBOの大型案件および長期包括案件を合計で2件受注しましたが、前期と比較して減少しました。売上収益は、過年度のEPC案件における受注が少なかった影響で、当期のEPC売上が減少しました。一方で、O&Mは安定して売上を計上しました。セグメント利益は、O&M売上比率の上昇に加え、売電事業における収益性改善などにより増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から49億56百万円減の1,008億54百万円、売上収益は21億98百万円減の715億40百万円、営業利益は32億64百万円増の69億33百万円となりました。
※O&M(Operation & Maintenance)…プラントの運転管理・メンテナンス
EPC(Engineering, Procurement, Construction)…プラントの設計・調達・建設
DBO(Design, Build, Operate)…プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・メンテナンスを
一定期間請け負う。
<精密・電子>半導体市場は、中国の半導体メーカで活発な投資が継続していますが、グローバルにおいては設備投資の延期や一部中止が継続しています。受注高は、中国の一部顧客による積極投資も見られましたが、全体的な需要は依然として低水準でした。売上収益については、CMPにおいては、期初受注残の消化が着実に進んだことで増収となりましたが、コーポネントにおいては、顧客の工場の稼働率が低調だった影響を受け減収となりました。セグメント利益については、サービス&サポート売上が減少し固定費も増加したものの、増収効果や為替影響により増益となりました。
これらの結果、受注高は前期から837億59百万円減の2,177億91百万円、売上収益は247億38百万円増の2,469億98百万円、営業利益は21億2百万円増の382億85百万円となりました。
《セグメント別の事業環境と事業概況》
セグメント | 2023年12月期の事業環境 | 2023年12月期の事業概況と 受注高の増減率 (注)1 | |
建築・産業 | <海外>・北米は金利の高止まりと建設コストの高騰、労働力不足により市場が停滞している。 ・欧州はインフレ及び金利上昇により投資が抑制され、特に住宅市場が低迷している。 ・中国は商業や住宅向け等の不動産投資の抑制により、建築市場が低迷している。一方、産業・公共系市場などは政府の投資により堅調である。 <国内>・建築設備市場は、建築着工棟数が前年同期減少に転じているが、サービス市場での需要は増加傾向である。 ・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。 | <海外>・中国の産業・公共系市場における投資継続、および2022年の北米ポンプメーカ買収効果等により、中国及び北南米での受注が堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。 <国内>・低環境負荷製品投入などの施策効果により堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。 | ![]() |
エネルギー | ・新規製品市場は、北米・アジア・中東地域を中心に石油化学市場向け案件の需要が継続している。LNG市場向けは、前期に引き続き、特に北米・中東地域で活発な動きがみられる。中国の電力市場も引き続き活発に推移している。 ・サービス市場は、全般的にメンテナンス・修理・部品等の需要が堅調に推移している。 | ・製品の受注高は、前期を上回る。 ・サービス分野の受注高は、前期の活況に比べ落ち着きがみられる。 | ![]() |
インフラ | <海外>・水インフラ市場は、中国では政府による景気刺激策が需要を下支えしたほか、東南アジアや北米においても経済成長や施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。 <国内>・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。 ・公共向け建設市場は、前期を上回る水準で推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。 | <海外>・水インフラ向けの受注高は前期を上回る。 <国内>・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取組みにより、前期を上回る。 | ![]() |
環境 (注)2 | <国内>・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年通りに推移している。 ・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。 ・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。 | <国内>・EPCの受注高は前期比では下がっているもののほぼ計画通り。 ・O&Mの受注高は期末の大型案件受注により前期を上回る。 [大型案件の受注状況] ・公共向け廃棄物処理施設のDBO案件(1件) ・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事及び長期包括運営契約(1件) | ![]() |
精密・電子 | ・半導体需要の低迷は底打ちして、顧客の製品在庫の正常化も進んではいるものの、未だ本格的な増産投資再開には至っていない。一部の顧客では工場稼働率が上がってきたが、総じて調整局面が継続している。 | ・中国の一部半導体メーカを除き、ロジック・ファウンドリ、メモリメーカはいずれも投資を減速させており、受注高は前期を下回る。 | ![]() |
(注) | 1. | 矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。 |
+5%以上の場合は | ![]() | 、△5%以下の場合は | ![]() | 、±5%の範囲内の場合は | ![]() | で表しています。 |
2. | EPC(Engineering, Procurement, Construction) | ………プラントの設計・調達・建設 | |
O&M(Operation & Maintenance) | ………プラントの運転管理・メンテナンス | ||
DBO(Design, Build, Operate) | ………プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管理・メ ンテナンスを一定期間請け負う。 |
生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
報告セグメント | ||
建築・産業 | 217,297 | 12.0 |
エネルギー | 160,375 | 26.2 |
インフラ | 44,502 | △30.1 |
環境 | 11,550 | △46.2 |
精密・電子 | 199,532 | 8.7 |
報告セグメント計 | 633,258 | 7.4 |
その他 | 328 | △16.1 |
合計 | 633,586 | 7.4 |
② 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
報告セグメント | ||||
建築・産業 | 221,351 | 8.0 | 60,693 | △3.3 |
エネルギー | 222,776 | 50.5 | 210,159 | 42.5 |
インフラ | 56,658 | 5.7 | 67,409 | 13.2 |
環境 | 100,854 | △4.7 | 346,965 | 9.3 |
精密・電子 | 217,791 | △27.8 | 205,462 | △11.0 |
報告セグメント計 | 819,432 | 0.7 | 890,690 | 8.9 |
その他 | 1,165 | △14.9 | 33 | △51.0 |
合計 | 820,598 | 0.7 | 890,723 | 8.9 |
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
報告セグメント | ||
建築・産業 | 222,181 | 14.8 |
エネルギー | 167,229 | 16.5 |
インフラ | 50,178 | 8.5 |
環境 | 71,540 | △3.0 |
精密・電子 | 246,998 | 11.1 |
報告セグメント計 | 758,128 | 11.6 |
その他 | 1,199 | △18.8 |
合計 | 759,328 | 11.5 |
(注) | 上記①から③の金額は、いずれも販売価格によっており、セグメント間取引消去後の金額です。 |
(2)財政状態
① 資産
当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて現金及び現金同等物が319億22百万円、棚卸資産が 192億78百万円、営業債権及びその他の債権が116億98百万円、有形固定資産が101億66百万円、のれん及び無形資産が70億48百万円増加したことなどにより、858億50百万円増加し、9,139億円となりました。
② 負債
当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が230億23百万円減少した一方、契約負債が297億50百万円、社債、借入金及びリース負債が259億15百万円増加したことなどにより、340億4百万円増加し、4,923億27百万円となりました。
③ 資本
当連結会計年度末における資本は、配当金を189億43百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する当期利益602億83百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が99億29百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて518億46百万円増加し、4,215億72百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は4,098億75百万円で、親会社所有者帰属持分比率は44.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、700億12百万円の収入超過(前期比329億42百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出344億67百万円などにより、356億25百万円の支出超過(前期比26億99百万円の支出減少)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、343億87百万円の収入超過(前期比356億41百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で224億33百万円増加したことや、配当金の支払い189億43百万円などにより、46億58百万円の支出超過(前期比190億90百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から319億22百万円増加し、1,480億59百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。
契約の種別並びに当連結会計年度末の借入未実行残高は次のとおりです。
種別 | 金額 |
当座貸越契約 | 50億円 |
コミットメントライン契約 | 800億円 |
借入実行高 | - |
借入未実行残高 | 850億円 |
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。