四半期報告書-第146期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/14 15:30
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38項目
(1)経営成績
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」をスタートさせ、成長分野であるパワエレ事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当第3四半期連結累計期間における当社を取り巻く市場環境は、素材価格高騰や半導体不足が継続する中、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調により、製造業の設備投資の持ち直しの動きが継続しました。こうした中で、工作機械関連の需要が高水準で推移するとともに、自動車の電動化や省エネニーズの高まりを受け、器具分野、オートメーション分野、半導体分野の需要が大幅に拡大しました。
このような環境のもと、当第3四半期連結累計期間の連結業績の売上高は、部品調達難による生産影響を受けたものの、サプライチェーン最適化の取り組み等により旺盛な需要に対応し、「発電プラント」を除く4部門で増加し、前年同期に比べ586億71百万円増加の6,199億81百万円となりました。
損益面では、素材価格高騰の影響を受けたものの、売上高の増加に加え、原価低減の推進や製品販売価格の値上げ等により、営業損益は前年同期に比べ185億87百万円増加の326億60百万円となりました。経常損益は前年同期に比べ201億66百万円増加の341億22百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期に比べ294億29百万円増加の253億96百万円となり、営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する四半期純損益いずれも、第3四半期連結累計期間としては過去最高を更新しました。
<セグメント別状況>■パワエレ エネルギー部門
売上高:1,620億70百万円(前年同期比 18.9%増加) 営業損益:91億61百万円(前年同期比 41億83百万円増加)
器具分野を中心に全ての分野において需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、電力流通及び産業向け電源機器の大口案件等により、売上高は前年同期を上回りましたが、案件差等により、営業損益は前年同期を下回りました。
・施設・電源システム分野は、データセンター及び半導体メーカ向け案件の需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・器具分野は、工作機械をはじめとする国内外の機械セットメーカの需要が大幅に拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■パワエレ インダストリー部門
売上高:2,137億45百万円(前年同期比 6.0%増加) 営業損益:65億56百万円(前年同期比 42億56百万円増加)
ITソリューション分野の売上高が減少したものの、オートメーション分野を中心に需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・オートメーション分野は、低圧インバータ及びFAコンポーネントを中心に国内外で需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品の大口案件等を主因に、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・設備工事分野は、電気設備工事及び空調設備工事の需要が増加し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・ITソリューション分野は、前年同期の公共分野及び文教分野の大口案件影響等により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■半導体部門
売上高:1,294億43百万円(前年同期比 15.2%増加) 営業損益:191億65百万円(前年同期比 77億38百万円増加)
・半導体分野は、ディスク媒体事業からの撤退影響があったものの、電気自動車(xEV)向け及び産業分野向けのパワー半導体の需要拡大により、売上高は前年同期を上回りました。また、パワー半導体の生産能力増強及び研究開発に係る費用が増加したものの、売上高の大幅な増加により、営業損益も前年同期を上回りました。
■発電プラント部門
売上高:443億42百万円(前年同期比 12.7%減少) 営業損益:△11億26百万円(前年同期比 28億79百万円減少)
・発電プラント分野は、前年同期の再生可能エネルギーの大口案件影響により、売上高は前年同期を下回りました。また、売上高の減少及び案件差等により、営業損益も前年同期を下回りました。
■食品流通部門
売上高:653億40百万円(前年同期比 20.8%増加) 営業損益:15億66百万円(前年同期比 59億79百万円増加)
・自販機分野は、国内外の需要が拡大し、売上高は前年同期を上回りました。また、売上高の増加及び固定費削減等の推進により、営業損益も前年同期を上回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要拡大により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■その他部門
売上高:393億91百万円(前年同期比 2.5%増加) 営業損益:16億73百万円(前年同期比 4億98百万円増加)
(注)・第1四半期連結会計期間より、従来「電子デバイス」としていた報告セグメントの名称を「半導体」に変更しております。
・第2四半期連結会計期間より、従来「パワエレシステム エネルギー」及び「パワエレシステム インダストリー」としていた報告セグメントの名称を「パワエレ エネルギー」及び「パワエレ インダストリー」に変更しております。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産額は1兆506億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億11百万円減少しました。
流動資産は6,249億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億10百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ棚卸資産が125億43百万円減少したことなどによるものであります。
固定資産は4,255億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億14百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,411億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ79億48百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,844億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億34百万円減少しました。これは、主に投資有価証券が、売却を主因として、39億1百万円減少したことなどによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は5,667億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ239億28百万円減少しました。
流動負債は3,546億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億50百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ短期借入金が184億98百万円増加した一方で、仕入債務が131億78百万円、未払法人税等が83億48百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は2,121億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ221億78百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が198億45百万円減少したことなどによるものであります。
なお、当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は2,079億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億19百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は19.8%となり、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント減少しました。
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は4,838億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ226億17百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が142億49百万円、為替換算調整勘定が50億79百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は41.6%となり、前連結会計年度末に比べ2.0ポイント増加しました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
富士電機は、パワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱などのコア技術を活用して、創エネルギーからエネルギー安定供給や省エネルギー、オートメーション、モビリティの電動化など、多くの先端的なシステムを手掛けています。
当第3四半期連結累計期間における富士電機の研究開発費は244億39百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当第3四半期連結会計期間末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,359件です。
■パワエレ エネルギー部門
IoT・AI技術を活用して、受配電設備の保全計画立案から設備の監視、設備更新計画の立案までを支援する「まるごとスマート保安サービス」を開発し発売しました。エッジコントローラで収集した稼動データをクラウド上のサーバに蓄積して一元管理し、設備の稼働監視と劣化診断を行うことで予防保全を可能にし、設備保全業務の効率化を支援します。
産業変電分野では、冷却用に大豆由来の天然エステル絶縁油(FR3)を採用した導油式のFR3適用変圧器を開発しました。FR3は、従来の鉱油系絶縁油に比べて生分解性や引火点が高いため、環境負荷の低減や防火設備への投資費用および火災保険費用の削減を可能にします。
器具分野では、配線用遮断器・漏電遮断器「G-TWⅠNおよびG-TWⅠNラムダ 母線プラグイン」シリーズにおいて、半導体装置やデータセンター、低圧受電盤、分電盤向けに標準の30mmピッチ品と、北米・アジア・EUの規格を取得したグローバル対応の30mm・70mmピッチ品を開発し発売しました。プラグイン方式により、省スペース化と施工作業性が向上し、容量変更や増設が容易になります。また、ユーザーのグローバルな展開に貢献します。さらに、配線用遮断器・漏電遮断器「G-TWⅠN」シリーズ32~100AF用の「IP54対応N形外部操作ハンドル」および「IP20対応端子カバー」を開発し発売しました。外部操作ハンドルは、防塵・防水性能に関する保護等級IP54に対応するとともに、盤面フラット形の化粧板をオプションとして準備し、ハンドル操作部を盤面の内側に埋め込むことで、誤操作や盤輸送時の破損などのリスクを低減できます。端子カバーは、保護等級IP20に対応することで、盤内機器のメンテナンス時の安全性を向上し、機械制御盤の電気安全規格(IEC60204-1、NFPA79)を満足できます。
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は50億89百万円です。
■パワエレ インダストリー部門
システム事業拡大に向けて、データセンターや半導体工場、鉄鋼、鋳造、セメント、ごみ処理、化学、ガス、医薬・食品、電力、発電プラントなどのプラントシステムの開発・生産体制を強化するために東京工場(東京都日野市)に「プラントシステム棟」を新設し稼働を開始しました。現地のプラントを高い再現性で模擬する検証システムにより、工場出荷時のシステムの完成度を高め、実プラントの早期立ち上げ・稼働に貢献します。また、長年培った技術や経験を基に、さまざまなプラントに幅広く適用可能なプラントシステムの標準プラットフォームを構築しました。要求仕様に応じて、機器やソフトウェアを組み合わせて提供することで、リードタイムの短縮やシステムの品質・信頼性向上に貢献します。さらに、プラントシステムを構成する製品、ソフトウェアやソリューションをお客様に知っていただくために、実際の製品や大画面モニタを用いて紹介するコミュニケーションエリアを設けています。
スマートファクトリーを実現するため、パワエレ事業におけるシステム製品のマザー工場である東京工場で、自営の第5世代移動通信システム(ローカル5G)の実証実験を開始しました。工作機械や加工中の金属部品などの遮蔽物が多い環境下で電波の伝搬を調査し、生産管理システムなどの工場全体の情報を管理する基幹システムと、機械加工現場にある設備や機器との間における大容量データ通信の有効性を実証しています。本実証実験で得られた知見を当社の生産活動に活用するとともに、ローカル5Gの特長を生かしたソリューションを創出します。
FAコンポーネント分野では、プログラマブルコントローラ「MICREX-SXシリーズ」を活用して生産工程における製品加工の異常を検知・分析する「異常診断ソリューション」を開発し発売しました。アナリティクス・AIの一つである多変量統計的プロセス管理(MSPC:Multivariate Statistical Process Control)を用いた異常検出技術により、設備の正常時のデータ(診断モデル)と稼働中のデータをリアルタイムで比較し、それらの乖離を検知して異常を知らせます。これにより、次工程への不良品の流出を抑制します。
また、高速性とリアルタイム性を備えたオープンネットワークであるEtherCATに対応したプログラマブルコントローラ「MICREX-SXシリーズ」の新CPUモジュール「SPH5000EC」を開発し発売しました。本CPUモジュールに、EtherCATを使って「サーボシステムALPHA7」や他社のスレーブ機器を接続して、高速・高精度なモーションシステムを構築できます。さらに、当社が用意したファンクションブロックを組み合わせて、お客様にとって最適なモーションシステムを短期間で構築できます。
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は69億49百万円です。
■半導体部門
産業用モジュールでは、低損失で高温動作を保証した最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。
産業用RC-IGBTモジュール1,700V/800A DualXTを開発し製品系列に加え、量産を開始しました。さらに大容量系列では、1,200V/2,400A、1,700V/2,400Aのサンプル展開を開始しました。RC-IGBT(逆導通IGBT)技術の採用によりパワー密度が更に向上し、同じパッケージのままで電流定格を拡大しました。パワーエレクトロニクス機器の大容量・小型・軽量化に貢献します。
第7世代IGBTモジュールは、標準品の系列化が昨年度末に完了し、駆動機能や保護機能を備えたIPM(Intelligent Power Module)の系列化を進めています。第7世代IGBT-IPMは、FA、工作機械、空調機器向けに650V/20~250A、1,200V/10~150Aの系列化が完了しました。さらに大容量の650V/300~450A、1,200Ⅴ/200~300Aはサンプル展開を開始しました。また、ルームエアコンやモータードライブ向けには650V/15~30Aの第3世代小容量IPMを開発しました。本製品はデバイスのプロセス条件を最適化することにより、インバータの発生損失と放射ノイズのトレードオフ特性を改善しました。これにより、省エネとEMC規格対応を実現します。
さらに、Si(シリコン)に代わる半導体材料として注目されているSiC(炭化ケイ素)を使ったSiCモジュール製品の系列化を進めています。第2世代トレンチMOSFETチップを搭載した1,200Ⅴ/300~600A、1,700V/200~400AのAll-SiCモジュールのサンプル展開を開始しました。SiCチップにより、電力変換装置の更なる電力効率の向上や小型化に貢献します。
車載用モジュールでは、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)の2021年以降のモデル向けに、第4世代直接水冷技術や次世代チップ技術を適用して電力密度を更に高めた直接水冷型パワーモジュールを開発しています。また、小型モータ駆動用の小容量IPMの系列拡大を進めています。これらの製品を通じて、EVやHEVシステム全体の小型軽量化や高効率化に貢献します。
産業用ディスクリート製品では、従来に比べて順方向電圧VFを低減し、サージ電流耐量の指標であるIFSMを高めた第2世代SiC-SBDを開発しました。サーバや通信基地局などの電源向けに、650V/10Aの量産を開始しました。電源機器の高効率化と信頼性向上に貢献します。
車載用ディスクリート製品では、第2世代ワンチップイグナイタを開発しました。従来製品と比べて、基本性能・機能を維持しつつ、車載用途に要求される耐ノイズ性能であるBCI(Bulk Current Injection)耐性を向上させ、より過酷な環境でも使用できるようにしました。
IC製品では、LED照明などの電源向けに低THD(全高調波ひずみ)制御回路と起動回路を内蔵した臨界モードPFC(力率改善)制御ICを開発しました。THD制御回路によりPFC回路部の入力電流が低ひずみ化され高調波規格への対応が容易になります。また、起動回路により電源投入時のLED照明の高速起動と待機時のPFC回路の低待機電力化による電源の省エネの両立が可能となります。
感光体製品では、オフィス向け高速モノクロA3複写機用有機感光体を開発しました。新たに開発した摩耗と傷付き耐性に優れた樹脂を採用し、高感度特性を備えた電荷発生材と組み合わせることにより、長期にわたる安定した印字品質を実現します。
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は81億51百万円です。
■発電プラント部門
再生可能エネルギー分野では、地熱発電の蒸気タービンの汚損を抑制する技術や寿命を拡大する技術を開発しています。また、風力発電の高度な系統連系条件でも安定した電力供給ができる高効率な出力安定化装置や太陽光パネルの出力が変動しても安定した無駄のない電力供給ができるコンパクトな蓄電池併用PCSを開発しています。
火力発電分野では、二酸化炭素の排出量を削減するため、蒸気タービンの高効率化の技術を開発しています。また、メンテナンスサービスとして、コロナ禍においてもお客様への対応を可能とするリモート技術や診断時間を短縮する技術を開発しています。
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は18億87百万円です。
■食品流通部門
自販機分野では、スマートフォンで決済可能なキャッシュレス装置を開発しました。当社が開発した自販機用通信端末「MCU」と自販機表面に貼り付けたステッカーなどの二次元コード(QRコード)だけで構成されています。利用者は、スマートフォンの決済アプリケーションを立ち上げて自販機前面のQRコードを読み取り、決済アプリケーション上で商品を選択すると自動的に決済され商品が購入できます。缶・ボトル用自販機から適用を開始し、食品用自販機や物品用自販機に拡大していく予定です。従来に比べて安価に導入できるため、キャッシュレス決済に対応した自販機台数の拡大に貢献します。
通貨機器分野では、釣銭機およびコインメカニズム(硬貨処理装置)が11月1日に発行された新500円硬貨に対応しました。既に市場に設置されている機器も順次適用を進めています。
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は23億32百万円です。
■新技術・基盤技術部門
脱炭素化に向けて、太陽光発電が電力系統に大量導入されると需給バランスを保つために火力発電が減少します。それに伴い、火力発電の発電機の回転体が持つ慣性の作用が低下し、事故などで需給バランスが崩れたときに系統周波数の維持が困難になります。そこで、本来、慣性の作用を持たない太陽光発電用PCSの制御を工夫して慣性の作用を疑似的に持たせることで系統周波数を維持する機能を開発しています。電流制御型と電圧制御型の2方式の周波数維持機能(疑似慣性制御)をPCSに実装して模擬系統につなげることで系統事故による周波数変動を再現し、各方式の系統周波数を維持する効果を確認できました。さらに、両方式が混在した場合の相互干渉に関する課題抽出を完了しました。今後は、抽出した課題の対策案を検討する予定です。
アナリティクス・AIでは、お客様や自社のDXの推進に寄与するAIエンジンを開発しています。AIによる異常診断では、通常、診断結果に至った主な原因が分かりません。そこで、AIに入力されたデータと診断結果の関係を自動で分析することにより、主な原因を抽出する技術を開発しました。現在、この原因推定機能を工場における製造管理・運転管理システム「MainGATE」へ実装するための開発を進めています。
北極海航路を利用した船舶の航行が増加する中、国際海事機関(IMO)を中心に国際的な排出規制の検討が始まっています。そこで、道路用集塵機で培った集塵技術を応用して、船舶向けにディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子(PM)を効果的に捕集する技術を開発しています。国立研究開発法人 海上技術安全研究所の設備を利用した性能評価により、高い集塵特性が得られることを検証しました。SOxを削減するスクラバー技術や排熱回収技術と組み合わせることで、船舶の排ガスをよりクリーンにするだけでなく、エネルギー利用の効率化と耐用寿命の延伸も期待できます。
■その他部門
当第3四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は28百万円です。
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本四半期報告書の提出日現在において合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。