有価証券報告書-第144期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/08/06 15:09
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158項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、組織構造の変更に伴い、パワエレシステム事業の報告セグメントを従来の「パワエレシステム・エネルギーソリューション」及び「パワエレシステム・インダストリーソリューション」から、「パワエレシステム エネルギー」及び「パワエレシステム インダストリー」に変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。
加えて、当連結会計年度より、従来「発電」としていた報告セグメントの名称を「発電プラント」に変更しており、前連結会計年度の報告セグメント情報についても、変更後の名称で開示しております。
なお、報告セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
(1)経営成績
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」をスタートし、成長分野であるパワエレシステム事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、前連結会計年度から続く米中貿易摩擦の長期化影響等により、中国を中心に投資抑制傾向が継続し、海外市場の減速を受け工作機械関連等の輸出が低調に推移する中、第4四半期には新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、各国で工場閉鎖や移動禁止をはじめ、過去に例のない規則の下で経済活動が制限される等、不透明感が強まり厳しい状況となりました。
なお、当社は新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、国内においては、本社事務所、支社・支店等の事務所に勤務する従業員は在宅勤務を原則とし、生産拠点を含め、出社を必要とする従業員については、時差通勤や三つの密(密閉・密集・密接)を避ける等、感染拡大防止策を講じた上で業務を行いました。また、海外においては、現地政府の指導にもとづき、一部の工場で稼働を停止しました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1.6%減収の9,006億4百万円となりました。部門別には、「電子デバイス」、「発電プラント」は前連結会計年度を上回りましたが、「パワエレシステム エネルギー」、「パワエレシステム インダストリー」、「食品流通」は前連結会計年度を下回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ0.4%減収の6,797億19百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ5.0%減収の2,208億84百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度に比べ0.9ポイント減少して24.5%となりました。
売上原価は、前連結会計年度並みの6,800億67百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ1.2ポイント増加して75.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1,780億20百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加して19.8%となりました。
営業利益は、原価低減等を推進したものの、売上高及び生産高の減少、為替変動の影響、パワー半導体事業の先行投資等により、前連結会計年度に比べ174億57百万円減少し、425億15百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ1.8ポイント減少して4.7%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の35億8百万円の収益(純額)から、19億98百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ15億10百万円の収益(純額)の減少となりました。これは、前連結会計年度において89百万円であった為替差益が当連結会計年度は13億26百万円の差損に転じたことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ189億66百万円減少し、445億13百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、27億71百万円となりました。なお、前連結会計年度に為替換算調整勘定取崩益を計上していた一方、投資有価証券売却益の計上額などが増加したことにより、前連結会計年度に比べ3億20百万円増加しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損、損害補償損失を計上し、34億23百万円となりました。なお、投資有価証券評価損の計上額などが増加した一方、前連結会計年度に減損損失を計上していたことにより、前連結会計年度に比べ2億20百万円の減少となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は438億60百万円となり、前連結会計年度に比べ184億27百万円の減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用119億89百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益30億78百万円を控除した結果、287億93百万円となり、前連結会計年度に比べ114億74百万円の減少となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
売上高:2,180億13百万円(前期比 2.7%減少) 営業損益:123億22百万円(前期比 45億7百万円減少)
施設・電源システム分野の需要が堅調に推移したものの、器具分野の需要減少を主因に、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、産業及び鉄道向け電源機器の需要が堅調に推移したものの、スマートメータの需要減少及び前期の海外電力向け大口案件の影響等により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・施設・電源システム分野は、前期の国内大口案件が影響したものの、盤事業の海外大口案件の増加等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・器具分野は、売上高は工作機械をはじめとする機械セットメーカの需要減少、営業損益は需要減少に加え、製品不具合発生に伴う費用増等により、ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,326億円(富士電機㈱のパワエレシステム エネルギー部門単独ベース)となっております。
■パワエレシステム インダストリー部門
売上高:3,174億82百万円(前期比 1.6%減少) 営業損益:165億47百万円(前期比 28億70百万円減少)
ITソリューション分野の需要が堅調に推移したものの、米中貿易摩擦及び新型コロナウイルス感染症の影響によるオートメーション分野の需要減少、ならびに設備工事分野の前期の大口案件影響を主因に、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・オートメーション分野は、米中貿易摩擦影響により国内及び中国市場を中心に低圧インバータ、FAコンポーネント等の需要が減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による中国拠点の稼働停止やアジア、欧米拠点の需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・社会ソリューション分野は、前期の鉄道車両用電機品の大口案件影響を主因に、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・設備工事分野は、前期の大口案件影響を主因に、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・ITソリューション分野は、民需分野・文教分野の大口案件の増加により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,623億円(富士電機㈱のパワエレシステム インダストリー部門単独ベース)となっております。
■電子デバイス部門
売上高:1,374億21百万円(前期比同水準) 営業損益:97億18百万円(前期比 59億5百万円減少)
・電子デバイス分野は、電気自動車(xEV)向けパワー半導体の需要は増加したものの、米中貿易摩擦及び新型コロナウイルス感染症の影響による中国市場を中心とした産業分野向けの需要減少ならびに為替影響等により、売上高は前期と同水準となりました。営業損益は、電気自動車(xEV)向けパワー半導体生産能力増強等に係る先行投資による費用増及び為替影響、製品修理費増等により、前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は948億円(富士電機㈱の電子デバイス部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:1,044億13百万円(前期比 8.1%減少) 営業損益:38億42百万円(前期比 19億14百万円減少)
・自販機分野は、国内及び中国市場の需要減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により国内及び中国の顧客設置計画が延伸し、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・店舗流通分野は、新型コロナウイルス感染症の影響により、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要が減少し、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は954億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■発電プラント部門
売上高:1,098億91百万円(前期比 2.7%増加) 営業損益:22億98百万円(前期比 24億52百万円減少)
・発電プラント分野は、太陽光発電システムの大口案件が減少したものの、火力発電設備の大口案件が増加し、売上高は前期を上回りましたが、営業損益は案件差ならびに海外大口案件の費用増等により、前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は748億円(富士電機㈱の発電部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:608億43百万円(前期比 2.2%減少) 営業損益:26億94百万円(前期比 71百万円減少)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
パワエレシステム エネルギー218,01397.3
パワエレシステム インダストリー317,48298.4
電子デバイス137,421100.1
食品流通104,41391.9
発電プラント109,891102.7
その他60,84397.8
消去△47,462-
合計900,60498.4

(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は9,968億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ441億68百万円増加しました。
流動資産は5,956億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ225億96百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ売上債権が143億27百万円減少した一方で、現金及び預金が347億69百万円、たな卸資産が111億41百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,010億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億6百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,264億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ265億31百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,745億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ49億25百万円減少しました。これは、主に投資有価証券が、売却を主因として、50億59百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は5,908億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ302億27百万円増加しました。
流動負債は4,231億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億34百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べコマーシャル・ペーパーが435億円、1年内償還予定の社債が150億円、それぞれ増加した一方で、短期借入金が269億54百万円、仕入債務が167億55百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は1,676億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ329億60百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ社債が150億円減少した一方で、長期借入金が280億56百万円、リース債務が140億49百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は2,173億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ633億79百万円増加しました。また、同残高の総資産に対する比率は21.8%となり、前連結会計年度末に比べ5.6ポイント増加しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,060億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ139億40百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が173億65百万円増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は36.7%となり、前連結会計年度末に比べ0.3ポイント減少しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,019億7百万円となり、投資有価証券の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ26億15百万円減少しました。
■パワエレシステム インダストリー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,750億30百万円となり、無形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ109億76百万円増加しました。
■電子デバイス部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,026億94百万円となり、有形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ299億95百万円増加しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は883億36百万円となり、たな卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ96億3百万円増加しました。
■発電プラント部門
当連結会計年度末のセグメント資産は740億46百万円となり、売上債権の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ420億98百万円減少しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は350億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億52百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、184億66百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加(前連結会計年度は335億1百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、150億35百万円の資金流入額の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は460億87百万円(前連結会計年度は549億49百万円の増加)となりました。これは、法人税等の支払に加え、たな卸資産の増加及び仕入債務が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びに売上債権が減少したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、88億62百万円の資金流入額の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は276億21百万円(前連結会計年度は214億48百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因とするものであります。
前連結会計年度に対しては、61億73百万円の資金流出額の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は169億17百万円(前連結会計年度は381億74百万円の減少)となりました。これは主として、コマーシャル・ペーパーの増加によるものであります。
前連結会計年度に対しては、550億91百万円の資金流入額の増加となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益438億60百万円、減価償却費323億19百万円、売上債権の減少によるもの121億27百万円、法人税等の支払額△165億82百万円、仕入債務の減少によるもの△151億59百万円、たな卸資産の増加によるもの△118億73百万円、などとなっております。 なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
また、新型コロナウィルス感染症の拡大により、各国で過去に前例のない規模で経済活動が制限される中、当社グループは今後の更なる経済環境の悪化に備えて十分な手元流動性を確保しております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ346億12百万円(118.8%)増加し、637億46百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」及び「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」に取り組むこととし、経営目標(連結)として、売上高1兆円、営業利益800億円、営業利益率8.0%、親会社株主に帰属する当期純利益550億円を掲げました。
2019年度連結実績においては、中期経営計画で掲げた2023年度の売上高、利益に係る目標値に対して、次の通りとなっております。
2023年度
中期経営計画
2019年度
実績
増減
売上高10,000億円9,006億円△994億円
営業利益800億円425億円△375億円
営業利益率8.0%4.7%△3.3pt
親会社株主に
帰属する当期純利益
550億円288億円△262億円

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。連結財務諸表の作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響に関する見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しているとおりであります。
①工事進行基準の適用について
当社グループは、一定の要件を満たす工事契約等の収益及び費用の計上基準として、工事進行基準を適用しています。工事進行基準の適用にあたっては、収益及び費用を認識する基となる工事原価総額及び進捗率の合理的な見積りが可能であることが前提となります。当該見積りについて将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益及び費用の金額に影響を与える可能性があります。
②固定資産(のれんを含む)の減損判定
当社グループは、保有する固定資産(のれんを含む)について減損の兆候がある場合は、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行い、減損が必要と判定された場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に用いられる当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積り及び仮定等について将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
③投資有価証券の減損判定
当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、時価のない株式等については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を認識しております。将来の課税所得の見積りについて、将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
⑤退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表における退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載しているとおりであります。