有価証券報告書-第142期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/26 14:54
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、組織構造の変更に伴い、報告セグメントを従来の「発電・社会インフラ」、「産業インフラ」、「パワエレ機器」、「電子デバイス」及び「食品流通」から、「パワエレシステム・エネルギーソリューション」、「パワエレシステム・インダストリーソリューション」、「発電」、「電子デバイス」及び「食品流通」に変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。
(1)経営成績
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、海外においては、中国をはじめとする生産設備の自動化、省力化ニーズの高まりにより、工作機械やロボット向けの需要が好調に推移する等、緩やかな回復基調となりました。国内においても、老朽化設備の更新ならびに自動化、省力化投資の増加等を背景とした需要を受け、緩やかな回復基調となりました。
このような環境のもと、当社は2018年度中期経営計画「Renovation2018」の基本方針に掲げた「富士電機の更なる変革」の成長戦略として、「パワエレシステム事業」の強化、ものつくり力の更なる強化を推進するとともに、事業活動に伴うあらゆるコストの見直しを行う「Pro-7活動」の再活性化により、収益力の更なる強化を推し進めています。
当連結会計年度の売上高は、需要増加により、前連結会計年度に比べ6.6%増収の8,934億51百万円となりました。全部門が増収となり、とりわけ「パワエレシステム・インダストリーソリューション」、「電子デバイス」、「食品流通」の各部門が、前連結会計年度を大きく上回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ6.6%増収の6,747億44百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ6.7%増収の2,187億7百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度と同じ24.5%となっております。
売上原価は、前連結会計年度に比べ6.0%増加し6,618億24百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント減少して74.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ4.1%増加し1,756億65百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント減少して19.7%となりました。
営業利益は、売上高、生産物量の増加及び原価低減等の推進により、前連結会計年度に比べ112億53百万円増加し、過去最高の559億62百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ0.9ポイント増加して6.3%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の15億86百万円の収益(純額)から、85百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ15億1百万円の収益(純額)の減少となりました。これは、支払利息が前連結会計年度に比べ5億14百万円減少した一方で、為替差損が前連結会計年度に比べ17億61百万円増加したほか、受取配当金が2億42百万円減少したことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ97億51百万円増加し、過去最高の560億47百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、19億円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が減少したことにより、前連結会計年度に比べ179億17百万円減少しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損を計上し、11億42百万円となりました。なお、前連結会計年度に減損損失を計上していたことなどにより、前連結会計年度に比べ10億28百万円の減少となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は568億5百万円となり、前連結会計年度に比べ71億38百万円の減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用148億3百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益42億37百万円を控除した結果、377億63百万円となり、前連結会計年度に比べ32億15百万円の減少となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム・エネルギーソリューション部門
売上高:2,241億円(前期比 2.4%増加) 営業損益:146億62百万円(前期比 9億37百万円増加)
エネルギーマネジメント分野及び電源システム分野の需要減少が影響したものの、器具分野が工作機械向けの需要増加により堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、スマートメータの物量減少を主因に、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期と同水準となりました。
・変電システム分野は、海外における電力向け及び産業向けの大口案件が寄与し、売上高は前期を上回りましたが、案件差等により、営業損益は前期を下回りました。
・電源システム分野は、太陽光発電システム向けパワーコンディショナの需要減少等により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・器具分野は、工作機械をはじめとする機械セットメーカ及び海外の半導体メーカの需要が堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,373億円(富士電機㈱のパワエレシステム・エネルギーソリューション部門単独ベース)となっております。
■パワエレシステム・インダストリーソリューション部門
売上高:3,158億63百万円(前期比 10.4%増加) 営業損益:182億73百万円(前期比 43億24百万円増加)
国内及び中国の生産設備の自動化需要が旺盛なファクトリーオートメーション分野、国内の設備更新需要が堅調なプロセスオートメーション分野、ならびにITソリューション分野が牽引し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・ファクトリーオートメーション分野は、インバータ・FAコンポーネントを中心に国内及び中国市場が堅調に推移したことにより、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・プロセスオートメーション分野は、国内の更新需要が堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・環境・社会ソリューション分野は、アジア地域を中心に鉄道車両用電機品の需要が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・設備工事分野は、空調設備事業及び電力・情報流通事業が堅調に推移し、売上高は前期を上回りましたが、案件差等により、営業損益は前期を下回りました。
・ITソリューション分野は、文教向けの案件増加及び公共向けの大口案件の増加により、売上高、営業損益とも前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,613億円(富士電機㈱のパワエレシステム・インダストリーソリューション部門単独ベース)となっております。
■発電部門
売上高:968億79百万円(前期比 3.2%増加) 営業損益:55億21百万円(前期比 19億58百万円減少)
・発電分野は、水力発電設備ならびに太陽光発電システムの大口案件が減少したものの、火力発電設備の大口案件が寄与し、売上高は前期を上回りましたが、案件差等により、営業損益は前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は887億円(富士電機㈱の発電部門単独ベース)となっております。
■電子デバイス部門
売上高:1,268億71百万円(前期比 7.1%増加) 営業損益:136億99百万円(前期比 56億69百万円増加)
・電子デバイス分野は、中国及び国内の市場における自動化、省力化、省エネ化ニーズの高まりにより、産業分野向けパワー半導体の需要が増したことに加え、自動車分野向けの需要も堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は939億円(富士電機㈱の電子デバイス部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:1,177億53百万円(前期比 7.5%増加) 営業損益:62億34百万円(前期比 2億5百万円増加)
・自販機分野は、顧客の計画見直しの影響により中国市場は前期と同水準となりましたが、国内市場の需要が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要増加により、売上高は前期を上回りましたが、機種構成差等により、営業損益は前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,055億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:604億3百万円(前期比 2.2%増加) 営業損益:28億59百万円(前期比 7億95百万円増加)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
パワエレシステム・エネルギーソリューション224,100102.4
パワエレシステム・インダストリーソリューション315,863110.4
発電96,879103.2
電子デバイス126,871107.1
食品流通117,753107.5
その他60,403102.2
消去△48,421-
合計893,451106.6

(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は9,188億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ321億96百万円増加しました。
流動資産は5,362億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ237億64百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が86億73百万円減少した一方で、売上債権が174億8百万円、たな卸資産が73億45百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は3,824億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億27百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,939億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億14百万円減少しました。また、投資その他の資産は1,885億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ85億42百万円増加しました。これは、主に投資有価証券が、その他有価証券の時価評価差額相当分の増加を主因として、83億29百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は5,523億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ104億88百万円減少しました。
流動負債は4,052億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ71億68百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ仕入債務が186億70百万円、1年内償還予定の社債が150億円、それぞれ増加した一方で、短期借入金が281億43百万円、未払法人税等が227億58百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は1,470億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億20百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ繰延税金負債が31億58百万円、リース債務が20億81百万円、それぞれ増加した一方で、社債が100億円減少したことなどによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は1,635億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ199億58百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は17.8%となり、前連結会計年度末に比べ2.9ポイント減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は3,665億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ426億83百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が292億28百万円、その他有価証券評価差額金が49億14百万円、退職給付に係る調整累計額が22億33百万円、それぞれ増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は36.0%となり、前連結会計年度末に比べ3.1ポイント増加しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム・エネルギーソリューション部門
当連結会計年度末のセグメント資産は1,874億98百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ44億32百万円増加しました。
■パワエレシステム・インダストリーソリューション部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,576億15百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ81億53百万円増加しました。
■発電部門
当連結会計年度末のセグメント資産は1,137億25百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ253億49百万円増加しました。
■電子デバイス部門
当連結会計年度末のセグメント資産は1,511億8百万円となり、たな卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ23億47百万円増加しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は807億43百万円となり、有形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ18億31百万円増加しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は316億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億96百万円減少しました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、385億96百万円の資金の増加(前連結会計年度は679億34百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、293億38百万円の資金流入額の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は531億46百万円(前連結会計年度は581億85百万円の増加)となりました。これは、法人税等の支払に加え、売上債権が増加した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びに仕入債務が増加したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、50億39百万円の資金流入額の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は145億50百万円(前連結会計年度は97億48百万円の増加)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因するものであります。
前連結会計年度に対しては資金流入から資金流出に転じており、前連結会計年度における資金流入額と当連結会計年度における資金流出額の絶対額の合計は242億98百万円となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は468億87百万円(前連結会計年度は560億83百万円の減少)となりました。これは主として、長期借入金の返済並びにリース債務の返済によるものであります。
前連結会計年度に対しては、91億96百万円の資金流出額の減少となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益568億5百万円、減価償却費301億51百万円、仕入債務の増加によるもの186億45百万円、法人税等の支払額△363億65百万円、売上債権の増加によるもの△166億33百万円、などとなっております。
なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ85億57百万円(20.4%)減少し、333億29百万円となりました。