四半期報告書-第147期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/10 15:30
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38項目
(1)経営成績
2022年度は、2023年度を最終年度とする中期経営計画「令和.Prosperity2023」の達成に向けた重要な1年となります。2023年度売上高目標1兆円の達成、営業利益率については、2021年度の8.2%を更に向上させるため、パワエレ事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、及び、ESG(環境、人財、ガバナンス)を中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推し進めています。
当第1四半期連結累計期間における当社を取り巻く市場環境は、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みやデジタル化の加速を背景に、自動車の電動化、省エネ、デジタルインフラ等のニーズが高まり、製造業やデータセンター等の設備投資が高水準で推移しました。その一方で、新型コロナウイルス感染拡大による中国のロックダウンやウクライナ情勢の長期化による素材価格の高騰や資材不足等、世界のサプライチェーンに影響が拡がり、先行きが不透明な状況が継続しました。
このような環境のもと、当社は、旺盛な需要に対応したパワー半導体生産能力増強に加え、部材調達難に対する設計変更による代替部材対応や複数サプライヤー化等のサプライチェーン最適化の取り組みを継続して実施しました。
当第1四半期連結累計期間の連結業績の売上高は、「パワエレ エネルギー」「半導体」「発電プラント」が増加し、前年同期に比べ139億82百万円増加の2,039億40百万円となりました。
損益面では、素材価格高騰の影響を受けたものの、物量の増加に加え、製品販売価格の値上げや工場の体質強化を中心とした原価低減の推進等により、営業損益は前年同期に比べ45億73百万円増加の98億72百万円となりました。経常損益は前年同期に比べ63億87百万円増加の122億96百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期に比べ49億58百万円増加の99億31百万円となり、売上高、営業損益、経常損益いずれも、過去最高を更新しました。
<セグメント別状況>■パワエレ エネルギー部門
売上高:512億57百万円(前年同期比 14.6%増加) 営業損益:38億95百万円(前年同期比 29億6百万円増加)
施設・電源システム分野及び器具分野の需要拡大を主因に、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、前年同期の電力及び産業向け変電機器の大口案件影響等により、売上高は前年同期を下回りましたが、案件差等により、営業損益は前年同期を上回りました。
・施設・電源システム分野は、データセンター及び半導体メーカ向け案件の需要が大幅に拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・器具分野は、工作機械をはじめとする国内の機械セットメーカの需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■パワエレ インダストリー部門
売上高:651億72百万円(前年同期比 0.2%減少) 営業損益:△18億32百万円(前年同期比 21億64百万円減少)
オートメーション分野及び社会ソリューション分野において売上高が減少したものの、ITソリューション分野の大口案件影響等により、売上高は前年同期と同水準となりました。一方、営業損益は素材価格の高騰や部材調達難による生産減、案件差等により、前年同期を下回りました。
・オートメーション分野は、低圧インバータやFAコンポーネントを中心に、新型コロナウイルス感染拡大による中国のロックダウン影響や素材価格の高騰、部材調達難による生産影響を受け、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・社会ソリューション分野は、船舶向けの案件が減少し、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・設備工事分野は、電気設備工事の需要が増加し、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・ITソリューション分野は、民需分野の大口案件影響等により、売上高は前年同期を上回り、営業損益は案件差等により、前年同期と同水準となりました。
■半導体部門
売上高:462億2百万円(前年同期比 3.8%増加) 営業損益:71億3百万円(前年同期比 15億50百万円増加)
・半導体分野は、ディスク媒体事業からの撤退影響があったものの、電気自動車(xEV)向け及び産業分野向けのパワー半導体の需要拡大により、売上高は前年同期を上回りました。その結果、パワー半導体の生産能力増強に係る費用は増加したものの、高操業維持による物量の増加により、営業損益も前年同期を上回りました。
■発電プラント部門
売上高:168億7百万円(前年同期比 40.6%増加) 営業損益:1億円(前年同期比 7億73百万円増加)
・発電プラント分野は、再生可能エネルギーの大口案件影響により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■食品流通部門
売上高:216億92百万円(前年同期比 1.6%減少) 営業損益:16億34百万円(前年同期比 14億24百万円増加)
・自販機分野は、国内の需要拡大に加え、原価低減の推進等により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・店舗流通分野は、前年同期の金銭機器の大口案件影響により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■その他部門
売上高:143億38百万円(前年同期比 16.2%増加) 営業損益:7億41百万円(前年同期比 2億72百万円増加)
(注)当第1四半期連結会計期間より、組織構造の変更に伴い、「パワエレ エネルギー」及び「パワエレ インダストリー」の各報告セグメントにおいて、集約する事業セグメントを変更しております。
なお、前第1四半期連結累計期間の報告セグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(2)財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産額は1兆1,002億円となり、前連結会計年度末に比べ169億12百万円減少しました。
流動資産は6,718億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億82百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が114億23百万円、棚卸資産が225億70百万円、それぞれ増加した一方で、売掛金が633億64百万円減少したことなどによるものであります。
固定資産は4,282億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億24百万円減少しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,615億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億91百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,666億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ122億16百万円減少しました。これは、主に投資有価証券が、売却及びその他有価証券の時価評価差額相当分の減少を主因として、152億75百万円減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は5,715億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ217億89百万円減少しました。
流動負債は3,953億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億7百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ仕入債務が61億56百万円、未払法人税等が70億82百万円、それぞれ減少した一方で、短期借入金が227億77百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は1,762億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ301億97百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が319億57百万円減少したことなどによるものであります。
なお、当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は1,996億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ87億75百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は18.1%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント減少しました。
当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は5,286億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億77百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べその他有価証券評価差額金が71億42百万円減少した一方で、利益剰余金が20億76百万円、為替換算調整勘定が111億85百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は43.5%となり、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント増加しました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
富士電機は、パワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱などのコア技術を活用して、創エネルギーからエネルギー安定供給や省エネルギー、オートメーション、モビリティの電動化など、多くの先端的なシステムを手掛けています。
当第1四半期連結累計期間における富士電機の研究開発費は75億1百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当第1四半期連結会計期間末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,353件です。
■パワエレ エネルギー部門
受配電設備の保全計画立案から設備の監視、さらに設備更新計画の立案までを支援する「まるごとスマート保安サービス」における遠隔監視サービスメニューに、IoTカメラによるメータ読み取り機能と、火災予兆検知機能を追加しました。メータ読み取り機能は、カメラで撮影したメータ画像をAIにより数値に変換し保存することで、巡視点検作業の省人化を図るとともにトレンド表示や帳票作成を容易にします。火災予兆検知機能は、超高感度煙センサを用いた火災予兆検知システムとの連携により、早い段階で電気火災につながる異常を警備員などに知らせることで火災の未然防止に貢献します。
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は14億80百万円です。
■パワエレ インダストリー部門
AIを活用した先進的な地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS:Community Energy Management System)を開発しました。本システムでは、地域内にある医療施設、商業施設、ホテル、マンションなどの各施設のエネルギー需要を統計的機械学習手法を用いて高精度に予測し、その予測に基づいてエネルギー供給側と需要側の両方を自動調整することにより、地域全体のエネルギー利用効率の最大化を実現します。
船舶・港湾分野では、船舶の燃料油に含まれる硫黄分を排気ガスから除去するSOxスクラバの大容量XLサイズを開発し、ラインアップしました。24MWまでのエンジン出力に対応し、大型原油タンカー等の大型船舶の環境規制対応に貢献します。
また、SOxスクラバの排水を浄化してスクラバの給水に再利用する排水再生循環システムを開発しました。これを従来の船舶排ガス浄化システムと組み合わせることにより、スクラバからの排水が規制されている一部の沿岸海域でもスクラバによる排ガス浄化を行いながら航行することが可能になります。
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は20億99百万円です。
■半導体部門
産業用モジュールでは、低損失で高温動作を保証した最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。電鉄や再生可能エネルギー分野における市場要求に対応するために、第7世代「Xシリーズ」チップを搭載した大容量モジュール「HPnC」(High Power next Core)の系列として1,700V/1,200A品を開発し、サンプル展開を開始しました。高速スイッチングの妨げとなる内部インダクタンスを低減したパッケージの開発により、従来に比べて低損失化と小型・軽量化を実現します。
さらに、駆動機能や保護機能を備えた第7世代IGBT-IPM(Intelligent Power Module)の系列化を完了しました。これまでに製品化しているFA、工作機械、空調機器用途向け650V、1,200V耐圧の中容量製品に加えて、大容量製品として650V/200~450A、1,200V/100~300Aを製品化しました。
車載モジュールでは、電気自動車やハイブリッド車向け製品の系列拡大として、従来に比べて低損失化した新RC-IGBTチップ及び第4世代冷却器を搭載し小型化を実現した直接水冷型パワーモジュール750V/800A品を開発し量産を開始しました。車載向け製品として600A、800A、1,200A品をラインアップしたことで、様々なモータ出力の電動車に幅広く対応し、電動車の高効率化と小型軽量化に貢献します。
感光体分野では、プロダクションプリンタ向けのワイドフォーマット(A0サイズ)有機感光体を開発し、量産を開始しました。アルミニウム基体の高精度加工技術によりワイドフォーマットに対応すると同時に、摩耗耐性に優れた樹脂を採用し膜厚を最適化することで、長期間にわたり色ムラの無い高品位な画像品質を達成しました。
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は26億86百万円です。
■発電プラント部門
再生可能エネルギー分野では、地熱発電の蒸気タービンの汚損抑制技術や長寿命化技術を開発しています。また、マイクログリッドや風力発電サイト向けの蓄電池システムで要求される停電時の自立運転機能を付加した、大容量の蓄電池型PCS(Power Conditioning System)を開発しています。
また、既設の火力発電プラント向けメンテナンスサービス技術として、診断時間や現地での補修時間を短縮する技術を開発しています。
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は4億96百万円です。
■食品流通部門
自販機分野では、限られたスペースで多くの冷凍食品を販売できる大容量の冷凍自動販売機「FROZEN STATION」の性能を向上させるための開発を進めています。商品の補充作業がさらに容易になるように、商品収納部の内部構造を工夫するとともに、販売時の商品の破損や詰まりをさらに起こりにくくするために、商品挙動のシミュレーションを用いた搬送経路の最適化を進めています。
店舗分野では、地球温暖化係数の低い冷媒の採用により環境負荷を低減しながら、省エネルギー性を向上した冷凍機を開発しています。この冷凍機を内蔵したショーケースのラインアップを拡大しています。
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は7億36百万円です。
■新技術・基盤技術部門
製造現場から様々なデータを収集し、クラウドシステムで製品の品質診断や設備の異常兆候検知などを行うIoT(Internet of Things)の活用が進展しています。IoT活用の更なる拡大を図るため、現場に設置するエッジデバイスとクラウドシステム間の通信量の削減や応答の高速化を狙い、エッジデバイス側で最適制御やAIなどの複雑なデータ処理を実行するための要素技術を開発しています。
脱炭素化に向けて、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの導入が拡大しています。再生可能エネルギーのように、出力が変動する発電システムが大量導入されると、電力系統の電圧や周波数が不安定になる恐れがあります。この問題を解消するため、再生可能エネルギー用PCSに付加して系統を安定化させるための電圧・周波数調整などの機能(スマートインバータ機能)、及びPCSが多数台接続された電力系統を高速に監視制御する技術を開発しています。これまでに開発仕様の検討を完了し、これに基づいた制御アルゴリズムの原理検証を今年度中に完了させる予定です。
■その他部門
当第1四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は2百万円です。
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本四半期報告書の提出日現在において合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。