有価証券報告書-第143期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/25 14:27
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、組織構造の変更に伴い「パワエレシステム・エネルギーソリューション」及び「パワエレシステム・インダストリーソリューション」の各報告セグメントにおいて、集約する事業セグメントを変更しており、各セグメントの前期比につきましては、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えたうえで算出しております。
(1)経営成績
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、海外においては、米中貿易摩擦等を背景とした中国市場の投資抑制傾向が下期以降に顕在化しました。国内においては、一部市場に減速感が出たものの、老朽化設備の更新並びに生産性向上を狙いとした生産設備の自動化、省力化、省エネ化への投資等により、需要が堅調に推移しました。
このような環境のもと、当社は2018年度を最終年度とする中期経営計画「Renovation2018」完遂に向け、パワエレシステム事業の強化、パワー半導体事業拡大に向けた積極投資を推進するとともに、ものつくり力の更なる強化、業務品質向上を狙いとした全社運動「Pro-7活動」の再活性化により、収益力の更なる強化を推し進めました。
当連結会計年度の売上高は、需要増加により、前連結会計年度に比べ2.4%増収の9,149億15百万円となりました。部門別には、「パワエレシステム・エネルギーソリューション」、「パワエレシステム・インダストリーソリューション」、「発電」、「電子デバイス」は前連結会計年度を上回りましたが、「食品流通」は前連結会計年度を下回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ1.1%増収の6,825億3百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ6.3%増収の2,324億12百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度に比べ0.9ポイント増加して25.4%となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ2.7%増加し6,798億76百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.2ポイント増加して74.3%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ0.3%減少し1,750億66百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント減少して19.1%となりました。
営業利益は、売上高、生産物量の増加及び原価低減等の推進により、前連結会計年度に比べ40億10百万円増加し、過去最高の599億72百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ0.3ポイント増加して6.6%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の85百万円の収益(純額)から、35億8百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ34億23百万円の収益(純額)の増加となりました。これは、前連結会計年度において20億80百万円であった為替差損が当連結会計年度は89百万円の差益に転じたことに加え、受取配当金が6億10百万円増加したこと、持分法による投資利益が4億46百万円増加したことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ74億32百万円増加し、過去最高の634億79百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益、為替換算調整勘定取崩益を計上し、24億51百万円となりました。なお、投資有価証券売却益の計上額などが減少した一方、為替換算調整勘定取崩益を計上したことにより、前連結会計年度に比べ5億51百万円増加しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損、減損損失を計上し、36億43百万円となりました。なお、主に減損損失を計上したことにより、前連結会計年度に比べ25億1百万円の増加となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は622億87百万円となり、前連結会計年度に比べ54億82百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用172億16百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益48億2百万円を控除した結果、402億67百万円となり、前連結会計年度に比べ25億4百万円の増加となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム・エネルギーソリューション部門
売上高:2,247億87百万円(前期比 3.3%増加) 営業損益:168億54百万円(前期比 28億39百万円増加)
施設・電源システム分野及び器具分野が堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、前期の海外大口案件の影響、ならびにスマートメータの需要減少を主因に、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等により、営業損益は前期を上回りました。
・施設・電源システム分野は、国内大口案件が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・器具分野は、受配電盤メーカ向けの需要が堅調に推移し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,414億円(富士電機㈱のパワエレシステム・エネルギーソリューション部門単独ベース)となっております。
■パワエレシステム・インダストリーソリューション部門
売上高:3,219億42百万円(前期比 0.3%増加) 営業損益:193億93百万円(前期比 4億73百万円増加)
ファクトリーオートメーション分野、ならびに設備工事分野、ITソリューション分野が牽引し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・ファクトリーオートメーション分野は、下期以降に海外で軟調な傾向がみられたものの、国内においてインバータ、回転機、FAシステムを中心に需要が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・プロセスオートメーション分野は、前期の大口案件の影響により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品の需要減少を主因に、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・設備工事分野は、工場の受配電設備をはじめとする電気設備工事案件が増加し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・ITソリューション分野は、文教分野ならびに公共分野の案件増加により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,541億円(富士電機㈱のパワエレシステム・インダストリーソリューション部門単独ベース)となっております。
■発電部門
売上高:1,070億12百万円(前期比 10.5%増加) 営業損益:47億50百万円(前期比 7億71百万円減少)
・発電分野は、太陽光発電システム等の案件増加により、売上高は前期を上回りましたが、営業損益は大口案件のコストアップ等により、前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は800億円(富士電機㈱の発電部門単独ベース)となっております。
■電子デバイス部門
売上高:1,373億34百万円(前期比 8.2%増加) 営業損益:156億23百万円(前期比 19億24百万円増加)
・電子デバイス分野は、下期以降に国内の産業分野向けパワー半導体の需要が減速したものの、電動化が進む自動車分野向けの需要増加、加えてディスク媒体の需要増加により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は914億円(富士電機㈱の電子デバイス部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:1,136億6百万円(前期比 3.5%減少) 営業損益:57億56百万円(前期比 4億78百万円減少)
・自販機分野は、国内顧客向けの需要が増加したことを主因に、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,018億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:622億28百万円(前期比 3.0%増加) 営業損益:27億65百万円(前期比 94百万円減少)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
パワエレシステム・エネルギーソリューション224,787103.3
パワエレシステム・インダストリーソリューション321,942100.3
発電107,012110.5
電子デバイス137,334108.2
食品流通113,60696.5
その他62,228103.0
消去△51,997-
合計914,915102.4

(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は9,526億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ379億15百万円増加しました。
流動資産は5,730億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ546億25百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べたな卸資産が272億15百万円、売上債権が217億47百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は3,794億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ167億24百万円減少しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,999億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億37百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,794億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ227億61百万円減少しました。これは、主に退職給付に係る資産が237億27百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は5,605億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ124億1百万円増加しました。
流動負債は4,258億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ211億53百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ1年内償還予定の社債が200億円減少した一方で、短期借入金が144億31百万円、仕入債務が126億93百万円、コマーシャル・ペーパーが80億円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定負債は1,347億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ87億51百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ社債が100億円、退職給付に係る負債が32億75百万円、それぞれ増加した一方で、長期借入金が238億87百万円減少したことなどによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は1,539億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億22百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は16.2%となり、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は3,920億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ255億14百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が284億22百万円増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は37.0%となり、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント増加しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム・エネルギーソリューション部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,046億32百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ166億36百万円増加しました。
■パワエレシステム・インダストリーソリューション部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,639億22百万円となり、たな卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ83億4百万円増加しました。
■発電部門
当連結会計年度末のセグメント資産は1,161億66百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ29億20百万円増加しました。
■電子デバイス部門
当連結会計年度末のセグメント資産は1,726億99百万円となり、たな卸資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ219億16百万円増加しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は787億33百万円となり、退職給付に係る資産の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ14億58百万円減少しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は339億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億98百万円増加しました。
(注)「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については当該会計基準等を遡って適用した後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、335億1百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加(前連結会計年度は385億96百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、50億95百万円の資金流入額の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は549億49百万円(前連結会計年度は531億46百万円の増加)となりました。これは、たな卸資産及び売上債権が増加した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びに仕入債務が増加したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、18億3百万円の資金流入額の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は214億48百万円(前連結会計年度は145億50百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因とするものであります。
前連結会計年度に対しては、68億98百万円の資金流出額の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は381億74百万円(前連結会計年度は468億87百万円の減少)となりました。これは主として、社債の償還並びにリース債務の返済によるものであります。
前連結会計年度に対しては、87億13百万円の資金流出額の減少となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益622億87百万円、減価償却費309億6百万円、仕入債務の増加によるもの124億10百万円、たな卸資産の増加によるもの△269億37百万円、売上債権の増加によるもの△219億49百万円、法人税等の支払額△122億60百万円、などとなっております。 なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ41億95百万円(12.6%)減少し、291億34百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況(連結)
2018年度
中期経営計画
2018年度
実績
増減
売上高9,000億円9,149億円+149億円
営業利益540億円600億円+60億円
営業利益率6.0%6.6%+0.6pt
親会社株主に
帰属する当期純利益
340億円403億円+63億円

当社は、2018年度中期経営計画「Renovation 2018」において、「富士電機の更なる変革」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」及び「収益力の強化」に取り組むこととし、経営目標(連結)として、売上高9,000億円、営業利益540億円、営業利益率6.0%、親会社株主に帰属する当期純利益340億円を掲げました。
2018年度連結実績においては、中期経営計画で掲げた売上高、利益に係る目標値を全て達成することができました。