四半期報告書-第145期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
(1)経営成績
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」をスタートさせ、成長分野であるパワエレシステム事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当第2四半期連結累計期間における当社を取り巻く市場環境は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外で投資抑制傾向が継続する等、厳しい状況が続きました。一方で、中国では経済活動の再開がいち早く進み、製造業の設備投資に持ち直しの動きもみられました。
このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間の連結業績の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた企業活動の制約による設備投資抑制や納期延伸等の影響および前年同期の大口案件影響を受け、「電子デバイス」を除く4部門で需要が減少し、前年同期に比べ496億68百万円減少の3,569億93百万円となりました。
損益面では、原価低減及び固定費削減等を推進したものの、売上高、生産高の大幅な減少等により、営業損益は前年同期に比べ58億21百万円減少の52億95百万円、経常損益は前年同期に比べ56億97百万円減少の51億64百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期に比べ39億13百万円減少の20億65百万円となりました。
<セグメント別状況>■パワエレシステム エネルギー部門
売上高:817億87百万円(前年同期比 16.6%減少) 営業損益:15億97百万円(前年同期比 20億33百万円減少)
エネルギーマネジメント分野及び器具分野の需要減少を主因に売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、産業向け電源機器及びスマートメータの需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・施設・電源システム分野は、施設電機及び電機盤の前年同期大口案件影響により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・器具分野は、工作機械をはじめとする国内の機械セットメーカならびに受配電盤メーカの需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■パワエレシステム インダストリー部門
売上高:1,282億24百万円(前年同期比 7.6%減少) 営業損益:1億86百万円(前年同期比 8億50百万円増加)
ITソリューション分野の前年同期の大口案件の影響を主因に売上高は前年同期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前年同期を上回りました。
・オートメーション分野は、船舶用排ガスシステムの需要が増加し、中国においては低圧インバータおよびFAコンポーネントの需要が増加したものの、国内その他分野で需要が低調に推移し、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品の大口案件増加等により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・設備工事分野は、設備投資計画の延期や前年同期の電気設備工事の大口案件影響等により、売上高は前年同期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前年同期を上回りました。
・ITソリューション分野は、前年同期の大口案件の影響により、売上高は前年同期を下回りましたが、案件差等により、営業損益は前年同期と同水準となりました。
■電子デバイス部門
売上高:724億47百万円(前年同期比 10.1%増加) 営業損益:63億23百万円(前年同期比 3億34百万円増加)
・電子デバイス分野は、電気自動車(xEV)向けおよび新エネルギー市場向けのパワー半導体の需要増加により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■食品流通部門
売上高:376億55百万円(前年同期比 31.1%減少) 営業損益:△25億81百万円(前年同期比 55億1百万円減少)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う設備投資抑制や納期延伸等により、自販機分野及び店舗流通分野の需要が減少し、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・自販機分野は、国内飲料メーカの営業活動自粛及び設備投資の減少ならびに中国の需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要減少、及び改装工事の一部中止・延伸により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■発電プラント部門
売上高:326億59百万円(前年同期比 21.9%減少) 営業損益:10億99百万円(前年同期比 3億円増加)
・発電プラント分野は、前年同期の火力発電設備の大口案件影響により売上高は前年同期を下回りましたが、営業損益は案件差等により、前年同期を上回りました。
■その他部門
売上高:250億60百万円(前年同期比 18.4%減少) 営業損益:7億50百万円(前年同期比 4億円減少)
(2)財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産額は1兆651億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ683億3百万円増加しました。
流動資産は6,423億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ466億36百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ売上債権が683億32百万円減少した一方で、現金及び預金が918億14百万円、たな卸資産が204億29百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,226億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億83百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,256億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億74百万円減少しました。また、投資その他の資産は1,970億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ225億57百万円増加しました。これは、主に投資有価証券が、その他有価証券の時価評価差額相当分の増加を主因として、348億円増加したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は6,375億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ466億88百万円増加しました。
流動負債は4,087億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ143億69百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べコマーシャル・ペーパーが755億円増加した一方で、仕入債務が459億89百万円、1年内償還予定の社債が150億円、前受金が52億16百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は2,287億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ610億58百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が588億92百万円増加したことなどによるものであります。
なお、当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高は3,379億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,205億94百万円増加しました。また、同残高の総資産に対する比率は31.7%となり、前連結会計年度末に比べ9.9ポイント増加しました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は4,276億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億15百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べその他有価証券評価差額金が247億4百万円増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は36.3%となり、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント減少しました。
(3)キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、129億65百万円の資金の減少(前年同期は225億60百万円の減少)となり、前年同期に対して95億95百万円の好転となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の減少は、21億22百万円(前年同期は12億86百万円の増加)となりました。これは、売上債権が減少した一方で、たな卸資産が増加し、仕入債務が減少したことなどを主因とするものであります。
前年同期に対しては、34億8百万円の悪化となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動による資金の減少は、108億42百万円(前年同期は238億47百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因とするものであります。
前年同期に対しては、130億5百万円の好転となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動による資金の増加は、1,043億10百万円(前年同期は168億49百万円の増加)となりました。これは主として、コマーシャル・ペーパーの増加並びに長期借入金の増加によるものであります。
これらの結果、当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末残高に比べ909億48百万円(142.7%)増加し、1,546億94百万円となりました。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
パワーエレクトロニクス技術やパワー半導体技術のシナジーを生かした強いコンポーネントとシステム並びに要素技術を複合して顧客価値を創出するソリューションを生み出す研究開発に注力しています。
メーカーとしてリアルの技術を磨くとともに、最新のデジタル技術を深化させ、アナリティクス・AIの応用拡大を加速しています。クリーンな創エネルギーからエネルギーの安定供給、需要家サイドに至る自動化、省エネ・省力化などに貢献します。
当第2四半期連結累計期間における富士電機の研究開発費は159億41百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当第2四半期連結会計期間末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,129件です。
■パワエレシステム エネルギー部門
電力流通分野では、2021年度に創設される予定の需給調整市場に向け、経済産業省の「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」(2016年度~2020年度)に参画しています。本年度中の実証に向けてDR(Demand Response)実証リハーサルを行っています。同時に製品化に向けてユーザ画面の開発や、DRの情報を交換するための最新のOpenADR(Open Automated Demand Response)規格に対応できるように通信機能を拡張しています。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は30億6百万円です。
■パワエレシステム インダストリー部門
低圧インバータ分野では、制動エネルギーを電源側に回生するPWMコンバータ「FRENIC-RHCシリーズ」を開発し発売しました。様々な通信プロトコルに対応したオプションカードを揃えています。標準装備したトレースバック機能によりアラーム発生時に保持したデータを使って容易に故障解析ができます。また、最大4台まで並列接続することにより2,800kWまで容量を拡大できます。プラント設備や大容量クレーン、サーボプレスなどの省エネルギー化に貢献します。
小容量電源分野では、制御盤用のAC/DC電源を開発しています。AC100V~240Vの入力電圧に対応し、出力電圧24Vで出力電流10A、20A、40Aの3タイプに対してそれぞれ標準モデルとメンテナンスフリーモデルをラインアップしました。ラックマウントや低背構造、コネクタ接続により制御盤内の電源や配線を従来よりも最大50%省スペース化したことで、より多くの制御機器が設置できます。また、電源の信頼性が要求されるシステムに対応できるよう二重化機能を内蔵しています。2台の電源を並列接続するだけで簡単に冗長運転が可能になり、1台の電源が故障しても制御盤の稼働が継続できます。
高圧インバータやパワーコンディショナ(PCS)分野では、大容量(2,500kVA)太陽光発電用PCS「PVI1500CJ-3/2500」を開発し発売しました。日照の少ない時間帯でも発電量を確保するため、PCSの出力容量を超えた太陽光パネルを設置する過積載が一般的になってきています。PCSの定格出力容量に対して設置する太陽光パネル容量の比として定義される過積載率の限度を従来の150%から200%に増やし、さらに低出力時の変換効率を最大3.5ポイント改善することで、さらなる発電量の向上に貢献します。
鉄道車両分野では、2020年7月から営業運転を開始した東海旅客鉄道株式会社のN700S系新幹線電車向けに、主回路装置(自社製SiCパワー半導体モジュールを使用した主変換装置、主電動機、主変圧器)、および新たに採用されたフルアクティブダンパ駆動装置(インバータ、小型モータ)を開発し納入を開始しました。
放射線機器・システム分野では、海外の原子力関連施設における個人線量管理に用いる電子式個人線量計として、従来のγ線測定用のNRF50に中性子線測定機能を加えたNRF51とβ線測定機能を加えたNRF54を開発し発売しました。大型ドットディスプレイにより視認性が向上しました。標準装備の無線モジュールと汎用通信モジュールにより900MHz無線やWi‐Fi、赤外線通信、USB、Bluetoothなどの多くの通信手段が利用できます。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は45億10百万円です。
■電子デバイス部門
半導体デバイス分野の産業用モジュールでは、低損失で高温動作を保証した最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。
パワーデバイスの駆動機能や保護機能を備えた第7世代IPM(Intelligent Power Module)製品の系列化を進めています。第7世代チップとパッケージ技術に加え、制御回路技術の向上により、さらなる低損失化と小型化を実現しました。また、従来の保護機能に加え、インバータをはじめとする電力変換装置がIPMの過熱異常により突然停止する前に、出力を抑制するなどの対応ができるようにアラーム信号を出力する予防保全機能を世界で初めて搭載しました。これらの技術や機能により、電力変換装置の小型化や高効率化、高信頼性化を可能にします。
さらに、シリコンに代わる半導体材料として注目されているSiC(炭化ケイ素)を使った産業向けSiCモジュール製品の系列化を進めています。医療用電源などの高周波用途向けに低損失のSiC-SBDと高速スイッチング特性を持つSi-IGBTを組み合わせた1,200V/300A、450A高速ハイブリッドモジュールを開発しました。SiCチップの採用により、電力変換装置の更なる電力効率の向上や小型化に貢献します。
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の2020年モデル向けに、従来よりもパワー密度を高めた車載用直接水冷型パワーモジュールの量産を開始しました。さらに、小型モータ駆動用の小容量IPM、DC/DCコンバータ用モジュールなど小容量モジュールの系列を拡大しました。これらの製品を通じて、EVやHEVシステム全体の小型軽量化や高効率化に貢献します。
IC製品では、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路におけるインダクタ電流のゼロクロスを巻線で検出する臨界モードPFC制御ICを開発しました。これによりPFC回路部の出力電圧の保持と低ノイズ化が可能となります。また、このICのパッケージと端子配置は、既存品と互換性があるので、置き換えが可能です。
ディスクリート製品では、車載部品の信頼性規格AEC-Q101に準拠した車載用「Super J MOS S2A シリーズ」に650Vを開発し系列に加えました。オン抵抗とスイッチング損失を低減したことで、車載用DC/DCコンバータや充電器など各種機器の損失低減や高効率化、小型化に貢献します。
感光体分野では、小規模オフィス向けA4複合機用有機感光体を開発し発売しました。複数の機能材の組み合わせにより高い環境安定性を維持すると共に、摩耗耐性に優れた樹脂を採用することで、安定した印字濃度と長寿命化を両立しました。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は50億17百万円です。
■食品流通部門
自販機分野では、新型コロナウイルス感染症の影響でマスクの必要性が高まる中、いつでもどこでも安心してマスクなどの衛生用品を購入できる自動販売機(以下、マスク自販機)を開発し発売しました。マスクのほかに除菌シートなどを販売することもできます。多くの人が集まる商業施設や公共施設、交通機関などへの展開を見込んでいます。マスク自販機は、ボタンや返却レバー、商品の取り出し口などに抗菌処理を施してあります。庫内温度を18℃以下に保つ機能も備え、夏場に冷やしたマスクを販売することもできます。
東南アジアで活発化するキャッシュレス決済サービスに対応してスマートフォンによるQRコード決済ができる缶・ペットボトル自販機を開発し発売しました。
金銭分野では、小型店舗の省力化をサポートする「小型釣銭機(ECS-Light)」を開発しています。現行の釣銭機と比べて約1/5の占有面積で設置できます。また、参考出品した展示会では、好評を得ました。
店舗分野では、小売店舗が緊急に進めている感染症予防対策への対応を進めています。長年培った気流制御技術や冷熱技術を活用した店舗内の気流シミュレーションを用いて、店舗内に換気の悪い空間を作らないように飛沫感染の防止対策をした店舗づくりを提案しています。今後とも、安全・安心で、よりよい店舗環境づくりに貢献します。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は21億47百万円です。
■発電プラント部門
火力発電分野では、二酸化炭素の排出量を削減するため、蒸気タービンの高効率化の技術を開発しています。また、メンテナンスサービスにおける劣化診断時間を短縮する技術を開発し、診断メニューの拡張を図っています。
再生可能エネルギー分野では、地熱発電の蒸気タービンの汚損抑制や寿命拡大、風力発電では高度の系統連系でも安定した電力供給ができる高効率な出力安定化装置、太陽光発電では安定して電力供給できるコンパクトな蓄電池併用PCSを開発しています。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は12億55百万円です。
■新技術・基盤技術部門
今後のCO2削減目標を達成するためには太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大が必須です。火力発電などで従来から用いられている発電機は、電力の需給バランスがくずれても回転体のもつ慣性の作用により系統周波数の変動を緩和する機能を持っています。しかし、そのような機能がない太陽光発電設備が大量導入されると周波数の維持が困難になります。そこで、太陽光発電用PCSの制御を工夫し、周波数を維持する機能を開発しています。この機能を太陽光発電用PCSに実装し、効果の検証を進めていく予定です。
製造現場のデジタル化を進めるIoTプラットフォームの拡充に取り組んでいます。独自の構造化Deep Learningなどに注力して、説明できるAIを実現する技術を開発しています。また、エッジ機器へ搭載可能なアナリティクス・AI技術を開発しています。
SiCデバイスの性能を向上させるため、大規模な分子動力学計算を用いてデバイス特性を劣化させる欠陥の発生メカニズム解明に取り組んでいます。今後、半導体製造プロセス中の反応工程にも計算科学を適用していく予定です。
■その他部門
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は4百万円です。
(9)設備の新設、除去等の計画
前連結会計年度の有価証券報告書提出日において未定でありました当連結会計年度において実施及び計画している設備の新設、拡充の状況は次のとおりであります。
なお、富士電機は、多種多様な事業を国内外で行っており、設備の新設・拡充の計画を個々のプロジェクトごとに決定しておりません。そのため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。
(注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。
2.経常的な設備の更新のための除却・売却を除き、重要な設備の除却・売却の計画はありません。
3.上記設備計画の今後の所要資金は、自己資金により充当する予定であります。
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本四半期報告書の提出日現在において合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」をスタートさせ、成長分野であるパワエレシステム事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当第2四半期連結累計期間における当社を取り巻く市場環境は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外で投資抑制傾向が継続する等、厳しい状況が続きました。一方で、中国では経済活動の再開がいち早く進み、製造業の設備投資に持ち直しの動きもみられました。
このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間の連結業績の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた企業活動の制約による設備投資抑制や納期延伸等の影響および前年同期の大口案件影響を受け、「電子デバイス」を除く4部門で需要が減少し、前年同期に比べ496億68百万円減少の3,569億93百万円となりました。
損益面では、原価低減及び固定費削減等を推進したものの、売上高、生産高の大幅な減少等により、営業損益は前年同期に比べ58億21百万円減少の52億95百万円、経常損益は前年同期に比べ56億97百万円減少の51億64百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期に比べ39億13百万円減少の20億65百万円となりました。
<セグメント別状況>■パワエレシステム エネルギー部門
売上高:817億87百万円(前年同期比 16.6%減少) 営業損益:15億97百万円(前年同期比 20億33百万円減少)
エネルギーマネジメント分野及び器具分野の需要減少を主因に売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・エネルギーマネジメント分野は、産業向け電源機器及びスマートメータの需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・施設・電源システム分野は、施設電機及び電機盤の前年同期大口案件影響により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・器具分野は、工作機械をはじめとする国内の機械セットメーカならびに受配電盤メーカの需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■パワエレシステム インダストリー部門
売上高:1,282億24百万円(前年同期比 7.6%減少) 営業損益:1億86百万円(前年同期比 8億50百万円増加)
ITソリューション分野の前年同期の大口案件の影響を主因に売上高は前年同期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前年同期を上回りました。
・オートメーション分野は、船舶用排ガスシステムの需要が増加し、中国においては低圧インバータおよびFAコンポーネントの需要が増加したものの、国内その他分野で需要が低調に推移し、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品の大口案件増加等により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
・設備工事分野は、設備投資計画の延期や前年同期の電気設備工事の大口案件影響等により、売上高は前年同期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前年同期を上回りました。
・ITソリューション分野は、前年同期の大口案件の影響により、売上高は前年同期を下回りましたが、案件差等により、営業損益は前年同期と同水準となりました。
■電子デバイス部門
売上高:724億47百万円(前年同期比 10.1%増加) 営業損益:63億23百万円(前年同期比 3億34百万円増加)
・電子デバイス分野は、電気自動車(xEV)向けおよび新エネルギー市場向けのパワー半導体の需要増加により、売上高、営業損益ともに前年同期を上回りました。
■食品流通部門
売上高:376億55百万円(前年同期比 31.1%減少) 営業損益:△25億81百万円(前年同期比 55億1百万円減少)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う設備投資抑制や納期延伸等により、自販機分野及び店舗流通分野の需要が減少し、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・自販機分野は、国内飲料メーカの営業活動自粛及び設備投資の減少ならびに中国の需要減少により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要減少、及び改装工事の一部中止・延伸により、売上高、営業損益ともに前年同期を下回りました。
■発電プラント部門
売上高:326億59百万円(前年同期比 21.9%減少) 営業損益:10億99百万円(前年同期比 3億円増加)
・発電プラント分野は、前年同期の火力発電設備の大口案件影響により売上高は前年同期を下回りましたが、営業損益は案件差等により、前年同期を上回りました。
■その他部門
売上高:250億60百万円(前年同期比 18.4%減少) 営業損益:7億50百万円(前年同期比 4億円減少)
(2)財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産額は1兆651億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ683億3百万円増加しました。
流動資産は6,423億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ466億36百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ売上債権が683億32百万円減少した一方で、現金及び預金が918億14百万円、たな卸資産が204億29百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,226億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億83百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,256億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億74百万円減少しました。また、投資その他の資産は1,970億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ225億57百万円増加しました。これは、主に投資有価証券が、その他有価証券の時価評価差額相当分の増加を主因として、348億円増加したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は6,375億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ466億88百万円増加しました。
流動負債は4,087億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ143億69百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べコマーシャル・ペーパーが755億円増加した一方で、仕入債務が459億89百万円、1年内償還予定の社債が150億円、前受金が52億16百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は2,287億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ610億58百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が588億92百万円増加したことなどによるものであります。
なお、当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高は3,379億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,205億94百万円増加しました。また、同残高の総資産に対する比率は31.7%となり、前連結会計年度末に比べ9.9ポイント増加しました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は4,276億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億15百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べその他有価証券評価差額金が247億4百万円増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は36.3%となり、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント減少しました。
(3)キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、129億65百万円の資金の減少(前年同期は225億60百万円の減少)となり、前年同期に対して95億95百万円の好転となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の減少は、21億22百万円(前年同期は12億86百万円の増加)となりました。これは、売上債権が減少した一方で、たな卸資産が増加し、仕入債務が減少したことなどを主因とするものであります。
前年同期に対しては、34億8百万円の悪化となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動による資金の減少は、108億42百万円(前年同期は238億47百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因とするものであります。
前年同期に対しては、130億5百万円の好転となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動による資金の増加は、1,043億10百万円(前年同期は168億49百万円の増加)となりました。これは主として、コマーシャル・ペーパーの増加並びに長期借入金の増加によるものであります。
これらの結果、当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末残高に比べ909億48百万円(142.7%)増加し、1,546億94百万円となりました。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
パワーエレクトロニクス技術やパワー半導体技術のシナジーを生かした強いコンポーネントとシステム並びに要素技術を複合して顧客価値を創出するソリューションを生み出す研究開発に注力しています。
メーカーとしてリアルの技術を磨くとともに、最新のデジタル技術を深化させ、アナリティクス・AIの応用拡大を加速しています。クリーンな創エネルギーからエネルギーの安定供給、需要家サイドに至る自動化、省エネ・省力化などに貢献します。
当第2四半期連結累計期間における富士電機の研究開発費は159億41百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当第2四半期連結会計期間末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,129件です。
■パワエレシステム エネルギー部門
電力流通分野では、2021年度に創設される予定の需給調整市場に向け、経済産業省の「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」(2016年度~2020年度)に参画しています。本年度中の実証に向けてDR(Demand Response)実証リハーサルを行っています。同時に製品化に向けてユーザ画面の開発や、DRの情報を交換するための最新のOpenADR(Open Automated Demand Response)規格に対応できるように通信機能を拡張しています。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は30億6百万円です。
■パワエレシステム インダストリー部門
低圧インバータ分野では、制動エネルギーを電源側に回生するPWMコンバータ「FRENIC-RHCシリーズ」を開発し発売しました。様々な通信プロトコルに対応したオプションカードを揃えています。標準装備したトレースバック機能によりアラーム発生時に保持したデータを使って容易に故障解析ができます。また、最大4台まで並列接続することにより2,800kWまで容量を拡大できます。プラント設備や大容量クレーン、サーボプレスなどの省エネルギー化に貢献します。
小容量電源分野では、制御盤用のAC/DC電源を開発しています。AC100V~240Vの入力電圧に対応し、出力電圧24Vで出力電流10A、20A、40Aの3タイプに対してそれぞれ標準モデルとメンテナンスフリーモデルをラインアップしました。ラックマウントや低背構造、コネクタ接続により制御盤内の電源や配線を従来よりも最大50%省スペース化したことで、より多くの制御機器が設置できます。また、電源の信頼性が要求されるシステムに対応できるよう二重化機能を内蔵しています。2台の電源を並列接続するだけで簡単に冗長運転が可能になり、1台の電源が故障しても制御盤の稼働が継続できます。
高圧インバータやパワーコンディショナ(PCS)分野では、大容量(2,500kVA)太陽光発電用PCS「PVI1500CJ-3/2500」を開発し発売しました。日照の少ない時間帯でも発電量を確保するため、PCSの出力容量を超えた太陽光パネルを設置する過積載が一般的になってきています。PCSの定格出力容量に対して設置する太陽光パネル容量の比として定義される過積載率の限度を従来の150%から200%に増やし、さらに低出力時の変換効率を最大3.5ポイント改善することで、さらなる発電量の向上に貢献します。
鉄道車両分野では、2020年7月から営業運転を開始した東海旅客鉄道株式会社のN700S系新幹線電車向けに、主回路装置(自社製SiCパワー半導体モジュールを使用した主変換装置、主電動機、主変圧器)、および新たに採用されたフルアクティブダンパ駆動装置(インバータ、小型モータ)を開発し納入を開始しました。
放射線機器・システム分野では、海外の原子力関連施設における個人線量管理に用いる電子式個人線量計として、従来のγ線測定用のNRF50に中性子線測定機能を加えたNRF51とβ線測定機能を加えたNRF54を開発し発売しました。大型ドットディスプレイにより視認性が向上しました。標準装備の無線モジュールと汎用通信モジュールにより900MHz無線やWi‐Fi、赤外線通信、USB、Bluetoothなどの多くの通信手段が利用できます。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は45億10百万円です。
■電子デバイス部門
半導体デバイス分野の産業用モジュールでは、低損失で高温動作を保証した最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。
パワーデバイスの駆動機能や保護機能を備えた第7世代IPM(Intelligent Power Module)製品の系列化を進めています。第7世代チップとパッケージ技術に加え、制御回路技術の向上により、さらなる低損失化と小型化を実現しました。また、従来の保護機能に加え、インバータをはじめとする電力変換装置がIPMの過熱異常により突然停止する前に、出力を抑制するなどの対応ができるようにアラーム信号を出力する予防保全機能を世界で初めて搭載しました。これらの技術や機能により、電力変換装置の小型化や高効率化、高信頼性化を可能にします。
さらに、シリコンに代わる半導体材料として注目されているSiC(炭化ケイ素)を使った産業向けSiCモジュール製品の系列化を進めています。医療用電源などの高周波用途向けに低損失のSiC-SBDと高速スイッチング特性を持つSi-IGBTを組み合わせた1,200V/300A、450A高速ハイブリッドモジュールを開発しました。SiCチップの採用により、電力変換装置の更なる電力効率の向上や小型化に貢献します。
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の2020年モデル向けに、従来よりもパワー密度を高めた車載用直接水冷型パワーモジュールの量産を開始しました。さらに、小型モータ駆動用の小容量IPM、DC/DCコンバータ用モジュールなど小容量モジュールの系列を拡大しました。これらの製品を通じて、EVやHEVシステム全体の小型軽量化や高効率化に貢献します。
IC製品では、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路におけるインダクタ電流のゼロクロスを巻線で検出する臨界モードPFC制御ICを開発しました。これによりPFC回路部の出力電圧の保持と低ノイズ化が可能となります。また、このICのパッケージと端子配置は、既存品と互換性があるので、置き換えが可能です。
ディスクリート製品では、車載部品の信頼性規格AEC-Q101に準拠した車載用「Super J MOS S2A シリーズ」に650Vを開発し系列に加えました。オン抵抗とスイッチング損失を低減したことで、車載用DC/DCコンバータや充電器など各種機器の損失低減や高効率化、小型化に貢献します。
感光体分野では、小規模オフィス向けA4複合機用有機感光体を開発し発売しました。複数の機能材の組み合わせにより高い環境安定性を維持すると共に、摩耗耐性に優れた樹脂を採用することで、安定した印字濃度と長寿命化を両立しました。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は50億17百万円です。
■食品流通部門
自販機分野では、新型コロナウイルス感染症の影響でマスクの必要性が高まる中、いつでもどこでも安心してマスクなどの衛生用品を購入できる自動販売機(以下、マスク自販機)を開発し発売しました。マスクのほかに除菌シートなどを販売することもできます。多くの人が集まる商業施設や公共施設、交通機関などへの展開を見込んでいます。マスク自販機は、ボタンや返却レバー、商品の取り出し口などに抗菌処理を施してあります。庫内温度を18℃以下に保つ機能も備え、夏場に冷やしたマスクを販売することもできます。
東南アジアで活発化するキャッシュレス決済サービスに対応してスマートフォンによるQRコード決済ができる缶・ペットボトル自販機を開発し発売しました。
金銭分野では、小型店舗の省力化をサポートする「小型釣銭機(ECS-Light)」を開発しています。現行の釣銭機と比べて約1/5の占有面積で設置できます。また、参考出品した展示会では、好評を得ました。
店舗分野では、小売店舗が緊急に進めている感染症予防対策への対応を進めています。長年培った気流制御技術や冷熱技術を活用した店舗内の気流シミュレーションを用いて、店舗内に換気の悪い空間を作らないように飛沫感染の防止対策をした店舗づくりを提案しています。今後とも、安全・安心で、よりよい店舗環境づくりに貢献します。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は21億47百万円です。
■発電プラント部門
火力発電分野では、二酸化炭素の排出量を削減するため、蒸気タービンの高効率化の技術を開発しています。また、メンテナンスサービスにおける劣化診断時間を短縮する技術を開発し、診断メニューの拡張を図っています。
再生可能エネルギー分野では、地熱発電の蒸気タービンの汚損抑制や寿命拡大、風力発電では高度の系統連系でも安定した電力供給ができる高効率な出力安定化装置、太陽光発電では安定して電力供給できるコンパクトな蓄電池併用PCSを開発しています。
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は12億55百万円です。
■新技術・基盤技術部門
今後のCO2削減目標を達成するためには太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大が必須です。火力発電などで従来から用いられている発電機は、電力の需給バランスがくずれても回転体のもつ慣性の作用により系統周波数の変動を緩和する機能を持っています。しかし、そのような機能がない太陽光発電設備が大量導入されると周波数の維持が困難になります。そこで、太陽光発電用PCSの制御を工夫し、周波数を維持する機能を開発しています。この機能を太陽光発電用PCSに実装し、効果の検証を進めていく予定です。
製造現場のデジタル化を進めるIoTプラットフォームの拡充に取り組んでいます。独自の構造化Deep Learningなどに注力して、説明できるAIを実現する技術を開発しています。また、エッジ機器へ搭載可能なアナリティクス・AI技術を開発しています。
SiCデバイスの性能を向上させるため、大規模な分子動力学計算を用いてデバイス特性を劣化させる欠陥の発生メカニズム解明に取り組んでいます。今後、半導体製造プロセス中の反応工程にも計算科学を適用していく予定です。
■その他部門
当第2四半期連結累計期間における当部門の研究開発費は4百万円です。
(9)設備の新設、除去等の計画
前連結会計年度の有価証券報告書提出日において未定でありました当連結会計年度において実施及び計画している設備の新設、拡充の状況は次のとおりであります。
なお、富士電機は、多種多様な事業を国内外で行っており、設備の新設・拡充の計画を個々のプロジェクトごとに決定しておりません。そのため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。
セグメントの名称 | 計画額 (百万円) | 設備等の主な内容・目的 |
パワエレシステム エネルギー | 8,333 | 電力流通、スマートメータ、産業変電、鉄道地上変電、産業電源、データセンター、無停電電源装置(UPS)、施設電機、電機盤、受配電・制御機器等の生産能力増強及び新製品・新機種開発並びに生産合理化等 |
パワエレシステム インダストリー | 4,528 | インバータ、モータ、FAコンポーネント(サーボ・コントローラ)、計測機器・センサ、FAシステム、駆動制御システム、計測制御システム、鉄道車両、放射線機器・システム、電気・空調設備工事、情報システム等の生産能力増強及び新製品・新機種開発並びに生産合理化等 |
電子デバイス | 21,390 | 産業分野・自動車分野の半導体、ディスク媒体等の生産能力増強及び新製品・新機種開発並びに生産合理化等 |
食品流通 | 1,767 | 飲料自販機、食品・物品自販機、店舗設備機器、金銭機器等の生産能力増強及び新製品・新機種開発並びに生産合理化等 |
発電プラント | 1,037 | 地熱発電、水力発電、太陽光発電、風力発電、燃料電池、火力発電、原子力関連設備等の生産能力増強及び新製品・新機種開発並びに生産合理化等 |
その他 | 937 | 研究開発設備等 |
合計 | 37,992 | - |
(注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。
2.経常的な設備の更新のための除却・売却を除き、重要な設備の除却・売却の計画はありません。
3.上記設備計画の今後の所要資金は、自己資金により充当する予定であります。
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本四半期報告書の提出日現在において合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。