有価証券報告書-第145期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.
Prosperity2023」をスタートさせ、成長分野であるパワエレシステム事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外で投資抑制傾向が継続する等、厳しい状況が続きました。こうした中で、中国では上期より経済活動の再開がいち早く進み、製造業の設備投資に持ち直しの動きが見られました。また、下期にかけては国内における工作機械関連の需要が増加したほか、自動車の電動化や再生可能エネルギーの普及拡大を背景に国内外における半導体需要の高まりが顕著となりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.7%減収の8,759億27百万円となりました。部門別には、「パワエレシステム インダストリー」、「電子デバイス」は前連結会計年度を上回りましたが、「パワエレシステム エネルギー」、「食品流通」、「発電プラント」は前連結会計年度を下回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ3.8%減収の6,540億20百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ0.5%増収の2,219億7百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加して25.3%となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ3.7%減少し6,546億61百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少して74.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3.0%減少し1,726億70百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少して19.7%となりました。
営業利益は、売上高が減少したものの、原価低減及び固定費削減等を推進し、前連結会計年度に比べ60億80百万円増加し、485億95百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加して5.5%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の19億98百万円の収益(純額)から、18億5百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ1億93百万円の収益(純額)の減少となりました。これは、為替差損が前連結会計年度に比べ9億47百万円減少した一方で、関係会社貸倒引当金繰入額が4億54百万円増加したこと、関係会社投資損失引当金繰入額を4億42百万円計上したことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ58億88百万円増加し、504億1百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、411億45百万円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が増加したことにより、前連結会計年度に比べ383億74百万円増加しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損、減損損失、製品不具合対策費を計上し、282億62百万円となりました。なお、固定資産処分損及び投資有価証券評価損の計上額が減少した一方、減損損失、製品不具合対策費を計上したことにより、前連結会計年度に比べ248億39百万円の増加となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は632億84百万円となり、前連結会計年度に比べ194億24百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用179億41百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益34億15百万円を控除した結果、419億26百万円となり、前連結会計年度に比べ131億33百万円の増加となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
売上高:2,092億29百万円(前期比 4.0%減少) 営業損益:140億18百万円(前期比 16億96百万円増加)
全ての分野において売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りまし
た。
・エネルギーマネジメント分野は、産業向け電源機器の前期大口案件の影響及びスマートメータの需要減少により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・施設・電源システム分野は、電機盤の前期大口案件影響等により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・器具分野は、下期より工作機械をはじめとする国内の機械セットメーカの需要が持ち直したものの、上期における需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,121億円(富士電機㈱のパワエレシステム エネルギー部門単独ベース)となっております。
■パワエレシステム インダストリー部門
売上高:3,458億84百万円(前期比 8.9%増加) 営業損益:217億81百万円(前期比 52億34百万円増加)
設備工事分野は顧客の設備投資計画の延伸等により売上が減少したものの、ITソリューション分野、オートメーション分野、及び社会ソリューション分野の需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・オートメーション分野は、国内の需要が低調に推移したものの、中国においてFAコンポーネントを中心として需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品及び船舶用排ガス浄化システムの需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・設備工事分野は、顧客の設備投資計画の延伸や前期の電気設備工事の大口案件影響等により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・ITソリューション分野は、文教向けGIGAスクール構想の大口案件の増加により、売上高、営業損益とも
に前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,377億円(富士電機㈱のパワエレシステム インダストリー部門単独ベース)となっております。
(注)第3四半期連結会計期間より、「船舶用排ガス浄化システム」を「オートメーション分野」から「社会ソリューション分野」に移管しており、前期の数値を移管後の分野に組み替えたうえで算出しております。
■電子デバイス部門
売上高:1,574億84百万円(前期比14.6%増加) 営業損益:176億52百万円(前期比 79億34百万円増加)
・電子デバイス分野は、パワー半導体生産能力増強に係る投資による費用が増加したものの、電気自動車(xEV)向け、新エネルギー市場向け及びFA向けのパワー半導体の需要増加により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,232億円(富士電機㈱の電子デバイス部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:765億56百万円(前期比 26.7%減少) 営業損益:△52億80百万円(前期比 91億22百万円減少)
自販機分野及び店舗流通分野ともに、新型コロナウイルス感染症の影響継続に伴う設備投資抑制や納期延伸等により需要が大幅に減少し、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・自販機分野は、国内飲料メーカの設備投資の抑制や中国及びアジアの需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要減少及び納期延伸により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は698億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■発電プラント部門
売上高:803億52百万円(前期比 26.9%減少) 営業損益:25億17百万円(前期比 2億19百万円増加)
・発電プラント分野は、前期の大型火力案件及び再生可能エネルギーの大口案件影響により、売上高は前期を下回りましたが、営業損益は新型コロナウイルス感染症影響による工程延伸に伴う工事費が増加したものの、案件差等により、前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は806億円(富士電機㈱の発電プラント部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:526億94百万円(前期比 13.4%減少) 営業損益:22億16百万円(前期比 4億78百万円減少)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は1兆519億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ551億25百万円増加しました。
流動資産は6,292億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ335億15百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べたな卸資産が49億23百万円減少した一方で、現金及び預金が124億73百万円、売上債権が251億40百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,226億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億36百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,331億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ66億85百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,894億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億51百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ投資有価証券が、その他有価証券の時価評価差額相当分の増加を主因として、79億93百万円、退職給付に係る資産が59億60百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は5,906億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億27百万円減少しました。
流動負債は3,564億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ667億44百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ製品保証引当金が154億79百万円増加した一方で、仕入債務が126億54百万円、コマーシャル・ペーパーが515億円、1年内償還予定の社債が150億円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は2,342億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ666億17百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が580億82百万円増加したことを主因とするものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は2,162億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億59百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は20.6%となり、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,612億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ552億52百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が304億66百万円、その他有価証券評価差額金が111億54百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は39.6%となり、前連結会計年度末に比べ2.9ポイント増加しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,030億48百万円となり、有形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ11億41百万円増加しました。
■パワエレシステム インダストリー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は3,078億64百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ328億34百万円増加しました。
■電子デバイス部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,156億24百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ129億30百万円増加しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は824億11百万円となり、売上債権の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ59億25百万円減少しました。
■発電プラント部門
当連結会計年度末のセグメント資産は670億52百万円となり、売上債権の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ69億94百万円減少しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は373億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億79百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、504億8百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加(前連結会計年度は184億66百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、319億42百万円の資金流入額の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は269億31百万円(前連結会計年度は460億87百万円の増加)となりました。これは、法人税等の支払に加え、売上債権の増加及び仕入債務が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びにたな卸資産が減少したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、191億56百万円の資金流入額の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の増加は234億77百万円(前連結会計年度は276億21百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産を取得した一方で、投資有価証券を売却したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、510億98百万円の資金流入額の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は395億20百万円(前連結会計年度は169億17百万円の増加)となりました。これは、長期借入金が増加した一方で、コマーシャル・ペーパーの減少並びにリース債務の返済などによるものであります。
前連結会計年度に対しては、564億37百万円の資金流出額の増加となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益632億84百万円、減価償却費361億94百万円、製品保証引当金の増加によるもの154億78百万円、たな卸資産の減少によるもの75億13百万円、投資有価証券売却損益△408億64百万円、売上債権の増加によるもの△208億52百万円、仕入債務の減少によるもの△158億81百万円、法人税等の支払額△103億74百万円、などとなっております。 なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ115億85百万円(18.2%)増加し、753億32百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」及び「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」に取り組むこととし、経営目標(連結)として、売上高1兆円、営業利益800億円、営業利益率8.0%、親会社株主に帰属する当期純利益550億円を掲げました。
2020年度連結実績においては、中期経営計画で掲げた2023年度の売上高、利益に係る目標値に対して、次の通りとなっております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。連結財務諸表の作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりであります。
①工事進行基準の適用について
当社グループは、一定の要件を満たす工事契約等の収益及び費用の計上基準として、工事進行基準を適用しています。工事進行基準の適用にあたっては、収益及び費用を認識する基となる工事原価総額及び進捗率の合理的な見積りが可能であることが前提となります。当該見積りについて将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益及び費用の金額に影響を与える可能性があります。
②固定資産(のれんを含む)の減損判定
当社グループは、保有する固定資産(のれんを含む)について減損の兆候がある場合は、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行い、減損が必要と判定された場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に用いられる当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積り及び仮定等について将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
③投資有価証券の減損判定
当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、時価のない株式等については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を認識しております。将来の課税所得の見積りについて、将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
⑤パワー半導体の特定分野向けの一部の製品の不具合対策費用に対する製品保証引当金について
当社グループは、製品の品質に関する保証費用の支出に備えるため、パワー半導体の特定分野向けの一部製品の不具合対策費用の発生見込を踏まえ、今後必要と見込まれる金額を製品保証引当金に計上しております。当該不具合は、製品内部の調達部品の問題により、製品の使用環境に依存して生じることから、当社が把握している顧客の設備の用途及び使用条件等に基づいて、本不具合が発生する範囲を仮定し、不具合対策費用を見積もっております。当該見積りについて不具合対策費用の算出の根拠とした仮定と差異が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
⑥退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表における退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載しているとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社は2019年度を起点に、創立100周年を迎える2023年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画「令和.
Prosperity2023」をスタートさせ、成長分野であるパワエレシステム事業、パワー半導体事業へのリソース傾注や海外事業拡大等の成長戦略を推進しています。
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外で投資抑制傾向が継続する等、厳しい状況が続きました。こうした中で、中国では上期より経済活動の再開がいち早く進み、製造業の設備投資に持ち直しの動きが見られました。また、下期にかけては国内における工作機械関連の需要が増加したほか、自動車の電動化や再生可能エネルギーの普及拡大を背景に国内外における半導体需要の高まりが顕著となりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.7%減収の8,759億27百万円となりました。部門別には、「パワエレシステム インダストリー」、「電子デバイス」は前連結会計年度を上回りましたが、「パワエレシステム エネルギー」、「食品流通」、「発電プラント」は前連結会計年度を下回りました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ3.8%減収の6,540億20百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ0.5%増収の2,219億7百万円となりました。なお、売上高に対する海外売上高の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加して25.3%となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ3.7%減少し6,546億61百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少して74.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3.0%減少し1,726億70百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少して19.7%となりました。
営業利益は、売上高が減少したものの、原価低減及び固定費削減等を推進し、前連結会計年度に比べ60億80百万円増加し、485億95百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加して5.5%となっております。
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の19億98百万円の収益(純額)から、18億5百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ1億93百万円の収益(純額)の減少となりました。これは、為替差損が前連結会計年度に比べ9億47百万円減少した一方で、関係会社貸倒引当金繰入額が4億54百万円増加したこと、関係会社投資損失引当金繰入額を4億42百万円計上したことなどによるものであります。
これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ58億88百万円増加し、504億1百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、411億45百万円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が増加したことにより、前連結会計年度に比べ383億74百万円増加しております。
特別損失は、固定資産処分損及び投資有価証券評価損、減損損失、製品不具合対策費を計上し、282億62百万円となりました。なお、固定資産処分損及び投資有価証券評価損の計上額が減少した一方、減損損失、製品不具合対策費を計上したことにより、前連結会計年度に比べ248億39百万円の増加となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は632億84百万円となり、前連結会計年度に比べ194億24百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用179億41百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益34億15百万円を控除した結果、419億26百万円となり、前連結会計年度に比べ131億33百万円の増加となりました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
売上高:2,092億29百万円(前期比 4.0%減少) 営業損益:140億18百万円(前期比 16億96百万円増加)
全ての分野において売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りまし
た。
・エネルギーマネジメント分野は、産業向け電源機器の前期大口案件の影響及びスマートメータの需要減少により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・施設・電源システム分野は、電機盤の前期大口案件影響等により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・器具分野は、下期より工作機械をはじめとする国内の機械セットメーカの需要が持ち直したものの、上期における需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,121億円(富士電機㈱のパワエレシステム エネルギー部門単独ベース)となっております。
■パワエレシステム インダストリー部門
売上高:3,458億84百万円(前期比 8.9%増加) 営業損益:217億81百万円(前期比 52億34百万円増加)
設備工事分野は顧客の設備投資計画の延伸等により売上が減少したものの、ITソリューション分野、オートメーション分野、及び社会ソリューション分野の需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・オートメーション分野は、国内の需要が低調に推移したものの、中国においてFAコンポーネントを中心として需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・社会ソリューション分野は、鉄道車両用電機品及び船舶用排ガス浄化システムの需要が拡大し、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
・設備工事分野は、顧客の設備投資計画の延伸や前期の電気設備工事の大口案件影響等により、売上高は前期を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前期を上回りました。
・ITソリューション分野は、文教向けGIGAスクール構想の大口案件の増加により、売上高、営業損益とも
に前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,377億円(富士電機㈱のパワエレシステム インダストリー部門単独ベース)となっております。
(注)第3四半期連結会計期間より、「船舶用排ガス浄化システム」を「オートメーション分野」から「社会ソリューション分野」に移管しており、前期の数値を移管後の分野に組み替えたうえで算出しております。
■電子デバイス部門
売上高:1,574億84百万円(前期比14.6%増加) 営業損益:176億52百万円(前期比 79億34百万円増加)
・電子デバイス分野は、パワー半導体生産能力増強に係る投資による費用が増加したものの、電気自動車(xEV)向け、新エネルギー市場向け及びFA向けのパワー半導体の需要増加により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は1,232億円(富士電機㈱の電子デバイス部門単独ベース)となっております。
■食品流通部門
売上高:765億56百万円(前期比 26.7%減少) 営業損益:△52億80百万円(前期比 91億22百万円減少)
自販機分野及び店舗流通分野ともに、新型コロナウイルス感染症の影響継続に伴う設備投資抑制や納期延伸等により需要が大幅に減少し、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・自販機分野は、国内飲料メーカの設備投資の抑制や中国及びアジアの需要減少により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
・店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器等の需要減少及び納期延伸により、売上高、営業損益ともに前期を下回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は698億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。
■発電プラント部門
売上高:803億52百万円(前期比 26.9%減少) 営業損益:25億17百万円(前期比 2億19百万円増加)
・発電プラント分野は、前期の大型火力案件及び再生可能エネルギーの大口案件影響により、売上高は前期を下回りましたが、営業損益は新型コロナウイルス感染症影響による工程延伸に伴う工事費が増加したものの、案件差等により、前期を上回りました。
なお、当連結会計年度の受注高は806億円(富士電機㈱の発電プラント部門単独ベース)となっております。
■その他部門
売上高:526億94百万円(前期比 13.4%減少) 営業損益:22億16百万円(前期比 4億78百万円減少)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
② 受注実績
富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメント別の内容に関連付けて示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
パワエレシステム エネルギー | 209,229 | 96.0 |
パワエレシステム インダストリー | 345,884 | 108.9 |
電子デバイス | 157,484 | 114.6 |
食品流通 | 76,556 | 73.3 |
発電プラント | 80,352 | 73.1 |
その他 | 52,694 | 86.6 |
消去 | △46,273 | - |
合計 | 875,927 | 97.3 |
(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産額は1兆519億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ551億25百万円増加しました。
流動資産は6,292億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ335億15百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べたな卸資産が49億23百万円減少した一方で、現金及び預金が124億73百万円、売上債権が251億40百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は4,226億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ216億36百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は2,331億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ66億85百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,894億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億51百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ投資有価証券が、その他有価証券の時価評価差額相当分の増加を主因として、79億93百万円、退職給付に係る資産が59億60百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は5,906億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億27百万円減少しました。
流動負債は3,564億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ667億44百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ製品保証引当金が154億79百万円増加した一方で、仕入債務が126億54百万円、コマーシャル・ペーパーが515億円、1年内償還予定の社債が150億円、それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は2,342億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ666億17百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が580億82百万円増加したことを主因とするものであります。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は2,162億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億59百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は20.6%となり、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント減少しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,612億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ552億52百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が304億66百万円、その他有価証券評価差額金が111億54百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は39.6%となり、前連結会計年度末に比べ2.9ポイント増加しました。
セグメント別の内容は、次のとおりであります。
■パワエレシステム エネルギー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,030億48百万円となり、有形固定資産の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ11億41百万円増加しました。
■パワエレシステム インダストリー部門
当連結会計年度末のセグメント資産は3,078億64百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ328億34百万円増加しました。
■電子デバイス部門
当連結会計年度末のセグメント資産は2,156億24百万円となり、売上債権の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ129億30百万円増加しました。
■食品流通部門
当連結会計年度末のセグメント資産は824億11百万円となり、売上債権の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ59億25百万円減少しました。
■発電プラント部門
当連結会計年度末のセグメント資産は670億52百万円となり、売上債権の減少を主因として、前連結会計年度末に比べ69億94百万円減少しました。
■その他部門
当連結会計年度末のセグメント資産は373億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億79百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、504億8百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加(前連結会計年度は184億66百万円の増加)となり、前連結会計年度に対しては、319億42百万円の資金流入額の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は269億31百万円(前連結会計年度は460億87百万円の増加)となりました。これは、法人税等の支払に加え、売上債権の増加及び仕入債務が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びにたな卸資産が減少したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、191億56百万円の資金流入額の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の増加は234億77百万円(前連結会計年度は276億21百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産を取得した一方で、投資有価証券を売却したことなどによるものであります。
前連結会計年度に対しては、510億98百万円の資金流入額の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は395億20百万円(前連結会計年度は169億17百万円の増加)となりました。これは、長期借入金が増加した一方で、コマーシャル・ペーパーの減少並びにリース債務の返済などによるものであります。
前連結会計年度に対しては、564億37百万円の資金流出額の増加となりました。
当連結会計年度における資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フローであり、その主な内訳は、税金等調整前当期純利益632億84百万円、減価償却費361億94百万円、製品保証引当金の増加によるもの154億78百万円、たな卸資産の減少によるもの75億13百万円、投資有価証券売却損益△408億64百万円、売上債権の増加によるもの△208億52百万円、仕入債務の減少によるもの△158億81百万円、法人税等の支払額△103億74百万円、などとなっております。 なお、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資に係る資金については、基本的に、社債、長期借入金及びファイナンス・リースに係るリース債務により調達することとしております。
これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ115億85百万円(18.2%)増加し、753億32百万円となりました。
(4)経営上の目標の達成状況(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」及び「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」に取り組むこととし、経営目標(連結)として、売上高1兆円、営業利益800億円、営業利益率8.0%、親会社株主に帰属する当期純利益550億円を掲げました。
2020年度連結実績においては、中期経営計画で掲げた2023年度の売上高、利益に係る目標値に対して、次の通りとなっております。
2023年度 中期経営計画 | 2020年度 実績 | 増減 | |
売上高 | 10,000億円 | 8,759億円 | △1,241億円 |
営業利益 | 800億円 | 486億円 | △314億円 |
営業利益率 | 8.0% | 5.5% | △2.5pt |
親会社株主に 帰属する当期純利益 | 550億円 | 419億円 | △131億円 |
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。連結財務諸表の作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりであります。
①工事進行基準の適用について
当社グループは、一定の要件を満たす工事契約等の収益及び費用の計上基準として、工事進行基準を適用しています。工事進行基準の適用にあたっては、収益及び費用を認識する基となる工事原価総額及び進捗率の合理的な見積りが可能であることが前提となります。当該見積りについて将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する収益及び費用の金額に影響を与える可能性があります。
②固定資産(のれんを含む)の減損判定
当社グループは、保有する固定資産(のれんを含む)について減損の兆候がある場合は、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行い、減損が必要と判定された場合は帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に用いられる当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積り及び仮定等について将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
③投資有価証券の減損判定
当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、時価のない株式等については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を認識しております。将来の課税所得の見積りについて、将来の事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
⑤パワー半導体の特定分野向けの一部の製品の不具合対策費用に対する製品保証引当金について
当社グループは、製品の品質に関する保証費用の支出に備えるため、パワー半導体の特定分野向けの一部製品の不具合対策費用の発生見込を踏まえ、今後必要と見込まれる金額を製品保証引当金に計上しております。当該不具合は、製品内部の調達部品の問題により、製品の使用環境に依存して生じることから、当社が把握している顧客の設備の用途及び使用条件等に基づいて、本不具合が発生する範囲を仮定し、不具合対策費用を見積もっております。当該見積りについて不具合対策費用の算出の根拠とした仮定と差異が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
⑥退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表における退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載しているとおりであります。