有価証券報告書-第126期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要、経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社及び連結子会社並びに持分法適用会社(以下、当社グループ)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において判断したものです。
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しています。
① 中期経営計画の振り返り
(ⅰ)全社連結業績の推移
*1 売上収益及び調整後営業利益から、非継続事業に分類されたデバイスソリューションを除いております。調整後営業利益は、連結損益計算書上の営業利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益並びに制度変更等による一過性の損益(調整項目)を控除した、本業での実質的な利益を示す指標です。
*2 事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う一過性の収支を控除した、経常的なフリー・キャッシュ・フロー
当社は2020年度から2025年度までの6年間で、収益性の高いサービスソリューションビジネスを中心とする事業ポートフォリオへの変革、人材を含む経営基盤の強化、システム開発やそのデリバリーに関するプロセスの標準化や効率化・自動化を進めることによって、毎年度着実に収益力を高めてまいりました。全社連結の調整後営業利益率は2020年度の6.6%から2025年度の11.2%と大きく伸長しました。またコア・フリー・キャッシュ・フローも着実に拡大しており、今後の成長投資に向けての財務基盤も整ってまいりました。
(ⅱ)サービスソリューションの業績推移
主力のサービスソリューションビジネスでは、規模の拡大と収益性の改善の両方を進めることができました。調整後営業利益率が2020年度の6.0%から2025年度は15.4%と2倍以上に伸長しました。全社連結の利益率10%超、サービスソリューション事業の利益率15%超は、2030年に向けたビジョン「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる。」を実現するために、当社経営における通過すべきマイルストーンと位置づけておりましたので、今後のさらなる成長に向けた段階に進むことができると考えます。
(ⅲ)サービスソリューションビジネスのポートフォリオ変革と採算性改善への取り組み
サービスソリューションビジネスの成長を牽引しているのが、Uvanceとモダナイゼーションです。2022年度には両方合わせて2,815億円だった売上収益は、2025年度には9,590億円に成長、サービスソリューション全体に占める構成比も41%に拡大しました。当社は、エンジニアの人数と作業期間をもとに対価を決める従来の人月ビジネスモデルのシステムインテグレーション事業の収益構造からの脱却をすすめています。Uvanceとモダナイゼーションは、この変革の中核を担い、お客様への提供価値や成果に基づく収益構造の実現を目指しています。また、サービスソリューションの2025年度のグロスマージン率は38.7%、前年度から引き続き2ポイント改善することができました。デリバリーの標準化・自動化という従来からの取り組みに加え、デリバリープロセスへの生成AIの適用についても活用の裾野を拡げており、今後もこの取り組みを継続することで将来的にも採算改善の持続可能性は高いものと考えています。また、価値ベースのプライシング戦略、あるいは人材ポートフォリオ最適化の取り組みも採算改善への大きな推進力となりました。
(ⅳ)トランスフォーメーションとノンコア事業の譲渡
昨年度にサーバやストレージ事業を分社化してエフサステクノロジーズ株式会社を設立したことに続き、当社のフォトニクスシステムおよびモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を承継する新会社、1FINITY株式会社を2025年7月1日付で発足しました。グループ内に分散している研究開発から製造、販売、導入支援、保守運用といったネットワークプロダクト事業の各機能を1FINITY株式会社に集約することで、経営のスピードを上げ、グローバルでの競争力を高めることを目的としています。
新光電気工業株式会社は2025年3月のTOB完了を経て、2025年6月11日に新光電気工業株式会社の自己株式取得に応じることによる当社所有株式の譲渡が完了しました。富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社は、2025年4月1日に古河電気工業株式会社への株式譲渡が完了しました。前年度に既に株式譲渡を完了しているFDK株式会社と合わせて、デバイスソリューションのセグメントに帰属していた事業はすべてカーブアウトし、同セグメントは非継続事業に分類しております。また持分法適用関連会社であった株式会社富士通ゼネラル(以下、富士通ゼネラル)についても、2025年5月のTOB完了を経て、2025年8月22日に富士通ゼネラルの自己株式取得により当社所有株式の譲渡が完了しました。富士通ゼネラルに対する当社の所有持分の割合は、44.02%から0%となり、富士通ゼネラルを持分法適用の範囲から除外いたしました。
(ⅴ)非財務指標の進捗状況
非財務指標の進捗状況の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 <2025年度までの非財務面での取り組み>、<2026年度以降の非財務面での取り組み>、<富士通の企業価値向上ストーリー>、<財務非財務の関係性分析>」をご参照ください。
当社では、従業員エンゲージメントやお客様NPS等の非財務指標を、財務目標の達成及びビジネスを強くするドライバーとして位置づけ、非財務指標が財務指標へもたらす影響の分析を行っております。今期は、従業員エンゲージメントに関連する従業員の機会の均等や充実感を起点に、デジタルツールの活用が生産性向上や提供価値及び顧客接点の拡大を通じて、受注額増加につながる関係性を定量的に把握しました。今後は、非財務指標のモニタリングを通じた経営管理の高度化を目指し、非財務指標を押し上げる具体的な活動の特定と、非財務指標が財務指標にもたらすインパクトの検証範囲を拡充してまいります。
② 経営成績
<要約連結損益計算書>
(注1)連結損益計算書上の親会社の所有者に帰属する当期利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益並びに制度変更等による
一過性の損益およびこれらに係る税金相当(調整項目)を控除した利益指標
(ご参考)財務指標
(注2)1株当たり調整後当期利益
(ⅰ)当年度決算概況
売上収益は3兆5,029億円、当社の主力セグメントであるサービスソリューションでは国内市場を中心に、Uvanceやモダナイゼーションビジネスなどの受注が増加したことなどにより増収となりましたが、ハードウェアソリューションにおける前年度の公共分野での大型商談の反動、及びユビキタスソリューションにおけるOS更新需要の一巡などの影響により、全社連結では減収となりました。当年度の営業利益は3,483億円、前年度比832億円の大幅増です。サービスソリューションにおける増収効果に加え、採算性改善を着実に進めたことが、大幅増益の要因です。また、持分法による投資利益として、株式会社富士通ゼネラルの株式売却益400億円を計上、非継続事業からの利益として、新光電気工業株式会社の株式売却益1,415億円を計上しました。この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,494億円、前年度比プラス2,296億円の倍増です。欧州および国内ハードウェア事業関連の構造改革等に伴う一過性の損失422億円を控除した、本業での実質的な利益を示す調整後営業利益は3,905億円、全事業セグメントで増益となり、前年度から833億円の増益です。親会社の所有者に帰属する当期利益および調整後営業利益ともに、前年度に引き続き過去最高益を更新しました。
(ⅱ)セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」、「ユビキタスソリューション」の3つを報告セグメントとしています。
「サービスソリューション」については、Uvanceを中心としたグローバル共通の価値提供サービスの創出・提供を行う「グローバルソリューション」、日本市場に向けたサービスの提供・実装を行う「リージョンズ(Japan)」、海外市場に向けたサービスの提供・実装を行う「リージョンズ(海外)」により構成されています。「ハードウェアソリューション」は、ICTの基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されています。「ユビキタスソリューション」は、パソコンなどの「クライアントコンピューティングデバイス」により構成されています。「消去・全社」は、各セグメントに属さない全社共通の先進的先行研究開発、グローバルグループベースでの社内DX投資等のグループ共通の事業成長投資、共用資産等の売廃却およびセグメント間売上収益の消去を計上しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び調整後営業利益は以下のとおりです。
a サービスソリューション
サービスソリューションは増収増益です。2025年度の売上収益は2兆3,469億円、前年から4.5%の増収です。成長を牽引しましたのはUvanceとモダナイゼーションビジネスです。Uvanceは前年から47%伸長、モダナイゼーションは24%伸長となり、共に中期経営計画を上回りました。調整後営業利益は3,614億円、前年度から25%の増益です。増収効果に加えて採算性向上も着実に進み、調整後営業利益は前年度の過去最高を更新することができました。内訳の1つ目は増収効果による利益増で410億円のプラス、国内売上の伸長が寄与しました。2つ目は採算改善の効果により437億円のプラスです。開発の標準化・自動化の継続、開発プロセスへの生成AI適用の効果も出てきております。また海外リージョンにおいてもポートフォリオ変革などの効果が現れ、結果として全体で当年度もグロスマージン率は2%改善いたしました。3つ目は成長投資の拡大などにより132億円のマイナスです。Uvanceのオファリング開発、モダナイゼーションのナレッジ集約、コンサル能力の強化など事業成長に直結する投資とともに、サイバーセキュリティ対策への取り組みなどにも投資を拡大しました。これらを合計した増益額が714億円、2025年度の調整後営業利益3,614億円です。調整後営業利益率は15.4%、前年度から2.5ポイント改善しました。
(受注の状況)
サービスソリューションの国内受注については、前年度比102%の増です。契約期間が複数年に及ぶ1件あたり25億円以上の大型案件を除くと108%伸長です。DXを中心に年間を通して旺盛な需要が継続しました。業種別は以下の通りです。まず、エンタープライズビジネス(産業・流通・小売)ではほぼ前年並みですが、大型案件を除くベースでは106%伸長です。製造関連では、個別のお客様によっては先行きの不透明感を懸念し、運用維持系のIT投資の絞り込みを行うケースも見られましたが、DX関連の需要は依然旺盛で、シェアの拡大も進めて全体感として年間を通して拡大基調の推移でした。ファイナンスビジネスは前年度比94%です。前年にあったメガバンク向け基幹システム保守などの大型案件を除きますと前年度比105%伸長です。金融機関のデジタル変革の加速に向けたオファリングを「Uvance for Finance」として体系化し、勘定系や店舗系とも新たなオファリングを投入し受注を伸ばしました。パブリック&ヘルスケアは前年度比105%、大型案件を除くベースでは前年度比108%、官公庁・自治体・ヘルスケア領域などほぼ全方位で伸長です。ミッションクリティカルは前年度比102%、大型案件を除くベースでは前年度比113%と大きな伸びです。特にナショナルセキュリティ関連は力強く拡大しました。以上のように国内ビジネスは好調な状態が継続しており、特にDXやSX、そしてモダナイゼーションの需要は高いです。引き続きUvance Wayfindersのコンサルリードのモデルで、より高付加価値なオファリングを提案し、信頼性と生産性の高いデリバリーにより需要にしっかりと応えてまいります。
サービスソリューションの国内受注残高については、2025年度末残高は1兆1,270億円、前年度末から107%伸長です。このうち2026年度に売上予定のものは1兆330億円で、前年度末から110%伸長です。この受注残高と見込み案件のパイプラインのコンディションから、2026年度の売上は前年から111%伸長となる1兆9,600億円を計画しています。この計画に対する受注残高のカバー率は53%、進捗としてはほぼ例年並みです。
海外の受注については、Europeは案件の波がありますが、年間ではほぼ前年並みです。AmericasとAsia Pacificは主に公共系で前年度の大型案件の反動があり、前年度比でそれぞれ82%と93%です。
(Uvanceの状況)
事業成長とポートフォリオ変革の要と位置付けている、Uvanceの受注高および売上収益の進捗状況です。当年度の受注は7,275億円、前年度から33%の増加、売上収益は7,093億円、前年度から47%の増加です。Verticalはデータ&AI領域を中心に69%増と大きく伸長し、ターゲットとしておりました7,000億円を上回ることができました。サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比も前年度の21%から当年度は30%に拡大しました。
(モダナイゼーションの状況)
もう1つの成長の柱、モダナイゼーションビジネスの当年度の受注高は3,992億円、前年度から4%の増加です。前年には複数年の大型案件の獲得がたくさんあり伸長しておりましたが、その水準をさらに上回ることができました。売上収益は3,921億円、前年度から32%の伸長です。モダナイゼーションに関する需要は大変強く、ターゲットとしていた3,300億円を大きく超えました。なお、Uvanceとの重複部分を除いたサービス分の売上収益は2,497億円と、前年度から24%増です。サービスソリューション全体に占めるモダナイゼーションの売上構成比は11%に拡大しました。
(リージョンズ(海外)の損益情報)
当社グループは、グローバルでの売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えており、サービスソリューションに含まれるリージョンズ(海外)の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えています。
b ハードウェアソリューション
ハードウェアソリューションの売上収益は10,098億円と、前年度比9.8%の減収となりました。一方で調整後営業利益は670億円と、前年度比57億円の増益です。サーバ、ストレージを中心とするシステムプロダクトは、前年度の公共系大型商談の反動減のほか、外購品販売の絞り込みやアジアでの小規模・低採算事業の縮小を進めました。利益面では売上構成の変化に加えて、前年度に立ち上げたエフサステクノロジーズ株式会社の製販一体体制による事業効率向上効果が改善に寄与しました。ネットワークプロダクトは前年度比6.6%の増収です。基地局装置の納入スケジュール前倒しによる売上増、またネットワーク事業の新会社1FINITY株式会社の事業効率改善も進み増益です。
c ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は2,298億円と、前年度比8.7%の減収となりましたが、調整後営業利益は388億円と、前年度比74億円の増益です。Windows10サポート終了に起因する需要一巡に加え、前年の大口商談の反動がありましたが、高付加価値商品の販売へシフトしたことが奏功し増益となりました。
d 消去・全社
調整後営業利益767億円のマイナス、ほぼ前年度並みです。AIや量子コンピュータ、次世代CPUといった先進的な先行研究、また、グローバルワンインスタンスERP構築をはじめとするOne Fujitsuプログラムなどの経営基盤強化といった中長期的な事業成長に資する投資を計画的に実施しております。
③ 財政状態
<要約連結財政状態計算書>
(注)自己資本 :親会社の所有者に帰属する持分合計
有利子負債 :借入金及びリース負債
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
当年度末の資産合計は3兆3,997億円と、前年度末から980億円減少しました。うち流動資産は1兆9,428億円と、前年度末比で1,747億円の減少です。主に、新光電気工業株式会社の株式売却により、売却目的で保有する資産が減少した一方で、譲渡対価の入金により現金が増加したことによるものです。
負債合計は1兆3,551億円と、前年度末比で2,405億円減少しました。新光電気工業株式会社の株式売却により関連する負債残高が減少したことに加え、年度ごとの株主還元額を平準化するための短期的な資金融通目的の借入を前年度末においておこなった反動によるものです。自己資本は2兆249億円と、前年度末比で2,839億円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したことにより利益剰余金が4,494億円増額、一方で、株主還元施策として当年度は1,700億円の自己株式を取得しました。自己株式については、過年度に取得済みの保有額とあわせて7,174億円の消却を実施しています。非支配持分は196億円と、新光電気工業株式会社の連結グループからの離脱により前年度末比で大幅に減少しました。
④ キャッシュ・フロー
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>
(ご参考)
(注)成長投資前のフリー・キャッシュ・フローにリース料支払を加えたキャッシュ・フロー
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,381億円と、前年度比で342億円の収入増でした。投資活動によるキャッシュ・フローは1,444億円のプラスと、前年度比で2,336億円改善しました。新光電気工業株式会社および株式会社富士通ゼネラルの株式売却収入によるものです。支出面では、データサイエンス事業やデジタルマーケティング事業を行う株式会社ブレインパッドの完全子会社化、および半導体メーカーのRapidus株式会社への出資をおこないました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは4,826億円のプラスと、前年度から2,679億円の収入増となりました。一過性の収支を除いたコア・フリー・キャッシュ・フローは当年度2,899億円、前年度から562億円のプラスです。財務活動によるキャッシュ・フローは3,797億円のマイナス、短期借入金の返済、および1,700億円の自己株式取得を実施しました。
(キャピタルアロケーションの進捗状況)
*資産リサイクル:デバイスソリューション事業、および富士通ゼネラルの譲渡収入
ベース・キャッシュ・フローは現中期経営計画期間の3か年累計で1兆3,491億円と、前中期経営計画期間の6,528億円から約2倍に拡大しました。ベース・キャッシュ・フローは、事業並びに保有資産最適化から生み出されたキャッシュ・フローで、事業成長投資と株主還元への配分原資となるものです。3か年累計で事業成長投資に6,723億円、自己株式取得および配当による株主還元に6,393億円を配分しました。事業成長投資については、Uvanceのオファリング開発、モダナイゼーションのナレッジ集約、コンサルティングの事業拡大・強化、量子コンピュータや次世代プロセッサMONAKA等の先端研究開発、One Fujitsuプログラムを中心とした経営基盤強化、AIを活用したトラブル予兆検知などの品質・セキュリティ強化の各重点領域にバランスよく投資しました。一方の株主還元については、利益の成長水準に合わせ安定的に増配を継続、2015年度以後は連続して増配を記録しています。また資本効率の改善を意識しながら、自己株式取得を機動的に実施してまいりました。2025年度は1,700億円、現中期経営計画期間全体では4,531億円を取得いたしました。なお2025年度末時点で保有していた自己株式は、役職員への株式報酬に充当される一部の残高を除きすべて消却いたしました。
当年度末の現金及び現金同等物は4,503億円です。持続的な利益成長に加え、資金効率の向上によりキャッシュ創出力を拡大し、成長投資を積極的に推進するとともに、中長期的な視点から株主還元の水準を高めます。成長投資機会に応じて機動的にレバレッジを活用するため、グローバルな資本市場からの資金調達を目的として、当社はムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しています。本有価証券報告書提出日現在における格付けは、ムーディーズ:A3(長期)、R&I :AA-(長期)/a-1+(短期)です。
当社グループは、事業や国・地域毎の特性やリスクを加味し、株主資本コストと借入コストの加重平均として資金調達コストを算定し、これに基づいて各事業における投資意思決定や回収可能性の判断を行っています。当社グループは、今後ますます需要が高まるDXビジネスに経営資源を集中し、中長期的に安定して高い収益性を獲得していくことによって、資金調達コストより高いリターンをあげることができると考えています。
⑤ 重要性がある会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。
当連結会計年度における当社及び連結子会社並びに持分法適用会社(以下、当社グループ)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において判断したものです。
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しています。
① 中期経営計画の振り返り
(ⅰ)全社連結業績の推移
*1 売上収益及び調整後営業利益から、非継続事業に分類されたデバイスソリューションを除いております。調整後営業利益は、連結損益計算書上の営業利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益並びに制度変更等による一過性の損益(調整項目)を控除した、本業での実質的な利益を示す指標です。*2 事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う一過性の収支を控除した、経常的なフリー・キャッシュ・フロー
当社は2020年度から2025年度までの6年間で、収益性の高いサービスソリューションビジネスを中心とする事業ポートフォリオへの変革、人材を含む経営基盤の強化、システム開発やそのデリバリーに関するプロセスの標準化や効率化・自動化を進めることによって、毎年度着実に収益力を高めてまいりました。全社連結の調整後営業利益率は2020年度の6.6%から2025年度の11.2%と大きく伸長しました。またコア・フリー・キャッシュ・フローも着実に拡大しており、今後の成長投資に向けての財務基盤も整ってまいりました。
(ⅱ)サービスソリューションの業績推移
主力のサービスソリューションビジネスでは、規模の拡大と収益性の改善の両方を進めることができました。調整後営業利益率が2020年度の6.0%から2025年度は15.4%と2倍以上に伸長しました。全社連結の利益率10%超、サービスソリューション事業の利益率15%超は、2030年に向けたビジョン「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる。」を実現するために、当社経営における通過すべきマイルストーンと位置づけておりましたので、今後のさらなる成長に向けた段階に進むことができると考えます。(ⅲ)サービスソリューションビジネスのポートフォリオ変革と採算性改善への取り組み
サービスソリューションビジネスの成長を牽引しているのが、Uvanceとモダナイゼーションです。2022年度には両方合わせて2,815億円だった売上収益は、2025年度には9,590億円に成長、サービスソリューション全体に占める構成比も41%に拡大しました。当社は、エンジニアの人数と作業期間をもとに対価を決める従来の人月ビジネスモデルのシステムインテグレーション事業の収益構造からの脱却をすすめています。Uvanceとモダナイゼーションは、この変革の中核を担い、お客様への提供価値や成果に基づく収益構造の実現を目指しています。また、サービスソリューションの2025年度のグロスマージン率は38.7%、前年度から引き続き2ポイント改善することができました。デリバリーの標準化・自動化という従来からの取り組みに加え、デリバリープロセスへの生成AIの適用についても活用の裾野を拡げており、今後もこの取り組みを継続することで将来的にも採算改善の持続可能性は高いものと考えています。また、価値ベースのプライシング戦略、あるいは人材ポートフォリオ最適化の取り組みも採算改善への大きな推進力となりました。(ⅳ)トランスフォーメーションとノンコア事業の譲渡
昨年度にサーバやストレージ事業を分社化してエフサステクノロジーズ株式会社を設立したことに続き、当社のフォトニクスシステムおよびモバイルシステムなどのネットワークプロダクト事業を承継する新会社、1FINITY株式会社を2025年7月1日付で発足しました。グループ内に分散している研究開発から製造、販売、導入支援、保守運用といったネットワークプロダクト事業の各機能を1FINITY株式会社に集約することで、経営のスピードを上げ、グローバルでの競争力を高めることを目的としています。
新光電気工業株式会社は2025年3月のTOB完了を経て、2025年6月11日に新光電気工業株式会社の自己株式取得に応じることによる当社所有株式の譲渡が完了しました。富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社は、2025年4月1日に古河電気工業株式会社への株式譲渡が完了しました。前年度に既に株式譲渡を完了しているFDK株式会社と合わせて、デバイスソリューションのセグメントに帰属していた事業はすべてカーブアウトし、同セグメントは非継続事業に分類しております。また持分法適用関連会社であった株式会社富士通ゼネラル(以下、富士通ゼネラル)についても、2025年5月のTOB完了を経て、2025年8月22日に富士通ゼネラルの自己株式取得により当社所有株式の譲渡が完了しました。富士通ゼネラルに対する当社の所有持分の割合は、44.02%から0%となり、富士通ゼネラルを持分法適用の範囲から除外いたしました。
(ⅴ)非財務指標の進捗状況
非財務指標の進捗状況の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 <2025年度までの非財務面での取り組み>、<2026年度以降の非財務面での取り組み>、<富士通の企業価値向上ストーリー>、<財務非財務の関係性分析>」をご参照ください。
当社では、従業員エンゲージメントやお客様NPS等の非財務指標を、財務目標の達成及びビジネスを強くするドライバーとして位置づけ、非財務指標が財務指標へもたらす影響の分析を行っております。今期は、従業員エンゲージメントに関連する従業員の機会の均等や充実感を起点に、デジタルツールの活用が生産性向上や提供価値及び顧客接点の拡大を通じて、受注額増加につながる関係性を定量的に把握しました。今後は、非財務指標のモニタリングを通じた経営管理の高度化を目指し、非財務指標を押し上げる具体的な活動の特定と、非財務指標が財務指標にもたらすインパクトの検証範囲を拡充してまいります。
② 経営成績
<要約連結損益計算書>
| (億円) | |||||
| 前年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 当年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | ||
| 継続事業 | |||||
| 売上収益 | 35,501 | 35,029 | △471 | △1.3 | |
| 売上原価 | △23,821 | △22,561 | 1,260 | △5.3 | |
| 売上総利益 | 11,679 | 12,468 | 788 | 6.8 | |
| 販売費及び一般管理費 | △8,871 | △8,867 | 4 | △0.0 | |
| その他の損益 | △157 | △118 | 39 | - | |
| 営業利益 | 2,650 | 3,483 | 832 | 31.4 | |
| 金融損益 | 1 | 103 | 102 | - | |
| 持分法による投資利益 | 82 | 503 | 420 | 510.0 | |
| 継続事業からの税引前利益 | 2,734 | 4,090 | 1,355 | 49.6 | |
| 法人所得税費用 | △638 | △1,007 | △368 | 57.7 | |
| 継続事業からの当期利益 | 2,095 | 3,082 | 987 | 47.1 | |
| 非継続事業 | |||||
| 非継続事業からの当期利益 | 225 | 1,463 | 1,237 | 548.9 | |
| 当期利益 | 2,321 | 4,546 | 2,225 | 95.9 | |
| 親会社の所有者に帰属 | 2,198 | 4,494 | 2,296 | 104.5 | |
| 非支配持分 | 123 | 52 | △70 | △57.6 | |
| 調整後営業利益および調整後当期利益 | |||||
| 営業利益 | 2,650 | 3,483 | 832 | 31.4 | |
| 調整項目 | △421 | △422 | - | - | |
| (上記調整項目を控除した) 調整後営業利益 | 3,072 | 3,905 | 833 | 27.1 | |
| 当期利益 (親会社所有者帰属) | 2,198 | 4,494 | 2,296 | 104.5 | |
| 調整項目 | △211 | 1,511 | 1,722 | - | |
| (上記調整項目を控除した) 調整後当期利益(注1) | 2,409 | 2,982 | 573 | 23.8 | |
(注1)連結損益計算書上の親会社の所有者に帰属する当期利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益並びに制度変更等による
一過性の損益およびこれらに係る税金相当(調整項目)を控除した利益指標
(ご参考)財務指標
| 前年度 | 当年度 | 前年度比 | ||
| 調整後営業利益率 | 8.7% | 11.2% | 2.5% | |
| 調整後EPS(注2) | 132.6円 | 169.1円 | 27.5% |
(注2)1株当たり調整後当期利益
(ⅰ)当年度決算概況
売上収益は3兆5,029億円、当社の主力セグメントであるサービスソリューションでは国内市場を中心に、Uvanceやモダナイゼーションビジネスなどの受注が増加したことなどにより増収となりましたが、ハードウェアソリューションにおける前年度の公共分野での大型商談の反動、及びユビキタスソリューションにおけるOS更新需要の一巡などの影響により、全社連結では減収となりました。当年度の営業利益は3,483億円、前年度比832億円の大幅増です。サービスソリューションにおける増収効果に加え、採算性改善を着実に進めたことが、大幅増益の要因です。また、持分法による投資利益として、株式会社富士通ゼネラルの株式売却益400億円を計上、非継続事業からの利益として、新光電気工業株式会社の株式売却益1,415億円を計上しました。この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,494億円、前年度比プラス2,296億円の倍増です。欧州および国内ハードウェア事業関連の構造改革等に伴う一過性の損失422億円を控除した、本業での実質的な利益を示す調整後営業利益は3,905億円、全事業セグメントで増益となり、前年度から833億円の増益です。親会社の所有者に帰属する当期利益および調整後営業利益ともに、前年度に引き続き過去最高益を更新しました。
(ⅱ)セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」、「ユビキタスソリューション」の3つを報告セグメントとしています。
「サービスソリューション」については、Uvanceを中心としたグローバル共通の価値提供サービスの創出・提供を行う「グローバルソリューション」、日本市場に向けたサービスの提供・実装を行う「リージョンズ(Japan)」、海外市場に向けたサービスの提供・実装を行う「リージョンズ(海外)」により構成されています。「ハードウェアソリューション」は、ICTの基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されています。「ユビキタスソリューション」は、パソコンなどの「クライアントコンピューティングデバイス」により構成されています。「消去・全社」は、各セグメントに属さない全社共通の先進的先行研究開発、グローバルグループベースでの社内DX投資等のグループ共通の事業成長投資、共用資産等の売廃却およびセグメント間売上収益の消去を計上しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び調整後営業利益は以下のとおりです。
| (億円) | |||||||
| 前年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 当年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | ||||
| サービスソリューション | |||||||
| 売上収益 | 22,459 | 23,469 | 1,009 | 4.5 | |||
| 調整後営業利益 | 2,899 | 3,614 | 714 | 24.7 | |||
| (調整後営業利益率) | (12.9%) | (15.4%) | (2.5%) | ||||
| グローバルソリューション | |||||||
| 売上収益 | 5,112 | 5,406 | 293 | 5.7 | |||
| 調整後営業利益 | 56 | 333 | 276 | 488.7 | |||
| (調整後営業利益率) | (1.1%) | (6.2%) | (5.1%) | ||||
| リージョンズ(Japan) | |||||||
| 売上収益 | 13,104 | 13,668 | 563 | 4.3 | |||
| 調整後営業利益 | 2,603 | 2,939 | 336 | 12.9 | |||
| (調整後営業利益率) | (19.9%) | (21.5%) | (1.6%) | ||||
| リージョンズ(海外) | |||||||
| 売上収益 | 5,897 | 5,752 | △145 | △2.5 | |||
| 調整後営業利益 | 239 | 341 | 101 | 42.4 | |||
| (調整後営業利益率) | (4.1%) | (5.9%) | (1.8%) | ||||
| セグメント内消去 | |||||||
| 売上収益 | △1,654 | △1,356 | 297 | - | |||
| ハードウェアソリューション | |||||||
| 売上収益 | 11,199 | 10,098 | △1,100 | △9.8 | |||
| 調整後営業利益 | 613 | 670 | 57 | 9.3 | |||
| (調整後営業利益率) | (5.5%) | (6.6%) | (1.1%) | ||||
| システムプロダクト | |||||||
| 売上収益 | 9,383 | 8,162 | △1,221 | △13.0 | |||
| ネットワークプロダクト | |||||||
| 売上収益 | 1,816 | 1,936 | 120 | 6.6 | |||
| ユビキタスソリューション | |||||||
| 売上収益 | 2,517 | 2,298 | △219 | △8.7 | |||
| 調整後営業利益 | 313 | 388 | 74 | 23.8 | |||
| (調整後営業利益率) | (12.5%) | (16.9%) | (4.4%) | ||||
| 消去・全社 | |||||||
| 売上収益 | △675 | △836 | △160 | - | |||
| 調整後営業利益 | △753 | △767 | △13 | - | |||
| 連結 | |||||||
| 売上収益 | 35,501 | 35,029 | △471 | △1.3 | |||
| 調整後営業利益 | 3,072 | 3,905 | 833 | 27.1 | |||
| (調整後営業利益率) | (8.7%) | (11.2%) | (2.5%) | ||||
a サービスソリューション
サービスソリューションは増収増益です。2025年度の売上収益は2兆3,469億円、前年から4.5%の増収です。成長を牽引しましたのはUvanceとモダナイゼーションビジネスです。Uvanceは前年から47%伸長、モダナイゼーションは24%伸長となり、共に中期経営計画を上回りました。調整後営業利益は3,614億円、前年度から25%の増益です。増収効果に加えて採算性向上も着実に進み、調整後営業利益は前年度の過去最高を更新することができました。内訳の1つ目は増収効果による利益増で410億円のプラス、国内売上の伸長が寄与しました。2つ目は採算改善の効果により437億円のプラスです。開発の標準化・自動化の継続、開発プロセスへの生成AI適用の効果も出てきております。また海外リージョンにおいてもポートフォリオ変革などの効果が現れ、結果として全体で当年度もグロスマージン率は2%改善いたしました。3つ目は成長投資の拡大などにより132億円のマイナスです。Uvanceのオファリング開発、モダナイゼーションのナレッジ集約、コンサル能力の強化など事業成長に直結する投資とともに、サイバーセキュリティ対策への取り組みなどにも投資を拡大しました。これらを合計した増益額が714億円、2025年度の調整後営業利益3,614億円です。調整後営業利益率は15.4%、前年度から2.5ポイント改善しました。(受注の状況)
サービスソリューションの国内受注については、前年度比102%の増です。契約期間が複数年に及ぶ1件あたり25億円以上の大型案件を除くと108%伸長です。DXを中心に年間を通して旺盛な需要が継続しました。業種別は以下の通りです。まず、エンタープライズビジネス(産業・流通・小売)ではほぼ前年並みですが、大型案件を除くベースでは106%伸長です。製造関連では、個別のお客様によっては先行きの不透明感を懸念し、運用維持系のIT投資の絞り込みを行うケースも見られましたが、DX関連の需要は依然旺盛で、シェアの拡大も進めて全体感として年間を通して拡大基調の推移でした。ファイナンスビジネスは前年度比94%です。前年にあったメガバンク向け基幹システム保守などの大型案件を除きますと前年度比105%伸長です。金融機関のデジタル変革の加速に向けたオファリングを「Uvance for Finance」として体系化し、勘定系や店舗系とも新たなオファリングを投入し受注を伸ばしました。パブリック&ヘルスケアは前年度比105%、大型案件を除くベースでは前年度比108%、官公庁・自治体・ヘルスケア領域などほぼ全方位で伸長です。ミッションクリティカルは前年度比102%、大型案件を除くベースでは前年度比113%と大きな伸びです。特にナショナルセキュリティ関連は力強く拡大しました。以上のように国内ビジネスは好調な状態が継続しており、特にDXやSX、そしてモダナイゼーションの需要は高いです。引き続きUvance Wayfindersのコンサルリードのモデルで、より高付加価値なオファリングを提案し、信頼性と生産性の高いデリバリーにより需要にしっかりと応えてまいります。
サービスソリューションの国内受注残高については、2025年度末残高は1兆1,270億円、前年度末から107%伸長です。このうち2026年度に売上予定のものは1兆330億円で、前年度末から110%伸長です。この受注残高と見込み案件のパイプラインのコンディションから、2026年度の売上は前年から111%伸長となる1兆9,600億円を計画しています。この計画に対する受注残高のカバー率は53%、進捗としてはほぼ例年並みです。
海外の受注については、Europeは案件の波がありますが、年間ではほぼ前年並みです。AmericasとAsia Pacificは主に公共系で前年度の大型案件の反動があり、前年度比でそれぞれ82%と93%です。
(Uvanceの状況)
事業成長とポートフォリオ変革の要と位置付けている、Uvanceの受注高および売上収益の進捗状況です。当年度の受注は7,275億円、前年度から33%の増加、売上収益は7,093億円、前年度から47%の増加です。Verticalはデータ&AI領域を中心に69%増と大きく伸長し、ターゲットとしておりました7,000億円を上回ることができました。サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比も前年度の21%から当年度は30%に拡大しました。(モダナイゼーションの状況)
もう1つの成長の柱、モダナイゼーションビジネスの当年度の受注高は3,992億円、前年度から4%の増加です。前年には複数年の大型案件の獲得がたくさんあり伸長しておりましたが、その水準をさらに上回ることができました。売上収益は3,921億円、前年度から32%の伸長です。モダナイゼーションに関する需要は大変強く、ターゲットとしていた3,300億円を大きく超えました。なお、Uvanceとの重複部分を除いたサービス分の売上収益は2,497億円と、前年度から24%増です。サービスソリューション全体に占めるモダナイゼーションの売上構成比は11%に拡大しました。(リージョンズ(海外)の損益情報)
当社グループは、グローバルでの売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えており、サービスソリューションに含まれるリージョンズ(海外)の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えています。
| (億円) | |||||||
| 前年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 当年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | ||||
| Europe | |||||||
| 売上収益 | 3,904 | 4,009 | 105 | 2.7 | |||
| 営業利益 | 160 | 264 | 104 | 65.0 | |||
| (営業利益率) | (4.1%) | (6.6%) | (2.5%) | ||||
| Americas | |||||||
| 売上収益 | 569 | 520 | △49 | △8.7 | |||
| 営業利益 | 39 | 19 | △20 | △51.3 | |||
| (営業利益率) | (6.9%) | (3.7%) | (△3.2%) | ||||
| Asia Pacific | |||||||
| 売上収益 | 1,029 | 909 | △120 | △11.7 | |||
| 営業利益 | 36 | 48 | 12 | 33.4 | |||
| (営業利益率) | (3.5%) | (5.3%) | (1.8%) | ||||
| East Asia | |||||||
| 売上収益 | 378 | 288 | △90 | △23.8 | |||
| 営業利益 | 13 | 9 | △3 | △27.1 | |||
| (営業利益率) | (3.5%) | (3.3%) | (△0.1%) | ||||
| その他・消去 | |||||||
| 売上収益 | 14 | 24 | 10 | - | |||
| 営業利益 | △9 | - | 9 | - | |||
| リージョンズ(海外) | |||||||
| 売上収益 | 5,897 | 5,752 | △145 | △2.5 | |||
| 営業利益 | 239 | 341 | 101 | 42.4 | |||
| (営業利益率) | (4.1%) | (5.9%) | (1.8%) | ||||
b ハードウェアソリューション
ハードウェアソリューションの売上収益は10,098億円と、前年度比9.8%の減収となりました。一方で調整後営業利益は670億円と、前年度比57億円の増益です。サーバ、ストレージを中心とするシステムプロダクトは、前年度の公共系大型商談の反動減のほか、外購品販売の絞り込みやアジアでの小規模・低採算事業の縮小を進めました。利益面では売上構成の変化に加えて、前年度に立ち上げたエフサステクノロジーズ株式会社の製販一体体制による事業効率向上効果が改善に寄与しました。ネットワークプロダクトは前年度比6.6%の増収です。基地局装置の納入スケジュール前倒しによる売上増、またネットワーク事業の新会社1FINITY株式会社の事業効率改善も進み増益です。
c ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は2,298億円と、前年度比8.7%の減収となりましたが、調整後営業利益は388億円と、前年度比74億円の増益です。Windows10サポート終了に起因する需要一巡に加え、前年の大口商談の反動がありましたが、高付加価値商品の販売へシフトしたことが奏功し増益となりました。
d 消去・全社
調整後営業利益767億円のマイナス、ほぼ前年度並みです。AIや量子コンピュータ、次世代CPUといった先進的な先行研究、また、グローバルワンインスタンスERP構築をはじめとするOne Fujitsuプログラムなどの経営基盤強化といった中長期的な事業成長に資する投資を計画的に実施しております。
③ 財政状態
<要約連結財政状態計算書>
| (億円) | ||||
| 前年度末 (2025年3月31日) | 当年度末 (2026年3月31日) | 前年度末比 | ||
| 資産 | ||||
| 流動資産 | 21,175 | 19,428 | △1,747 | |
| 非流動資産 | 13,802 | 14,569 | 767 | |
| 資産合計 | 34,978 | 33,997 | △980 | |
| 負債 | ||||
| 流動負債 | 13,520 | 11,104 | △2,416 | |
| 非流動負債 | 2,436 | 2,446 | 10 | |
| 負債合計 | 15,957 | 13,551 | △2,405 | |
| 資本 | ||||
| 自己資本 | 17,409 | 20,249 | 2,839 | |
| 非支配持分 | 1,611 | 196 | △1,414 | |
| 資本合計 | 19,020 | 20,445 | 1,425 | |
| 負債及び資本合計 | 34,978 | 33,997 | △980 | |
| 有利子負債 | 2,470 | 1,330 | △1,139 | |
| (ネット有利子負債) | (110) | (△3,172) | (△3,282) |
(注)自己資本 :親会社の所有者に帰属する持分合計
有利子負債 :借入金及びリース負債
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
当年度末の資産合計は3兆3,997億円と、前年度末から980億円減少しました。うち流動資産は1兆9,428億円と、前年度末比で1,747億円の減少です。主に、新光電気工業株式会社の株式売却により、売却目的で保有する資産が減少した一方で、譲渡対価の入金により現金が増加したことによるものです。
負債合計は1兆3,551億円と、前年度末比で2,405億円減少しました。新光電気工業株式会社の株式売却により関連する負債残高が減少したことに加え、年度ごとの株主還元額を平準化するための短期的な資金融通目的の借入を前年度末においておこなった反動によるものです。自己資本は2兆249億円と、前年度末比で2,839億円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したことにより利益剰余金が4,494億円増額、一方で、株主還元施策として当年度は1,700億円の自己株式を取得しました。自己株式については、過年度に取得済みの保有額とあわせて7,174億円の消却を実施しています。非支配持分は196億円と、新光電気工業株式会社の連結グループからの離脱により前年度末比で大幅に減少しました。
④ キャッシュ・フロー
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>
| (億円) | ||||
| 前年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 当年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前年度比 | ||
| Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,038 | 3,381 | 342 | |
| Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー | △891 | 1,444 | 2,336 | |
| Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー | 2,147 | 4,826 | 2,679 | |
| 調整項目 | △189 | 1,927 | 2,116 | |
| (上記調整項目を控除した) コア・フリー・キャッシュ・フロー | 2,336 | 2,899 | 562 | |
| Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー | △2,404 | △3,797 | △1,392 |
(ご参考)
| ベース・キャッシュ・フロー (注) | 3,617 | 6,844 | 3,227 |
(注)成長投資前のフリー・キャッシュ・フローにリース料支払を加えたキャッシュ・フロー
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,381億円と、前年度比で342億円の収入増でした。投資活動によるキャッシュ・フローは1,444億円のプラスと、前年度比で2,336億円改善しました。新光電気工業株式会社および株式会社富士通ゼネラルの株式売却収入によるものです。支出面では、データサイエンス事業やデジタルマーケティング事業を行う株式会社ブレインパッドの完全子会社化、および半導体メーカーのRapidus株式会社への出資をおこないました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは4,826億円のプラスと、前年度から2,679億円の収入増となりました。一過性の収支を除いたコア・フリー・キャッシュ・フローは当年度2,899億円、前年度から562億円のプラスです。財務活動によるキャッシュ・フローは3,797億円のマイナス、短期借入金の返済、および1,700億円の自己株式取得を実施しました。
(キャピタルアロケーションの進捗状況)
*資産リサイクル:デバイスソリューション事業、および富士通ゼネラルの譲渡収入ベース・キャッシュ・フローは現中期経営計画期間の3か年累計で1兆3,491億円と、前中期経営計画期間の6,528億円から約2倍に拡大しました。ベース・キャッシュ・フローは、事業並びに保有資産最適化から生み出されたキャッシュ・フローで、事業成長投資と株主還元への配分原資となるものです。3か年累計で事業成長投資に6,723億円、自己株式取得および配当による株主還元に6,393億円を配分しました。事業成長投資については、Uvanceのオファリング開発、モダナイゼーションのナレッジ集約、コンサルティングの事業拡大・強化、量子コンピュータや次世代プロセッサMONAKA等の先端研究開発、One Fujitsuプログラムを中心とした経営基盤強化、AIを活用したトラブル予兆検知などの品質・セキュリティ強化の各重点領域にバランスよく投資しました。一方の株主還元については、利益の成長水準に合わせ安定的に増配を継続、2015年度以後は連続して増配を記録しています。また資本効率の改善を意識しながら、自己株式取得を機動的に実施してまいりました。2025年度は1,700億円、現中期経営計画期間全体では4,531億円を取得いたしました。なお2025年度末時点で保有していた自己株式は、役職員への株式報酬に充当される一部の残高を除きすべて消却いたしました。
当年度末の現金及び現金同等物は4,503億円です。持続的な利益成長に加え、資金効率の向上によりキャッシュ創出力を拡大し、成長投資を積極的に推進するとともに、中長期的な視点から株主還元の水準を高めます。成長投資機会に応じて機動的にレバレッジを活用するため、グローバルな資本市場からの資金調達を目的として、当社はムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しています。本有価証券報告書提出日現在における格付けは、ムーディーズ:A3(長期)、R&I :AA-(長期)/a-1+(短期)です。
当社グループは、事業や国・地域毎の特性やリスクを加味し、株主資本コストと借入コストの加重平均として資金調達コストを算定し、これに基づいて各事業における投資意思決定や回収可能性の判断を行っています。当社グループは、今後ますます需要が高まるDXビジネスに経営資源を集中し、中長期的に安定して高い収益性を獲得していくことによって、資金調達コストより高いリターンをあげることができると考えています。
⑤ 重要性がある会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。