有価証券報告書-第119期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)重要性がある会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
重要性がある会計方針及び見積りの内容は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針」に記載しています。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。
なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産実績は販売実績に概ね類似しています。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
2025年度の世界経済は、国際情勢や通商環境の不安定化が続く中でも底堅い成長を維持しました。米国では個人消費や設備投資を背景に内需が堅調に推移する一方、中国では不動産市況や雇用情勢の悪化により景気は停滞しました。欧州では輸出の減少が見られたものの個人消費が下支えし、景気は持ち直しつつあります。日本では個人消費や住宅投資、設備投資といった内需の増加で景気が緩やかに回復しました。
このような経営環境のもと、2025年度は当社グループとして経営改革に注力し、固定費構造改革による収益改善と、事業ポートフォリオマネジメントを含む課題・再建事業の方向付けなどを行い、経営基盤を強化しました。また、データセンターの需要急増を捉えたAIインフラを支える事業が大きく成長しています。
固定費構造改革については、グループ全体で間接機能やオペレーションの集約・効率化を進め、人員の最適化を実施し、製造・物流・販売拠点の統廃合を順次進めています。また、効率的な経営基盤を確立するため、パナソニック㈱を発展的に解消し、2026年4月に新たに3つの事業会社※を発足しました。
課題・再建事業として位置付けた事業については、キッチンアプライアンス事業での量産開発の中国シフトによる開発リソースの適正化、グローバル標準コスト化を進めました。テレビ事業では欧州市場での販売において、中国のShenzhen Skyworth Display Technology Co., Ltd.及びそのグループ会社と包括的なパートナーシップを締結しました。また、ハウジング事業については、2026年3月にYKK㈱へパナソニック ハウジングソリューションズ㈱(以下、「PHS」)の株式譲渡を完了するなど、それぞれの事業の方向付けを実施しました。
AIインフラを支える事業では、パナソニック エナジー㈱が、データセンター向けのリチウムイオン電池セルの生産において、国内既存拠点のライン拡充に加え、車載用ラインの一部を活用する計画を進めています。蓄電モジュールでは、国内の生産能力の増強のほか、メキシコ工場の既存ライン増強や近接地での新工場建設を決定しました。さらに、パナソニック インダストリー㈱では、2027年度稼働予定のタイ・アユタヤ工場や中国・広州工場のライン増強を発表し、AIサーバー向け電子材料の供給体制を強化しています。
※パナソニック HVAC & CC㈱、パナソニック エレクトリックワークス㈱、パナソニック㈱
①売上高
当年度の連結売上高は、8兆487億円(前年度比5%減)となりました。エナジー・インダストリー・コネクト・エレクトリックワークスの販売増はありましたが、前年度のオートモーティブ事業の非連結化の影響などにより、減収となりました。
②営業利益及び税引前利益
営業利益は、2,364億円(前年度比45%減)、税引前利益は2,631億円(前年度比46%減)となりました。増販益や合理化の進捗などによる増益や、PHSの株式譲渡益の計上はありましたが、インフレによる固定費増加や戦略投資の増加に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなどにより、減益となりました。
③親会社の所有者に帰属する当期純利益
親会社の所有者に帰属する当期純利益は、1,895億円(前年度比48%減)となりました。
④セグメントの経営成績
2026年1月1日付の新体制への移行に伴い、従来の報告セグメントであった「くらし事業」を中心として、以下のとおり報告セグメントを変更しています。
・「エレクトリックワークス」は、従来の「くらし事業」の傘下にあったエレクトリックワークス社の事業により構成しています。
・「HVAC & CC」は、従来の「くらし事業」の傘下にあった空質空調社とコールドチェーンソリューションズ社の事業により構成しています。
・「スマートライフ」は、従来の「くらし事業」の傘下にあったくらしアプライアンス社の事業と「その他」に含まれていたエンターテインメント&コミュニケーションの事業を母体として構成しています。
a コネクト
当セグメントの売上高は、前年度比で5%増加し、1兆3,803億円となりました。
主な事業の状況は、アビオニクス事業では、機内エンターテインメント・通信システムの好調な受注や、機体メンテナンス・リペアサービス需要の拡大により、増収となりました。
プロセスオートメーション事業では、生成AIサーバーを含めたICT(情報通信)業界の需要を受注に結びつけたことなどにより、増収となりました。
ブルーヨンダー事業では、SaaS(注)の好調な販売が継続し、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、1,001億円となりました。プロセスオートメーション事業やアビオニクス事業等の力強い受注に伴う増販益に加え、商品力強化などによるモバイルソリューション事業の収益性向上もあり、前年度から234億円の増益となりました。
(注) SaaS:Software as a Serviceの略。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアでユーザーが必要な機能を、インターネットを経由して利用できるサービス
b エレクトリックワークス
当セグメントの売上高は、前年度比で4%増加し、1兆1,606億円となりました。
主な事業の状況は、ライティング事業では、2027年末までに蛍光灯の製造・輸出入が禁止になることに伴う置き換え需要を背景に、国内LED照明の生産能力の増強や供給体制の整備を進めたことにより、増収となりました。
電材&くらしエネルギー事業では、国内では電設資材の販売が好調に推移し増収となり、海外でもインドを中心に増収となりました。
当セグメントの営業利益は、577億円となりました。堅調な国内電設資材の増販益はありましたが、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことにより、前年度から108億円の減益となりました。
c HVAC & CC
当セグメントの売上高は、前年度比で1%減少し、1兆3,124億円となりました。
主な事業の状況は、HVAC事業では、国内のルームエアコンが猛暑により需要が拡大し、欧州のヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、以下、「A2W」)も市況回復で増収となりましたが、アジアのルームエアコンが天候不順により減収となり、全体では前年度並みとなりました。
CC事業では、前年度に完了したポーランドの冷凍機メーカーの完全子会社化による増収効果があったものの、北米コールドチェーンの減収により、前年度並みとなりました。
当セグメントの営業利益は、231億円となりました。国内ルームエアコンとA2Wの増販益に加え、業務用空調・IAQ(Indoor Air Quality)の収益改善がありましたが、アジアでのルームエアコンの減販損、北米コールドチェーンの減販損と関税影響に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用の計上もあり、前年度から1億円の減益となりました。
d エナジー
当セグメントの売上高は、前年度比で13%増加し、9,842億円となりました。
当年度は、車載電池は減収となりましたが、産業・民生向けではデータセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長し、全体で増収となりました。
主な事業の状況は、車載事業では、米国政策動向などの影響により、電気自動車の市況が悪化するも、北米カンザス工場の稼働開始により、北米工場製セルの販売数量は伸長しました。しかしながら、原材料価格低下に伴う価格改定の影響に加え、国内工場製セルの需要の減少などにより減収となりました。
一方、産業・民生事業では、生成AI市場の成長を背景に、データセンター向け蓄電システムの販売が大幅に伸長し、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、698億円となりました。産業・民生事業では、データセンター向け蓄電システムの増販により増益となりましたが、車載事業では、米国関税影響に加え、カンザス工場の固定費増、国内工場の減販損、過去の製造不具合対応費用などにより減益となり、セグメント全体でも前年度から504億円の減益となりました。
e インダストリー
当セグメントの売上高は、前年度比で8%増加し、1兆1,673億円となりました。
主な事業の状況は、電子デバイス事業では、生成AIサーバーなど情報通信インフラ・端末向けコンデンサー等が好調に推移し、増収となりました。
FAソリューション事業では、中国の工場省人化向けの市況が堅調なことから産業用モーターの販売が増加し、増収となりました。
電子材料事業では、生成AIサーバーをはじめとする情報通信インフラ向けの多層基板材料の需要の拡大などにより、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、405億円となりました。生成AIサーバー向け製品などの増販益や、価格改定や合理化施策の推進などはありましたが、グループ経営改革に関する構造改革費用の計上により、前年度から27億円の減益となりました。
f スマートライフ
当セグメントの売上高は、前年度比で5%減少し、1兆3,742億円となりました。
主な事業の状況は、メジャーアプライアンス事業では、販売は、日本はほぼ前年度並み、アジアは堅調に推移しましたが、中国における需要減の影響が大きく、冷蔵庫や洗濯機の販売が減少し、減収となりました。
スモールアプライアンス事業では、調理機器の販売は減少しましたが、ビューティー商品の販売が増加し、増収となりました。
AVC事業では、海外テレビの販売の減少が大きく、減収となりました。
当セグメントの営業利益は、国内シェアは改善傾向にありますが、海外の市況悪化等による減販損に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなどにより、前年度から減益の373億円の損失となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3.事業等のリスク」に記載しています。
(5)財政状態及び流動性
①流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などの必要に応じて、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。なお、不安定な金融経済環境における資金調達リスクに備え、2024年6月に複数の取引銀行と期間を3年間とするコミットメントライン契約(注1)を締結しています。当該契約に基づく無担保の借入設定上限は総額6,000億円です。
当年度末の現金及び現金同等物の残高は7,702億円となり、前年度末に比べ774億円減少しました。当年度は、社債償還資金への充当及び今後の事業展開に必要な資金の確保を目的とし、2025年7月に550億円、2025年12月に300億円の円建無担保普通社債を発行しました。また、2026年3月には、シンジケート・ローン契約に基づき250億円の借入を実施しています。運転資金などの調達は主にコマーシャルペーパー(CP)の発行と短期借入により行いました。なお、2025年12月に第21回無担保普通社債700億円(2020年12月発行) 、2026年3月に第18回無担保普通社債300億円(2020年3月発行)を満期到来により償還しました。
これらの結果、有利子負債は1兆6,032億円となり、前年度末に比べ350億円増加しました。主な内訳は、円建無担保普通社債 7,100億円、円建公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)(注2) 4,000億円、米ドル建無担保普通社債 10億米ドル、シンジケート・ローンを含む長期借入金 250億円、CP残高 500億円、リース負債2,548億円です。
(注1)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約
(注2)ハイブリッド社債(劣後特約付社債):資本と負債の中間的性質を持ち、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続き及び倒産手続きにおける劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有した社債
(格付け)
当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及びムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。
R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)
S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)
ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ)
②キャッシュ・フロー
当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは6,243億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは6,074億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、169億円(前年差807億円の良化)となりました。
なお、キャッシュ・フローの分析の詳細は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは6,243億円(前年度は7,961億円の増加)となりました。前年差の主な要因は、前年度に米国IRA補助金の第三者への権利売却による資金化があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少したキャッシュ・フローは6,074億円(前年度は8,599億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、設備投資の減少やPHSの株式譲渡に伴う収入があったことなどによるものです。この結果、フリーキャッシュ・フローはプラス169億円(前年差807億円の良化)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少したキャッシュ・フローは1,668億円(前年度は1,903億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、配当金の支払額が増加した一方で、コマーシャルペーパーの発行による短期の資金調達が増加したことなどによるものです。
これらに為替変動の影響等を加味した結果、当年度末の現金及び現金同等物の残高は7,702億円となり、前年度末に比べ774億円減少しました。
③設備投資額と減価償却費
当社グループでは、将来の成長に向けて、重点事業を中心に投資を着実に行っていくという考え方に基づき設備投資を行った結果、当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度から1,398億円減少し、6,291億円となりました。主な増減要因は、「エナジー」における北米の新工場稼働に伴う減少となります。当年度の主要な設備投資は、「第3 設備の状況 1設備投資等の概要」をご参照ください。
減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度から80億円増加し、2,291億円となりました。
④資産、負債及び資本
当年度末の総資産は10兆1,724億円となり、前年度末に比べ8,292億円の増加となりました。これは、PHSの非連結化の影響はありましたが、主に有形固定資産の増加や当年度の米国IRA補助金に係る未収入金の増加などに加え、為替換算(円安)の影響によるものです。
負債は、前年度末に比べ3,221億円増加し、4兆7,905億円となりました。これは、PHSの非連結化の影響がありましたが、主に米国IRA補助金に係る負債(顧客との有効活用を見込む部分)の増加などに加え、為替換算(円安)の影響によるものです。
親会社の所有者に帰属する持分は5兆2,113億円となり、前年度末に比べ5,169億円増加しました。これは、主に為替換算(円安)の影響や、親会社の所有者に帰属する当期純利益の計上などによるものです。また、非支配持分を加味した資本合計は5兆3,820億円となりました。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の50.2%から増加し、51.2%となりました。
当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
重要性がある会計方針及び見積りの内容は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針」に記載しています。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。
なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産実績は販売実績に概ね類似しています。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
2025年度の世界経済は、国際情勢や通商環境の不安定化が続く中でも底堅い成長を維持しました。米国では個人消費や設備投資を背景に内需が堅調に推移する一方、中国では不動産市況や雇用情勢の悪化により景気は停滞しました。欧州では輸出の減少が見られたものの個人消費が下支えし、景気は持ち直しつつあります。日本では個人消費や住宅投資、設備投資といった内需の増加で景気が緩やかに回復しました。
このような経営環境のもと、2025年度は当社グループとして経営改革に注力し、固定費構造改革による収益改善と、事業ポートフォリオマネジメントを含む課題・再建事業の方向付けなどを行い、経営基盤を強化しました。また、データセンターの需要急増を捉えたAIインフラを支える事業が大きく成長しています。
固定費構造改革については、グループ全体で間接機能やオペレーションの集約・効率化を進め、人員の最適化を実施し、製造・物流・販売拠点の統廃合を順次進めています。また、効率的な経営基盤を確立するため、パナソニック㈱を発展的に解消し、2026年4月に新たに3つの事業会社※を発足しました。
課題・再建事業として位置付けた事業については、キッチンアプライアンス事業での量産開発の中国シフトによる開発リソースの適正化、グローバル標準コスト化を進めました。テレビ事業では欧州市場での販売において、中国のShenzhen Skyworth Display Technology Co., Ltd.及びそのグループ会社と包括的なパートナーシップを締結しました。また、ハウジング事業については、2026年3月にYKK㈱へパナソニック ハウジングソリューションズ㈱(以下、「PHS」)の株式譲渡を完了するなど、それぞれの事業の方向付けを実施しました。
AIインフラを支える事業では、パナソニック エナジー㈱が、データセンター向けのリチウムイオン電池セルの生産において、国内既存拠点のライン拡充に加え、車載用ラインの一部を活用する計画を進めています。蓄電モジュールでは、国内の生産能力の増強のほか、メキシコ工場の既存ライン増強や近接地での新工場建設を決定しました。さらに、パナソニック インダストリー㈱では、2027年度稼働予定のタイ・アユタヤ工場や中国・広州工場のライン増強を発表し、AIサーバー向け電子材料の供給体制を強化しています。
※パナソニック HVAC & CC㈱、パナソニック エレクトリックワークス㈱、パナソニック㈱
①売上高
当年度の連結売上高は、8兆487億円(前年度比5%減)となりました。エナジー・インダストリー・コネクト・エレクトリックワークスの販売増はありましたが、前年度のオートモーティブ事業の非連結化の影響などにより、減収となりました。
②営業利益及び税引前利益
営業利益は、2,364億円(前年度比45%減)、税引前利益は2,631億円(前年度比46%減)となりました。増販益や合理化の進捗などによる増益や、PHSの株式譲渡益の計上はありましたが、インフレによる固定費増加や戦略投資の増加に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなどにより、減益となりました。
③親会社の所有者に帰属する当期純利益
親会社の所有者に帰属する当期純利益は、1,895億円(前年度比48%減)となりました。
④セグメントの経営成績
2026年1月1日付の新体制への移行に伴い、従来の報告セグメントであった「くらし事業」を中心として、以下のとおり報告セグメントを変更しています。
・「エレクトリックワークス」は、従来の「くらし事業」の傘下にあったエレクトリックワークス社の事業により構成しています。
・「HVAC & CC」は、従来の「くらし事業」の傘下にあった空質空調社とコールドチェーンソリューションズ社の事業により構成しています。
・「スマートライフ」は、従来の「くらし事業」の傘下にあったくらしアプライアンス社の事業と「その他」に含まれていたエンターテインメント&コミュニケーションの事業を母体として構成しています。
a コネクト
当セグメントの売上高は、前年度比で5%増加し、1兆3,803億円となりました。
主な事業の状況は、アビオニクス事業では、機内エンターテインメント・通信システムの好調な受注や、機体メンテナンス・リペアサービス需要の拡大により、増収となりました。
プロセスオートメーション事業では、生成AIサーバーを含めたICT(情報通信)業界の需要を受注に結びつけたことなどにより、増収となりました。
ブルーヨンダー事業では、SaaS(注)の好調な販売が継続し、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、1,001億円となりました。プロセスオートメーション事業やアビオニクス事業等の力強い受注に伴う増販益に加え、商品力強化などによるモバイルソリューション事業の収益性向上もあり、前年度から234億円の増益となりました。
(注) SaaS:Software as a Serviceの略。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアでユーザーが必要な機能を、インターネットを経由して利用できるサービス
b エレクトリックワークス
当セグメントの売上高は、前年度比で4%増加し、1兆1,606億円となりました。
主な事業の状況は、ライティング事業では、2027年末までに蛍光灯の製造・輸出入が禁止になることに伴う置き換え需要を背景に、国内LED照明の生産能力の増強や供給体制の整備を進めたことにより、増収となりました。
電材&くらしエネルギー事業では、国内では電設資材の販売が好調に推移し増収となり、海外でもインドを中心に増収となりました。
当セグメントの営業利益は、577億円となりました。堅調な国内電設資材の増販益はありましたが、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことにより、前年度から108億円の減益となりました。
c HVAC & CC
当セグメントの売上高は、前年度比で1%減少し、1兆3,124億円となりました。
主な事業の状況は、HVAC事業では、国内のルームエアコンが猛暑により需要が拡大し、欧州のヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、以下、「A2W」)も市況回復で増収となりましたが、アジアのルームエアコンが天候不順により減収となり、全体では前年度並みとなりました。
CC事業では、前年度に完了したポーランドの冷凍機メーカーの完全子会社化による増収効果があったものの、北米コールドチェーンの減収により、前年度並みとなりました。
当セグメントの営業利益は、231億円となりました。国内ルームエアコンとA2Wの増販益に加え、業務用空調・IAQ(Indoor Air Quality)の収益改善がありましたが、アジアでのルームエアコンの減販損、北米コールドチェーンの減販損と関税影響に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用の計上もあり、前年度から1億円の減益となりました。
d エナジー
当セグメントの売上高は、前年度比で13%増加し、9,842億円となりました。
当年度は、車載電池は減収となりましたが、産業・民生向けではデータセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長し、全体で増収となりました。
主な事業の状況は、車載事業では、米国政策動向などの影響により、電気自動車の市況が悪化するも、北米カンザス工場の稼働開始により、北米工場製セルの販売数量は伸長しました。しかしながら、原材料価格低下に伴う価格改定の影響に加え、国内工場製セルの需要の減少などにより減収となりました。
一方、産業・民生事業では、生成AI市場の成長を背景に、データセンター向け蓄電システムの販売が大幅に伸長し、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、698億円となりました。産業・民生事業では、データセンター向け蓄電システムの増販により増益となりましたが、車載事業では、米国関税影響に加え、カンザス工場の固定費増、国内工場の減販損、過去の製造不具合対応費用などにより減益となり、セグメント全体でも前年度から504億円の減益となりました。
e インダストリー
当セグメントの売上高は、前年度比で8%増加し、1兆1,673億円となりました。
主な事業の状況は、電子デバイス事業では、生成AIサーバーなど情報通信インフラ・端末向けコンデンサー等が好調に推移し、増収となりました。
FAソリューション事業では、中国の工場省人化向けの市況が堅調なことから産業用モーターの販売が増加し、増収となりました。
電子材料事業では、生成AIサーバーをはじめとする情報通信インフラ向けの多層基板材料の需要の拡大などにより、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、405億円となりました。生成AIサーバー向け製品などの増販益や、価格改定や合理化施策の推進などはありましたが、グループ経営改革に関する構造改革費用の計上により、前年度から27億円の減益となりました。
f スマートライフ
当セグメントの売上高は、前年度比で5%減少し、1兆3,742億円となりました。
主な事業の状況は、メジャーアプライアンス事業では、販売は、日本はほぼ前年度並み、アジアは堅調に推移しましたが、中国における需要減の影響が大きく、冷蔵庫や洗濯機の販売が減少し、減収となりました。
スモールアプライアンス事業では、調理機器の販売は減少しましたが、ビューティー商品の販売が増加し、増収となりました。
AVC事業では、海外テレビの販売の減少が大きく、減収となりました。
当セグメントの営業利益は、国内シェアは改善傾向にありますが、海外の市況悪化等による減販損に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなどにより、前年度から減益の373億円の損失となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3.事業等のリスク」に記載しています。
(5)財政状態及び流動性
①流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などの必要に応じて、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。なお、不安定な金融経済環境における資金調達リスクに備え、2024年6月に複数の取引銀行と期間を3年間とするコミットメントライン契約(注1)を締結しています。当該契約に基づく無担保の借入設定上限は総額6,000億円です。
当年度末の現金及び現金同等物の残高は7,702億円となり、前年度末に比べ774億円減少しました。当年度は、社債償還資金への充当及び今後の事業展開に必要な資金の確保を目的とし、2025年7月に550億円、2025年12月に300億円の円建無担保普通社債を発行しました。また、2026年3月には、シンジケート・ローン契約に基づき250億円の借入を実施しています。運転資金などの調達は主にコマーシャルペーパー(CP)の発行と短期借入により行いました。なお、2025年12月に第21回無担保普通社債700億円(2020年12月発行) 、2026年3月に第18回無担保普通社債300億円(2020年3月発行)を満期到来により償還しました。
これらの結果、有利子負債は1兆6,032億円となり、前年度末に比べ350億円増加しました。主な内訳は、円建無担保普通社債 7,100億円、円建公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)(注2) 4,000億円、米ドル建無担保普通社債 10億米ドル、シンジケート・ローンを含む長期借入金 250億円、CP残高 500億円、リース負債2,548億円です。
(注1)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約
(注2)ハイブリッド社債(劣後特約付社債):資本と負債の中間的性質を持ち、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続き及び倒産手続きにおける劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有した社債
(格付け)
当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及びムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。
R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)
S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)
ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ)
②キャッシュ・フロー
当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは6,243億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは6,074億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、169億円(前年差807億円の良化)となりました。
なお、キャッシュ・フローの分析の詳細は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは6,243億円(前年度は7,961億円の増加)となりました。前年差の主な要因は、前年度に米国IRA補助金の第三者への権利売却による資金化があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少したキャッシュ・フローは6,074億円(前年度は8,599億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、設備投資の減少やPHSの株式譲渡に伴う収入があったことなどによるものです。この結果、フリーキャッシュ・フローはプラス169億円(前年差807億円の良化)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少したキャッシュ・フローは1,668億円(前年度は1,903億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、配当金の支払額が増加した一方で、コマーシャルペーパーの発行による短期の資金調達が増加したことなどによるものです。
これらに為替変動の影響等を加味した結果、当年度末の現金及び現金同等物の残高は7,702億円となり、前年度末に比べ774億円減少しました。
③設備投資額と減価償却費
当社グループでは、将来の成長に向けて、重点事業を中心に投資を着実に行っていくという考え方に基づき設備投資を行った結果、当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度から1,398億円減少し、6,291億円となりました。主な増減要因は、「エナジー」における北米の新工場稼働に伴う減少となります。当年度の主要な設備投資は、「第3 設備の状況 1設備投資等の概要」をご参照ください。
減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度から80億円増加し、2,291億円となりました。
④資産、負債及び資本
当年度末の総資産は10兆1,724億円となり、前年度末に比べ8,292億円の増加となりました。これは、PHSの非連結化の影響はありましたが、主に有形固定資産の増加や当年度の米国IRA補助金に係る未収入金の増加などに加え、為替換算(円安)の影響によるものです。
負債は、前年度末に比べ3,221億円増加し、4兆7,905億円となりました。これは、PHSの非連結化の影響がありましたが、主に米国IRA補助金に係る負債(顧客との有効活用を見込む部分)の増加などに加え、為替換算(円安)の影響によるものです。
親会社の所有者に帰属する持分は5兆2,113億円となり、前年度末に比べ5,169億円増加しました。これは、主に為替換算(円安)の影響や、親会社の所有者に帰属する当期純利益の計上などによるものです。また、非支配持分を加味した資本合計は5兆3,820億円となりました。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の50.2%から増加し、51.2%となりました。