有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、期初からの米中貿易摩擦の長期化による悪影響、欧州における景況感の悪化に加えて、第4四半期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響も受けて世界経済の先行きに対する不透明感が強まりました。わが国経済においては、こうした影響を受け景気の減速傾向が強まりました。
当社グループを取り巻く環境についても、当社が所属する一般社団法人日本電気制御機器工業会の輸出出荷高が前年同期を下回るなど、厳しい市場環境となりました。
このような状況の中、国内では自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要が減速傾向にあることなどから、スイッチ事業やインダストリアルコンポーネンツ事業、安全・防爆事業などの売上が減少した結果、国内売上高は280億3千2百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
海外においては、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、総じて売上が減少しました。この結果、海外売上高は303億2千2百万円(前年同期比9.2%減)となりました。
利益面においては、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、10億2千4百万円減益の47億4百万円(前年同期比17.9%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、12億3千6百万円減益の46億1千3百万円(前年同期比21.1%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したものの、アジア・パシフィックにおいて、子会社再編損及び事業所移転損失が発生したことなどにより、前年同期に比べ、6億9千3百万円減益の30億6百万円(前年同期比18.8%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、108.72円(前年同期は110.93円で2.21円の円高)、対ユーロの平均レートは、120.82円(前年同期は128.44円で7.62円の円高)となりました。
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
① 日本
日本においては、自動認識機器などのオートメーション事業/センシング事業の売上が第2四半期まで伸長した一方で、工作機械やロボット業界における需要の減速傾向によるスイッチ事業や安全・防爆事業などの売上が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、14億4百万円減収の304億1百万円(前年同期比4.4%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、5億5千6百万円減益の25億3千9百万円(前年同期比18.0%減)となりました。
② 米州
北米地域においては、オートメーション事業/センシング事業のプログラマブル表示器及びプログラマブルコントローラが伸長したものの、スイッチ事業の制御用操作スイッチや安全関連機器の売上が減少したことに加え円高の影響も受けた結果、売上高は、前年同期に比べ、6億8千3百万円減収の94億7千7百万円(前年同期比6.7%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、2億5千9百万円減益の5億4千4百万円(前年同期比32.3%減)となりました。
③ 欧州、中東及びアフリカ(以下、EMEA)
欧州においては、景況感の悪化を受け、制御用操作スイッチなどスイッチ事業の売上が減少したことに加え円高の影響も受けた結果、売上高は、前年同期に比べ、7億1千4百万円減収の103億7千7百万円(前年同期比6.4%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、4千2百万円減益の5億8千5百万円(前年同期比6.8%減)となりました。
④ アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、米中貿易摩擦問題の影響を受け、特に中国市場を中心として主力製品であるスイッチ事業の制御用操作スイッチやインダストリアルコンポーネンツ事業の制御用リレーの売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、15億9千9百万円減収の80億9千8百万円(前年同期比16.5%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、2億4千5百万円減益の8億1千万円(前年同期比23.2%減)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、製品種類別の名称を変更しております。
① スイッチ事業
日本、米州、EMEA、アジア・パシフィックの全地域において、景況感の悪化等の影響を受け、主に設備投資需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、23億5千6百万円減収の273億2千9百万円(前年同期比7.9%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」などの製品群です。
② インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場であるアジア・パシフィックにおいて、特に中国市場を中心に米中貿易摩擦の影響により制御用リレーや端子台の売上が減少しました。その結果、売上高は、前年同期に比べ、11億4百万円減収の103億3千9百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」、「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群です。
③ オートメーション事業/センシング事業
日本において、自動認識機器が第2四半期まで伸長したことに加え、米州においては、プログラマブル表示器やプログラマブルコントローラが堅調に推移した結果、売上高は、前年同期に比べ、2億2百万円増収の89億5千8百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
※産業現場や暮らしのさまざまなシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、快適な機械・装置の操作環境を実現する「プログラマブル表示器」に加え、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群です。
④ 安全・防爆事業
米中貿易摩擦の影響などにより、主に海外で安全関連機器製品の売上が減少したことにより、売上高は、前年同期に比べ、2億7千6百万円減収の66億5千7百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「安全スイッチ」や「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群です。
⑤ システム
日本において、半導体業界の減速傾向の影響を受け、半導体・液晶製造装置用の制御盤の売上が減少したことに加え、アジア・パシフィックにおいても米中貿易摩擦の影響を受け需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、3億7千5百万円減収の29億1百万円(前年同期比11.5%減)となりました。
※顧客ニーズに合わせてIDECの製品をシステム化して提供する「各種システム」などの製品群です。
⑥ その他
日本において、全体の売上が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、4億9千1百万円減収の21億6千9百万円(前年同期比18.5%減)となりました。
※IDECの強みである安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」や、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」に加え、太陽光併用型農業プラントのトータルソリューションを提供する「次世代農業ソリューション」、幅広い分野での応用研究が進んでいる「ウルトラファインバブル(微細気泡)発生装置」などの事業や製品群です。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、69億2千8百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を18億3千6百万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を46億8千万円、減価償却費を30億1千6百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億3千7百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が3億7千8百万円あった一方で、固定資産の取得による支出が26億6千1百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億5百万円の支出となりました。これは主に、借入金の増加により12億2千2百万円の収入があった一方で、自己株式の取得により30億4千2百万円、配当金の支払いにより14億3千9百万円支出したことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症について、今後の広がり方や収束時期等について不透明な部分はあるものの、緊急事態宣言の解除の状況や経済活動再開の動き等を踏まえ、当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症の影響は、緩やかに回復しつつも2020年度上半期中は続くものと仮定しております。連結財務諸表及び財務諸表に計上されているのれん及び商標権・顧客関連資産の減損および繰延税金資産の回収可能性については、上述した仮定をもとに、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮した事業の見通しに基づき、見積りおよび判断を行っております。なお、現時点で当社グループの会計上の見積りに及ぼす影響は重要でないと判断しております。
① たな卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより悪化した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様にたな卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収出来ないと判断した場合、当該判断を行った期に調整額を費用として計上いたします。
④ 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増加する場合があります。
⑤ 固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、または遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥ のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度における世界経済は、期初からの米中貿易摩擦の長期化による悪影響、欧州における景況感の悪化に加えて、第4四半期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響も受けて世界経済の先行きに対する不透明感が強まりました。わが国経済においては、こうした影響を受け景気の減速傾向が強まりました。
当社グループを取り巻く環境についても、当社が所属する一般社団法人日本電気制御機器工業会の輸出出荷高が前年同期を下回るなど、厳しい市場環境となりました。
このような状況の中、国内では自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要が減速傾向にあることなどから、スイッチ事業やインダストリアルコンポーネンツ事業、安全・防爆事業などの売上が減少した結果、国内売上高は280億3千2百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
海外においては、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、総じて売上が減少しました。この結果、海外売上高は303億2千2百万円(前年同期比9.2%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、108.72円(前年同期は110.93円で2.21円の円高)、対ユーロの平均レートは、120.82円(前年同期は128.44円で7.62円の円高)となりました。
② 損益状況
売上原価は、前年同期に比べ、24億6千9百万円減少し、333億1千4百万円(前年同期比6.9%減)となりました。これは自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要の減速傾向、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、売上高が減少したことによるものです。販売費及び一般管理費は、9億8百万円減少し、203億3千6百万円(前年同期比4.3%減)となりました。主に売上が減少したことにより、営業利益は、前年同期に比べ、10億2千4百万円減益の47億4百万円(前年同期比17.9%減)となりました。
営業外収益及び費用は、前年同期に比べ、デリバティブ評価益が1億6千2百万円減少しました。以上の結果、経常利益は12億3千6百万円減益の46億1千3百万円(前年同期比21.1%減)となりました。
特別損益は、アジア・パシフィックにおいて、子会社再編損及び事業所移転損失が発生したものの、投資有価証券売却益を計上したことなどにより、6千7百万円の利益となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比べ、6億9千3百万円減益の30億6百万円(前年同期比18.8%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
① 市場の動向
当社グループは、主要販売品目の性格上、設備投資需要の動向の影響を受けております。
② 為替の変動
当社グループは、製品の約5割を海外の市場にて販売しております。為替変動のリスクを回避するため通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、その影響を受ける可能性もあるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より20億7百万円減少し、870億2千5百万円となりました。これは主に、借入により現金及び預金が10億4千3百万円増加したことに加え、海外での事業所再編に伴い、建物等の有形固定資産が9億7千万円増加した一方で、商標権、顧客関連資産及びのれん等の無形固定資産が主に償却により21億9千2百万円減少したことに加えて、売上債権が7億8千4百万円減少したことによるものです。
負債の額は、前連結会計年度末より7億4千7百万円増加し、442億3千6百万円となりました。これは主に、支払債務が7億4千6百万円減少したものの、借入金が12億2千2百万円増加したことによるものです。
純資産の額は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が15億4千1百万円増加したものの、自己株式が取得により30億3千2百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定が11億4千6百万円減少したことにより、前連結会計年度末より27億5千5百万円減少し、427億8千8百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より11億2千4百万円増加し、139億9千3百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、69億2千8百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を18億3千6百万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を46億8千万円、減価償却費を30億1千6百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億3千7百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が3億7千8百万円あった一方で、固定資産の取得による支出が26億6千1百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億5百万円の支出となりました。これは主に、借入金の増加により12億2千2百万円の収入があった一方で、自己株式の取得により30億4千2百万円、配当金の支払いにより14億3千9百万円支出したことによるものです。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
世界の経済情勢は、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響が長期化するものと予測しており、その終息後も特に製造業における職場の在り方は劇的に変化するものと予想しております。
具体的には、労働集約型の生産現場は、人の安全性を確保するという観点から協働型ロボット等の導入がより一層進み、自動化技術もさらに高度化すると考えられ、世界一生産現場の安全に寄与することを標榜している当社グループにとっては、飛躍的に事業拡大する最大の機会であると考えております。
こうした状況のもと当社グループでは、基盤事業でのより一層の収益性向上、安心安全機器及びシステムに関連する事業分野・ロボットシステムインテグレーション事業分野・環境分野等も含めた事業拡大に取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、期初からの米中貿易摩擦の長期化による悪影響、欧州における景況感の悪化に加えて、第4四半期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響も受けて世界経済の先行きに対する不透明感が強まりました。わが国経済においては、こうした影響を受け景気の減速傾向が強まりました。
当社グループを取り巻く環境についても、当社が所属する一般社団法人日本電気制御機器工業会の輸出出荷高が前年同期を下回るなど、厳しい市場環境となりました。
このような状況の中、国内では自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要が減速傾向にあることなどから、スイッチ事業やインダストリアルコンポーネンツ事業、安全・防爆事業などの売上が減少した結果、国内売上高は280億3千2百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
海外においては、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、総じて売上が減少しました。この結果、海外売上高は303億2千2百万円(前年同期比9.2%減)となりました。
利益面においては、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、10億2千4百万円減益の47億4百万円(前年同期比17.9%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、12億3千6百万円減益の46億1千3百万円(前年同期比21.1%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したものの、アジア・パシフィックにおいて、子会社再編損及び事業所移転損失が発生したことなどにより、前年同期に比べ、6億9千3百万円減益の30億6百万円(前年同期比18.8%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、108.72円(前年同期は110.93円で2.21円の円高)、対ユーロの平均レートは、120.82円(前年同期は128.44円で7.62円の円高)となりました。
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
① 日本
日本においては、自動認識機器などのオートメーション事業/センシング事業の売上が第2四半期まで伸長した一方で、工作機械やロボット業界における需要の減速傾向によるスイッチ事業や安全・防爆事業などの売上が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、14億4百万円減収の304億1百万円(前年同期比4.4%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、5億5千6百万円減益の25億3千9百万円(前年同期比18.0%減)となりました。
② 米州
北米地域においては、オートメーション事業/センシング事業のプログラマブル表示器及びプログラマブルコントローラが伸長したものの、スイッチ事業の制御用操作スイッチや安全関連機器の売上が減少したことに加え円高の影響も受けた結果、売上高は、前年同期に比べ、6億8千3百万円減収の94億7千7百万円(前年同期比6.7%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、2億5千9百万円減益の5億4千4百万円(前年同期比32.3%減)となりました。
③ 欧州、中東及びアフリカ(以下、EMEA)
欧州においては、景況感の悪化を受け、制御用操作スイッチなどスイッチ事業の売上が減少したことに加え円高の影響も受けた結果、売上高は、前年同期に比べ、7億1千4百万円減収の103億7千7百万円(前年同期比6.4%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、4千2百万円減益の5億8千5百万円(前年同期比6.8%減)となりました。
④ アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、米中貿易摩擦問題の影響を受け、特に中国市場を中心として主力製品であるスイッチ事業の制御用操作スイッチやインダストリアルコンポーネンツ事業の制御用リレーの売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、15億9千9百万円減収の80億9千8百万円(前年同期比16.5%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、2億4千5百万円減益の8億1千万円(前年同期比23.2%減)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、製品種類別の名称を変更しております。
① スイッチ事業
日本、米州、EMEA、アジア・パシフィックの全地域において、景況感の悪化等の影響を受け、主に設備投資需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、23億5千6百万円減収の273億2千9百万円(前年同期比7.9%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」などの製品群です。
② インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場であるアジア・パシフィックにおいて、特に中国市場を中心に米中貿易摩擦の影響により制御用リレーや端子台の売上が減少しました。その結果、売上高は、前年同期に比べ、11億4百万円減収の103億3千9百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」、「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群です。
③ オートメーション事業/センシング事業
日本において、自動認識機器が第2四半期まで伸長したことに加え、米州においては、プログラマブル表示器やプログラマブルコントローラが堅調に推移した結果、売上高は、前年同期に比べ、2億2百万円増収の89億5千8百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
※産業現場や暮らしのさまざまなシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、快適な機械・装置の操作環境を実現する「プログラマブル表示器」に加え、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群です。
④ 安全・防爆事業
米中貿易摩擦の影響などにより、主に海外で安全関連機器製品の売上が減少したことにより、売上高は、前年同期に比べ、2億7千6百万円減収の66億5千7百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「安全スイッチ」や「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群です。
⑤ システム
日本において、半導体業界の減速傾向の影響を受け、半導体・液晶製造装置用の制御盤の売上が減少したことに加え、アジア・パシフィックにおいても米中貿易摩擦の影響を受け需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、3億7千5百万円減収の29億1百万円(前年同期比11.5%減)となりました。
※顧客ニーズに合わせてIDECの製品をシステム化して提供する「各種システム」などの製品群です。
⑥ その他
日本において、全体の売上が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、4億9千1百万円減収の21億6千9百万円(前年同期比18.5%減)となりました。
※IDECの強みである安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」や、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」に加え、太陽光併用型農業プラントのトータルソリューションを提供する「次世代農業ソリューション」、幅広い分野での応用研究が進んでいる「ウルトラファインバブル(微細気泡)発生装置」などの事業や製品群です。
(2)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,119 | 6,928 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △2,665 | △2,037 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △2,878 | △3,605 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △48 | △160 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 527 | 1,124 |
現金及び現金同等物期首残高 | 12,341 | 12,868 |
現金及び現金同等物期末残高 | 12,868 | 13,993 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、69億2千8百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を18億3千6百万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を46億8千万円、減価償却費を30億1千6百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億3千7百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が3億7千8百万円あった一方で、固定資産の取得による支出が26億6千1百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億5百万円の支出となりました。これは主に、借入金の増加により12億2千2百万円の収入があった一方で、自己株式の取得により30億4千2百万円、配当金の支払いにより14億3千9百万円支出したことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 30,671 | 91.8 |
米州 | 3,666 | 93.8 |
EMEA | 10,388 | 93.7 |
アジア・パシフィック | 7,294 | 81.1 |
合計 | 52,021 | 90.6 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||
金額(百万円) | 前年同期比(%) | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
日本 | 29,618 | 97.5 | 3,836 | 83.0 |
米州 | 9,140 | 87.2 | 1,275 | 79.0 |
EMEA | 9,632 | 80.9 | 3,049 | 80.2 |
アジア・パシフィック | 8,598 | 105.3 | 2,160 | 130.9 |
合計 | 56,990 | 93.5 | 10,322 | 88.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 30,401 | 95.6 |
米州 | 9,477 | 93.3 |
EMEA | 10,377 | 93.6 |
アジア・パシフィック | 8,098 | 83.5 |
合計 | 58,355 | 93.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症について、今後の広がり方や収束時期等について不透明な部分はあるものの、緊急事態宣言の解除の状況や経済活動再開の動き等を踏まえ、当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症の影響は、緩やかに回復しつつも2020年度上半期中は続くものと仮定しております。連結財務諸表及び財務諸表に計上されているのれん及び商標権・顧客関連資産の減損および繰延税金資産の回収可能性については、上述した仮定をもとに、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮した事業の見通しに基づき、見積りおよび判断を行っております。なお、現時点で当社グループの会計上の見積りに及ぼす影響は重要でないと判断しております。
① たな卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより悪化した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様にたな卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収出来ないと判断した場合、当該判断を行った期に調整額を費用として計上いたします。
④ 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増加する場合があります。
⑤ 固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、または遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥ のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度における世界経済は、期初からの米中貿易摩擦の長期化による悪影響、欧州における景況感の悪化に加えて、第4四半期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響も受けて世界経済の先行きに対する不透明感が強まりました。わが国経済においては、こうした影響を受け景気の減速傾向が強まりました。
当社グループを取り巻く環境についても、当社が所属する一般社団法人日本電気制御機器工業会の輸出出荷高が前年同期を下回るなど、厳しい市場環境となりました。
このような状況の中、国内では自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要が減速傾向にあることなどから、スイッチ事業やインダストリアルコンポーネンツ事業、安全・防爆事業などの売上が減少した結果、国内売上高は280億3千2百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
海外においては、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、総じて売上が減少しました。この結果、海外売上高は303億2千2百万円(前年同期比9.2%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、108.72円(前年同期は110.93円で2.21円の円高)、対ユーロの平均レートは、120.82円(前年同期は128.44円で7.62円の円高)となりました。
② 損益状況
売上原価は、前年同期に比べ、24億6千9百万円減少し、333億1千4百万円(前年同期比6.9%減)となりました。これは自動認識機器などオートメーション事業/センシング事業が第2四半期までは伸長しましたが、工作機械やロボット業界における需要の減速傾向、為替の円高傾向や米中貿易摩擦の影響、さらには新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などもあり、売上高が減少したことによるものです。販売費及び一般管理費は、9億8百万円減少し、203億3千6百万円(前年同期比4.3%減)となりました。主に売上が減少したことにより、営業利益は、前年同期に比べ、10億2千4百万円減益の47億4百万円(前年同期比17.9%減)となりました。
営業外収益及び費用は、前年同期に比べ、デリバティブ評価益が1億6千2百万円減少しました。以上の結果、経常利益は12億3千6百万円減益の46億1千3百万円(前年同期比21.1%減)となりました。
特別損益は、アジア・パシフィックにおいて、子会社再編損及び事業所移転損失が発生したものの、投資有価証券売却益を計上したことなどにより、6千7百万円の利益となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比べ、6億9千3百万円減益の30億6百万円(前年同期比18.8%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
① 市場の動向
当社グループは、主要販売品目の性格上、設備投資需要の動向の影響を受けております。
② 為替の変動
当社グループは、製品の約5割を海外の市場にて販売しております。為替変動のリスクを回避するため通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、その影響を受ける可能性もあるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より20億7百万円減少し、870億2千5百万円となりました。これは主に、借入により現金及び預金が10億4千3百万円増加したことに加え、海外での事業所再編に伴い、建物等の有形固定資産が9億7千万円増加した一方で、商標権、顧客関連資産及びのれん等の無形固定資産が主に償却により21億9千2百万円減少したことに加えて、売上債権が7億8千4百万円減少したことによるものです。
負債の額は、前連結会計年度末より7億4千7百万円増加し、442億3千6百万円となりました。これは主に、支払債務が7億4千6百万円減少したものの、借入金が12億2千2百万円増加したことによるものです。
純資産の額は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が15億4千1百万円増加したものの、自己株式が取得により30億3千2百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定が11億4千6百万円減少したことにより、前連結会計年度末より27億5千5百万円減少し、427億8千8百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より11億2千4百万円増加し、139億9千3百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、69億2千8百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を18億3千6百万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を46億8千万円、減価償却費を30億1千6百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億3千7百万円の支出となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が3億7千8百万円あった一方で、固定資産の取得による支出が26億6千1百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億5百万円の支出となりました。これは主に、借入金の増加により12億2千2百万円の収入があった一方で、自己株式の取得により30億4千2百万円、配当金の支払いにより14億3千9百万円支出したことによるものです。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
世界の経済情勢は、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響が長期化するものと予測しており、その終息後も特に製造業における職場の在り方は劇的に変化するものと予想しております。
具体的には、労働集約型の生産現場は、人の安全性を確保するという観点から協働型ロボット等の導入がより一層進み、自動化技術もさらに高度化すると考えられ、世界一生産現場の安全に寄与することを標榜している当社グループにとっては、飛躍的に事業拡大する最大の機会であると考えております。
こうした状況のもと当社グループでは、基盤事業でのより一層の収益性向上、安心安全機器及びシステムに関連する事業分野・ロボットシステムインテグレーション事業分野・環境分野等も含めた事業拡大に取り組んでまいります。