有価証券報告書-第74期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響を受けて、当社グループを取り巻く事業環境は年度当初より上半期中は厳しい状況で推移致しましたが、第3四半期以降、主力全地域で市況は急速に回復し、特に第4四半期は、主力のスイッチ事業を中心に受注・売上高は前年同四半期を上回る状況で推移いたしました。
その結果、国内売上高は246億3千8百万円(前年同期比12.1%減)となり、海外売上高は293億4千4百万円(前年同期比3.2%減)となり、いずれも四半期を追うごとに減収幅は縮小しております。
利益面においては、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、6億6千2百万円減益の40億4千1百万円(前年同期比14.1%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、5億8百万円減益の41億4百万円(前年同期比11.0%減)となりましたが、第4四半期(2021年1月~3月)3ヵ月間の営業利益は、前年同四半期に比べ増益となっております。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、2億2百万円減益の28億3百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
また、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、106.10円(前年同期は108.72円で2.62円の円高)、対ユーロの平均レートは、121.88円(前年同期は122.03円で0.15円の円高)となりました。
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
① 日本
日本においては、半導体関連業界向けなどのシステム関連製品が依然として好調に推移しており、自動車関連業界や工作機械・ロボット業界等当社主力市場における需要も回復傾向にありますが、上半期での落ち込みの影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、31億9千1百万円減収の272億9百万円(前年同期比10.5%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、5億6百万円減益の20億3千3百万円(前年同期比19.9%減)となりました。
② 米州
北米地域においては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷の影響はまだまだ残ってはおりますが、需要は概ね回復しております。円高の影響もあるため、売上高は、前年同期に比べ、7億9千6百万円減収の86億8千1百万円(前年同期比8.4%減)となりましたが、固定費の削減効果もあり、営業利益は、前年同期に比べ、ほぼ同額の5億4千4百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
③ 欧州、中東及びアフリカ(以下、EMEA)
欧州においては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷の影響が最も深刻でありましたが、需要は相当程度回復しており、第3四半期以降の売上高は、前年同四半期を上回る状況で推移しております。一方で、当連結会計年度全体では、年央までの制御用操作スイッチなどスイッチ事業の需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、15億4千5百万円減収の88億3千1百万円(前年同期比14.9%減)となり、営業損益は、前年同期に比べ、8億3千8百万円減益の2億5千2百万円の損失となりました。
④ アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、中国での需要が急速に回復し、主力製品であるスイッチ事業の制御用操作スイッチやインダストリアルコンポーネンツ事業の制御用リレーの売上が増加した結果、売上高は前年同期に比べ、11億6千2百万円増収の92億6千万円(前年同期比14.4%増)となり、営業利益は、前年同期に比べ7億6百万円増益の15億1千7百万円(前年同期比87.2%増)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
① スイッチ事業
アジア・パシフィックにおいては特に中国において急速に需要が回復し、日本、米州、EMEAにおいても、第3四半期以降の需要は相当程度回復しておりますが、年央までの中国を除く各地域での需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、22億7千4百万円減収の250億5千4百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」などの製品群です。
② インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場である米州での売上が減少した一方で、中国市場での制御用リレーの売上が増加した結果、売上高は、前年同期に比べ、5億3千5百万円減収の98億3百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」、「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群です。
③ オートメーション事業/センシング事業
日本において、前年同期に比べ自動認識機器の売上高が大幅に減少したことに加え、米州においては、プログラマブル表示器やプログラマブルコントローラの需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、7億5千5百万円減収の82億3百万円(前年同期比8.4%減)となりました。なお、第3四半期以降は、前年同四半期を上回る状況で推移しております。
※産業現場や暮らしのさまざまなシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、快適な機械・装置の操作環境を実現する「プログラマブル表示器」に加え、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群です。
④ 安全・防爆事業
第3四半期以降の需要は全地域において回復しておりますが、年央までの中国を除く各地域での需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、1億4千4百万円減収の65億1千3百万円(前年同期比2.2%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「安全スイッチ」や「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群です。
⑤ システム
日本において、デジタル機器・半導体業界等の急速な需要拡大を受け、半導体・液晶製造装置用等の制御盤の売上が増加したことにより、売上高は、前年同期に比べ、3億4千2百万円増収の32億4千4百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
※顧客ニーズに合わせてIDECの製品をシステム化して提供する「各種システム」などの製品群です。
⑥ その他
日本において、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムの売上が大幅に減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、10億5百万円減収の11億6千3百万円(前年同期比46.3%減)となりました。
※IDECの強みである安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」や、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」に加え、太陽光併用型農業プラントのトータルソリューションを提供する「次世代農業ソリューション」、幅広い分野での応用研究が進んでいる「ウルトラファインバブル(微細気泡)発生装置」などの事業や製品群です。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、74億4千3百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を14億2千万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を42億5千1百万円、減価償却費を29億8千1百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、31億4千7百万円の支出となりました。これは主に、国内外子会社における工場の新設等での固定資産の取得による支出が33億9千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億7千2百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得により20億3千4百万円、配当金の支払いにより15億2千9百万円を支出したことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症による経済への影響については、今後とも不透明な部分はあるものの、ワクチン接種の拡大状況や経済活動再開の動き等を踏まえ、当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症の経済への影響は、今後はさらに薄れ、経済活動正常化の動きは活発化するものと仮定しております。連結財務諸表及び財務諸表に計上されているのれん及び商標権・顧客関連資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性については、上述した仮定をもとに、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮した事業の見通しに基づき、見積り及び判断を行っております。なお、現時点で当社グループの会計上の見積りに及ぼす影響は重要でないと判断しております。
① たな卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより悪化した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様にたな卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収出来ないと判断した場合、当該判断を行った期に調整額を費用として計上いたします。
④ 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増加する場合があります。
⑤ 固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、または遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥ のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響を受けて、当社グループを取り巻く事業環境は年度当初より上半期中は厳しい状況で推移致しましたが、第3四半期以降、主力全地域で市況は急速に回復し、特に第4四半期は、主力のスイッチ事業を中心に受注・売上高は前年同四半期を上回る状況で推移いたしました。
その結果、国内売上高は246億3千8百万円(前年同期比12.1%減)となり、海外売上高は293億4千4百万円(前年同期比3.2%減)となり、いずれも四半期を追うごとに減収幅は縮小しております。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、106.10円(前年同期は108.72円で2.62円の円高)、対ユーロの平均レートは、121.88円(前年同期は122.03円で0.15円の円高)となりました。
② 損益状況
売上原価は、前年同期に比べ、21億1千5百万円減少し、311億9千9百万円(前年同期比6.3%減)となりました。これは主に新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などにより、売上高が減少したことによるものです。販売費及び一般管理費は、15億9千4百万円減少し、187億4千2百万円(前年同期比7.8%減)となりました。利益については、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、6億6千2百万円減益の40億4千1百万円(前年同期比14.1%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、5億8百万円減益の41億4百万円(前年同期比11.0%減)となりましたが、第4四半期(2021年1月~3月)3ヵ月間の営業利益は、前年同四半期に比べ増益となっております。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、2億2百万円減益の28億3百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
① 市場の動向
当社グループは、主要販売品目の性格上、設備投資需要の動向の影響を受けております。
② 為替の変動
当社グループは、製品の約5割を海外の市場にて販売しております。為替変動のリスクを回避するため通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、その影響を受ける可能性もあるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より12億2千6百万円増加し、882億5千2百万円となりました。これは主に、商標権、顧客関連資産及びのれん等の無形固定資産が主に償却により7億7百万円減少したものの、現金及び預金が借入等により27億8千9百万円増加したことによるものです。
負債の額は、前連結会計年度末より9億3百万円増加し、451億4千万円となりました。これは主に、短期借入金を中心に流動負債が82億8千万円減少した一方で、長期借入金が93億7千万円増加したことによるものです。
純資産の額は、自己株式が取得により20億2千万円増加(純資産の減少)したものの、為替換算調整勘定が11億6千2百万円増加したことと、利益剰余金が12億7千1百万円増加したことにより、前連結会計年度末より3億2千2百万円増加し、431億1千1百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より10億1千6百万円増加し、150億9百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、74億4千3百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を14億2千万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を42億5千1百万円、減価償却費を29億8千1百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、31億4千7百万円の支出となりました。これは主に、国内外子会社における工場の新設等での固定資産の取得による支出が33億9千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億7千2百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得により20億3千4百万円、配当金の支払いにより15億2千9百万円を支出したことによるものです。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
世界の経済情勢は、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響から徐々に回復していくものと予測しておりますが、その終息後も特に製造業における職場の在り方は劇的に変化するものと予想しております。
具体的には、労働集約型の生産現場は、人の安全性を確保するという観点から協働型ロボット等の導入がより一層進み、自動化技術もさらに高度化すると考えられ、世界一生産現場の安全に寄与することを標榜している当社グループにとっては、飛躍的に事業拡大する最大の機会であると考えております。
こうした状況のもと当社グループでは、基盤事業でのより一層の収益性向上、安心安全機器及びシステムに関連する事業分野・ロボットシステムインテグレーション事業分野・環境分野等も含めた事業拡大に取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響を受けて、当社グループを取り巻く事業環境は年度当初より上半期中は厳しい状況で推移致しましたが、第3四半期以降、主力全地域で市況は急速に回復し、特に第4四半期は、主力のスイッチ事業を中心に受注・売上高は前年同四半期を上回る状況で推移いたしました。
その結果、国内売上高は246億3千8百万円(前年同期比12.1%減)となり、海外売上高は293億4千4百万円(前年同期比3.2%減)となり、いずれも四半期を追うごとに減収幅は縮小しております。
利益面においては、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、6億6千2百万円減益の40億4千1百万円(前年同期比14.1%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、5億8百万円減益の41億4百万円(前年同期比11.0%減)となりましたが、第4四半期(2021年1月~3月)3ヵ月間の営業利益は、前年同四半期に比べ増益となっております。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、2億2百万円減益の28億3百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
また、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、106.10円(前年同期は108.72円で2.62円の円高)、対ユーロの平均レートは、121.88円(前年同期は122.03円で0.15円の円高)となりました。
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
① 日本
日本においては、半導体関連業界向けなどのシステム関連製品が依然として好調に推移しており、自動車関連業界や工作機械・ロボット業界等当社主力市場における需要も回復傾向にありますが、上半期での落ち込みの影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、31億9千1百万円減収の272億9百万円(前年同期比10.5%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、5億6百万円減益の20億3千3百万円(前年同期比19.9%減)となりました。
② 米州
北米地域においては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷の影響はまだまだ残ってはおりますが、需要は概ね回復しております。円高の影響もあるため、売上高は、前年同期に比べ、7億9千6百万円減収の86億8千1百万円(前年同期比8.4%減)となりましたが、固定費の削減効果もあり、営業利益は、前年同期に比べ、ほぼ同額の5億4千4百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
③ 欧州、中東及びアフリカ(以下、EMEA)
欧州においては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷の影響が最も深刻でありましたが、需要は相当程度回復しており、第3四半期以降の売上高は、前年同四半期を上回る状況で推移しております。一方で、当連結会計年度全体では、年央までの制御用操作スイッチなどスイッチ事業の需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、15億4千5百万円減収の88億3千1百万円(前年同期比14.9%減)となり、営業損益は、前年同期に比べ、8億3千8百万円減益の2億5千2百万円の損失となりました。
④ アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、中国での需要が急速に回復し、主力製品であるスイッチ事業の制御用操作スイッチやインダストリアルコンポーネンツ事業の制御用リレーの売上が増加した結果、売上高は前年同期に比べ、11億6千2百万円増収の92億6千万円(前年同期比14.4%増)となり、営業利益は、前年同期に比べ7億6百万円増益の15億1千7百万円(前年同期比87.2%増)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
① スイッチ事業
アジア・パシフィックにおいては特に中国において急速に需要が回復し、日本、米州、EMEAにおいても、第3四半期以降の需要は相当程度回復しておりますが、年央までの中国を除く各地域での需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、22億7千4百万円減収の250億5千4百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」などの製品群です。
② インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場である米州での売上が減少した一方で、中国市場での制御用リレーの売上が増加した結果、売上高は、前年同期に比べ、5億3千5百万円減収の98億3百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」、「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群です。
③ オートメーション事業/センシング事業
日本において、前年同期に比べ自動認識機器の売上高が大幅に減少したことに加え、米州においては、プログラマブル表示器やプログラマブルコントローラの需要が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、7億5千5百万円減収の82億3百万円(前年同期比8.4%減)となりました。なお、第3四半期以降は、前年同四半期を上回る状況で推移しております。
※産業現場や暮らしのさまざまなシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、快適な機械・装置の操作環境を実現する「プログラマブル表示器」に加え、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群です。
④ 安全・防爆事業
第3四半期以降の需要は全地域において回復しておりますが、年央までの中国を除く各地域での需要の大幅な減少の影響は大きく、売上高は、前年同期に比べ、1億4千4百万円減収の65億1千3百万円(前年同期比2.2%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「安全スイッチ」や「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群です。
⑤ システム
日本において、デジタル機器・半導体業界等の急速な需要拡大を受け、半導体・液晶製造装置用等の制御盤の売上が増加したことにより、売上高は、前年同期に比べ、3億4千2百万円増収の32億4千4百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
※顧客ニーズに合わせてIDECの製品をシステム化して提供する「各種システム」などの製品群です。
⑥ その他
日本において、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムの売上が大幅に減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、10億5百万円減収の11億6千3百万円(前年同期比46.3%減)となりました。
※IDECの強みである安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」や、メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」に加え、太陽光併用型農業プラントのトータルソリューションを提供する「次世代農業ソリューション」、幅広い分野での応用研究が進んでいる「ウルトラファインバブル(微細気泡)発生装置」などの事業や製品群です。
(2)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,928 | 7,443 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △2,037 | △3,147 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △3,605 | △3,672 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △160 | 393 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 1,124 | 1,016 |
現金及び現金同等物期首残高 | 12,868 | 13,993 |
現金及び現金同等物期末残高 | 13,993 | 15,009 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、74億4千3百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を14億2千万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を42億5千1百万円、減価償却費を29億8千1百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、31億4千7百万円の支出となりました。これは主に、国内外子会社における工場の新設等での固定資産の取得による支出が33億9千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億7千2百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得により20億3千4百万円、配当金の支払いにより15億2千9百万円を支出したことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 28,205 | 92.0 |
米州 | 3,237 | 88.3 |
EMEA | 9,543 | 91.9 |
アジア・パシフィック | 8,437 | 115.7 |
合計 | 49,423 | 95.0 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||
金額(百万円) | 前年同期比(%) | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
日本 | 29,163 | 98.5 | 5,789 | 150.9 |
米州 | 9,187 | 100.5 | 1,895 | 148.5 |
EMEA | 8,754 | 90.9 | 3,150 | 103.3 |
アジア・パシフィック | 10,759 | 125.1 | 3,368 | 155.9 |
合計 | 57,864 | 101.5 | 14,203 | 137.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 27,209 | 89.5 |
米州 | 8,681 | 91.6 |
EMEA | 8,831 | 85.1 |
アジア・パシフィック | 9,260 | 114.4 |
合計 | 53,983 | 92.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症による経済への影響については、今後とも不透明な部分はあるものの、ワクチン接種の拡大状況や経済活動再開の動き等を踏まえ、当社グループとしては、新型コロナウイルス感染症の経済への影響は、今後はさらに薄れ、経済活動正常化の動きは活発化するものと仮定しております。連結財務諸表及び財務諸表に計上されているのれん及び商標権・顧客関連資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性については、上述した仮定をもとに、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮した事業の見通しに基づき、見積り及び判断を行っております。なお、現時点で当社グループの会計上の見積りに及ぼす影響は重要でないと判断しております。
① たな卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより悪化した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様にたな卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収出来ないと判断した場合、当該判断を行った期に調整額を費用として計上いたします。
④ 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増加する場合があります。
⑤ 固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、または遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥ のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響を受けて、当社グループを取り巻く事業環境は年度当初より上半期中は厳しい状況で推移致しましたが、第3四半期以降、主力全地域で市況は急速に回復し、特に第4四半期は、主力のスイッチ事業を中心に受注・売上高は前年同四半期を上回る状況で推移いたしました。
その結果、国内売上高は246億3千8百万円(前年同期比12.1%減)となり、海外売上高は293億4千4百万円(前年同期比3.2%減)となり、いずれも四半期を追うごとに減収幅は縮小しております。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、106.10円(前年同期は108.72円で2.62円の円高)、対ユーロの平均レートは、121.88円(前年同期は122.03円で0.15円の円高)となりました。
② 損益状況
売上原価は、前年同期に比べ、21億1千5百万円減少し、311億9千9百万円(前年同期比6.3%減)となりました。これは主に新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響などにより、売上高が減少したことによるものです。販売費及び一般管理費は、15億9千4百万円減少し、187億4千2百万円(前年同期比7.8%減)となりました。利益については、主に売上高が減少したことによりそれぞれ、営業利益は前年同期に比べ、6億6千2百万円減益の40億4千1百万円(前年同期比14.1%減)となり、経常利益は前年同期に比べ、5億8百万円減益の41億4百万円(前年同期比11.0%減)となりましたが、第4四半期(2021年1月~3月)3ヵ月間の営業利益は、前年同四半期に比べ増益となっております。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、2億2百万円減益の28億3百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
① 市場の動向
当社グループは、主要販売品目の性格上、設備投資需要の動向の影響を受けております。
② 為替の変動
当社グループは、製品の約5割を海外の市場にて販売しております。為替変動のリスクを回避するため通貨ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、その影響を受ける可能性もあるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より12億2千6百万円増加し、882億5千2百万円となりました。これは主に、商標権、顧客関連資産及びのれん等の無形固定資産が主に償却により7億7百万円減少したものの、現金及び預金が借入等により27億8千9百万円増加したことによるものです。
負債の額は、前連結会計年度末より9億3百万円増加し、451億4千万円となりました。これは主に、短期借入金を中心に流動負債が82億8千万円減少した一方で、長期借入金が93億7千万円増加したことによるものです。
純資産の額は、自己株式が取得により20億2千万円増加(純資産の減少)したものの、為替換算調整勘定が11億6千2百万円増加したことと、利益剰余金が12億7千1百万円増加したことにより、前連結会計年度末より3億2千2百万円増加し、431億1千1百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より10億1千6百万円増加し、150億9百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、74億4千3百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を14億2千万円納付した一方で、税金等調整前当期純利益を42億5千1百万円、減価償却費を29億8千1百万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、31億4千7百万円の支出となりました。これは主に、国内外子会社における工場の新設等での固定資産の取得による支出が33億9千5百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、36億7千2百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得により20億3千4百万円、配当金の支払いにより15億2千9百万円を支出したことによるものです。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
世界の経済情勢は、新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な経済の低迷の影響から徐々に回復していくものと予測しておりますが、その終息後も特に製造業における職場の在り方は劇的に変化するものと予想しております。
具体的には、労働集約型の生産現場は、人の安全性を確保するという観点から協働型ロボット等の導入がより一層進み、自動化技術もさらに高度化すると考えられ、世界一生産現場の安全に寄与することを標榜している当社グループにとっては、飛躍的に事業拡大する最大の機会であると考えております。
こうした状況のもと当社グループでは、基盤事業でのより一層の収益性向上、安心安全機器及びシステムに関連する事業分野・ロボットシステムインテグレーション事業分野・環境分野等も含めた事業拡大に取り組んでまいります。