有価証券報告書-第78期(2024/04/01-2025/03/31)
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、資源価格高騰や円安などによる原材料価格の高騰や、物価上昇の継続、中国における不動産市場の停滞に伴う影響、米国における関税政策の影響による下振れリスクなどの要因もあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおいては、2026年3月期から改めて取り組んでいく新中期経営計画において、新生IDECとして「顧客中心のビジネス構造への転換」、「グローバルベースでの市場変化への対応力向上」を掲げており、グループ一丸となって持続的な成長を実現するための構造改革を推進してまいります。
このような状況におきまして、当社グループの国内売上高は、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより、前年同期に比べ、26億1千3百万円減収の242億9千4百万円(前年同期比9.7%減)となり、海外売上高は、円安の影響により増加した地域があったものの、国内売上高と同様、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより売上が減少した結果、前年同期に比べ、27億1千8百万円減収の430億8千5百万円(前年同期比5.9%減)となりました。その結果、当連結会計年度の連結売上高は673億8千万円(前年同期比7.3%減)となりました。
利益面においては、減収の影響による利益減により前年同期に比べ、営業利益は26億2千3百万円減益の36億5千2百万円(前年同期比41.8%減)、経常利益は34億4千3百万円減益の34億7千7百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億2千8百万円減益の17億7千8百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
以上による当連結会計年度における業績結果は以下のとおりであります。
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
①日本
日本においては、ロボット・工作機械などの主要産業での足踏み感や流通在庫調整局面の影響もあり、売上高は前年同期に比べ、44億5千8百万円減収の268億4千6百万円(前年同期比14.2%減)となり、営業利益は前年同期に比べ、11億2千8百万円減益の11億8千3百万円(前年同期比48.8%減)となりました。
②米州
北米地域においては、概ね流通在庫が一定の水準に落ち着き受注も回復傾向にあったものの一部の代理店での過剰在庫が原因となり、売上高は現地通貨ベースで前年同期に対し減少となりました。しかし、ドル高円安に伴い円換算での売上高は前年同期に比べ、2億8千2百万円増収の141億5千2百万円(前年同期比2.0%増)となり、営業利益は前年同期に比べ、4億5千6百万円減益の11億3千8百万円(前年同期比28.6%減)となりました。
③EMEA
欧州市場では、景気低迷や地政学リスクの影響などにより主要産業の需要が落ち込み、売上高は現地通貨ベースで前年同期に対し減少し、9億7千5百万円減収の148億9千5百万円(前年同期比6.1%減)となり、営業損失5億5千9百万円(前年同期は営業利益4億4千8百万円)となりました。
④アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、中国経済や東南アジア地域における景気減速の影響などにより、売上高は前年同期に比べ、1億7千9百万円減収の114億8千5百万円(前年同期比1.5%減)となり、営業利益は前年同期に比べ、6億3千3百万円減益の10億9千5百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
①HMI事業
主力製品であるスイッチ及びプログラマブル表示器において、市場在庫は概ね適正水準まで戻ったものの、上期における流通在庫調整が影響し、21億5百万円減収の318億4千2百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」、「プログラマブル表示器」などの製品群であります。
②インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場であるアジア・パシフィックにおいて、特に中国市場を中心とした景気減速の影響と流通在庫調整が継続し制御用リレーの売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、3億3千5百万円減収の112億9千4百万円(前年同期比2.9%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」や「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群であります。
③オートメーション&センシング事業
主力製品であるプログラマブルコントローラの受注残が解消されましたが、日本、米州における新規注文が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、11億9千9百万円減収の87億5百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
※産業現場や暮らしの様々なシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群であります。
④安全・防爆事業
日本、アジア・パシフィックを中心とした、流通在庫調整及び工作機械・ロボットなどの主要産業の需要減少が影響し、安全関連機器の売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、6億1百万円減収の110億4千5百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「非常停止用押ボタンスイッチ」や「安全スイッチ」、「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群であります。
⑤システム
アジア・パシフィックにおいて、半導体製造設備・物流関連設備等の制御盤の売上が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ、4億9千万円減収の34億7千9百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
※顧客ニーズに合わせて当社の製品をシステム化して提供する「各種システム」、安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」などの製品群であります。
⑥その他
日本におけるその他システム関連製品の需要が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、5億9千9百万円減収の10億1千3百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
※メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」などの事業や製品群であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、112億4千8百万円の収入(前年同期は55億4百万円の収入)となりました。これは主に、子会社株式売却益を12億円計上した一方で、減価償却費を40億9千1百万円、税金等調整前当期純利益を34億1千万円、事業構造改革費用を26億2千8百万円計上、売上債権及び契約資産が24億8千6百万円減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億9千7百万円の支出(前年同期は19億2千2百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻等により25億9千6百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却により21億4千7百
万円の収入があった一方で、固定資産の取得により104億3千2百万円を支出したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、29億5百万円の支出(前年同期は44億6千2百万円の支出)となりました。これは主に、借入等により14億3千8百万円の収入があった一方で、配当金の支払いにより38億2千1百万円を支出したことなどによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は、販売価格によっております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①棚卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより変動した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様に棚卸資産の簿価を切り下げることとなります。
②貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期に法人税等調整額として計上いたします。
④退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増減する場合があります。
⑤固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、又は遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、簿価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①売上高
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、資源価格高騰や円安などによる原材料価格の高騰や、物価上昇の継続、中国における不動産市場の停滞に伴う影響、米国における関税政策の影響による下振れリスクなどの要因もあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおいては、2026年3月期から改めて取り組んでいく新中期経営計画において、新生IDECとして「顧客中心のビジネス構造への転換」、「グローバルベースでの市場変化への対応力向上」を掲げており、グループ一丸となって持続的な成長を実現するための構造改革を推進してまいります。
このような状況におきまして、当社グループの国内売上高は、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより、前年同期に比べ、26億1千3百万円減収の242億9千4百万円(前年同期比9.7%減)となり、海外売上高は、円安の影響により増加した地域があったものの、国内売上高と同様、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより売上が減少した結果、前年同期に比べ、27億1千8百万円減収の430億8千5百万円(前年同期比5.9%減)となりました。その結果、当連結会計年度の連結売上高は673億8千万円(前年同期比7.3%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、152.62円(前年同期は144.59円で8.03円の円安)、対ユーロの平均レートは、163.87円(前年同期は156.74円で7.13円の円安)、対人民元の平均レートは、21.11円(前年同期は20.13円で0.98円の円安)となりました。
②損益状況
売上原価は前年同期に比べ、37億4千8百万円減少し、379億4千3百万円(前年同期比9.0%減)となりました。販売費及び一般管理費は10億4千万円増加し、257億8千4百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
利益面においては、営業利益は前年同期に比べ、販売費及び一般管理費の増加や減収の影響による利益減により、26億2千3百万円減益の36億5千2百万円(前年同期比41.8%減)、経常利益は前年同期に比べ、為替差益が減少したことなどにより、34億4千3百万円減益の34億7千7百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、26億2千8百万円減益の17億7千8百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より7千8百万円増加し、1,072億1千6百万円となりました。これは主に、棚卸資産が29億7千1百万円、売上債権が26億4千4百万円減少した一方で、北米事業の強化に向け米国拠点を統合し、新社屋設置のための建物や土地の取得などにより有形固定資産が44億5千万円増加したことや、現金及び預金が15億7千9百万円増加したことなどによるものであります。
負債の額は、前連結会計年度末より22億7千4百万円増加し、434億6百万円となりました。これは主に、借入金が12億8千4百万円、未払費用が9億5千万円増加したことなどによるものであります。
純資産の額は、利益剰余金が20億5千万円減少したことなどにより、前連結会計年度末より21億9千6百万円減少し、638億1千万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より41億5千4百万円増加し、191億9千4百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、112億4千8百万円の収入(前年同期は55億4百万円の収入)となりました。これは主に、子会社株式売却益を12億円計上した一方で、減価償却費を40億9千1百万円、税金等調整前当期純利益を34億1千万円、事業構造改革費用を26億2千8百万円計上、売上債権及び契約資産が24億8千6百万円減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億9千7百万円の支出(前年同期は19億2千2百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻等により25億9千6百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却により21億4千7百万円の収入があった一方で、固定資産の取得により104億3千2百万円を支出したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、29億5百万円の支出(前年同期は44億6千2百万円の支出)となりました。これは主に、借入等により14億3千8百万円の収入があった一方で、配当金の支払いにより38億2千1百万円を支出したことなどによるものであります。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
2026年3月期は、売上高は687億円(前年同期比2.0%増)、営業利益47億5千万円(前年同期比30.0%増)、営業利益率6.9%の達成を目指しております。
事業環境は大きく変化しており、自動化や生産性向上の必要性の高まりとともに、働く人々の安全とウェルビーイング意識も向上しております。新中期経営計画の達成に向けて、そのような課題に対して当社が培ってきた強みを活かした以下のような事業展開を行ってまいります。
・「自動化・省力化」人口動態変化に適用するための労働力低下への対応
・「新技術の導入」ロボット導入や新技術の進化による常に変化する環境への迅速な対応
・「AI技術の習得・活用」人間の能力を高め、効率性を高めるAIの新たな可能性
・「協調安全の推進」人と機械が共存する柔軟な環境の提供
今後より注力していく業界としては、イノベーション牽引の観点から自動車業界や、成長性の観点からAMRやロボットなどの業界に加え、HMI環境の変化が加速している搬送・建設機械業界などに注力し、装置への搭載だけでなく、エンドユーザーやシステムインテグレータと一緒に取り組むことで、各業界で積極的にソリューションを提案し、競争力を強化してまいります。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、資源価格高騰や円安などによる原材料価格の高騰や、物価上昇の継続、中国における不動産市場の停滞に伴う影響、米国における関税政策の影響による下振れリスクなどの要因もあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおいては、2026年3月期から改めて取り組んでいく新中期経営計画において、新生IDECとして「顧客中心のビジネス構造への転換」、「グローバルベースでの市場変化への対応力向上」を掲げており、グループ一丸となって持続的な成長を実現するための構造改革を推進してまいります。
このような状況におきまして、当社グループの国内売上高は、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより、前年同期に比べ、26億1千3百万円減収の242億9千4百万円(前年同期比9.7%減)となり、海外売上高は、円安の影響により増加した地域があったものの、国内売上高と同様、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより売上が減少した結果、前年同期に比べ、27億1千8百万円減収の430億8千5百万円(前年同期比5.9%減)となりました。その結果、当連結会計年度の連結売上高は673億8千万円(前年同期比7.3%減)となりました。
利益面においては、減収の影響による利益減により前年同期に比べ、営業利益は26億2千3百万円減益の36億5千2百万円(前年同期比41.8%減)、経常利益は34億4千3百万円減益の34億7千7百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億2千8百万円減益の17億7千8百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
以上による当連結会計年度における業績結果は以下のとおりであります。
2024年3月期 | 2025年3月期 | 比較増減 | 増減率 | |
売上高(百万円) | 72,711 | 67,380 | △5,331 | △7.3% |
売上総利益(百万円) | 31,019 | 29,437 | △1,582 | △5.1% |
売上総利益率(%) | 42.7 | 43.7 | +1.0 | - |
営業利益(百万円) | 6,276 | 3,652 | △2,623 | △41.8% |
営業利益率(%) | 8.6 | 5.4 | △3.2 | - |
経常利益(百万円) | 6,920 | 3,477 | △3,443 | △49.8% |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 4,407 | 1,778 | △2,628 | △59.6% |
(為替レート) | ||||
米ドル平均レート(円) | 144.59 | 152.62 | +8.03 | - |
ユーロ平均レート(円) | 156.74 | 163.87 | +7.13 | - |
人民元平均レート(円) | 20.13 | 21.11 | +0.98 | - |
セグメントごとの経営成績に関しては、次のとおりであります。
①日本
日本においては、ロボット・工作機械などの主要産業での足踏み感や流通在庫調整局面の影響もあり、売上高は前年同期に比べ、44億5千8百万円減収の268億4千6百万円(前年同期比14.2%減)となり、営業利益は前年同期に比べ、11億2千8百万円減益の11億8千3百万円(前年同期比48.8%減)となりました。
②米州
北米地域においては、概ね流通在庫が一定の水準に落ち着き受注も回復傾向にあったものの一部の代理店での過剰在庫が原因となり、売上高は現地通貨ベースで前年同期に対し減少となりました。しかし、ドル高円安に伴い円換算での売上高は前年同期に比べ、2億8千2百万円増収の141億5千2百万円(前年同期比2.0%増)となり、営業利益は前年同期に比べ、4億5千6百万円減益の11億3千8百万円(前年同期比28.6%減)となりました。
③EMEA
欧州市場では、景気低迷や地政学リスクの影響などにより主要産業の需要が落ち込み、売上高は現地通貨ベースで前年同期に対し減少し、9億7千5百万円減収の148億9千5百万円(前年同期比6.1%減)となり、営業損失5億5千9百万円(前年同期は営業利益4億4千8百万円)となりました。
④アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、中国経済や東南アジア地域における景気減速の影響などにより、売上高は前年同期に比べ、1億7千9百万円減収の114億8千5百万円(前年同期比1.5%減)となり、営業利益は前年同期に比べ、6億3千3百万円減益の10億9千5百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
①HMI事業
主力製品であるスイッチ及びプログラマブル表示器において、市場在庫は概ね適正水準まで戻ったものの、上期における流通在庫調整が影響し、21億5百万円減収の318億4千2百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる、「制御用操作スイッチ」や「ジョイスティック」、「表示灯」、「プログラマブル表示器」などの製品群であります。
②インダストリアルコンポーネンツ事業
主力市場であるアジア・パシフィックにおいて、特に中国市場を中心とした景気減速の影響と流通在庫調整が継続し制御用リレーの売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、3億3千5百万円減収の112億9千4百万円(前年同期比2.9%減)となりました。
※機械や生産ラインなどを制御・操作するための制御盤の中に組み込み、機械・装置の制御部分の基礎として使用される、「スイッチング電源」や「端子台」、「制御用リレー/ソケット」、「サーキットプロテクタ」などの製品群であります。
③オートメーション&センシング事業
主力製品であるプログラマブルコントローラの受注残が解消されましたが、日本、米州における新規注文が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、11億9千9百万円減収の87億5百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
※産業現場や暮らしの様々なシーンにおける機器の自動化に貢献する各種製品、機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」や、リテールや物流分野などさまざまな分野で活用されている「自動認識機器」などの製品群であります。
④安全・防爆事業
日本、アジア・パシフィックを中心とした、流通在庫調整及び工作機械・ロボットなどの主要産業の需要減少が影響し、安全関連機器の売上が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、6億1百万円減収の110億4千5百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
※産業現場の安全を守る「非常停止用押ボタンスイッチ」や「安全スイッチ」、「イネーブル装置」といった「安全関連機器」に加え、石油・化学プラントなど、爆発性のガスが存在する現場での事故を未然に防ぐ「防爆関連機器」などの製品群であります。
⑤システム
アジア・パシフィックにおいて、半導体製造設備・物流関連設備等の制御盤の売上が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ、4億9千万円減収の34億7千9百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
※顧客ニーズに合わせて当社の製品をシステム化して提供する「各種システム」、安全関連機器・安全技術を組み合わせて最適なシステムを構築する「協働ロボットシステムソリューション」などの製品群であります。
⑥その他
日本におけるその他システム関連製品の需要が減少した結果、売上高は前年同期に比べ、5億9千9百万円減収の10億1千3百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
※メガソーラーや太陽光発電用電力マネジメントシステムをはじめとする「再生可能エネルギー事業」などの事業や製品群であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 5,504 | 11,248 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,922 | △4,097 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △4,462 | △2,905 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 790 | △91 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △90 | 4,154 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 15,070 | 15,040 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 15,040 | 19,194 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、112億4千8百万円の収入(前年同期は55億4百万円の収入)となりました。これは主に、子会社株式売却益を12億円計上した一方で、減価償却費を40億9千1百万円、税金等調整前当期純利益を34億1千万円、事業構造改革費用を26億2千8百万円計上、売上債権及び契約資産が24億8千6百万円減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億9千7百万円の支出(前年同期は19億2千2百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻等により25億9千6百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却により21億4千7百
万円の収入があった一方で、固定資産の取得により104億3千2百万円を支出したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、29億5百万円の支出(前年同期は44億6千2百万円の支出)となりました。これは主に、借入等により14億3千8百万円の収入があった一方で、配当金の支払いにより38億2千1百万円を支出したことなどによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 27,124 | 79.6 |
米州 | 2,523 | 98.1 |
EMEA | 15,085 | 93.0 |
アジア・パシフィック | 9,560 | 77.6 |
合計 | 54,293 | 83.3 |
(注)金額は、販売価格によっております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||
金額(百万円) | 前年同期比(%) | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
日本 | 27,635 | 115.5 | 5,271 | 85.9 |
米州 | 13,910 | 117.2 | 2,611 | 91.5 |
EMEA | 14,425 | 101.1 | 7,522 | 94.1 |
アジア・パシフィック | 12,849 | 121.6 | 4,353 | 145.7 |
合計 | 68,821 | 113.5 | 19,758 | 98.9 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 26,846 | 85.8 |
米州 | 14,152 | 102.0 |
EMEA | 14,895 | 93.9 |
アジア・パシフィック | 11,485 | 98.5 |
合計 | 67,380 | 92.7 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、見積りによる収益・費用の計上を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。
特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①棚卸資産
当社グループは、連結会計年度末時点において簿価と市場価格の状況を検討し市場価格が下回る場合は評価損を計上しております。実際の市場価格が当社グループの見積りより変動した場合、計上した評価損の過不足が生じる可能性があります。
また、従来より、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様に棚卸資産の簿価を切り下げることとなります。
②貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要になる場合があります。
③繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期に法人税等調整額として計上いたします。
④退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合及び今後この前提条件が変化した場合には、変化した年度以降の退職給付費用が大きく増減する場合があります。
⑤固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準における資産のグルーピング方法として、工場その他の事業用施設等については、継続して収支を把握している単位かつ独立したキャッシュ・フローを生み出す単位で、遊休資産については、当該資産単独で区分する方法を採用しており、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、又は遊休状態で今後も使用する見込みがない場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
⑥のれん及び商標権・顧客関連資産
当社グループは、のれん及び商標権・顧客関連資産に関してその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、簿価の切り下げを行う可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①売上高
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、資源価格高騰や円安などによる原材料価格の高騰や、物価上昇の継続、中国における不動産市場の停滞に伴う影響、米国における関税政策の影響による下振れリスクなどの要因もあり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおいては、2026年3月期から改めて取り組んでいく新中期経営計画において、新生IDECとして「顧客中心のビジネス構造への転換」、「グローバルベースでの市場変化への対応力向上」を掲げており、グループ一丸となって持続的な成長を実現するための構造改革を推進してまいります。
このような状況におきまして、当社グループの国内売上高は、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより、前年同期に比べ、26億1千3百万円減収の242億9千4百万円(前年同期比9.7%減)となり、海外売上高は、円安の影響により増加した地域があったものの、国内売上高と同様、市場の過剰在庫は概ね解消されたものの、昨年度から継続している流通在庫調整の影響などにより売上が減少した結果、前年同期に比べ、27億1千8百万円減収の430億8千5百万円(前年同期比5.9%減)となりました。その結果、当連結会計年度の連結売上高は673億8千万円(前年同期比7.3%減)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、152.62円(前年同期は144.59円で8.03円の円安)、対ユーロの平均レートは、163.87円(前年同期は156.74円で7.13円の円安)、対人民元の平均レートは、21.11円(前年同期は20.13円で0.98円の円安)となりました。
②損益状況
売上原価は前年同期に比べ、37億4千8百万円減少し、379億4千3百万円(前年同期比9.0%減)となりました。販売費及び一般管理費は10億4千万円増加し、257億8千4百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
利益面においては、営業利益は前年同期に比べ、販売費及び一般管理費の増加や減収の影響による利益減により、26億2千3百万円減益の36億5千2百万円(前年同期比41.8%減)、経常利益は前年同期に比べ、為替差益が減少したことなどにより、34億4千3百万円減益の34億7千7百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ、26億2千8百万円減益の17億7千8百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産の額は、前連結会計年度末より7千8百万円増加し、1,072億1千6百万円となりました。これは主に、棚卸資産が29億7千1百万円、売上債権が26億4千4百万円減少した一方で、北米事業の強化に向け米国拠点を統合し、新社屋設置のための建物や土地の取得などにより有形固定資産が44億5千万円増加したことや、現金及び預金が15億7千9百万円増加したことなどによるものであります。
負債の額は、前連結会計年度末より22億7千4百万円増加し、434億6百万円となりました。これは主に、借入金が12億8千4百万円、未払費用が9億5千万円増加したことなどによるものであります。
純資産の額は、利益剰余金が20億5千万円減少したことなどにより、前連結会計年度末より21億9千6百万円減少し、638億1千万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より41億5千4百万円増加し、191億9千4百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、112億4千8百万円の収入(前年同期は55億4百万円の収入)となりました。これは主に、子会社株式売却益を12億円計上した一方で、減価償却費を40億9千1百万円、税金等調整前当期純利益を34億1千万円、事業構造改革費用を26億2千8百万円計上、売上債権及び契約資産が24億8千6百万円減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億9千7百万円の支出(前年同期は19億2千2百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻等により25億9千6百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却により21億4千7百万円の収入があった一方で、固定資産の取得により104億3千2百万円を支出したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、29億5百万円の支出(前年同期は44億6千2百万円の支出)となりました。これは主に、借入等により14億3千8百万円の収入があった一方で、配当金の支払いにより38億2千1百万円を支出したことなどによるものであります。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針
2026年3月期は、売上高は687億円(前年同期比2.0%増)、営業利益47億5千万円(前年同期比30.0%増)、営業利益率6.9%の達成を目指しております。
事業環境は大きく変化しており、自動化や生産性向上の必要性の高まりとともに、働く人々の安全とウェルビーイング意識も向上しております。新中期経営計画の達成に向けて、そのような課題に対して当社が培ってきた強みを活かした以下のような事業展開を行ってまいります。
・「自動化・省力化」人口動態変化に適用するための労働力低下への対応
・「新技術の導入」ロボット導入や新技術の進化による常に変化する環境への迅速な対応
・「AI技術の習得・活用」人間の能力を高め、効率性を高めるAIの新たな可能性
・「協調安全の推進」人と機械が共存する柔軟な環境の提供
今後より注力していく業界としては、イノベーション牽引の観点から自動車業界や、成長性の観点からAMRやロボットなどの業界に加え、HMI環境の変化が加速している搬送・建設機械業界などに注力し、装置への搭載だけでなく、エンドユーザーやシステムインテグレータと一緒に取り組むことで、各業界で積極的にソリューションを提案し、競争力を強化してまいります。
