有価証券報告書-第62期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてロームグループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や中国の景気減速などにより低迷が続いたことに加えて、年明け以降の新型コロナウイルス感染症蔓延が中国をはじめ各国の生産・個人消費などに対して甚大な影響を与えはじめ、総じて厳しい一年となりました。地域別では、米国は企業の設備投資が抑制傾向をたどり、また個人消費についてもその伸びは鈍化傾向となりました。中国では、伸び悩みが見られた個人消費が年明け以降急減速しました。ヨーロッパやアジア各国では、中国における景気減速の影響等を受け停滞が続きました。日本においても、設備投資や輸出の減少や個人消費の鈍化などにより、厳しい状況となりました。
エレクトロニクス業界におきまして、自動車関連市場では、「安全」、「環境」などに対するニーズの高まりからエレクトロニクス製品の実装率の向上が続きましたが、自動車販売台数悪化が続き、全体として市場は低迷しました。産業機器関連市場では、工作機械や産業機械などの市況が悪化し、民生機器関連市場でも需要が低迷しました。こうした状況を受け、半導体をはじめとする電子部品市場は、厳しい状況が続きました。
このような経営環境の中、ロームグループにおきましては、従来に引き続き、中長期的に成長が期待される自動車関連市場や産業機器関連市場などへの製品ラインアップの強化と、中国市場での販売体制の強化を進めました。また、「アナログ」、「パワー」及び「スタンダードプロダクツ」など、ロームグループが強みを持つ技術領域を中心とした新製品・新技術の開発に取り組むと共に、顧客へのシステムソリューション提案など技術サポート体制を整えました。生産面においても、引き続き品質と生産効率の改善を推進し、先進の品質管理体制の構築やスマートファクトリー(※1)化の推進などの「生産革新」を継続して進め、加えて安定供給体制強化や生産効率改善のための工場の一元管理化などに取り組みました。さらに、今後の成長が見込めるSiCデバイスの専用工場の建設を進めるなど中長期的な生産能力増強の為の設備投資を進めました。
このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は3,628億8千5百万円(前期比9.0%減)となり、営業利益は294億8千9百万円(前期比47.3%減)となりました。
経常利益につきましては、357億7千4百万円(前期比44.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は256億3千2百万円(前期比43.6%減)となりました。
※1.スマートファクトリー
生産設備などをネットワークで相互に接続し、より高度な品質改善や、生産効率の改善を進めた製造工場のこと。
業績のセグメント別概況
当連結会計年度の売上高は1,704億3千2百万円(前期比7.0%減)、セグメント利益は125億7千8百万円(前期比21.3%減)となりました。
自動車関連市場につきましては、xEV(※2)向けの絶縁ゲートドライバIC(※3)や、カーボディならびにADAS分野向けの各種電源ICなどの新規採用が広がりましたが、市場低迷により自動車関連市場で主力のインフォテインメント(※4)向けの各種ドライバICなどの売上は減少しました。産業機器関連市場につきましては、FA(ファクトリーオートメーション)関連市場向けのモータドライバICや電源ICなどの売上が減少しました。民生機器関連市場につきましては、スマートフォンやPC向けのほか、TVなどのAV機器向けなどは総じて厳しい状況となりました。
※2.xEV
電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)など電力を駆動力として使用する各種自動車の総称。
※3.絶縁ゲートドライバIC
SiCやIGBTなどのパワー半導体を駆動し、人体・システム保護に必須の絶縁素子を内蔵したIC。
※4.インフォテインメント
主に自動車について用いられる言葉で、「情報:インフォメーション」と「娯楽:エンターテインメント」を実現するシステムの総称。
<半導体素子>当連結会計年度の売上高は1,390億3千8百万円(前期比9.0%減)、セグメント利益は104億7百万円(前期比65.4%減)となりました。
トランジスタにつきましては、PCストレージ向けなどで売上が増加しましたが、民生機器関連市場向けや産業機器関連市場向けを中心に総じて厳しい状況が続きました。ダイオードにつきましては、スマートフォン向けの売上が増加しましたが、自動車関連市場向けはインフォテインメント向けを中心に売上が減少しました。パワーデバイス部門につきましては、IGBTは売上を伸ばしましたが、SiCについては自動車・産業機器関連市場における市況悪化の影響を受けました。また、発光ダイオードにつきましては、民生機器関連市場向けに加えて産業機器関連市場向けの売上も減少しました。半導体レーザーにつきましても、民生機器関連市場向けを中心に売上が減少しました。
<モジュール>当連結会計年度の売上高は332億7千5百万円(前期比17.1%減)、セグメント利益は34億9千1百万円(前期比41.0%減)となりました。
プリントヘッドにつきましては、決済端末向けなどで売上が減少しました。オプティカルモジュールにつきましては、スマートフォン向けのセンサモジュールなどは売上が減少しましたが、自動車関連市場向けではリアランプ用LEDモジュールの採用機種が増加し、売上を伸ばしました。
<その他>当連結会計年度の売上高は201億3千9百万円(前期比11.1%減)、セグメント利益は19億4千8百万円(前期比52.4%減)となりました。
抵抗器につきましては、自動車関連市場向けはカーボディ向けで売上を伸ばしましたが、インフォテインメント向けを中心に売上は減少しました。また、民生機器関連市場向けについても売上が減少しました。タンタルコンデンサにつきましては、PC向けなどで売上が減少しました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額は期中平均販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表作成に当たって、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて、見積り及び判断を行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① たな卸資産
当社グループでは、たな卸資産が適正な価値で評価されるように評価損を計上しております。簿価と市場価格の状況を検討し、市場価格が簿価を下回る場合は評価損を計上しております。また、一定の保有期間を超えるたな卸資産を滞留もしくは陳腐化しているとみなし評価損を計上しております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、実際の需要動向又は市況が想定した見積りより悪化した場合、追加で評価損を計上することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
② 有形固定資産及び無形固定資産
当社グループでは、有形固定資産及び無形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産については継続して収支の管理を行っている管理会計上の事業区分に基づきグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に回収可能価額に基づいて行っております。経営者は、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付費用及び債務
当社グループでは、従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基づいて決定しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、各社・各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社・各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(追加情報)」に記載しております。
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の売上高は民生機器関連市場及び産業機器関連市場を中心に減少し、前期比9.0%減の3,628億8千5百万円となりました。
営業利益は売上高の減少に加え、固定費負担率の上昇などにより前期比47.3%減の294億8千9百万円となり、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度の14.0%から8.1%に低下しました。
経常利益につきましては、営業利益の減少に加え、為替差益の減少により前期比44.7%減の357億7千4百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に経常利益が減少したことにより前期比43.6%減の256億3千2百万円となりました。
またロームグループで重視している経営指標について、当連結会計年度のEBITDAは前期比27.1%減の738億1千7百万円となり、当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の6.0%から3.5%に低下しました。
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ255億5千4百万円減少し、8,488億7千3百万円となりました。主な要因といたしましては、投資有価証券が214億4千6百万円、たな卸資産が92億4千4百万円、有形固定資産が78億6千1百万円、それぞれ減少した一方、現金及び預金が300億4千2百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ257億2千万円増加し、1,333億9千3百万円となりました。主な要因といたしましては、社債が409億3千5百万円増加した一方、未払金が56億5千万円、未払法人税等が41億4千7百万円、流動負債のその他が27億4千7百万円(うち、未払費用が26億2千3百万円)、それぞれ減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ512億7千5百万円減少し、7,154億7千9百万円となりました。主な要因といたしましては、自己株式の取得により412億9千6百万円、為替換算調整勘定が120億3千万円減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の87.6%から84.2%に低下しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(659億9千万円のプラス)に比べ131億4千万円収入が増加し、791億3千万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因としてたな卸資産が増加から減少に転じたこと、売上債権の減少額の増加、マイナス要因として税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(539億9千7百万円のマイナス)に比べ453億2千1百万円支出が減少し、86億7千6百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として定期預金が増加から減少に転じたこと、有形固定資産の取得による支出の減少、有価証券及び投資有価証券の取得による支出の減少によるものであります。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度(306億4千7百万円のマイナス)に比べ135億7千2百万円支出が減少し、170億7千5百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として社債の発行による収入の増加、配当金の支払額の減少、マイナス要因として自己株式の取得による支出の増加によるものであります。
上記の要因に、換算差額による減少が59億4百万円加わり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ474億7千4百万円増加し、2,755億3千9百万円となりました。
(参考)ロームグループが重視している主な経営指標の推移
※各指標は、いずれも連結財務諸表に基づいて算定しております。
・営業利益率:営業利益/売上高
・EBITDA:営業利益+減価償却費
・自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
・総資産利益率(ROA):親会社株主に帰属する当期純利益/総資産
・総資産回転率:売上高/総資産
・固定資産回転率:売上高/固定資産
・株価収益率(PER):期末株価終値/1株当たり当期純利益
・株価純資産倍率(PBR):期末株価終値/1株当たり純資産
・たな卸資産回転月数:たな卸資産/(第4四半期売上高/3)
(5)資本の財源及び資金の流動性
ロームグループは、安定的な営業キャッシュ・フローの創出により事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状態を常にめざしております。
主な短期的な資金需要は、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払等であります。自動車・産業機器関連市場、海外市場を注力市場とし、またパワー、アナログ、スタンダードプロダクツを注力商品としてそれぞれ定め、設備投資、研究開発及びM&Aなどの事業成長のための投資や、グローバルに安定した製品供給が出来る生産体制の強化を最優先に行うことを通じて、業績拡大に注力してまいります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期比32.0%減の389億4千1百万円、研究開発費は前期比15.7%減の333億8千4百万円となりました。これらの設備投資や研究開発費、運転資金につきましては主に営業活動によって得られた自己資金を充当しております。
株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載しております。
また、当連結会計年度において、当社の財務状況及び資金需要並びに株式市場の動向を総合的に勘案した結果、市場環境の変化に耐えうる堅固な財務基盤を維持しつつも、手元現金及び負債性資金を活用した自己株式取得を一定規模で行うことにより、株主還元の一層の強化を伴いつつ、資本の再構築を通じた資本効率の改善によって企業価値・株主価値向上を図ることが現時点において望ましいと判断し、自己株式412億8千7百万円の取得を行うと同時に、その一部資金の調達手段として新株予約権付社債を発行いたしました。
当社のキャッシュ・フローに大きく影響を与える事象の過去5期の推移は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や中国の景気減速などにより低迷が続いたことに加えて、年明け以降の新型コロナウイルス感染症蔓延が中国をはじめ各国の生産・個人消費などに対して甚大な影響を与えはじめ、総じて厳しい一年となりました。地域別では、米国は企業の設備投資が抑制傾向をたどり、また個人消費についてもその伸びは鈍化傾向となりました。中国では、伸び悩みが見られた個人消費が年明け以降急減速しました。ヨーロッパやアジア各国では、中国における景気減速の影響等を受け停滞が続きました。日本においても、設備投資や輸出の減少や個人消費の鈍化などにより、厳しい状況となりました。
エレクトロニクス業界におきまして、自動車関連市場では、「安全」、「環境」などに対するニーズの高まりからエレクトロニクス製品の実装率の向上が続きましたが、自動車販売台数悪化が続き、全体として市場は低迷しました。産業機器関連市場では、工作機械や産業機械などの市況が悪化し、民生機器関連市場でも需要が低迷しました。こうした状況を受け、半導体をはじめとする電子部品市場は、厳しい状況が続きました。
このような経営環境の中、ロームグループにおきましては、従来に引き続き、中長期的に成長が期待される自動車関連市場や産業機器関連市場などへの製品ラインアップの強化と、中国市場での販売体制の強化を進めました。また、「アナログ」、「パワー」及び「スタンダードプロダクツ」など、ロームグループが強みを持つ技術領域を中心とした新製品・新技術の開発に取り組むと共に、顧客へのシステムソリューション提案など技術サポート体制を整えました。生産面においても、引き続き品質と生産効率の改善を推進し、先進の品質管理体制の構築やスマートファクトリー(※1)化の推進などの「生産革新」を継続して進め、加えて安定供給体制強化や生産効率改善のための工場の一元管理化などに取り組みました。さらに、今後の成長が見込めるSiCデバイスの専用工場の建設を進めるなど中長期的な生産能力増強の為の設備投資を進めました。
このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は3,628億8千5百万円(前期比9.0%減)となり、営業利益は294億8千9百万円(前期比47.3%減)となりました。
経常利益につきましては、357億7千4百万円(前期比44.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は256億3千2百万円(前期比43.6%減)となりました。
※1.スマートファクトリー
生産設備などをネットワークで相互に接続し、より高度な品質改善や、生産効率の改善を進めた製造工場のこと。
業績のセグメント別概況
自動車関連市場につきましては、xEV(※2)向けの絶縁ゲートドライバIC(※3)や、カーボディならびにADAS分野向けの各種電源ICなどの新規採用が広がりましたが、市場低迷により自動車関連市場で主力のインフォテインメント(※4)向けの各種ドライバICなどの売上は減少しました。産業機器関連市場につきましては、FA(ファクトリーオートメーション)関連市場向けのモータドライバICや電源ICなどの売上が減少しました。民生機器関連市場につきましては、スマートフォンやPC向けのほか、TVなどのAV機器向けなどは総じて厳しい状況となりました。
※2.xEV
電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)など電力を駆動力として使用する各種自動車の総称。
※3.絶縁ゲートドライバIC
SiCやIGBTなどのパワー半導体を駆動し、人体・システム保護に必須の絶縁素子を内蔵したIC。
※4.インフォテインメント
主に自動車について用いられる言葉で、「情報:インフォメーション」と「娯楽:エンターテインメント」を実現するシステムの総称。
<半導体素子>当連結会計年度の売上高は1,390億3千8百万円(前期比9.0%減)、セグメント利益は104億7百万円(前期比65.4%減)となりました。
トランジスタにつきましては、PCストレージ向けなどで売上が増加しましたが、民生機器関連市場向けや産業機器関連市場向けを中心に総じて厳しい状況が続きました。ダイオードにつきましては、スマートフォン向けの売上が増加しましたが、自動車関連市場向けはインフォテインメント向けを中心に売上が減少しました。パワーデバイス部門につきましては、IGBTは売上を伸ばしましたが、SiCについては自動車・産業機器関連市場における市況悪化の影響を受けました。また、発光ダイオードにつきましては、民生機器関連市場向けに加えて産業機器関連市場向けの売上も減少しました。半導体レーザーにつきましても、民生機器関連市場向けを中心に売上が減少しました。
<モジュール>当連結会計年度の売上高は332億7千5百万円(前期比17.1%減)、セグメント利益は34億9千1百万円(前期比41.0%減)となりました。
プリントヘッドにつきましては、決済端末向けなどで売上が減少しました。オプティカルモジュールにつきましては、スマートフォン向けのセンサモジュールなどは売上が減少しましたが、自動車関連市場向けではリアランプ用LEDモジュールの採用機種が増加し、売上を伸ばしました。
<その他>当連結会計年度の売上高は201億3千9百万円(前期比11.1%減)、セグメント利益は19億4千8百万円(前期比52.4%減)となりました。
抵抗器につきましては、自動車関連市場向けはカーボディ向けで売上を伸ばしましたが、インフォテインメント向けを中心に売上は減少しました。また、民生機器関連市場向けについても売上が減少しました。タンタルコンデンサにつきましては、PC向けなどで売上が減少しました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| LSI(百万円) | 167,862 | △8.5 |
| 半導体素子(百万円) | 137,100 | △12.9 |
| モジュール(百万円) | 33,261 | △16.6 |
| 報告セグメント計(百万円) | 338,224 | △11.2 |
| その他(百万円) | 20,101 | △11.5 |
| 合計(百万円) | 358,325 | △11.2 |
(注)上記の金額は期中平均販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| LSI | 174,916 | △2.5 | 37,143 | 13.7 |
| 半導体素子 | 143,003 | △1.5 | 36,565 | 12.2 |
| モジュール | 33,059 | △12.7 | 8,390 | △2.5 |
| 報告セグメント計 | 350,978 | △3.2 | 82,098 | 11.1 |
| その他 | 19,976 | △12.1 | 4,518 | △3.5 |
| 合計 | 370,955 | △3.7 | 86,617 | 10.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| LSI(百万円) | 170,432 | △7.0 |
| 半導体素子(百万円) | 139,038 | △9.0 |
| モジュール(百万円) | 33,275 | △17.1 |
| 報告セグメント計(百万円) | 342,745 | △8.9 |
| その他(百万円) | 20,139 | △11.1 |
| 合計(百万円) | 362,885 | △9.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表作成に当たって、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて、見積り及び判断を行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① たな卸資産
当社グループでは、たな卸資産が適正な価値で評価されるように評価損を計上しております。簿価と市場価格の状況を検討し、市場価格が簿価を下回る場合は評価損を計上しております。また、一定の保有期間を超えるたな卸資産を滞留もしくは陳腐化しているとみなし評価損を計上しております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、実際の需要動向又は市況が想定した見積りより悪化した場合、追加で評価損を計上することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
② 有形固定資産及び無形固定資産
当社グループでは、有形固定資産及び無形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産については継続して収支の管理を行っている管理会計上の事業区分に基づきグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に回収可能価額に基づいて行っております。経営者は、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付費用及び債務
当社グループでは、従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件は年に一度見直しております。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基づいて決定しております。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、各社・各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社・各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(追加情報)」に記載しております。
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の売上高は民生機器関連市場及び産業機器関連市場を中心に減少し、前期比9.0%減の3,628億8千5百万円となりました。
営業利益は売上高の減少に加え、固定費負担率の上昇などにより前期比47.3%減の294億8千9百万円となり、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度の14.0%から8.1%に低下しました。
経常利益につきましては、営業利益の減少に加え、為替差益の減少により前期比44.7%減の357億7千4百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に経常利益が減少したことにより前期比43.6%減の256億3千2百万円となりました。
またロームグループで重視している経営指標について、当連結会計年度のEBITDAは前期比27.1%減の738億1千7百万円となり、当連結会計年度のROEは、前連結会計年度の6.0%から3.5%に低下しました。
当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ255億5千4百万円減少し、8,488億7千3百万円となりました。主な要因といたしましては、投資有価証券が214億4千6百万円、たな卸資産が92億4千4百万円、有形固定資産が78億6千1百万円、それぞれ減少した一方、現金及び預金が300億4千2百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ257億2千万円増加し、1,333億9千3百万円となりました。主な要因といたしましては、社債が409億3千5百万円増加した一方、未払金が56億5千万円、未払法人税等が41億4千7百万円、流動負債のその他が27億4千7百万円(うち、未払費用が26億2千3百万円)、それぞれ減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ512億7千5百万円減少し、7,154億7千9百万円となりました。主な要因といたしましては、自己株式の取得により412億9千6百万円、為替換算調整勘定が120億3千万円減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の87.6%から84.2%に低下しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(659億9千万円のプラス)に比べ131億4千万円収入が増加し、791億3千万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因としてたな卸資産が増加から減少に転じたこと、売上債権の減少額の増加、マイナス要因として税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(539億9千7百万円のマイナス)に比べ453億2千1百万円支出が減少し、86億7千6百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として定期預金が増加から減少に転じたこと、有形固定資産の取得による支出の減少、有価証券及び投資有価証券の取得による支出の減少によるものであります。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度(306億4千7百万円のマイナス)に比べ135億7千2百万円支出が減少し、170億7千5百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として社債の発行による収入の増加、配当金の支払額の減少、マイナス要因として自己株式の取得による支出の増加によるものであります。
上記の要因に、換算差額による減少が59億4百万円加わり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ474億7千4百万円増加し、2,755億3千9百万円となりました。
(参考)ロームグループが重視している主な経営指標の推移
| 回次 | 第58期 | 第59期 | 第60期 | 第61期 | 第62期 | |
| 決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
| 営業利益率 | (%) | 9.5 | 9.0 | 14.4 | 14.0 | 8.1 |
| EBITDA | (百万円) | 71,973 | 72,628 | 100,411 | 101,325 | 73,817 |
| 自己資本利益率(ROE) | (%) | 3.5 | 3.7 | 5.0 | 6.0 | 3.5 |
| 総資産利益率(ROA) | (%) | 3.1 | 3.2 | 4.4 | 5.2 | 3.0 |
| 総資産回転率 | 0.42 | 0.43 | 0.47 | 0.46 | 0.42 | |
| 固定資産回転率 | 1.05 | 1.05 | 1.14 | 1.11 | 1.05 | |
| 株価収益率(PER) | (倍) | 19.6 | 29.6 | 28.8 | 16.0 | 23.9 |
| 株価純資産倍率(PBR) | (倍) | 0.71 | 1.08 | 1.43 | 0.94 | 0.83 |
| たな卸資産回転月数 | (月) | 3.62 | 2.99 | 2.97 | 3.72 | 4.17 |
※各指標は、いずれも連結財務諸表に基づいて算定しております。
・営業利益率:営業利益/売上高
・EBITDA:営業利益+減価償却費
・自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
・総資産利益率(ROA):親会社株主に帰属する当期純利益/総資産
・総資産回転率:売上高/総資産
・固定資産回転率:売上高/固定資産
・株価収益率(PER):期末株価終値/1株当たり当期純利益
・株価純資産倍率(PBR):期末株価終値/1株当たり純資産
・たな卸資産回転月数:たな卸資産/(第4四半期売上高/3)
(5)資本の財源及び資金の流動性
ロームグループは、安定的な営業キャッシュ・フローの創出により事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状態を常にめざしております。
主な短期的な資金需要は、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払等であります。自動車・産業機器関連市場、海外市場を注力市場とし、またパワー、アナログ、スタンダードプロダクツを注力商品としてそれぞれ定め、設備投資、研究開発及びM&Aなどの事業成長のための投資や、グローバルに安定した製品供給が出来る生産体制の強化を最優先に行うことを通じて、業績拡大に注力してまいります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期比32.0%減の389億4千1百万円、研究開発費は前期比15.7%減の333億8千4百万円となりました。これらの設備投資や研究開発費、運転資金につきましては主に営業活動によって得られた自己資金を充当しております。
株主還元の方針については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載しております。
また、当連結会計年度において、当社の財務状況及び資金需要並びに株式市場の動向を総合的に勘案した結果、市場環境の変化に耐えうる堅固な財務基盤を維持しつつも、手元現金及び負債性資金を活用した自己株式取得を一定規模で行うことにより、株主還元の一層の強化を伴いつつ、資本の再構築を通じた資本効率の改善によって企業価値・株主価値向上を図ることが現時点において望ましいと判断し、自己株式412億8千7百万円の取得を行うと同時に、その一部資金の調達手段として新株予約権付社債を発行いたしました。
当社のキャッシュ・フローに大きく影響を与える事象の過去5期の推移は次のとおりであります。
| 回次 | 第58期 | 第59期 | 第60期 | 第61期 | 第62期 | |
| 決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
| 減価償却費 | (百万円) | 38,338 | 40,801 | 43,407 | 45,415 | 44,328 |
| 研究開発費 | (百万円) | 40,868 | 37,277 | 38,852 | 39,578 | 33,384 |
| 設備投資額 | (百万円) | 56,686 | 42,182 | 55,911 | 57,291 | 38,941 |
| 年間配当金総額 | (百万円) | 13,750 | 13,750 | 25,385 | 15,771 | 15,300 |
| 配当性向 | (%) | 53.7 | 52.0 | 68.2 | 34.8 | 60.6 |